説明

画像形成装置

【課題】クリーニングの際に像保持体上に形成された凝集体を除去するクリーニング装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、感光体ドラム1と、現像装置4と、感光体ドラム1上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する中間転写ベルト8と、記録媒体上に転写されたトナー像を定着する定着手段と、転写後の感光体ドラム1上の転写残トナーを除去するクリーニング装置6とを備え、さらに、クリーニング装置6を離間させる装置を備え、現像装置4に設けられた現像ロールと感光体ドラム1の表面に残留付着した表面凝集体Aとを接触させるように、感光体ドラム1を現像ロールと接触する位置まで回転させ、一方、現像ロールは回転させ、感光体ドラム1の表面凝集体Aを除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
感光体ドラム等の像保持体上に形成されたトナー像を、用紙等の記録媒体に転写する画像記録装置は知られている。例えば、複写機やレーザプリンタに代表される一般的な電子写真方式の画像形成装置においては、表面に感光体層を有する像保持体表面を均一に帯電する帯電工程、帯電された像保持体表面の像光を照射することで潜像を形成する露光工程、該静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する現像工程、該トナー像を記録媒体に転写する転写工程、該記録媒体上のトナー像を定着する定着工程、前記転写工程で像保持体上に残留したトナーを除去するクリーニング工程によって画像が形成される。
【0003】
前記クリーニング工程で用いられるクリーニング装置において、クリーニングブレード(以下、単に「ブレード」という場合がある)により像保持体上に残留したトナーを除去する方式がよく知られている。クリーニングブレードは今日では低速機から高速機まで幅広く実用化されているクリーニング方式である。
【0004】
ブレードプレニップに溜まったトナーや外添剤を除去する方法として特許文献1には
クリーニングブレードに対して像保持体の像保持面の移動方向を短い距離だけ逆転させ、クリーニングブレード上に蓄積したトナーや紙粉などの不要物を除去する逆転ブレード式清掃装置が提案されている。
【0005】
また、特許文献2には、画像形成終了後、クリーニングブレードの先端エッジからクリーニングブラシと感光体の接点までの距離だけ感光体を逆転させるとともに、クリーニングブラシを回転させて、クリーニングブレードに滞留するトナー等の物質を除去しながら、潤滑剤としてクリーニングブラシに付着しているトナーを感光体に供給して、次回の画像形成工程におけるクリーニングブレードのエッジと感光体表面との間に、潤滑剤としてトナーを存在させ、クリーニングブレードのめくれを防止する画像形成装置のクリーニング方法が提案されている。
【0006】
また、特許文献3には、画像領域の清掃終了後、クリーニングブラシの接触位置を通過するまで感光体を逆転させ、次いでクリーニングブラシを回転させた状態で感光体を正回転させ、クリーニングブレードの退避時に生じる残留トナーを除去する装置が提案されている。
【0007】
【特許文献1】特開昭54−38926号公報
【特許文献2】特開平4−274476号公報
【特許文献3】特開平7−84495号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、クリーニング手段先端に溜まった凝集体による像保持体の磨耗を低減する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の通りである。
【0010】
(1)表面にトナー像を保持する像保持体の表面に接触して該表面から不要物をクリーニングするクリーニング手段を備え、現像手段に設けられた現像ロールに前記クリーニング手段の先端に溜まった凝集体が接触する位置まで前記像保持体を回転させ、該凝集体を現像ロールで回収する画像形成装置である。
【0011】
(2)像保持体と、前記像保持体上に形成した静電潜像を顕像化してトナー像とする現像手段と、像保持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体上に転写されたトナー像を定着する定着手段と、転写後の像保持体上の転写残トナーをクリーニングするクリーニング手段とを備え、前記クリーニング手段は、表面にトナー像を保持して移動する像保持体の表面に接触して該表面から不要物を除去する板状の除去部材と、現像手段に設けられた現像ロールに前記クリーニング手段の先端に溜まった凝集体を接触させるために、前記像保持体を前記現像ロールと接触する位置まで回転させる際に、前記除去部材を前記像保持体から離間させる離間手段と、備え、前記現像ロールは、前記クリーニング手段の先端に溜まった凝集体を除去する上記(1)に記載の画像形成装置である。
【0012】
(3)像保持体と、前記像保持体上に形成した静電潜像を顕像化してトナー像とする現像手段と、像保持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体上に転写されたトナー像を定着する定着手段と、転写後の像保持体上の転写残トナーをクリーニングするクリーニング手段とを備え、前記クリーニング手段は、表面にトナー像を保持して移動する像保持体の表面に接触して該表面から不要物を除去する板状の除去部材を備え、前記現像手段に設けられた現像ロールに前記クリーニング手段の先端に溜まった凝集体を接触させる際に、前記像保持体を画像形成時の回転と逆方向で前記現像ロールと接触する位置まで回転させ、前記現像ロールは、前記クリーニング手段の先端に溜まった凝集体を除去する上記(1)に記載の画像形成装置である。
【0013】
(4)前記除去部材との接触位置から前記現像ロールとの接触位置まで前記像保持体を回転移動させている間に、前記現像ロールの回転を開始する上記(2)または(3)に記載の画像形成装置である。
【0014】
(5)前記転写手段は、像保持体上に形成されたトナー像を中間転写体に転写する1次転写手段と、中間転写体上のトナー像を記録媒体上に転写する2次転写手段とを有する上記(2)から(4)のいずれか1つに記載の画像形成装置である。
【0015】
(6)前記像保持体の回転移動時に、前記像保持体の移動速度と前記中間転写体の移動速度とが等しい上記(5)に記載の画像形成装置である。
【0016】
(7)前記像保持体の回転移動時に、前記像保持体と前記中間転写体の圧力が解除される上記(5)または(6)に記載の画像形成装置である。
【0017】
(8)画像形成を終了する度に、前記クリーニング手段の先端に溜まった凝集体を除去するための動作を行う上記(2)から(7)のいずれか1つに記載の画像形成装置である。
【0018】
(9)前記像保持体の回転数をカウントし、定められたカウント数毎に、前記クリーニング手段の先端に溜まった凝集体を除去するための動作を行う上記(2)から(7)のいずれか1つに記載の画像形成装置である。
【0019】
(10)前記像保持体の回転数をカウントし、5000サイクルまでの予め定められたサイクル数毎に、前記クリーニング手段の先端に溜まった凝集体を除去するための動作を行う上記(2)から(7)のいずれか1つに記載の画像形成装置である。
【0020】
(11)前記現像ロールは、ブラックトナー用現像手段に設けられた現像ロールである上記(2)から(7)のいずれか1つに記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0021】
本願請求項1に記載の発明によれば、像保持体の磨耗を低減するクリーニング装置を提供することが出来る。
【0022】
本願請求項2に記載の発明によれば、画像形成装置を用いた場合、圧力解除手段により除去部材が像保持体から離間されるため、像保持体の回転に伴い除去部材の先端が像保持体に接触せず、転写部を通らないため転写ニップとも接触せず、且つ、除去部材の先端エッジ部と像保持体表面との接触により形成され像保持体の表面に残留付着した凝集体は、現像手段の現像ロールの回転により機械的におよび/または静電的に除去される。
【0023】
本願請求項3に記載の発明によれば、画像形成装置に用いた場合、像保持体を除去部材の先端エッジ部との接触を回避する方向で現像ロールと接触する位置まで回転させるので、除去部材の圧力解除手段を必要とせず、帯電部を通らないため接触帯電装置を用いた場合でも帯電ニップと接触せず、且つ、除去部材の先端エッジ部と像保持体表面との接触により形成され像保持体の表面に残留付着した凝集体は、現像手段の現像ロールの回転により機械的におよび/または静電的に除去される。
【0024】
本願請求項4に記載の発明によれば、除去部材との接触位置から現像ロールとの接触位置まで像保持体を回転移動させている間に、現像ロールの回転を開始させることにより、除去部材の先端エッジ部と像保持体表面との接触により形成され像保持体の表面に残留付着した凝集体は、予め現像ロールを回転させていない場合に比べ、より速く除去される。
【0025】
本願請求項5に記載の発明によれば、像保持体から記録媒体に直接転写する方式に比べて現像ロールに回収される凝集体への紙粉混入が回避される。
【0026】
本願請求項6に記載の発明によれば、像保持体の移動速度と中間転写体の移動速度とを等しくしない場合に比べて像保持体と中間転写体との機械的ストレスが防止される。
【0027】
本願請求項7に記載の発明によれば、像保持体と中間転写体との圧力が解除されない場合に比べて像保持体と中間転写体との機械的ストレスが防止される。
【0028】
本願請求項8に記載の発明によれば、画像形成を終了する度(すなわち、ジョブを終了する度)に、像保持体の表面に残留付着した凝集体を除去しない場合に比べて、画像形成された画像の欠陥が抑制される。
【0029】
本願請求項9に記載の発明によれば、像保持体の回転数をカウントし、定められた回転数毎に、像保持体の表面に残留付着した凝集体を除去しない場合に比べて画像形成された画像の欠陥が抑制される。
【0030】
本願請求項10に記載の発明によれば、像保持体の回転数をカウントし、5000サイクルを超えて像保持体の表面に残留付着した凝集体を除去する場合に比べて、画像形成された画像の欠陥が抑制される。
【0031】
本願請求項11に記載の発明によれば、ブラックトナーに比べて明度の高い色材を用いたトナー用現像手段の現像ロールで凝集体を回収する場合に比べて、混色による画質の低下が抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0033】
図1は本実施の形態が適用されるカラー画像形成装置の概略構成図である。
【0034】
この画像形成装置100は、表面に感光体層を有する像保持体としてのドラム状の感光体ドラム1と、この感光体ドラム1を一様に帯電する帯電装置2と、一様に帯電された感光体ドラム1に像光を照射して静電潜像を形成する像書き込み装置3と、4色の現像装置4a,4b,4c,4dを備える現像ユニット4と、感光体ドラム1に接触する経路で周回可能に張架された無端ベルト状の中間転写ベルト8と、感光体ドラム1上に形成されたトナー像を中間転写ベルト8へ転写する一次転写ロール5と、転写後に感光体ドラム1に残留したトナーを除去するクリーニング装置6と、を備えている。また、用紙トレイ21に収容された記録用紙Pを搬送する記録用紙搬送機構20と、記録用紙P上のトナー像を定着する定着装置7とを備えている。
【0035】
感光体ドラム1は、アルミニウム等の金属製支持体(ドラム)の周表面に感光層を積層して形成されている。この感光層は、電荷発生層と電荷輸送層が順次積層された機能分離型で、通常は高抵抗であるが、レーザ光線が照射されるとその部分の比抵抗が変化する性質を持っている。
【0036】
帯電装置2は一般にスコロトロンと呼ばれている帯電器で、電極ワイヤに高電圧を印加し、感光体ドラム1との間でコロナ放電を発生させて、感光体ドラム1の表面を一様に帯電するものである。なお、帯電装置2としては、スコロトロン以外にロール形状の帯電器や固体放電器などが使用されるが、異物付着防止の観点から非接触タイプの帯電器が好ましい。
【0037】
像書き込み装置3は、感光体ドラム1の回転方向(図中矢印A)とほぼ垂直に発光素子(LD)のレーザ光を繰り返し走査し、この発光素子が画像信号に基づいてON/OFFすることによって回転駆動される感光体ドラム1に像露光を行うようになっている。
【0038】
現像ユニット4は、それぞれブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色成分トナーが収容されて感光体ドラム1上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像装置(ブラック現像装置4a,イエロー現像装置4b,マゼンタ現像装置4c,シアン現像装置4d)を備えている。これら4つの現像装置4a,4b,4c,4dは、回転駆動される1台の基部4eに設けられており、順次感光体ドラム1と近接・対向するようになっている。そして、感光体ドラム1上に形成された各色に対応する潜像にトナーを転移させて、トナー像とする。
【0039】
中間転写ベルト8は、一次転写ロール5と、回転駆動されるドライブロール10と、張力を調整するテンションロール9及び14と、バックアップロール11とに掛け回されている。用いられる中間転写ベルト8は、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、フッ素系樹脂などの樹脂材料に、カーボンやイオン導電物質などの導電性付与のための物質を分散させ、表面抵抗率を1010〜1012Ω/□程度(測定電圧:100V)に調整して形成されている。中間転写ベルト8を挟んでバックアップロール11と対向する位置には、記録用紙搬送機構20によって搬送される記録用紙P上に中間転写ベルト8上のトナー像を転写する二次転写ロール12が設けられている。また、二次転写ロール12によって記録用紙P上にトナー像を転写した後に、中間転写ベルト8上に残留するトナーを除去するトナー除去装置13を備えている。
【0040】
定着装置7は、記録用紙P上に転写されたトナー像を熱するヒートロールと、このヒートロールに対向して設けられたプレッシャロールとで構成されている。そして、プレッシャロールが加熱されたヒートロールに記録用紙Pを押圧し、記録用紙P上にトナー像を加熱・加圧によって定着する。
【0041】
記録用紙搬送機構20は、搬送ロール22,23及び搬送ベルト24と、その搬送移動経路を案内するペーパーガイド26及び27と、排紙ロール25と、排紙トレイ28等から成る。そして、用紙トレイ21に収容された記録用紙Pを、二次転写ロール12とバックアップロール11とが中間転写ベルト8を挟んで対向する二次転写位置へ、二次転写位置から定着装置7へ、定着装置7から排紙トレイ28へと搬送駆動する。
【0042】
そして、画像形成装置100は、以下に示すように動作してカラーの画像形成を行う。
【0043】
帯電装置2によって所定電位に帯電された感光体ドラム1の表面に、レーザ露光器3により画像に対応した静電潜像が書き込まれ、対応する現像装置4a,4b,4c,4dによって現像(トナー像化)される。このトナー像は、感光体ドラム1と中間転写ベルト8とが接する一次転写位置において、一次転写ロール5に印加される一次転写バイアスにより感光体ドラム1から中間転写ベルト8に一次転写される。一次転写後に感光体ドラム1上に残留したトナーはクリーニング装置6によって除去される。
【0044】
感光体ドラム1上でのトナー像の形成とそのトナー像の一次転写の工程は、色数分だけ繰り返され、中間転写ベルト8上に各色のトナー像が重ねられてカラー像化される。
【0045】
このようにして中間転写ベルト8に一次転写されたトナー像は、中間転写ベルト8の回動によって、二次転写ロール12とバックアップロール11とが中間転写ベルト8を挟んで対向する二次転写位置へと搬送される。一方、これと同期して、記録用紙Pが記録用紙搬送機構20によって二次転写位置へと搬送される。
【0046】
二次転写位置では、二次転写ロール12とバックアップロール11との間に形成される二次転写電界の作用で、中間転写ベルト8に担持されたトナー像を記録用紙Pに静電転写(二次転写)する。
【0047】
二次転写位置においてトナー像が転写された記録用紙Pは、記録用紙搬送機構20によって定着装置7へと搬送され、トナー像が加熱加圧定着されて排紙トレイ28に排出される。一方、二次転写位置を通過した中間転写ベルト8上に残留した残留トナーは、トナー除去装置13によって除去される。
【0048】
本実施の形態におけるプロセスカートリッジは、図1に示す帯電装置2と、感光体ドラム1、クリーニング装置6および現像装置4が、一体化されて構成されている。
【0049】
次に、上述した画像形成装置に用いられる本実施の形態におけるクリーニング装置6について、以下に詳細に説明する。
【0050】
図2は、クリーニング装置6の基本構成の一例を示す断面図である。また、図3は、クリーニングブレード60の周辺を拡大して示した図である。ここで、本実施の形態において、表面にトナー像を保持して移動する像保持体(「感光体ドラム」を含む意である)の表面に接触して該表面から不要物を除去する板状の除去部材の一例として、クリーニングブレードを例に取って、以下に説明する。
【0051】
本実施の形態におけるクリーニング装置6は、感光体ドラム1に近接して配置され、感光体ドラム1と対向する側に開口するクリーナハウジング64を備えている。クリーナハウジング64の下側の開口端部には、シール部材65が固定されている。シール部材65は、感光体ドラム1とクリーナハウジング64との間の隙間をほぼ塞ぎ、クリーニング装置6内に収容された廃トナー等が外部へ漏れるのを防ぐ。シール部材65には、例えば、厚さ0.2mmの熱可塑性ポリウレタンフィルムが用いられる。
【0052】
クリーナハウジング64の内部には、シール部材65よりも感光体ドラム1の回転方向(図中矢印で示す)下流側に、クリーニング用の除去部材としてのクリーニングブレード60が配設されている。また、クリーナハウジング64内の下部には、オーガ63が配設されている。
【0053】
クリーニングブレード60は、断面形状がL字形の板金61に接着されており、止めネジ62によりクリーナハウジング64に固定され、その先端エッジ部を感光体ドラム1の表面に接触するように設けられている。
【0054】
本実施の形態におけるクリーニング装置6では、図2に示すように、シール部材65をそのまま通過させた感光体ドラム1の表面に残留した転写残トナーTを、クリーニングブレード60によって掻き取る。掻き取られた転写残トナーTはクリーナハウジング64に一旦収容され、オーガ63によってクリーニング装置6の側方外部に搬送・排出される。ここで、本実施の形態におけるクリーニングブレード60は、例えば、弾性素材によって所定厚さの板状に形成されている。クリーニングブレード60を形成する材料は、耐磨耗性、耐欠け性、耐クリープ性など機械的性質に優れる、例えば熱硬化型ポリウレタンゴムが使用される。なお、ブレードの素材はウレタンゴムに限られるものではなく、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム等の機能性ゴム材が用いられる。
【0055】
本実施の形態におけるクリーニング装置6に用いられるクリーニングブレード60のブレード加圧方式は、構造が簡単で低コストの定変位方式を採用しており、例えば、加圧力は39.2N/m(4gf/mm)に設定される。ただし、ブレード加圧方式は定変位方式に限られるものではなく、当接圧の経時変化がほとんどない定荷重方式を用いてもよい。
【0056】
次に、本実施の形態におけるクリーニング装置の基本動作について、図3から図10を用いて、以下に説明する。なお、図4から図7および図9には、図3において破線で囲まれた箇所が拡大されて示されている。
【0057】
クリーニング装置において一定時間クリーニングを行うとブレードプレニップにトナーや外添剤が蓄積される。図3はクリーニング装置6のクリーニングブレード60の周囲を拡大したものであり、図3に示すように、感光体ドラム1の表面には、転写後に残存した転写残トナーT1と、クリーニングブレード60のプレニップに蓄積したトナーT2とが存在する。ここで、プレニップ領域を詳細に説明するために、図3の破線で囲んだ箇所を図4,図5で拡大表示した。ここで、図4には、感光体ドラム1を順回転方向に回転させて表面の転写残トナーを除去する状態が示され、図5には、感光体ドラム1を停止した状態が示されている。ここで、感光体ドラム1の「順回転方向」とは、像保持体である感光体ドラム1を除去部材であるクリーニングブレード60の先端エッジ部との接触を促進する方向をいう。また、本実施の形態における「プレニップ領域」とは、像保持体である感光体ドラム1と、除去部材であるクリーニングブレード60との接触位置より手前の領域を意味する。
【0058】
図4に示すように、まず、感光体ドラム1が順回転中は、感光体ドラム1の表面とクリーニングブレード60の先端エッジ部に作用する動摩擦力により、クリーニングブレード60の先端エッジ部は、回転方向(矢印方向)に引っ張られた形状に変形し、ブレードのプレニップは、先端角度が小さな楔形形状になる。一方、クリーニングブレード60の先端エッジ部は、感光体ドラム1の回転を停止させると動摩擦力が作用しなくなるため、図5に示すように、矢印方向に戻って先端角が大きくなった楔形形状に戻る。
【0059】
本願発明者は、クリーニングブレード60の先端部を詳細に観察し鋭意分析を重ねた結果、次のような現象が起こっていることをつきとめた。すなわち、感光体ドラム1は一定時間回転すると、ブレードプレニップ最先端領域には、相対的に粒径の小さいトナーから脱離した外添剤が集まり始め(図4のAで示す部分)、その上流側には、粒径の大きいトナーが集まる(図4のT2で示す部分)。そして、外添剤の集まるA領域は、連続的に上流側から運ばれてくる粒子(すなわち、外添剤とトナー)によって押圧され、その結果、A領域に蓄積された外添剤はパッキング状態になる。さらに、A領域でパッキング状態になった外添剤は、クリーニングブレード60に押され、感光体ドラム1の表面側に、図4のYで示すような押圧力が生じる。したがって、外添剤が、有機系外添剤に比べ硬い、例えばSiO等であって、一方このような無機系外添剤に比べ柔らかい表面を有する感光体ドラム1を用いた場合には、感光体ドラム1の表面が研磨される虞がある。
【0060】
なお、ブレードプレニップ後端側(上流側)ではある程度トナーが集まった後プレニップに留まることはできなくなって重力により逐次落下していき(図4のT3で示す)、図2に示すクリーナハウジング64内に一旦収容された後、オーガ63によって排出される。また、ブレードプレニップに蓄積された外添剤やトナーは凝集体となるため、図5に示したように感光体ドラム1が停止した後も固まりとなってプレニップに存在する。したがって、再び感光体ドラム1が回転すると、外添剤を含む凝集体が感光体ドラム1の表面を押圧する可能性がある。
【0061】
また、図3,図4を用いて、クリーニングブレード60の先端が、画像形成装置にクリーニング装置が設置された時に、下向きになるように配置されるケースを用いて説明したが、別途、クリーニングブレード60の先端が、画像形成装置にクリーニング装置が設置された時に、上向きになるように配置されるケースについても、詳細に観察・分析した結果、同様な現象が起こっていることが判明した。
【0062】
そこで、図6と図7を用いてクリーニングブレード60の先端が上向きに配置されるケースを詳細に説明する。図6は、感光体ドラム1が順回転方向に回転中の様子を表し、図7は、感光体ドラム1が停止した状態を示す。まず、感光体ドラム1が回転中は感光体ドラム1の表面とクリーニングブレード60の先端エッジ部に作用する動摩擦力により、クリーニングブレード60の先端エッジ部は、図6に示すように回転方向に引っ張られた形状に変形し、ブレードプレニップは先端角度が小さな楔形形状になる。一方、感光体ドラム1の回転が停止すると、クリーニングブレード60の先端エッジ部は動摩擦力が作用しなくなるため、図7に示すように矢印方向に戻って先端角が大きくなった楔形形状に戻る。また、感光体ドラム1は一定時間回転すると、クリーニングブレードが下向きのケースとまったく同様に、ブレードプレニップ最先端部には相対的に粒径の小さい外添剤が集まり始め(図6のAで示す部分)、その上流側に粒径の大きいトナーが集まる(図6のT2で示す部分)。そして、外添剤の集まるA領域では、連続的に上流側から運ばれてくる粒子(外添剤とトナー)によって押圧され、外添剤はパッキング状態になる。さらに、A領域でパッキング状態になった外添剤は、クリーニングブレード60に押され、感光体ドラム1の表面側に、図6のYで示すような押圧力を生じさせる。したがって、上述同様、外添剤が、有機系外添剤に比べ硬い、例えばSiO等であって、一方このような無機系外添剤に比べ柔らかい表面を有する感光体ドラム1を用いた場合には、感光体ドラム1の表面が研磨される虞がある。
【0063】
なお、ブレードプレニップ後端側(上流側)ではある程度トナーが集まった後プレニップに留まることはできなくなって重力により逐次落下していき(図6のT3で示す)、ブレード先端部に一旦堆積する(図6のT4で示す)。プレニップに転写残トナーが多量に溜まってくると、堆積したトナーT4はプレニップ側から押されて図6左方向へゆっくり移動していき、ブレードエッジの反対側(不図示)から重力によって落下し、クリーナハウジング内に一旦収容された後、オーガによって排出される。また、ブレードプレニップに蓄積された外添剤やトナーは凝集体となるため、図7に示したように感光体ドラム1が停止した後も固まりとなってプレニップに存在する。さらに、上述したクリーニングブレード60の先端が上向きに配置されるケースでは、クリーニングブレード60による押圧のみならず、プレニップに堆積する外添剤とトナーとの自重により、クリーニングブレード60の先端が下向きに配置されるケースに比べ、図6のA領域における外添剤の凝集体の密度は高くなっている。したがって、再び感光体ドラム1が回転すると、外添剤を含む凝集体が感光体ドラム1の表面を、上述した下向き配置に比べ、より押圧する可能性がある。
【0064】
そこで、このような外添剤の凝集体による感光体表面への押圧現象を防止するために鋭意検討を重ねた結果、クリーニング装置を適当なインターバルで感光体ドラム1の表面から離間し、感光体ドラム1を回転させてブレードプレニップ先端に集まった外添剤を現像ロールニップ位置まで搬送し、現像ロールによって外添剤を回収・除去すると感光体の磨耗を効果的に低減できることがわかった。現像ロールを用いて、外添剤を回収する利点は、現像ロール上の磁気ブラシ、すなわち二成分現像剤(例えば、キャリアとトナー)は外添剤に対する付着力を有していること、現像ロールで回収後に外添剤は現像装置内で攪拌されて凝集体が解砕されること、トナーの外添剤として再利用されることなどが挙げられる。なお、凝集体を解砕することにより、凝集体として感光体に再付着されることが防止され、その結果、画像欠陥が抑制され、また、凝集体が、ブレードプレニップに再び滞留して感光体ドラム表面を押圧することが抑制される。なお、感光体ドラム表面に付着した外添剤からなる凝集剤を、例えば、クリーニングブラシで回収した場合、クリーニングブラシが凝集体を解砕する力は、現像装置内の撹拌による解砕力に比べ小さいため、凝集体を解砕するために長時間要することになる。
【0065】
そこで、本発明の第1の実施の形態におけるクリーニング装置6は、図8に示すように、さらに、現像装置に設けられた現像ロールに感光体ドラム1の表面に残留付着した凝集体を接触させるために、感光体ドラム1を現像ロールと接触する位置まで回転させる際に、クリーニングブレード60を感光体ドラム1から離間させる圧力解除手段を備える。
【0066】
上記圧力解除手段は、クリーニング装置6自体を感光体ドラム1の表面から離間させる手段、クリーニング装置6のクリーニングブレード60の先端部を退避させる手段のいずれであってもよい。図8には、圧力解除手段として、クリーニング装置6自体を感光体ドラム1の表面から離間させる手段が示され、例えば偏心カムとクランクを利用してクリーニング装置6全体が感光体ドラム1の表面から離間するように構成されている。一方、クリーニングブレード60を定荷重方式にしてその荷重を解除し、クリーニングブレード60のみ感光体ドラム1の表面から離間させてもよい。
【0067】
クリーニングブレード60の先端部を感光体ドラム1より離間することにより、感光体ドラム1の表面に凝集した凝集体を押圧することなく、感光体ドラム1の表面に形成された凝集体を現像ロールのニップ位置まで、感光体ドラム1を回転させ、これにより、凝集体が除去され現像装置4(図1)に回収される。
【0068】
ここで、感光体ドラムから記録用紙へ直接転写する方式では、転写時に記録用紙の紙粉が感光体ドラムに付着し、その結果ブレードプレニップに記録用紙の紙粉が堆積する。したがって、プレニップに溜まった外添剤を感光体表面に付着した状態で搬送し現像ロールで回収すると、紙粉もいっしょに現像装置内に回収してしまう。そこで、本実施の形態では、現像ロールに紙粉が付着した場合における画像欠陥を防止する観点から、本実施の形態では、感光体ドラムから記録用紙へ直接転写する方式で使用するよりも、中間転写体を使用した方式で優れた効果が発揮される。
【0069】
次に、ブレードプレニップ先端に集まる外添剤やトナーの量とブレード離間時の状態、現像ロールの条件と回収性について調査した結果の一例を示す。図8には、クリーニング装置を感光体ドラムから離間させた状態が示されている。このように離間した後、感光体ドラム1の表面上には、ブレードプレニップに堆積していたトナー等がわずかに残る(図8のTpで示した)。図8のTp部分を拡大したものが図9に示されている。図9において、Laは外添剤の長さ、Haは外添剤の高さ、Ltはトナーの長さ、Htはトナーの高さである。Laは感光体ドラムのサイクル数の増加と共に長くなり、使用される外添剤の材料種、粒径、添加量等にも依存するが、ブレードニップ中をすり抜ける分もあるので、ある程度集まったところで飽和する傾向があり、いずれにしてもLaは100μm以下であった。高さHaはブレードの設定角度や食込み量、ブレード材料特性、ブレードと感光体ドラムの摩擦状態などに依存するが、いずれにしても50μm以下であった。また、LtやHtも感光体ドラムのサイクル数や使用される外添剤等にも依存するが、Ltは多くても500μm程度であり、Htは多くても200μm程度であった。また、クリーニングブレードの向きが上向きでも同様なサイズであった。したがって、外添剤は現像ロールによって十分回収できる量であることを確認できた。
【0070】
また、凝集体中のトナー量もわずかな量であるため、外添剤を主成分とする凝集体中に微量のトナーが現像ロールでいっしょに回収された場合であっても、基本的に問題はない。したがって、図1に示す現像装置4a,4b,4c,4dのいずれの現像ロールにおいて問題はないが、混色を考慮すると、図1に示す4サイクルの画像形成装置では、ブラックトナー用の現像装置にて回収することが望ましい。
【0071】
また、図10に示すように、感光体ドラム1の表面上の外添剤を主成分とする表面凝集体Aを現像ニップへ搬送する際に、その表面が帯電領域を通過することになるが、帯電装置2は感光体ドラム1と非接触な構成であれば問題はない。なお、表面凝集体Aを帯電領域を通過させない構成については、後述する。
【0072】
さらに、現像ロールの回転時間及び回転速度と外添剤の回収性について調査しところ、現像ロールを数回転させるだけで外添剤は回収されてしまい、その回転速度についても大きな違いはなかった。また、現像ロールのバイアス印加についても特に大きな相違は見られず、バイアス印加なしでも回収することがわかった。また、本実施の形態にいて、できるだけ短時間で表面凝集体Aを回収するためには、図示しない制御部を用いて、感光体ドラム1の逆回転により外添剤が現像ニップに搬送されてくる前に現像ロールを予め回転させることにより、凝集体の回収速度が向上することが確認された。
【0073】
次に、富士ゼロックス製カラー複合機DCC500(図1と図1の構成を有する画像形成装置の一例)において、クリーニングブレードが感光体ドラム表面から離間可能なようにユニットの改造を行った、画像形成装置を用いて以下に説明する。ここで、上記改造機において、さらに感光体ドラムと中間転写ベルトがそれぞれ外部操作で適宜回転するように改造し、さらに現像ロールも外部操作で適宜回転するように改造して実験を行った。なお、図10に示すように、感光体ドラム1を回転させる角度θ2は、ブレードプレニップ先端部Xと感光体ドラム中心点Oを結んだ線分XOと、現像ニップ部Zと感光体ドラム中心点Oを結んだ線分ZOとが成す角であり、角度θ2だけ回転するように制御されている。また、このとき、中間転写ベルト8は感光体ドラム1と同期して同速度で移動するように制御されている。
【0074】
このような準備の下、外添剤回収のインターバルについて検証した。現像剤として、DCC500のオリジナル現像剤(富士ゼロックス社製)を用いて行った。
【0075】
感光体ドラム1が一定量回転した後、感光体ドラム1の回転動作と現像ロール回転・外添剤回収動作(以下単に「外添剤回収動作」という)を行い、このような動作を行わない通常モードの場合と感光体磨耗レートを比較した。実験環境は高温・高湿と低温・低湿の2環境で実施し、画像部と非画像部の2条件を掛け合わせた2×2のマトリックスで磨耗レートを評価し平均値を求めた。また外添剤回収動作のインターバルは走行サイクル数として、50サイクル毎、100サイクル毎、200サイクル毎、500サイクル毎、1000サイクル毎、2000サイクル毎、5000サイクル毎、10000サイクル毎で比較実験した。なお、ランニングしたトータルサイクル数は50000サイクルである。結果を下表に示す。
【0076】
【表1】

表中の評価で、○は効果あり、△はやや効果あり、×は効果なしである。この結果から、外添剤回収動作は感光体磨耗低減に大きな効果があり、最大2/5に減少させることができた。また、回収インターバルが短いほど平均磨耗レートを低減できることも確認できた。回収インターバルが5000サイクル程度から効果が現れ、特に500サイクル以下では平均磨耗レートが1/2以下になり、大きな効果が発現することを確認できた。
【0077】
なお、回収インターバルを非常に短くするとさらに大きな効果が発現しているが、毎分あたりのプリント枚数が低下して生産性が落ちてしまうので、短くても50サイクル毎程度に抑えておくのが好ましい。また、プリントジョブが終了する毎に回収モードを入れるのも生産性の観点から好ましい。
【0078】
次に、本発明の第2の実施の形態におけるカラー画像形成装置の構成の一例について、図11を用いて説明する。
【0079】
図11に示すように、画像形成装置は、4連タンデム方式のフルカラー画像形成装置であり、画像形成ユニットは上流側から順にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1画像形成ユニット30Y、第2画像形成ユニット30M、第3画像形成ユニット30C、第4画像形成ユニット30Kが互いに所定距離離間して並設されている。それぞれの画像形成ユニットには、表面に感光体層を有する像保持体としてのドラム状の感光体ドラム1と、この感光体ドラム1を一様に帯電する帯電装置2と、一様に帯電された感光体ドラム1に像光を照射して静電潜像を形成する露光装置3と、潜像にトナーを転移させてトナー像とする現像装置4と、感光体ドラム1に接触する経路で周回可能に張架された無端ベルト状の中間転写ベルト8と、感光体ドラム1上に形成されたトナー像を中間転写ベルト8へ転写する一次転写ロール5と、転写後に感光体ドラム1に残留したトナーを除去するクリーニング装置6と、を備えている。また、用紙トレイ21に収容された記録用紙Pを搬送する記録用紙搬送機構20と、記録用紙P上のトナー像を定着する定着装置7とを備えている。
【0080】
中間転写ベルト8は、一次転写ロール5と、回転駆動されるドライブロール9と、張力を調整するテンションロール10と、バックアップロール11とに掛け回されている。用いられる中間転写ベルト8は、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、フッ素系樹脂などの樹脂材料に、カーボンやイオン導電物質などの導電性付与のための物質を分散させ、表面抵抗率を1010〜1012Ω/□程度(測定電圧:100V)に調整して形成されている。また、中間転写ベルト8を挟んでバックアップロール11と対向する位置には、記録用紙搬送機構20によって搬送される記録用紙P上に中間転写ベルト8上のトナー像を転写する二次転写ロール12が設けられている。また、二次転写ロール12によって記録用紙P上にトナー像を転写した後に、中間転写ベルト8上に残留するトナーを除去するトナー除去装置13を備えている。
【0081】
記録用紙搬送機構20は、ピックアップロール22と、搬送ロール23及び搬送ベルト24と、その搬送移動経路を案内するペーパーガイド26及び27と、排紙ロール25と、排紙トレイ28(不図示)等から成る。そして、用紙トレイ21に収容された記録用紙Pを、二次転写ロール12とバックアップロール11とが中間転写ベルト8を挟んで対向する二次転写位置へ、二次転写位置から定着装置7へ、定着装置7から排紙トレイ28へと搬送駆動する。
【0082】
画像形成装置は、以下に示すように動作し、カラーの画像を形成する。
【0083】
上述した第1〜第4画像形成ユニットは、略同一の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト8の走行方向上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1画像形成ユニット30Yについて代表して説明する。なお、第1画像形成ユニット30Yと同一の機能を有する部材に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した同一参照符合を付すことにより、第2〜第4画像形成ユニット30M、30C、30Kの説明を省略する。
【0084】
第1画像形成ユニット30Yは、像保持体として作用する感光体ドラム1Yを有している。感光体ドラム1Yの周囲には、感光体ドラム1Yの回転方向に順に、帯電装置として感光体ドラム1Yの表面を所定の電位に帯電させる帯電装置2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線によって露光して静電潜像を形成する露光装置3Y、帯電したトナー(現像剤)を供給して前記静電潜像を現像する現像装置4Y(以上の感光体ドラム、帯電装置、露光装置及び現像装置を本発明におけるトナー像形成手段という)、現像したトナー像を中間転写ベルト8上に転写する1次転写ロール(転写手段)5Y、及び、1次転写後に感光体ドラム1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段)6Yが配設されている。なお、1次転写ロール5Yは、中間転写ベルト8の内側に配置され、感光体ドラム1Yに対向した位置に設けられている。さらに、各1次転写ロール5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部(制御手段)による制御によって、各1次転写ロールに印加する転写バイアスを可変する。
【0085】
以下、第1画像形成ユニット30Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。まず、動作に先立って、帯電装置2Yによって感光体ドラム1Yの表面が−600V〜−800V程度の電位に帯電される。帯電装置としてはロール形状の接触帯電装置以外にスコロトロンや固体放電器等の非接触帯電装置を用いてもよい。感光体ドラム1Yは、導電性の金属製基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、電荷発生層と電荷輸送層が順次積層された機能分離型で、通常は高抵抗であるが、レーザ光線が照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体ドラム1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3によりレーザ光線が出力される。レーザ光線は、感光体ドラム1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電潜像が感光体ドラム1Yの表面に形成される。なお、上記感光体ドラムの直径は20〜100mmの範囲が好ましい。静電潜像とは、帯電によって感光体ドラム1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線によって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体ドラム1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線が照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。このようにして感光体ドラム1Y上に形成された静電潜像は、感光体ドラム1Yの回転により所定の現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体ドラム1Y上の静電潜像が、現像装置4Yによって可視像(トナー像)化される。現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロー着色剤と結着樹脂とを含む体積平均粒子径が3〜6μmの範囲のイエロートナーが収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体ドラム1Y表面の帯電荷と同極性(−)の電荷を有している。感光体ドラム1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体ドラム1Y表面の除電された潜像部にのみイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。感光体ドラム1Yは、引き続き回転し、感光体ドラム1Y表面に現像されたトナー像が所定の1次転写位置へ搬送される。感光体ドラム1Y表面のイエロートナー像が1次転写位置へ搬送されると、1次転写ロール5Yに所定の1次転写バイアスが印加され、感光体ドラム1Yから1次転写ロール5Yに向う静電気力がトナー像に作用し、感光体ドラム1Y表面のトナー像が中間転写ベルト8表面に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1画像形成ユニット30Yでは制御部(図示せず)によって+20〜30μA程度に定電流制御されている。一方、感光体ドラム1Y表面の転写残トナーは、クリーニング装置6Yによりクリーニングされる。第2画像形成ユニット30M以降の1次転写ロール5M、5C、5Kに印加される1次転写バイアスも前記と同様に制御されている。
【0086】
こうして、第1画像形成ユニット30Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト8は、第2〜第4画像形成ユニット30M、30C、30Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が同様に重ねられて多重転写される。第1〜第4画像形成ユニットを通して全ての色のトナー像が多重転写された中間転写ベルト8は、矢印方向に周動搬送され、中間転写ベルト8内面に接するバックアップロール11と中間転写ベルト8の像担持面側に配置される2次転写ロール(転写手段)12とから構成された2次転写部へと至る。2次転写部の詳細については後述する。一方、記録用紙(記録媒体)Pが、供給機構を介して2次転写ロール12と中間転写ベルト8との間に所定のタイミングで給紙され、所定の2次転写バイアスが2次転写ロール12に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性(+)であり、中間転写ベルト8から記録用紙Pに向う静電気力がトナー像に作用し、中間転写ベルト8表面のトナー像が記録用紙P表面に転写される。なお、この際の2次転写バイアスは2次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、定電圧で制御されている。その後、記録用紙Pは定着装置(定着手段)7へと送り込まれトナー像が加熱・加圧され、色重ねされたトナー像が溶融されて、記録用紙P表面へ永久定着される。カラー画像の定着が完了した記録用紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
【0087】
本発明の第2の実施の形態におけるプロセスカートリッジは、図11に示す、帯電装置2Y、感光体ドラム1Y、クリーニング装置6Yおよび現像装置4Yが、一体化されて、例えばイエロー用のプロセスカートリッジが構成されている。同様に、帯電装置2M、感光体ドラム1M、クリーニング装置6Mおよび現像装置4Mが、一体化されて、例えばマゼンタ用のプロセスカートリッジが構成され、帯電装置2C、感光体ドラム1C、クリーニング装置6Cおよび現像装置4Cが、一体化されて、例えばシアン用のプロセスカートリッジが構成され、帯電装置2K、感光体ドラム1K、クリーニング装置6Kおよび現像装置4Kが、一体化されて、例えばブラック用のプロセスカートリッジが構成される。
【0088】
第2の実施の形態におけるクリーニング装置6Y,6M,6C,6Kは、上述した第1の実施の形態におけるクリーニング装置6を用い、クリーニング時に、感光体ドラム上に形成された凝集体を除去する際、クリーニング装置6Y,6M,6C,6Kをそれぞれ感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kから離間させてもよい。
【0089】
また、図11および図12の画像形成装置の構成では、クリーニング時に形成された感光体ドラム上の凝集体を現像装置の現像ロールに接触させるために、感光体ドラム1,1Y,1M,1C,1Kを、クリーニング装置6,6Y,6M,6C,6Kのクリーニングブレードの先端エッジ部との接触を解除する方向で、現像装置4,4Y,4M,4C,4Kの現像ロールと接触する位置(ニップ位置)まで回転させている。このような感光体ドラムの回転方向では、感光体ドラム上の凝集体がクリーニングブレードに押圧されないため、凝集体の除去および回収時に、クリーニング装置6,6Y,6M,6C,6Kを感光体ドラム1,1Y,1M,1C,1Kから、離隔する必要はなく、また、クリーニング装置6,6Y,6M,6C,6Kの各クリーニングブレードの圧力を解除する必要はない。
【0090】
なお、凝集体の除去および回収動作は、第1の実施の形態と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0091】
次に、富士ゼロックス製カラー複合機DCC450(図11,図12の構成を有する画像形成装置の一例)において、感光体ドラムと中間転写ベルトがそれぞれ外部操作で適宜逆回転するように改造し、さらに現像ロールも外部操作で適宜回転するように改造して実験を行った。なお、感光体ドラムを逆回転させる角度θ1は、図12に示すように、ブレードプレニップ先端部Xと感光体ドラム中心点Oを結んだ線分XOと、現像ニップ部Zと感光体ドラム中心点Oを結んだ線分ZOとが成す角であり、角度θ1だけ逆転するように制御されている。また、このとき、中間転写ベルトは感光体ドラムと同期して同速度で移動するように制御されている。
【0092】
このような準備の下、逆転のインターバルについて検証した。現像剤として、DCC450のオリジナル現像剤(富士ゼロックス社製)を用いて行った。
【0093】
感光体ドラムが一定量回転した後、逆回転動作と現像ロール回転・外添剤回収動作(以下逆転モードとする)を行い、このような動作を行わない通常モードの場合と感光体磨耗レートを比較した。実験環境は高温・高湿と低温・低湿の2環境で実施し、画像部と非画像部の2条件を掛け合わせた2×2のマトリックスで磨耗レートを評価し平均値を求めた。また感光体ドラム逆転動作のインターバルは走行サイクル数として、50サイクル毎、100サイクル毎、200サイクル毎、500サイクル毎、1000サイクル毎、2000サイクル毎、5000サイクル毎、10000サイクル毎で比較実験した。なお、ランニングしたトータルサイクル数は50000サイクルである。結果を下表に示す。
【0094】
【表2】

表中の評価で、○は効果あり、△はやや効果あり、×は効果なしである。この結果から、逆転モードは感光体磨耗低減に大きな効果があり、最大2/5に減少させることができた。また、逆転インターバルが短いほど平均磨耗レートを低減できることも確認できた。逆転インターバルが5000サイクル程度から効果が現れ、特に500サイクル以下では平均磨耗レートが1/2以下になり、大きな効果が発現することを確認できた。
【0095】
なお、逆転インターバルを非常に短くすると毎分あたりのプリント枚数が低下して生産性が落ちてしまうので、短くても50サイクル毎程度に抑えておくのが好ましい。また、プリントジョブが終了する毎に逆転モードを入れるのも生産性の観点から好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の構成の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるクリーニング装置の構成の一例を示す概略構成図である。
【図3】クリーニングブレードにより感光体ドラムをクリーニングする際のクリーニング状態を説明する図である。
【図4】図3の破線で囲まれた部分の拡大図であって、感光体ドラムが回転している状態における凝集体形成状態を説明する図である。
【図5】図3の破線で囲まれた部分の拡大図であって、感光体ドラムの回転を停止した状態における凝集体の付着状況を説明する図である。
【図6】クリーニングブレードの先端が上向き配置の場合における感光体ドラムが回転している時の凝集体形成状態を説明する図である。
【図7】クリーニングブレードの先端が上向き配置の場合における感光体ドラムの回転を停止した状態における凝集体の付着状況を説明する図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態において、感光体ドラム上の凝集体を除去する際に、クリーニング装置毎感光体ドラムから離間した状態を説明する図である。
【図9】クリーニングブレードの圧力を解除した際の感光体ドラムに付着した凝集体の構成の一例を説明する図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態における画像形成ユニットの構成の一例を示す概略構成図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態における画像形成装置の構成の一例を示す概略構成図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態における画像形成ユニットの構成の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0097】
A 表面凝集体、P 記録用紙、1 感光体ドラム、2 帯電装置、3 像書き込み装置、4 現像ユニット、5 一次転写ロール、6 クリーニング装置、7 定着装置、8 中間転写ベルト、60 クリーニングブレード、61 板金、62 ネジ、63 オーガ、64 クリーナハウジング、65 シール部材、100 画像形成装置。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にトナー像を保持する像保持体の表面に接触して該表面から不要物をクリーニングするクリーニング手段を備え、
現像手段に設けられた現像ロールに前記クリーニング手段の先端に溜まった凝集体が接触する位置まで前記像保持体を回転させ、該凝集体を現像ロールで回収することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
像保持体と、前記像保持体上に形成した静電潜像を顕像化してトナー像とする現像手段と、像保持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体上に転写されたトナー像を定着する定着手段と、転写後の像保持体上の転写残トナーをクリーニングするクリーニング手段とを備え、
前記クリーニング手段は、表面にトナー像を保持して移動する像保持体の表面に接触して該表面から不要物を除去する板状の除去部材と、現像手段に設けられた現像ロールに前記クリーニング手段の先端に溜まった凝集体を接触させるために、前記像保持体を前記現像ロールと接触する位置まで回転させる際に、前記除去部材を前記像保持体から離間させる離間手段と、備え、
前記現像ロールは、前記クリーニング手段の先端に溜まった凝集体を除去することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
像保持体と、前記像保持体上に形成した静電潜像を顕像化してトナー像とする現像手段と、像保持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体上に転写されたトナー像を定着する定着手段と、転写後の像保持体上の転写残トナーをクリーニングするクリーニング手段とを備え、
前記クリーニング手段は、表面にトナー像を保持して移動する像保持体の表面に接触して該表面から不要物を除去する板状の除去部材を備え、
前記現像手段に設けられた現像ロールに前記クリーニング手段の先端に溜まった凝集体を接触させる際に、前記像保持体を画像形成時の回転と逆方向で前記現像ロールと接触する位置まで回転させ、
前記現像ロールは、前記クリーニング手段の先端に溜まった凝集体を除去することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記除去部材との接触位置から前記現像ロールとの接触位置まで前記像保持体を回転移動させている間に、前記現像ロールの回転を開始することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記転写手段は、像保持体上に形成されたトナー像を中間転写体に転写する1次転写手段と、中間転写体上のトナー像を記録媒体上に転写する2次転写手段とを有することを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記像保持体の回転移動時に、前記像保持体の移動速度と前記中間転写体の移動速度とが等しいことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記像保持体の回転移動時に、前記像保持体と前記中間転写体の圧力が解除されることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像形成を終了する度に、前記クリーニング手段の先端に溜まった凝集体を除去するための動作を行うことを特徴とする請求項2から請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記像保持体の回転数をカウントし、定められたカウント数毎に、前記クリーニング手段の先端に溜まった凝集体を除去するための動作を行うことを特徴とする請求項2から請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記像保持体の回転数をカウントし、5000サイクルまでの予め定められたサイクル数毎に、前記クリーニング手段の先端に溜まった凝集体を除去するための動作を行うことを特徴とする請求項2から請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記現像ロールは、ブラックトナー用現像手段に設けられた現像ロールであることを特徴とする請求項2から請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−190943(P2010−190943A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32384(P2009−32384)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】