説明

画像形成装置

【課題】組み立て後の露光手段の位置調整が不要で、しかも装置の小型・軽量化も図れる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】部材81と部材83とを所定間隔を隔てて略平行に位置させ、これら部材81及び部材83の向かい合う両端部をそれぞれ部材82と部材84とで連結する。これにより、露光装置22を取り付けるフレーム8は、高い位置精度を備えるとともに、中央に開口を有する四角形状となり装置の軽量化が図れる。そして、部材81及び部材83の両端部に前側板7aと後側板7bとを取り付ける。これにより前側板7aと後側板7bの間隔が高精度に規定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリやプリンター、複写機などの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
感光体の表面に形成された静電潜像をトナーで顕像化し、形成されたトナー像を用紙等に転写した後、トナー像を用紙に溶融定着させる画像形成装置において、感光体表面に静電潜像を形成する際、感光体の回転軸方向と、対応する露光装置の走査線方向とが平行でなかったり、光路長が左右で異なっていたりすると、静電潜像に歪みが生じ、カラー画像の場合には色ずれなどの不具合が発生する。このため、従来の画像形成装置では、感光体や露光装置を支持する構造体の強度を高めて、位置精度を高く維持できるようにしていた。
【0003】
ところが、構造体を構成する一つ一つの部材を強固にすると、各部材の剛性が強くなり、部材を組み立てる際に部材の歪みが矯正されず蓄積される。そこで、組み立て後に位置調整を行って所定の位置精度を確保するようにしていた。
【0004】
例えば特許文献1では、露光装置を保持する書込みユニットフレームに、作像装置を支持する前側板と後側板とを取り付け、このユニットフレームを本体フレームで支持する技術が提案されている。特許文献1では、さらに、本体フレームに水平フレームを設け、水平フレーム上で書込みユニットフレームの高さ方向の位置調整を行う技術も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-45923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、近年、装置の小型化・軽量化が強く求められているところ、前記提案技術では、本体フレームと書込みユニットフレームとが必要であり、装置の大型化・重量化を招く懸念がある。また、前記提案技術では、組み立て後に位置調整作業が必要であり、装置の製造効率が悪い。
【0007】
本発明はこのような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、組み立て後に露光装置等の位置調整をすることなく高い位置精度が得られ、しかも装置の小型・軽量化も図れる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、略平行に離隔対向し、少なくとも感光体及び現像装置を支持する2枚の側板と、前記2枚の側板に接続して前記2枚の側板の間隔を規定するとともに、露光手段を支持するフレームとを備え、前記フレームを2つ以上の部材から構成したことを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0009】
ここで、組み立て精度をより高める観点からは、前記2つ以上の部材のうち、少なくとも2つの部材によって、前記2枚の側板の間隔を規定するのが好ましい。
【0010】
また、装置の軽量化をさらに図る観点からは、前記フレームとして、前記2つ以上の部材を中央に開口が形成されるように四角形状に接続したものを用いるのが好ましい。
【0011】
そしてまた、前記露光手段が駆動部材を備える場合には、前記駆動部材の直下又は直上に、前記フレームを構成する部材を位置させるのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の画像形成装置によれば、組み立て後に露光装置などの位置調整が不要で、しかも装置の小型・軽量化も図れる。
【0013】
また、前記2つ以上の部材のうち、少なくとも2つの部材によって、前記2枚の側板の間隔を規定すると、組み立て精度をより高めることができるようになる。
【0014】
さらに、前記フレームとして、前記2つ以上の部材を中央に開口が形成されるように四角形状に接続したものを用いると、装置の軽量化をさらに図ることができるようになる。
【0015】
そしてまた、前記露光手段が駆動部材を備える場合には、前記駆動部材の直下又は直上に、前記フレームを構成する部材を位置させると、高い位置精度を確実且つ長期間にわたって維持できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例を示す概説図である。
【図2】フレームと前側板、後側板とを接続したときの斜視図である。
【図3】図2のフレーム上に露光装置を取り付けたときの斜視図である。
【図4】図2に示すフレームの斜視図である。
【図5】図4のフレームの分解斜視図である。
【図6】フレームの他の形態例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の画像形成装置について図に基づいてより詳しく説明するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
【0018】
図1に、本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す概説図を示す。図1の画像形成装置Dは所謂タンデム方式のカラープリンタである。もちろん、プリンタのほか、さらにスキャナを有する複写機、ファクシミリ又はそれらの機能を複合的に備えた複合機等にも本発明を適用することができる。また、画像形成方式としてはタンデム方式に限定されるものではなく、他の方式、例えば、回転軸の周囲に4つの現像装置を配置し、これらを順次静電潜像担持体に対向させてフルカラー画像を作成する所謂4サイクル方式、あるいは一つの現像装置でモノクロ画像を作成するモノクロ方式であっても構わない。
【0019】
画像形成装置Dは、導電性を有する無端状の中間転写ベルト33を有する。中間転写ベルト33は、図の左右両側にそれぞれ配置された一対のローラ31,32に掛架されている。ローラ32は不図示のモータに連結されており、モータの駆動によってローラ32は反時計回りに回転し、これによって中間転写ベルト33とこれに接するローラ31は従動回転する。ローラ32に支持されているベルト部分の外側には、二次転写ローラ34が圧接している。この二次転写ローラ34と中間転写ベルト33とのニップ部(二次転写領域)において中間転写ベルト33上に形成されたトナー像が、搬送されてきた用紙Pに転写される。
【0020】
また、ローラ31に支持されているベルト部分の外側には、中間転写ベルト33の表面をクリーニングするベルトクリーニング装置9が設けられている。ベルトクリーニング装置9は、中間転写ベルト33を介してローラ31に圧接するクリーニングブレードを備え、クリーニングブレードの中間転写ベルト33との当接部で、未転写の残留トナーを除去・回収する。
【0021】
ローラ31とローラ32とに掛架された中間転写ベルト33の下側には、中間転写ベルト33の回転方向上流側から順に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4つの作像ユニット2Y,2M,2C,2K(以下、「作像ユニット2」と総称することがある)が、装置本体10に対して着脱自在に配置されている。これらの作像ユニット2では、各色の現像剤をそれぞれ用いて対応する色のトナー像が作成される。
【0022】
作像ユニット2は、静電潜像担持体として円筒状の感光体20を有する。そして、感光体20の周囲には、その回転方向(時計回り方向)に沿って順に、帯電装置21、現像装置23、一次転写ローラ24、および感光体クリーニング装置6が配置されている。感光体クリーニング装置6はクリーニングブレード61を備え、その一端側を感光体20の外周面に当接させて、感光体20の表面に残留するトナーを除去・回収している。感光体クリーニング装置6については後段で詳述する。一次転写ローラ24は中間転写ベルト33を挟んで感光体20に圧接し、ニップ部(一次転写領域)を形成している。また、作像ユニット2の下方には露光装置22が配置されている。
【0023】
この図に示す実施形態では、帯電装置21としてローラ帯電方式のものを用いているが、帯電装置21の種類は特に限定されるものでなく、コロナ放電方式の帯電チャージャ、ブレード状の帯電部材、ブラシ状の帯電部材等を用いてももちろん構わない。
【0024】
中間転写ベルト33の上方には、各色の現像装置23に補給するトナーを収容したホッパー4Y,4M,4C,4K(以下、「ホッパー4」と総称することがある)がそれぞれ配置されている。また、露光装置22の下部には、給紙装置として給紙カセット50が着脱可能に配置されている。給紙カセット50内に積載収容された用紙(シート)Pは、給紙カセット50の近傍に配置された給紙ローラ51の回転によって最上紙から順に1枚ずつ搬送路に送り出される。給紙カセット50から送り出された用紙Pは、レジストローラ対52に搬送され、ここで所定のタイミングで二次転写領域に送り出される。
【0025】
画像形成装置Dは、1色のトナー(例えばブラック)を用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードと、4色のトナーを用いてカラー画像を形成するカラーモードとに切り替え可能となっている。
【0026】
カラーモードにおける画像形成動作例について簡単に説明すると、まず、各作像ユニット2において、所定の周速度で回転駆動される感光体20の外周面が帯電装置21により帯電される。次に、帯電された感光体20の表面に、画像情報に応じた光が露光装置22から投射されて静電潜像が形成される。続いて、この静電潜像は、現像装置23から供給される現像剤としてのトナーにより顕在化される。このようにして感光体20の表面に形成された各色のトナー像は、感光体20の回転によって一次転写領域に達すると、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順で、感光体20から中間転写ベルト33上へ転写(一次転写)されて重ねられる。
【0027】
中間転写ベルト33に転写されることなく感光体20上に残った残留トナーは、感光体クリーニング装置6で掻き取られ、感光体20の外周面から除去される。
【0028】
重ね合わされた4色のトナー像は、中間転写ベルト33によって二次転写領域に搬送される。一方、そのタイミングに合わせて、レジストローラ対52から二次転写領域に用紙Pが搬送される。そして、4色のトナー像が、二次転写領域において中間転写ベルト33から用紙Pに転写(二次転写)される。4色のトナー像が転写された用紙Pは、定着装置1へ搬送される。定着装置1において用紙Pは、定着ローラ11と加圧ローラ12とのニップ部を通過する。この間に用紙Pは加熱・加圧され、用紙P上のトナー像は用紙Pに溶融定着する。トナー像が定着した用紙Pは排出ローラ対53によって排紙トレイ54に排出される。
【0029】
一方、用紙Pに転写されることなく中間転写ベルト33上に残った残留トナーは、ベルトクリーニング装置9で掻き取られ、中間転写ベルト33の外周面から除去される。その後、各感光体20及び中間転写ベルト33の回転駆動が停止される。
【0030】
図2に、図1の画像形成装置Dで用いられる、前側板7aと後側板7b、フレーム8とを接続した構造体の斜視図を、図3に、構造体に露光装置22を取り付けた状態の斜視図をそれぞれ示す。なお、図1における紙面手前側を「前側」、紙面裏側を「後側」というものとする。図2に示す構造体は、前側板7aの下端部と後側板7bの下端部とがフレーム8で接続されて、前側板7aと後側板7bとが略平行に対向するように組み立てられている。前側板7aには大きな開口71が形成されており、この開口71から、作像ユニット2(図1に図示)が、装置本体10(図1に図示)に対して出入される。また、後側板7bには複数個の穴が形成されており、作像ユニット2が装置本体10に装着されると、作像ユニット2の各回転軸や係合部が、それぞれ対応する穴に係合して作像ユニット2の位置決めがなされ、作像ユニット2は前側板7aと後側板7bとによって支持されるようになる。また同時に、後側板7bの裏面側には、不図示の駆動部及び駆動伝達部が配設されており、作像ユニット2が装置本体10に装着されると、作像ユニット2への駆動力の伝達が可能となる。そして、図3に示すように、フレーム8の上面には露光装置22が取り付けられる。本発明の画像形成装置では、前側板7aと後側板7b、フレーム8とが高い位置精度で組み立てられるので、露光装置22をフレーム8に取り付ける作業だけで、感光体20(図1に図示)の回転軸方向と、対応する露光装置22の走査線方向とが平行となり、組み立て後の位置調整が不要となる。
【0031】
図4にフレーム8の斜視図を、図5にフレーム8の分解斜視図をそれぞれ示す。図5に示すように、フレーム8は4つの板状の部材81〜84から構成される。各部材81〜84は、板状体を抜き加工や曲げ加工等の板金加工するによって所定形状に成形されてなる。部材81と部材83とは所定間隔を隔てて略平行に位置し、これら部材81及び部材83の向かい合う両端部がそれぞれ部材82と部材84とで連結されている。この結果、フレーム8は、中央に開口を有する四角形状となり、軽量化が図られる。図2から理解されるように、部材81と部材83とによって前側板7aと後側板7bとの間隔が規定される。なお、1つの部材によって前側板7aと後側板7bとの間隔を規定してもよいが、位置精度を高める観点からは、少なくとも2つの部材によって、前側板7aと後側板7bの間隔を規定するのが好ましい。
【0032】
フレーム8を構成する部材の材料としては、金属材料やプラスチック材料など従来公知のものが使用できるが、寸法精度や強度などの点からは金属材料が好ましく、例えば、電気亜鉛メッキ鋼板(SECC)などが好適に用いられる。
【0033】
フレーム8を構成する部材の個数は2つ以上であれば特に限定はなく、3つあるいは5つ以上であっても構わないが、組み立て作業性や軽量化等の観点からは4つ以下であるのが好ましい。
【0034】
図6に、本発明で使用するフレームの他の実施形態を示す。図6は、いずれも平面図であって、同図(a)は、2つの部材85及び部材86を所定間隔を隔てて略平行に配置し、部材85と部材86のそれぞれ両端部を、前側板7aと後側板7bとに接続した形態である。また、同図(b)は、2つの部材85及び部材86を所定間隔を隔てて略平行に配置し、部材85及び部材86の長手方向略中央部を部材87で接続し、部材85と部材86のそれぞれ両端部を、前側板7aと後側板7bとに接続した形態である。例えば、露光手段22がポリゴンミラーなどの駆動部材を備える場合には、駆動部材の直下(又は直上)に部材87を位置させるのがよい。これにより、高い位置精度を確実且つ長期間にわたって維持できるようになる。
【0035】
部材間及び部材と側板との接続は、ネジ止めや貼着、嵌着、鋲着、溶接など従来公知の接続手段を用いることができる。
【0036】
フレーム8の組み立ては、例えば次のようにして行えばよい。所定の位置精度を有する組立て治具に、マグネットなどの固定部材を用いて各部材を固定する。これにより、各部材の反りなどの歪みが除去される。そして、部材と部材とをビスなどで締結する。次いで、組み立てられたフレーム8の所定位置に前側板7aと後側板7bとを固定し、ビスなどでフレーム8に締結する。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の画像形成装置によれば、組み立て後に露光装置などの位置調整をする必要がなく、しかも装置の小型・軽量化も図れ有用である。
【符号の説明】
【0038】
7a 前側板(側板)
7b 後側板(側板)
8 フレーム
20 感光体
22 露光手段
23 現像装置
81〜87 部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略平行に離隔対向し、少なくとも感光体及び現像装置を支持する2枚の側板と、前記2枚の側板に接続して前記2枚の側板の間隔を規定するとともに、露光手段を支持するフレームとを備え、
前記フレームが2つ以上の部材から構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記2つ以上の部材のうち、少なくとも2つの部材によって、前記2枚の側板の間隔を規定する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記フレームが、前記2つ以上の部材を中央に開口が形成されるように四角形状に接続したものである請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記露光手段が駆動部材を備え、前記駆動部材の直下又は直上に、前記フレームを構成する部材を位置させる請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−145357(P2011−145357A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−4477(P2010−4477)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】