説明

画像形成装置

【課題】筐体の大型化、複雑化、高コスト化を回避しつつ、記録媒体上に載置しながらカラー印画を行う場合であっても、色ずれ等の印画不良の発生を防止できるようにする。
【解決手段】中間転写シート70の画像形成面に対して画像を形成するためのサーマルヘッド40と、中間転写シート70の画像形成面に形成された画像を記録媒体上に再転写するためのヒートローラ60とを備え、中間転写シート70は、中間転写シート70の画像形成面が記録媒体と対向するように記録媒体上に載置可能な再転写部30内に配置し、ヒートローラ60は、中間転写シート70の画像形成面の反対側で、中間転写シート70に沿って移動可能なように再転写部30内に配置し、サーマルヘッド40は、再転写部30に対して少なくとも一部が重複するように積層可能な画像形成部20内に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最初に、中間転写体に対して画像を形成し、その後、中間転写体に形成された画像を記録媒体上に再転写する画像形成装置に係るものであり、詳しくは、画像形成装置を記録媒体上に載置しながらカラー印画を行う場合であっても、色ずれ等の印画不良の発生を防止しつつ、記録媒体上の同一の位置に画像形成装置を固定し続けておく手間を不要にするとともに、画像形成装置の大型化、複雑化、高コスト化を回避できるようにした技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置の一例として、記録用紙等の記録媒体上に画像形成装置を載置し、記録媒体に対して記録ヘッドを平行移動させることによって印画を行うスタンプ型プリンタが知られている。そして、このスタンプ型プリンタによれば、多様なサイズの記録用紙や既に綴じられている記録用紙等の記録媒体に対しても、記録媒体上に載置するだけで、自由に印画を行うことができる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−254713号公報
【0003】
このようなスタンプ型プリンタでは、印画方式として、例えば、上記の特許文献1に開示されているように、熱転写方式が採用されている。すなわち、熱転写型の記録ヘッド(サーマルヘッド)を使用し、サーマルヘッドと記録媒体との間に、複数のカラーインク等が塗布されたインクリボンを挟持して、サーマルヘッドを所定の方向に複数回にわたって移動させながら印画を行うものである。
【0004】
図20は、サーマルヘッド140によってカラー印画が可能な従来のスタンプ型プリンタ110の一例を示す側面図及び底面図である。
また、図21は、図20に示す従来のスタンプ型プリンタ110に使用されるインクリボン150の一例を示す平面図である。
図20(a)に示すように、スタンプ型プリンタ110は、記録媒体180(記録用紙等)の印画面(上面)上に筐体110aを載置してカラー印画を行うものである。
【0005】
ここで、スタンプ型プリンタ110は、筐体110aの内部に、記録媒体180の印画面(上面)に対して矢印の方向に平行移動するサーマルヘッド140を備えている。そして、サーマルヘッド140の下側には、リボン供給スプール151とリボン巻取りスプール152との間に巻き回されたインクリボン150が配置されている。なお、インクリボン150には、図21に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の各カラーインクと、記録媒体180に対するカラーインクの転写性を向上させるためのプリコート層(P)及びカラー印画後の耐環境性を向上させるためのラミネート層(L)とが塗布されている。
【0006】
図20に示すスタンプ型プリンタ110によってカラー印画を行うには、先ず、筐体110aを記録媒体180上の印画位置に載置する。そして、最初に、図21に示すインクリボン150のプリコート層(P)を「頭出し」する。すなわち、プリコート層(P)の境界部分をセンサ(図示せず)によって検知し、プリコート層(P)が図20に示すサーマルヘッド140の走査領域(リボン供給スプール151とリボン巻取りスプール152との間の領域)に位置するように、リボン巻取りスプール152を回転させて巻き取る。なお、インクリボン150の「頭出し」時は、サーマルヘッド140が記録媒体180から離れるように上昇している。
【0007】
次に、図20に示す印画開始地点(左側の位置)にあるサーマルヘッド140を下降させ、サーマルヘッド140と記録媒体180との間に、リボン供給スプール151から巻き出したインクリボン150のプリコート層(P)を挟持する。続いて、サーマルヘッド140を発熱させながら矢印の方向に平行移動させると、サーマルヘッド140の走査領域に位置するプリコート層(P)が記録媒体180上に転写される。
【0008】
その後、サーマルヘッド140を再び上昇させ、印画開始地点(左側の位置)に戻すとともに、図21に示すインクリボン150のイエロー(Y)を「頭出し」する。そして、図20に示すように、サーマルヘッド140を下降させて再び矢印の方向に平行移動させれば、記録媒体180上にイエロー(Y)が転写されることとなる。同様に、図21に示すインクリボン150のマゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、及びラミネート層(L)を順次転写することにより、記録媒体180に対してカラー印画を行うことができる。
【0009】
このように、図20に示すスタンプ型プリンタ110は、記録媒体180上に筐体110aを載置したままサーマルヘッド140を合計6回往復移動させることにより、図21に示すインクリボン150の各カラーインク等を記録媒体180上に直接転写してカラー印画を実行する。
【0010】
一方、インクリボン150から記録媒体180に直接転写するのではなく、中間転写体(中間転写シート)を使用することにより、中間転写シートに対してカラー画像を形成(転写)し、その後、中間転写シート上に形成されたカラー画像を記録媒体上に再転写(印画)するようにした中間転写型の画像形成装置(中間転写式プリンタ)も知られている。そして、中間転写式プリンタでは、中間転写シートの介在により、色ずれ等の印画不良の発生が防止される(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献2】特開平6−122184号公報
【0011】
図22は、中間転写シート270を用いてカラー印画を行う従来の中間転写式プリンタ210の内部を示す側面図である。
図22に示すように、中間転写式プリンタ210は、中間転写シート270上にカラー画像を形成(転写)する画像形成部220と、中間転写シート270上に形成されたカラー画像を記録媒体280(記録用紙等)上に再転写(印画)するための再転写部230とを有している。
【0012】
ここで、画像形成部220は、熱転写型の記録ヘッドであるサーマルヘッド240と、サーマルヘッド240に対向するプラテンローラ273とを備えている。そして、中間転写シート270上にカラー画像を形成(転写)する際は、最初に、サーマルヘッド240とプラテンローラ273との間に、複数のカラーインク等が塗布されたインクリボン250及び中間転写シート270を挟持する。次に、インクリボン250及び中間転写シート270を往復移動させながらサーマルヘッド240を発熱させる。すると、インクリボン250の各カラーインク等が中間転写シート270上に転写され、中間転写シート270上にカラー画像が形成される。
【0013】
また、再転写部230は、発熱しながら回転するヒートローラ260と、ヒートローラ260に対向して上下するステージ281とを備えている。そして、画像形成部220によって中間転写シート270上に形成されたカラー画像を記録媒体280(記録用紙等)上に再転写(印画)する際は、最初に、中間転写シート270上のカラー画像形成部分を再転写部230まで移動させる。次に、記録媒体280を載置したステージ281を上昇させ、ヒートローラ260とステージ281との間に、中間転写シート270上のカラー画像形成部分を挟持し、ヒートローラ260を発熱させながら回転させる。すると、中間転写シート270上のカラー画像が記録媒体280上に再転写され、記録媒体280に対するカラー印画が行われる。
【0014】
このように、従来の画像形成装置として、上記の特許文献1に開示されたスタンプ型プリンタ110(図20参照)や、上記の特許文献2に開示された中間転写式プリンタ210(図22参照)が知られている。そして、スタンプ型プリンタ110によれば、記録媒体180上に載置するだけで、規格外の記録媒体180(例えば、規格外のサイズや綴じられた状態の記録用紙等)に対しても、自由に印画を行うことができる。また、中間転写式プリンタ210によれば、中間転写シート270の介在により、色ずれ等の印画不良の発生を防止することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、上記の特許文献1の技術では、色ずれ等の印画不良なくカラー印画を行うことが難しいという問題がある。すなわち、図20に示すスタンプ型プリンタ110は、記録媒体180上に筐体110aを載置したままサーマルヘッド140を合計6回往復移動させることによってカラー印画を実行するが、スタンプ型プリンタ110は、サーマルヘッド140の往復移動時に発生する振動等によって筐体110aが動きやすいものである。また、スタンプ型プリンタ110の載置面が傾斜していたり、曲面や凹凸等を有していたり、車中等の振動を伴うロケーションで印画を実行しようとしたり、操作に不慣れなユーザや幼年のユーザが使用する場合等において、サーマルヘッド140が複数回にわたって移動する長い間中ずっと、記録媒体180上の同一の位置に、スタンプ型プリンタ110の筐体110aを固定し続けておくことは、非常に困難なことである。そして、サーマルヘッド140の複数回の移動(イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)等の転写)の間に、記録媒体180上で筐体110aが少しでも動くと、各カラーインクの色ずれ等の印画不良を招来することとなる。
【0016】
一方、上記の特許文献2の技術では、画像形成装置の大型化、複雑化、高コスト化を招くという問題がある。すなわち、図22に示す中間転写式プリンタ210は、中間転写シート270に対して画像を形成(転写)する画像形成部220と、中間転写シート270に形成された画像を記録媒体280上に再転写(印画)する再転写部230とを全く別々に設けている。そして、中間転写シート270の移動方向の上流側に画像形成部220が配置され、下流側に再転写部230が配置されている。そのため、画像形成部220と再転写部230とが中間転写シート270の移動方向に離れて位置することとなり、その配置スペースを要する分だけ大型化してしまう。しかも、大型化を避けようとすれば、中間転写シート270の移動経路が複雑化し、高コスト化を招いてしまう。
【0017】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、記録媒体上に筐体を載置しながら印画を行うスタンプ型プリンタ等の画像形成装置でカラー印画を行う場合であっても、色ずれ等の印画不良の発生を防止しつつ、記録媒体上の同一の位置に筐体を固定し続けておく手間を不要にするとともに、筐体の載置面や印画のロケーション、操作主体の影響等を低減し、より多様な記録媒体に対して簡単に印画できるようにすることである。また、筐体の大型化、複雑化、高コスト化を回避できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、以下の解決手段によって、上述の課題を解決する。
本発明の請求項1に記載の発明は、中間転写体の画像形成面に対して画像を形成するための画像形成手段と、前記中間転写体の前記画像形成面に形成された画像を記録媒体上に再転写するための再転写手段とを備える画像形成装置であって、前記中間転写体は、前記中間転写体の前記画像形成面が記録媒体と対向するように記録媒体上に載置可能な再転写部内に配置され、前記再転写手段は、前記中間転写体の前記画像形成面の反対側で、前記中間転写体に沿って移動可能なように前記再転写部内に配置され、前記画像形成手段は、前記再転写部に対して少なくとも一部が重複するように積層可能な画像形成部内に配置されていることを特徴とする。
【0019】
(作用)
上記の請求項1に記載の発明は、中間転写体の画像形成面に対して画像を形成するための画像形成手段と、中間転写体の画像形成面に形成された画像を記録媒体上に再転写するための再転写手段とを備えている。そのため、記録媒体にカラー印画を行う場合には、最初に、中間転写体に対してカラー画像が形成され、その後、中間転写体に形成されたカラー画像が記録媒体上に再転写される。
【0020】
ここで、中間転写体は、中間転写体の画像形成面が記録媒体と対向するように記録媒体上に載置可能な再転写部内に配置されている。また、再転写手段は、中間転写体の画像形成面の反対側で、中間転写体に沿って移動可能なように再転写部内に配置されている。そのため、記録媒体にカラー印画を行う(中間転写体に形成されたカラー画像を記録媒体上に再転写する)場合には、再転写部を記録媒体上に載置して、再転写手段が1回移動する間だけ、再転写部が動かないようにしておけば良い。
【0021】
さらに、画像形成手段は、再転写部に対して少なくとも一部が重複するように積層可能な画像形成部内に配置されている。そのため、中間転写体の画像形成面にカラー画像を形成する場合、再転写部に画像形成部を積層させれば、再転写部と画像形成部との少なくとも一部が重複した状態となるので、画像形成装置の大型化等を回避できるようになる。
【発明の効果】
【0022】
上記の発明によれば、記録媒体にカラー印画を行う(中間転写体に形成されたカラー画像を記録媒体上に再転写する)際は、再転写部を記録媒体上に載置して、再転写手段が1回移動する間だけ、再転写部を固定しておけば良いので、カラー印画のために長い間中ずっと、記録媒体上の同一の位置に固定し続けておく手間が省ける。その結果、記録媒体に対し、色ずれ等の印画不良のないカラー印画が可能となるだけでなく、多様な記録媒体に対して自由に簡単に印画できるようになる。また、中間転写体の画像形成面にカラー画像を形成する際は、再転写部と画像形成部との少なくとも一部が重複した状態で積層されることとなるので、画像形成装置の大型化、複雑化、高コスト化が回避される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
なお、以下の実施形態では、本発明の画像形成装置として、記録媒体80(記録用紙、樹脂カード等)に対してカラー印画を行うことが可能なスタンプ型プリンタ10を例に挙げて説明する。
【0024】
図1は、本実施形態のスタンプ型プリンタ10を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態のスタンプ型プリンタ10は、矩形箱形状の筐体20aを備える画像形成部20と、矩形箱形状の筐体30aを備え、画像形成部20上に積層されて位置する再転写部30とによって構成されている。そして、画像形成部20及び再転写部30の大きさは、いわゆる手のひらサイズとなっているので、ユーザは、このスタンプ型プリンタ10を手に持って操作することができる。なお、スタンプ型プリンタ10の大きさは、手のひらサイズに限定されるものではなく、例えば、記録媒体80(図示せず)と同等の大きさ(B5版サイズ等)であっても良い。
【0025】
ここで、画像形成部20の筐体20aの側面には、LCD(液晶ディスプレイ)からなるモニタ21が設けられている。そして、スタンプ型プリンタ10によって印画される画像データ、画像形成部20の状態等をモニタ21に表示し、ユーザに知らせるようになされている。なお、画像データ等の各種データは、モニタ21と反対側の画像形成部20の側面に設けられたI/F(インターフェース)を介して入力され、画像形成部20内のメモリ(図示せず)に記憶される。
【0026】
また、再転写部30の筐体30aの上面にも、LCD(液晶ディスプレイ)からなるモニタ31が設けられており、スタンプ型プリンタ10によって印画される画像データ、再転写部30の状態等をモニタ31に表示して、ユーザに知らせるようになされている。さらにまた、再転写部30の上面には、押圧式のスイッチである操作スイッチ32が設けられており、ユーザによる記録媒体80(図示せず)への印画(再転写)開始等の指示の入力ができるようになっている。
【0027】
図2は、本実施形態のスタンプ型プリンタ10の内部を示す側面図である。
図2に示すように、本実施形態のスタンプ型プリンタ10は、画像形成部20と再転写部30とが大部分で重複するように、上下に積層可能なものである。すなわち、画像形成部20の筐体20a(図1参照)及び再転写部30の筐体30a(図1参照)の内部は、それぞれシャーシ20b及びシャーシ30bで構成されており、画像形成部20と再転写部30とは、シャーシ20bの左右両端部に取り付けられた一対の電磁石22と、シャーシ30bの左右両端部に取り付けられた一対の電磁石33とによって着脱自在に積層されている。そのため、必要に応じて、画像形成部20を再転写部30に装着したり、再転写部30から画像形成部20を取り外したりすることができる。
【0028】
ここで、画像形成部20は、上面が開口したシャーシ20bの内部に、発熱抵抗体40aを有するサーマルヘッド40(本発明における画像形成手段に相当するもの)や、インクリボン50を巻き回したリボン供給スプール51及びリボン巻取りスプール52等を配置したものである。一方、再転写部30は、下面が開口したシャーシ30bの内部に、ヒートローラ60(本発明における再転写手段に相当するもの)や、中間転写シート70(本発明における中間転写体に相当するもの)を巻き回したシート供給スプール71(本発明における供給手段に相当するもの)及びシート巻取りスプール72等を配置したものである。
【0029】
このような画像形成部20及び再転写部30は、電磁石22と電磁石33との吸着による両者の装着(積層)時において、サーマルヘッド40の発熱抵抗体40aと中間転写シート70の画像形成面(下面)とが対向し、サーマルヘッド40(発熱抵抗体40a)と中間転写シート70との間にインクリボン50を挟み込むことができる。そのため、画像形成部20を再転写部30に装着(図2に示すように、所定の位置で画像形成部20と再転写部30とを上下に積層)し、サーマルヘッド40(発熱抵抗体40a)と中間転写シート70との間にインクリボン50を挟持した後、発熱抵抗体40aを発熱させながらサーマルヘッド40を矢印の方向に移動させれば、中間転写シート70の画像形成面(下面)に、白黒画像又はカラー画像を形成することができる。なお、中間転写シート70に対する画像形成の詳細は、後述する。
【0030】
図3は、本実施形態のスタンプ型プリンタ10における画像形成部20の構成を示すブロック図である。
また、図4は、本実施形態のスタンプ型プリンタ10における再転写部30の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、画像形成部20は、I/F(インターフェース)、メモリ、サーマルヘッド、センサ、DCモータ、パルスモータ、モニタ、電磁石、及びCPU(中央処理装置)によって構成されている。
【0031】
ここで、I/F(インターフェース)は、ホスト(コンピュータ等)や無線データ信号(IrDA、Bluetooth 、Wireless USB等)を利用した外部機器等との間で、各種データのやり取り(入出力)を行うものである。また、メモリカード等のデータ記録媒体との間で、各種データの入出力を行うための接続手段ともなっている。さらにまた、I/F(インターフェース)は、ホスト(コンピュータ等)のデジタル信号だけでなく、ビデオ信号といったアナログ信号も入力可能となっている。なお、外部機器等から入力されるデータは、例えば、印画を行う白黒やカラーの画像データ、テキストデータ等であり、外部機器等に出力されるデータは、ユーザの操作情報等のデータである。
【0032】
また、メモリは、I/F(インターフェース)を介して入力された各種データ等を記憶するためのデータ記憶手段である。すなわち、スタンプ型プリンタ10によって印画を行う画像データ等は、I/F(インターフェース)を介して入力されるが、その画像データ等は、CPU(中央処理装置)によって一旦メモリに記憶され、必要に応じてメモリから読み出される。
【0033】
サーマルヘッドは、CPU(中央処理装置)によって制御され、メモリに記憶された画像データに基づいて、中間転写シート70(図2参照)上に画像を形成するものである。すなわち、サーマルヘッドに配列された発熱抵抗体が画像データに応じて発熱し、インクリボン50(図2参照)に塗布されたカラーインク等を中間転写シート70の画像形成面に転写する。
【0034】
センサは、画像形成部20の種々の状態を検出するためのものであり、例えば、サーマルヘッドの位置、インクリボン50(図2参照)の各カラーインク等の「頭出し」位置、再転写部30(図2参照)との装着(積層)状態等を検出する。そして、各センサによるサーマルヘッドの位置等の検出信号は、CPU(中央処理装置)に入力される。また、DCモータは、画像形成部20の各種動作部(例えば、インクリボン50のリボン巻取りスプール52(図2参照)等)を駆動するためのものであり、パルスモータは、パルス信号によってサーマルヘッド等の位置決めを行うためのものである。なお、DCモータ及びパルスモータは、ともにCPU(中央処理装置)によって制御される。
【0035】
モニタは、メモリに記憶された画像データや画像形成部20の状態等を表示するものであり、CPU(中央処理装置)によって制御される。また、電磁石は、画像形成部20を再転写部30(図2参照)に装着(積層)するためのものであり、CPU(中央処理装置)によって電磁石への通電をオン・オフ制御すれば、同様の電磁石を備える再転写部30との自由な着脱が可能となる。
【0036】
一方、図4に示すように、再転写部30は、I/F(インターフェース)、メモリ、ヒートローラ、センサ、DCモータ、パルスモータ、モニタ、操作スイッチ、電磁石、及びCPU(中央処理装置)によって構成されている。そして、I/F(インターフェース)により、ホスト(コンピュータ等)や無線データ信号(IrDA、Bluetooth 、Wireless USB等)を利用した外部機器等との間で、各種データのやり取り(入出力)を行い、I/F(インターフェース)を介して入力された各種データは、データ記憶手段であるメモリに記憶される。なお、再転写部30に画像形成部20(図2参照)が装着(積層)されている状態であれば、画像形成部20もホストとなるので、画像形成部20のメモリに記憶されている画像データ等を、再転写部30のI/F(インターフェース)を介して受け取ることができる。
【0037】
また、ヒートローラは、ローラの内部にヒータを備えたものである。そして、CPU(中央処理装置)の制御により、中間転写シート70(図2参照)の画像形成面に形成されている画像をヒータの熱によって記録媒体80(図示せず)上に再転写(印画)することができる。
【0038】
センサは、再転写部30の種々の状態を検出するためのものであり、例えば、ヒートローラの位置、中間転写シート70(図2参照)の画像形成領域の「頭出し」位置、画像形成部20(図2参照)との装着(積層)状態等を検出する。そして、各センサによるヒートローラの位置等の検出信号は、CPU(中央処理装置)に入力される。また、DCモータは、再転写部30の各種動作部(例えば、中間転写シート70のシート巻取りスプール72(図2参照)等)を駆動するためのものであり、パルスモータは、パルス信号によってヒートローラ等の位置決めを行うためのものである。なお、DCモータ及びパルスモータは、ともにCPU(中央処理装置)によって制御される。
【0039】
モニタは、メモリに記憶された画像データや再転写部30の状態等を表示するものであり、CPU(中央処理装置)によって制御される。また、操作スイッチは、記録媒体80(図示せず)への再転写(印画)開始等の指示の入力を行うためのものである。さらにまた、電磁石は、再転写部30を画像形成部20(図2参照)等に固定するためのものであり、CPU(中央処理装置)によって電磁石への通電をオン・オフ制御すれば、画像形成部20等との自由な着脱が可能となる。
【0040】
図5は、本実施形態のスタンプ型プリンタ10による画像形成動作を示すフローチャートである。
また、図6は、本実施形態のスタンプ型プリンタ10に使用されるインクリボン50を示す平面図である。
図5に示すように、スタンプ型プリンタ10の画像形成部20では、画像形成動作スタート後の最初のステップS1において、図3に示すホスト(コンピュータ等)やデータ記録媒体(メモリカード等)からI/F(インターフェース)を介して画像データが転送され、その画像データは、メモリに記憶される。
【0041】
このように、ステップS1で画像データが転送され、メモリ(図3参照)に記憶されると、続くステップS2では、画像形成のための初期動作を実行する。すなわち、図2に示すように、電磁石22及び電磁石33によって画像形成部20と再転写部30とが吸着して固定され、画像形成部20のサーマルヘッド40や再転写部30のヒートローラ60が初期位置に戻される。また、画像形成部20のモニタ21(図1参照)には、ステップS1で転送された画像データや画像形成部20の状態等が表示される。なお、サーマルヘッド40の初期位置は、後述する上下動機構により、中間転写シート70の画像形成面(下面)から離れた位置(退避位置)となる。
【0042】
次に、ステップS3では、図2に示す再転写部30の中間転写シート70の「頭出し」が行われる。すなわち、中間転写シート70は、シート供給スプール71に巻き回され、シート巻取りスプール72に巻き取られるようになっている。そのため、中間転写シート70をシート巻取りスプール72で巻き取れば、シート供給スプール71から中間転写シート70が巻き出され、中間転写シート70の未使用部分(サーマルヘッド40によって画像が形成されたことがない部分)がサーマルヘッド40の画像形成領域(リボン供給スプール51とリボン巻取りスプール52との間の領域)と対応する位置に「頭出し」されて保持される。
【0043】
また、ステップS4では、図2に示す画像形成部20のインクリボン50の「頭出し」が行われる。すなわち、インクリボン50は、リボン供給スプール51に巻き回され、リボン巻取りスプール52に巻き取られるようになっている。そのため、インクリボン50をリボン巻取りスプール52で巻き取れば、リボン供給スプール51からインクリボン50が巻き出され、インクリボン50の各カラーインク等がサーマルヘッド40の画像形成領域と対応する位置に「頭出し」されて保持される。
【0044】
ここで、インクリボン50は、図6に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の各カラーインクと、記録媒体80(図示せず)に対するカラーインクの転写性を向上させるためのヒートシール層(HS)とが順次塗布されたものである。そのため、ステップS3で「頭出し」された中間転写シート70に転写する1番目のカラーインクとして、イエロー(Y)が「頭出し」される。なお、記録媒体80に対するカラー印画後の耐環境性を向上させるためのラミネート層(L)は、中間転写シート70の画像形成面に予め塗布されている。
【0045】
その後、ステップS5において、中間転写シート70にカラー画像を形成する画像形成動作を行う。すなわち、中間転写シート70の画像形成面(下面)から離れた位置(退避位置)にあるサーマルヘッド40を上昇させ、図2に示すように、画像形成開始地点のサーマルヘッド40(発熱抵抗体40a)と中間転写シート70の画像形成面(下面)との間に、ステップS4でイエロー(Y)のカラーインクが「頭出し」されたインクリボン50を挟持する。そして、発熱抵抗体40aを発熱させながら矢印のように平行移動させることにより、中間転写シート70の画像形成面(下面)にイエロー(Y)のカラーインクを転写する。
【0046】
このようにして1番目にイエロー(Y)のカラーインクを転写した後、サーマルヘッド40(図2参照)を下降させて画像形成開始地点に戻し、ステップS4及びステップS5を繰り返す。すなわち、2番目に、図6に示すマゼンタ(M)、3番目にシアン(C)、4番目にブラック(K)、5番目にヒートシール層(HS)を順次「頭出し」して、中間転写シート70に転写する。すると、サーマルヘッド40の5回の往復移動により、中間転写シート70にカラー画像が形成され、画像形成動作のエンドとなる。なお、その後は、後述する再転写動作に移り、記録媒体80(図示せず)に再転写(印画)を行う。
【0047】
図7は、本実施形態のスタンプ型プリンタ10による画像形成動作前の内部状態を示す側面図である。
また、図8は、本実施形態のスタンプ型プリンタ10による画像形成動作初期の内部状態を示す側面図である。
さらにまた、図9は、本実施形態のスタンプ型プリンタ10による画像形成動作中の内部状態を示す側面図である。
なお、図7から図9は、図5に示すフローチャートのステップS4及びステップS5に対応した状態を示している。
【0048】
図5に示すステップS4のインクリボンの「頭出し」時(ステップS5の画像形成動作の前)は、図7に示すように、画像形成部20内のサーマルヘッド40が左端側(図9に示すインクリボン50のリボン供給スプール51側)に待機している。この際、サーマルヘッド40は、ヘッドラック43及びヘッドモードカム45等によって構成される上下動機構により、中間転写シート70の画像形成面(下面)から離れた位置(退避位置)に下がっている。そのため、インクリボン50(図8参照)は、サーマルヘッド40の発熱抵抗体40aと中間転写シート70との間で拘束されることはなく、リボン巻取りスプール52(図9参照)の巻き取りによって各カラーインク等の「頭出し」(図5に示すステップS4)を行える。
【0049】
このようなステップS4によってインクリボン50(図8参照)の各カラーインク等の「頭出し」が行われると、次のステップS5の画像形成動作に移行する。このステップS5では、最初に、サーマルヘッド40の上下動機構が作動し、図7に示す退避位置にあるサーマルヘッド40が図8に示す画像形成位置まで上昇し、図8に示すように、サーマルヘッド40の発熱抵抗体40aと中間転写シート70との間にインクリボン50を挟持する。
【0050】
ここで、サーマルヘッド40の上下動機構は、サーマルヘッド40をヘッド支持軸42によって保持するヘッドケース41と、サーマルヘッド40の下方に位置するヘッドラック43と、ヘッドラック43のガイド軸44と、回転するヘッドモードカム45とによって構成されている。すなわち、サーマルヘッド40は、ヘッドケース41のヘッド支持軸42によって上下に回転自在に保持されている。
【0051】
また、ヘッドラック43は、スライドガイド43aによってヘッドケース41を持上げ可能なものであり、持ち上げられた(図8に示す画像形成位置にある)ヘッドケース41は、スライドガイド43a上を左右に往復移動することができる。そして、ヘッドラック43の側面には、一対のガイド溝43bが形成されており、各ガイド溝43bに、画像形成部20のシャーシ20bに取り付けられた一対のガイド軸44がそれぞれ嵌まり込んでヘッドラック43が支持されている。なお、各ガイド溝43bは、左端部と右端部との間に勾配を有しているので、ガイド軸44がガイド溝43bの左端部に位置するか右端部に位置するかにより、ヘッドラック43が上下することとなる。
【0052】
さらにまた、ヘッドラック43には、昇降溝43cも形成されており、この昇降溝43cに、DCモータ(図3参照)の回転制御によって回転軸45aを中心に回転するヘッドモードカム45のカム突起45bが嵌まり込んでいる。そして、カム突起45bが回転軸45aの右側に位置した状態(図7に示す状態)であると、ガイド軸44がガイド溝43bの左端部に位置するようになるので、図7に示すように、ヘッドラック43が下降した状態となる。そのため、ヘッドラック43のスライドガイド43aによってヘッドケース41が持ち上げられることはなく、その結果、サーマルヘッド40(発熱抵抗体40a)は、中間転写シート70の画像形成面(下面)から離れた位置(退避位置)で待機するようになる。
【0053】
一方、DCモータ(図3参照)の回転制御により、ヘッドモードカム45のカム突起45bが回転軸45aの左側に位置した状態(図8に示す状態)になれば、ヘッドラック43が左方向に移動(図7に示す位置から図8に示す位置に移動)する。すると、その移動に伴って、ガイド軸44がガイド溝43bの右端部に位置するようになるので、ヘッドラック43が上昇する。その結果、ヘッドラック43のスライドガイド43aによってヘッドケース41が持ち上げられ、図8に示すように、サーマルヘッド40の発熱抵抗体40aが中間転写シート70の画像形成面(下面)に向けて押圧されるので、サーマルヘッド40(発熱抵抗体40a)と中間転写シート70との間にインクリボン50が挟持されることとなる。
【0054】
このように、サーマルヘッド40は、ヘッドラック43及びヘッドモードカム45等によって構成される上下動機構により、図7に示す退避位置と図8に示す画像形成位置との間を上下動できるようになっている。そのため、サーマルヘッド40を図7に示す退避位置に待機させておくことにより、インクリボン50(図8参照)の「頭出し」を行える。また、非画像形成時において、サーマルヘッド40の過度の熱干渉によるインクリボン50及び中間転写シート70の損傷や、尾引き等の画像形成不良の発生を防止することが可能となる。
【0055】
また、サーマルヘッド40は、図7に示す退避位置から図8に示す画像形成位置になると、発熱抵抗体40aがインクリボン50を介して中間転写シート70の画像形成面(下面)を適度に押圧するようになる。すなわち、再転写部30のシャーシ30bには、中間転写シート70の上面であって発熱抵抗体40aと対向する位置に、プラテンローラ73が配置されている。そのため、サーマルヘッド40を上昇させると、図8に示すように、発熱抵抗体40aとプラテンローラ73との間にインクリボン50及び中間転写シート70が挟持され、インクリボン50の各カラーインク等を中間転写シート70の画像形成面(下面)に転写するのに適した押圧力が付加される。
【0056】
さらにまた、図8に示す画像形成位置にあるサーマルヘッド40は、ヘッドラック43のスライドガイド43aに案内されながら、中間転写シート70の画像形成面(下面)と平行に移動可能であり、インクリボン50の各カラーインク等を中間転写シート70の画像形成面(下面)に転写できる。すなわち、図9に示すように、サーマルヘッド40の発熱抵抗体40aを発熱させながら、インクリボン50のリボン供給スプール51とリボン巻取りスプール52との間の画像形成領域を画像形成終了地点(図9に示す位置)まで走査させれば、中間転写シート70にカラー画像を形成することができる。
【0057】
この際、図7に示すサーマルヘッド40の退避位置で、1番目にイエロー(Y)のカラーインクが「頭出し」(図5に示すステップS4)されているので、図8に示す画像形成位置で、図9に示すように、発熱抵抗体40aを発熱させてサーマルヘッド40を右方向に移動させれば、中間転写シート70の画像形成面(下面)には、イエロー(Y)が転写される(図5に示すステップS5)。なお、中間転写シート70の画像形成面(下面)には、予めラミネート層(L)が塗布されているので、イエロー(Y)のカラーインクは、ラミネート層(L)上に転写されることとなる。
【0058】
ここで、プラテンローラ73は、サーマルヘッド40の走査に伴って、画像形成領域をサーマルヘッド40と一緒に(発熱抵抗体40aと対向したまま)移動するようになっている。さらにまた、サーマルヘッド40と別の場所でインクリボン50が勝手に中間転写シート70と接触し、余計なカラーインク等が中間転写シート70に転写されないようにするため、サーマルヘッド40の両側には、インクリボン50を誘導する一対の補助ローラ53が配置されているが、この各補助ローラ53も、サーマルヘッド40の走査に伴って、リボン供給スプール51とリボン巻取りスプール52との間をサーマルヘッド40と一緒に移動するようになっている。
【0059】
このようにして1番目にイエロー(Y)のカラーインクが中間転写シート70に転写され、その後、2番目のマゼンタ(M)以降のカラーインク等が転写される。すなわち、マゼンタ(M)の転写では、サーマルヘッド40を下降させ、退避位置にしてから左方向に移動させて画像形成開始地点(図2に示す位置)まで戻す。そして、図7に示す状態でマゼンタ(M)の「頭出し」(図5に示すステップS4)を行い、その後、図8に示す状態とする。さらに、図9に示すように、サーマルヘッド40を右方向に移動させ、マゼンタ(M)の転写(図5に示すステップS5)を行う。同様に、3番目のシアン(C)、4番目のブラック(K)、及び5番目のヒートシール層(HS)の「頭出し」(図5に示すステップS4)及び転写(図5に示すステップS5)を繰り返すことにより、中間転写シート70にカラー画像を形成する。
【0060】
したがって、本実施形態のスタンプ型プリンタ10は、サーマルヘッド40が走査移動式に設けられ、サーマルヘッド40の画像形成領域の走査時(図2に示す状態から図9に示す状態までの間)は常に、インクリボン50及び中間転写シート70がサーマルヘッド40(発熱抵抗体40a)とプラテンローラ73との間に挟持される。さらに、一対の補助ローラ53により、サーマルヘッド40と別の場所でインクリボン50が中間転写シート70に接触することがない。その結果、図9に示すような画像形成動作(図5に示すステップS5)において、中間転写シート70の斜行やテンションの不具合、余計なカラーインクの転写等が防止され、中間転写シート70に対する画像形成時の色ずれ等の発生を回避することが可能となる。
【0061】
また、画像形成動作の間は、画像形成部20と再転写部30とが電磁石22及び電磁石33によって吸着固定されているため、サーマルヘッド40の移動等による振動の影響を排除でき、色ずれ等の発生を回避することが可能となる。そして、図9に示すような画像形成動作(図5に示すステップS5)により、中間転写シート70の画像形成面(下面)に色ずれ等のないカラー画像を形成した後は、次の再転写動作を実行する。
【0062】
図10は、本実施形態のスタンプ型プリンタ10による再転写動作を示すフローチャートである。
また、図11は、本実施形態のスタンプ型プリンタ10による再転写動作中の状態を示す斜視図である。
図10に示すように、スタンプ型プリンタ10の再転写部30による再転写動作は、図5に示すフローチャートの画像形成動作によって中間転写シート70にカラー画像を形成した後、スタートとなる。そして、再転写動作スタート後の最初のステップS11において、中間転写シート70上のカラー画像形成部分(画像形成領域)が再転写領域(図9に示す第1圧着ローラと第2圧着ローラとの間の領域)に「頭出し」される。なお、中間転写シート70の「頭出し」時は、図2に示す状態となっているので、以下では適宜、図2を参照しながら説明する。
【0063】
図2に示す状態のスタンプ型プリンタ10において、中間転写シート70の「頭出し」は、シート供給スプール71及びシート巻取りスプール72によって行う。すなわち、中間転写シート70は、シート供給スプール71に巻き回され、シート巻取りスプール72に巻き取られるようになっている。そのため、中間転写シート70をシート巻取りスプール72で巻き取れば、シート供給スプール71から中間転写シート70が巻き出され、中間転写シート70の画像形成領域(図9参照)が記録媒体80(図11参照)と対向する再転写領域(第1圧着ローラと第2圧着ローラとの間の領域)に位置するように「頭出し」される。
【0064】
ここで、第1圧着ローラ及び第2圧着ローラは、サーマルヘッド40による中間転写シート70への画像形成(転写)や、ヒートローラ60による記録媒体80(図11参照)への再転写(印画)を行うために、中間転写シート70を直線状に保持するものである。そのため、中間転写シート70の画像形成領域(図9参照)は、複数の画像が連続的に形成される場合等を除き、第1圧着ローラと第2圧着ローラとの間の再転写領域と重複することがある。そして、画像形成領域と再転写領域とが全く同一領域にある場合には、中間転写シート70の「頭出し」(図10のステップS11)が不要となる。
【0065】
このように、ステップS11で、必要に応じて中間転写シート70の画像形成領域を再転写領域に「頭出し」した後は、続くステップS12において、ユーザ自身が図2に示す画像形成部20から再転写部30を取り外す。具体的には、図5に示すフローチャートの画像形成動作のエンドとともに、図2に示す画像形成部20の電磁石22及び再転写部30の電磁石33に対する通電が遮断されているので、ユーザは、画像形成部20と再転写部30とを簡単に取り外すことができる。
【0066】
また、図11に示すように、再転写部30は、図2に示す中間転写シート70の画像形成面(下面)が記録媒体80の印画面(上面)と対向するように、記録媒体80上に載置可能なものである。そして、再転写部30のモニタ31には、「頭出し」(図10のステップS11)された中間転写シート70の再転写領域のカラー画像が表示されている。そのため、中間転写シート70のカラー画像を記録媒体80に再転写する際は、ユーザ自身が再転写部30を画像形成部20(図2参照)から取り外し、モニタ31に表示されたカラー画像を見ながら記録媒体80上に載置できる。なお、再転写部30は、記録媒体80上の任意の位置に載置でき、再転写部30の方向も任意に選べることから、ユーザは、直感的に、自由に印画位置を決定できる。
【0067】
また、再転写部30を記録媒体80上に載置できるので、記録媒体80は、一般的なカット紙等の記録用紙に限らず、図11に示すようなノート(綴じられた状態の紙の束)の一紙面であっても良い。すなわち、本実施形態のスタンプ型プリンタ10は、規格外のサイズの記録用紙等や、綴じられた状態のノート等を記録媒体80として用いることができる。さらに、記録用紙等の紙媒体に限らず、布や樹脂等を記録媒体として使用することもできる。
【0068】
このようにしてユーザが再転写部30を記録媒体80上に載置すると、次のステップS13では、図2に示す中間転写シート70の画像形成面(下面)に形成されたカラー画像(ステップS11で再転写領域に「頭出し」されたカラー画像)を記録媒体80上に再転写できるように、再転写部30を記録媒体80に押圧する。
【0069】
ここで、再転写部30の下面には、記録媒体80上に載置された状態において、記録媒体80の印画面(上面)に接触する高摩擦部材(例えば、ゴム硬度が70度前後のクロロプレンゴム製のシート部材、粘着性のあるシリコンゴム製のシート部材等)が取り付けられている。この高摩擦部材は、再転写部30の固定手段であり、再転写部30の自重やユーザによる荷重等により、記録媒体80上に安定して再転写部30を載置できるようになっている。
【0070】
また、再転写部30の下面には、記録媒体80の印画面(上面)に当接する複数の突起が設けられている。そのため、図11に示すように、記録媒体80の下面に下敷き90(例えば、発泡ウレタン製の弾性板等)を配置すれば、記録媒体80上への固定的な載置が可能となる。さらにまた、下敷き90が再転写部30の電磁石33(図2参照)と吸着可能なものであれば、再転写部30を押さえ付けなくても、磁力(電磁石への通電オン)によって記録媒体80上に固定できる。
【0071】
次に、ステップS14でユーザが操作スイッチ32(図11参照)をオンすると、ステップS15において、再転写動作が実行される。すなわち、図2に示す再転写開始地点にあるヒートローラ60は、後述する上下動機構によって下降し、中間転写シート70の画像形成面(下面)を記録媒体80(図11参照)に押圧するようになる。また、中間転写シート70の画像形成面(下面)は、第1圧着ローラ及び第2圧着ローラによって直線状に保持されているので、記録媒体80の印画面(上面)と平面的に接触する。
【0072】
このような状態で、ヒートローラ60は、再転写領域(第1圧着ローラと第2圧着ローラとの間の領域)を発熱しながら回転移動する。すると、中間転写シート70の画像形成面(下面)に形成されているカラー画像が記録媒体80上に再転写され、印画が行われて再転写動作のエンドとなる。なお、この際、中間転写シート70に塗布されていたラミネート層(L)も記録媒体80側に移行するので、記録媒体80に印画されたカラー画像が保護される。
【0073】
図12は、本実施形態のスタンプ型プリンタ10による再転写動作前の内部状態を示す側面図である。
また、図13及び図14は、本実施形態のスタンプ型プリンタ10による再転写動作初期の内部状態を示す側面図である。
さらにまた、図15は、本実施形態のスタンプ型プリンタ10による再転写動作中の内部状態を示す側面図である。
なお、図12から図15は、図10に示すフローチャートのステップS15に対応した状態を示している。
【0074】
図10に示すステップS15の初期段階(再転写動作前)は、図12に示すように、再転写部30内のヒートローラ60が右端側(図14に示す中間転写シート70のシート巻取りスプール72側)の再転写開始地点で待機している。この際、ヒートローラ60は、ローララック63及びローラモードカム65等によって構成される上下動機構により、中間転写シート70の上面から離れた位置(退避位置)に上がっている。そのため、中間転写シート70は、ヒートローラ60と記録媒体80(図14参照)との間で拘束されることはなく、シート巻取りスプール72の巻き取りによってカラー画像形成部分の「頭出し」(図10に示すステップS11)を行える。
【0075】
このように、図10に示すステップS15の初期段階(再転写動作前)では、図12に示すように、ヒートローラ60が退避位置にあるが、その次の段階(再転写動作初期)では、ヒートローラ60の上下動機構が作動する。すなわち、図12に示す退避位置にあるヒートローラ60が図13に示す再転写位置に移動し、シャーシ30bの下面から突出するようになる。
【0076】
ここで、ヒートローラ60の上下動機構は、ヒートローラ60をローラ支持軸62によって保持するローラケース61と、ヒートローラ60の上方に位置するローララック63と、ローララック63のガイド軸64と、回転するローラモードカム65とによって構成されている。すなわち、ヒートローラ60は、ローラケース61のローラ支持軸62によって上下に回転自在に保持されている。
【0077】
また、ローララック63は、ローラケース61を保持可能なものであり、図13に示す再転写位置にあるローラケース61は、スライドガイド63aに沿って左右に往復移動することができる。そして、ローララック63の側面には、一対のガイド溝63bが形成されており、各ガイド溝63bに、再転写部30のシャーシ30bに取り付けられた一対のガイド軸64がそれぞれ嵌まり込んでローララック63が支持されている。なお、各ガイド溝63bは、左端部と右端部との間に勾配を有しているので、ガイド軸64がガイド溝63bの左端部に位置するか右端部に位置するかにより、ローララック63が上下することとなる。
【0078】
さらにまた、ローララック63には、昇降溝63cも形成されており、この昇降溝63cに、DCモータ(図4参照)の回転制御によって回転軸65aを中心に回転するローラモードカム65のカム突起65bが嵌まり込んでいる。そして、カム突起65bが回転軸65aの左側に位置した状態(図12に示す状態)であると、ガイド軸64がガイド溝63bの右端部に位置するようになるので、図12に示すように、ローララック63が上昇した状態となる。そのため、ヒートローラ60は、シャーシ30b内(シャーシ30bの下面より上)の位置(退避位置)で待機するようになる。
【0079】
一方、DCモータ(図4参照)の回転制御により、ローラモードカム65のカム突起65bが回転軸65aの右側に位置した状態(図13に示す状態)になれば、ローララック63が右方向に移動(図12に示す位置から図13に示す位置に移動)する。すると、その移動に伴って、ガイド軸64がガイド溝63bの左端部に位置するようになるので、ローララック63が下降する。その結果、図13に示すように、ヒートローラ60がシャーシ30bの下面から少しだけ突出するので、図14に示すように、再転写部30を記録媒体80上に載置すれば、ヒートローラ60が中間転写シート70を介して記録媒体80の印画面(上面)を押圧できるようになる。
【0080】
このように、ヒートローラ60は、ローララック63及びローラモードカム65等によって構成される上下動機構により、図12に示す退避位置と図13に示す再転写位置との間を上下動できるようになっている。そのため、ヒートローラ60を図12に示す退避位置に待機させておくことにより、中間転写シート70(図14参照)の「頭出し」を行える。また、非再転写時において、ヒートローラ60の過度の熱干渉によるインクリボン50及び中間転写シート70の損傷や、尾引き等の印画不良の発生を防止することが可能となる。
【0081】
また、図13に示す再転写位置にあるヒートローラ60は、ローララック63のスライドガイド63aに案内されながら、中間転写シート70(図14参照)の上面と平行に移動し、中間転写シート70の画像形成面(下面)に形成されているカラー画像を記録媒体80上に再転写(印画)することができる。すなわち、中間転写シート70を「頭出し」した後、ユーザが再転写部30を画像形成部20(図12参照)から取り外し、図14に示すように、記録媒体80上に再転写部30を載置する。すると、中間転写シート70の画像形成面(下面)が記録媒体80と対向するようになる。
【0082】
この際、中間転写シート70は、シート供給スプール71側の第1圧着ローラ74と、シート巻取りスプール72側の第2圧着ローラ75とにより、記録媒体80の印画面(上面)を圧着する。そして、第1圧着ローラ74と第2圧着ローラ75との間で、ヒートローラ60が矢印のように移動可能な領域が再転写領域(図15参照)となる。そのため、ユーザは、図11に示すように、記録媒体80上の任意の位置に再転写部30を載置することで、記録媒体80上の上下左右、斜め方向を問わず、自由な場所に中間転写シート70の再転写領域を接触させ、再転写位置(印画位置)を決定できる。
【0083】
このようにして記録媒体80上の再転写位置を決定したところで、ユーザが再転写部30に設けられた操作スイッチ32(図11参照)を押すと、再転写(印画)が開始され、図14に示すように、再転写開始地点にあるヒートローラ60が発熱しながら矢印のように移動する。すると、ヒートローラ60が回転しながら中間転写シート70を介して記録媒体80の印画面(上面)を押圧するようになるので、中間転写シート70の画像形成面(下面)に形成されているカラー画像がヒートローラ60の熱によって記録媒体80上に再転写され、記録媒体80に対するカラー印画が行われることとなる。なお、ヒートローラ60には、中間転写シート70との接触部分(外周部分)に耐熱性の弾性部材が設けられているので、中間転写シート70の画像形成面(下面)を記録媒体80に十分押圧できるだけでなく、記録媒体80の表面に凹凸や曲面等があったとしても、その凹凸等を吸収することができる。
【0084】
ここで、ヒートローラ60は、図15に示すように、中間転写シート70の再転写領域を再転写開始地点から再転写終了地点(図14に示す位置から図15に示す位置)まで走査する。そのため、中間転写シート70の「頭出し」によって中間転写シート70の再転写領域に保持されたカラー画像が記録媒体80上に再転写(印画)されることとなる。また、中間転写シート70上には、記録媒体80上に再転写(印画)された画像の耐環境性を向上させるためのラミネート層(L)が予め塗布されているので、記録媒体80に対する再転写に伴って、ラミネート層(L)も記録媒体80側に移行する。なお、プラテンローラ73は、ヒートローラ60の走査の障害とならないように、初期位置(第1圧着ローラ74と隣接した位置)に待機している。
【0085】
また、中間転写シート70の再転写(印画)が終了した領域が記録媒体80に接触し続け、記録媒体80の印画面(上面)を汚す事態を防止するため、第2圧着ローラ75と隣接して、記録媒体80に圧着された中間転写シート70を引き剥がす剥離ローラ76(本発明における剥離手段に相当するもの)が設けられている。そして、第2圧着ローラ75及び剥離ローラ76も、ヒートローラ60の走査に伴って、ヒートローラ60と一緒に移動するようになっている。
【0086】
このように、本実施形態のスタンプ型プリンタ10は、中間転写シート70にカラー画像を形成(転写)した後、中間転写シート70から記録媒体80にカラー画像を再転写して印画を行うものである。すなわち、中間転写シート70に対する画像形成動作の後、回転移動式に設けられているヒートローラ60を中間転写シート70の再転写領域に1回だけ移動させれば、中間転写シート70に形成されたカラー画像が記録媒体80上に再転写(印画)される。また、ヒートローラ60と一緒に第2圧着ローラ75及び剥離ローラ76も移動するので、中間転写シート70の再転写(印画)が終了した領域は、記録媒体80から引き剥がされる。
【0087】
したがって、本実施形態のスタンプ型プリンタ10によれば、記録媒体80にカラー印画を行う際、図15に示すような再転写動作(図10に示すステップS15)において、ヒートローラ60が1回移動する間だけ、再転写部30を固定しておけば良いので、カラー印画のために長い間中ずっと、記録媒体80上の同一の位置に固定し続けておく手間が省け、しかも、再転写(印画)が終了した領域の中間転写シート70が直ちに記録媒体80から引き剥がされるので、色ずれ等の印画不良のないカラー印画が可能となる。また、印画のロケーションや操作主体の影響等が低減され、多様な記録媒体80に対して、下方向、上方向、又は横方向に安定的に印画することができる。
【0088】
さらに、本実施形態のスタンプ型プリンタ10は、画像形成部20と再転写部30との装着時において、両者が互いに重複するように積層され、サーマルヘッド40の移動領域(画像形成領域)とヒートローラ60の移動領域(再転写領域)とが重複しているので、スタンプ型プリンタ10の省スペース化が図れ、大型化、複雑化、及び高コスト化が回避される。そして、画像形成部20と再転写部30とを装着(積層)して行う画像形成動作では、電磁石22及び電磁石33によって両者が吸着固定されるので、サーマルヘッド40の移動等によって発生する振動が防止され、中間転写シート70に色ずれなく画像を形成できる。なお、画像形成部20から再転写部30を取り外した状態では、インクリボン50や中間転写シート70等が外部に露呈するようになるので、画像形成部20及び再転写部30の内部を容易にメンテナンスできる。
【0089】
また、サーマルヘッド40及びヒートローラ60は、上下動機構によってインクリボン50や中間転写シート70から退避できるので、不要な熱干渉によるインクリボン50又は中間転写シート70の損傷、尾引き等の不良の発生を防止できる。さらにまた、サーマルヘッド40及びヒートローラ60が移動式に設けられ、画像形成動作や再転写動作の際に、インクリボン50や中間転写シート70を搬送しないので、これらの斜行やテンションの不具合による色ずれ及び位置ずれを防止できる。
【0090】
ところで、本実施形態のスタンプ型プリンタ10は、画像形成部20から再転写部30を取り外し、再転写部30を記録媒体80上に載置することにより、記録媒体80の搬送機構や搬送路等が不要になるので、スタンプ型プリンタ10の大型化、複雑化、及び高コスト化を回避できるものである。また、一般的なカット紙等に限らず、規格外のサイズの記録用紙等や綴じられた状態のノート、布や樹脂等の記録媒体80に対しても印画を実行できるものである。
【0091】
しかし、記録媒体80の搬送機構や搬送路等を設けることにより、再転写部30を取り外すことなく、記録媒体80に印画できるようにしても良い。特に、樹脂カード等のように、所定の厚み、硬度、材質に基づく表面滑沢性等を有し、比較的小さい記録媒体80に対しては、画像形成部20と再転写部30との間に記録媒体80を挿入することにより、簡単に印画を行えるようになる。
【0092】
図16は、このような第2の実施形態のスタンプ型プリンタ11において、記録媒体80を挿入する場合の再転写動作初期の内部状態を示す側面図である。
また、図17は、第2の実施形態のスタンプ型プリンタ11において、記録媒体80を挿入する場合の再転写動作中の内部状態を示す側面図である。
図16及び図17に示すように、本実施形態のスタンプ型プリンタ10は、画像形成部20から再転写部30を取り外すことなく、画像形成部20の側面から記録媒体80を内部に挿入し、記録媒体80に再転写(印画)を行うことが可能なものである。
【0093】
ここで、画像形成部20には、記録媒体80の挿入口(図示せず)が設けられている。そのため、電磁石22及び電磁石33により、画像形成部20と再転写部30とが装着(積層)された状態であっても、図16に示すように、画像形成部20と再転写部30との間に、矢印のようにして記録媒体80を挿入することができる。すなわち、サーマルヘッド40の画像形成動作によって中間転写シート70の画像形成領域(図9参照)にカラー画像が形成され、サーマルヘッド40が画像形成開始地点に戻ると、画像形成部20のモニタ21(図1参照)には、記録媒体80の挿入が可能である旨の表示がなされる。
【0094】
この際、ユーザは、操作スイッチ32(図1参照)を操作する(押す)ことによって電磁石22及び電磁石33の吸着を解除し、画像形成部20から再転写部30を取り外すこともできるが、図16に示すように、電磁石22及び電磁石33の吸着による画像形成部20と再転写部30との装着(積層)状態を維持したまま、画像形成部20の挿入口(図示せず)から中間転写シート70の再転写領域(図17参照)に向けて記録媒体80を挿入することができる。なお、記録媒体80は、ある程度のところまで手動で挿入すれば、その後は、搬送ローラ(図示せず)によって再転写領域(図17参照)まで自動的に搬送され、固定される。
【0095】
このようにして記録媒体80が挿入されると、中間転写シート70を上側から押圧する再転写位置のヒートローラ60が移動し始める。すなわち、画像形成部20の内部に固定された記録媒体80とヒートローラ60との間に中間転写シート70が挟持された状態となり、発熱したヒートローラ60は、中間転写シート70上で、再転写開始地点から再転写終了地点(図16に示す位置から図17に示す位置)まで再転写領域(図17参照)を回転移動する。すると、中間転写シート70の再転写領域に保持されたカラー画像がヒートローラ60の熱によって記録媒体80上に再転写され、記録媒体80に対するカラー印画が終了する。なお、印画が終了した記録媒体80は、搬送ローラ(図示せず)によって画像形成部20の挿入口(図示せず)から外部に排出される。
【0096】
このように、第2の実施形態のスタンプ型プリンタ11は、画像形成部20と再転写部30とを装着(積層)した状態で、画像形成部20の内部に記録媒体80を挿入して再転写(印画)を行うことができるが、この場合であっても、画像形成部20のサーマルヘッド40と再転写部30のヒートローラ60とは、互いに離反して位置するようになっている。そして、サーマルヘッド40及びヒートローラ60は、画像形成(転写)や再転写(印画)の際に、それぞれ反対方向に移動する。
【0097】
ここで、サーマルヘッド40が移動する画像形成領域(図9参照)とヒートローラ60が移動する再転写領域(図17参照)とは、その少なくとも一部が重複するが、サーマルヘッド40とヒートローラ60とは、記録媒体80の垂直方向で重複しないように、それぞれの移動領域(画像形成領域、再転写領域)内を移動する。そして、ヒートローラ60は、サーマルヘッド40が移動する際(図9に示すように、中間転写シート70に画像を形成する際)は、サーマルヘッド40の移動領域(画像形成領域)外に位置し、サーマルヘッド40は、ヒートローラ60が移動する際(図17に示すように、中間転写シート70に形成された画像を記録媒体80に再転写する際)は、ヒートローラ60の移動領域(再転写領域)外に位置している。
【0098】
したがって、第2の実施形態のスタンプ型プリンタ11は、中間転写シート70に画像を形成する際と、中間転写シート70に形成された画像を記録媒体80に再転写する際において、発熱するサーマルヘッド40及びヒートローラ60が互いに垂直方向の重複部分を有さないため、不要な熱干渉によるインクリボン50及び中間転写シート70の損傷、尾引き等の不良の発生を防止することが可能となる。
【0099】
図18は、第3の実施形態のスタンプ型プリンタ12における画像形成部20と再転写部30との装着前の内部状態を示す側面図である。
また、図19は、第3の実施形態のスタンプ型プリンタ12における画像形成部20と再転写部30との装着後の内部状態を示す側面図である。
図18及び図19に示すスタンプ型プリンタ12は、画像形成部20と再転写部30とを装着(積層)するために、図2に示すような電磁石22及び電磁石33ではなく、係合突起23、抜止め24、及び係合片34によって構成されるロック機構を用いたものである。
【0100】
ここで、係合突起23は、画像形成部20のシャーシ20bに形成されており、係合片34は、再転写部30のシャーシ30bに形成されている。そして、係合突起23は、断面が長方形状の係合片34を挿入可能な凹部を有している。そのため、画像形成部20と再転写部30とを装着するには、図18に示すように、画像形成部20の右上に再転写部30をずらして載置した後、矢印のように左向きにスライドさせれば良い。なお、画像形成部20のシャーシ20bには、抜止め24も設けられているが、この抜止め24は、画像形成部20と再転写部30との装着前の段階では、画像形成部20の内部に引き込まれている。
【0101】
このようにして再転写部30をスライドさせると、図19に示すように、係合片34が係合突起23に嵌まり込むようになるので、再転写部30は、画像形成部20の上に重なった積層状態で固定される。また、抜止め24は、係合突起23と係合片34とが完全に嵌まり合うと、再転写部30の左側面に沿って上方に突出し、再転写部30の抜けを防止する。そのため、画像形成部20と再転写部30とが所定の位置で上下左右にロックされることとなり、両者の装着が完了する。なお、抜止め24によるロックは、サーマルヘッド40による画像形成動作が終了し、画像形成部20から再転写部30を取り外す際に、自動的に解除される。
【0102】
したがって、図18及び図19に示す第3の実施形態のスタンプ型プリンタ12は、係合突起23、抜止め24、及び係合片34によって構成されるロック機構により、画像形成動作の際に、画像形成部20と再転写部30とが固定的に保持されるので、サーマルヘッド40の往復移動、リボン巻取りスプール52によるインクリボン50の巻取り等によって発生する振動が防止され、中間転写シート70に形成される画像の色ずれ等が回避される。また、画像形成動作中にユーザが誤って画像形成部20から再転写部30を取り外してしまうことを防止できる。さらにまた、ロック機構(抜止め24によるロック)は、画像形成動作の終了後に自動的に解除できるものなので、再転写動作の際には、画像形成部20から再転写部30を簡単に取り外すことができる。
【0103】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、例えば、以下のような種々の変形が可能である。
(1)上述した実施形態では、画像形成部20と再転写部30とを上下に装着(積層)しているが、必ずしも上下方向に限らず、両者の装着時において、サーマルヘッド40(発熱抵抗体40a)と中間転写シート70の画像形成面とが対向する位置関係になれば良い。また、上述した実施形態では、画像形成部20及び再転写部30のそれぞれに対し、I/F(インターフェース)、メモリ、モニタ、及びCPU(中央処理装置)を設けているが、これらを共通化し、再転写部30のみに設けても良い。
【0104】
(2)上述した実施形態では、サーマルヘッド40を移動させて画像形成動作を行っているが、サーマルヘッド40を移動させず、シート巻取りスプール72によって中間転写シート70を巻き取りながら画像を形成しても良い。また、上述した実施形態では、中間転写シート70に予めラミネート層(L)を塗布しておくことにより、インクリボン50のラミネート層(L)を省略するとともに、画像形成動作の時間短縮を図っているが、インクリボン50にラミネート層(L)を塗布し、画像形成動作の際に、他のカラーインクと一緒に中間転写シート70に転写するようにしても良い。
【0105】
(3)上述した実施形態では、画像形成手段として、発熱抵抗体40aによる熱転写で画像を形成するサーマルヘッド40を用いているが、これに限らず、例えば、液体(インク等)を吐出する液体吐出ヘッド(例えば、インクジェットヘッド等)を用いても良い。また、上述した実施形態では、再転写手段として、ローラの内部にヒータを備えたヒートローラ60を用いているが、これに限らず、例えば、画像形成部20と同様のサーマルヘッドを用いても良い。なお、サーマルヘッドの中間転写シート70との接触面に、耐熱性の弾性部材を設ければ、記録媒体80の表面の凹凸等を吸収して良好に再転写(印画)を行うことが可能となる。
【0106】
(4)上述した実施形態では、記録媒体80の任意の位置に再転写部30を載置して再転写(印画)を行っているが、予めマーキングを施した記録媒体80を使用し、印画位置の決定に際しては、再転写部30のセンサによってマーキングを検知することにより、自動的に印画位置を決定できるようにしても良い。このようにすれば、例えば、アルバムプリントのように、所定の位置に印画を行う場合に有効なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本実施形態のスタンプ型プリンタを示す斜視図である。
【図2】本実施形態のスタンプ型プリンタの内部を示す側面図である。
【図3】本実施形態のスタンプ型プリンタにおける画像形成部の構成を示すブロック図である。
【図4】本実施形態のスタンプ型プリンタにおける再転写部の構成を示すブロック図である。
【図5】本実施形態のスタンプ型プリンタによる画像形成動作を示すフローチャートである。
【図6】本実施形態のスタンプ型プリンタに使用されるインクリボンを示す平面図である。
【図7】本実施形態のスタンプ型プリンタによる画像形成動作前の内部状態を示す側面図である。
【図8】本実施形態のスタンプ型プリンタによる画像形成動作初期の内部状態を示す側面図である。
【図9】本実施形態のスタンプ型プリンタによる画像形成動作中の内部状態を示す側面図である。
【図10】本実施形態のスタンプ型プリンタによる再転写動作を示すフローチャートである。
【図11】本実施形態のスタンプ型プリンタによる再転写動作中の状態を示す斜視図である。
【図12】本実施形態のスタンプ型プリンタによる再転写動作前の内部状態を示す側面図である。
【図13】本実施形態のスタンプ型プリンタによる再転写動作初期の内部状態を示す側面図である。
【図14】本実施形態のスタンプ型プリンタによる再転写動作初期の内部状態を示す側面図である。
【図15】本実施形態のスタンプ型プリンタによる再転写動作中の内部状態を示す側面図である。
【図16】第2の実施形態のスタンプ型プリンタにおいて、記録媒体を挿入する場合の再転写動作初期の内部状態を示す側面図である。
【図17】第2の実施形態のスタンプ型プリンタにおいて、記録媒体を挿入する場合の再転写動作中の内部状態を示す側面図である。
【図18】第3の実施形態のスタンプ型プリンタにおける画像形成部と再転写部との装着前の内部状態を示す側面図である。
【図19】第3の実施形態のスタンプ型プリンタにおける画像形成部と再転写部との装着後の内部状態を示す側面図である。
【図20】従来のスタンプ型プリンタの一例を示す側面図及び底面図である。
【図21】従来のスタンプ型プリンタに使用されるインクリボンの一例を示す平面図である。
【図22】従来の中間転写式プリンタの内部を示す側面図である。
【符号の説明】
【0108】
10,11,12 スタンプ型プリンタ(画像形成装置)
20 画像形成部
30 再転写部
40 サーマルヘッド(画像形成手段)
50 インクリボン
60 ヒートローラ(再転写手段)
70 中間転写シート(中間転写体)
71 シート供給スプール(供給手段)
76 剥離ローラ(剥離手段)
80 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間転写体の画像形成面に対して画像を形成するための画像形成手段と、
前記中間転写体の前記画像形成面に形成された画像を記録媒体上に再転写するための再転写手段と
を備える画像形成装置であって、
前記中間転写体は、前記中間転写体の前記画像形成面が記録媒体と対向するように記録媒体上に載置可能な再転写部内に配置され、
前記再転写手段は、前記中間転写体の前記画像形成面の反対側で、前記中間転写体に沿って移動可能なように前記再転写部内に配置され、
前記画像形成手段は、前記再転写部に対して少なくとも一部が重複するように積層可能な画像形成部内に配置されている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記画像形成手段は、前記再転写部と前記画像形成部とが積層された状態では、前記中間転写体の前記画像形成面と対向する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記再転写部と前記画像形成部とは、着脱自在である
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記再転写部は、前記中間転写体の供給手段を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記再転写部は、前記中間転写体の前記画像形成面と記録媒体との剥離手段を備える
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2009−51141(P2009−51141A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−221642(P2007−221642)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】