説明

画像形成装置

【課題】媒体の種類にかかわらず、位置ずれ補正の精度を高くすることができるようにする。
【解決手段】印刷情報を受信する受信制御部31と、印刷情報に基づいて、所定の印刷速度を実印刷速度として設定する印刷速度設定部32と、実印刷速度で媒体に画像を形成する印刷制御部33と、印刷速度ごとの印刷履歴を履歴処理部に記録する履歴記録処理部34と、印刷履歴に基づいて画像の位置ずれを検出する際の印刷速度を検出時印刷速度として決定する検出時印刷速度決定部35と、検出時印刷速度で位置ずれ量を検出する位置ずれ量検出部37と、位置ずれ量に基づいて印刷制御タイミングを補正する補正制御部38とを有する。印刷履歴に基づいて検出時印刷速度が決定されるので、媒体の種類にかかわらず、位置ずれ補正の精度を高くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置、例えば、カラーのプリンタは、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像形成ユニットを備え、該各画像形成ユニットにおいて、感光体ドラムの表面が、帯電ローラによって帯電させられ、LEDヘッドによって露光されて静電潜像が形成され、該静電潜像に現像ローラ上で薄層化されたトナーが静電的に付着させられて、各色のトナー像が形成されるようになっている。そして、該各色のトナー像は、転写ベルトによって搬送される媒体としての用紙に順次重ねて転写され、カラーのトナー像になり、該カラーのトナー像は、定着器によって用紙に定着させられて、カラーの画像を形成する。
【0003】
ところで、用紙に転写される各色のトナー像に位置ずれが発生することがある。そこで、転写ベルト上に、位置ずれを検出するための各色のトナー像から成るパターン(以下「位置ずれ検出パターン」という。)を形成し、該位置ずれ検出パターンによって位置ずれを検出し、各色のトナー像が形成される位置を補正するようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−134041号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のプリンタにおいては、使用される用紙の種類によって、各色のトナー像が形成される位置の補正(以下「位置ずれ補正」という。)を有効に行うことができないことがあり、その場合、位置ずれ補正の精度を高くすることができない。
【0005】
本発明は、前記従来のプリンタの問題点を解決して、媒体の種類にかかわらず、位置ずれ補正の精度を高くすることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明の画像形成装置においては、外部装置から印刷情報を受信する受信制御部と、前記印刷情報に基づいて、所定の印刷速度を実印刷速度として設定する印刷速度設定部と、設定された実印刷速度で媒体に画像を形成する印刷制御部と、印刷速度ごとの印刷履歴を履歴処理部に記録する履歴記録処理部と、記録された印刷履歴に基づいて、画像の位置ずれを検出する際の印刷速度を検出時印刷速度として決定する検出時印刷速度決定部と、検出時印刷速度で位置ずれ量を検出する位置ずれ量検出部と、検出された位置ずれ量に基づいて印刷制御タイミングを補正する補正制御部とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像形成装置においては、外部装置から印刷情報を受信する受信制御部と、前記印刷情報に基づいて、所定の印刷速度を実印刷速度として設定する印刷速度設定部と、設定された実印刷速度で媒体に画像を形成する印刷制御部と、印刷速度ごとの印刷履歴を履歴処理部に記録する履歴記録処理部と、記録された印刷履歴に基づいて、画像の位置ずれを検出する際の印刷速度を検出時印刷速度として決定する検出時印刷速度決定部と、検出時印刷速度で位置ずれ量を検出する位置ずれ量検出部と、検出された位置ずれ量に基づいて印刷制御タイミングを補正する補正制御部とを有する。
【0008】
この場合、記録された印刷履歴に基づいて検出時印刷速度が決定され、検出時印刷速度で位置ずれ量が検出されるので、媒体の種類にかかわらず、位置ずれ補正の精度を高くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としてのカラーのプリンタについて説明する。
【0010】
図2は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概略図、図3は本発明の第1の実施の形態における位置ずれ検出パターンの例を示す図である。
【0011】
図に示されるように、プリンタ11には、四つの独立した画像形成部を構成する画像形成ユニット12Bk、12Y、12M、12Cが媒体としての用紙の挿入側から排出側に沿って配設され、各画像形成ユニット12Bk、12Y、12M、12Cによって、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色の画像が形成される。なお、前記用紙として、普通紙のほかに、OHP用紙、封筒、複写紙、特殊紙等を使用することができる。
【0012】
各画像形成ユニット12Bk、12Y、12M、12Cは、像担持体としての感光体ドラム13Bk、13Y、13M、13C、該感光体ドラム13Bk、13Y、13M、13Cの表面を一様に帯電させる帯電装置としての帯電ローラ14Bk、14Y、14M、14C、前記感光体ドラム13Bk、13Y、13M、13Cの表面に形成された潜像としての静電潜像に現像剤としての図示されないトナーを付着させ、可視像である各色のトナー像を形成する現像剤担持体としての現像ローラ16Bk、16Y、16M、16C等を有する。また、該各現像ローラ16Bk、16Y、16M、16Cに圧接させて現像剤供給部材としてのトナー供給ローラ18Bk、18Y、18M、18Cが配設され、該トナー供給ローラ18Bk、18Y、18M、18Cは、トナーカートリッジ20Bk、20Y、20M、20Cから供給されたトナーを前記現像ローラ16Bk、16Y、16M、16Cに供給する。そして、該現像ローラ16Bk、16Y、16M、16Cに現像ブレード19Bk、19Y、19M、19Cが圧接させられ、該現像ブレード19Bk、19Y、19M、19Cは、現像ローラ16Bk、16Y、16M、16C上において、トナー供給ローラ18Bk、18Y、18M、18Cから供給されたトナーを薄層化する。
【0013】
また、前記画像形成ユニット12Bk、12Y、12M、12Cにおける感光体ドラム13Bk、13Y、13M、13Cより上方には、露光装置としてのLEDヘッド15Bk、15Y、15M、15Cが感光体ドラム13Bk、13Y、13M、13Cと対向させて配設され、前記各LEDヘッド15Bk、15Y、15M、15Cは、各色の画像データに従って感光体ドラム13Bk、13Y、13M、13Cを露光し、静電潜像を形成する。そして、前記各画像形成ユニット12Bk、12Y、12M、12Cにおける感光体ドラム13Bk、13Y、13M、13Cより下方には、転写ユニットが配設される。該転写ユニットは、第1のローラとしての駆動ローラR1、第2のローラとしての従動ローラR2、前記駆動ローラR1及び従動ローラR2によって張設され、矢印e方向に走行自在に配設された第1の転写部材としての、かつ、搬送部材としての転写ベルト21、及び該転写ベルト21を介して各感光体ドラム13Bk、13Y、13M、13Cと対向させて配設され、用紙をトナーと逆の極性に帯電させ、各色のトナー像を用紙に転写する第2の転写部材としての転写ローラ17Bk、17Y、17M、17Cを備える。
【0014】
前記プリンタ11の下部には、搬送路に用紙を供給するための給紙機構が配設され、該給紙機構は、ホッピングローラ22、レジストローラ23、媒体収容部としての用紙カセット24等を備える。なお、26は、レジストローラ23から転写ベルト21に送られる用紙の前端を検出する媒体検出部としての書込みセンサである。
【0015】
そして、定着装置としての定着器28は、転写ローラ17Bk、17Y、17M、17Cによって用紙上に転写されたトナー像を用紙に熱定着させるためにローラを加熱する加熱ローラ28a、及び該加熱ローラ28aと共に用紙を圧接して搬送する加圧ローラ28bを備える。
【0016】
ところで、用紙に転写される各色のトナー像に位置ずれが発生することがある。そこで、本実施の形態においては、転写ベルト21上に、各色のトナー像から成る位置ずれ検出パターンを形成し、該位置ずれ検出パターンによって、各色のトナー像の位置ずれを検出し、各色のトナー像が形成される位置を補正するようになっている。そのために、前記駆動ローラR1の直下に転写ベルト21と対向させて位置ずれ検出センサ27が配設される。なお、ブラックに対するイエロー、マゼンタ及びシアンの位置ずれを検出するために、イエロー、マゼンタ及びシアンごとに、図3に示されるような位置ずれ検出パターンpt1、pt2が形成される。
【0017】
次に、前記プリンタ11の制御部について説明する。
【0018】
図1は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの制御ブロック図である。
【0019】
図に示されるように、プリンタ11は、外部装置としての、かつ、上位装置としてのホストコンピュータ30から印刷データ及び媒体情報としての用紙情報を含む印刷要求を受信する受信制御部31、該受信制御部31から送られた印刷要求に基づいて実際に印刷を行うときの印刷速度、すなわち、実印刷速度vpを設定する印刷速度設定部32、該印刷速度設定部32によって設定された実印刷速度vpに基づいて印刷制御を行う印刷制御部33、実印刷速度vpごとに印刷した印刷枚数の履歴を図示されない履歴記憶部に記録する履歴記録処理部34、該履歴記憶部34に記録された履歴に基づいて、位置ずれを検出するときの印刷速度、すなわち、検出時印刷速度vsを決定する検出時印刷速度決定部35、該検出時印刷速度決定部35によって決定された検出時印刷速度vsを記録する検出時印刷速度記憶部36、位置ずれ検出センサ27のセンサ出力に基づいて各色のトナー像の位置ずれの量、すなわち、位置ずれ量を検出する位置ずれ量検出部37、該位置ずれ量検出部37によって検出された位置ずれ量に基づいて、前記印刷制御タイミングを補正することによって位置ずれ補正を行う補正制御部38、並びに検出時印刷速度vsと実印刷速度vpとの速度差Δvに起因して位置ずれ補正の精度が低下するのを防止するために設定された修正量を記録する修正量記憶部39によって構成される。なお、実印刷速度vp及び検出時印刷速度vsは、いずれも、1〔分〕当たりの印刷枚数で表される。
【0020】
次に、前記構成のプリンタ11の動作について説明する。
【0021】
まず、プリンタ11が、ホストコンピュータ30から印刷要求を受信すると、画像形成ユニット12Bk、12Y、12M、12C(図2)は書込みセンサ26のセンサ出力をトリガにし、LEDヘッド15Bk、15Y、15M、15Cによって感光体ドラム13Bk、13Y、13M、13C上に静電潜像を形成する。そして、該各静電潜像に、トナーカートリッジ20Bk、20Y、20M、20Cから供給されたトナーが、トナー供給ローラ18Bk、18Y、18M、18C及び現像ローラ16Bk、16Y、16M、16Cを介して付着させられ、トナー像を形成する。
【0022】
また、プリンタ11は、これらの動作と平行して、ホッピングローラ22によって用紙カセット24から用紙を繰り出し、レジストローラ23によって搬送し、書込みセンサ26によって用紙の前端を検出し、転写ベルト21に送る。そして、用紙は、該転写ベルト21によって転写ローラ17Bk、17Y、17M、17Cと感光体ドラム13Bk、13Y、13M、13Cとの間を一定の速度で搬送され、このとき、転写ローラ17Bk、17Y、17M、17Cによって各色のトナー像が順次重ねて用紙に転写され、カラーのトナー像が形成される。そして、該カラーのトナー像が形成された用紙は、定着器28に送られ、該定着器28においてカラーのトナー像は用紙に定着されられ、カラーの画像が形成される。該カラーの画像が形成された用紙はプリンタ11の本体、すなわち、装置本体外に排出され、印刷が完了する。
【0023】
次に、印刷時のプリンタ11の制御部の動作について説明する。
【0024】
図4は本発明の第1の実施の形態における印刷時のプリンタの制御部の動作を示すフローチャート、図5は本発明の第1の実施の形態における印刷速度と位置ずれ量との関係を示す第1の図である。なお、図5において、横軸に印刷速度を、縦軸に位置ずれ量を採ってある。
【0025】
まず、受信制御部31がホストコンピュータ30からの印刷要求を受信すると、印刷速度設定部32は、印刷要求に含まれる印刷データの解像度を読み込むとともに、印刷要求に含まれる用紙情報、本実施の形態においては、用紙の厚さ、用紙のサイズ等を読み込み、解像度、用紙の厚さ、用紙のサイズ等の印刷情報に基づいて、印刷に適した印刷速度vpを設定する。
【0026】
次に、補正制御部38は、位置ずれ量検出部37によって検出された位置ずれ量に基づいて位置ずれ補正を行う。そのために、各色の印刷制御タイミングを補正し、ブラックの印刷制御タイミングを基準にしたとき、イエロー、マゼンタ及びシアンの各印刷制御タイミングを補正する。なお、印刷制御タイミングをドット数ρの分だけ補正する場合、例えば、印刷データに基づいて生成された画像データを読み出すためのアドレスを、ドット数ρだけ大きくしたり、小さくしたりする。
【0027】
また、印刷速度設定部32によって設定された実印刷速度vpと位置ずれを検出したときの検出時印刷速度vsとが異なる場合、図5に示されるように、実印刷速度vpで印刷を行ったときに実際に発生する位置ずれ量は、検出時印刷速度vsで印刷を行ったときに発生する位置ずれ量εsより値δεだけ大きくなる。該値δεは、実印刷速度vpと検出時印刷速度vsとの速度差Δvに起因する位置ずれ量の変動量を表し、速度差Δvが大きくなると、2次関数的に大きくなる。
【0028】
そこで、印刷制御部33の図示されない印刷速度判断処理部は、実印刷速度vpと検出時印刷速度vsとが等しいかどうかを判断し、実印刷速度vpと検出時印刷速度vsとが等しくない場合、印刷制御部33の図示されない位置ずれ補正値修正処理部は、印刷制御タイミングの補正値を、速度差Δvに起因する位置ずれ量の変動量の分だけ修正する。
【0029】
そのために、修正量記憶部39には、表1に示されるような位置ずれ量修正テーブルが配設され、該位置ずれ量修正テーブルに実印刷速度vpに対応させて修正量が記録される。この場合、検出時印刷速度vsが26〔ppm〕であるときの、各実印刷速度vpに対応する修正量が記録される。該修正量は、イエロー、マゼンタ及びシアンの各印刷制御タイミングの補正値ごとに設定され、速度差Δvが0〔ppm〕である場合、修正量は±0にされ、速度差Δvが大きくなるほど修正量は大きくなる。
【0030】
【表1】

【0031】
なお、本実施の形態においては、実印刷速度vpに対応する修正量があらかじめ算出され、位置ずれ量修正テーブルに記録されるようになっているが、感光体ドラム13Bk、13Y、13M、13Cを回転させるための駆動部としての図示されないモータを駆動したときの、各実印刷速度vpにおける周波数に基づいて修正量を算出することもできる。
【0032】
続いて、印刷制御部33の図示されない媒体搬送処理部は、ホッピングローラ22を回転させることによって、用紙カセット24から用紙を繰り出し、レジストローラ23を回転させることによって用紙を搬送する。そして、用紙の前端が書込みセンサ26に到達すると、該書込みセンサ26がオンになり、センサ出力が印刷制御部33に送られる。
【0033】
該印刷制御部33は、書込みセンサ26のセンサ出力を受けると、履歴記録処理部34に印刷動作の開始を通知する。そして、前記履歴格納部34は、印刷動作の開始が通知されると、印刷速度設定部32によって設定された実印刷速度vpを読み込み、図示されない不揮発性の履歴記憶部に記録された印刷履歴を更新する。前記履歴記憶部には、表2に示されるような、印刷履歴記憶領域が設定され、該印刷履歴記憶領域に各実印刷速度vpごとに印刷枚数(カウント値)が記録される。そのために、前記履歴記憶部には、実印刷速度vpごとに印刷枚数をカウントする印刷枚数カウンタが配設され、該印刷枚数カウンタは、該当する実印刷速度vpで印刷が行われるたびに、カウント値を1だけ加算する。
【0034】
【表2】

【0035】
前記印刷履歴の更新と平行して、印刷制御部33の図示されない画像形成処理部は、トナー像を形成し、搬送された用紙に転写する。前記トナー像の形成は、搬送された用紙の前端が書込みセンサ26に到達したことをトリガにして開始される。そして、用紙の前端が書込みセンサ26に到達するとタイマをスタートし、タイマが所定の時間T1を計時すると、LEDヘッド15Bkは露光を開始し、感光体ドラム13Bkに静電潜像を形成する。続いて、前記LEDヘッド15Bkが露光を開始してから時間T2が経過すると、LEDヘッド15Yは露光を開始し、感光体ドラム13Yに静電潜像を形成し、前記LEDヘッド15Yが露光を開始してから時間T3が経過すると、LEDヘッド15Mは露光を開始し、感光体ドラム13Mに静電潜像を形成し、前記LEDヘッド15Mが露光を開始してから時間T4が経過すると、LEDヘッド15Cは露光を開始し、感光体ドラム13Cに静電潜像を形成する。
【0036】
本実施の形態において、位置ずれ補正における印刷制御タイミングの補正は、前記時間T2、T3及びT4を補正し、書込タイミングを補正することによって行われる。すなわち、時間T2、T3及びT4に対して位置ずれ量分の時間を付加することによってLEDヘッド15Bkの書込タイミングに対する各LEDヘッド15Y、15M、15Cの書込タイミングの補正が行われ、各色のトナー像の書込み位置が重ね合わされる。
【0037】
なお、前述された動作は1ページごとに行われるが、実印刷速度vpの変更がない場合は、用紙の搬送からトナー像の形成までの動作が繰り返し行われる。また、本実施の形態においては、印刷制御タイミングとして書込タイミングが使用されるようになっているが、各画像形成ユニット12Bk、12Y、12M、12Cのバイアス出力の開始タイミングを使用することもできる。
【0038】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 印刷要求を受信したかどうかを判断する。印刷要求を受信した場合はステップS2に進み、受信していない場合は処理を終了する。
ステップS2 受信した印刷要求に基づいて印刷速度を設定する。
ステップS3 位置ずれ量に基づいて印刷制御タイミングを補正する。
ステップS4 実印刷速度vpと検出時印刷速度vsとが等しいかどうかを判断する。実印刷速度vpと検出時印刷速度vsとが等しい場合はステップS6に、等しくない場合はステップS5に進む。
ステップS5 印刷制御タイミングの補正値を速度差Δvに起因する変動量の分だけ修正する。
ステップS6 用紙を搬送する。
ステップS7 書込センサ26がオンになるのを待機し、書込センサ26がオンになった場合はステップS8に進む。
ステップS8 印刷履歴を更新する。
ステップS9 画像形成を開始し、処理を終了する。
【0039】
次に、検出時印刷速度決定部35が検出時印刷速度vsを決定し、位置ずれ量を検出する動作について説明する。
【0040】
図6は本発明の第1の実施の形態における検出時印刷速度決定部の動作を示すフローチャート、図7は本発明の第1の実施の形態における印刷速度と位置ずれ量との関係を示す第2の図である。なお、図7において、横軸に印刷速度を、縦軸に位置ずれ量を採ってある。
【0041】
まず、プリンタ11の電源がオンにされると、検出時印刷速度決定部35(図1)は、履歴記憶部を参照し、印刷履歴があるかどうかを判断する。印刷履歴がある場合、検出時印刷速度決定部35は履歴記憶部から使用頻度の最も高い実印刷速度vpを読み出し、検出時印刷速度vsとして決定する。そして、検出時印刷速度決定部35は、決定された検出時印刷速度vsで位置ずれ量を検出する。
【0042】
一方、印刷履歴がない場合、検出時印刷速度決定部35は、前記履歴記憶部に印刷速度が記録されているかどうかを判断し、不揮発性の記憶領域に印刷速度が記録されている場合は、記録されている印刷速度を検出時印刷速度vsとして決定する。また、不揮発性の記憶領域に印刷速度が記録されていない場合は、あらかじめ設定された基準印刷速度を検出時印刷速度vsとして決定する。なお、前記基準印刷速度としては、プリンタ11において使用頻度の最も高い印刷速度が設定されることが望ましい。例えば、普通紙に対して印刷を行う場合の印刷速度が基準印刷速度として設定される。
【0043】
なお、決定された検出時印刷速度vsは前記履歴記憶部に記録され、プリンタ11の電源が投入されたときには、履歴記憶部に記録された検出時印刷速度vsで位置ずれ量が検出される。
【0044】
このように、検出時印刷速度vsが決定されると、図7に示されるように、検出時印刷速度vsが変更され、実印刷速度vpに近い値又は実印刷速度vpと同じ値になる。その結果、実印刷速度vpで印刷を行ったときに実際に発生する位置ずれ量と、検出時印刷速度vsで印刷を行ったときに発生する位置ずれ量εsとの差の値δεは小さくなる。
【0045】
このように、本実施の形態においては、印刷履歴から印刷頻度の最も高い印刷速度を検出時印刷速度vsとして決定することができるので、実印刷速度vpと検出時印刷速度vsとの速度差Δvに起因して位置ずれ補正の精度が低下するのを防止することができる。したがって、使用される用紙の種類にかかわらず、位置ずれ補正を有効に行うことができ、位置ずれ補正の精度を高くすることができる。
【0046】
また、使用頻度の高い印刷速度における位置ずれ補正の補正値だけを記録しておくことによって、補正値を印刷速度ごとに記録しておく必要がなくなるので、印刷速度を複数選択する場合においても、印刷速度ごとに記憶領域を保持する必要がなくなる。したがって、記憶領域を小さくすることができる。
【0047】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS11 印刷履歴があるかどうかを判断する。印刷履歴がある場合はステップS12に、ない場合はステップS14に進む。
ステップS12 使用頻度の最も高い実印刷速度vpを読み出す。
ステップS13 使用頻度の最も高い実印刷速度vpを検出時印刷速度vsとして決定する。
ステップS14 記憶領域に印刷速度が記録されているかどうかを判断する。記憶領域に印刷速度が記録されている場合はステップS15に、記録されていない場合はステップS16に進む。
ステップS15 記憶領域に記録されている印刷速度を検出時印刷速度vsとして決定する。
ステップS16 基準印刷速度を検出時印刷速度vsとして決定する。
ステップS17 検出時印刷速度vsで位置ずれ量を検出し、処理を終了する。
【0048】
なお、本実施の形態においては、図3に示されるような位置ずれ検出パターンを形成することによって位置ずれを検出するようになっているが、他の任意の方法で位置ずれを検出することもできる。また、本実施の形態においては、位置ずれ補正を行う場合について説明しているが、本発明を画像濃度、転写抵抗等を検出する場合に適用することもできる。
【0049】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態におけるプリンタ及びプリンタの制御部の構造については、前記第1の実施の形態におけるプリンタ及びプリンタの制御部の構造と同様であるので、図1及び2を援用して説明する。
【0050】
この場合、印刷制御部33(図1)の前記印刷速度判断処理部は、実印刷速度vpと検出時印刷速度vsとが等しいかどうかを判断し、実印刷速度vpと検出時印刷速度vsとが等しくない場合、印刷制御部33の前記位置ずれ補正値修正処理部は、印刷制御タイミングの補正値を、速度差Δvに起因する位置ずれ量の変動量の分だけ修正する。
【0051】
そのために、修正量記憶部39に、表3に示されるような位置ずれ量修正テーブルが配設され、該位置ずれ量修正テーブルに、実印刷速度vpに対応させて修正量が記録される。この場合、検出時印刷速度vsが26〔ppm〕であるときの、各実印刷速度vpに対応する修正量が記録される。なお、修正量は、イエロー、マゼンタ及びシアンの各印刷制御タイミングの補正値ごとに設定され、速度差Δvが0〔ppm〕である場合、修正量は±0にされ、速度差Δvが大きくなるほど修正量は大きくなる。
【0052】
【表3】

【0053】
続いて、印刷制御部33の前記媒体搬送処理部は、ホッピングローラ22を回転させることによって、用紙カセット24から用紙を繰り出し、レジストローラ23を回転させることによって用紙を搬送する。そして、用紙の前端が媒体検出部としての書込みセンサ26に到達すると、該書込みセンサ26がオンになり、センサ出力が印刷制御部33に送られる。
【0054】
続いて、該印刷制御部33は、書込みセンサ26のセンサ出力を受けると、履歴記録処理部34に印刷動作の開始を通知する。そして、前記履歴格納部34は、印刷動作の開始が通知されると、印刷速度設定部32において設定された実印刷速度vpを読み込み、不揮発性の履歴記憶部に記録された印刷履歴を更新する。前記履歴記憶部には、表4に示されるような、印刷履歴記憶領域が設定され、該印刷履歴記憶領域に各実印刷速度vpごとに印刷枚数(カウント値)が記録される。そのために、前記履歴記憶部には、実印刷速度vpごとに印刷枚数をカウントする印刷枚数カウンタが配設され、該印刷枚数カウンタは、該当する実印刷速度vpで印刷が行われるたびに、カウント値を1だけ加算する。
【0055】
【表4】

【0056】
前記印刷履歴は、印刷履歴1〜3から成り、印刷履歴1には現在から過去1時間内の印刷枚数が、印刷履歴2には過去1時間から2時間内の印刷枚数が、印刷履歴3には過去2時間から3時間内の印刷枚数がそれぞれ記録される。そして、現在の印刷動作が終了すると、印刷履歴1が更新される。
【0057】
次に、検出時印刷速度決定部35が検出時印刷速度vsを決定し、位置ずれ量を検出する動作について説明する。
【0058】
図8は本発明の第2の実施の形態における検出時印刷速度決定部の動作を示すフローチャートである。
【0059】
この場合、プリンタ11の電源がオンにされると、検出時印刷速度決定部35は、履歴記憶部を参照し、印刷履歴があるかどうかを判断する。印刷履歴がある場合、検出時印刷速度決定部35は、履歴記憶部から印刷履歴1〜3のうちの時間当たりの使用頻度が最も高い実印刷速度vpを読み出し、検出時印刷速度vsとして決定する。そして、検出時印刷速度決定部35は、決定された検出時印刷速度vsで位置ずれ量を検出する。
【0060】
このように、本実施の形態においては、印刷履歴1〜3のうちの時間当たりの使用頻度が最も高い実印刷速度vpが検出時印刷速度vsとして決定されるので、位置ずれ補正の精度を高くすることができる。
【0061】
なお、使用頻度の高い印刷速度の修正量だけを記録することによって、印刷速度ごとに修正量を記録する必要をなくすことができる。
【0062】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS21 印刷履歴があるかどうかを判断する。印刷履歴がある場合はステップS22に、印刷履歴がない場合はステップS24に進む。
ステップS22 所定の印刷履歴から使用頻度の最も高い実印刷速度vpを読み出す。
ステップS23 使用頻度の最も高い実印刷速度vpを検出時印刷速度vsとして決定する。
ステップS24 記憶領域に印刷速度が記録されているかどうかを判断する。記憶領域に印刷速度が記録されている場合はステップS25に、記録されていない場合はステップS26に進む。
ステップS25 記憶領域に記録されている印刷速度を検出時印刷速度vsとして決定する。
ステップS26 基準印刷速度を検出時印刷速度vsとして決定する。
ステップS27 検出時印刷速度で位置ずれ量を検出し、処理を終了する。
【0063】
前記各実施の形態においては、画像形成装置としてのプリンタについて説明したが、本発明を、複写機、ファクシミリ装置、複合機等に適用することができる。
【0064】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの制御ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概略図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における位置ずれ検出パターンの例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における印刷時のプリンタの制御部の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施の形態における印刷速度と位置ずれ量との関係を示す第1の図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における検出時印刷速度決定部の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施の形態における印刷速度と位置ずれ量との関係を示す第2の図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態における検出時印刷速度決定部の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
31 受信制御部
32 印刷速度設定部
33 印刷制御部
34 履歴記録処理部
35 検出時印刷速度決定部
37 位置ずれ量検出部
38 補正制御部
vp 実印刷速度
vs 検出時印刷速度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)外部装置から印刷情報を受信する受信制御部と、
(b)前記印刷情報に基づいて、所定の印刷速度を実印刷速度として設定する印刷速度設定部と、
(c)設定された実印刷速度で媒体に画像を形成する印刷制御部と、
(d)印刷速度ごとの印刷履歴を履歴処理部に記録する履歴記録処理部と、
(e)記録された印刷履歴に基づいて、画像の位置ずれを検出する際の印刷速度を検出時印刷速度として決定する検出時印刷速度決定部と、
(f)検出時印刷速度で位置ずれ量を検出する位置ずれ量検出部と、
(g)検出された位置ずれ量に基づいて印刷制御タイミングを補正する補正制御部とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記印刷情報は媒体の厚さを含む請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記印刷情報は媒体のサイズを含む請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷情報は印刷データの解像度を含む請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記履歴記録処理部は印刷が行われるのに伴って印刷履歴を更新する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記補正制御部は、検出された位置ずれ量に基づいて、各画像形成ユニットの書込みタイミングを補正する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記補正制御部は、検出された位置ずれ量に基づいて、各画像形成ユニットのバイアス出力の開始タイミングを補正する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
印刷制御タイミングの補正値を、実印刷速度と検出時印刷速度との速度差に起因する位置ずれ量の変動量の分だけ修正する位置ずれ補正値修正処理部を有する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記補正値修正処理部は、実印刷速度にあらかじめ対応させて設定された修正量だけ印刷制御タイミングの補正値を修正する請求項8に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−54723(P2010−54723A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218532(P2008−218532)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【出願人】(594202361)株式会社沖データシステムズ (259)
【Fターム(参考)】