説明

画像形成装置

【課題】プロセスユニットの装着状態の検出の際のリーク検出の回数を抑える画像形成装置を提供する。
【解決手段】プリンタ1では、感光体を含むカートリッジに含まれる記憶素子との通信が行ない(S101)、通信が不成功であったカートリッジ(S105)に対してのみリーク検出動作が行なわれる(S107)。リーク検出動作において、通信が不成功であったカートリッジのうち所定電圧が印加されてもリーク電圧が検出されなかったカートリッジについてはプリンタ1に適切に装着されていないと判断され、該当するカートリッジがある場合にはエラー出力される(S111,S113)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は画像形成装置に関し、特に、着脱可能なプロセスユニットを含む画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真複写機や電子写真プリンタやこれらの複合機であるMFP(Multi Function Peripheral)などの画像形成装置には、トナーカートリッジや感光体ユニットなどの着脱可能なプロセスユニットが含まれる。
【0003】
画像形成時にはこれらプロセスユニットが確実に本体に装着されている必要があるために、画像形成装置の起動時やドア開閉時などの所定のタイミングに、画像形成装置ではプロセスユニットの装着状態の確認が行なわれている。
【0004】
プロセスユニットには記憶素子が内蔵されている場合がある。この場合には、画像形成装置において上記装着状態の確認のタイミングに、プロセスユニットの記憶素子との間で通信が確立するか否かで装着状態が検出されている。プロセスユニットに記憶素子が内蔵されていない場合の装着状態の検出方法として、たとえば、特開平5−53390号公報(以下、特許文献1)や特開2001−92314号公報(以下、特許文献2)は、プロセスユニットに高電圧を印加して、リークが発生するか否かで装着状態を検出する画像形成装置を開示している。
【特許文献1】特開平5−53390号公報
【特許文献2】特開2001−92314号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これら特許文献に開示されている画像形成装置では、プロセスユニットの装着状態を検出するためにだけに対象のプロセスユニットに対して高電圧を印加してリーク検出を行なっているため、起動時間が遅くなるという問題があった。その問題に加えて、装着状態の検出のたびにプロセスユニットに高電圧を印加するため、感光体などのプロセスユニットに含まれる電化部品の寿命を悪化させたり、消費電力を増加させたりしてしまう、という問題もあった。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、プロセスユニットの装着状態の検出の際に高電圧を印加してリーク検出する回数を抑える画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、画像形成装置は、現像手段を含む感光体ユニットと、感光体ユニットが当該画像形成装置に装着された状態において感光体ユニットと通信を行なう通信手段と、感光体ユニットに対して所定の電圧を印加する印加手段と、印加手段での電圧の印加を制御する制御手段と、印加される電圧に応じて感光体ユニットに発生する電圧をモニタ電圧として検出する検出手段と、通信手段での通信結果および検出手段での検出結果に基づいて感光体ユニットの当該画像形成装置への装着状態が適切であるか不適切であるかを判断する判断手段と、判断手段において、当該画像形成装置への装着状態が不適切である感光体ユニットがあると判断された場合に、エラー出力する出力手段とを備え、制御手段は、通信手段での通信が不成功であった感光体ユニットに対して所定の電圧を印加するように印加手段を制御する。
【0008】
好ましくは、感光体ユニットは通信機能を備える記憶素子を含み、記憶素子は、感光体ユニットが当該画像形成装置に装着された状態で通信手段と結線され、通信手段と通信可能となる。
【0009】
好ましくは、判断手段は、検出手段においてモニタ電圧が規定電圧に達していると検出された感光体ユニットについては当該画像形成装置への装着状態が適切であると判断し、検出手段においてモニタ電圧が規定電圧に達していないと検出された感光体ユニットについては当該画像形成装置への装着状態が不適切であると判断する。
【0010】
好ましくは、制御手段は、所定の電圧まで段階的に感光体ユニットに印加するように印加手段を制御する。
【0011】
好ましくは、通信手段での通信が不成功であった感光体ユニットが複数ある場合、制御手段は、通信が不成功であった複数の感光体ユニットの各々に対して、順に印加するよう、印加手段を制御する。より好ましくは、制御手段は、判断手段において、複数の感光体ユニットのうちの1の感光体ユニットの装着状態が不適切であると判断された時点で、複数の感光体ユニットの他の感光体ユニットに対しては印加しないように印加手段を制御する。
【発明の効果】
【0012】
この発明によると、画像形成装置におけるプロセスユニットの装着状態の検出に要する時間を短くすることができる。さらに、プロセスユニットに含まれる電化部品の寿命の悪化を防止することができる。さらに、消費電力の抑制を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
【0014】
本発明にかかる画像形成装置は、プリンタ、複写機、ファクシミリ、およびそれらの機能を複合した機器であるMFP(Multi Function Peripheral)などが該当する。本実施の形態においては、画像形成装置はタンデム方式のカラープリンタ(以下、プリンタと略す)であるものとする。
【0015】
図1は、本実施の形態にかかるプリンタ1の中央部分の断面の具体例を示す概略図である。図1を参照して、本実施の形態にかかるプリンタ1は、大きくは、作像部と、印字媒体である用紙の搬送部とを含んで構成される。
【0016】
作像部には、プリンタ1内部の略中央部に配される、内側から複数のローラで懸架された、中間転写体である環状の中間転写ベルト2が含まれる。中間転写ベルト2に沿って、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)の各色に対応したカートリッジ28a,28b,28c,28dが配される。これらを代表させてカートリッジ28と称する。カートリッジ28には、静電記録方式でトナー像を形成するトナー像形成手段として、各々、中間転写ベルト2上にトナー画像を転写する感光体3a,3b,3c,3dと、感光体の表面を一様に帯電させる帯電部5a,5b,5c,5dと、感光体上に各色の画像パターンを露光して順次形成するための露光部6a,6b,6c,6dと、感光体にトナーを供給して感光体にトナー画像を現像する現像部4a,4b,4c,4dと、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)などである記憶素子281a,281b,281c,281dとが含まれる。これらを代表させて、感光体3、帯電部5、露光部6、現像部4および記憶素子281と称する。
【0017】
作像部には、各カートリッジ28a,28b,28c,28dにトナーを補給するトナーカートリッジ25a,25b,25c,25dが含まれる。これらを代表させてトナーカートリッジ25と称する。さらに、作像部には、中間転写ベルト2を内側から懸架するローラと中間転写ベルト2を挟んで対を成す、中間転写ベルト2上に転写されたトナー画像を、搬送された用紙上に転写する二次転写ローラ11が含まれる。
【0018】
プリンタ1内部の下部には、用紙を収納するカセットである収納部16が配される。搬送部には、収納部16から用紙を給紙する給紙ローラ8と、供給された用紙を搬送する搬送ローラ30と、給紙された用紙をいったん停止させるタイミングローラ10と、上述の二次転写ローラ11と、搬送される用紙を挟んで配されて、用紙上に転写されたトナー像を加熱して定着させるヒータでもある一対の定着ローラ12a,12b(これらを代表させて定着ローラ12とする)と、定着後の用紙を排出する排紙ローラ13とが含まれる。
【0019】
さらにプリンタ1には、図示されないCPU(Central Processing Unit)やCPUで実行されるプログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)などを含み、全体を制御する制御基盤100と、制御基盤100からの制御信号に従って各部に電圧を印加する高圧電源200とが含まれる。カートリッジ28はプリンタ1本体に着脱可能であり、適切な箇所に装着されている場合に、記憶素子281と制御基盤100とは結線状態となる。
【0020】
図2は、制御基盤100と高圧電源200とで行なわれるリーク検出動作のための構成の具体例を示すブロック図である。図2を参照して、高圧電源200は制御基盤100からの制御信号に従ってカートリッジ28に対して高圧を印加する。カートリッジ28から高圧電源200に対しては、感光体3と現像部4との間の電位差に相当する発生電圧が入力され、その電圧がモニタ電圧として高圧電源200から制御基盤100に入力される。制御基盤100はリーク検知回路110を含み、高圧電源200を介してカートリッジ28から入力されたモニタ電圧が、高圧電源200で印加された電圧から算出される所定の電圧であるリーク電圧であるか否かを判断することで、カートリッジ28でのリーク電圧の発生を検知する。
【0021】
図3は、高圧電源200から出力される電圧、つまりカートリッジ28に印加される電圧と、カートリッジ28に発生する電圧との関係の具体例を表わす図である。カートリッジ28に電圧が印加されると、感光体3と現像部4との間には、印加電圧が所定電圧以上となると印加電圧に比例して電位差が発生する。図3の例では、高圧電源200の出力する電圧値がE1である場合に、カートリッジ28からのモニタ電圧はリーク電圧に達する。
【0022】
リーク検知回路110は、予め図3に示されたようなカートリッジ28に印加される電圧とカートリッジ28に発生する電圧との関係を記憶しておく。高圧電源200を介してカートリッジ28から入力された、高圧電源200の出力値がE1である場合のモニタ電圧がリーク電圧に達している場合には、リーク検知回路110においてカートリッジ28でのリーク電圧の発生が検知され、制御基盤100はカートリッジ28がプリンタ1に適切に装着されていると判断する。そうでない場合、制御基盤100はカートリッジ28が装着されていないと判断する。
【0023】
図4は、制御基盤100でプリンタ1へのカートリッジ28の装着状態を判断するための機能構成の具体例を示すブロック図である。図4を参照して、上記機能構成は、通信部101、特定部102、電源制御部103、検出部104、入力部105、判断部106、および出力制御部107を含む。これら機能は、制御基盤100に含まれる図示されないCPUがROM等に記憶されるプログラムを読み出して実行することで、主に制御基盤100で実現される機能であるが、少なくとも一部が、図1に示されたハードウェア構成で実現されてもよい。
【0024】
通信部101は、プリンタ1にカートリッジ28が装着されて制御基盤100とカートリッジ28に含まれる記憶素子281とが結線されることで、制御基盤100と各カートリッジ28との通信を行なう機能である。ここで、「通信」とは、制御基盤100が記憶素子281に対して応答を要求し、当該要求に応じて記憶素子281から自身を特定する応答がなされる、情報のやり取りを指すものとする。また、「通信」には、結線されることで、自動的に(制御基盤100からの要求に関わらず)記憶素子281から制御基盤100に対して自身を特定する信号が入力されることや、制御基盤100が所定の間隔で特定の検出信号を出力し(記憶素子281からの応答に関わらず)当該検出信号が記憶素子281において受信されることも含む。通信部101は、上記動作によって記憶素子281との通信の成功/不成功を検出し、カートリッジごとのその結果を示す情報を特定部102に入力する。
【0025】
特定部102は、通信部101から入力された情報に基づいて、カートリッジ28a,28b,28c,28dのうち、通信部101での通信が不成功であったカートリッジを特定する。そして、該当するカートリッジを特定する情報を電源制御部103および判断部106に入力する。
【0026】
電源制御部103は、特定部102からの情報で特定されるカートリッジに対して、図3にE1で表わされるリーク電圧を発生させる電圧を印加させるための制御信号を高圧電源200に入力する。この制御信号に従った電圧が印加されることでカートリッジに発生する電圧は、対象のカートリッジごとに、モニタ電圧として高圧電源200内の図示されない検出回路を介して入力部105から入力される。入力部105は、受付けたモニタ電圧を検出部104に入力する。検出部104は、モニタ電圧がリーク電圧に達しているか否かを判断することで、リーク電圧の当該カートリッジにリーク電圧の発生を検出し、検出結果を判断部106に入力する。
【0027】
判断部106は、特定部102からの情報および検出部104からの検出結果を用いて、特定部102において通信部101での通信が不成功であったカートリッジについて、検出部104でリーク電圧の発生が検出されたか否かを判断することで、各カートリッジの装着状態を判断する。装着状態が適切でないと判断されたカートリッジがある場合、判断部106はその旨を示す信号を出力制御部107に入力する。
【0028】
プリンタ1に、ディスプレイやLED(Light Emitting Diode)などの表示部や、スピーカなどの音声出力部などの出力部が含まれる場合、出力制御部107は、判断部106から入力される信号に従って表示部に表示、点灯させる、または音声出力部に音声を出力させて、装着状態が適切でないカートリッジについての情報をユーザに報知する出力を行なわせるための制御信号を生成し、出力部に入力する。
【0029】
図5は、プリンタ1で実行されるカートリッジの装着状態を判断するための動作の流れの具体例を示すフローチャートである。図5のフローチャートに示される動作は、主に、制御基盤100のCPUがROM等に記憶されるプログラムを読み出して実行し、図1,2,4の各部を制御することで実現される。図5の動作は、たとえば、プリンタ1の起動時やドア開閉時などの所定のタイミングで開始される。
【0030】
図5を参照して、動作が開始すると、ステップS101で通信部101において各カートリッジ28に対して、含まれる記憶素子281との通信が行なわれる。図1に表わされたように、カートリッジ28に記憶素子281が含まれ、かつ、当該カートリッジ28がプリンタ1本体に適切に装着されている場合には、装着されることで制御基盤100に含まれるCPUと記憶素子281とは結線されるため、通信が可能となる。しかしながら、装着が不完全である場合には結線状態とはならず、通信が成功しない。また、カートリッジによっては記憶素子が含まれていない場合もあり、その場合には装着状態に関わらず通信が成功せずに、通信の成功/不成功だけでは装着状態を確認することができない。そこで、ステップS103で特定部102はステップS101での通信がすべてのカートリッジについて成功したか否か確認し、いずれかのカートリッジについて通信が成功していない場合には(ステップS103でNO)、通信が不成功であったカートリッジを、適切に装着されていない可能性のあるカートリッジとして特定する(ステップ105)。
【0031】
ステップS107では、上記ステップS105で特定されたカートリッジの各々についてリーク検出動作が行なわれる。たとえば、上記ステップS105でイエロー(Y)に対応したカートリッジ28aのみ通信不成功と特定された場合、ステップS107では、電源制御部103はカートリッジ28aに対して高圧を印加するよう制御信号を高圧電源200に入力し、その制御信号に従って、図3において電圧値E1で表わされた、リーク電圧が発生させる電圧がカートリッジ28aに印加される。入力部105にはカートリッジ28aからのモニタ電圧が入力され、検出部104によってモニタ電圧がリーク電圧に達しているか否かが検出される。検出部104によってモニタ電圧がリーク電圧に達していないと検出された場合、判断部106は、リーク動作の対象であったカートリッジ28aの装着状態が適切でないと判断する。
【0032】
ステップS107のリーク検出動作は、上記ステップS105で、適切に装着されていない可能性のあるカートリッジとして特定されたすべてのカートリッジについて、順に行なわれる。すなわち、たとえば、上記ステップS105でイエロー(Y)に対応したカートリッジ28aの他、マゼンタ(M)に対応したカートリッジ28bも通信不成功と特定された場合、上述のカートリッジ28aに対するリーク検出動作の次に、カートリッジ28bに対しても、同様にリーク検出動作が行なわれる。
【0033】
上記ステップS105で、適切に装着されていない可能性のあるカートリッジとして特定されたすべてのカートリッジについてステップS107のリーク検出動作が行なわれた結果、装着状態が適切でないと判断されたカートリッジがある場合(ステップS111でYES)、ステップS113で判断部106がその旨を示す信号を出力制御部107に入力することで、プリンタ1に図1等には図示されない出力部が含まれる場合に、出力制御部107の制御によって出力部よりエラーを報知する出力が行なわれる。
【0034】
プリンタ1においてカートリッジの装着状態を確認する際に上述の動作が行なわれることで、カートリッジ28に通信可能な記憶素子281が含まれている場合には、確認のたびに必ずしもすべてのカートリッジ28に対してリーク検出動作が行なわれず、第1段階として記憶素子281との通信の成功/不成功が確認された上で、不成功のカートリッジに対してリーク検出動作が行なわれる。そのため、リーク検出動作を行なうカートリッジの数を抑えることができ、装着状態の確認のための動作に要する時間を短縮できる。すなわち、起動時間、再起動時間を短くすることができる。また、感光体の寿命の悪化を抑えることもできる。さらに、消費電力を抑えることもできる。
【0035】
[変形例1]
上の例では、上記ステップS105で複数のカートリッジについて通信が不成功と特定された場合に、ステップS107ですべてのカートリッジについて、順に、リーク検出動作が行なわれるとしている。
【0036】
しかしながら、プリンタ1では、リーク検出動作の結果、1つでも装着状態が適切でないカートリッジが検出された場合、上記ステップS113でエラーが出力される。その結果、ユーザは、図示しないドアを開けてカートリッジ28の装着状態を確認し、再度装着動作を行なうことになる。そのため、制御基盤100では、ステップS105で複数のカートリッジについて通信が不成功と特定された場合、上記ステップS107で順にリーク検出動作を行ない、その内の1つのカートリッジでも装着状態が不適切と検出されると、その時点で、通信が不成功と特定されたその他のカートリッジについてリーク検出動作を行なわないよう電源圧制御部103が高圧電源200を制御し、ステップS113に移行してエラー出力を行なってもよい。
【0037】
このようにすることで、リーク検出動作の回数を抑えることができ、起動時間、再起動時間をより短くすることができる。また、感光体の寿命の悪化をより抑えることもできる。さらに、消費電力をより抑えることもできる。
【0038】
なお、以上の例では、図1に示されるように、プリンタ1に図2に示されたリーク検出動作のための構成が1つ含まれている例であるために、上記ステップS107ではカートリッジごとに順にリーク検出がなされている。しかしながら、プリンタ1に図2の構成がカートリッジごとに設けられていてもよい。その場合には、上記ステップS107で通信不成功が特定された複数のカートリッジに対して並行してリーク検出動作が行なわれてもよい。
【0039】
[変形例2]
上の例では、ステップS107のリーク検出動作において、高圧電源200は制御基盤100の電源制御部103からの制御信号に従って、(適切に装着されていれば)カートリッジ28においてリーク電圧の発生する、図3において電圧値E1で表わされる電圧をカートリッジ28に印加するとしている。
【0040】
しかしながら、カートリッジ28は、図3を用いて説明されたように、所定の電圧以上が印加されると、印加された電圧に比例した電圧が発生する。そのため、カートリッジ28に対してリーク電圧が発生するまでの電圧を印加しなくても、上記所定の電圧よりも大きい電圧値E2で印加した際に、カートリッジ28に、電圧値E1とリーク電圧との比例関係で得られる中間電圧が発生した場合には、電圧値E1まで印加するとリーク電圧が発生すると推定することができる。
【0041】
そこで、制御基盤100の電源制御部103は、高圧電源200でのカートリッジ28への印加を多段階に制御し、電圧値E1を印加する以前に、それよりも低い電圧値E1を印加させるようにしてもよい。図3には、印加の出力設定として電圧値E1,E2の2段階が示されているが、2段階以上の多段階で印加するよう制御してもよい。制御基盤100の検出部104が、電圧値E1に達する前段階の電圧値E2が印加された時点でのモニタ電圧が、電圧値E2について電圧値E1とリーク電圧との比例関係で得られる中間電圧であることを検出すると、判断部106において、当該カートリッジ28にリーク電圧が発生するとして、装着状態が適切であると判断されてもよい。
【0042】
このようにすることで、プリンタ1ではリーク検出動作において急速に高電圧が印加されることがなくなり、オーバーシュートを低減することができる。
【0043】
なお、高圧電源200に含まれる回路が、カートリッジ28に印加する電圧である設定電圧が所定電圧以上となるとカートリッジ28からのモニタ電圧が減少するような構成である場合には、電源制御部103は、予め上記所定電圧を記憶しておき、リーク検出動作の際の高圧電源200の設定電圧に上限を設定しておく。
【0044】
[変形例3]
プリンタ1において、上述のカートリッジの装着状態を判断するための動作の後、画像安定化動作を行なう場合がある。画像安定化動作においては、現像部4への印加電圧を最適化するためにリーク検出動作が行なわれる。画像安定化動作におけるリーク検出動作は、印加する電圧値を段階的に増加させ、リーク電圧が発生したときの印加電圧値を検出し、作像時にリーク電圧が発生しない最適な電圧出力を決定するものである。
【0045】
そこで、プリンタ1では、上述のカートリッジの装着状態を判断するための動作における上記ステップS107のリーク検出動作を画像安定化動作におけるリーク検出動作を兼ねることができる。すなわち、上記ステップS107のリーク検出動作において作像時にリーク電圧が発生しない最適な電圧出力を決定し、図示しないメモリの所定領域に記憶するようにしてもよい。
【0046】
このようにすることでプリンタ1において画像安定化動作が実行される場合の起動時間、再起動時間を短縮することができる。
【0047】
なお、以上の例では、上記動作によって、プロセスユニットとしての感光体3を含むカートリッジ28の装着状態が判断されている。プリンタ1には、プロセスユニットとしてトナーカートリッジ25がさらに含まれる。トナーカートリッジ25にも図示されない記憶素子が含まれ、適切にプリンタ1に装着された状態で制御基盤100のCPUと結線状態となる場合、上記動作と同様にして制御基盤100においてトナーカートリッジ25の装着状態を確認することができる。
【0048】
また、図1では、プリンタ1に、プロセスユニットとして、感光体3を含むカートリッジ28とトナーカートリッジ25とが別ユニットとして含まれる例が示されているが、これらは1つのユニットして構成されていてもよい。その場合、上記動作によって、カートリッジ28とトナーカートリッジ25との装着状態を確認することができる。
【0049】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施の形態にかかるプリンタの中央部分の断面の具体例を示す概略図である。
【図2】実施の形態にかかるプリンタに含まれる制御基盤と高圧電源とで行なわれるリーク検出動作のための構成の具体例を示すブロック図である。
【図3】高圧電源から出力される電圧と、カートリッジに発生する電圧との関係の具体例を表わす図である。
【図4】制御基盤でプリンタへのカートリッジの装着状態を判断するための機能構成の具体例を示すブロック図である。
【図5】実施の形態にかかるプリンタで実行されるカートリッジの装着状態を判断するための動作の流れの具体例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
1 プリンタ、2 中間転写ベルト、3,3a,3b,3c,3d 感光体、4,4a,4b,4c,4d 現像部、5,5a,5b,5c,5d 帯電部、6,6a,6b,6c,6d 露光部、8 給紙ローラ、10 タイミングローラ、11 二次転写ローラ、12,12a,12b 定着ローラ、13 排紙ローラ、16 収納部、25,25a,25b,25c,25d トナーカートリッジ、28,28a,28b,28c,28d カートリッジ、100 制御基盤、101 通信部、102 特定部、103 電源制御部、104 検出部、105 入力部、106 判断部、107 出力制御部、110 リーク検知回路、200 高圧電源、281,281a,281b,281c,281d 記憶素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像手段を含む感光体ユニットと、
前記感光体ユニットが当該画像形成装置に装着された状態において前記感光体ユニットと通信を行なう通信手段と、
前記感光体ユニットに対して所定の電圧を印加する印加手段と、
前記印加手段での電圧の印加を制御する制御手段と、
前記電圧に応じて前記感光体ユニットに発生する電圧をモニタ電圧として検出する検出手段と、
前記通信手段での通信結果および前記検出手段での検出結果に基づいて前記感光体ユニットの当該画像形成装置への装着状態が適切であるか不適切であるかを判断する判断手段と、
前記判断手段において、当該画像形成装置への装着状態が不適切である感光体ユニットがあると判断された場合に、エラー出力する出力手段とを備え、
前記制御手段は、前記通信手段での通信が不成功であった感光体ユニットに対して前記所定の電圧を印加するように前記印加手段を制御する、画像形成装置。
【請求項2】
前記感光体ユニットは通信機能を備える記憶素子を含み、
前記記憶素子は、前記感光体ユニットが当該画像形成装置に装着された状態で前記通信手段と結線され、前記通信手段と通信可能となる、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記判断手段は、前記検出手段において前記モニタ電圧が規定電圧に達していると検出された感光体ユニットについては当該画像形成装置への装着状態が適切であると判断し、前記検出手段において前記モニタ電圧が前記規定電圧に達していないと検出された感光体ユニットについては当該画像形成装置への装着状態が不適切であると判断する、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記所定の電圧まで段階的に前記感光体ユニットに印加するように前記印加手段を制御する、請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記通信手段での通信が不成功であった感光体ユニットが複数ある場合、前記制御手段は、前記複数の感光体ユニットの各々に対して、順に印加するよう、前記印加手段を制御する、請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記判断手段において、前記複数の感光体ユニットのうちの1の感光体ユニットの装着状態が不適切であると判断された時点で、前記複数の感光体ユニットの他の感光体ユニットに対しては印加しないように前記印加手段を制御する、請求項5に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−152130(P2010−152130A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330784(P2008−330784)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】