説明

画像形成装置

【課題】弾性変形可能な帯電スリーブを有する電子写真方式の画像形成装置であって、上記帯電スリーブの回転速度を検知できるものを提供すること。
【解決手段】感光体190の長手方向Yに関して、現像部193aによる現像の対象となる現像領域Bの境界と、現像領域Bよりも狭くトナー画像が形成される画像領域Aの境界との間の隙間に相当する感光体環状領域Cが存在する。帯電スリーブ199は、感光体環状領域Cに対応し、かつ周方向に関して特定の位置に、帯電スリーブの他の領域に対して帯電の仕方が異なる帯電特異領域199aを有する。感光体190の外周面のうち感光体環状領域Cに形成された現像剤を観測して、帯電特異領域199aに対応する第1現像剤特異領域149を表す信号を出力する第1センサを備える。第1センサが出力する第1現像剤特異領域149を表す信号のタイミングに基づいて、帯電スリーブの回転速度を検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は画像形成装置に関し、より詳しくは、電子写真方式で画像形成を行う装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成ユニットとしては、回転可能な感光体と、シャフトを有すると共にこの感光体の外周面に接触する帯電ローラと備えたものがある(特開昭63−149669号公報:特許文献1参照)。この帯電ローラは、例えば、シャフトをバネにより上記感光体側へ押圧することで、上記感光体に圧接して、上記感光体の回転に追従して回転する。そして、上記帯電ローラは、上記感光体に電荷を付与する。
【特許文献1】特開昭63−149669号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の画像形成ユニットでは、上記帯電ローラが上記シャフトを有するため、上記帯電ローラのコストが高くなっていた。また、上記帯電ローラを上記感光体に圧接するために、バネ等の部材が必要であり、構造が複雑であった。
【0004】
本出願人は、本願に先立って、電子写真方式で画像形成を行う画像形成装置として、図5に示すように、矢印cの向きに回転可能な感光体ドラム190と、この感光体ドラム190の外周面に接触してこの感光体ドラム190の回転に追従して矢印dの向きに回転すると共に、この感光体ドラム190を帯電させる弾性変形可能な帯電ローラ(以下「帯電スリーブ」という。)199と、この帯電スリーブ199を囲むように配置され、この帯電スリーブ199の動きを規制する規制部材198とを備えたものを提案した(特願2008−156318号)。なお、192は露光装置、193は現像装置(現像ローラ193aを含む。)、194は転写ローラ、195はクリーナ装置(クリーニングブレード195aを含む。)、108は中間転写ベルトをそれぞれ示している。この画像形成装置では、帯電スリーブ199と規制部材198とが帯電装置191を構成する。これにより、簡単な構成で感光体ドラム190を帯電でき、帯電装置191に関するコストを低減できる。
【0005】
ここで、帯電スリーブ199は、劣化や汚染によってスリップすることが考えられる。その場合、帯電スリーブ199の回転が安定せず、帯電スリーブ199から感光体ドラム190への放電が不安定となって、感光体ドラム190の帯電不均一を起こす可能性がある。そこで、上記帯電スリーブ199の回転速度を検知して、回転異常が発生した場合にはメンテナンス等を行うのが望ましい。
【0006】
そこで、この発明の課題は、弾性変形可能な帯電スリーブを有する電子写真方式の画像形成装置であって、上記帯電スリーブの回転速度を検知できるものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明の画像形成装置は、電子写真方式で画像形成を行う画像形成装置であって、
一方向に延在する回転可能な感光体と、
この感光体の外周面に接触してこの感光体の回転に追従して回転すると共に、この感光体の外周面を一様に帯電させる弾性変形可能な円筒状の帯電スリーブと、
この帯電スリーブを囲むように配置され、この帯電スリーブの動きを規制する規制部材と、
上記一様に帯電された上記感光体の表面を露光して、上記感光体の表面に潜像を形成する露光部と、
上記潜像を現像して上記感光体の表面にトナー画像を形成する現像部と
を少なくとも備え、
上記感光体の長手方向に関して、上記現像部による現像の対象となる現像領域の境界と、上記現像領域よりも狭く上記トナー画像が形成される画像領域の境界との間の隙間に相当する感光体環状領域が存在し、
上記帯電スリーブは、上記感光体環状領域に対応し、かつ周方向に関して特定の位置に、上記帯電スリーブの他の領域に対して帯電の仕方が異なる帯電特異領域を有し、
上記感光体の外周面のうち上記感光体環状領域に形成された現像剤を観測して、上記帯電特異領域に対応する第1現像剤特異領域を表す信号を出力する第1センサと、
上記第1センサが出力する上記第1現像剤特異領域を表す信号のタイミングに基づいて、上記帯電スリーブの回転速度を検知するスリーブ回転速度検知部を備えたことを特徴とする。
【0008】
この発明の画像形成装置では、動作時に、上記規制部材によって動きが規制された帯電スリーブによって、上記感光体の外周面が一様に帯電される。上記一様に帯電された上記感光体の表面が上記露光部によって露光されて、上記感光体の表面に潜像が形成される。上記現像部によって上記潜像が現像されて上記感光体の表面にトナー画像が形成される。
上記第1センサは、上記感光体の外周面のうち上記感光体環状領域に形成された現像剤を観測して、上記帯電特異領域に対応する第1現像剤特異領域を表す信号を出力する。上記第1センサが出力する上記第1現像剤特異領域を表す信号のタイミングに基づいて、上記スリーブ回転速度検知部が上記帯電スリーブの回転速度を検知する。このようにして、上記スリーブ回転速度検知部によって、上記帯電スリーブの回転速度を検知することができる。
【0009】
一実施形態の画像形成装置では、上記帯電スリーブの上記帯電特異領域は、上記帯電スリーブの外周面と内周面との間を貫通する穴であることを特徴とする。
【0010】
この一実施形態の画像形成装置では、上記感光体の外周面のうち上記穴に対応する部分が帯電されない。したがって、上記感光体環状領域上では、上記第1現像剤特異領域と他の領域との間で現像状態が異なる。これにより、上記第1センサは、上記第1現像剤特異領域を表す信号を出力することができる。上記帯電スリーブの上記帯電特異領域は穴であるから、簡単に形成される。
【0011】
一実施形態の画像形成装置では、上記帯電スリーブの上記帯電特異領域は、上記帯電スリーブの上記他の領域に対して電気抵抗が高い高抵抗領域であることを特徴とする。
【0012】
この一実施形態の画像形成装置では、上記感光体の外周面のうち上記高抵抗領域に対応する部分が、それ以外の部分に対して帯電され難い。したがって、上記感光体環状領域上では、上記第1現像剤特異領域と他の領域との間で現像状態が異なる。これにより、上記第1センサは、上記第1現像剤特異領域を表す信号を出力することができる。上記帯電スリーブの上記帯電特異領域は、上記帯電スリーブの外周面に例えば高抵抗のシールを貼り付けることにより、簡単に形成される。
【0013】
一実施形態の画像形成装置では、
上記感光体の長手方向に対して垂直な方向に移動する転写ベルトを備え、
上記感光体、上記帯電特異領域を有する上記帯電スリーブ、上記規制部材、上記露光部、上記現像部、および上記感光体の表面に形成されたトナー画像を上記転写ベルトに転写させる転写部、並びに上記第1センサが、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色毎に、上記転写ベルトの移動方向に沿ってタンデム型に並べて設けられ、
上記スリーブ回転速度検知部は、上記各色の上記第1センサが出力する上記信号のタイミングに基づいて、上記各色の上記帯電スリーブの回転速度を検知することを特徴とする。
【0014】
この一実施形態の画像形成装置では、上記スリーブ回転速度検知部によって、上記各色の上記帯電スリーブの回転速度を検知することができる。
【0015】
別の局面では、この発明の画像形成装置は、電子写真方式で画像形成を行う画像形成装置であって、
一方向に延在する回転可能な感光体と、
この感光体の外周面に接触してこの感光体の回転に追従して回転すると共に、この感光体の外周面を一様に帯電させる弾性変形可能な円筒状の帯電スリーブと、
この帯電スリーブを囲むように配置され、この帯電スリーブの動きを規制する規制部材と、
上記一様に帯電された上記感光体の表面を露光して、上記感光体の表面に潜像を形成する露光部と、
上記潜像を現像して上記感光体の表面にトナー画像を形成する現像部と、
上記感光体の表面に形成されたトナー画像を転写ベルトに転写させる転写部と
を少なくとも備え、
上記感光体の長手方向に関して、上記現像部による現像の対象となる現像領域の境界と、上記現像領域よりも狭く上記トナー画像が形成される画像領域の境界との間の隙間に相当する感光体環状領域が存在し、
上記帯電スリーブは、上記感光体環状領域に対応し、かつ周方向に関して特定の位置に、上記帯電スリーブの他の領域に対して帯電の仕方が異なる帯電特異領域を有し、
上記転写ベルトの外周面のうち上記感光体環状領域に対応するベルト側縁領域に転写された現像剤を観測して、上記帯電特異領域に対応する第2現像剤特異領域を表す信号を出力する第2センサと、
上記第2センサが出力する上記第2現像剤特異領域を表す信号のタイミングに基づいて、上記帯電スリーブの回転速度を検知するスリーブ回転速度検知部を備えたことを特徴とする。
【0016】
この発明の画像形成装置では、動作時に、上記規制部材によって動きが規制された帯電スリーブによって、上記感光体の外周面が一様に帯電される。上記一様に帯電された上記感光体の表面が上記露光部によって露光されて、上記感光体の表面に潜像が形成される。上記現像部によって上記潜像が現像されて上記感光体の表面にトナー画像が形成される。
上記感光体の表面に形成されたトナー画像は、上記転写部によって上記転写ベルトに転写される。上記第2センサは、上記転写ベルトの外周面のうち上記感光体環状領域に対応するベルト側縁領域に転写された現像剤を観測して、上記現像剤のうち上記帯電特異領域に対応する第2現像剤特異領域を表す信号を出力する。上記第2センサが出力する上記第2現像剤特異領域を表す信号のタイミングに基づいて、上記スリーブ回転速度検知部が上記帯電スリーブの回転速度を検知する。このようにして、上記スリーブ回転速度検知部によって、上記帯電スリーブの回転速度を検知することができる。
【0017】
一実施形態の画像形成装置では、
上記感光体の長手方向に対して垂直な方向に移動する転写ベルトを備え、
上記感光体、上記帯電特異領域を有する上記帯電スリーブ、上記規制部材、上記露光部、上記現像部、および上記感光体の表面に形成されたトナー画像を上記転写ベルトに転写させる転写部が、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色毎に、上記転写ベルトの移動方向に沿ってタンデム型に並べて設けられ、
上記各色の上記帯電スリーブの上記帯電特異領域は、上記帯電スリーブの長手方向に関して、予め定められた順に上記感光体環状領域に対応する範囲内で互いにずらして配置され、
上記第2センサの出力を受けて、上記各第2現像剤特異領域の上記転写ベルトでの幅方向位置を検出する幅方向位置検出部と、
上記幅方向位置検出部の検出結果に基づいて、上記各第2現像剤特異領域の幅方向位置に対応する色を検出する色検出部とを備え、
上記スリーブ回転速度検知部は、上記色検出部が検出した色毎に、上記第2センサが出力する上記第2現像剤特異領域を表す信号のタイミングに基づいて、上記帯電スリーブの回転速度を検知することを特徴とする。
【0018】
この一実施形態の画像形成装置では、上記各色の上記帯電スリーブの上記帯電特異領域は、上記帯電スリーブの長手方向に関して予め定められた順に互いにずらして配置されているので、上記転写ベルトの上記ベルト側縁領域には、上記各色の上記第2現像剤特異領域が、上記転写ベルトの幅方向に関して予め定められた順に互いにずれた状態で転写される。ここで、上記幅方向位置検出部は、上記第2センサの出力を受けて、上記各第2現像剤特異領域の上記転写ベルトでの幅方向位置を検出する。上記色検出部は、上記幅方向位置検出部の検出結果に基づいて、上記各第2現像剤特異領域の幅方向位置に対応する色を検出する。上記スリーブ回転速度検知部は、上記色検出部が検出した色毎に、上記第2センサが出力する上記第2現像剤特異領域を表す信号のタイミングに基づいて、上記帯電スリーブの回転速度を検知する。このようにして、上記各色の上記帯電スリーブの回転速度を検知することができる。この画像形成装置では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色に対して上記第2センサを1個で済ませることができる。したがって、コストを低減できる。
【0019】
一実施形態の画像形成装置では、
上記感光体の長手方向に対して垂直な方向に移動する転写ベルトを備え、
上記感光体、上記帯電特異領域を有する上記帯電スリーブ、上記規制部材、上記露光部、上記現像部、および上記感光体の表面に形成されたトナー画像を上記転写ベルトに転写させる転写部が、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色毎に、上記転写ベルトの移動方向に沿ってタンデム型に並べて設けられ、
上記各色の上記帯電スリーブの上記帯電特異領域は、上記帯電スリーブの周方向に関して、互いに異なるパターン寸法を有し、
上記転写ベルトのうち上記感光体環状領域に対応するベルト側縁領域には、上記各色の上記第2現像剤特異領域が、上記転写ベルトの移動方向に関して予め定められた順に互いにずれて形成されるように、上記各色の上記転写部の転写タイミングを調整する転写タイミング調整部と、
上記第2センサの出力を受けて、上記転写ベルトの上記ベルト側縁領域に形成された上記各第2現像剤特異領域のパターン寸法を検出する寸法検出部と、
上記寸法検出部の検出結果に基づいて、上記各第2現像剤特異領域のパターン寸法に対応する色を検出する色検出部とを備え、
上記スリーブ回転速度検知部は、上記色検出部が検出した色毎に、上記第2センサが出力する上記第2現像剤特異領域を表す信号のタイミングに基づいて、上記帯電スリーブの回転速度を検知することを特徴とする。
【0020】
この一実施形態の画像形成装置では、上記転写ベルトのうち上記感光体環状領域に対応するベルト側縁領域には、上記転写タイミング調整部によって、上記各色の上記第2現像剤特異領域が、上記転写ベルトの移動方向に関して予め定められた順に互いにずれて形成される。形成された上記各色の上記第2現像剤特異領域は、上記帯電スリーブの上記帯電特異領域のパターン寸法に応じて、互いに異なるパターン寸法をもつ。ここで、上記寸法検出部は、上記第2センサの出力を受けて、上記転写ベルトの上記ベルト側縁領域に形成された上記各第2現像剤特異領域のパターン寸法を検出する。上記色検出部は、上記寸法検出部の検出結果に基づいて、上記各第2現像剤特異領域のパターン寸法に対応する色を検出する。上記スリーブ回転速度検知部は、上記色検出部が検出した色毎に、上記第2センサが出力する上記第2現像剤特異領域を表す信号のタイミングに基づいて、上記帯電スリーブの回転速度を検知する。このようにして、上記各色の上記帯電スリーブの回転速度を検知することができる。この画像形成装置では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色に対して上記第2センサを1個で済ませることができる。したがって、コストを低減できる。
【0021】
一実施形態の画像形成装置では、
上記感光体の長手方向に対して垂直な方向に移動する転写ベルトを備え、
上記感光体、上記帯電特異領域を有する上記帯電スリーブ、上記規制部材、上記露光部、上記現像部、および上記感光体の表面に形成されたトナー画像を上記転写ベルトに転写させる転写部が、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色毎に、上記転写ベルトの移動方向に沿ってタンデム型に並べて設けられ、
上記転写ベルトのうち上記感光体環状領域に対応するベルト側縁領域には、上記各色の上記第2現像剤特異領域が、上記転写ベルトの移動方向に関して予め定められた順に互いにずれて形成されるように、上記各色の上記転写部の転写タイミングを調整する転写タイミング調整部と、
上記第2センサの出力を受けて、上記転写ベルトの上記ベルト側縁領域に形成された上記各第2現像剤特異領域の濃度を検出する濃度検出部と、
上記濃度検出部の検出結果に基づいて、上記各第2現像剤特異領域の濃度に対応する色を検出する色検出部とを備え、
上記スリーブ回転速度検知部は、上記色検出部が検出した色毎に、上記第2センサが出力する上記第2現像剤特異領域を表す信号のタイミングに基づいて、上記帯電スリーブの回転速度を検知することを特徴とする。
【0022】
この一実施形態の画像形成装置では、上記転写ベルトのうち上記感光体環状領域に対応するベルト側縁領域には、上記転写タイミング調整部によって、上記各色の上記第2現像剤特異領域が、上記転写ベルトの移動方向に関して予め定められた順に互いにずれて形成される。形成された上記各色の上記第2現像剤特異領域は、その色に応じた互いに異なる濃度をもつ。ここで、上記濃度検出部は、上記第2センサの出力を受けて、上記転写ベルトの上記ベルト側縁領域に形成された上記各第2現像剤特異領域の濃度を検出する。上記色検出部は、上記濃度検出部の検出結果に基づいて、上記各第2現像剤特異領域の濃度に対応する色を検出する。上記スリーブ回転速度検知部は、上記色検出部が検出した色毎に、上記第2センサが出力する上記第2現像剤特異領域を表す信号のタイミングに基づいて、上記帯電スリーブの回転速度を検知する。このようにして、上記各色の上記帯電スリーブの回転速度を検知することができる。この画像形成装置では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色に対して上記第2センサを1個で済ませることができる。したがって、コストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0024】
図1は、一実施形態のタンデム型のカラー画像形成装置100の断面構造を示している。この画像形成装置100は、本体ケーシング101内の略中央に、3個のローラ102、104、106に巻回された転写ベルトとしての中間転写ベルト108を備えている。3個のローラのうち2個のローラ102、104は、図において左側に上下に互いに離間して配置され、残りのローラ106は図において右側に配置されている。中間転写ベルト108はこれらのローラ102、104、106によって支持されて矢印X方向に回転駆動される。
【0025】
中間転写ベルト108の下方には、図において左側から順に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色トナーに対応する画像形成部としての作像ユニット110Y、110M、110C、110Kが並べて配置されている。
【0026】
各作像ユニット110Y、110M、110C、110Kは、それらが取り扱うトナー色の違いを除いて全く同様に構成されている。具体的には、例えばイエローの作像ユニット110Yは、感光体ドラム190と、帯電装置191と、露光部としての露光装置192と、トナーを用いて現像を行う現像部としての現像装置193と、クリーナ装置195とを一体にして構成されている。中間転写ベルト108を挟んで感光体ドラム190と対向する位置に、転写部としての1次転写ローラ194が設けられている。画像形成時には、まず帯電装置191によって感光体ドラム190の表面が一様に帯電され、続いて、露光装置192によって、図示されない外部装置から入力された画像信号に応じて感光体ドラム190の表面が露光されて、そこに潜像が形成される。次に、現像装置193によって、感光体ドラム190の表面上の潜像が現像されてトナー画像となる。このトナー画像は、後述の制御部200によって指示された転写タイミングで、感光体ドラム190と1次転写ローラ194との間の電圧印加によって、中間転写ベルト108に転写される。感光体ドラム190の表面上の転写残トナーは、クリーナ装置195によってクリーニングされる。なお、図2中に示すように、現像装置193は、感光体ドラム190の外周面に対向する現像ローラ193aを有している。クリーナ装置195は、感光体ドラム190の外周面に接するクリーニングブレード195aを有している。
【0027】
中間転写ベルト108が矢印X方向に移動するに伴って、各作像ユニット110Y、110M、110C、110Kによって中間転写ベルト108上に4色のトナー画像が重ねて形成される。
【0028】
中間転写ベルト108の左側には、中間転写ベルト108の表面から残トナーを取り除くクリーナユニット15が設けられている。中間転写ベルト108の右側には、用紙のための搬送路124を挟んで2次転写ローラ112が設けられている。本体ケーシング101内の右上部には、トナーを用紙に定着させるための定着ユニット30が設けられている。定着ユニット30は、図1の紙面に対して垂直に延在する加熱ローラ31と加圧ローラ32とを備えている。この例では、加熱ローラ31に図示しない加熱源が内蔵されている。加圧ローラ32は、図示しないばねによって加熱ローラ31へ向かって付勢されている。これにより、加熱ローラ31と加圧ローラ32とは定着のためのニップ部を形成している。トナー像が転写された用紙Sがこのニップ部を通ることにより、その用紙Sにトナー画像が定着される。また、本体ケーシング101の下部には、シートとしての用紙Sを収容した給紙カセット116が設けられている。
【0029】
また、本体ケーシング101内には、この画像形成装置全体の動作を制御する制御部200が設けられている。制御部200は、この例では特に、既述の転写タイミング調整部、後述のスリーブ回転速度検知部、幅方向位置検出部、寸法検出部、および色検出部として働く。
【0030】
画像形成時には、用紙Sは給紙ローラ118によって給紙カセット116から搬送路124へ1枚ずつ送り出され、搬送ローラ120によって中間転写ベルト108と2次転写ローラ112との間のトナー転写位置へ送り込まれる。一方、既述のように、各作像ユニット110Y、110M、110C、110Kによって中間転写ベルト108上に4色のトナー画像が重ねて形成されている。上述のトナー転写位置に送り込まれた用紙Sに、この中間転写ベルト108上の4色のトナー画像が、2次転写ローラ112によって転写される。トナー像が転写された用紙Sは、定着ユニット30の加熱ローラ31と加圧ローラ32とが作るニップ部を通して搬送され、加熱および加圧を受ける。これにより、その用紙Sにトナー画像が定着される。そして、トナー画像が定着された用紙Sは、排紙ローラ121によって、本体ケーシング101の上面に設けられた排紙トレイ部122へ排出される。
【0031】
図2(図1とは上下逆に描かれている。図3、図4、図5、図6において同様。)に示すように、帯電装置191は、帯電スリーブ199と、この帯電スリーブ199の動きを規制する規制部材198とからなっている。
【0032】
帯電スリーブ199は、シャフトを有さない弾性変形可能な中空のローラである。帯電スリーブ199の表面抵抗は、例えば、10〜10Ωである。帯電スリーブ199の肉厚は、例えば、0.05〜0.8mmである。帯電スリーブ199は、例えば、PA(ポリアミド(ナイロン))、PI(ポリイミド)、PFA(テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレンポリ四フッ化エチレン)、PPS(ポリフェニレンスルフィドまたはサルファイド)、PC(ポリカーボネート)などの導電性樹脂や、非導電樹脂に導電コートを処理したチューブや、導電性ゴム等からなる。
【0033】
規制部材198は、帯電スリーブ199を囲むように配置され、この帯電スリーブ199の動きを規制する。規制部材198は、自由状態の帯電スリーブ199を収容する大きさに形成されている。規制部材198は、例えば、Niメッキを施した鉄や、ステンレスからなる。なお、自由状態とは、帯電ローラ3がどの方向からも力を受けていないことによって、帯電ローラ3が円筒形を保っている状態を意味する。
【0034】
図示しない押し付け部が規制部材198を感光体ドラム190の方へ押し付けることによって、帯電スリーブ199は感光体ドラム190に押し付けられている。これにより、断面略楕円状に変形している。
【0035】
感光体ドラム190の帯電スリーブ199に対する摩擦抵抗は、規制部材198の帯電スリーブ199に対する摩擦抵抗と同等かまたはそれよりも大きい。なお、規制部材198における帯電スリーブ199と接触する部分に、すべり部材を設けてもよい。このすべり部材は、例えば、テフロンテープ、乾性潤滑剤などであって、導電性をもたせたものが好ましい。
【0036】
帯電スリーブ199へは、導電性の規制部材198または図示しない導電部材を介して、帯電電圧が入力される。感光体ドラム190の矢印cの向きに回転すると、帯電スリーブ199は、感光体ドラム190に追従して矢印dの向きに回転する。これにより、感光体ドラム190の外周面を一様に帯電させる。
【0037】
図6に示すように、この画像形成装置では、感光体ドラム190の長手方向Yに関して、現像ローラ193aによる現像の対象となる現像領域Bの境界と、現像領域Bよりも狭く実際にトナー画像が形成される画像領域Aの境界との間の隙間に相当する感光体環状領域Cが存在する。帯電スリーブ199は、感光体環状領域Cに対応し、かつ周方向に関して特定の位置に、帯電スリーブ199の他の領域に対して帯電の仕方が異なる帯電特異領域199aを有する。
【0038】
この例では、帯電特異領域199aは、帯電スリーブ199の外周面と内周面との間を貫通する矩形の穴からなる。この場合、動作時に、感光体ドラム190の外周面のうち穴199aに対応する部分が帯電されない。したがって、感光体ドラム190の外周面のうち感光体環状領域Cには、帯電特異領域199aに対応する第1現像剤特異領域としての現像剤からなるパッチ149が形成される。
【0039】
図2に示すように、感光体ドラム190の外周面に対向して、第1センサとしてのフォトセンサ132が設けられている。フォトセンサ132は、感光体ドラム190の外周面のうち感光体環状領域Cに形成された現像剤を観測して、帯電特異領域199aに対応するパッチ149を表す信号を出力する。
【0040】
動作時には、制御部200がスリーブ回転速度検知部として働いて、フォトセンサ132が出力するパッチ149を表す信号のタイミングに基づいて、帯電スリーブ199の回転速度を検知する。具体的には、帯電スリーブ199の周囲長(これをlとする。)をパッチ149を表す信号の周期(これをtとする。)で除算する。そして、得られた商l/tに比例する量として、帯電スリーブ199の回転速度vを求める。つまり、v=kl/tとして求める(ここで、kは、設計段階で定まる比例定数である。)。このようにして、帯電スリーブ199の回転速度を検知することができる。
【0041】
上の例では、帯電スリーブ199の帯電特異領域199aは穴であるから、簡単に形成される。
【0042】
既述のように、各作像ユニット110Y、110M、110C、110Kは、それらが取り扱うトナー色の違いを除いて全く同様に構成されている。つまり、上の例では、第1センサとしてのフォトセンサ132は、各色毎に1個ずつ、計4個設けられている。これにより、各色の帯電スリーブ199の回転速度を検知することができる。
【0043】
これに対して、図3に示すように、第1センサとしてのフォトセンサ132に代えて、中間転写ベルト108に対向する位置に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色に共通に、第2センサとしてのフォトセンサ133を設けても良い(フォトセンサ133は図1中にも示されている。)。この場合、1個のフォトセンサ133によって、中間転写ベルト108のうちベルト側縁領域(後述の図8A、図8B、図8C参照。感光体ドラム190の感光体環状領域Cに対応する。)に転写された現像剤を観測して、各色の帯電特異領域199aに対応する第2現像剤特異領域(パッチ140Y,140M,140C,140K)を表す信号をそれぞれ出力する。そして、フォトセンサ133が出力する各色のパッチを表す信号のタイミングに基づいて、制御部200がスリーブ回転速度検知部として働いて、各色の帯電スリーブ199の回転速度を検知する。このようにして、各色の帯電スリーブ199の回転速度を検知することができる。
【0044】
この場合、中間転写ベルト108で各色のパッチを互いに区別する方式として、次のi)〜iii)に示すような3通りが挙げられる。
【0045】
i) 1番目の方式では、各色の帯電スリーブ199の帯電特異領域199aを、帯電スリーブ199の長手方向Yに関して、感光体環状領域Cに対応する範囲内で予め定められた順に互いにずらして配置する。この場合、図8Aに示すように、中間転写ベルト108のベルト側縁領域には、各色のパッチ140Y,140M,140C,140Kが、中間転写ベルト108の幅方向Yに関して互いにずれた状態で転写される。この例では、+Y側から、イエローのパッチ140Y、マゼンタのパッチ140M、シアンのパッチ140C、ブラックのパッチ140Kの順に形成されている。ここで、制御部200が幅方向位置検出部として働いて、フォトセンサ133の出力を受けて、各パッチ140Y,140M,140C,140Kの中間転写ベルト108での幅方向位置を検出する(図9(a)のステップS1)。次に、制御部200が色検出部として働いて、上記各パッチ140Y,140M,140C,140Kの幅方向位置に対応する色を検出する(図9(a)のステップS2)。次に、制御部200がスリーブ回転速度検知部として働いて、色毎に、フォトセンサ133が出力するパッチ140Y,140M,140C,140Kを表す信号のタイミングに基づいて、帯電スリーブ199の回転速度を検知する(図9(a)のステップS3)。具体的には、各色の帯電スリーブ199の周囲長l(各色に関して共通である。)をパッチ140Y,140M,140C,140Kを表す信号の周期t,t,t,tでそれぞれ除算する。そして、得られた商に比例する量として、帯電スリーブ199の回転速度v,v,v,vをそれぞれ求める。つまり、v=kl/t、v=kl/t、v=kl/t、また、v=kl/tとして求める(ここで、kは、設計段階で定まる比例定数である。)。このようにして、各色の帯電スリーブ199の回転速度を検知することができる。このようにした場合、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色に対してフォトセンサ133を1個で済ませることができる。
【0046】
ii) 2番目の方式では、各色の帯電スリーブ199の帯電特異領域199aを、帯電スリーブ199の周方向に関して、互いに異なるパターン寸法を有するものにしておく。また、制御部200が転写タイミング調整部として働いて各色の転写部の転写タイミングを調整する。これにより、図8Bに示すように、中間転写ベルト108のベルト側縁領域に、各色のパッチ140Y,140M,140C,140Kを、中間転写ベルト108の移動方向Xに関して予め定められた順に互いにずらして形成する。この例では、+X側から、イエローのパッチ140Y、マゼンタのパッチ140M、シアンのパッチ140C、ブラックのパッチ140Kの順に形成されている。形成された各色のパッチ140Y,140M,140C,140Kは、帯電スリーブ199の帯電特異領域199aのパターン寸法に応じて、互いに異なるパターン寸法をもつ。この例では、イエローのパッチ140Y、マゼンタのパッチ140M、シアンのパッチ140C、ブラックのパッチ140Kの順にパターン寸法が長くなっている。ここで、制御部200が寸法検出部として働いて、フォトセンサ133の出力を受けて、中間転写ベルト108のベルト側縁領域に形成されたパッチ140Y,140M,140C,140Kのパターン寸法(長さ)を検出する(図9(b)のステップS11)。次に、制御部200が色検出部として働いて、上記各パッチ140Y,140M,140C,140Kのパターン寸法に対応する色を検出する(図9(b)のステップS12)。次に、制御部200がスリーブ回転速度検知部として働いて、色毎に、フォトセンサ133が出力するパッチ140Y,140M,140C,140Kを表す信号のタイミングに基づいて、帯電スリーブ199の回転速度を検知する(図9(b)のステップS13)。具体的には、1番目の方式におけるのと同様に、各色の帯電スリーブ199の周囲長l(各色に関して共通である。)をパッチ140Y,140M,140C,140Kを表す信号の周期t,t,t,tでそれぞれ除算する。そして、得られた商に比例する量として、帯電スリーブ199の回転速度v,v,v,vをそれぞれ求める。つまり、v=kl/t、v=kl/t、v=kl/t、また、v=kl/tとして求める(ここで、kは、設計段階で定まる比例定数である。)。このようにして、各色の帯電スリーブ199の回転速度を検知することができる。このようにした場合、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色に対してフォトセンサ133を1個で済ませることができる。
【0047】
iii) 3番目の方式では、各色のパッチ140Y,140M,140C,140Kの濃度の違いを利用して色を区別する。具体的には、制御部200が転写タイミング調整部として働いて各色の転写部の転写タイミングを調整する。これにより、図8Cに示すように、中間転写ベルト108のベルト側縁領域に、各色のパッチ140Y,140M,140C,140Kを、中間転写ベルト108の移動方向Xに関して予め定められた順に互いにずらして形成する。この例では、+X側から、イエローのパッチ140Y、マゼンタのパッチ140M、シアンのパッチ140C、ブラックのパッチ140Kの順に形成されている。形成された各色のパッチ140Y,140M,140C,140Kは、色に応じた互いに異なる濃度をもつ。この例では、イエローのパッチ140Y、マゼンタのパッチ140M、シアンのパッチ140C、ブラックのパッチ140Kの順に濃度が濃くなっている。ここで、制御部200が濃度検出部として働いて、フォトセンサ133の出力を受けて、中間転写ベルト108のベルト側縁領域に形成されたパッチ140Y,140M,140C,140Kの濃度を検出する(図9(c)のステップS21)。次に、制御部200が色検出部として働いて、上記各パッチ140Y,140M,140C,140Kの濃度に対応する色を検出する(図9(c)のステップS22)。次に、制御部200がスリーブ回転速度検知部として働いて、色毎に、フォトセンサ133が出力するパッチ140Y,140M,140C,140Kを表す信号のタイミングに基づいて、帯電スリーブ199の回転速度を検知する(図9(c)のステップS23)。具体的には、1、2番目の方式におけるのと同様に、各色の帯電スリーブ199の周囲長l(各色に関して共通である。)をパッチ140Y,140M,140C,140Kを表す信号の周期t,t,t,tでそれぞれ除算する。そして、得られた商に比例する量として、帯電スリーブ199の回転速度v,v,v,vをそれぞれ求める。つまり、v=kl/t、v=kl/t、v=kl/t、また、v=kl/tとして求める(ここで、kは、設計段階で定まる比例定数である。)。このようにして、各色の帯電スリーブ199の回転速度を検知することができる。このようにした場合、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色に対してフォトセンサ133を1個で済ませることができる。また、この3番目の方式では、各色のパッチ140Y,140M,140C,140Kの濃度の違いを利用して色を区別する。したがって、1番目の方式のように、各色の帯電スリーブ199の帯電特異領域199aを、帯電スリーブ199の長手方向Yに関して互いにずらして配置したり、2番目の方式のように、各色の帯電スリーブ199の帯電特異領域199aパターン寸法を、帯電スリーブ199の周方向に関して互いに異なるものとしたりする必要がない。つまり、各色の帯電スリーブ199として共通のものを使用することができる。したがって、交換用の帯電スリーブ199を用意しておく上で便利である。
【0048】
上の例では帯電特異領域199aは、帯電スリーブ199の外周面と内周面との間を貫通する矩形の穴からなるものとした。穴の形状は矩形に限られるものではなく、他の形状でも良く、例えば円形でも良い。また、帯電特異領域199aのサイズを小さくしたり、網点(微細な穴の集合)のようにしたりすることによって、現像剤からなるパッチの消費量を低減しても良い。
【0049】
また、帯電スリーブ199の帯電特異領域199aは、穴に限られるものではない。帯電特異領域199aは、帯電スリーブ199の他の領域に対して電気抵抗が高い任意の形状の高抵抗領域であっても良い。例えば、上記帯電スリーブの上記帯電特異領域は、帯電スリーブ199の外周面に例えば高抵抗のシールを貼り付けることにより、帯電特異領域199aを形成しても良い。これにより、帯電特異領域199aを簡単に形成できる。
【0050】
このように帯電スリーブ199に帯電特異領域199aとして高抵抗領域を形成した場合、感光体ドラム190の外周面のうち上記高抵抗領域としての上記シールに対応する部分が、それ以外の部分に対して帯電され難い。したがって、感光体環状領域C上では、第1現像剤特異領域と他の領域との間で現像状態が異なる。これにより、図2中に示したフォトセンサ132は、感光体ドラム190の外周面のうち感光体環状領域Cに形成された現像剤を観測して、帯電特異領域199aに対応する第1現像剤特異領域としての現像剤からなるパッチ149を表す信号を出力することができる。また、図3中に示したフォトセンサ133は、中間転写ベルト108のうちベルト側縁領域(図8A、図8B、図8C参照。感光体ドラム190の感光体環状領域Cに対応する。)に転写された現像剤を観測して、各色の帯電特異領域199aに対応する第2現像剤特異領域としての現像剤からなるパッチ140Y,140M,140C,140Kを表す信号を出力することができる。
【0051】
また、図8C、図9(c)を用いて説明した3番目の方式(上記iii)では、各色のパッチ140Y,140M,140C,140Kがそれ自体でもつ濃度の違い、つまり観測したときの明度の違いを利用して色を区別した。しかしながら、それに限られるものではなく、帯電スリーブ199の帯電特異領域199aに貼り付けるシールの抵抗値を可変して設定することにより、各色のパッチ140Y,140M,140C,140Kの濃度の違いが大きくなるようにしても良い。これにより、各色のパッチ140Y,140M,140C,140Kの濃度を区別しやすくなる。
【0052】
なお、図4に示すように、帯電スリーブ199の帯電特異領域199aを直接フォトセンサ131で観測して、帯電特異領域199aを表す信号のタイミングに基づいて帯電スリーブ199の回転速度を検知する方式も考えられる。しかしながら、帯電スリーブ199が弾性変形可能でフレキシブルであるため、この図4の方式では、上述の実施形態に比して、検知される回転速度の精度が低くなる。
【0053】
図7に示すように、制御部200がスリーブ回転速度検知部141として働いて、帯電スリーブ199の回転速度の異常(スリップや停止)を検知したとする。すると、制御部200は、アラーム発生部142に回転異常が発生した警報を発生させる。この警報は、例えば図示しない操作パネルの表示画面に「帯電スリーブ異常」と表示させたり、警報音を発生させたりするものである。この警報により、例えばサービスマンは、帯電装置191のメンテナンス等を行う。メンテナンス作業としては、例えば、感光体ドラム190に対する帯電スリーブ199の押し込み量を変更すること、帯電スリーブ199を清掃すること、帯電スリーブ199を逆回転させること、規制部材198を開放して帯電スリーブ199の形状を一時的に自然状態に復帰させること等が挙げられる。それでも改善されない場合は、帯電スリーブ199を新品に交換したり、帯電スリーブ199とともに作像ユニット自体を交換したりする。なお、帯電スリーブ199を逆回転させたり、一時的に自然状態に復帰させる処理を自動で行う機構を設けるのが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】この発明の一実施形態の画像形成装置の全体構成を示す図である。
【図2】感光体ドラムの外周面に対向して第1センサとしてのフォトセンサを設けた例を示す図である。
【図3】中間転写ベルトに対向して、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色に共通に、第2センサとしてのフォトセンサを設けた例を示す図である。
【図4】帯電スリーブに対向して、フォトセンサを設けた例を示す図である。
【図5】本出願人が先に提案した画像形成装置の構成を示す図である。
【図6】感光体ドラムの長手方向Yに関して、現像ローラによる現像の対象となる現像領域Bの境界と、現像領域Bよりも狭くトナー画像が形成される画像領域Aの境界との間の隙間に相当する感光体環状領域Cを示す図である。
【図7】制御部がアラーム発生部に回転異常が発生した警報を発生させるための構成を示す図である。
【図8A】中間転写ベルトのベルト側縁領域に形成される各色のパッチの態様を例示する図である。
【図8B】中間転写ベルトのベルト側縁領域に形成される各色のパッチの態様を例示する図である。
【図8C】中間転写ベルトのベルト側縁領域に形成される各色のパッチの態様を例示する図である。
【図9】(a)は図8Aの場合に帯電スリーブの回転速度を検知する処理を示す図であり、(b)は図8Bの場合に帯電スリーブの回転速度を検知する処理を示す図であり、また、(c)は図8Cの場合に帯電スリーブの回転速度を検知する処理を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
108 中間転写ベルト
132,133 フォトセンサ
190 感光体ドラム
193 現像装置
198 規制部材
199 帯電スリーブ
200 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真方式で画像形成を行う画像形成装置であって、
一方向に延在する回転可能な感光体と、
この感光体の外周面に接触してこの感光体の回転に追従して回転すると共に、この感光体の外周面を一様に帯電させる弾性変形可能な円筒状の帯電スリーブと、
この帯電スリーブを囲むように配置され、この帯電スリーブの動きを規制する規制部材と、
上記一様に帯電された上記感光体の表面を露光して、上記感光体の表面に潜像を形成する露光部と、
上記潜像を現像して上記感光体の表面にトナー画像を形成する現像部と
を少なくとも備え、
上記感光体の長手方向に関して、上記現像部による現像の対象となる現像領域の境界と、上記現像領域よりも狭く上記トナー画像が形成される画像領域の境界との間の隙間に相当する感光体環状領域が存在し、
上記帯電スリーブは、上記感光体環状領域に対応し、かつ周方向に関して特定の位置に、上記帯電スリーブの他の領域に対して帯電の仕方が異なる帯電特異領域を有し、
上記感光体の外周面のうち上記感光体環状領域に形成された現像剤を観測して、上記帯電特異領域に対応する第1現像剤特異領域を表す信号を出力する第1センサと、
上記第1センサが出力する上記第1現像剤特異領域を表す信号のタイミングに基づいて、上記帯電スリーブの回転速度を検知するスリーブ回転速度検知部を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
上記帯電スリーブの上記帯電特異領域は、上記帯電スリーブの外周面と内周面との間を貫通する穴であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像形成装置において、
上記帯電スリーブの上記帯電特異領域は、上記帯電スリーブの上記他の領域に対して電気抵抗が高い高抵抗領域であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像形成装置において、
上記感光体の長手方向に対して垂直な方向に移動する転写ベルトを備え、
上記感光体、上記帯電特異領域を有する上記帯電スリーブ、上記規制部材、上記露光部、上記現像部、および上記感光体の表面に形成されたトナー画像を上記転写ベルトに転写させる転写部、並びに上記第1センサが、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色毎に、上記転写ベルトの移動方向に沿ってタンデム型に並べて設けられ、
上記スリーブ回転速度検知部は、上記各色の上記第1センサが出力する上記信号のタイミングに基づいて、上記各色の上記帯電スリーブの回転速度を検知することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
電子写真方式で画像形成を行う画像形成装置であって、
一方向に延在する回転可能な感光体と、
この感光体の外周面に接触してこの感光体の回転に追従して回転すると共に、この感光体の外周面を一様に帯電させる弾性変形可能な円筒状の帯電スリーブと、
この帯電スリーブを囲むように配置され、この帯電スリーブの動きを規制する規制部材と、
上記一様に帯電された上記感光体の表面を露光して、上記感光体の表面に潜像を形成する露光部と、
上記潜像を現像して上記感光体の表面にトナー画像を形成する現像部と、
上記感光体の表面に形成されたトナー画像を転写ベルトに転写させる転写部と
を少なくとも備え、
上記感光体の長手方向に関して、上記現像部による現像の対象となる現像領域の境界と、上記現像領域よりも狭く上記トナー画像が形成される画像領域の境界との間の隙間に相当する感光体環状領域が存在し、
上記帯電スリーブは、上記感光体環状領域に対応し、かつ周方向に関して特定の位置に、上記帯電スリーブの他の領域に対して帯電の仕方が異なる帯電特異領域を有し、
上記転写ベルトの外周面のうち上記感光体環状領域に対応するベルト側縁領域に転写された現像剤を観測して、上記帯電特異領域に対応する第2現像剤特異領域を表す信号を出力する第2センサと、
上記第2センサが出力する上記第2現像剤特異領域を表す信号のタイミングに基づいて、上記帯電スリーブの回転速度を検知するスリーブ回転速度検知部を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、
上記感光体の長手方向に対して垂直な方向に移動する転写ベルトを備え、
上記感光体、上記帯電特異領域を有する上記帯電スリーブ、上記規制部材、上記露光部、上記現像部、および上記感光体の表面に形成されたトナー画像を上記転写ベルトに転写させる転写部が、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色毎に、上記転写ベルトの移動方向に沿ってタンデム型に並べて設けられ、
上記各色の上記帯電スリーブの上記帯電特異領域は、上記帯電スリーブの長手方向に関して、予め定められた順に上記感光体環状領域に対応する範囲内で互いにずらして配置され、
上記第2センサの出力を受けて、上記各第2現像剤特異領域の上記転写ベルトでの幅方向位置を検出する幅方向位置検出部と、
上記幅方向位置検出部の検出結果に基づいて、上記各第2現像剤特異領域の幅方向位置に対応する色を検出する色検出部とを備え、
上記スリーブ回転速度検知部は、上記色検出部が検出した色毎に、上記第2センサが出力する上記第2現像剤特異領域を表す信号のタイミングに基づいて、上記帯電スリーブの回転速度を検知することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項5に記載の画像形成装置において、
上記感光体の長手方向に対して垂直な方向に移動する転写ベルトを備え、
上記感光体、上記帯電特異領域を有する上記帯電スリーブ、上記規制部材、上記露光部、上記現像部、および上記感光体の表面に形成されたトナー画像を上記転写ベルトに転写させる転写部が、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色毎に、上記転写ベルトの移動方向に沿ってタンデム型に並べて設けられ、
上記各色の上記帯電スリーブの上記帯電特異領域は、上記帯電スリーブの周方向に関して、互いに異なるパターン寸法を有し、
上記転写ベルトのうち上記感光体環状領域に対応するベルト側縁領域には、上記各色の上記第2現像剤特異領域が、上記転写ベルトの移動方向に関して予め定められた順に互いにずれて形成されるように、上記各色の上記転写部の転写タイミングを調整する転写タイミング調整部と、
上記第2センサの出力を受けて、上記転写ベルトの上記ベルト側縁領域に形成された上記各第2現像剤特異領域のパターン寸法を検出する寸法検出部と、
上記寸法検出部の検出結果に基づいて、上記各第2現像剤特異領域のパターン寸法に対応する色を検出する色検出部とを備え、
上記スリーブ回転速度検知部は、上記色検出部が検出した色毎に、上記第2センサが出力する上記第2現像剤特異領域を表す信号のタイミングに基づいて、上記帯電スリーブの回転速度を検知することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項5に記載の画像形成装置において、
上記感光体の長手方向に対して垂直な方向に移動する転写ベルトを備え、
上記感光体、上記帯電特異領域を有する上記帯電スリーブ、上記規制部材、上記露光部、上記現像部、および上記感光体の表面に形成されたトナー画像を上記転写ベルトに転写させる転写部が、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色毎に、上記転写ベルトの移動方向に沿ってタンデム型に並べて設けられ、
上記転写ベルトのうち上記感光体環状領域に対応するベルト側縁領域には、上記各色の上記第2現像剤特異領域が、上記転写ベルトの移動方向に関して予め定められた順に互いにずれて形成されるように、上記各色の上記転写部の転写タイミングを調整する転写タイミング調整部と、
上記第2センサの出力を受けて、上記転写ベルトの上記ベルト側縁領域に形成された上記各第2現像剤特異領域の濃度を検出する濃度検出部と、
上記濃度検出部の検出結果に基づいて、上記各第2現像剤特異領域の濃度に対応する色を検出する色検出部とを備え、
上記スリーブ回転速度検知部は、上記色検出部が検出した色毎に、上記第2センサが出力する上記第2現像剤特異領域を表す信号のタイミングに基づいて、上記帯電スリーブの回転速度を検知することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−72332(P2010−72332A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−239547(P2008−239547)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】