説明

画像形成装置

【課題】受動部材の中心軸と本体駆動部材の中心軸とがずれた場合であっても、駆動力の伝達を良好に行うことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】画像形成装置は、本体駆動部材(本体駆動ギヤ62)と受動部材(感光ドラム47A)との間に配置され、本体駆動部材と受動部材とに回転方向で係合して本体駆動部材から受動部材へ駆動力を伝達させる駆動力伝達部材(カップリング64)を備える。本体駆動部材と駆動力伝達部材とが回転方向で係合する部分である第1接続部は、回転軸方向に直交する第1径方向に移動可能なように、互いに凹凸(第1凹部62C、第1凸部64D)で係合し、駆動力伝達部材と受動部材とが回転方向で係合する部分である第2接続部は、回転軸方向と第1径方向とに直交する第2径方向に移動可能なように、互いに凹凸(第2凹部A1、第2凸部64F)で係合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体に対して移動可能な移動部材と、移動部材に設けられた受動部材に対して装置本体から駆動力を伝達する機構とを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、トナー像を担持して回転する感光ドラムと、感光ドラムに駆動力を伝達する駆動カップリングとを備えた画像形成装置が知られている(特許文献1参照)。具体的に、この技術では、駆動カップリングが軸方向に進退可能となることで、感光ドラムの端部に形成された孔に装着・離脱されるようになっており、装着時においては、駆動カップリングと感光ドラムとが周方向に係合して一体に回転するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−265951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、感光ドラムを有するカートリッジが装置本体に対して着脱可能な構造である場合には、感光ドラムの中心軸と駆動カップリングの中心軸がずれた状態でカートリッジが装置本体に装着される可能性がある。この場合、前述した技術では、感光ドラムの端部に形成された孔に駆動カップリングが入り込んでも、駆動カップリングが感光ドラムの孔の内周面の片側に寄せられて強く当たることで、駆動力の伝達が良好に行われない場合があった。
【0005】
そこで、本発明は、装置本体に対して移動可能な移動部材に回転可能に設けられる受動部材(例えば感光ドラム)の中心軸と、装置本体に回転可能に設けられる本体駆動部材(例えば駆動カップリング)の中心軸とがずれた場合であっても、駆動力の伝達を良好に行うことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、装置本体と、前記装置本体内の収納位置と、前記装置本体外の離脱位置との間で移動可能な移動部材と、前記装置本体に回転可能に設けられ、駆動源から駆動力が伝達される本体駆動部材と、前記移動部材に回転可能に設けられ、前記移動部材が前記収納位置に位置するときに前記本体駆動部材の回転軸方向で当該本体駆動部材と対向する受動部材と、前記本体駆動部材と前記受動部材との間に配置され、前記本体駆動部材と前記受動部材とに回転方向で係合することで前記本体駆動部材から前記受動部材へ駆動力を伝達させる駆動力伝達部材と、を備え、前記駆動力伝達部材が前記本体駆動部材に前記回転軸方向で移動可能に支持されることで、前記駆動力伝達部材と前記受動部材との接続・切り離しが切り替え可能であり、前記本体駆動部材と前記駆動力伝達部材とが前記回転方向で係合する部分である第1接続部は、前記回転軸方向に直交する第1径方向に移動可能なように、互いに凹凸で係合し、前記駆動力伝達部材と前記受動部材とが前記回転方向で係合する部分である第2接続部は、前記回転軸方向と前記第1径方向とに直交する第2径方向に移動可能なように、互いに凹凸で係合していることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、受動部材の中心軸と本体駆動部材の中心軸とがずれた場合であっても、駆動力伝達部材が受動部材と本体駆動部材とに凹凸で係合した状態で第1径方向やこれに直交する第2径方向に移動可能となっているので、あたかもオルダム継手のように受動部材と本体駆動部材に対して駆動力伝達部材が滑りながら動力を伝える。そのため、本体駆動部材から駆動力伝達部材を介して良好に受動部材に駆動力を伝達することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、装置本体に対して移動可能な移動部材に回転可能に設けられる受動部材の中心軸と、装置本体に回転可能に設けられる本体駆動部材の中心軸とがずれた場合であっても、第1径方向および第2径方向に移動可能な駆動力伝達部材によって駆動力の伝達を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係るカラーレーザプリンタの全体構成を示す断面図である。
【図2】装置本体からドロワを引き出した状態を示す断面図である。
【図3】駆動力伝達機構を分解して感光ドラム側から見た分解斜視図(a)と、本体駆動ギヤ側から見た分解斜視図(b)である。
【図4】駆動力伝達機構を第1径方向で切った断面図(a)と、第2径方向で切った断面図(b)である。
【図5】(a),(b)は離脱機構を簡略的に示す説明図である。
【図6】カムでカップリングが押されていない状態を示す上面図(a)と、カムでカップリングが押された状態を示す上面図(b)である。
【図7】(a),(b)は、カップリングと感光ドラムとの接続部分の変形例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明においては、まず、図1により一実施形態に係る画像形成装置の一例としてのカラーレーザプリンタの全体構成を簡単に説明し、その後、本発明の特徴部分について詳細に説明する。
【0011】
<カラーレーザプリンタの全体構成>
図1に示すように、カラーレーザプリンタ1は、装置本体2内に記録シートSHを供給する給紙部30と、この給紙部30から給紙された記録シートSH上に画像を形成する画像形成部40と、この画像形成部40により画像が形成された記録シートSHを装置本体2から排出する排紙部50とを備えている。
【0012】
なお、図1に矢印で示す上下、左右、前後の方向は、カラーレーザプリンタ1の前(手前)側に立った者から見た方向であり、以下の説明において、上下、左右、前後の方向は、特に断りのない限り、図1に矢印で示した方向に準じる。
【0013】
装置本体2の前壁には、後述する移動部材の一例としてのドロワ45を着脱させるための開口部2Aが形成されるとともに、この開口部2Aを開閉するフロントカバー21が揺動可能に設けられている。
【0014】
給紙部30は、装置本体2に着脱可能な給紙トレイ31と、給紙トレイ31から記録シートSHを画像形成部40へ搬送する用紙供給機構32とを備えている。用紙供給機構32は、公知の給紙ローラ、分離ローラ、分離パッドなど(符号省略)を有し、給紙トレイ31内の記録シートSHを一枚ずつ分離して上方の画像形成部40へ搬送する。
【0015】
画像形成部40は、スキャナ部41、プロセス部42、転写部43および定着部44を備えている。
【0016】
スキャナ部41は、図示はしないが、レーザ発光部、ポリゴンミラー、複数のレンズおよび反射鏡を備えている。スキャナ部41では、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色に対応したレーザ光を、プロセス部42の各感光ドラム47Aに照射する。
【0017】
プロセス部42は、スキャナ部41と転写部43の間に配置されて装置本体2に着脱可能に装着されるドロワ45を備えている。ドロワ45は、フロントカバー21を開放した状態において、装置本体2内の収納位置(図1の位置)と、装置本体2外の離脱位置(図2の位置)との間で移動可能となっている。そして、このドロワ45内には、4つ(複数)のプロセスカートリッジ46が記録シートSHの搬送方向に沿って配列されている。
【0018】
各プロセスカートリッジ46は、下部に配置されたドラムサブユニット47と、ドラムサブユニット47に着脱可能に連結される現像ユニット48と、現像ユニット48に着脱可能に連結される現像剤カートリッジ49とを備えている。
【0019】
ドラムサブユニット47は、受動部材(感光体)の一例としての感光ドラム47Aや、スコロトロン型帯電器(符号省略)などを備えている。感光ドラム47Aは、ドラムサブユニット47に回転可能に支持されている。すなわち、感光ドラム47Aは、ドロワ45にドラムサブユニット47を介して間接的に支持されている。
【0020】
現像ユニット48は、現像ローラ48Bや供給ローラ48A等を備えている。また、現像剤カートリッジ49内には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色の非磁性一成分のトナー(現像剤)が収容されている。
【0021】
このように構成されるプロセス部42では、スコロトロン型帯電器によって帯電された感光ドラム47Aの表面が、スキャナ部41から出射されるレーザ光によって露光されることで、その露光部分の電位が下がって感光ドラム47A上に画像データに基づく静電潜像が形成される。さらに、感光ドラム47Aに接触する現像ローラ48Bによって帯電されたトナーが感光ドラム47A上の静電潜像に供給されることで、感光ドラム47A上にトナー像が担持される。
【0022】
転写部43は、駆動ローラ43A、従動ローラ43B、搬送ベルト43Cおよび転写ローラ43Dを備えている。
【0023】
搬送ベルト43Cは、複数の感光ドラム47Aに対向して配置される。この搬送ベルト43Cは、駆動ローラ43Aの回転駆動により、従動ローラ43Bとともに回転駆動される。そして、この搬送ベルト43Cの内側には、各感光ドラム47Aとの間で搬送ベルト43Cを挟み込む転写ローラ43Dが配置されている。転写ローラ43Dには、図示しない高圧基板から転写バイアスが印加される。
【0024】
そして、転写部43では、搬送ベルト43Cによって搬送される記録シートSHが、感光ドラム47Aと転写ローラ43D間に供給されると、感光ドラム47A上のトナー像が記録シートSHに転写される。
【0025】
定着部44は、加熱ローラ44Aおよび加圧ローラ44Bを備えている。この定着部44では、加熱ローラ44Aと加圧ローラ44Bとの間で記録シートSHを挟持しつつ送り出すことで、記録シートSH上のトナー像を熱定着させる。
【0026】
排紙部50は、複数の搬送ローラ(符号省略)を有しており、定着部44から排出された記録シートSHを、上方の排紙トレイ53へ搬送する。
【0027】
<感光ドラムへの駆動力伝達機構>
次に、本発明の特徴部分である感光ドラム47Aへの駆動力伝達機構について説明する。
【0028】
図3(a)に示すように、感光ドラム47Aへ駆動力を伝達する駆動力伝達機構60は、モータ等の駆動源61と、本体駆動部材の一例としての本体駆動ギヤ62と、付勢部材の一例としてのコイルバネ63と、駆動力伝達部材の一例としてのカップリング64とを備えている。
【0029】
駆動源61は、装置本体2の適所に設けられており、本体駆動ギヤ62に直接または所定数のギヤを介して連結されることで間接的に本体駆動ギヤ62に駆動力を伝達している。
【0030】
本体駆動ギヤ62は、装置本体2に回転可能に設けられており、主に、駆動源61から駆動力61が伝達されるギヤ部62Aと、ギヤ部62Aの中心部からカップリング64に向けて突出する突出部62Bとを有している。突出部62Bの外周面には、本体駆動ギヤ62の回転軸方向に沿う第1凹部62Cが回転軸を挟んで対向するように一対設けられている。なお、突出部62Bの外周面のうち各第1凹部62Cの間に形成される一対の凹部62Dは、ギヤ精度向上のための対称性(本体駆動ギヤ62の回転バランス)を考慮して形成された凹部である。
【0031】
そして、各第1凹部62Cのカップリング64側の端部には、図4(a)に示すように、本体駆動ギヤ62の径方向外側に突出する係止部の一例としての係止リブ62Eがそれぞれ形成されている。
【0032】
コイルバネ63は、本体駆動ギヤ62とカップリング64との間に配設されており、本体駆動ギヤ62とカップリング64とを互いに離す方向に付勢している。
【0033】
図3(a),(b)に示すように、カップリング64は、本体駆動ギヤ62と感光ドラム47Aとの間に配置されており、本体駆動ギヤ62と感光ドラム47Aに回転方向で係合することで本体駆動ギヤ62から感光ドラム47Aへ駆動力を伝達している。具体的に、カップリング64は、本体駆動ギヤ62の突出部62Bが入り込む筒部64Aと、筒部64Aの感光ドラム47A側の端部を閉鎖して感光ドラム47Aと対向する壁64Bとを主に有している。
【0034】
筒部64Aの外周面には、径方向外側に延出する環状フランジ64Cが形成されており、この環状フランジ64Cと本体駆動ギヤ62のギヤ部62Aとが前述したコイルバネ63で離れるように押圧されている。
【0035】
筒部64Aの内周面には、回転軸方向に沿う第1凸部64Dが回転軸を挟んで対向するように一対設けられている。そして、この第1凸部64Dは、本体駆動ギヤ62の第1凹部62Cに入り込んだ状態において、第1凹部62Cに対して回転方向に係合する。すなわち、本実施形態では、第1凸部64Dと第1凹部62Cとで第1接続部が構成されている。
【0036】
また、第1凸部64Dは、第1凹部62Cに対して回転軸方向へ移動可能となっている。すなわち、カップリング64が本体駆動ギヤ62に回転軸方向で移動可能に支持されており、これにより、カップリング64と感光ドラム47Aとの接続・切り離しが切り替え可能となっている。
【0037】
また、各第1凸部64Dの本体駆動ギヤ62側の端部には、径方向内側へ突出する係止部の一例としての係止爪64Eがそれぞれ形成されている。そして、各係止爪64Eは、図4(a)に示すように、本体駆動ギヤ62の各係止リブ62Eと回転軸方向で係合可能となっており、これにより、カップリング64が感光ドラム47A側へ移動すること(本体駆動ギヤ62から脱落すること)が規制されている。
【0038】
また、筒部64Aと本体駆動ギヤ62の突出部62Bは、互いに嵌められたときに、2つの第1凸部64Dが並ぶ方向(以下、「第1径方向」という。)に隙間ができるように構成されている。さらに、各係止爪64Eの先端と、本体駆動ギヤ62の各第1凹部62Cの底面との間にも隙間ができるようになっている。これにより、カップリング64が、本体駆動ギヤ62に対して第1径方向に移動可能となっている。
【0039】
図3(a)に示すように、壁64Bには、感光ドラム47Aに向けて突出する第2凸部64Fが、回転軸を挟んで対向するように一対設けられている。具体的に、各第2凸部64Fは、前記第1径方向と回転軸方向とに直交する第2径方向で対向するように配置されており、それぞれ先端が丸まった円柱状に形成されている。また、壁64Bの中心部には孔64Gが形成されており、これにより、カップリング64が本体駆動ギヤ62に近付く方向に移動したときに、本体駆動ギヤ62を回転可能に支持する軸(図示せず)と壁64Bとの干渉が防止されている。
【0040】
図3(b)に示すように、感光ドラム47Aの端部には、カップリング64の各第2凸部64Fと係合可能な4つの第2凹部A1が、互いに90°ずれるように形成されている。そして、一対の第2凹部A1に一対の第2凸部64Fが入り込んだ状態において、第2凸部64Fと第2凹部A1とが回転方向で係合する。すなわち、本実施形態では、第2凸部64Fと第2凹部A1とで第2接続部が構成されている。
【0041】
また、各第2凹部A1は、それぞれ径方向に沿った溝状に形成されている。これにより、図4(b)に示すように、一対の第2凹部A1に一対の第2凸部64Fが入り込んだ状態では、カップリング64が感光ドラム47Aに対して前記第2径方向(一対の第2凸部64Fが並ぶ方向)に移動可能となっている。
【0042】
また、図3(a),(b)に示すように、装置本体2には、カップリング64を本体駆動ギヤ62に向けて押すことで、カップリング64を感光ドラム47Aから離脱させる離脱機構70が設けられている。離脱機構70は、図5(a)に簡略的に示すように、4つのカム71と、各カム71を支持する支持アーム72と、支持アーム72とフロントカバー21とを連結させる連結アーム73とを備えている。なお、この図5では、便宜上、カム71をドットのハッチングで示す。
【0043】
カム71は、図6(a)に示すように、後方に向かうにつれて左側に傾斜する傾斜面71Aを有しており、この傾斜面71Aはカップリング64の環状フランジ64Cと前後方向(回転軸方向に直交する方向)で当接可能となっている。
【0044】
そして、図5(a),(b)に示すように、ユーザがフロントカバー21を開放させると、フロントカバー21の開放動作に連動して連結アーム73および支持アーム72が前方に引っ張られて各カム71が前方に移動する。これにより、図6(b)に示すように、カム71の傾斜面71Aでカップリング64の環状フランジ64Cがコイルバネ63の付勢力に抗して押されて、カップリング64が感光ドラム47Aから外れ、ドロワ45を引き出すことが可能となっている。
【0045】
また、ドロワ45を前述した離脱位置から収納位置に移動させることで装置本体2に装着すると、ドロワ45で支持された各感光ドラム47Aが、各カップリング64と回転軸方向で対向する。この状態において、図5(b),(a)の順で示すように、フロントカバー21を閉じると、各カム71で抑えられていた各カップリング64が、図6(a)に示すように、コイルバネ63の付勢力によって右側に移動して、各感光ドラム47Aに接続される。
【0046】
この際、感光ドラム47Aの中心軸と本体駆動ギヤ62の中心軸とがずれたとしても、カップリング64が感光ドラム47Aと本体駆動ギヤ62とに回転方向で係合した状態で第1径方向やこれに直交する第2径方向に移動可能となっているので、あたかもオルダム継手のように感光ドラム47Aと本体駆動ギヤ62に対してカップリング64が滑りながら動力を伝える。そのため、本体駆動ギヤ62からカップリング64を介して良好に感光ドラム47Aに駆動力を伝達することができる。
【0047】
また、本実施形態では、前述した効果の他、以下のような効果を得ることができる。
本体駆動ギヤ62の突出部62Bの外周面とカップリング64の筒部64Aの内周面とに第1凹部62Cおよび第1凸部64Dを設けることで、第1凹部62Cおよび第1凸部64Dを筒部64Aで覆うことができるので、第1凹部62Cと第1凸部64Dの間に塵埃が溜まって摺動性が悪くなるのを抑えることができる。
【0048】
本体駆動ギヤ62の突出部62Bの外周面に第1凹部62Cを形成し、カップリング64の筒部64Aの内周面に第1凸部64Dを形成したので、これとは逆に突出部の外周面に凸部、筒部の内周面に凹部を形成する構造に比べ、凸部の根元部分を径方向外側に位置させることができる。ここで、凸部の根元部分にかかる力は、トルク÷半径で算出されるので、凸部の根元部分が径方向外側に位置する程、根元部分にかかる力は小さくなる。したがって、前記実施形態では、前述したような逆の構造に比べ、第1凸部64Dの根元部分にかかる力を小さくすることができるので、第1凸部64Dが変形し難くなり、2部品の係合部分の精度を保つことができ、常に一定の駆動力を伝達することができる。また、第1凸部64Dの根元部分にかかる力が小さくなることにより、第1凸部64Dが折れてしまうことも抑えることができる。
【0049】
カップリング64を本体駆動ギヤ62から離す方向に付勢するコイルバネ63を設けたので、カップリング64を本体駆動ギヤ62に向けて押すカム71を装置本体2に設けるだけで、カップリング64を感光ドラム47Aに対して進退させることができる。すなわち、カップリング64を本体駆動ギヤ62から離す機構を装置本体2に別途設けなくても済むので、装置を簡易化することができる。
【0050】
本体駆動ギヤ62に設けた係止リブ62Eと、カップリング64に設けた係止爪64Eとで、カップリング64が感光ドラム47A側へ移動するのを規制するので、コイルバネ63の付勢力で本体駆動ギヤ62からカップリング64が外れるのを防止できる。
【0051】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
前記実施形態では、受動部材として感光ドラム47Aを採用したが、本発明はこれに限定されず、例えば現像ローラなどであってもよい。ただし、受動部材として感光ドラムを採用した場合には、軸心がずれても複数の感光ドラムを常に一定の回転速度で回転させることができるので、色ずれなどを防止することができる。
【0052】
前記実施形態では、駆動力伝達部材(カップリング64)に設ける凸部(第2凸部64F)をそれぞれ先端が丸まった円柱状としたが、本発明はこれに限定されず、2つの凸部をそれぞれ異なる形状に形成してもよい。例えば、図7(a)に示すように、一方の凸部81を先端が丸まった板状に形成し、他方の凸部82を凸部81よりも径方向に長く形成してもよい。
【0053】
この場合は、図7(b)に示すように、感光ドラム83の端面に、前述した他方の凸部82に係合可能なように径方向に長く形成される凹部84を1つだけ形成する。また、残り3つの凹部85は、前述した他方の凸部82が係合不能で、かつ、前述した一方の凸部81が係合可能なように凹部84よりも径方向に短く形成する。
【0054】
これによれば、他方の凸部82が必ず凹部84に係合することで、感光ドラム83とカップリング86とを回転方向で常に同じ向き(同じ位相)で係合させることができるので、ドロワ45を着脱しても、複数の感光ドラム83の位相を常に揃えることができる。そして、このように感光ドラム83とカップリング86とを常に同じ向きで係合させることで、感光ドラム83の振れとカップリング86との振れ等の精度を常に合わせることができるので(一定の関係にできるので)、精度の良い印字制御を容易に行うことができ、高画質化を図ることができる。
【0055】
前記実施形態では、本体駆動部材として本体駆動ギヤ62を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばベルトが掛け回されて当該ベルトから駆動力が伝達されるローラなどを採用してもよい。
【0056】
前記実施形態では、本体駆動部材(本体駆動ギヤ62)に凹部(第1凹部62C)を設け、駆動力伝達部材(カップリング64)に凸部(第1凸部64D)を設けたが、本発明はこれに限定されず、本体駆動部材に凸部を設け、駆動力伝達部材に凹部を設けてもよい。また、前記実施形態とは逆に、駆動力伝達部材に凹部を設け、この凹部に係合する凸部を受動部材(感光ドラム47A)に設けてもよい。さらに、前記実施形態とは逆に、本体駆動部材に筒部を設け、駆動力伝達部材に突出部を設けてもよい。
【0057】
前記実施形態では、カム71を前後方向に移動させたが、本発明はこれに限定されず、例えばカムを上下方向に移動させることで駆動力伝達部材を回転軸方向に押すようにしてもよい。
前記実施形態では、付勢部材としてコイルバネ63を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えば線バネや皿バネなどを採用してもよい。
【0058】
前記実施形態では、本体駆動部材(本体駆動ギヤ62)および駆動力伝達部材(カップリング64)の両方に係止部(係止リブ62E、係止爪64E)を設けたが、本発明はこれに限定されず、係止部は本体駆動部材および駆動力伝達部材の少なくとも一方に設ければよい。例えば、本体駆動部材から駆動力伝達部材の中心を貫通するように延びて、駆動力伝達部材の受動部材側の端面に当接する鉤状の係止部のみを設けてもよい。
【0059】
前記実施形態では、カラーレーザプリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
前記実施形態では、感光体として感光ドラム47Aを採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばベルト状の感光体を採用してもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 カラーレーザプリンタ
2 装置本体
2A 開口部
21 フロントカバー
45 ドロワ
47A 感光ドラム
60 駆動力伝達機構
61 駆動源
62 本体駆動ギヤ
62B 突出部
62C 第1凹部
62E 係止リブ
63 コイルバネ
64 カップリング
64A 筒部
64B 壁
64D 第1凸部
64E 係止爪
64F 第2凸部
70 離脱機構
71 カム
72 支持アーム
73 連結アーム
A1 第2凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体内の収納位置と、前記装置本体外の離脱位置との間で移動可能な移動部材と、
前記装置本体に回転可能に設けられ、駆動源から駆動力が伝達される本体駆動部材と、
前記移動部材に回転可能に設けられ、前記移動部材が前記収納位置に位置するときに前記本体駆動部材の回転軸方向で当該本体駆動部材と対向する受動部材と、
前記本体駆動部材と前記受動部材との間に配置され、前記本体駆動部材と前記受動部材とに回転方向で係合することで前記本体駆動部材から前記受動部材へ駆動力を伝達させる駆動力伝達部材と、を備え、
前記駆動力伝達部材が前記本体駆動部材に前記回転軸方向で移動可能に支持されることで、前記駆動力伝達部材と前記受動部材との接続・切り離しが切り替え可能であり、
前記本体駆動部材と前記駆動力伝達部材とが前記回転方向で係合する部分である第1接続部は、前記回転軸方向に直交する第1径方向に移動可能なように、互いに凹凸で係合し、
前記駆動力伝達部材と前記受動部材とが前記回転方向で係合する部分である第2接続部は、前記回転軸方向と前記第1径方向とに直交する第2径方向に移動可能なように、互いに凹凸で係合していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記本体駆動部材および前記駆動力伝達部材の一方には、他方に向けて突出する突出部が設けられ、他方には前記突出部が入り込む筒部が設けられ、
前記突出部と前記筒部は、互いに嵌められたときに、前記第1径方向に隙間ができるように構成され、
前記第1接続部は、前記突出部の外周面と前記筒部の内周面に設けられた凹凸であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記本体駆動部材には前記突出部が設けられ、
前記駆動力伝達部材には前記筒部が設けられ、
前記突出部の外周面に前記回転軸方向に沿う第1凹部が設けられ、
前記筒部の内周面に前記回転軸方向に沿う第1凸部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記駆動力伝達部材は、前記筒部の前記受動部材側の端部を閉鎖して前記受動部材と対向する壁を有し、
前記第2接続部は、前記壁および前記受動部材の一方に設けられる第2凸部と、他方に設けられて前記第2凸部と係合する第2凹部とで構成されていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記駆動力伝達部材を前記本体駆動部材に向けて押すことで、前記駆動力伝達部材を前記受動部材から離脱させる離脱機構を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記移動部材を前記収納位置から前記離脱位置に移動させるために前記装置本体に形成される開口部と、
前記開口部を開閉するカバーと、を備え、
前記離脱機構が、
前記カバーの開放動作に連動して前記回転軸方向に直交する方向へ移動するカムを有し、当該カムで前記駆動力伝達部材を前記本体駆動部材に向けて押すように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記本体駆動部材と前記駆動力伝達部材との間には、前記本体駆動部材と前記駆動力伝達部材とを互いに離す方向に付勢する付勢部材が設けられ、
前記本体駆動部材および前記駆動力伝達部材の少なくとも一方には、前記駆動力伝達部材が前記受動部材側へ移動するのを規制する係止部が設けられていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記受動部材は、静電潜像が形成される感光体であることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−256766(P2010−256766A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109003(P2009−109003)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】