説明

画像形成装置

【課題】感光体表面のフィルミング汚れが落ちるまでには時間がかかり、また、感光体を掻き擦り過ぎるため、感光体表面を傷つける問題があった。
【解決手段】
感光体表面上の静電潜像形成位置にトナーを付着させて現像を行うプリンタ1において、
前記感光体表面に固着して残留するフィルミング粒子40を除去する清掃部材32を備えており、前記清掃部材32は綿などの繊維材からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電微粒子(以下、トナーという)を使って画像形成を行う画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記画像形成装置は、予め定められた方向に回転するドラム状の感光体の表面を帯電ローラにて一様に帯電し、帯電された感光体の表面にLED等の露光手段にて光を照射して静電潜像を形成し、その静電潜像の形成位置に現像剤としてのトナーを付着させて現像し、その後、トナーを転写ローラにて印刷用紙に転写し、転写されたトナーを定着手段によって印刷用紙に定着させる。印刷用紙に転写されずに感光体表面に残留したトナーは、クリーニング部にて除去され、次の印刷のために備える。
【0003】
ところが、この感光体表面に残留したトナーの除去が不十分であったり、或いは、感光体へのクリーニング部の摩擦が長く続くとトナーの成分である外添剤やワックスが溶けて、感光体表面に皮膜状となって固着する、所謂、フィルミング現象が発生し、印刷が不鮮明になったり、或いは感光体表面を傷つけ正常な印刷が出来なくなる原因になっている。
このような画像形成装置のフィルミング対策に係わる技術としては、例えば、下記特許文献1に開示されている。
この画像形成装置は、感光体上のフィルミングを除去するフィルミング除去手段としてクリーニングブレードやクリーニングローラを用い、且つ前記感光体上のフィルミングを検知するフィルミング検知手段とを備えることによって、前記フィルミング検出手段によって検出したフィルミング検出値と予め設定された設定値とを比較して感光体上のフィルミングが除去されたと判断するまで検知動作と除去動作を交互に繰り返し行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10―091003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の画像形成装置のフィルミング除去手段は、残留トナーを掻き落すものと同じ形のウレタンゴム製のクリーニングブレードやクリーニングローラによって形成されているため、感光体表面上に比較的軽く付着した汚損については除去出来るものの、感光体表面に固着した汚損については容易に除去することが出来ず、又、フィルミング化した場合にはフィルミングを除去するために何度も繰り返して感光体表面を掻き擦らねばならない。そのため、感光体表面のフィルミングや、固着した汚損が落ちるまでに時間がかかり印刷開始時間が遅くなる。また、ウレタンゴム製のクリーニングブレードで感光体を掻き擦り過ぎると感光体表面を傷つける問題があった。
【0006】
(発明の目的)
そこで本発明は、上記の如き問題に鑑みなされたもので、感光体の表面を傷つけずに短時間でフィルミング除去の清掃が可能となり、電源投入から印刷開始までの準備に要する所要時間を短縮することが可能となる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、感光体表面上の静電潜像形成位置に帯電微粒子を付着させて現像を行う画像形成装置において、装置本体には前記感光体の表面に残留する汚染物質を除去する清掃部材を備えており、前記清掃部材は繊維材からなる。
【発明の効果】
【0008】
上記のように構成することにより、清掃部材が繊維材からなるため感光体を傷つけずに短時間で感光体表面の清掃が可能となり、印刷開始動作までの所要時間を短縮することが可能となる。また、感光体表面の清掃に伴う摩擦回数を減らすことが出来るため、感光体の長寿命化を図ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の画像形成装置の清掃機構部を示す説明図である。
【図2】本発明の画像形成装置の内部構造を示す概略図である。
【図3】実施例1の制御機構を示すブロック図である。
【図4】画像形成装置の清掃機構部の要部拡大図である。
【図5】実施例1の清掃部材の材質別性能を表す比較表である。
【図6】実施例2の繊維材の拡大図である。
【図7】実施例2の清掃部材の形状別性能を表す比較表である。
【図8】実施例2の感光体表面上の繊維材の拡大図である。
【図9】実施例3の制御機構を示すブロック図である。
【図10】実施例3の環境値とフィルミングレベルとの関係を表す一例である。
【図11】実施例3の清掃制御動作のフローチャートである。
【図12】実施例4の制御機構を示すブロック図である。
【図13】実施例4のフィルミング経時変化を表す曲線図である。
【図14】実施例4の清掃制御動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について、図面に基づき説明する。
【実施例1】
【0011】
図2は本発明の画像形成装置をプリンタに適用し、その内部構造の概要を示している。
このプリンタ1は、図2に示すように、装置内部に、ブラック(K),イエロー(Y),マゼンダ(M),シアン(C)からなるカラー用の各画像形成ユニット2(図中の符号にはカラー毎に2K,2Y,2M,2Cと記載し、以下、他の符号も同様に記載してある)と、これらの画像形成ユニット2に夫々対応する転写ローラ10と、各画像形成ユニット2の下部に共通する無端状の搬送手段である印刷用紙の搬送を行うためのベルト18及びベルト18の張りを一定に保つようスプリングにて支持されたベルト従動ローラ16と駆動ローラ17を有する搬送部21と、内部にハロゲンランプなどの発熱体を有し定着バックアップローラ20と対峙させて印刷用紙を加熱及び加圧して印刷用紙上に現像剤の定着を行う定着ローラ19と、印刷用紙に印刷されたパターンの濃度をベルト18上で読み取るセンサー22と、その他各機能を指定する操作部及び装置全体を制御する画像形成制御部などを備えている。
【0012】
画像形成ユニット2は、感光体ドラム4dの外周に設けられ感光体4の表面を一様に帯電するための帯電ローラ5と、帯電された感光体4の表面にLED等の露光手段にて光を照射して静電潜像を形成するLEDヘッド3と、現像ローラ6とトナータンク7との間に現像ブレード8及びトナー供給用スポンジローラ9を有する現像部23と、転写後のトナーを除去するクリーニングブレード11と、感光体4の表面に固着した汚損やフィルミングを除去する清掃機構部30から構成されている。
【0013】
感光体ドラム4dは、ドラムの外周に有機系感光体(OPC)からなる光導電層が形成されており、図示しない駆動手段にて予め決められた所定の方向に一定周期で回転するように構成されている。この感光体ドラム4dの外径寸法は、30φに形成されている。
帯電ローラ5は、金属シャフトの外周に半導電性ゴム層を設け、この半導電性ゴム層を感光体4の表面に接触させることによって感光体に対して均一に所定の電荷を帯電する。
LEDヘッド3は、帯電された感光体4の表面を露光して静電潜像を形成するための発光源であり、図示しないSLAレンズを介して感光体表面に光を照射する。
現像部23は、トナーを収納するトナータンク7と、このトナータンク7内のトナーを感光体上に形成された静電潜像に供給する現像ローラ6を有し、現像ブレード8及びトナー供給用スポンジローラ9によってトナーが感光体表面に均一に行き渡るように構成されている。トナーは、微粉砕されたバインダ樹脂(粒径5.7μm)を主体に、外添剤としてメラミン(粒径150nm)、大シリカ(粒径40nm)、小シリカ(粒径12nm)から構成されている。このトナーの成分を重量%に換算すると、メラミン0.3g%、大小シリカ3.95g%で残り95.7g%がバインダ樹脂その他染料等からなる。
クリーニングブレード11は、材質がウレタンゴム製からなり、感光体4の幅と同一の幅で、厚さ1.6mm、長さ6.9mmから構成されている。
【0014】
清掃機構部30は、図1に示すように、感光体4の表面に当接可能な位置で感光体表面のフィルミングや固着した汚損を除去するための繊維材からなる清掃部材32と、この清掃部材32が取付けられるシャフト33と、このシャフト33を動作させるために清掃部材駆動部831とギヤ31Gを介して接続されるシャフト支持軸31から構成されている。
清掃部材32は、感光体4のドラム幅と平行に略同一長の金属製又は樹脂製のシャフト33を包持するようにシャフト33に取り付けられている。清掃部材32の繊維材は天然繊維としては綿、化学繊維としてレーヨンその他セーム皮等のクリーニング(CL)性能を満たす材質からなる。
【0015】
図5は、清掃部材32の材質とフィルミング物質除去性能の関係を示す。この図5は、感光体表面のフィルミング物質除去性能の判定として、フィルミングが発生した画像形成ユニット2の清掃前の100%濃度印刷における画像状況と清掃後の100%濃度印刷における画像状況を目視観察し、フィルミングの発生状況を比較判定したものである。これによれば、CL性能及び感光体に対するダメージのないものは天然繊維の綿が一番優れているといえる。ここでの清掃部材はフェルト状に押固めて形成されているものを使用する。
【0016】
シャフト支持軸31は、図1に示すように、シャフト33に対し直角方向に設けられており、先端部に清掃部材32が取り付けられ、終端部には図4に示すように、清掃部材駆動部831の駆動ギヤ831Gと噛合するギヤ31Gが設けられている。このシャフト支持軸31は、シャフト33と一体にT字型に形成されている。
【0017】
清掃部材駆動部831は、モータとこのモータの回転軸に取り付けられた駆動ギヤ831Gによって構成され、フィルミングや固着した汚損の除去が必要なときに清掃部材32が感光体4に当接する方向、すなわち、シャフト支持軸31を矢印a方向に動かすために駆動ギヤ831Gを矢印b方向に回動させ、フィルミング等の除去が不要の時には清掃部材32が感光体4から離れる方向、すなわち、シャフト支持軸31を矢印b方向に回動するように設定されている。
【0018】
清掃部材32の感光体表面にかける押圧力は、20gf/cm〜100gf/cmの範囲が実験の結果から好ましい。この範囲より低いとフィルミングや固着した汚損の除去が不十分となり、また高いと感光体4の表面を傷つけやすくなる。押圧力は画像形成制御部にて調整出来るように設定されている。
この実施例1の場合、フィルミングや固着した汚損の除去の開始は、上位装置であるPCからの印刷指示を受けた時、画像形成制御部によって清掃部材駆動部831がオンされ、駆動ギヤ831Gが矢印b方向に回動すると、清掃部材32が感光体表面に当接する。同時に清掃部材32が当接した状態で感光体4を回転させることにより、印刷開始前の数秒間(3〜4秒)、感光体4の表面を常時清掃するように設定されている。
【0019】
次に、この実施例1のプリンタの制御機構について図3のブロック図を基に説明する。
このプリンタ1の制御機構は、マイクロプロセッサ、記憶媒体であるROM、RAM、入出力ポート、及びタイマー等から構成される画像形成制御部700を有し、PCなどの上位装置から印刷データ及び制御コマンドを受信してプリンタ1の全体を制御し印刷動作を行う。
【0020】
画像形成制御部700には、PCから入力したコマンドを解析して受信した画像データを処理すると共にPCにプリンタ情報を送信するI/F制御部710と、PCから受信した画像データをI/F制御部710の制御に基づいてカラー毎に格納する受信メモリ720と、プリンタ1の状態を表示したり利用者がプリンタ1に指示を行うための操作ボタンを有する操作部701と、濃度測定用及び印刷用紙の搬送位置を検出する複数のセンサ702と、I/F制御部710を介してPCから入力した印刷データを画像データとして編集するための画像データ編集メモリ730と、画像形成制御部700の指示に従って帯電ローラ5に電圧を印加して感光体4の表面を帯電させるための制御を行う帯電電圧制御部740と、画像データ編集メモリ730に格納された画像データにしたがって印刷ヘッド3により帯電された感光体4の表面に光を照射して露光させるための制御を行うヘッド制御部750と、感光体4の表面に生成された静電潜像にトナーを付着させるために現像ローラ6に対して電圧の印加制御を行う現像電圧制御部760と、画像形成制御部700の指示を受けて転写ローラ10に対し電圧を印加し感光体4の表面に生成されたトナー像を印刷用紙に転写するための転写電圧制御部770と、画像形成制御部700の指示によりKモータ781,Yモータ782,Mモータ783,Cモータ784の制御を行い各感光体ドラム4d,帯電ローラ5,現像ローラ6を回転駆動させるための画像形成駆動制御部780と、画像形成制御部700の指示により定着器791に内臓されたヒータへ電圧を印加するための制御及び定着器791の温度を測定するサーミスタ792からの温度検出信号を受信してヒータをオン・オフ制御し定着器791が所定温度に上昇したときに定着モータ793を回転駆動させて制御し印刷用紙に転写されたトナー像を最適状態に定着させるための定着制御部790と、画像形成制御部700の指示により搬送ベルトモータ801の制御を行い印刷用紙を搬送するための転写搬送ベルトを駆動するベルト駆動制御部800と、トナー供給ローラに対し電圧を印加するための制御を行い現像ローラ表面に帯電したトナーを供給させるための供給電圧制御部820と、清掃部材駆動部(モータ)831を駆動制御して感光体表面のフィルミングや固着した汚損を除去するための清掃部材32を夫々の感光体4の表面に接触させたり、分離させたりする清掃部材駆動制御部830を備えている。
【0021】
次に、実施例1のプリンタの動作を説明する。
プリンタ1は、一連の印刷動作を繰り返すと、感光体4の表面に現像ローラ6、ベルト18、印刷用紙及びクリーニングブレード11が常に摩擦しながら接しているため、トナーから剥離したシリカや帯電制御剤などの外添剤、トナー表面に露出したワックス、更には紙紛などが感光体4の表面に固着する、所謂フィルミングが発生しやすくなる。実施例1ではこのようなフィルミングや固着した汚損が感光体4に出始めている時期とした前提で説明する。
【0022】
まず、PCからの印刷指示に基づいて、画像データを印刷するに際し印刷開始前にプリンタの画像形成制御部700は清掃部駆動制御部830を介し清掃部材駆動部831の駆動モータを動作させ、駆動ギヤ831Gを矢印b方向に回動する。
この清掃部材駆動部831の駆動ギヤ831Gの回動を受けてシャフト支持軸のギヤ31Gも矢印b方向に動く。ギヤ31Gとシャフト支持軸31は一体であるため、シャフト支持軸31は矢印a方向に傾く。これによって、清掃部材32は感光体4の表面に接近する方向に移動するため、清掃部材32が感光体4の表面に当接する。当接した状態のまま感光体4は数秒間回転し、清掃部材32が感光体4の表面に固着した汚損やフィルミングを拭き取る。
【0023】
また、離脱の際は、接触時同様画像形成制御部700の指示に従って清掃部材駆動部831が矢印a方向に回動すると、シャフト支持軸31のギヤ31Gは矢印a方向に動く、これにより、シャフト支持軸31は矢印b方向に傾く。このため、シャフト支持軸31が感光体表面から離間する方向に移動するため、清掃部材32は感光体4から離れる。この動作終了後、印刷が開始される。
【0024】
印刷工程については、帯電ローラ5に帯電電圧を印加して感光体4の表面を一様に帯電する。次いで、画像データ編集メモリ730の画像データに従ってLEDヘッド3から感光体4の表面に光を照射して感光体4の表面に静電潜像パターンを形成する。そして、表面にトナー薄層が形成された現像ローラ6に現像電圧を印加して、感光体4の表面の静電潜像パターンを現像する。現像ブレード8にはトナー薄層中のトナーの帯電量を所定の値とするための現像ブレード電圧が印加されている
次に、転写ローラ10に転写電圧印加して感光体表面のトナー像を印刷用紙上へ転写された後、印刷用紙上のトナー像は定着器791により印刷用紙に印刷される。
印刷用紙に転写されなかった感光体4の表面の残留トナーはクリーニングブレード11にて除去され、一連の印刷動作が終了する。このように、印刷開始前の短時間でフィルミング除去の清掃が可能になり清掃部材32を繊維素材にすることにより感光体4の表面を傷つけることなく、クリーニング性能に優れ、PCからの印刷指示から印刷開始までの所要時間を短縮することが出来る。
【実施例2】
【0025】
実施例2では、画像形成装置を実施例1と同様にプリンタに適用させて説明し、構成上実施例1と同じ部分については同符号を付している。ここでは清掃部材の繊維素材の形状を主体として説明する。
このプリンタ1は、図2に示すように、装置内部に、ブラック(K),イエロー(Y),マゼンダ(M),シアン(C)からなるカラー用の画像形成ユニット2と、これらの画像形成ユニット2に夫々対応する転写ローラ10と、各画像形成ユニット2の下部に共通する無端状の搬送手段である印刷用紙の搬送を行うためのベルト18及びベルト18の張りを一定に保つようスプリングにて支持されたベルト従動ローラ16と駆動ローラ17を有する搬送部21と、内部にハロゲンランプなどの発熱体を有し定着バックアップローラ20と対峙させて印刷用紙を加熱及び加圧して印刷用紙上に現像剤の定着を行う定着ローラ19と、印刷用紙に印刷されたパターンの濃度をベルト18上で読み取るセンサー22と、その他各機能を指定する操作部及び装置全体を制御する画像形成制御部などを備えている。
【0026】
画像形成ユニット2は、感光体ドラム4dの外周に夫々設けられ感光体4の表面を一様に帯電するための帯電ローラ5と、帯電された感光体4の表面にLED等の露光手段にて光を照射して静電潜像を形成するLEDヘッド3と、現像ローラ6とトナータンク7との間に現像ブレード8及びトナー供給用スポンジローラ9を有する現像部23と、転写後のトナーを除去するクリーニングブレード11と、感光体表面に固着した汚損やフィルミングを除去する清掃機構部30から構成されている。
【0027】
感光体ドラム4dは、ドラムの外周に有機系感光体からなる光導電層が形成されており、図示しない駆動手段にて所定の方向に一定周期で回転するように構成されている。この感光体ドラム4dの外径寸法は、30φに形成されている。
帯電ローラ5は、金属シャフトの外周に半導電性ゴム層を設け、この半導電性ゴム層を感光体4の表面に接触させることによって感光体4に対して均一に所定の電荷を帯電する。
LEDヘッド3は、帯電された感光体4の表面に露光して静電潜像を形成するための発光源であり、図示しないSLAレンズを介して感光体表面に光を照射可能に構成されている。
現像部23は、トナーを収納するトナータンク7と、このトナータンク7内のトナーを感光体上に形成された静電潜像に供給する現像ローラ6を有し、現像ブレード8及びトナー供給用スポンジローラ9によってトナーが感光体表面に均一に行き渡るように構成されている。トナーは、微粉砕されたバインダ樹脂(粒径5.7μm)を主体に、外添剤としてメラミン(粒径150nm)、大シリカ(粒径40nm)、小シリカ(粒径12nm)から構成されている。このトナーの成分を重量%に換算すると、メラミン0.3g%、大小シリカ3.95g%で残り95.7g%がバインダ樹脂その他染料等からなる。
クリーニングブレードは、材質がウレタンゴム製からなり、感光体の幅と同一の幅で、厚さ1.6mm、長さ6.9mmから構成されている。
【0028】
清掃機構部30は、図1に示すように、感光体4の表面に当接可能な位置で感光体表面のフィルミングや汚損を除去するための繊維材からなる清掃部材32と、この清掃部材32が取付けられるシャフト33と、このシャフト33を動作させるために清掃部材駆動部831とギヤ31Gを介して接続されるシャフト支持軸31から構成されている。
清掃部材32は、感光体4のドラム幅と略同一長の金属製又は樹脂製のシャフト33を包持するようにシャフト33に取り付けられている。清掃部材32の繊維材は天然繊維としては綿、化学繊維としてレーヨンその他セーム皮等のクリーニング(CL)性能を満たす材質からなる。ここでの繊維材は縦糸と横糸で織って形成したものを使用する。
【0029】
図6は、本実施例における清掃部材32の繊維の織目幅(セル目幅)を示している。図6において32K−Hは縦糸間隔を表し、32K−Vは横糸間隔を表している。また、繊維材の隣接する縦糸同士の隙間及び横糸同士の隙間の大きさ、すなわち、繊維の織目幅に対するフィルミングのCL性能を実験した結果を、図7で清掃部材32の形状とCL性能の関係を表にして示している。これによれば、フィルミングの粒子40が収まる織目幅は、感光体4の表面のダメージも考慮して110〜1200μmが好ましい。
シャフト支持軸31は、シャフト33に対し直角方向に設けられており、先端部に清掃部材32が取り付けられ、終端部に清掃部材駆動部831の駆動ギヤ831Gと噛合するギヤ31Gが設けられている。このシャフト支持軸31は、シャフト33と一体にT字型に形成されている。
【0030】
清掃部材駆動部831は、モータとこのモータの回転軸に取り付けられた駆動ギヤ831Gによって構成され、フィルミングや固着した汚損の除去が必要なときに清掃部材32が感光体4に当接する方向、すなわち、シャフト支持軸31が矢印a方向に動くように駆動ギヤ831Gを矢印b方向に回動させ、フィルミングの除去が不要の時には清掃部材32が感光体4から離れる方向、すなわち、シャフト支持軸31が矢印b方向に回動するように設定されている。清掃部材32が感光体4の表面にかける押圧力は20gf/cm〜100gf/cmの範囲が実験の結果から好ましい。この範囲より低いとフィルミングの除去が不十分となり、また高いと感光体表面に傷がつきやすくなる。
従って、清掃部材32のセル目幅と押圧力との関係は、夫々の最適範囲内において反比例する。すなわち、セル目幅の広い繊維材を用いるときは、糸1本当たりにかかる力が大きくなるから、押圧力を小さくし、一方、セル目幅の狭い繊維材32を用いる時には各糸に力が分散するため押圧力を大きくするよう画像形成制御部700内において設定されている。
【0031】
この実施例2の場合、フィルミングや固着した汚損の除去は、PCからの印刷指示を受けた時、画像形成制御部700によって清掃部材駆動部831をオンし、駆動ギヤ831Gがb矢印方向に動作し清掃部材32が感光体表面に当接する。同時に清掃部材32が当接した状態で感光体4が回転し、印刷開始前には感光体4の表面を常時清掃するように設定されている。
【0032】
次に、この実施例2のプリンタの制御機構について図3のブロック図を基に説明する。
このプリンタ1の制御機構は、マイクロプロセッサ、記憶媒体であるROM、RAM、入出力ポート、及びタイマー等から構成される画像形成制御部700を有し、PCなどの上位装置から印刷データ及び制御コマンドを受信してプリンタの全体を制御し印刷動作を行う。
【0033】
この画像形成制御部700には、PCから入力したコマンドを解析して受信した画像データを処理すると共にPCにプリンタ情報を送信するI/F制御部710と、PCから受信した画像データをI/F制御部710の制御に基づいてカラー毎に格納する受信メモリ720と、プリンタの状態を表示したり利用者がプリンタに指示を行うための操作ボタンを有する操作部と、濃度測定用及び印刷用紙の搬送位置を検出する複数にセンサ702と、I/F制御部710を介してPCから入力した印刷データを画像データとして編集するための画像データ編集メモリ730と、画像形成制御部700の指示に従って帯電ローラ5に電圧を印加して感光体4の表面を帯電させるための制御を行う帯電電圧制御部740と、画像データ編集メモリ730に格納された画像データにしたがってLEDヘッド3により帯電された感光体4の表面に光を照射して露光させるための制御を行うヘッド制御部750と、感光体4の表面に生成された静電潜像にトナーを付着させるために現像ローラ6に対して電圧の印加制御を行う現像電圧制御部760と、画像形成制御部700の指示を受けて転写ローラ10に対し電圧を印加し感光体4の表面に生成されたトナー像を印刷用紙に転写するための転写電圧制御部770と、画像形成制御部700の指示によりKモータ781,Yモータ782,Mモータ783,Cモータ784の制御を行い各感光体ドラム4d,帯電ローラ5,現像ローラ6を回転駆動させるため画像形成駆動制御部780と、画像形成制御部700の指示により定着器791に内臓されたヒータへ電圧を印加するための制御及び定着器791の温度を測定するサーミスタ792からの検出温度信号を受信してヒータをオン・オフ制御して定着器791が所定温度に上昇したときに回転駆動させる定着モータ793を制御して印刷用紙に転写されたトナー像を定着させるための定着制御部790と、画像形成制御部700の指示により搬送ベルトモータ801の制御を行い印刷用紙を搬送するための搬送ベルトを駆動するベルト駆動制御部800と、トナー供給ローラに対し電圧を印加するための制御を行い現像ローラ表面に帯電したトナーを供給させるための供給電圧制御部820と、清掃部材駆動部(モータ)831を駆動制御して感光体表面のフィルミングや固着した汚損を除去するための清掃部材32を感光体4の表面に接触させたり、分離させたりする清掃部材駆動制御部830を備えている。
【0034】
次に、実施例2のプリンタの動作を説明する。
プリンタ1は、一連の印刷動作を繰り返すと、感光体4の表面に現像ローラ6、ベルト18、印刷用紙及びクリーニングブレード11が常に摩擦しながら接しているため、トナーから剥離したシリカや帯電制御剤などの外添剤、トナー表面に露出したワックス、更には紙紛などが感光体4の表面に固着する、所謂フィルミングが発生しやすくなる。実施例2でもこのようなフィルミングや固着による汚損が出始めている時期とした前提で説明する。
【0035】
まず、PCからの印刷指示に基づいて、画像データを印刷するに際し印刷開始前にプリンタの画像形成制御部700は清掃部駆動制御部830を介し清掃部材駆動部831の駆動モータを動作させ、駆動ギヤ831Gを矢印b方向に回動する。
この清掃部材駆動部831の駆動ギヤ831Gの回動を受けてシャフト支持軸31のギヤ31Gも矢印b方向に動く。ギヤ31Gとシャフト支持軸31は一体であるため、シャフト支持軸31は矢印a方向に傾く。これによって、清掃部材32は感光体4の表面に接近する方向に移動して、清掃部材32が感光体4の表面に当接する。図8は、この当接した状態を拡大し座標化して示している。この場合、繊維部材32の織目の中にフィルミングの粒子40が収まり、当接のまま感光体4は数秒間回転(図中、Y軸方向)することにより、フィルミングの粒子40と横糸が接触してフィルミングの粒子40の付着力以上の力が加わり清掃部材32の繊維が感光体4の表面に固着したフィルミングの粒子40を挟み込むように拭き取る。この時、繊維部材のセル目幅が1200μm以上では感光体表面の単位面積当たりに糸が接触する面積は小さくなり、糸1本当たりにかかる力が大きくなって、感光体4の表面を傷つける虞があるため、セル目幅は110〜1200μmとする。
【0036】
また、離脱の際は、接触時同様画像形成制御部700の指示に従って清掃部材駆動部831がa方向に回動すると、シャフト支持軸のギヤ31Gは矢印a方向に動く、これにより、シャフト支持軸31は矢印b方向に傾く。このため、シャフト支持軸31が感光体表面から離間する方向に移動するため、清掃部材32は感光体4から離れる。この動作終了後、印刷が開始される。
【0037】
印刷工程については、帯電ローラ5に帯電電圧を印加して感光体4の表面を一様帯電する。次いで、画像データ編集メモリ731の画像データに従ってLEDヘッド3から感光体4の表面に光を照射して感光体4の表面に静電潜像パターンを形成する。そして、表面にトナー薄層が形成された現像ローラ6に現像電圧を印加して、感光体の表面の静電潜像パターンを現像する。現像ブレード8にはトナー薄層中のトナーの帯電量を所定の値とするための現像ブレード電圧が印加されている
次に、転写ローラに転写電圧印加して感光体表面のトナー像を印刷用紙上へ転写された後、印刷用紙上のトナー像は定着器791により印刷用紙に印刷される。
印刷用紙に転写されなかった感光体4の表面の残留トナーはクリーニングブレード11にて除去され、一連の印刷動作が終了する。このように、印刷開始前の短時間でフィルミング除去の清掃が可能になり清掃部材32に用いた繊維素材の縦糸同士間、横糸同士間夫々の間隔を110μm〜1200μmにすることにより感光体の表面を傷つけることなく、クリーニング性能に優れ、PCからの印刷指示から印刷開始までの所要時間を短縮することが出来る。
【実施例3】
【0038】
実施例3でも、実施例1と同様に画像形成装置をプリンタに適用させて説明し、構成上実施例1と同じ部分については同符号を付している。
フィルミング現象は、プリンタが設置される環境(プリンタ周囲の温度、湿度)にも関係するため、ここでは環境との係わりを含めて説明をする。
【0039】
図2は本発明の画像形成装置をプリンタに適用させた構造上の概要を示している。
このプリンタ1は、図2に示すように、装置内部に、ブラック(K),イエロー(Y),マゼンダ(M),シアン(C)からなるカラー用の画像形成ユニット2と、これらの画像形成ユニット2に夫々対応する転写ローラ5と、各画像形成ユニット2の下部に共通する無端状の搬送手段である印刷用紙の搬送を行うためにベルト18及びベルト18の張りを一定に保つようスプリングにて支持されたベルト従動ローラ16と駆動ローラ17を有する搬送部21と、内部にハロゲンランプなどの発熱体を有し定着バックアップローラ20と対峙させて印刷用紙を加熱及び加圧して印刷用紙上に現像剤の定着を行う定着ローラ19と、印刷用紙に印刷されたパターンの濃度をベルト18上で読み取るセンサー22と、その他各機能を指定する操作部及び装置全体を制御する画像形成制御部などを備えている。
【0040】
画像形成ユニット2は、感光体ドラム4dの外周に設けられ感光体4の表面を一様に帯電するための帯電ローラ5と、帯電された感光体4の表面にLED等の露光手段にて光を照射して静電潜像を形成するLEDヘッド3と、現像ローラ6とトナータンク7との間に現像ブレード8及びトナー供給用スポンジローラ9を有する現像部23と、転写後のトナーを除去するクリーニングブレード11と、感光体表面に固着した汚損やフィルミングを除去する清掃機構部30から構成されている。
【0041】
感光体ドラム4dは、ドラムの外周に有機系感光体からなる光導電層が形成されており、図示しない駆動手段にて予め決められた所定の方向に一定周期で回転するように構成されている。この感光体ドラム4dの外径寸法は、30φに形成されている。
帯電ローラ5は、金属シャフトの外周に半導電性ゴム層を設け、この半導電性ゴム層を感光体4の表面に接触させることによって感光体4に対して均一に所定の電荷を帯電する。
LEDヘッド3は、帯電された感光体4の表面を露光して静電潜像を形成するための発光源であり、図示しないSLAレンズを介して感光体表面に光を照射する。
現像部23は、トナーを収納するトナータンク7と、このトナータンク7内のトナーを感光体上に形成された静電潜像に供給する現像ローラ6を有し、現像ブレード8及びトナー供給用スポンジローラ9によってトナーが感光体表面に均一に行き渡るように構成されている。トナーは、微粉砕されたバインダ樹脂(粒径5.7μm)を主体に、外添剤としてメラミン(粒径150nm)、大シリカ(粒径40nm)、小シリカ(粒径12nm)から構成されている。このトナーの成分を重量%に換算すると、メラミン0.3g%、大小シリカ3.95g%で残り95.7g%がバインダ樹脂その他染料等からなる。
クリーニングブレードは、材質がウレタンゴム製からなり、感光体の幅と同一の幅で、厚さ1.6mm、長さ6.9mmから構成されている。
【0042】
清掃機構部30は、図1に示すように、感光体4の表面に当接可能な位置で感光体表面のフィルミングや固着した汚損を除去するための繊維材からなる清掃部材32と、この清掃部材32が取付けられるシャフト33と、このシャフト33を動作させるために清掃部材駆動部831とギヤ31Gを介して接続されるシャフト支持軸31から構成されている。
清掃部材32は、感光体のドラム4dの幅と略同一長の金属製又は樹脂製のシャフト33を包持するようにシャフト33取り付けられている。清掃部材32の繊維材は天然繊維としては綿、化学繊維としてレーヨンその他セーム皮等のクリーニング(CL)性能を満たす材質からなる。
【0043】
シャフト支持軸31は、シャフト33に対し直角方向に設けられており、先端部に清掃部材32が取り付けられ、終端部には図4に示すように、清掃部材駆動部831の駆動ギヤ831Gと噛合するギヤ31Gが設けられている。このシャフト支持軸31は、シャフト33と一体にT字型に形成されている。
【0044】
清掃部材駆動部831は、モータとこのモータの回転軸に取り付けられた駆動ギヤ831Gによって構成され、フィルミングの除去が必要なときに清掃部材32が感光体4に当接する方向、すなわちシャフト支持軸が矢印a方向に動くように駆動ギヤ831Gを矢印b方向に回動させ、フィルミングの除去が不要の時には清掃部材32が感光体4から離れる方向、すなわち、シャフト支持軸が矢印b方向に回動するように設定されている。清掃部材32が感光体4の表面にかける押圧力は20gf/cm〜100gf/cmの範囲が実験の結果から好ましい。この範囲より低いとフィルミングの除去が不十分となり、また高いと感光体の表面に傷がつきやすくなる。押圧力は清掃部材駆動制御部830にて調整可能に設定されている。
【0045】
この実施例3の場合、フィルミングの除去は、PCからの印刷指示を受けた時、清掃部材駆動制御部830によって清掃部材駆動部831がオンされ、その時の周囲の温度と湿度が設定値に達したとき、駆動ギヤ831Gが矢印b方向に回動して、清掃部材32が感光体表面に当接する。同時に清掃部材32が当接した状態で感光体4を回転させることにより、印刷開始前には感光体4の表面を常時清掃するように設定されている。温度及び湿度の検知は、感光体4の付近に設置された、図示しないサーミスタ等の温度センサやセラッミク湿度センサによってプリンタ1内の温度及び湿度を検出し、画像形成制御部700内に予め設定された値(閾値)に達すると清掃部材駆動部831が動作するように設定してある。その設定値は図10の実験結果を基に設定されている。図10に示すように、温度25℃、湿度60%以上であればフィルミングの発生は見られず、温度25℃、湿度45%以下になるとフィルミングの発生が見られる。従って、温度25℃、湿度60%前後を閾値と定め、温度センサ、湿度センサが感知した値がこれ以上の時には、清掃部材駆動部がオフとなり、フィルミング除去動作を停止させ、この値以下に温度センサ湿度センサが感知した時、清掃部材駆動部831はオンとなり、フィルミング除去動作を実行できるように設定されている。
【0046】
次に、この実施例3のプリンタの制御機構について図9のブロック図を基に説明する。
このプリンタの制御機構は、マイクロプロセッサ、記憶媒体であるROM、RAM、入出力ポート、及びタイマー等から構成される画像形成制御部700を有し、PCなどの上位装置から印刷データ及び制御コマンドを受信してプリンタの全体を制御し印刷動作を行う。
【0047】
画像形成制御部700には、PCから入力したコマンドを解析して受信した画像データを処理すると共にPCにプリンタ情報を送信するI/F制御部710と、PCから受信した画像データをI/F制御部710の制御に基づいてカラー毎に格納する受信メモリ720と、プリンタの状態を表示したり利用者がプリンタに指示を行うための操作ボタンを有する操作部と、濃度測定用、環境(温度、湿度)検出用及び印刷用紙の搬送位置を検出する複数のセンサと、I/F制御部710を介してPCから入力した印刷データを画像データとして編集するための画像データ編集メモリ730と、画像形成制御部700の指示に従って帯電ローラ5に電圧を印加して感光体の表面を帯電させるための制御を行う帯電電圧制御部740と、画像データ編集メモリ730に格納された画像データにしたがってLEDヘッド3により帯電された感光体4の表面に光を照射して露光させるための制御を行うヘッド制御部750と、感光体4の表面に生成された静電潜像にトナーを付着させるために現像ローラ6に対して電圧の印加制御を行う現像電圧制御部760と、画像形成制御部700の指示を受けて転写ローラ10に対し電圧を印加し感光体4の表面に生成されたトナー像を印刷用紙に転写するための転写電圧制御部770と、画像形成制御部700の指示によりKモータ781,Yモータ782,Mモータ783,Cモータ784の制御を行い各感光体ドラム4d,帯電ローラ5,現像ローラ6を回転駆動させるための画像形成駆動制御部780と、画像形成制御部700の指示により定着器791に内臓されたヒータへ電圧を印加するための制御及び定着器791の温度を測定するサーミスタ792からの温度検出信号を受信してヒータをオン・オフ制御し定着器791が所定温度に上昇したときに定着モータ793を回転駆動させて制御し印刷用紙に転写されたトナー像を最適状態に定着させるための定着制御部790と、画像形成制御部700の指示により搬送ベルトモータ801の制御を行い印刷用紙を搬送するための搬送ベルトを駆動するベルト駆動制御部800と、トナー供給ローラに対し電圧を印加するための制御を行い現像ローラ表面に帯電したトナーを供給させるための供給電圧制御部820と、清掃部材駆動部(モータ)831を駆動制御して感光体表面のフィルミングを除去するための清掃部材32を夫々の感光体4の表面に接触させたり、分離させたりする清掃部材駆動制御部830を備えている。
【0048】
次に、実施例3におけるプリンタの始動時の動作を図11のフローチャートを基に説明する。
ここでは、上記構成で説明したとおり、プリンタ1の置かれる環境によって、フィルミング除去の清掃を不要とする場合があるため、これに沿って説明する。
【0049】
(S101)
画像形成制御部700は、温度センサ及び湿度センサの環境センサ231が読み取った環境値が、図10中の環境レベル「3」(閾値)より大きいか否かを判定する。その条件を満たす場合は、次のS102に移行し、満たさない場合にはS104に進む。
【0050】
(S102)
画像形成制御部700は、清掃部材駆動制御部830に指示し、清掃部材駆動部831を動作させ清掃部材32を感光体4の表面に当接させる。
【0051】
(S103)
清掃部材が所定時間(例えば3〜4秒)感光体4の表面に接触させている間、感光体4は回転する。所定時間経過後、画像形成制御部700は、清掃部材駆動制御部830に指示し清掃部材駆動部831を動作させて清掃部材32を感光体4の表面から離脱させる。
【0052】
(S104)
画像形成制御部700は、清掃部材32が感光体4の表面から離脱したのを感知して印刷動作を実行する。
【0053】
(S105)
画像形成制御部700は、次の印刷データの有無を判断する。あれば、S101に進み、無ければフローを終了する。
本実施例では、クリーニングシーケンスの実行条件を環境に関係付けて設定することで、感光体4の表面と清掃部材32の摺擦する回数を減らして感光体4の表面の磨耗や清掃部材32の劣化を防ぐことが可能となり、装置の長寿命化を実現することが出来る。
【実施例4】
【0054】
実施例4でも、実施例1と同様に画像形成装置をプリンタに適用させて説明し、構成上実施例1と同じ部分については同符号を付している。この実施例4でクリーニングシーケンス起動タイミングを印刷枚数で設定する。すなわち、装置の使用が浅くフィルミングがまだ発生していない状況下では、清掃部材32を動作させず、所定印刷枚数に至った後、清掃部材32が動作する場合について説明する。
図2は本発明の画像形成装置をプリンタ1に適用させた構造上の概要を示している。
このプリンタは、図2に示すように、装置内部に、ブラック(K),イエロー(Y),マゼンダ(M),シアン(C)からなるカラー用の画像形成ユニット2と、これらの画像形成ユニット2に夫々対応する転写ローラ5と、各画像形成ユニット2の下部に共通する無端状の搬送手段である印刷用紙の搬送を行うためにベルト18及びベルト18の張りを一定に保つようスプリングにて支持されたベルト従動ローラ16と駆動ローラ17を有する搬送部21と、内部にハロゲンランプなどの発熱体を有し定着バックアップローラ20と対峙させて印刷用紙を加熱及び加圧して印刷用紙上に現像剤の定着を行う定着ローラ19と、印刷用紙に印刷されたパターンの濃度をベルト18上で読み取るセンサー22と、その他各機能を指定する操作部及び装置全体を制御する画像形成制御部などを備えている。
【0055】
画像形成ユニット2は、感光体ドラム4dの外周に設けられ感光体4の表面を一様に帯電するための帯電ローラ5と、帯電された感光体4の表面にLED等の露光手段にて光を照射して静電潜像を形成するLEDヘッド3と、現像ローラ6とトナータンク7との間に現像ブレード8及びトナー供給用スポンジローラ9を有する現像部23と、転写後のトナーを除去するクリーニングブレード11と、感光体表面に固着したフィルミングを除去する清掃機構部30から構成されている。
【0056】
感光体ドラム4dは、ドラムの外周に有機系感光体からなる光導電層が形成されており、図示しない駆動手段にて予め決められた所定の方向に一定周期で回転するように構成されている。この感光体ドラム4dの外径寸法は、30φに形成されている。
帯電ローラ5は、金属シャフトの外周に半導電性ゴム層を設け、この半導電性ゴム層を感光体4の表面に接触させることによって感光体4に対して均一に所定の電荷を帯電する。
LEDヘッド3は、帯電された感光体4の表面を露光して静電潜像を形成するための発光源であり、図示しないSLAレンズを介して感光体表面に光を照射する。
現像部23は、トナーを収納するトナータンク7と、このトナータンク7内のトナーを感光体上に形成された静電潜像に供給する現像ローラ6を有し、現像ブレード8及びトナー供給用スポンジローラ9によってトナーが感光体表面に均一に行き渡るように構成されている。トナーは、微粉砕されたバインダ樹脂(粒径5.7μm)を主体に、外添剤としてメラミン(粒径150nm)、大シリカ(粒径40nm)、小シリカ(粒径12nm)から構成されている。このトナーの成分を重量%に換算すると、メラミン0.3g%、大小シリカ3.95g%で残り95.7g%がバインダ樹脂その他染料等からなる。
クリーニングブレードは、材質がウレタンゴム製からなり、感光体の幅と同一の幅で、厚さ1.6mm、長さ6.9mmから構成されている。
【0057】
清掃機構部30は、図1に示すように、感光体4の表面に当接可能な位置で感光体表面のフィルミング汚損を除去するための繊維材からなる清掃部材32、この清掃部材32が取付けられるシャフト33と、このシャフト33を動作させるために清掃部材駆動部831とギヤ31Gを介して接続されるシャフト支持軸31から構成されている。
清掃部材32は、感光体4のドラム幅と略同一長の金属製又は樹脂製のシャフト33を包持するようにシャフト33に取り付けられている。清掃部材32の繊維材は天然繊維としては綿、化学繊維としてレーヨンその他セーム皮等のクリーニング(CL)性能を満たす材質からなる。
【0058】
シャフト支持軸31は、シャフト33に対し直角方向に設けられており、先端部に清掃部材32が取り付けられ、終端部には図4に示すように、清掃部材駆動部831の駆動ギヤ831Gと噛合するギヤ31Gが設けられている。このシャフト支持軸31は、シャフト33と一体にT字型に形成されている。
【0059】
清掃部材駆動部831は、モータとこのモータの回転軸に取り付けられた駆動ギヤ831Gによって構成され、フィルミングの除去が必要なときに清掃部材32が感光体4に当接する方向、すなわち、シャフト支持軸31を矢印a方向に動かすために駆動ギヤ831Gを矢印b方向に回動させ、フィルミングの除去が不要の時には清掃部材32が感光体4から離れる方向、すなわち、シャフト支持軸31を矢印b方向に回動するように設定されている。清掃部材32の感光体表面にかける押圧力は20gf/cm〜100gf/cmの範囲が実験の結果から好ましい。この範囲より低いとフィルミングの除去が不十分となり、また高いと感光体4の表面に傷がつきやすくなる。押圧力は清掃部材駆動制御部830にて調整可能に設定されている。
【0060】
この実施例4の場合、フィルミングの除去は、装置の使用が浅くフィルミングがまだ発生していない状況下では、清掃部材32を動作させず、所定印刷枚数に至った時点から、清掃部材駆動部831がオンされ、駆動ギヤ831Gが矢印b方向に回動すると、清掃部材32が感光体表面に当接する。同時に清掃部材32が当接した状態で感光体4を回転させることにより、印刷開始前には感光体4の表面を常時清掃するように設定されている。その所定印刷枚数とは、図13に示す試験結果から、感光体4の表面のフィルミング経時変化から設定する。この図13によれば、温度22℃、湿度50%の環境下(図中実線)では約10000[k]近傍でフィルミングの発生が見られ、また、温度10℃、湿度20%の環境下(図中破線)では3000[k]近傍でフィルミングが発生しているのがわかる。
【0061】
次に、この実施例4のプリンタの制御機構について図12のブロック図を基に説明する。
このプリンタの制御機構は、マイクロプロセッサ、印刷枚数カウンタ、記憶媒体であるROM、RAM、入出力ポート、及びタイマー等から構成される画像形成制御部700を有し、PCなどの上位装置から印刷データ及び制御コマンドを受信してプリンタの全体を制御し印刷動作を行う。
【0062】
画像形成制御部700には、PCから入力したコマンドを解析して受信した画像データを処理すると共にPCにプリンタ情報を送信するI/F制御部710と、PCから受信した画像データをI/F制御部710の制御に基づいてカラー毎に格納する受信メモリ720と、プリンタの状態を表示したり利用者がプリンタに指示を行うための操作ボタンを有する操作部701と、濃度測定用及び印刷用紙の搬送位置を検出する複数のセンサ702と、I/F制御部710を介してPCから入力した印刷データを画像データとして編集するための画像データ編集メモリ730と、画像形成制御部700の指示に従って帯電ローラ5に電圧を印加して感光体4の表面を帯電させるための制御を行う帯電電圧制御部740と、画像データ編集メモリ730に格納された画像データにしたがってLEDヘッド3により帯電された感光体4の表面に光を照射して露光させるための制御を行うヘッド制御部750と、感光体4の表面に生成された静電潜像にトナーを付着させるために現像ローラ6に対して電圧の印加制御を行う現像電圧制御部760と、画像形成制御部700の指示を受けて転写ローラ10に対し電圧を印加し感光体4の表面に生成されたトナー像を印刷用紙に転写するための転写電圧制御部770と、画像形成制御部700の指示によりKモータ781,Yモータ782,Mモータ783,Cモータ784の制御を行い各感光体ドラム4d,帯電ローラ5,現像ローラ6を回転駆動させるための画像形成駆動制御部780と、画像形成制御部700の指示により定着器791に内臓されたヒータへ電圧を印加するための制御及び定着器791の温度を測定するサーミスタ792からの温度検出信号を受信してヒータをオン・オフ制御し定着器791が所定温度に上昇したときに定着モータ793を回転駆動させて制御し印刷用紙に転写されたトナー像を最適状態に定着させるための定着制御部790と、画像形成制御部700の指示により搬送ベルトモータ801の制御を行い印刷用紙を搬送するための搬送ベルトを駆動するベルト駆動制御部800と、トナー供給ローラに対し電圧を印加するための制御を行い現像ローラ表面に帯電したトナーを供給させるための供給電圧制御部820と、清掃部材駆動部(モータ)831を駆動制御して感光体表面のフィルミングを除去するための清掃部材32を夫々の感光体4の表面に接触させたり、分離させたりする清掃部材駆動制御部830を備えている。
【0063】
次に、実施例4のプリンタの動作を説明する。
図14は印刷枚数からクリーニング実行を判定し、清掃実行するまでのフローチャートを示す。ここでの環境下としては、温度22℃、湿度50%と設定している。
【0064】
(S201)
画像形成制御部700は、印刷カウンタから印刷枚数を読み取ったカウント値nが10000より大きいか否かを設定する。nの初期値は1とし、判定条件は10000とする。印刷カウントが10000よりも大きい場合はS202に進み、10000より小さい場合はS205に進む。
【0065】
(S202)
画像形成制御部700は、清掃部材駆動制御部830に指示して、清掃部材駆動部831を動作させ清掃部材32を感光体の表面に当接させる。
【0066】
(S203)
清掃部材32が所定時間(例えば3〜4秒)感光体4の表面に接触させている間、感光体4は回転する。所定時間経過後、画像形成制御部700は、清掃部材駆動制御部830に指示し清掃部材駆動部831を動作させて清掃部材32を感光体4の表面から離脱させる。
【0067】
(S204)
清掃部材32が感光体4の表面から離脱されたことを、画像形成制御部700が感知すると印刷カウントは、n=n’+1を演算し、n=1+1となりn=2に設定する。
【0068】
(S205)
画像形成制御部700は、清掃部材32が感光体4の表面から離脱したことを感知して印刷動作を実行する。
【0069】
(S206)
画像形成制御部700は、次の印刷データの有無を判断する。あれば、S101に進み、無ければフローを終了する。
この実施例4によれば特定の印刷カウンタ(印刷枚数)に至った時点からクリーニングシーケンスを実行し、不必要な時には清掃部材32を動作させないため、感光体4のや清掃部材32の劣化を減少させることが出来、装置の長寿命化を実現することが可能となる。
【0070】
なお、上記各実施例において清掃部材の動作は、印刷開始前に自動的に作動する方式で説明したが、本発明は、上記各実施例に限らず、利用者が必要と判断した時、例えば、長く印刷を繰り返し行っている間に、印刷用紙の印字状態を利用者が目視して、汚れが目立ち始めた時、操作部(操作パネル)の操作ボタン「清掃」を押圧すると、清掃部材駆動部がオンして感光体の表面に清掃部材を当接させてフィルミングの除去が出来る機能を併設してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の画像形成装置について各実施例ではプリンタに適用したが、これに限らず複写機又はMFPに適用してもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 プリンタ
2 画像形成ユニット
3 LEDヘッド
4 感光体
5 帯電ローラ
6 現像ローラ
7 トナータンク
8 現像ブレード
11 クリーニングブレード
30 清掃機構部
31 シャフト支持軸
32 清掃部材
831 清掃部材駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体表面上の静電潜像形成位置に帯電微粒子を付着させて現像を行う画像形成装置において、
装置内には前記感光体表面に固着残留する汚損物質を除去する清掃部材を備えており、
前記清掃部材は繊維材からなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記繊維材は、材質が綿等の天然繊維であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記繊維材は、繊維材を構成する相隣る縦糸同士の隙間と相隣る横糸同士の隙間を共に110μm以上1200μm以下であることを特徴とする請求項1及び請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記装置内には、前記清掃部材を第1の方向又は第2の方向に移動する駆動手段と、装置内の温度及び/又は湿度等の環境状況を検出する環境検出手段とを有し、前記環境検出手段の検知結果に基づいて前記駆動手段を制御する制御部を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記装置内には、前記清掃部材を第1の方向又は第2の方向に移動する駆動手段と、印刷枚数を検出するカウンタ手段とを有し、前記カウンタ手段の検知結果に基づいて前記駆動手段を制御する制御部を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項4に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−107599(P2011−107599A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265025(P2009−265025)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】