説明

画像形成装置

【課題】処理対象の汎用ファイルの属性と装置自身の備える機能とから、使用可能な機能を判断して表示する画像形成装置を提供する。
【解決手段】処理対象の汎用ファイルの属性が印刷禁止の属性である場合には(S42でYES)、MFPは出力指示に対して実行(選択)可能な機能としてMFPの備える出力機能のうちの送信機能を決定し、送信のための画面を表示する(S43)。文書アセンブリ機能を許可する属性である場合には(S44でYES)、MFPは実行(選択)可能な機能としてバインド機能を決定し、そのための画面を表示する(S45)。文書アセンブリ機能を禁止する属性である場合には(S44でNO)、MFPは実行(選択)可能な機能として、MFPの備える出力機能のうちの文書アセンブリ機能を実現しない機能である、ファイルに情報を付加する機能を決定し、そのための画面を表示する(S46)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は画像形成装置に関し、特に、汎用ファイルの属性と連携する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、オフィスなどにおけるデジタル環境の充実に伴い、取り扱われる文書を電子化することが一般的となりつつある。電子化された文書データとしては、PDF(Portable Document Format)ファイルが挙げられる。
【0003】
PDFファイルなどの文書データファイルには、セキュリティを確保するために属性が付加され、付加された属性に応じてファイルごとに当該ファイルに対して可能な動作が異なる。文書ファイルに属性を付加する技術として、たとえば、特開2004−252784号公報(以下、特許文献1)は、文書ごとに印刷可否の設定を行なう情報処理装置を開示している。また、特開平6−35907号公報(以下、特許文献2)は、文書の構造に対して属性を保持し、編集対象の文書の構造から編集可能な文書構造を認識する構造化文書編集装置を開示している。
【特許文献1】特開2004−252784号公報
【特許文献2】特開平6−35907号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、MFP(Multi Function Peripheral)などのデジタル複合機にも文書データに付加された属性によって制御される動作(機能)と類似した機能が搭載されていることがある。その場合、ユーザは、デジタル複合機と処理対象の文書データファイルとの組合せから、当該文書データファイルに対してどのような処理が可能かを判断し、機能を選択する必要があった。そのため、ユーザに上記判断を行なうための知識がないと操作が難しい場合がある、という問題があった。また、そのような知識がないと、処理対象の文書データファイルに対してデジタル複合機の機能を用いて所望する処理を行なうことができない場合がある、いう問題があった。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、処理対象の文書データファイルの属性と画像形成装置自身の備える機能とから、当該文書データファイルに対して実施可能な処理を判断して適切な画面表示を行なうことで、ユーザが相当な知識を有さずとも当該文書データファイルに対してユーザが指示する処理を実施できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、画像形成装置はファイルを処理するための複数の機能を備えた画像形成装置であって、処理対象のファイルの指定と、ファイルに対する処理の指示とを受付ける受付手段と、指示に応じたファイルの処理に関する属性を取得する取得手段と、上記属性と当該画像形成装置に備えられる複数の機能とに基づいて、ファイルの指示に応じた処理に用いる機能を決定する決定手段と、決定された機能を実行させるための画面を表示する表示手段とを備える。
【0007】
好ましくは、取得された属性は、印刷機能に関する属性と、文書アセンブリ機能に関する属性と、アクセシビリティのための内容抽出に関する属性との少なくとも1つを含み、当該画像形成装置に備えられている複数の機能は、印刷機能と、文書バインド機能と、プレビュー機能との少なくとも1つを含む。
【0008】
好ましくは、受付手段がファイルの出力指示を受付けて、属性が当該ファイルの印刷機能の実行を不許可とする属性である場合、決定手段は当該画像形成装置が備える機能のうち印刷機能を用いない出力機能を出力指示に応じた処理に用いる機能に決定し、表示手段は、決定された機能でファイルを出力するための出力先を指定するための画面を表示する。
【0009】
好ましくは、受付手段がファイルの出力指示を受付けて、属性が当該ファイルの印刷機能の実行を許可する属性である場合、決定手段は当該画像形成装置が備える機能のうち印刷機能を用いる出力機能を出力指示に応じた処理に用いる機能に決定し、表示手段は、決定された機能でファイルを出力するための出力先を指定するための画面を表示する。
【0010】
好ましくは、受付手段がファイルの編集指示を受付けて、属性が当該ファイルの文書アセンブリ機能の実行を不許可とする属性である場合、決定手段は当該画像形成装置が備える機能のうち文書アセンブリ機能を用いない編集機能を編集指示に応じた処理に用いる機能に決定し、表示手段は、決定された機能でファイルを編集するための画面を表示する。より好ましくは、決定手段で決定される、文書アセンブリ機能を用いない編集機能には、ファイルに対して情報を付加するための機能が含まれる。
【0011】
好ましくは、受付手段がファイルの編集指示を受付けて、属性が当該ファイルの文書アセンブリ機能の実行を許可する属性である場合、決定手段は当該画像形成装置が備える機能のうち文書アセンブリ機能を用いる編集機能を編集指示に応じた処理に用いる機能に決定し、表示手段は、決定された機能でファイルを編集するための画面を表示する。
【0012】
好ましくは、受付手段がファイルの確認指示を受付けて、属性が当該ファイルのアクセシビリティのための内容抽出機能の実行を不許可とする属性である場合、決定手段は当該画像形成装置が備える機能のうちアクセシビリティのための内容抽出機能を用いない確認機能を確認指示に応じた処理に用いる機能に決定し、表示手段は、決定された機能でファイルを確認するための画面を表示する。より好ましくは、決定手段で決定される、アクセシビリティのための内容抽出機能を用いない確認機能には、ファイルのプレビュー表示機能が含まれる。
【0013】
好ましくは、受付手段がファイルの確認指示を受付けて、属性が当該ファイルのアクセシビリティのための内容抽出機能の実行を許可する属性である場合、決定手段は当該画像形成装置が備える機能のうちアクセシビリティのための内容抽出機能を用いる確認機能を確認指示に応じた処理に用いる機能に決定し、表示手段は、決定された機能でファイルを確認するための画面を表示する。
【0014】
好ましくは、属性は、ファイルに付加されている。
好ましくは、属性は、ユーザ別に設定された、当該画像形成装置に備えられる複数の機能のうちの処理の指示に応じて用いる機能の優先順位であり、決定手段は、ファイルの指示に応じた処理に用いる機能として、指示を行なったユーザについて優先順位が高く設定されている機能を決定する。
【0015】
好ましくは、属性は、ユーザ別に設定された、当該画像形成装置に備えられる複数の機能の各々について使用の許可および/または禁止であり、決定手段は、ファイルの指示に応じた処理に用いる機能として、指示を行なったユーザについて使用が許可されている機能を決定する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、ファイルの属性と当該画像形成装置に備えられる機能とに応じて、自動的に当該ファイルに対して使用可能な機能が決定され、それに応じた画面表示がなされる。これにより、当該ファイルの処理をしようとするユーザは、相当な知識を有さずとも使用可能な機能を用いて当該ファイルに対する処理を実行させることができる。また、当該ファイルの管理者等は、他のユーザによる当該ファイルに対する処理を適切に制限することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
【0018】
図1は、本発明の画像形成装置としての、実施の形態にかかるMFP(Multi Function Peripheral)の機能全体を概念的に表わした図である。図1を参照して、実施の形態にかかるMFP1は、原稿を読取って画像データを得、様々な出力手段で画像データを出力する。詳しくは、MFP1にセットされた原稿は、後述するスキャン動作で読込まれて画像データに変換されて、画像メモリに一時的に蓄積される。MFP1ではその画像データに対して必要な画像変換処理を実施し、ネットワークを介した転送、ファクシミリ機能を用いた送信、および当該MFP1のプリント機能を用いた印刷、による出力を行なうことができる。また、画像データの取得としては、ネットワークを介してパーソナルコンピュータ(PC)などの他の装置から画像データを取得することもでき、その画像データを画像メモリに蓄積することもできる。
【0019】
図2は、MFP1のハードウェア構成の具体例を示すブロック図である。図2を参照して、MFP1は、装置全体を制御するCPU10と、原稿を読取って電子データである画像データを得るイメージリーダ部30と、用紙上に画像を印刷するプリンタ部35と、MFP1を上述のネットワークに接続したり、ファクシミリ通信のための電話回線に接続したりするためのインタフェース(以下、I/F)15と、HD(Hard Disk)などから構成されて、上記画像メモリなどを構成する記憶部20と、各種情報を表示する手段であると共に指示入力手段でもあるパネル25と、消耗品の残量などを検出するセンサ部40とを含んで構成される。記憶部20は、画像データや当該MFP1に関する情報やCPU10で実行されるプログラムなどを記憶する。
【0020】
画像データには、文書原稿が読取られて生成される文書データが含まれる。文書データファイルの一例として、本実施の形態では、MFP1において、汎用ファイルとして多く用いられる、PDF(Portable Document Format)ファイルやマイクロソフト社のビジネスソフトウェアであるOffice(登録商標)で使用されるファイルが取り扱われるものとする。これらファイルには、機能ごとの、当該ファイルに対する動作を制限するための、制限情報としての属性が付加される。
【0021】
図3は、PDFファイルに付加される属性の具体例を示す図である。図3に示されるように、PDFファイルには、セキュリティを含め様々な機能についての属性が付加される。図3に示された属性のうち、点線で囲まれて示されている属性が、当該PDFを処理するMFPと連携する機能による動作を制限するための属性である。具体的には、印刷、文書アセンブリ、内容のコピーと抽出、およびアクセシビリティのための内容の抽出、の各機能についての属性が該当する。
【0022】
印刷機能についての属性には「許可」と「不許可」とがある。当該属性が「不許可」である場合には、MFPは、自身のプリント機能を用いて当該PDFファイルを印刷することができない。すなわち、MFPで当該PDFファイルが処理対象とされる場合には、当該PDFファイルに対して使用可能な機能がプリント機能以外の機能となり、たとえば、MFP1においては、ファクシミリ機能などの送信機能となる。文書アセンブリ機能とは文書を結合する機能を指す。アクセシビリティのための内容の抽出機能とは、主に音声読み上げのためのテキストの読み出しの際に、ファイルからテキストを抽出する機能を指す。これらの属性にも「許可」と「不許可」とがある。
【0023】
図4は、マイクロソフト社のビジネスソフトウェアであるOffice(登録商標)で使用されるファイルに付加される属性の具体例を示す図である。図4を参照して、Office(登録商標)で使用されるファイルには、ファイルの作成者、内容を表わすような属性が付加される。なお、属性で表わされる作成者は、当該ファイルを作成したユーザであって、当該ファイルを使用しているユーザと必ずしも同一とは限らない。
【0024】
図5は、MFP1で後述する編集指定処理を行なうための、MFP1の機能構成の具体例を示すブロック図である。図5に示される各機能は、CPU10が記憶部20に記憶されるプログラムを読み出して実行することで、主にCPU10に形成される機能である。または、少なくとも一部が、図2に示されたハードウェア構成で実現されてもよい。
【0025】
図5を参照して、MFP1の上記機能は、指示入力部101と、判断部103と、画像編集処理部105と、画像確認処理部107とを含んで構成される。指示入力部101は、パネル25が操作されることでパネル25から入力される操作信号やI/F15を介して他の装置から送信される操作信号で示される指示の入力を受付けて、判断部103に入力する。判断部103は、入力された指示を解析することで、必要に応じて指定されたファイルの属性を読込むと共に、指示された編集内容を判断する。そして、その判断結果に従って、画像編集処理部105または画像確認処理部107に、指示信号と共に読み出した属性を入力する。画像編集処理部105および画像確認処理部107は、各々、入力された指示信号に従って、指定されたファイルに対して、後述する画像編集処理および画像確認処理を実行する。
【0026】
図6は、MFP1で実行されるメインの処理の流れの具体例を示すフローチャートである。図6のフローチャートに示される処理は、たとえば、当該MFP1に電源が投入されたりリセットしたりした後に起動したタイミングや、省電力モードなどから復帰したタイミングや、起動から所定の時間が経過したタイミング、などに開始される処理であって、CPU10が記憶部20に記憶されるプログラムを読み出して実行し、図5に示される各機能を制御することで実現される。
【0027】
図6を参照して、CPU10はプログラムの実行を開始すると、ステップS1でRAMのクリア、各種レジスタの設定などのCPU10の初期化設定を行なった後、ステップS2で当該MFP1のモードの初期化処理を実行する。これらの処理については、通常のMFPのCPUで行なわれている処理と同様の処理とすることができる。
【0028】
ステップS3でCPU10は、MFP1に内蔵されており、上記ステップS2でカウンタが初期化されたタイマで、予め規定された経過時間の計時を開始する。ステップS4でCPU10は、パネル25やI/F15を介して他の装置からの操作信号の入力を制御する入力処理を実行し、ステップS5で、入力された操作信号に基づいて編集指定処理を実行する。ステップS5の編集指定処理については、後にサブルーチンを挙げて説明する。ステップS6でCPU10は、パネル25を構成するLCD(Liquid Crystal Display)およびLED(Light Emitting Diode)の表示を制御する表示処理を実行し、ステップS7で当該MFP1の動作を制御するためのシステム制御処理を実行し、ステップS8でその他の処理を、順次実行する。ステップS6での表示処理、およびステップS7でのシステム制御処理の具体的な処理内容は本発明において特定の処理内容に限定されず、通常MFPで行なわれている処理であってよい。また、ステップS8での具体的な処理およびその処理内容についても本発明において特定のものには限定されない。
【0029】
CPU10は、ステップS3で計時を開始した内部タイマが上記規定した時間の計時を終了すると、再度上記ステップS3に処理を戻し、以上のステップS3〜S8を繰り返す。CPU10は、上記規定した時間である1ルーチンの時間内で、以降に説明する各処理に用いられる各種タイマの計数を実行する。
【0030】
図7は、上記ステップS5の編集指定処理の具体的な流れを示すフローチャートである。図7を参照して、上記ステップS5の編集指定処理は、判断部103における、ステップS11でのファイル属性を読込む処理と、ステップS12での編集判断処理とを含む。
【0031】
図8は、上記ステップS11でのファイル属性を読込む処理の具体的な流れを示すフローチャートである。図8を参照して、上記ステップS4で指示入力部101が汎用ファイルの指定(選択)を受付けている場合(ステップS21でYES)、ステップS22で判断部103は、図3や図4に示されたような、指定されたファイルに付加されている属性を指定されたファイルの属性情報として取得する。
【0032】
図9は、上記ステップS12での、編集判断処理の具体的な流れを示すフローチャートである。上記ステップS12での編集判断処理は、ユーザからの指示入力を受付けて、大きくは、画像編集処理の要否の確認と、画像確認処理の要否の確認との、2つの判断を行なう処理である。詳しくは、図9を参照して、上記ステップS4で指示入力部101が汎用ファイルの指定と共に画像編集指示を受付けている場合(ステップS31でYES)、ステップS33で画像編集処理部105において画像編集処理が実行される。画像編集処理とは、画像または文書の編集を行なうための処理である。実際にユーザが指定し、出力される文書の内容を編集する処理である。上記ステップS4で指示入力部101が汎用ファイルの指定と共に画像確認指示を受付けている場合(ステップS31でNO、かつステップS32でYES)、ステップS34で画像確認処理部107において画像確認処理が実行される。画像確認処理は、画像を出力する際に、最終的にユーザがその内容を確認するための処理である。上記2つの処理は同時に指定されることはない。そのため、上記ステップS4で指示入力部101は、いずれかの処理の指定、またはいずれも指定されていない指示入力を受付けることになる。
【0033】
図10は、上記ステップS33での画像編集処理の具体的な流れを示すフローチャートである。ステップS33での画像編集処理は、ファイル属性とMFP1が備える機能とを確認し、MFP1が備える機能のうちでファイル属性を考慮して編集処理を実行するための機能を決定し、当該機能を実行させるための、換言すると当該機能をユーザに選択させるための画面を表示するための処理である。詳しくは図10を参照して、上記ステップS22で指定されたファイルに関してファイル属性情報が取得されている場合(ステップS41でYES)、画像編集処理部105は当該属性情報を解析し、当該ファイルの印刷禁止の属性が含まれているか否かを確認する。さらに、当該ファイルについて文書アセンブリ機能が許可されているか否かを確認する。その結果、印刷が禁止されている場合には(ステップS42でYES)、ステップS43で画像編集処理部105は、実行(選択)可能な編集機能をMFP1の有する出力機能のうちの印刷の他の出力形態である送信出力に決定し、送信先の入力を受付けて指定された送信先に送信出力を行なうための、「送信画面」を表示させる。なお、図1に示されたように、MFP1には出力機能として印刷の他にファクシミリ送信機能や他の装置に画像データを送信する機能など、複数の機能が備えられる場合もある。その場合には、ステップS43で印刷機能以外の、当該MFP1が備える複数の出力機能を選択可能に提示してもよい。
【0034】
当該ファイルの印刷が許可されており、かつ当該ファイルに対して文書アセンブリ機能が許可されている場合には(ステップS42でNO、かつS44でYES)、ステップS45で画像編集処理部105は、実行(選択)可能な編集機能を、MFP1が備える機能のうちの文書アセンブリ機能を実現する機能であるバインド機能に決定し、当該バインド機能を実行させるための画面を表示させる。図11は、MFP1において表示される、バインド機能を実行させるための画面の具体例を示す図である。なお、バインド機能とは、画像形成装置に搭載されている一般的な機能であって、複数の文書を1つの文書として扱い、印刷、ステープル、ファイル化などを行なうことのできる機能を指す。PDF文書における文書アセンブリ機能に相当する。図11においては、当該MFP1に一時保存されている画像データの一覧が選択可能に表示される。ユーザは、当該画面において処理対象の画像データを選択し、どの文書を当該画像データのどの位置に挿入するかを指定することで、ページ単位、文書単位で自由に文書の構成を変更することができる。
【0035】
当該ファイルの印刷が許可されており、かつ当該ファイルの文書アセンブリ機能が許可されていない場合には(ステップS42でNO、かつS44でNO)、ステップS46で画像編集処理部105は、実行(選択)可能な編集機能を、MFP1が備える機能のうちの文書アセンブリ機能を実現しない機能である、画像に情報を付加する機能に決定し、当該機能を実行させるための画面を表示させる。画像に情報を付加する機能は、最も簡易な編集機能である。上述と同様に、MFP1に、画像データの編集機能として、画像に情報を付加する機能の他にも文書アセンブリ機能を実現しない機能が備えられる場合には、ステップS46でそれら機能を選択可能に提示してもよい。
【0036】
図12は、上記ステップS34での画像確認処理の具体的な流れを示すフローチャートである。上記ステップS34での画像確認処理は、ファイル属性とMFP1が備える機能とを確認し、MFP1が備える機能のうちでファイル属性を考慮してファイルを確認する処理を実行するための機能を決定し、当該機能を発揮させるための、換言すると当該機能をユーザに選択させるための画面を表示するための処理である。詳しくは図12を参照して、上記ステップS22で指定されたファイルに関してファイル属性情報が取得されている場合(ステップS51でYES)、画像確認処理部107は当該属性情報を解析し、当該ファイルのアクセシビリティのための内容の抽出が禁止されているか否かを確認する。その結果、禁止されている場合には(ステップS52でYES)、ステップS53で画像確認処理部107は、当該ファイルを確認する処理を実行するための機能をプレビュー機能に決定し、プレビュー画面を表示させる。図13は、MFP1において表示される、プレビュー画面の具体例を示す図である。図13に示される画面では、プレビュー表示に必要な様々な情報やログイン情報などを設定し、指示を行なうことで、当該ファイルのプレビューを表示させることができる。なお、MFP1には、ファイルのアクセシビリティのための内容の抽出を行なわない確認機能としてプレビュー機能の他の機能が備えられる場合もある。その場合には、ステップS53でプレビュー機能以外の、当該MFP1が備える他の確認機能を選択可能に提示してもよい。
【0037】
当該ファイルのアクセシビリティのための内容の抽出が許可されている場合には(ステップS52でNO)、ステップS54で画像確認処理部107は、当該ファイルを確認する処理を実行するための機能を、MFP1が備える機能のうちのファイルのアクセシビリティのための内容の抽出を実現する機能である、音声読上機能に決定し、音声読上のための画面を表示させる。音声読上機能は、当該ファイルからテキストを抽出して、図示しない音声変換手段を用いて音声変換して音声出力するための機能である。
【0038】
MFP1において、ファイルに設定された属性に基づいて以上の処理が行なわれて用いる機能が決定されて対応する画面が表示されることで、当該ファイルの処理を行なおうとするユーザは、当該ファイルの属性で許可(または禁止)されている機能と、MFP1で当該ファイルに対して用いることが可能な機能とを把握し、またそれらの組合せによって実際に所望する処理に対して用いることが可能な機能を把握していない場合であっても、所望する処理の指示を行なうのみで、MFP1において自動的に判断された使用可能な機能を用いる処理のための画面が提示される。そのため、処理を行なおうとするユーザが使用可能な機能に関する知識を有していない場合であっても、MFP1を用いて当該ファイルに対して所望する処理を行なうことができる。さらに、当該ファイルの管理者等は、当該ファイルに対して、意図から外れた機能がユーザに使用されることを禁止することができる。
【0039】
[変形例]
上の例は、ファイルの管理者等が、当該ファイルに対して、他のユーザに使用を許可/禁止する機能をファイル属性として設定することで、当該ファイルが処理対象として指定されたときに、許可された機能から実行可能な機能を決定して使用可能に提示する例である。変形例においては、他のユーザの個々に対してファイル属性を設定するものとする。ユーザ別のファイル属性は、ファイルに関わらず、ユーザ別に設定されるものである。ユーザ別のファイル属性は、ユーザ情報などと呼ばれる、ユーザごとのログイン情報やMFPの機能の制限情報などに含めてMFP1や図示しないサーバ等に記憶されてもよい。そのため、ユーザ別のファイル属性は、当該ユーザ自身が作成・編集するものであってもよい。または、ユーザ別のファイル属性は、MFPの管理者や図示しないネットワークの管理者等が、ユーザごとに設定してもよい。
【0040】
図14は、ユーザ別に設定されるファイル属性の具体例を示す図であって、具体的に、ファイルの編集のための機能についての、ユーザ別に設定されるファイル属性の具体例を示す図である。図14に示される例では、MFP1に備えられるファイルの編集に用いられる各機能について、ユーザ別に、編集時にいずれの機能を優先的に用いるかを示す優先順位が設定されている。ユーザ別に設定されるファイル属性は、図14に示されたような優先順位に限定されず、図3や図4を用いて説明されたように、当該機能の使用の許可/禁止を示す属性であってもよい。
【0041】
図15は、変形例における、上記ステップS33での画像編集処理の具体的な流れを示すフローチャートである。図15を参照して、変形例においては、上記ステップS22で指定されたファイルに関してファイル属性が取得されている場合であって、そのファイル属性がユーザ別の属性である場合には(ステップS61でYES、かつS62でYES)、ステップS63で画像編集処理部105は、ログイン情報に基づいて編集指示を行なったユーザに対して設定されているファイル属性情報を特定して解析し、当該ユーザに対して優先順位が最も高く設定されている機能を、使用可能な編集機能に決定し、当該機能を実行させるための画面を表示させる。
【0042】
図14に示されたようなユーザ別のファイル属性情報が当該ユーザ自身によって作成・編集され、MFP1において上述のように用いる機能が決定されて画面表示されることで、個人の癖や特徴、または当該ユーザが受け持っている業務の種類などに最も適した機能を自動的に使用可能とすることができ、当該ユーザの操作性を向上させることができる。
【0043】
一方、図14に示されたようなユーザ別のファイル属性がMFPの管理者やネットワークの管理者などによって作成され、MFP1において上述のように用いる機能が決定されて画面表示されることで、管理者等が各ユーザの使用する機能を管理することができる。
【0044】
なお、変形例に示された例は図14のように、使用する機能の優先順位が属性として設定されている場合の例であるが、先に説明したように、MFP1に備えられる各機能についての使用の許可/禁止を示す属性が設定されている場合には、上記ステップS63で画像編集処理部105は、当該ユーザに対して使用が許可されている機能を使用可能な編集機能に決定し、当該機能を実行させるための画面を表示させるものとする。さらに、その際、当該ユーザに対して指示された処理に対する複数の機能の使用が許可されている場合には、それら機能を選択可能に提示し、選択された機能を用いる機能として決定するようにしてもよい。
【0045】
さらに、MFP1において実行される処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびメモリカードなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0046】
なお、本発明にかかるプログラムは、コンピュータのオペレーティングシステム(OS)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。このようなモジュールを含まないプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0047】
また、本発明にかかるプログラムは他のプログラムの一部に組込まれて提供されるものであってもよい。その場合にも、プログラム自体には上記他のプログラムに含まれるモジュールが含まれず、他のプログラムと協働して処理が実行される。このような他のプログラムに組込まれたプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0048】
提供されるプログラム製品は、ハードディスクなどのプログラム格納部にインストールされて実行される。なお、プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。
【0049】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施の形態にかかるMFPの機能全体を概念的に表わした図である。
【図2】実施の形態にかかるMFPのハードウェア構成の具体例を示すブロック図である。
【図3】PDFファイルに付加される属性の具体例を示す図である。
【図4】Office(登録商標)で使用されるファイルに付加される属性の具体例を示す図である。
【図5】実施の形態にかかるMFPで編集指定処理を行なうための、機能構成の具体例を示すブロック図である。
【図6】実施の形態にかかるMFPで実行されるメインの処理の流れの具体例を示すフローチャートである。
【図7】編集指定処理の具体的な流れを示すフローチャートである。
【図8】ファイル属性を読込む処理の具体的な流れを示すフローチャートである。
【図9】編集判断処理の具体的な流れを示すフローチャートである。
【図10】画像編集処理の具体的な流れを示すフローチャートである。
【図11】バインド画面の具体例を示す図である。
【図12】画像確認処理の具体的な流れを示すフローチャートである。
【図13】プレビュー画面の具体例を示す図である。
【図14】ユーザ別に設定されるファイル属性の具体例を示す図である。
【図15】変形例における、画像編集処理の具体的な流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
1 MFP、10 CPU、15 I/F、20 記憶部、25 パネル、30 イメージリーダ部、35 プリンタ部、40 センサ部、101 指示入力部、103 判断部、105 画像編集処理部、107 画像確認処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファイルを処理するための複数の機能を備えた画像形成装置であって、
処理対象のファイルの指定と、前記ファイルに対する処理の指示とを受付ける受付手段と、
前記指示に応じたファイルの処理に関する属性を取得する取得手段と、
前記属性と当該画像形成装置に備えられる前記複数の機能とに基づいて、前記ファイルの前記指示に応じた処理に用いる機能を決定する決定手段と、
前記機能を実行させるための画面を表示する表示手段とを備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記取得された属性は、印刷機能に関する属性と、文書アセンブリ機能に関する属性と、アクセシビリティのための内容抽出に関する属性との少なくとも1つを含み、
当該画像形成装置に備えられている前記複数の機能は、印刷機能と、文書バインド機能と、プレビュー機能との少なくとも1つを含む、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記受付手段が前記ファイルの出力指示を受付けて、前記属性が当該ファイルの印刷機能の実行を不許可とする属性である場合、前記決定手段は当該画像形成装置が備える機能のうち印刷機能を用いない出力機能を前記出力指示に応じた処理に用いる機能に決定し、
前記表示手段は、前記決定された機能で前記ファイルを出力するための出力先を指定するための画面を表示する、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記受付手段が前記ファイルの出力指示を受付けて、前記属性が当該ファイルの印刷機能の実行を許可する属性である場合、前記決定手段は当該画像形成装置が備える機能のうち印刷機能を用いる出力機能を前記出力指示に応じた処理に用いる機能に決定し、
前記表示手段は、前記決定された機能で前記ファイルを出力するための出力先を指定するための画面を表示する、請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記受付手段が前記ファイルの編集指示を受付けて、前記属性が当該ファイルの文書アセンブリ機能の実行を不許可とする属性である場合、前記決定手段は当該画像形成装置が備える機能のうち文書アセンブリ機能を用いない編集機能を前記編集指示に応じた処理に用いる機能に決定し、
前記表示手段は、前記決定された機能で前記ファイルを編集するための画面を表示する、請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記決定手段で決定される、文書アセンブリ機能を用いない編集機能には、前記ファイルに対して情報を付加するための機能が含まれる、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記受付手段が前記ファイルの編集指示を受付けて、前記属性が当該ファイルの文書アセンブリ機能の実行を許可する属性である場合、前記決定手段は当該画像形成装置が備える機能のうち文書アセンブリ機能を用いる編集機能を前記編集指示に応じた処理に用いる機能に決定し、
前記表示手段は、前記決定された機能で前記ファイルを編集するための画面を表示する、請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記受付手段が前記ファイルの確認指示を受付けて、前記属性が当該ファイルのアクセシビリティのための内容抽出機能の実行を不許可とする属性である場合、前記決定手段は当該画像形成装置が備える機能のうちアクセシビリティのための内容抽出機能を用いない確認機能を前記確認指示に応じた処理に用いる機能に決定し、
前記表示手段は、前記決定された機能で前記ファイルを確認するための画面を表示する、請求項1〜7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記決定手段で決定される、アクセシビリティのための内容抽出機能を用いない確認機能には、前記ファイルのプレビュー表示機能が含まれる、請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記受付手段が前記ファイルの確認指示を受付けて、前記属性が当該ファイルのアクセシビリティのための内容抽出機能の実行を許可する属性である場合、前記決定手段は当該画像形成装置が備える機能のうちアクセシビリティのための内容抽出機能を用いる確認機能を前記確認指示に応じた処理に用いる機能に決定し、
前記表示手段は、前記決定された機能で前記ファイルを確認するための画面を表示する、請求項1〜9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記属性は、前記ファイルに付加されている、請求項1〜10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記属性は、ユーザ別に設定された、当該画像形成装置に備えられる前記複数の機能のうちの前記処理の指示に応じて用いる機能の優先順位であり、
前記決定手段は、前記ファイルの前記指示に応じた処理に用いる機能として、前記指示を行なったユーザについて優先順位が高く設定されている機能を決定する、請求項1〜10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記属性は、ユーザ別に設定された、当該画像形成装置に備えられる前記複数の機能の各々について使用の許可および/または禁止であり、
前記決定手段は、前記ファイルの前記指示に応じた処理に用いる機能として、前記指示を行なったユーザについて使用が許可されている機能を決定する、請求項1〜10のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2010−50731(P2010−50731A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213090(P2008−213090)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】