説明

画像形成装置

【課題】原稿及び成果物の秘匿性を確保することのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】原稿D及びスキャナ部202により画像が読み取られた後の画像読取済み原稿D1を格納する原稿格納庫110及び読取原稿格納庫104と、画像が形成されたシートを格納する成果物格納庫122とを有する格納容器102を自動原稿給送装置300に着脱自在に取り付ける。そして、画像形成部220により画像が形成されたシートを成果物格納庫122に格納する格納通路403を設け、原稿画像を読み取る際には、原稿格納庫110に格納された原稿Dを画像読取部に搬送すると共に画像読取済み原稿D1を読取原稿格納庫104に格納し、シートSに画像が形成された際には、画像が形成されたシートを格納通路403により成果物格納庫122に格納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に原稿及び画像が形成されたシートの秘匿性を確保するための構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタル複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置においては、原稿の画像を読み取る画像読取部と、画像読取部によって読み取った画像情報に基づいてシートに画像を形成する画像形成部を備えたものがある。このような画像形成装置において、シートに画像を形成する場合は、まず原稿搬送部により原稿を画像読取部に搬送し、画像読取部によって原稿画像を読み取った後、画像情報に基づいて画像形成部によりシートに画像を形成する。そして、このようにシートに画像を形成した後、シートをシート排出部に排出する。
【0003】
ところで、従来の画像形成装置の一例である複写機において、利用者が複写操作をする際には、原稿台もしくは原稿搬送部を構成する自動原稿給送装置に複写する原稿を置くことで複写動作(画像形成動作)を開始する。ところが、原稿の複写の際、利用者が複写前や複写済の原稿、複写されたシートである成果物を置き忘れる場合があり、この場合、特に置き忘れた原稿や成果物が他人には見られたくない機密書類等の場合、情報漏洩が発生するおそれがある。
【0004】
そこで、このような置き忘れによる情報漏洩を防止するため、即ち原稿や成果物の秘匿性を確保するため、近年の複写機においては、画像が読み取られた後の原稿を保管する原稿保管部を設けた物がある(特許文献1参照)。また、同様に、機密情報等が複写され、複写機から排出される成果物を、第三者から秘匿する秘匿手段を設けた物がある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−108796号公報
【特許文献2】特開2004−98379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このように原稿保管部や秘匿手段を備えた従来の複写機(画像形成装置)において、複写動作を行っている際、複写しようとしている原稿が覗き見される場合がある。また、原稿台や自動原稿給送装置に置かれた原稿が持ち去られる場合がある。さらに、成果物が、他者の複写行為による成果物と混載される可能性があり、この場合、成果物を無作為的に所有者以外が持ち去っていく場合がある。このように、従来は、原稿及び成果物の秘匿性を確保するのが困難であった。そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、原稿及び成果物の秘匿性を確保することのできる画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、原稿の画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部によって読み取った画像情報に基づいてシートに画像を形成する画像形成部と、を備えた画像形成装置において、画像形成装置本体に着脱自在に取り付けられ、読取前の原稿と、前記画像読取部により画像が読み取られた後の画像読取済み原稿と、画像が形成されたシートと、を格納する格納手段と、前記画像読取部により画像が読み取られた後の画像読取済み原稿を前記格納部へ案内する原稿格納通路と、前記画像形成部により画像が形成されたシートを前記格納部へ案内するシート格納通路と、を備え、前記格納手段に格納された原稿を前記画像読取部に搬送すると共に画像読取済み原稿を前記原稿格納通路により前記格納手段へ案内し、前記原稿の画像情報に基づいて画像が形成されたシートを前記シート格納通路により前記格納手段へ案内することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のように、原稿及び画像読取済み原稿を原稿格納部に格納すると共に、シートに画像が形成された際には、画像が形成されたシートをシート格納通路によってシート格納部に案内することにより、原稿及び成果物の秘匿性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の一例である複写機の構成を示す図。
【図2】上記複写機に着脱自在に取り付けられる格納容器の斜視図。
【図3】上記格納容器を上記複写機の原稿搬送装置に着脱自在に取り付けたときの状態を示す図。
【図4】上記複写機の制御ブロック図。
【図5】上記複写機の格納容器を用いて行われる複写動作を説明するフローチャート。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の一例である複写機に設けられ、格納容器をロックするロック機構の構成を説明する図。
【図7】上記複写機の格納容器を用いて行われる複写動作を説明するフローチャート。
【図8】上記格納容器の他の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の一例である複写機の構成を示す図である。図1において、200は複写機、200Aは画像形成装置本体である複写機本体であり、この複写機本体200Aの上面には画像読取装置201が、また複写機本体200Aの内部には画像形成部220が設けられている。また、250は、複写機本体200の複写動作等を制御する制御部である。
【0011】
画像読取装置201は原稿の画像を読み取る原稿画像読取部であるスキャナ部202と、スキャナ部202の上面に上下方向に開閉回動可能に設けられ、スキャナ部202に原稿を搬送する原稿搬送部である自動原稿給送装置(ADF)300とを備えている。ここで、スキャナ部202は、スキャナ部202の上面に設けられているシート載置台としてのプラテンガラス203と、プラテンガラス203上の原稿の画像を走査して読み取るための画像読取手段204を備えている。
【0012】
自動原稿給送装置300は、プラテンガラス203に載置された原稿を上方より押えるシート押圧部を構成するものであり、スキャナ部202のシート搬送方向と平行な一端に開閉自在に取付けられている。そして、プラテンガラス203上に原稿を載置する場合は、自動原稿給送装置300を開放した後、プラテンガラス203上の所定の画像読み取り位置に原稿を載置するようにしている。
【0013】
また、この自動原稿給送装置300は、原稿が載置される原稿トレイ301と、原稿を給送する給送部302を備えている。ここで、給送部302は、原稿トレイ301に画像形成面を上にした状態で積載された原稿を順次最上位のものから一枚ずつ取出しプラテンガラス203の一端側(図中左端側)に供給するためのものである。そして、この給送部302には、原稿トレイ301に載置された原稿を給送するための原稿給送手段304と、プラテンガラス203上に原稿を搬送する原稿搬送部305とが設けられている。なお、この原稿搬送部305には、プラテンガラス203の上面を覆うように搬送ベルト306が設けられている。また、給送部302には画像が読み取られた後の原稿を、原稿トレイ301に排出するための排紙ローラ307が設けられている。そして、この排紙ローラ307は、搬送ベルト306によってプラテンガラス203の左端側から搬出された原稿を受け取って原稿トレイ301に排出する。
【0014】
次に、このように構成された画像読取装置201の、例えば自動原稿給送装置300によりプラテンガラス上に搬送された原稿の画像を読み取る動作について説明する。この場合、まず自動原稿給送装置300において、原稿トレイ301に載置された原稿を給送部302によりスキャナ部202のプラテンガラス203上に搬送し、この後、原稿は搬送ベルト306により搬送される。次に、原稿は、搬送ベルト306によりプラテンガラス203上の所定の画像読み取り位置に搬送され、この位置で停止する。
【0015】
このように原稿が画像読み取り位置で停止した後、スキャナ部202の画像読取手段204を矢印方向に移動し、原稿画像を読み取る。なお、このように画像読取手段204によって読み取られた画像情報は、後述する図4に示す内部メモリ252に画像情報として格納される。次に、このようにしてスキャナ部202において画像が読み取られた後、例えば画像が読み取られた原稿を原稿トレイ301上に排出する場合は、搬送ベルト306を反転させ、画像読取り済の原稿を排紙ローラ307に搬送する。そして、この後、画像読取り済の原稿は、原稿格納通路307に設けられた排紙ローラ307により案内されて原稿トレイ301に排出される。
【0016】
一方、画像形成部220には、露光手段230、円筒状の感光ドラム221、帯電器222、現像器223、クリーニング装置224が設けられている。さらに、画像形成部220の下流側には定着装置225、排紙ローラ226及び排紙トレイ401を備えたシート排出部271等が配設されている。そして、画像形成部220においてシートに画像を形成する際は、まず既述したように画像読取装置201により読み取られ、内部メモリに格納されている画像情報に基づき、露光手段230が不図示のポリゴンミラー等を介して感光ドラム221に光を照射する。このとき、感光ドラム221の表面は帯電器222により一様に帯電されており、このように光が照射されると、感光ドラム表面に静電潜像が形成され、この静電潜像を現像器223により現像することにより、感光ドラム表面にトナー像が形成される。
【0017】
一方、このようなトナー像形成動作に並行してカセット240にセットされたシートSが給紙ローラ241によってレジストローラ242まで搬送される。次に、シートSは、レジストローラ242によってシート先端と感光ドラム221のトナー像の先端を合わせるようなタイミングで感光ドラム221と転写帯電器243とにより構成される転写部まで搬送される。そして、転写部を通過する際、転写帯電器243に転写バイアスが印加されることにより、感光ドラム上のトナー像がシートSに転写される。次に、トナー像が転写されたシートSは、定着装置225まで搬送され、定着装置225を通過する際に、トナー像が熱定着される。そして、定着されたシートSは、シート排出部309に設けられた排紙ローラ226により排紙トレイ401に排出される。
【0018】
ところで、本実施の形態においては、他人には見られたくない機密書類等の秘匿性を確保すべき原稿を複写する場合がある。この場合には、図2に示す格納手段である格納容器102に機密書類等の原稿を格納した後、この格納容器102を複写機本体200A、例えば図3に示すように自動原稿給送装置300に着脱自在にセットする。ここで、この格納容器102は、格納されている内容物が視認不可となるよう、例えばABS樹脂やポリカーボネート等の不透明な材料により形成されている。なお、半透明の材質であっても、格納された原稿や成果物が視認出来なければ、格納容器102を他の材質のもので形成しても良い。
【0019】
格納容器102は、読取前の原稿Dを格納する第1の格納部である原稿格納庫110と、画像原稿が読み取られた画像読取済み原稿(以下、読取原稿という)D1を格納する第2の格納部である読取原稿格納庫104とを備えた原稿格納部を備えている。また、この格納容器102は、後述するように機密書類等の原稿を複写したシートである成果物S1を格納するシート格納部である成果物格納庫122を備えている。
【0020】
なお、図2において、103は格納容器本体102aに一端が軸支され、格納容器本体102aに開閉自在に設けられた第1の蓋であり、原稿Dを格納する際には、この第1の蓋103を開放して原稿格納庫110に格納する。また、105は格納容器本体102aに一端が軸支され、格納容器本体102aに開閉自在に設けられた第1シャッタであり、読取原稿格納庫104に格納された読取原稿D1を取り出す際には、この第1シャッタ105を開放する。
【0021】
120は格納容器本体102aに一端が軸支され、格納容器本体102aに開閉自在に設けられた第2の蓋であり、成果物格納庫122に格納された成果物S1を取り出す際には、この第2の蓋120を開放して取り出す。107は格納容器本体102aに一端が軸支され、格納容器本体102aに開閉自在に設けられた第2シャッタであり、この第2シャッタ107により原稿格納庫110、読取原稿格納庫104及び成果物格納庫122の一側が閉じられるようになっている。ここで、この第2シャッタ107は、格納容器102を持ち運ぶ際には不図示のバネにより閉じられるようになっている。そして、このように第2シャッタ107が閉じられることにより、格納容器102を持ち運ぶ際、格納容器102から原稿等が飛び出して見られるのを防ぐことができる。
【0022】
なお、第2シャッタ107の下端には係合部106が突設されている。そして、この係合部106は、図3に示すように格納容器102がセットされた際、自動原稿給送装置300に設けられた不図示の突起部に引っかかるようになっており、これにより第2シャッタ107は、不図示のバネに抗しながら下方回動する。ここで、第2シャッタ107が下方回動することにより、原稿格納庫110、読取原稿格納庫104及び成果物格納庫122の一側が開放され、この結果、原稿Dの送り出し、読取原稿D1及び成果物S1の格納が可能となる。なお、格納容器102を自動原稿給送装置300にセットした際、第2シャッタ107以外の第1シャッタ105、第1の蓋103及び第2蓋120は、自動原稿給送装置300と干渉して開放できないように構成されている。
【0023】
ところで、本実施の形態において、全ての原稿Dの読み取りが終了すると、画像形成部220によりシートに画像が形成され、このように画像が形成された成果物S1を格納容器102の成果物格納庫122に格納するようにしている。つまり、本実施の形態においては、画像形成動作を行った場合には、画像形成された成果物S1を格納容器102に格納する構成となっている。そして、このように構成することにより、複写操作を行っている際に、複写しようとしている原稿の覗き見を防止すると共に、自動原稿給送装置300に置かれている原稿や、成果物を実際に取り出して持ち運ぶ際の安全性を保護するようにしている。
【0024】
このため、本実施の形態においては、図3に示すように、画像形成された成果物S1を、格納容器102の成果物格納庫122に格納するため、通常のシートを排紙トレイ401に搬送するシート排出通路402から分岐した格納通路403を備えている。なお、404は、格納通路403とシート排出通路402との分岐点に配され、画像が形成されたシートを選択的に格納通路403に案内するための切換部材であり、この切換部材404は、図4に示すソレノイドSLにより切り替えられる。また、本実施の形態では、成果物S1を選択的に成果物格納庫122に格納する際は、ソレノイドSLをONにして切換部材404を下方回動させるようにしている。
【0025】
なお、図4は、複写機200の制御ブロック図である。図4に示すように制御部250には、ソレノイドSL、不図示のコピーボタン及び表示部253aを備えた操作部253、内部メモリ252、画像形成部220、画像読取装置201が接続されている。また、この制御部250には、後述する第2の実施の形態に係るロック機構600が選択的に接続されている。
【0026】
次に、このような格納容器102を用いて行われる複写機200の複写動作について説明する。まず、ユーザは格納容器102の第1の蓋103を開放することにより、原稿Dを原稿格納庫110に格納し、この後、原稿Dが格納された格納容器102を、図3に示すように自動原稿給送装置300に傾斜した状態でセットする。この際、格納容器102の第2シャッタ107の係合部106が、自動原稿給送装置300に設けられている突起部に引っかかり、第2シャッタ107が開放される。この結果、原稿格納庫110、読取原稿格納庫104及び成果物格納庫122の給送部側が開放され、原稿格納庫110に格納されている原稿Dが自動原稿給送装置300の給送部302の方向に移動する。
【0027】
次に、この状態でコピーボタンが押下されると、自動原稿給送装置300の給送部302により原稿格納庫110に格納されている原稿Dがプラテンガラス203上に送り出され、画像読取手段204により原稿画像が読み取られる。なお、このように画像が読み取られた後、読取原稿D1は、搬送ベルト306の反転と、排紙ローラ307により格納容器102内の読取原稿格納庫104に格納される。なお、このように順次読み取られた原稿Dの画像情報は、一旦、内部メモリ252に格納される。
【0028】
次に、全ての原稿Dの読み取りが終了すると、内部メモリ252に格納した画像情報に基づき画像形成部220により画像形成を行うと共に、ソレノイドをONにして切換部材404を下方回動させる。これにより、画像形成部220により画像が形成された成果物S1は、切換部材404により選択的に格納通路403に案内され、格納容器102の成果物格納庫122に格納される。
【0029】
なお、全ての原稿データがシート上に画像形成され、成果物S1の全てが格納容器102に格納された後、ユーザにより格納容器102は取り外される。そして、ユーザは、この後、第1シャッタ105を開放して読取原稿格納庫104内の読取原稿D1を取り出し、更に成果物S1を第2の蓋120を開放することにより成果物格納庫122から取り出す。
【0030】
次に、このような格納容器102を用いて行われる複写機200の複写動作について図5に示すフローチャートを用いて説明する。ユーザは、他人に見せたくない原稿を複写しようとする場合、まず複写する原稿Dを格納容器102の原稿格納庫110に格納する(S202)。次に、格納容器102を自動原稿給送装置300にセット(接続)する(S203)。この際、第2シャッタ107は、バネに抗しながら下方回動し、これにより原稿格納庫110、読取原稿格納庫104及び成果物格納庫122の給送部側が開放される。
【0031】
次に、ユーザが操作部253に設けられた不図示のコピーボタンを押下すると(S204のY)、原稿格納庫110に格納された原稿Dが自動原稿給送装置300の給送部302によりプラテンガラス203上の画像読み取り位置に順次搬送される。そして、この位置で順次画像読取手段204により原稿が読取られる(S205)。ここで、このように画像読取手段204により順次読み取った原稿画像情報である読取原稿データは内部メモリ252に格納される(S206)。また、このように画像情報が読み取られた読取原稿D1は、排紙ローラ307により搬送されて格納容器102の読取原稿格納庫104に格納される(S207)。
【0032】
次に、このような原稿画像の読み取り及び読取原稿D1の格納を順次行い、やがて読取原稿D1の読取原稿格納庫104への格納が全て終了すると、操作部253に設けられた表示部253aには読取が終了したことを示す「読取終了」が表示される(S208)。この表示の後、内部メモリ252の読み取りデータに基づき画像形成が開始される(S209)。
【0033】
次に、画像形成された成果物S1は、切換部材404の切換によりシート格納通路である格納通路403に搬送され(S210)、排紙ローラ226により、格納容器102の格納場所である成果物格納庫122に格納される(S211)。なお、この後、このように成果物S1が成果物格納庫122に順次格納され、やがて全ての成果物S1が格納されると、操作部253の表示部253aには、成果物S1が格納されたことを示す「格納終了」が表示される(S212)。そして、このような表示が行われると、ユーザは格納容器102を自動原稿給送装置300から取り外す(S213)。
【0034】
次に、このように格納容器102を取り外した後、ユーザは第1シャッタ105を開放して読取原稿格納庫104内の読取原稿D1を取り出し、更に成果物S1を成果物格納庫122の第2の蓋120を開放することにより取り出す。このように、原稿画像を読み取る際には、原稿Dを格納した格納部材102を自動原稿給送装置300に取り付け、自動原稿給送装置300により原稿Dをスキャナ部202に搬送すると共に読取原稿D1を読取原稿格納庫104に格納する。また、成果物S1は、成果物格納庫122に格納する。
【0035】
このように構成することにより、複写操作を実際に行っている際に、複写しようとしている原稿の覗き見を防止し、自動原稿給送装置300に置かれている原稿や、成果物を実際に取り出して持ち運ぶ際の安全性を保護することができる。また、複写する原稿の置き忘れ、成果物の混載、他人による成果物の持ち去り等から発生する情報漏洩を防止することができる。
【0036】
以上説明したように、本実施の形態においては、原稿Dを原稿格納庫110に、読取原稿D1を読取原稿格納庫104にそれぞれ格納すると共に、格納通路403を設け、成果物S1を格納通路403によってシート格納部に格納するようにしている。これにより、原稿D、読取原稿D1及び成果物S1の秘匿性を確保することができる。また、原稿D、読取原稿D1及び成果物S1を同一の格納部材102に格納することができるので、原稿D、読取原稿D1及び成果物S1が持ち去られるおそれもない。
【0037】
ところで、これまで説明したように本実施の形態においては、格納容器102を自動原稿給送装置300にセットした後、原稿画像を読み取り、この後、成果物を格納容器102に格納するようにしている。ここで、このように構成した場合、原稿読み取り中、又は画像形成中、原稿や成果物の目視ができないことから、このようなときでも自動原稿給送装置300にセットされた格納容器102をユーザが誤って取り外さないようにする必要がある。
【0038】
次に、このように画像形成中の場合、ユーザが自動原稿給送装置300から格納容器102を誤って取り外さないようにすることができるようにした本発明の第2の実施の形態について説明する。図6は、本実施の形態に係る自動原稿給送装置300にセットされた格納容器102をユーザが誤って取り外さないように格納容器102をロックするロック機構の構成を説明する図である。
【0039】
図6において、600はロック機構であり、このロック機構600は、格納容器102の格納容器本体102aに形成された係止部102bに係脱自在に係止するレバー602と、レバー602を移動させるアクチュエータ601とを備えている。ここで、このアクチュエータ601はソレノイドやモータ等を備えており、通常は図6の(b)に示すように、格納容器102の原稿給送装置300へのセットを妨げないようにレバー602を下方の退避位置に移動させている。一方、コピーボタンが押下されるとアクチュエータ601が作動し、図6の(a)に示すようにレバー602を格納容器本体102aの係止部102bに入り込ませるようにしている。
【0040】
そして、このようにレバー602が係止部102bに入り込むことにより、図6の(a)の矢印に示す方向に格納容器102を抜き抜こうとしても、引き抜き方向と直交する方向に格納容器102と係合しているレバー602により引き抜きが規制される。なお、後述するように成果物S1が格納容器102の成果物格納部122に格納されると、表示部に成果物が収納された旨の表示が示されると共に、アクチュエータ501にはOFF信号が印加され、アクチュエータ601の作動は解除される。これにより、格納容器102の係合部102bとレバー602の係合が外れてロック機構600による格納容器102の保持が終了し、格納容器102の取り外しが可能となる。
【0041】
次に、このような格納容器102を用いて行われる複写機200の複写動作について図7に示すフローチャートを用いて説明する。ユーザは、他人に見せたくない原稿を複写しようとする場合、まず複写する原稿Dを格納容器102の原稿格納庫110に格納する(S502)。次に、格納容器102を自動原稿給送装置300にセット(接続)する(S503)。この際、第2シャッタ107は、バネに抗しながら下方回動し、これにより原稿格納庫110、読取原稿格納庫104及び成果物格納庫122の給送部側が開放される。
【0042】
次に、ユーザが操作部253に設けられた不図示のコピーボタンを押下すると(S504のY)、ロック機構600のアクチュエータ601にON信号が印加されアクチュエータ601が作動する(S505)。これにより、レバー602が格納容器本体102aの係止部102bに入り込み、抜くことが出来ないように格納容器102が保持される。また、操作部253の表示部253aには、「コピー中につき格納容器は外せません」が表示される(S506)。
【0043】
次に、原稿格納庫110に格納された原稿Dが自動原稿給送装置300の給送部302によりプラテンガラス203上の画像読み取り位置に順次搬送される。そして、この位置で順次画像読取手段204により原稿が読取られ、順次読み取った読取原稿データは内部メモリ252に格納される(S507)。また、このように画像情報が読み取られた読取原稿D1は、排紙ローラ307により搬送されて格納容器102の読取原稿格納庫104に格納される(S508)。
【0044】
次に、このような原稿画像の読み取り及び読取原稿D1の格納を順次行い、やがて読取原稿D1の読取原稿格納庫104への格納が全て終了すると、操作部253に設けられた表示部253aには読取が終了したことを示す「読取終了」が表示される(S509)。この表示の後、内部メモリ252の読み取りデータに基づき画像形成が開始される。
【0045】
次に、画像形成された成果物S1は、切換部材404に切換により格納通路403に搬送され、排紙ローラ226により、格納容器102の格納場所である成果物格納庫122に格納される(S510)。なお、この後、このように成果物S1が成果物格納庫122に順次格納され、やがて全ての成果物S1が格納されると、操作部253の表示部253aには、成果物S1が格納されたことを示す「格納終了」が表示される(S511)。そして、このような表示が行われると、アクチュエータ501にOFF信号が印加されアクチュエータ501の作動は解除される(S512)。そして、このアクチュエータ501の作動解除により格納容器102の係合部102aとレバー602の係合が外れ、ロック機構600による格納容器102の保持(ロック)は終了する。
【0046】
そして、このようなロック機構600の保持(ロック)が終了すると、格納容器102を自動原稿給送装置300から取り外す(S513)。なお、このように格納容器102を取り外した後、ユーザは第1シャッタ105を開放して読取原稿格納庫104内の読取原稿D1を取り出し、更に成果物S1を成果物格納庫122の第2の蓋120を開放することにより取り出す。
【0047】
このように、ロック機構600を設けることにより、原稿読み取り中、又は画像形成中、ユーザが誤って格納容器102を自動原稿給送装置300から取り外さないようにすることができる。なお、これまでの説明においては、原稿と読取原稿を分離して格納することができるよう、図2に示すような3層構造の格納容器103を用いたが、本発明は、これに限らない。例えば、格納容器102を、図8に示すように原稿及び読取原稿D1を同一の第1の格納部104Aに格納するようにして二層式の構成としても良い。この構成の場合、第1の格納部104Aへの原稿の格納及び読取原稿Dの取り出しは、第2シャッタ107を開放することにより行う。
【符号の説明】
【0048】
102…格納容器、104…読取原稿格納庫、110…原稿格納庫、122…成果物格納庫、200…複写機、200A…複写機本体、201…画像読取装置、202…スキャナ部、204…画像読取手段、220…画像形成部、250…制御部、253…操作部、253a…表示部、300…自動原稿給送装置(ADF)、402…シート排出通路、403…格納通路、404…切換部材、600…ロック機構、601…アクチュエータ、602…レバー、D…原稿、D1…読取原稿、S…シート、S1…成果物、SL…ソレノイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部によって読み取った画像情報に基づいてシートに画像を形成する画像形成部と、を備えた画像形成装置において、
画像形成装置本体に着脱自在に取り付けられ、読取前の原稿と、前記画像読取部により画像が読み取られた後の画像読取済み原稿と、画像が形成されたシートと、を格納する格納手段と、
前記画像読取部により画像が読み取られた後の画像読取済み原稿を前記格納部へ案内する原稿格納通路と、
前記画像形成部により画像が形成されたシートを前記格納部へ案内するシート格納通路と、を備え、
前記格納手段に格納された原稿を前記画像読取部に搬送すると共に画像読取済み原稿を前記原稿格納通路により前記格納手段へ案内し、前記原稿の画像情報に基づいて画像が形成されたシートを前記シート格納通路により前記格納手段へ案内することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成部により画像が形成されたシートを排出すると共に、前記格納通路が分岐したシート排出通路と、
前記格納通路と前記シート排出通路との分岐点に設けられ、画像が形成されたシートを選択的に前記格納通路に案内する切換部材と、を備えたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記格納手段は原稿を格納する格納部と、前記画像形成部で画像が形成されたシートを格納する格納部を有することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記格納手段は、原稿を格納する格納部と、画像読取済み原稿を格納する格納部と、前記画像形成部で画像が形成されたシートを格納する格納部を有することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置本体に着脱自在に取り付けられた前記格納手段の取り外しを規制する取り外し規制手段を備え、
前記画像形成部により画像が形成されている間、前記取り外し規制手段により前記格納手段の取り外しを規制することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成部により画像が形成されている間、前記格納手段の取り外しを規制する表示を行う表示手段を備えたことを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−232864(P2010−232864A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77022(P2009−77022)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】