説明

画像形成装置

【課題】感度が高く、迅速な寄り補正を行うことにより、高画質の画像を安定して形成する画像形成装置を提供する。
【解決手段】ベルトユニットを位置決めしている4個の位置決め部材の内の1個を調整可能とし、該1個の位置決め部材の調整により、ベルトユニットを変形させ、ベルトユニットを構成している複数のローラを変位させてベルトの寄りを補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、或いはこれらの機能を合わせ持つ複合機に用いられる画像形成装置、特に、無端状の像担持体ベルトを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真画像形成装置で代表されるこの種の画像形成装置はカラー画像形成装置として広く普及している。
【0003】
カラー画像形成装置等のように高画質画像形成装置では、感光体や中間転写体である像担持体ベルトの寄りが問題となる。
【0004】
像担持体のベルト寄りが発生することにより、像担持体上の画像位置が変化したり、像担持体の平面性が低下する結果、画質が低下する場合があるとともに、著しいベルト寄りが発生した場合、機械が故障するという事態になる。
【0005】
ベルト寄り防止技術としては、ベルトの側端をリブで規制するものがある。
【0006】
また、特許文献1では、中間転写ベルトが張架される複数のローラの内の1本をステアリングローラとし、該ステアリングローラを傾動させることにより中間転写ベルトの寄りを補正している。
【特許文献1】特開2001−125390号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
リブ規制によるベルト寄り防止では、ベルト面方向に不均等な力が作用する結果、ベルトが屈曲して、ベルトの表面の平面性が低下するという問題があり、画像形成装置における像担持体のように高度な平面性が要求される部品の寄りを防止するには不十分である。
【0008】
また、リブのベルト寄り規制性能は、リブの位置精度により大きく左右される。このために、リブに、画像形成装置に使用するのに十分なベルト寄り性能を持たせるには、リブをベルトに高精度で貼り付けることが要求され、高度な技術が必要になるとともにコストが高くなる。
【0009】
特許文献1に開示されたベルト寄り防止技術は調整の感度が低く、画像形成装置のベルト寄り防止には不十分である。
【0010】
即ち、調整の感度が低いために、寄りに対して調整が追従できない場合がある。
【0011】
中間転写ベルトや感光体等の像担持体ベルトは、2個のローラでは広い面積の平坦面を形成することが困難であるために、3本以上のローラに張架され、かつ、像担持体ベルトやローラを含むベルトユニットは、画像形成装置の横幅にほぼ等しい長さを有し、容積、質量ともに、相当に大きな部品である。
【0012】
このために、1本のステアリングローラによる調整では、寄りを起こしたベルトを移動させて正規位置に戻すのに十分な力を発生させることが困難である。結果として、カラー画像形成の場合に色ズレ等の問題が発生する。
【0013】
ベルトの寄りの原因の一つに画像形成装置本体の歪みや傾斜があるが、画像形成装置本体の歪みや傾斜は、画像形成装置が設置される床の平面性が良くない場合に多く発生し、市場での発生確率は低くない。
【0014】
前記に説明したように従来のベルト寄り防止技術が不十分であったために、画像形成装置の本体の骨格を強化する必要が生じ、コストをアップさせていた。
【0015】
本発明は画像形成装置における従来のベルト寄り防止技術における前記の問題を解決し、色ずれ等がなく高画質の画像を安定して形成する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的は下記の発明により達成される。
【0017】
1.複数のローラ及び該ローラに張架された無端状の像担持体ベルトを有するベルトユニット並びに、前記像担持体ベルト上に画像を形成する画像形成部及び前記ベルトユニットを支持するユニット支持部を有する画像形成装置本体を備えた画像形成装置において、
前記ベルトユニットは、その4隅に配置された4個のユニット側位置決め部材を有するとともに、
前記ユニット支持部は、前記ユニット側位置決め部材の内の1個を支持する可動本体側位置決め部材、前記ユニット側位置決め部材の内の残る3個を支持する固定本体側位置決め部材及び前記可動本体側位置決め部材を変位させる駆動手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【0018】
2.前記駆動手段により、前記ローラの複数が移動し調整されることを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
【0019】
3.前記ベルトユニットは、前記画像形成装置本体に着脱可能であることを特徴とする前記1又は前記2に記載の画像形成装置。
【0020】
4.前記像担持体の寄りを検知するベルト寄り検知手段を有し、前記駆動手段は前記ベルト寄り検知手段の信号に基づいて、前記可動本体側位置決め部材を変位させることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0021】
本発明においては、ベルト寄り補正において、ベルトユニット自体の1隅を変位させている。
【0022】
これにより複数のローラが軸方向の1端部で変位する。したがって、複数ローラにおいて、ベルトを正規位置に戻す力が発生する。
【0023】
結果として、寄りを補正する大きな力が発生し、この大きな力によって、寄りを起こしたベルトが迅速に正規位置に復帰し、常にベルト寄りの少ない状態で像担持体ベルトが周回運動する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に本発明の実施の形態に基づいて、本発明を説明するが、本発明は該実施の形態に限られない。
【0025】
図1は本発明に係る画像形成装置の全体構成を示すである。本画像形成装置は画像形成装置本体GH、画像読取装置YS等で構成される。画像形成装置本体GHは、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、複数組の画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kからなる画像形成部、中間転写ベルト6、2次転写ローラ7A、定着装置9等で構成される。
【0026】
画像形成装置本体GHの上には、自動原稿送り装置501と原稿画像走査露光装置502からなる画像読取装置YSが設置されている。自動原稿送り装置501の原稿台上に載置された原稿dは搬送手段により搬送され、原稿画像走査露光装置502の光学系により原稿の片面又は両面の画像が走査露光され、ラインイメージセンサCCDに読み込まれる。
【0027】
ラインイメージセンサCCDにより光電変換されて形成された信号は、画像処理部において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等が行われた後、露光手段3Y,3M,3C,3Kに送られる。
【0028】
イエロー(Y)色の画像を形成する画像形成ユニット10Yは、感光体ドラム1Y、帯電手段2Y、露光手段3Y、現像装置4Y、一次転写ローラ7Y及びクリーニング手段8Yを有する。帯電手段2Y、露光手段3Y、現像装置4Y、一次転写ローラ7Y及びクリーニング手段8Yは図示のように、感光体ドラム1Yの周囲に配置される。
【0029】
マゼンタ(M)色の画像を形成する画像形成ユニット10Mは、感光体ドラム1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像装置4M、一次転写ローラ7M及びクリーニング手段8Mを有する。シアン(C)色の画像を形成する画像形成ユニット10Cは、感光体ドラム1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像装置4C、一次転写ローラ7C及びクリーニング手段8Cを有する。黒(K)色の画像を形成する画像形成ユニット10Kは、感光体ドラム1K、帯電手段2K、露光手段3K、現像装置4K、一次転写ローラ7K及びクリーニング手段8Kを有する。そして、帯電手段2Yと露光手段3Y、帯電手段2Mと露光手段3M、帯電手段2Cと露光手段3C、及び帯電手段2Kと露光手段3Kは、潜像形成手段を構成する。
【0030】
なお、現像装置4Y,4M,4C,4Kは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び黒(K)の小粒径のトナーとキャリアからなる2成分現像剤を内包する。
【0031】
中間転写ベルト6は、駆動ローラ61、バックアップローラ62及びアイドラーローラ63、64、65に張架され、図示のように水平方向に長いベルトユニット60を構成する。
【0032】
バックアップローラ62は二次転写ローラ7Aに対向する。
【0033】
一次転写ローラ7Y、7M、7C,7Kは中堅転写体7の水平部分に接触する。
【0034】
定着装置9は、定着ローラ93及び加圧ローラ94を有し、定着ローラ93と加圧ローラ94との間に形成されたニップ部で記録紙P上のトナー像を加熱・加圧して定着する。
【0035】
画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kにより形成された各色の画像は、回動する中間転写ベルト6上に一次転写ローラ7Y,7M,7C,7Kにより逐次転写され合成されてカラートナー像が形成される。
【0036】
記録紙収納手段である給紙トレイ21内に収容された記録紙Pは、給紙手段20の給紙ローラ22により1枚分離されて給紙され、給紙ローラ23を経て、停止状態にあるレジストローラ24へ給紙される。そこで一旦停止されて、その先端と中間転写ベルト6上のトナー像との位置関係が正確に一致するタイミングで、そのレジストローラ24が回転を開始することにより二次転写ローラ7Aに給紙され、記録紙P上にカラー画像が転写される(二次転写)。カラートナー像が転写された記録紙Pは定着装置9において加熱・加圧され、記録紙P上のカラートナー像が定着される。その後、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。
【0037】
一方、二次転写ローラ7Aにより記録紙Pにカラートナー像を転写した後、記録紙Pを曲率分離した中間転写ベルト6は、中間転写ベルトクリーニング手段8Aにより残留トナーが除去される。
【0038】
図2、3によりベルトユニット及びユニット支持部を説明する。図2は中間転写ベルト6が取り除かれたベルトユニット60を示し、図3はベルトユニット60の骨格及びユニット支持部を示す。
【0039】
中間転写ベルト6が張架される一次転写ローラ7Y、7M、7C、7K、駆動ローラ61、バックアップローラ62及びアイドラーローラ63、64、65は画像形成装置の手前側のパネル71と奥側のパネル72とにより回転可能に支持される。
【0040】
ベルトユニット60は、その手前側左隅、手前側右隅、奥側左隅及び奥側右隅に設けられたユニット側位置決め部材としての4個のピン76〜79を有し、該4個のピン76〜79により、画像形成装置本体GH(図1に示す)の所定位置に高い精度で位置付けられる。
【0041】
4個のピン76(手前側左隅)、77(手前側右隅)、78(奥側左隅)及び79(奥側右隅)を図3(a)に示す。
【0042】
奥側のピン77、79はパネル72に固定され、手前側左隅のピン76は、パネル71に固定された補強版75に固定され、手前側右隅のピン77はパネル71に固定された補強版74に固定されている。
【0043】
パネル71とパネル72とは、ステー73A、73B、73Cにより結合されている。
【0044】
図3(a)の矢印W1のように、ベルトユニット60を画像形成装置本体GH(図1に示す)に挿入すると、ピン77〜79が画像形成装置本体GHに設けられた位置決め孔に嵌入し、ベルトユニット60が画像形成装置本体GH内の正確な位置に装着される。
【0045】
図3(b)は画像形成装置本体GHのユニット支持部を示す。
【0046】
ベルトユニット60を支持するユニット支持部は支持フレーム84及び位置決め部材80〜83を有する。
【0047】
支持フレーム84には固定本体側位置決め部材としての位置決め部材81、82、83が固定されている。図示のように位置決め部材81〜83には、孔が形成される。
【0048】
位置決め部材81の孔にはピン77が、位置決め部材82の孔にはピン78が、位置決め部材88の孔にはピン79が、それぞれ嵌入する。
【0049】
これに対して手前左隅のピン76は、調整により移動可能な可動本体側位置決め部材としての位置決め部材80の長孔80Aに嵌入する。
【0050】
調整は中間転写ベルト6の寄りを調整するものであるが、ピン76はこの調整によって上下に変位する。
【0051】
図4は、ピン76の駆動機構を示す。
【0052】
ピン76は位置決め部材80に設けられた長孔80Aに嵌入している。
【0053】
位置決め部材80は、歯車G3に噛み合う部分歯車80Bを有する。
【0054】
位置決め部材80はウォームG4、歯車G1〜G3からなる減速伝動機構を介して駆動手段としてのモータMにより駆動されて回転し、ピン76は矢印W2のように上下に変位する。
【0055】
これにより、水平に長く扁平な形状のベルトユニット60は、手前左隅のみが、調整時に上下に変位し、他の3隅は位置決め部材81〜83により固定されているので変位しない。即ち、ベルトユニット60は調整時に変形する。
【0056】
図5はベルトユニット60の変形を示す。
【0057】
図示のように、アイドラーローラ63、65、64が点線で示すように下降又は上昇する。
【0058】
しかも、アイドラーローラ63、64、65の軸方向の一方の端である手前側端部が変位し、軸方向の他側の端である奥側端部は固定である。
【0059】
ベルトユニット60の中で、アイドラーローラ63、64、65と反対側にある駆動ローラ61は変位せず、その位置は固定である。
【0060】
そして、アイドラーローラ64、65と駆動ローラ61との中間にある、バックアップローラ62、アイドラーローラ63及び転写ローラ7Y、7M、7C、7Kでは、アイドラーローラ64、65より移動距離が短いもののこれらの手前側の端部が変位する。バックアップローラ62、アイドラーローラ63及び転写ローラ7Y、7M、7C、7Kの移動距離は、各ローラとピン76との距離に対する各ローラとピン77との距離の比に対応する。
【0061】
このようなベルトユニット60の変形により、画像形成工程において、中間転写ベルト6が矢印W3のように周回するときに、中間転写ベルト6には、中間転写ベルト6が張架されるローラの軸方向の分力が作用して、中間転写ベルト6をローラ軸方向に移動させる。
【0062】
これによって中間転写ベルト6のベルト寄りが補正される。
【0063】
図5に示すベルトユニット60の変形において、ラップ角が0度の転写ローラ7Y、7M、7C、7Kは中間転写ベルト6をローラ軸方向に移動させる力を発生しないが、ラップ角が0度よりも大きいバックアップローラ62及びアイドラーローラ63、64、65は中間転写ベルト6をローラ軸方向に移動させる力を発生する。
【0064】
即ち、複数のローラ62、63、64、65において発生する力の合計がベルト寄りを補正する力として中間転写ベルト6に作用する。
【0065】
したがって、ベルト寄りが発生した場合、迅速なベルト寄り補正が行われ、中間転写ベルト6の安定した周回運動が保証される。
【0066】
図1におけるWDは中間転写ベルト6の側端縁に接触するアクチュエータを有するベルト寄り検知手段である。
【0067】
ベルト寄り検知手段WDからの信号に基づいて、モータMが位置決め部材80を回転させるベルト寄り補正が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る画像形成装置の全体構成を示すである。
【図2】中間転写ベルト6が取り除かれたベルトユニット60を示す図である。
【図3】ベルトユニット60の骨格及びユニット支持部を示す図である。
【図4】ピン76の駆動機構を示す図である。
【図5】ベルトユニット60の変形を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
6 中間転写ベルト
61 駆動ローラ
62 バックアップローラ
64、65 アイドラーローラ
76〜79 ピン
80〜83 位置決め部材
GH 画像形成装置本体
M モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のローラ及び該ローラに張架された無端状の像担持体ベルトを有するベルトユニット並びに、前記像担持体ベルト上に画像を形成する画像形成部及び前記ベルトユニットを支持するユニット支持部を有する画像形成装置本体を備えた画像形成装置において、
前記ベルトユニットは、その4隅に配置された4個のユニット側位置決め部材を有するとともに、
前記ユニット支持部は、前記ユニット側位置決め部材の内の1個を支持する可動本体側位置決め部材、前記ユニット側位置決め部材の内の残る3個を支持する固定本体側位置決め部材及び前記可動本体側位置決め部材を変位させる駆動手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記駆動手段により、前記ローラの複数が移動し調整されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ベルトユニットは、前記画像形成装置本体に着脱可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記像担持体の寄りを検知するベルト寄り検知手段を有し、前記駆動手段は前記ベルト寄り検知手段の信号に基づいて、前記可動本体側位置決め部材を変位させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−32605(P2010−32605A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−192016(P2008−192016)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】