画像形成装置
【課題】 シャッタの破断を正確に判断することに加えて、シャッタの開閉を従来よりも確実に判断することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 感光体ドラム1と、1次帯電器2と、感光体ドラム1から1次帯電器2を遮蔽する遮蔽位置S、並びに、感光体ドラム1及び1次帯電器2の間を開放する退避位置Tを取るシート状の帯電器シャッタ10と、帯電器シャッタ10の退避位置Tで帯電器シャッタ10をロール状に巻き取る巻取り装置52と、帯電器シャッタ10の導電性部10c1を流れる電流を検知する電流検知部50a、及び、帯電器シャッタ110のアルミ薄膜接着部110bに印加される電圧を検知する電圧検知部50bを有し、電流検知部50a又は電圧検知部50bの検知結果に基づいて、帯電器シャッタ10、110の駆動状態又は異常状態を判断するコントローラ50と、を備える画像形成装置100を構成した。
【解決手段】 感光体ドラム1と、1次帯電器2と、感光体ドラム1から1次帯電器2を遮蔽する遮蔽位置S、並びに、感光体ドラム1及び1次帯電器2の間を開放する退避位置Tを取るシート状の帯電器シャッタ10と、帯電器シャッタ10の退避位置Tで帯電器シャッタ10をロール状に巻き取る巻取り装置52と、帯電器シャッタ10の導電性部10c1を流れる電流を検知する電流検知部50a、及び、帯電器シャッタ110のアルミ薄膜接着部110bに印加される電圧を検知する電圧検知部50bを有し、電流検知部50a又は電圧検知部50bの検知結果に基づいて、帯電器シャッタ10、110の駆動状態又は異常状態を判断するコントローラ50と、を備える画像形成装置100を構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電器を有する複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真画像形成プロセスが用いられる画像形成装置では、感光体ドラムの表面を所定の極性及び電位で一様に帯電する1次帯電器が用いられている。この1次帯電器には、コロナ帯電器が用いられることがある。コロナ帯電器は、動作時にオゾンO3や窒素酸化物NOX等のコロナ生成物を生成する。これらのコロナ生成物が放電エネルギー及び大気中のガス及び水分等に作用し、窒素化合物、アルデヒド基、カルボキシル基等の親水性の化合物が感光体ドラムの表面に付着する。感光体ドラムに付着した化合物質は、大気中の水分を吸湿する。その結果、感光体ドラムの表面抵抗が低下してしまい、静電像が欠落する、いわゆる「画像流れ」が引き起こされる場合がある。この「画像流れ」を抑制するために、1次帯電器を長期間停止するときに、1次帯電器及び感光体ドラムの間に帯電器シャッタを挿入する特許文献1に記載の発明が開示される。こうした構成によれば、帯電器シャッタによって、1次帯電器から感光体ドラムの表面にコロナ生成物が付着することが抑制される。
【0003】
一方、特許文献1に記載の発明では、帯電器シャッタは、1次帯電器及び感光体ドラムの間に挿入されたり、1次帯電器及び感光体ドラムの間から退避したりするが、挿入及び退避の方向は、感光体ドラムの軸と直交する感光体ドラムの接線方向である。これに対して、帯電器シャッタの挿入及び退避の方向が感光体ドラムの軸方向と平行な方向に設定された構成も考えられる。この場合に、帯電器シャッタの一端部に、帯電器シャッタを退避するために巻き取る巻取り装置を設け、帯電器シャッタの他端部に、帯電器シャッタを挿入するために引張り装置を設ける構成が考えられる。帯電器シャッタが挿入されているか退避しているかは、例えば、引張り装置が感光体ドラムの軸方向でどの位置に来ているかを位置検知センサによって検知することで判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−072212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前述の位置検知センサで帯電器シャッタ(以下、シャッタという場合がある)の位置を検知する構成では、シャッタが破断した場合であっても、引張り装置及び巻取り装置が動作し続けることができてしまう。このために、シャッタが破断したことをコントローラが判断することは困難である。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑み、シャッタの破断を従来よりも確実に判断することができる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、像担持体と、前記像担持体の表面を帯電する帯電手段と、前記像担持体及び前記帯電手段の間に挿入されて前記像担持体から前記帯電手段を遮蔽する遮蔽位置、並びに、前記像担持体及び前記帯電手段の間から退避して前記像担持体及び前記帯電手段の間を開放する退避位置を取るシート状のシャッタと、前記シャッタの退避位置で前記シャッタをロール状に巻き取る巻取り手段と、前記シャッタの導電性部を流れる電流値を検知する電流検知部、又は、前記シャッタの前記導電性部に印加される電圧値を検知する電圧検知部を有し、前記電流検知部が検知した電流値又は前記電圧検知部が検知した電圧値に基づいて、前記シャッタの駆動状態又は異常状態を判断するコントローラと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、シャッタの材質が導電性を有し、コントローラが、帯電器に印加するバイアスにより発生したシャッタを流れる電流値又はシャッタに印加される電圧値に基づいてシャッタの駆動状態又は異常状態を判断する。その結果、シャッタの状態が従来よりも確実に判断される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例1に係る画像形成装置の構成を示す断面図等である。
【図2】感光体ドラムの構成を示す断面図等である。
【図3】1次帯電器、感光体ドラム及び帯電器シャッタの構成を示す側面図等である。
【図4】駆動装置の構成及び動作を示す側面図等である。
【図5】帯電器シャッタの構成を示す平面図等である。
【図6】コントローラの制御工程を示すフローチャートである。
【図7】コントローラの制御工程を示すフローチャートである。
【図8】コントローラの制御工程を示すフローチャートである。
【図9】実施例2に係る画像形成装置が備える帯電器シャッタの構成を示す平面図等である。
【図10】コントローラの制御工程を示すフローチャートである。
【図11】コントローラの制御工程を示すフローチャートである。
【図12】コントローラの制御工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、この発明を実施するための形態を実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対位置等は、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるから、特に特定的な記載が無い限りは、発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の実施例1に係る画像形成装置100の構成を示す断面図である。画像形成装置100は、電子写真画像形成プロセスを利用した電子写真方式のレーザプリンタ等の画像形成装置である。図1に示されるように、画像形成装置100は画像形成装置本体(以下、単に『装置本体』という)100Aを有し、この装置本体100Aの内部には、画像を形成する画像形成部51が設けられる。画像形成部51は、『像担持体』である感光体ドラム1、『転写装置』である転写ローラ5等を含む。少なくとも感光体ドラム1については、プロセスカートリッジに含まれ、プロセスカートリッジとして装置本体100Aに組み込まれる構成となっていても良い。
【0012】
画像形成装置100は、矢印方向(時計方向)に回転駆動される『像担持体』である感光体ドラム1を備えている。感光体ドラム1の周囲には、感光体ドラム1の回転方向に沿って各種の内部機器すなわち1次帯電器2、感光体ドラム1の表面電位を測定する電位センサ7、現像装置4、転写前帯電器6、転写ローラ5、クリーニング装置8、除電露光ランプ9が配設される。『帯電手段』である1次帯電器2は、感光体ドラム1の表面を帯電する。1次帯電器2の上方には露光装置3が配置される。そして、露光装置3は、1次帯電器2及び現像装置4の間の上方から感光体ドラム1に向かって画像露光Lを付与する。また、転写材P(用紙)の搬送方向(矢印方向)に対して転写ローラ5の下流側には定着器11が配設されている。ここでは、1次帯電器2及び転写前帯電器6がコロナ帯電器である。
【0013】
感光体ドラム1は、直径80mmのa−Si(アモルファスシリコン)であり、駆動装置(不図示)の駆動によって所定の周速度(プロセススピード)で矢印方向(時計方向)に回転駆動される。また、感光体ドラム1の内側にはドラムヒータ20が配設されている。空気中の絶対水分量が一定値以上の環境化では、転写材Pの通過中にドラムヒータ20への通電をONすることによって、ドラムヒータ20は、感光体ドラム1の表面を加熱し、コロナ生成物の感光体ドラム1への付着を防ぐ。なお、コントローラ50は、装置本体100Aの感光体ドラム1その他の各種の内部機器及び内部装置の駆動を制御する。
【0014】
図2(a)は、感光体ドラム1の構成を示す断面図である。図2(a)に示されるように、感光体ドラム1は、導電性材料のアルミニウムからなる円筒状の基体1e上に、阻止層1d、第1光導電層1c、第2光導電層1b及び表面層1aを順次積層して構成されている。第1光導電層1c及び第2光導電層1bは、シリコン原子が水素原子及びハロゲン原子を含むアモルファスシリコン材料を主体にして形成されている。
【0015】
図2(b)は、感光体ドラム1、1次帯電器2及び帯電器シャッタ10の構成を示す斜視図である。図2(b)に示されるように、一般的な感光体ドラム1は円柱状をしており、その表面は曲率を有する。そのため、帯電効率を考えると、1次帯電器2のグリッドワイヤ2aのグリッド面の形状は、極力、感光体ドラム1の曲率に沿った形状であることが望ましい。そのために、1次帯電器2と感光体ドラム1の間に挿入する『遮蔽部材』である『シャッタ』としての帯電器シャッタ10は、図3(a)に示されるように、感光体ドラム1の形状に沿った形状で形成される。そして、帯電器シャッタ10は、感光体ドラム1の長手方向で一端側から他端側まで駆動装置32(図3(a)及び図3(b)参照)を用いて、挿入又は退避する。そして、帯電器シャッタ10を挿入することで、一層の遮蔽効果を期待することができる。
【0016】
この構成を実現するために、更に、退避時のスペースの縮小化を実現するために、ロール状に巻くことが可能なシート形状の帯電器シャッタ10を用いることが望ましい。そして、長期停止時には、帯電器シャッタ10は、長手方向の一端側から他端側へと移動されて、1次帯電器2と感光体ドラム1の間に挿入される(図4(a)参照)。画像形成動作中には、帯電器シャッタ10が1次帯電器の他端側から一端側へと退避してロール状に巻き取られる(図4(b)参照)。
【0017】
次に、図1を参照しつつ、前述の画像形成装置100による画像形成動作について説明する。画像形成時には、感光体ドラム1は駆動装置(不図示)の駆動により矢印方向(時計方向)に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動する。
【0018】
帯電バイアス電源S1は、帯電ワイヤ2eに電圧を印加する電源である。図1中の1次帯電器2のようなスコロトロン帯電器では、帯電バイアスとは帯電ワイヤ2eに印加される電圧である。帯電ワイヤ2eは、放電開始電圧以上に電圧が印加されて放電し、感光体ドラム1に到達した電荷が感光体ドラム1を帯電させる。
【0019】
グリッドバイアス電源S2は、グリッドワイヤ2aに電圧を印加する電源である。また、このスコロトロン帯電器では、グリッドバイアスとはシールド板金とグリッドワイヤ2aに帯電ワイヤ2eと同極性のバイアスで印加される電圧である。コントローラ50は、グリッドワイヤ2aから感光体ドラム1の側に到達する電荷をコントロールする。帯電ワイヤ2eから放電した電荷は帯電ワイヤ2eを中心に同心円上に放射する。しかし、シールド板金とグリッドワイヤ2aが帯電しているために、グリッドバイアス以上の電荷が発生しないと、グリッドワイヤ2aを抜けて電荷が感光体ドラム1に到達しない。これによって、充分に大きな電圧を印加し、放電ムラを防いだ上で必要な帯電量をコントロールすることができる。
【0020】
前述のごとく、1次帯電器2の帯電ワイヤ2eは帯電バイアス電源S1から印加され、1次帯電器2のグリッドワイヤ2aはグリッドバイアス電源S2から印加される。そして、これらのバイアスによって、感光体ドラム1の表面は、所定の極性及び電位に帯電する。そして、帯電された感光体ドラム1の表面に、露光装置3から画像情報に応じた画像露光Lが付与されることにより、感光体ドラム1の表面の電位は画像露光Lされた部分の電位が低下して、入力される画像情報に応じた静電像が形成される。
【0021】
そして、現像装置4により感光体ドラム1の帯電極性と同極性に帯電したトナーを静電像に付着させてトナー像として可視像化する。そして、トナー像が転写前帯電器6によりトナー像の電荷極性をさらに強めた後、所定のタイミングで、転写材Pが感光体ドラム1と転写ローラ5の間で形成された転写ニップNの内部に搬送される。転写材Pが転写ニップNに搬送されたタイミングで、転写バイアス(トナーと逆極性)を転写ローラ5に印加することで、転写材Pの表面にトナー像を転写する。
【0022】
トナー像が転写された転写材Pは、同時に転写ローラ5で搬送装置12にまで搬送され、さらに、搬送装置12により定着器11に搬送される。定着器11に搬送された転写材Pは、加熱されてトナー像が転写材P上に定着された後、外部に排出される。
【0023】
一方、トナー像転写後の感光体ドラム1の表面に残留している転写残トナーはクリーニング装置8によって除去されて回収される。また、感光体ドラム1の表面の残留電荷は除電露光ランプ9で除去され、次の画像形成動作に備える。
【0024】
図3(a)は、1次帯電器2、感光体ドラム1及び帯電器シャッタ10の構成を示す側面図である。図3(a)では、1次帯電器2に設けられた帯電器シャッタ10のみが図示されるが、転写前帯電器6に設けられる帯電器シャッタに関しても同様に構成される。図3(a)に示されるように、『シャッタ』である帯電器シャッタ10は、シート状に形成されている。帯電器シャッタ10は、感光体ドラム1及び1次帯電器2の間に挿入されて感光体ドラム1から1次帯電器2を遮蔽する遮蔽位置S、感光体ドラム1及び1次帯電器2の間から退避して感光体ドラム1及び1次帯電器2の間を開放する退避位置Tを取る。つまり、帯電器シャッタ10は、遮蔽位置S(図4(a)参照)及び退避位置T(図4(b)参照))の何れをも取ることができるようになっている。
【0025】
帯電器シャッタ10は、画像形成動作中は、退避位置Tに配置され、1次帯電器2の一端側でロール状に退避する構成となっている。また、帯電器シャッタ10は、画像形成動作をしない間には、遮蔽位置Sに配置され、1次帯電器2の他端側に搬送部材32bで引っ張られた状態となっている。
【0026】
帯電器シャッタ10の材質としては、感光体ドラム1に接触した際に感光体ドラム1の表面にその成分を付着させないような化学的に安定性がある材質で、またロール状に巻くことが可能な材質である方が好ましい。そこで、帯電器シャッタ10を構成する材料としては樹脂材料、または弾性材料が適当である。金属でも薄膜又は蒸着することに使用が可能である。
【0027】
樹脂材料には、ポリカーボネート、フッ素系樹脂(ETFE、PVDF)、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、エチレンビニルアセテート、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体が使用できる。樹脂材料には、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体が使用できる。樹脂材料には、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体が使用できる。樹脂材料には、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体が使用できる。樹脂材料には、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ブチル樹脂、アクリル酸エチル樹脂が使用できる。樹脂材料には、アクリル酸ブチル樹脂、変性アクリル樹脂(シリコン変性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂変性アクリル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂等)、酸化アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体が使用できる。樹脂材料には、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンが使用できる。樹脂材料には、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂及びポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂が使用できる。樹脂材料には、ポリイミド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂、変性ポリカーボネートが使用できる。樹脂材料としては、前述の樹脂材料等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではない。
【0028】
また、弾性材料(弾性材ゴム、エラストマー)には、ブチルゴム、フッ素系ゴム、アクリルゴム、EPDM、NBR、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴムが使用できる。弾性材料(弾性材ゴム、エラストマー)には、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンターポリマー、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴムが使用できる。弾性材料(弾性材ゴム、エラストマー)には、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エピクロロヒドリン系ゴム、リコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、水素化ニトリルゴムが使用できる。弾性材料(弾性材ゴム、エラストマー)には、熱可塑性エラストマー(例えばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリエステル系、フッ素樹脂系)が使用できる。弾性材料(弾性材ゴム、エラストマー)には、前述の弾性材料(弾性材ゴム、エラストマー)等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではないことは当然である。
【0029】
上記樹脂材料や弾性材料には、抵抗値調節用導電剤が添加される。この抵抗値調節用導電剤は特に制限はない。抵抗値調節用導電剤には、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化錫、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化インジウムは、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の絶縁性微粒子を被覆したものでもよい。抵抗値調節用導電剤には、例えば、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)は、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の絶縁性微粒子を被覆したものでもよい。抵抗値調節用導電剤には、例えば、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物、導電性金属酸化物は、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の絶縁性微粒子を被覆したものでもよい。ただし、上記導電剤に限定されるものではない。
【0030】
また、表面に導電性を付与する方法として金属、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン、酸化チタン、SUS、酸化錫等又はそれらの合金を蒸着する方法がある。またそれらの金属を薄膜化し、上記樹脂材料や弾性材料にそれら金属の薄膜を全面または一部に貼り付けてもよい。ただし、蒸着や貼り付ける金属は上記に限定されるものではない。
【0031】
上記材料をシート形状に加工する手段に制限はないが、圧延、押し出し、射出成形、遠心成形、繊維状の樹脂を織る、繊維状の樹脂をシート状に接着、塗布法等によって作成されるものとする。なお、ここでは、帯電器シャッタ10には、厚み30μmの導電性ポリイミドが用いられている。画像形成動作が終了し、感光体ドラム1の回転が停止すると、帯電器シャッタ10の開閉が開始される。ここで、このような帯電器シャッタ10を遮蔽位置S及び退避位置Tに移動可能な帯電器シャッタ駆動装置(以下、駆動装置32という)に関して説明する。駆動装置32は、移動部材32a及び搬送部材32b、回転部材であるリードスクリュー2d、並びに、リードスクリュー2dを回転させるシャッタ駆動モータ31を備える。移動部材32aは、1次帯電器2の長手方向と平行に延びるリードスクリュー2dに対して、リードスクリュー2dの軸方向に移動可能に取り付けられている。搬送部材32bは、移動部材32aに固定されていて、移動部材31aと一体的に移動するようになっている。
【0032】
また、1次帯電器2の長手方向の一端側には、『巻取り手段』である巻取り装置52が配置されている。前述の帯電器シャッタ10は、一端側が巻取り装置52に取り付けられ、他端側が搬送部材32bの下端に取り付けられている。したがって、『巻取り手段』である巻取り装置52が帯電器シャッタ10の退避位置Tで帯電器シャッタ10をロール状に巻き取ると、帯電器シャッタ10は、遮蔽位置Sから退避位置Tへと移動するようになっている。
【0033】
さらに、リードスクリュー2dはスパイラル状の溝を有する。シャッタ駆動モータ31の駆動でリードスクリュー2dが回転すると、移動部材32aが、スパイラル状の溝に沿って一端側から他端側へと駆動する。このときに、移動部材32aは、1次帯電器2に付随するレール2cに沿って駆動する。移動部材32aが駆動を開始すると、帯電器シャッタ10は、移動部材32aが1次帯電器2の一端側から他端側へと駆動するのに同期して、1次帯電器2と感光体ドラム1の間に挿入される仕組みとなっている。帯電器シャッタ10が開く場合はシャッタ駆動モータ31が逆回転することで同様に駆動することができる。
【0034】
図3(b)は、1次帯電器2及び帯電器シャッタ10の構成を示す断面図である。図3(b)は、図3(a)のA−A線に沿う断面図に相当する。図3(b)に示されるように、帯電器シャッタ10は、搬送部材32bの下端の形状に従うため、1次帯電器2の下端の形状に沿う形で挿入される。このとき、帯電器シャッタ10は、1次帯電器2との隙間から、放電生成物が漏れにくい状態を保持したいため、帯電器シャッタ10は所定のテンションを張った状態で、1次帯電器2の下端部に沿う形で開閉動作を行える構成であることが望ましい。次に、帯電器シャッタ10の開閉動作の完了を検知する手段に関して説明する。
【0035】
図4(a)及び図4(b)は、駆動装置32の構成及び動作を示す側面図である。図4(a)に示す場合には、帯電器シャッタ10が遮蔽位置Sにある。図4(b)に示す場合には、帯電器シャッタ10が退避位置Tにある。図4(a)及び図4(b)に示されるように、シャッタ駆動モータ31の駆動によってリードスクリュー2dが回転すると、移動部材32aが移動し、帯電器シャッタ10が開閉する。電源ON時や、スリープ時からコピー動作開始時になると、帯電器シャッタ10を退避位置Tへと移動する「シャッタ開」動作を開始する(図4(a)から図4(b)の状態へ移行))。電源OFF時や、スタンバイモード時になると帯電器シャッタ10を遮蔽位置Sへと移動する「シャッタ閉」動作を開始する(図4(b)から図4(a)の状態へ移行)。
【0036】
図4(c)は、1次帯電器2、帯電器シャッタ10、端子33、コントローラ50、ユーザインターフェース60の構成の概略を示す側面図である。図5その他の図中で「UI」との記載は、ユーザインターフェース60を意味する。図4(c)に示されるように、端子33は、帯電器シャッタ10が巻き取られて円柱状になった側面の平面状の部位に対向して配置されている。実際には、巻取り装置52は、金属性の中実又は中空の円筒部30a(図5(a)〜(c)参照)、及び、その端面に円板状の金属板部30b(図5(a)〜(c)参照)を有するボビン状の巻取部材30を備えている。そして、端子33は、その金属板部30bに接触するように配置されている。帯電ワイヤ2eから放電された電荷は、帯電器シャッタ10を帯電させ、端子33を介してコントローラ50の電流検知部50aへと流れ、電流検知部50aが電流値を検知する。そして、コントローラ50は、電流値を解析し、帯電器シャッタ10の駆動を判断する。コントローラ50はアースされている。放電された電荷であるために、電圧ではなく、電流で検知する。
【0037】
コントローラ50は、帯電器シャッタ10の導電性部10c1(図5(a)参照)を流れる電流を検知する『電流検知手段』である電流検知部50aを有する。この場合には、端子33は、帯電器シャッタ110(図9参照)の導電性部であるアルミ蒸着部110cを流れる電流をコントローラ50の電流検知部50aで検知するための端子として用いられる。また、コントローラ50は、帯電器シャッタ10の導電性部の電圧を検知する『電圧検知手段』である電圧検知部50bを有する。この場合には、端子33は、実施例2で後述する帯電器シャッタ110の『導電性部』であるアルミ蒸着部110c(図9(b)参照)に印加される電圧をコントローラ50の電圧検知部50bで検知するための端子として用いられる。そして、コントローラ50は、電流検知部50aで検知した電流値又は電圧検知部50bで検知した電圧値に基づいて、帯電器シャッタ10の駆動状態又は異常状態を判断する。前述したのは、このうちの電流の検知による帯電器シャッタ10の動作である。また、図4(c)中で破線で示されているアルミ薄膜接着部110bは、実施例1で設けられていなくても良く、実施例2で設けられる部材である。
【0038】
図5(a)は、帯電器シャッタ10の構成を示す平面図である。図5(a)に示されるように、帯電器シャッタ10は、一端部側が巻取部材30で巻き取られている。また、帯電器シャッタ10は、他端部側に搬送部材32bに接着される接着部10dを有する。そして、帯電器シャッタ10の1次帯電器2の側の面には、樹脂部10aの表面の全面に導電性を有する導電性部10c1が設けられている。この導電性部10c1は巻取部材30に接触した状態になっており、導通されている。なお、前述の導電性部10c1は、アルミが蒸着されたアルミ蒸着部でも良い。
【0039】
図5(b)は、帯電器シャッタ10の構成を示す裏面図である。図5(b)に示されるように、帯電器シャッタ10の感光体ドラム1の側の面には、樹脂部10aで構成されており、導電性部10c1が設けられていない。
【0040】
図5(c)は、帯電器シャッタ10の変形例の構成を示す平面図である。図5(c)に示されるように、帯電器シャッタ10の1次帯電器2の側の面には、樹脂部10aの表面で帯電器シャッタ10の開閉方向と直交する方向の端部側に導電性を有する導電性部10c2が設けられており、樹脂部10aの全面に設けられていなくても良い。導電性部10c2は、帯電器シャッタ10の開閉方向に延びる。このように、帯電器シャッタ10の1次帯電器2の側の面には、導電性を有する導電性部10c2が樹脂部10aの一部に設けられる構成であっても良い。なお、図示しないが、帯電器シャッタ10の感光体ドラム1の側の面にも、導電性部が設けられても良い。
【0041】
図5(d)は、帯電器シャッタ10に流れる電流、及び、帯電器シャッタ10の位置の関係を示すグラフである。図5(d)に示されるように、帯電器シャッタ10が遮蔽位置Sに配置される場合には、帯電器シャッタ10を流れる電流値が高い。また、帯電器シャッタ10が退避位置Tに配置される場合には、帯電器シャッタ10を流れる電流値が低い。例えば、ここで、帯電器シャッタ10が遮蔽位置Sから退避位置Tへと移行する過程を想定する。コントローラ50は、帯電器シャッタ10の開動作を開始して所定時間経過後に、帯電ワイヤ2eに所定の電圧値の電圧を印加して放電を開始する。このときに、帯電器シャッタ10は、完全には開ききらない状態であり、端子33から搬送部材32bまでに亘る帯電器シャッタ10の長さは長い状態となっている。したがって、帯電器シャッタ10が1次帯電器2から受ける電荷が多くなる。コントローラ50は、帯電器シャッタ10のロールの端部に接した金属板部30bと端子33を介して電流検知部50aにて流入する電流を大きい値で検知する。その後、コントローラ50は、帯電器シャッタ10が開ききると想定される所定時間経過後に、再度、帯電ワイヤ2eに所定の電圧を印加する。このときに、帯電器シャッタ10が完全に開ききった状態であれば、端子33から搬送部材32bまでに亘る帯電器シャッタ10の長さは短い状態となっている。したがって、帯電器シャッタ10が1次帯電器2から受ける電荷が少なくなる。コントローラ50は、帯電器シャッタ10のロールの端部に接した金属板部33bと端子33を介して電流検知部50aにて流入する電流が無いと検知する。このように、コントローラ50は、帯電器シャッタ10を通して電流を検知できない場合には、帯電器シャッタ10が開いた(退避位置Tにある)と判断し、帯電器シャッタ10の開動作を終了して、次の制御に移行する。
【0042】
図6(a)は、コントローラ50の制御工程を示すフローチャートである。コントローラ50は、電源ON又はコピースタートされると制御を開始する(ステップ1、以下、「ステップ」を「S」と表現する。S1)。コントローラ50は、帯電器シャッタ10の「開」動作を開始し(S2)、帯電電圧を印加する(S3)。コントローラ50は、電流が一定値以上であるか否かを判断する(S4)。コントローラ50は、S4の判断の結果、YESの場合には、帯電電圧をOFFに設定してから(S5)、所定時間経過後に、再び帯電電圧を印加する(S6)。S5からS6の制御工程の間も、帯電器シャッタ10は「開」動作を続行している。コントローラ50は、S4の判断の結果、NOの場合には、帯電電圧をOFFに設定して(S7)、2回目の電流が一定値以上であるか否かの判断をする(S8)。コントローラ50は、S8の判断の結果、YESの場合には、リトライし(S9)、NOの場合には、S2の制御工程へと戻る。
【0043】
コントローラ50は、S6の制御工程の後に、電流が一定値以下であるか否かを判断する(S10)。コントローラ50は、S10の判断の結果、YESの場合には、帯電電圧をOFFに設定して(S11)、帯電器シャッタ10の「開」動作を終了する(S12)。コントローラ50は、S10の判断の結果、NOの場合(一定値以上の電流が検知される場合)には、以下のように制御する(S13)。すなわち、コントローラ50は、帯電ワイヤ2eへの電圧の印加は継続したまま、開き動作を継続し、帯電器シャッタ10を流れる電流を検知し続け、所定時間経過後に電流が一定値以下であるか否かを判断する(S13)。
【0044】
コントローラは、S13の判断の結果、YESの場合には帯電電圧をOFFに設定し(S14)、帯電器シャッタ10の「開」動作を終了する(S12)。コントローラは、S13の判断の結果、NOの場合には帯電電圧をOFFに設定し(S15)、リトライする(S9)。
【0045】
図6(b)は、リトライの場合に、コントローラ50の制御工程を示すフローチャートである。コントローラ50は、リトライを開始する(S21)。コントローラ50は、帯電器シャッタ10の「閉」動作を開始し(S22)、所定時間経過後に、帯電器シャッタ10の「開」動作を開始する(S23)。コントローラ50は、帯電電圧を印加する(S24)。そして、コントローラ50は、電流が一定値以下であるか否かを判断する(S25)。コントローラ50は、S25の判断の結果、YESの場合には、帯電電圧をOFFに設定して(S26)、帯電器シャッタ10の「開」動作を終了する(S27)。コントローラ50は、S25の判断の結果、NOの場合(一定値以上の電流が検知される場合)には、帯電電圧をOFFに設定して(S28)、ユーザインターフェース60にサービスコールを表示する(S29)。
【0046】
図7は、コントローラ50の制御工程を示すフローチャートである。コントローラ50は、画像形成動作が終了後、ユーザが電源をOFFしたか、スタンバイモードへの突入時間に入るかした時点で(S31)、帯電器シャッタ10の「閉」動作を開始する(S32)。コントローラ50は、帯電器シャッタ10の「閉」動作を開始後の所定時間後に帯電ワイヤ2eに帯電電圧を印加して放電を開始する(S33)。
【0047】
コントローラ50は、帯電器シャッタ10に流れる電流が一定値以上であるか否かを判断する(S34)。なお、前述の図5(d)によれば、電流が高い場合には帯電器シャッタ10が閉じており、電流が低い場合には帯電器シャッタ10が開いている。
【0048】
コントローラ50は、S34の判断の結果、YESの場合には、帯電電圧をOFFに設定して(S35)、帯電器シャッタ10が閉まったと想定される所定時間後に再び帯電ワイヤ2eに帯電電圧を印加することで放電を開始する(S36)。コントローラ50は、S34の判断の結果、NOの場合には、値を保存する(S37)。
【0049】
コントローラ50は、S36の制御工程の後に、帯電器シャッタ10を流れる電流値がS34で検知した電流値の所定倍以下であるか否かを判断する(S38)。コントローラ50は、S38の判断の結果、YESの場合には、帯電器シャッタ10が閉じたと判断して帯電電圧をOFFに設定し(S39)、帯電器シャッタ10の「閉」動作を終了する(S40)。コントローラ50は、S38の判断の結果、NOの場合には、帯電電圧をOFFに設定し(S41)、リトライ動作に移る(S42)。
【0050】
図8は、コントローラ50のリトライ動作の制御工程を示すフローチャートである。コントローラ50は、リトライ動作を開始する(S51)。コントローラ50は、帯電器シャッタ10の「閉」動作を開始し(S52)、帯電電圧を印加する(S53)。そして、コントローラ50は、帯電器シャッタ10を流れる電流を検知し、検知した電流値がS38で検知された電流値以下であるか否かを判断する(S54)。
【0051】
コントローラ50は、S54の判断の結果、YESの場合には、帯電器シャッタ10の動作は正常と判断して帯電電圧をOFFに設定し(S55)、帯電器シャッタ10の「閉」動作を開始する(S56)。コントローラ50は、所定時間以後、帯電電圧を印加する(S57)。コントローラ50は、S54の判断の結果、NOの場合には、帯電電圧をOFFに設定し(S58)、ユーザインターフェース60にサービスコールを表示する(S59)。
【0052】
コントローラ50は、S57の制御工程の後に、検知した電流値が所定値以上であるか否かを判断する(S60)。コントローラ50は、S60の判断の結果、YESの場合には、帯電電圧をOFFに設定して(S61)、所定時間経過後に帯電電圧を印加する(S62)。なお、S61からS62への制御工程の間にも、帯電器シャッタ10は「閉」動作を続行している。コントローラ50は、S60の判断の結果、NOの場合には、帯電電圧をOFFに設定して(S58)、ユーザインターフェース60にサービスコールを表示する(S59)。コントローラ50は、S60の判断をすると、YESの場合でもNOの場合でも値を保存する(S63)。
【0053】
コントローラ50は、S62の制御工程の後に、検知した電流値がS60の制御工程で検知した電流値の所定倍以上であるか否かを判断する(S64)。コントローラ50は、S64の判断の結果、YESの場合には、帯電電圧をOFFに設定して帯電ワイヤ2eへの電圧印加を停止し(S65)、帯電器シャッタ10が閉じたと判断し、帯電器シャッタ10の「閉」動作を終了する(S66)。コントローラ50は、S64の判断の結果、NOの場合には、グリッド電圧をOFFに設定し(S67)、ユーザインターフェース60にサービスコールを表示する(S68)。このように、帯電器シャッタ10に流入する電流を検知することで、帯電器シャッタ10の開閉動作の完了を検知することができる。
【実施例2】
【0054】
図9(a)は、実施例2に係る画像形成装置が備える帯電器シャッタ110の構成を示す平面図である。図9(a)は、1次帯電器2の方から見た帯電器シャッタ110の構成を示す。実施例2の帯電器シャッタ110の構成のうち実施例1の帯電器シャッタ10と同一の構成及び効果に関しては、同一の符号を用いて説明を適宜省略する。実施例2においても、実施例1と同様の画像形成装置100に適用することができるため、画像形成装置の説明は省略する。実施例2の帯電器シャッタ110が実施例1の帯電器シャッタ10と異なる点は、実施例2では、画像形成装置は、帯電器シャッタ110に印加されるグリッド電圧の電圧値に基づいて、帯電器シャッタ110の開閉状態を判断する点である。また、実施例2では、帯電器シャッタ110は、一部にのみ導電性を有する部材が用いられている点である。
【0055】
図9(a)に示されるように、帯電器シャッタ110は、樹脂で形成された樹脂部110a(PIシート)を有する。この樹脂部110aは、特に、1次帯電器2の側の面は導電性を有しない材質で形成される。そして、帯電器シャッタ110は、樹脂部110aの一端部側が巻取部材30に巻き取られている。また、帯電器シャッタ110は、樹脂部110aの他端部側に、アルミ薄膜接着部110bを有し、それよりも端部側の接着部110dが搬送部材32bに接着されている。
【0056】
図9(b)は、帯電器シャッタ110の構成を示す裏面図である。図9(b)は、感光体ドラム1の方から見た帯電器シャッタ110の構成を示す。図9(b)に示されるように、帯電器シャッタ110は、感光体ドラム1の面側にアルミ薄膜を蒸着した検知用導線であるアルミ蒸着部110cを有する。アルミ蒸着部110cは、樹脂部110aにおける感光体ドラム1の面側で、樹脂部110aにおける帯電器シャッタ110の開閉方向の端部側で巻取部材30の側からアルミ薄膜接着部110bへと線状(帯状)に延びる導線である。すなわち、アルミ蒸着部110cは、帯電器シャッタ110の開閉方向へと延びる。このように、帯電器シャッタ110は、一部のみに導電性を有している。また、アルミ蒸着部110cと繋がる『導電性部』であるアルミ薄膜接着部110bは、1次帯電器2に対する対向面から感光体ドラム1に対する対向面にかけて導通を取れるように樹脂部110aに設けられている。なお、図示しないが、帯電器シャッタ110の感光体ドラム1の側の面には、アルミ蒸着部110cが樹脂部110aの全面に亘って設けられても良い。なお、アルミ蒸着部110cの最も一端部の側の巻取部材30の円筒部30aに固定される部位は、樹脂部110aの1次帯電器2の側にまでわずかに所定寸法だけ延びており、円筒部30aと導通可能となっている。
【0057】
ここで、図4(c)を参照しつつ、帯電器シャッタ110に印加される電圧を検知する構成に関して説明する。帯電器シャッタ110が遮蔽位置Sに配置される場合には、帯電器シャッタ110の導電性部の一部であるアルミ薄膜接着部110bは、グリッドワイヤ2aに接触できないようになっている。また、帯電器シャッタ110が退避位置Tに配置される場合には、帯電器シャッタ110の導電性部の一部であるアルミ薄膜接着部110bは、グリッドワイヤ2aに接触できないようになっている。しかしながら、帯電器シャッタ110が遮蔽位置S及び退避位置Tの間にある場合には、帯電器シャッタ110の導電性部の一部であるアルミ薄膜接着部110bは、グリッドワイヤ2aに接触できるようになっている。この場合に、帯電器シャッタ110からロールの端部に接した金属板部30bとそれに接触する端子33を介して、コントローラ50の電圧検知部50bは帯電器シャッタ110に印加される電圧を検知する。
【0058】
図9(c)は、帯電器シャッタ110に印加されるグリッド電圧、及び、帯電器シャッタ110の位置の関係を示すグラフである。図9(c)に示されるように、電圧検知部50bは、帯電器シャッタ110が退避位置T及び遮蔽位置Sに配置されるときに、帯電器シャッタ110に印加される電圧が0Vであると検知する。また、電圧検知部50bは、帯電器シャッタ110が退避位置T及び遮蔽位置Sの間に配置されるときに、帯電器シャッタ110に印加される電圧が所定の電圧値で検知される。
【0059】
図10(a)は、帯電器シャッタ110を開動作するコントローラ50の制御工程を示すフローチャートである。実施例1の場合と同様に、コントローラ50は、電源ON時、または、スリープ時からコピー動作開始時になる(S71)と、帯電器シャッタ110の「開」動作を開始する(S72)。コントローラ50は、帯電器シャッタ110の「開」動作の開始後、所定時間経過後に、グリッドワイヤ2aにグリッド電圧を所定の電圧で印加し(S73)、帯電器シャッタ110の「開」動作を確認する(S74)。
【0060】
コントローラ50は、グリッド電圧が一定値以上であるか否かを判断する(S74)。コントローラ50は、S74の判断の結果、YESの場合には、グリッド電圧をOFFに設定し(S75)、次に帯電器シャッタ110が閉まりきると想定される所定時間経過後に、再びグリッドワイヤ2aにグリッド電圧を所定の電圧で印加する(S76)。コントローラ50は、S74の判断の結果、NOの場合には、グリッド電圧をOFFに設定し(S77)、2回目にグリッド電圧が一定値以上であるか否を判断する(S78)。コントローラ50は、S78の判断の結果、YESの場合には、リトライし(S79)、NOの場合には、S72の制御工程に戻る。
【0061】
コントローラ50は、S76の工程の後は、グリッド電圧が一定値以下か否かを判断する(S80)。コントローラ50は、S80の判断の結果、YESの場合には、以下のように制御する(S81、S82)。すなわち、コントローラ50は、帯電器シャッタ110を通して電圧が検知できなければ帯電器シャッタ110が開いたと判断し、グリッド電圧をOFFに設定し(S81)、帯電器シャッタ110の開動作を終了し(S82)、次の制御に移行する。コントローラ50は、S80の判断の結果、NOの場合(電圧が一定値以上検知される場合)には、グリッドワイヤ2aへの電圧の印加は継続したまま、開き動作を継続する。コントローラ50では帯電器シャッタ110を流れる電圧を検知し続け、所定時間経過後に、グリッド電圧が一定値以下か否かを判断する(S83)。
【0062】
コントローラ50は、S83の判断の結果、YESの場合には、グリッド電圧をOFFに設定し(S84)、帯電器シャッタ110の「開」動作を終了する(S82)。コントローラ50は、S83の判断の結果、NOの場合(所定時間以内に帯電器シャッタ110に印加される電圧が無くならない場合)には、グリッド電圧をOFFに設定し(S85)、リトライする(S79)。後述するが、リトライ動作では、帯電器シャッタ110の閉じ動作の後に、帯電器シャッタ110の開き動作を実施する。
【0063】
図10(b)は、コントローラ50がリトライする場合の制御工程を示すフローチャートである。もし、リトライ動作の後に電圧が検知された場合、グリッドワイヤ2aへの電圧印加を中止し、ユーザインターフェース60にサービスコールを要請する表示を行う。図10(b)を参照しつつ、以下、具体的に説明する。コントローラ50は、リトライを開始する(S91)。コントローラ50は、帯電器シャッタ110の閉動作を開始し(S92)、所定時間経過後に、帯電器シャッタ110の開動作を開始する(S93)。コントローラ50は、グリッド電圧を印加する(S94)。
【0064】
コントローラ50は、グリッド電圧が一定値以下であるか否かを判断する(S95)。コントローラ50は、S95の判断の結果、YESの場合(帯電器シャッタ110を通して電圧が検知できない場合)には、帯電器シャッタ110が開いたと判断して、グリッド電圧をOFFに設定し(S96)、帯電器シャッタ110の開動作を終了する(S97)。コントローラ50は、S95の判断の結果、NOの場合には、グリッド電圧をOFFに設定し(S98)、ユーザインターフェース60にサービスコールを表示する(S99)。
【0065】
図11は、帯電器シャッタ110を閉動作するコントローラ50の制御工程を示すフローチャートである。図11に示されるように、コントローラ50は、画像形成動作が終了後、スタンバイモードに突入時間に突入、または、ユーザが電源をOFFした時点で(S101)、帯電器シャッタ110の「閉」動作を開始する(S102)。そして、コントローラ50は、帯電器シャッタ110の「閉」動作を開始後、所定時間後にグリッドワイヤ2aにグリッド電圧を印加する(S103)。
【0066】
コントローラ50は、帯電器シャッタ110に印加されるグリッド電圧を検知し、その電圧が一定値以上であるか否かを判断する(S104)。コントローラ50は、S104の判断の結果、YESの場合には、グリッド電圧をOFFに設定し(S105)、帯電器シャッタ110が閉まったと想定される所定時間後に再度、グリッドワイヤ2aにグリッド電圧を印加する(S106)。コントローラ50は、S104の判断の結果、NOの場合には、グリッド電圧をOFFに設定し(S111)、リトライする(S112)。コントローラ50は、S104の判断の結果、YESの場合でもNOの場合でも、値を保存する(S107)。
【0067】
コントローラ50は、S106の制御工程又はS107の制御工程の後に、検知した電圧値がS104で検知した電圧値の所定倍以下であるか否かを判断する(S108)。コントローラ50は、S108の判断の結果、YESの場合には、グリッド電圧をOFFに設定し(S109)、帯電器シャッタ110の「閉」動作を終了する(S110)。コントローラ50は、S108の判断の結果、NOの場合には、グリッド電圧をOFFに設定し(S111)、リトライする(S112)。
【0068】
図12は、コントローラ50がリトライする場合の制御工程を示すフローチャートである。この時、所定の値が得られない場合にリトライモードを実施する。「シャッタ開」動作を実施し、退避状態に戻る。再度一連の動作を実行し、完了すれば帯電器シャッタ110が閉じたと判断し、「シャッタ閉」動作を終了する。異常がある場合はユーザインターフェース60にサービスコールを要請する表示を行う。図12を参照しつつ、以下、具体的に説明する。コントローラ50は、リトライを開始する(S121)。コントローラ50は、帯電器シャッタ110の開動作を開始する(S122)。コントローラ50は、グリッド電圧を印加する(S123)。
【0069】
コントローラ50は、グリッド電圧が一定値以下であるか否かを判断する(S124)。コントローラ50は、S124の判断の結果、YESの場合には、グリッド電圧をOFFに設定し(S125)、帯電器シャッタ110の閉動作を開始して(S126)、グリッド電圧を印加する(S127)。コントローラ50は、S124の判断の結果、NOの場合には、グリッド電圧をOFFに設定し(S128)、ユーザインターフェース60にサービスコールを表示する(S129)。
【0070】
コントローラ50は、S127の工程の後に、グリッド電圧値が所定値以上であるか否かを判断する(S130)。コントローラ50は、S130の判断の結果、YESの場合には、グリッド電圧をOFFに設定し(S131)、所定時間経過後にグリッド電圧を印加する(S132)。S131からS132への制御工程の間にも、帯電器シャッタ110は「閉」動作を続行している。コントローラ50は、S130の判断の結果、NOの場合には、グリッド電圧をOFFに設定し(S128)、ユーザインターフェース60にサービスコールを表示する(S129)。コントローラ50は、S130の判断でYESの場合もNOの場合も検知した値を保存する(S133)。
【0071】
コントローラ50は、グリッド電圧を印加した後(S132)で、値を保存した後(S133)、電圧値がS130で検知した電圧値の所定倍以下であるか否かを判断する(S134)。コントローラ50は、S134の判断の結果、YESの場合には、グリッド電圧をOFFに設定し(S135)、帯電器シャッタ110の閉動作を終了する(S136)。コントローラ50は、S134の判断の結果、NOの場合には、グリッド電圧をOFFに設定し(S137)、ユーザインターフェース60にサービスコールを表示する(S138)。
【0072】
実施例1の構成によれば、帯電器シャッタ10の材質が導電性を有し、コントローラ50が、1次帯電器2に印加するバイアスで発生した帯電器シャッタ10を流れる電流値に基づいて、帯電器シャッタ10の駆動状態又は異常状態を判断する。実施例2の構成によれば、コントローラ50は、1次帯電器2に印加するバイアスで帯電器シャッタ110に印加される電圧に基づいて、帯電器シャッタ110の駆動状態又は異常状態を判断する。その結果、実施例1又は実施例2の構成によれば、帯電器シャッタ10、110の開閉が従来よりも確実に判断される。
【0073】
なお、前述したように、実施例1では、帯電器シャッタ10の全部が導電性を有し、実施例2では、帯電器シャッタ110の一部が導電性を有していた。このように、帯電器シャッタ10、110の一部又は全部が導電性を有しても良い。なお、帯電器シャッタ10の抵抗は1×10−7Ω以下であると良い。
【符号の説明】
【0074】
1 感光体ドラム(像担持体)
2 1次帯電器(帯電手段)
10 帯電器シャッタ(シャッタ)
10c1 導電性部
50 コントローラ
50a 電流検知部(電流検知手段)
50b 電圧検知部(電圧検知手段)
52 巻取り装置(巻取り手段)
100 画像形成装置
110 帯電器シャッタ(シャッタ)
110c アルミ蒸着部(導電性部)
S 遮蔽位置
T 退避位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電器を有する複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真画像形成プロセスが用いられる画像形成装置では、感光体ドラムの表面を所定の極性及び電位で一様に帯電する1次帯電器が用いられている。この1次帯電器には、コロナ帯電器が用いられることがある。コロナ帯電器は、動作時にオゾンO3や窒素酸化物NOX等のコロナ生成物を生成する。これらのコロナ生成物が放電エネルギー及び大気中のガス及び水分等に作用し、窒素化合物、アルデヒド基、カルボキシル基等の親水性の化合物が感光体ドラムの表面に付着する。感光体ドラムに付着した化合物質は、大気中の水分を吸湿する。その結果、感光体ドラムの表面抵抗が低下してしまい、静電像が欠落する、いわゆる「画像流れ」が引き起こされる場合がある。この「画像流れ」を抑制するために、1次帯電器を長期間停止するときに、1次帯電器及び感光体ドラムの間に帯電器シャッタを挿入する特許文献1に記載の発明が開示される。こうした構成によれば、帯電器シャッタによって、1次帯電器から感光体ドラムの表面にコロナ生成物が付着することが抑制される。
【0003】
一方、特許文献1に記載の発明では、帯電器シャッタは、1次帯電器及び感光体ドラムの間に挿入されたり、1次帯電器及び感光体ドラムの間から退避したりするが、挿入及び退避の方向は、感光体ドラムの軸と直交する感光体ドラムの接線方向である。これに対して、帯電器シャッタの挿入及び退避の方向が感光体ドラムの軸方向と平行な方向に設定された構成も考えられる。この場合に、帯電器シャッタの一端部に、帯電器シャッタを退避するために巻き取る巻取り装置を設け、帯電器シャッタの他端部に、帯電器シャッタを挿入するために引張り装置を設ける構成が考えられる。帯電器シャッタが挿入されているか退避しているかは、例えば、引張り装置が感光体ドラムの軸方向でどの位置に来ているかを位置検知センサによって検知することで判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−072212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前述の位置検知センサで帯電器シャッタ(以下、シャッタという場合がある)の位置を検知する構成では、シャッタが破断した場合であっても、引張り装置及び巻取り装置が動作し続けることができてしまう。このために、シャッタが破断したことをコントローラが判断することは困難である。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑み、シャッタの破断を従来よりも確実に判断することができる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、像担持体と、前記像担持体の表面を帯電する帯電手段と、前記像担持体及び前記帯電手段の間に挿入されて前記像担持体から前記帯電手段を遮蔽する遮蔽位置、並びに、前記像担持体及び前記帯電手段の間から退避して前記像担持体及び前記帯電手段の間を開放する退避位置を取るシート状のシャッタと、前記シャッタの退避位置で前記シャッタをロール状に巻き取る巻取り手段と、前記シャッタの導電性部を流れる電流値を検知する電流検知部、又は、前記シャッタの前記導電性部に印加される電圧値を検知する電圧検知部を有し、前記電流検知部が検知した電流値又は前記電圧検知部が検知した電圧値に基づいて、前記シャッタの駆動状態又は異常状態を判断するコントローラと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、シャッタの材質が導電性を有し、コントローラが、帯電器に印加するバイアスにより発生したシャッタを流れる電流値又はシャッタに印加される電圧値に基づいてシャッタの駆動状態又は異常状態を判断する。その結果、シャッタの状態が従来よりも確実に判断される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例1に係る画像形成装置の構成を示す断面図等である。
【図2】感光体ドラムの構成を示す断面図等である。
【図3】1次帯電器、感光体ドラム及び帯電器シャッタの構成を示す側面図等である。
【図4】駆動装置の構成及び動作を示す側面図等である。
【図5】帯電器シャッタの構成を示す平面図等である。
【図6】コントローラの制御工程を示すフローチャートである。
【図7】コントローラの制御工程を示すフローチャートである。
【図8】コントローラの制御工程を示すフローチャートである。
【図9】実施例2に係る画像形成装置が備える帯電器シャッタの構成を示す平面図等である。
【図10】コントローラの制御工程を示すフローチャートである。
【図11】コントローラの制御工程を示すフローチャートである。
【図12】コントローラの制御工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、この発明を実施するための形態を実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対位置等は、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるから、特に特定的な記載が無い限りは、発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の実施例1に係る画像形成装置100の構成を示す断面図である。画像形成装置100は、電子写真画像形成プロセスを利用した電子写真方式のレーザプリンタ等の画像形成装置である。図1に示されるように、画像形成装置100は画像形成装置本体(以下、単に『装置本体』という)100Aを有し、この装置本体100Aの内部には、画像を形成する画像形成部51が設けられる。画像形成部51は、『像担持体』である感光体ドラム1、『転写装置』である転写ローラ5等を含む。少なくとも感光体ドラム1については、プロセスカートリッジに含まれ、プロセスカートリッジとして装置本体100Aに組み込まれる構成となっていても良い。
【0012】
画像形成装置100は、矢印方向(時計方向)に回転駆動される『像担持体』である感光体ドラム1を備えている。感光体ドラム1の周囲には、感光体ドラム1の回転方向に沿って各種の内部機器すなわち1次帯電器2、感光体ドラム1の表面電位を測定する電位センサ7、現像装置4、転写前帯電器6、転写ローラ5、クリーニング装置8、除電露光ランプ9が配設される。『帯電手段』である1次帯電器2は、感光体ドラム1の表面を帯電する。1次帯電器2の上方には露光装置3が配置される。そして、露光装置3は、1次帯電器2及び現像装置4の間の上方から感光体ドラム1に向かって画像露光Lを付与する。また、転写材P(用紙)の搬送方向(矢印方向)に対して転写ローラ5の下流側には定着器11が配設されている。ここでは、1次帯電器2及び転写前帯電器6がコロナ帯電器である。
【0013】
感光体ドラム1は、直径80mmのa−Si(アモルファスシリコン)であり、駆動装置(不図示)の駆動によって所定の周速度(プロセススピード)で矢印方向(時計方向)に回転駆動される。また、感光体ドラム1の内側にはドラムヒータ20が配設されている。空気中の絶対水分量が一定値以上の環境化では、転写材Pの通過中にドラムヒータ20への通電をONすることによって、ドラムヒータ20は、感光体ドラム1の表面を加熱し、コロナ生成物の感光体ドラム1への付着を防ぐ。なお、コントローラ50は、装置本体100Aの感光体ドラム1その他の各種の内部機器及び内部装置の駆動を制御する。
【0014】
図2(a)は、感光体ドラム1の構成を示す断面図である。図2(a)に示されるように、感光体ドラム1は、導電性材料のアルミニウムからなる円筒状の基体1e上に、阻止層1d、第1光導電層1c、第2光導電層1b及び表面層1aを順次積層して構成されている。第1光導電層1c及び第2光導電層1bは、シリコン原子が水素原子及びハロゲン原子を含むアモルファスシリコン材料を主体にして形成されている。
【0015】
図2(b)は、感光体ドラム1、1次帯電器2及び帯電器シャッタ10の構成を示す斜視図である。図2(b)に示されるように、一般的な感光体ドラム1は円柱状をしており、その表面は曲率を有する。そのため、帯電効率を考えると、1次帯電器2のグリッドワイヤ2aのグリッド面の形状は、極力、感光体ドラム1の曲率に沿った形状であることが望ましい。そのために、1次帯電器2と感光体ドラム1の間に挿入する『遮蔽部材』である『シャッタ』としての帯電器シャッタ10は、図3(a)に示されるように、感光体ドラム1の形状に沿った形状で形成される。そして、帯電器シャッタ10は、感光体ドラム1の長手方向で一端側から他端側まで駆動装置32(図3(a)及び図3(b)参照)を用いて、挿入又は退避する。そして、帯電器シャッタ10を挿入することで、一層の遮蔽効果を期待することができる。
【0016】
この構成を実現するために、更に、退避時のスペースの縮小化を実現するために、ロール状に巻くことが可能なシート形状の帯電器シャッタ10を用いることが望ましい。そして、長期停止時には、帯電器シャッタ10は、長手方向の一端側から他端側へと移動されて、1次帯電器2と感光体ドラム1の間に挿入される(図4(a)参照)。画像形成動作中には、帯電器シャッタ10が1次帯電器の他端側から一端側へと退避してロール状に巻き取られる(図4(b)参照)。
【0017】
次に、図1を参照しつつ、前述の画像形成装置100による画像形成動作について説明する。画像形成時には、感光体ドラム1は駆動装置(不図示)の駆動により矢印方向(時計方向)に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動する。
【0018】
帯電バイアス電源S1は、帯電ワイヤ2eに電圧を印加する電源である。図1中の1次帯電器2のようなスコロトロン帯電器では、帯電バイアスとは帯電ワイヤ2eに印加される電圧である。帯電ワイヤ2eは、放電開始電圧以上に電圧が印加されて放電し、感光体ドラム1に到達した電荷が感光体ドラム1を帯電させる。
【0019】
グリッドバイアス電源S2は、グリッドワイヤ2aに電圧を印加する電源である。また、このスコロトロン帯電器では、グリッドバイアスとはシールド板金とグリッドワイヤ2aに帯電ワイヤ2eと同極性のバイアスで印加される電圧である。コントローラ50は、グリッドワイヤ2aから感光体ドラム1の側に到達する電荷をコントロールする。帯電ワイヤ2eから放電した電荷は帯電ワイヤ2eを中心に同心円上に放射する。しかし、シールド板金とグリッドワイヤ2aが帯電しているために、グリッドバイアス以上の電荷が発生しないと、グリッドワイヤ2aを抜けて電荷が感光体ドラム1に到達しない。これによって、充分に大きな電圧を印加し、放電ムラを防いだ上で必要な帯電量をコントロールすることができる。
【0020】
前述のごとく、1次帯電器2の帯電ワイヤ2eは帯電バイアス電源S1から印加され、1次帯電器2のグリッドワイヤ2aはグリッドバイアス電源S2から印加される。そして、これらのバイアスによって、感光体ドラム1の表面は、所定の極性及び電位に帯電する。そして、帯電された感光体ドラム1の表面に、露光装置3から画像情報に応じた画像露光Lが付与されることにより、感光体ドラム1の表面の電位は画像露光Lされた部分の電位が低下して、入力される画像情報に応じた静電像が形成される。
【0021】
そして、現像装置4により感光体ドラム1の帯電極性と同極性に帯電したトナーを静電像に付着させてトナー像として可視像化する。そして、トナー像が転写前帯電器6によりトナー像の電荷極性をさらに強めた後、所定のタイミングで、転写材Pが感光体ドラム1と転写ローラ5の間で形成された転写ニップNの内部に搬送される。転写材Pが転写ニップNに搬送されたタイミングで、転写バイアス(トナーと逆極性)を転写ローラ5に印加することで、転写材Pの表面にトナー像を転写する。
【0022】
トナー像が転写された転写材Pは、同時に転写ローラ5で搬送装置12にまで搬送され、さらに、搬送装置12により定着器11に搬送される。定着器11に搬送された転写材Pは、加熱されてトナー像が転写材P上に定着された後、外部に排出される。
【0023】
一方、トナー像転写後の感光体ドラム1の表面に残留している転写残トナーはクリーニング装置8によって除去されて回収される。また、感光体ドラム1の表面の残留電荷は除電露光ランプ9で除去され、次の画像形成動作に備える。
【0024】
図3(a)は、1次帯電器2、感光体ドラム1及び帯電器シャッタ10の構成を示す側面図である。図3(a)では、1次帯電器2に設けられた帯電器シャッタ10のみが図示されるが、転写前帯電器6に設けられる帯電器シャッタに関しても同様に構成される。図3(a)に示されるように、『シャッタ』である帯電器シャッタ10は、シート状に形成されている。帯電器シャッタ10は、感光体ドラム1及び1次帯電器2の間に挿入されて感光体ドラム1から1次帯電器2を遮蔽する遮蔽位置S、感光体ドラム1及び1次帯電器2の間から退避して感光体ドラム1及び1次帯電器2の間を開放する退避位置Tを取る。つまり、帯電器シャッタ10は、遮蔽位置S(図4(a)参照)及び退避位置T(図4(b)参照))の何れをも取ることができるようになっている。
【0025】
帯電器シャッタ10は、画像形成動作中は、退避位置Tに配置され、1次帯電器2の一端側でロール状に退避する構成となっている。また、帯電器シャッタ10は、画像形成動作をしない間には、遮蔽位置Sに配置され、1次帯電器2の他端側に搬送部材32bで引っ張られた状態となっている。
【0026】
帯電器シャッタ10の材質としては、感光体ドラム1に接触した際に感光体ドラム1の表面にその成分を付着させないような化学的に安定性がある材質で、またロール状に巻くことが可能な材質である方が好ましい。そこで、帯電器シャッタ10を構成する材料としては樹脂材料、または弾性材料が適当である。金属でも薄膜又は蒸着することに使用が可能である。
【0027】
樹脂材料には、ポリカーボネート、フッ素系樹脂(ETFE、PVDF)、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、エチレンビニルアセテート、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体が使用できる。樹脂材料には、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体が使用できる。樹脂材料には、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体が使用できる。樹脂材料には、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体が使用できる。樹脂材料には、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ブチル樹脂、アクリル酸エチル樹脂が使用できる。樹脂材料には、アクリル酸ブチル樹脂、変性アクリル樹脂(シリコン変性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂変性アクリル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂等)、酸化アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体が使用できる。樹脂材料には、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンが使用できる。樹脂材料には、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂及びポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂が使用できる。樹脂材料には、ポリイミド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂、変性ポリカーボネートが使用できる。樹脂材料としては、前述の樹脂材料等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではない。
【0028】
また、弾性材料(弾性材ゴム、エラストマー)には、ブチルゴム、フッ素系ゴム、アクリルゴム、EPDM、NBR、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴムが使用できる。弾性材料(弾性材ゴム、エラストマー)には、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンターポリマー、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴムが使用できる。弾性材料(弾性材ゴム、エラストマー)には、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エピクロロヒドリン系ゴム、リコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、水素化ニトリルゴムが使用できる。弾性材料(弾性材ゴム、エラストマー)には、熱可塑性エラストマー(例えばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリエステル系、フッ素樹脂系)が使用できる。弾性材料(弾性材ゴム、エラストマー)には、前述の弾性材料(弾性材ゴム、エラストマー)等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではないことは当然である。
【0029】
上記樹脂材料や弾性材料には、抵抗値調節用導電剤が添加される。この抵抗値調節用導電剤は特に制限はない。抵抗値調節用導電剤には、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化錫、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化インジウムは、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の絶縁性微粒子を被覆したものでもよい。抵抗値調節用導電剤には、例えば、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)は、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の絶縁性微粒子を被覆したものでもよい。抵抗値調節用導電剤には、例えば、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物、導電性金属酸化物は、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の絶縁性微粒子を被覆したものでもよい。ただし、上記導電剤に限定されるものではない。
【0030】
また、表面に導電性を付与する方法として金属、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン、酸化チタン、SUS、酸化錫等又はそれらの合金を蒸着する方法がある。またそれらの金属を薄膜化し、上記樹脂材料や弾性材料にそれら金属の薄膜を全面または一部に貼り付けてもよい。ただし、蒸着や貼り付ける金属は上記に限定されるものではない。
【0031】
上記材料をシート形状に加工する手段に制限はないが、圧延、押し出し、射出成形、遠心成形、繊維状の樹脂を織る、繊維状の樹脂をシート状に接着、塗布法等によって作成されるものとする。なお、ここでは、帯電器シャッタ10には、厚み30μmの導電性ポリイミドが用いられている。画像形成動作が終了し、感光体ドラム1の回転が停止すると、帯電器シャッタ10の開閉が開始される。ここで、このような帯電器シャッタ10を遮蔽位置S及び退避位置Tに移動可能な帯電器シャッタ駆動装置(以下、駆動装置32という)に関して説明する。駆動装置32は、移動部材32a及び搬送部材32b、回転部材であるリードスクリュー2d、並びに、リードスクリュー2dを回転させるシャッタ駆動モータ31を備える。移動部材32aは、1次帯電器2の長手方向と平行に延びるリードスクリュー2dに対して、リードスクリュー2dの軸方向に移動可能に取り付けられている。搬送部材32bは、移動部材32aに固定されていて、移動部材31aと一体的に移動するようになっている。
【0032】
また、1次帯電器2の長手方向の一端側には、『巻取り手段』である巻取り装置52が配置されている。前述の帯電器シャッタ10は、一端側が巻取り装置52に取り付けられ、他端側が搬送部材32bの下端に取り付けられている。したがって、『巻取り手段』である巻取り装置52が帯電器シャッタ10の退避位置Tで帯電器シャッタ10をロール状に巻き取ると、帯電器シャッタ10は、遮蔽位置Sから退避位置Tへと移動するようになっている。
【0033】
さらに、リードスクリュー2dはスパイラル状の溝を有する。シャッタ駆動モータ31の駆動でリードスクリュー2dが回転すると、移動部材32aが、スパイラル状の溝に沿って一端側から他端側へと駆動する。このときに、移動部材32aは、1次帯電器2に付随するレール2cに沿って駆動する。移動部材32aが駆動を開始すると、帯電器シャッタ10は、移動部材32aが1次帯電器2の一端側から他端側へと駆動するのに同期して、1次帯電器2と感光体ドラム1の間に挿入される仕組みとなっている。帯電器シャッタ10が開く場合はシャッタ駆動モータ31が逆回転することで同様に駆動することができる。
【0034】
図3(b)は、1次帯電器2及び帯電器シャッタ10の構成を示す断面図である。図3(b)は、図3(a)のA−A線に沿う断面図に相当する。図3(b)に示されるように、帯電器シャッタ10は、搬送部材32bの下端の形状に従うため、1次帯電器2の下端の形状に沿う形で挿入される。このとき、帯電器シャッタ10は、1次帯電器2との隙間から、放電生成物が漏れにくい状態を保持したいため、帯電器シャッタ10は所定のテンションを張った状態で、1次帯電器2の下端部に沿う形で開閉動作を行える構成であることが望ましい。次に、帯電器シャッタ10の開閉動作の完了を検知する手段に関して説明する。
【0035】
図4(a)及び図4(b)は、駆動装置32の構成及び動作を示す側面図である。図4(a)に示す場合には、帯電器シャッタ10が遮蔽位置Sにある。図4(b)に示す場合には、帯電器シャッタ10が退避位置Tにある。図4(a)及び図4(b)に示されるように、シャッタ駆動モータ31の駆動によってリードスクリュー2dが回転すると、移動部材32aが移動し、帯電器シャッタ10が開閉する。電源ON時や、スリープ時からコピー動作開始時になると、帯電器シャッタ10を退避位置Tへと移動する「シャッタ開」動作を開始する(図4(a)から図4(b)の状態へ移行))。電源OFF時や、スタンバイモード時になると帯電器シャッタ10を遮蔽位置Sへと移動する「シャッタ閉」動作を開始する(図4(b)から図4(a)の状態へ移行)。
【0036】
図4(c)は、1次帯電器2、帯電器シャッタ10、端子33、コントローラ50、ユーザインターフェース60の構成の概略を示す側面図である。図5その他の図中で「UI」との記載は、ユーザインターフェース60を意味する。図4(c)に示されるように、端子33は、帯電器シャッタ10が巻き取られて円柱状になった側面の平面状の部位に対向して配置されている。実際には、巻取り装置52は、金属性の中実又は中空の円筒部30a(図5(a)〜(c)参照)、及び、その端面に円板状の金属板部30b(図5(a)〜(c)参照)を有するボビン状の巻取部材30を備えている。そして、端子33は、その金属板部30bに接触するように配置されている。帯電ワイヤ2eから放電された電荷は、帯電器シャッタ10を帯電させ、端子33を介してコントローラ50の電流検知部50aへと流れ、電流検知部50aが電流値を検知する。そして、コントローラ50は、電流値を解析し、帯電器シャッタ10の駆動を判断する。コントローラ50はアースされている。放電された電荷であるために、電圧ではなく、電流で検知する。
【0037】
コントローラ50は、帯電器シャッタ10の導電性部10c1(図5(a)参照)を流れる電流を検知する『電流検知手段』である電流検知部50aを有する。この場合には、端子33は、帯電器シャッタ110(図9参照)の導電性部であるアルミ蒸着部110cを流れる電流をコントローラ50の電流検知部50aで検知するための端子として用いられる。また、コントローラ50は、帯電器シャッタ10の導電性部の電圧を検知する『電圧検知手段』である電圧検知部50bを有する。この場合には、端子33は、実施例2で後述する帯電器シャッタ110の『導電性部』であるアルミ蒸着部110c(図9(b)参照)に印加される電圧をコントローラ50の電圧検知部50bで検知するための端子として用いられる。そして、コントローラ50は、電流検知部50aで検知した電流値又は電圧検知部50bで検知した電圧値に基づいて、帯電器シャッタ10の駆動状態又は異常状態を判断する。前述したのは、このうちの電流の検知による帯電器シャッタ10の動作である。また、図4(c)中で破線で示されているアルミ薄膜接着部110bは、実施例1で設けられていなくても良く、実施例2で設けられる部材である。
【0038】
図5(a)は、帯電器シャッタ10の構成を示す平面図である。図5(a)に示されるように、帯電器シャッタ10は、一端部側が巻取部材30で巻き取られている。また、帯電器シャッタ10は、他端部側に搬送部材32bに接着される接着部10dを有する。そして、帯電器シャッタ10の1次帯電器2の側の面には、樹脂部10aの表面の全面に導電性を有する導電性部10c1が設けられている。この導電性部10c1は巻取部材30に接触した状態になっており、導通されている。なお、前述の導電性部10c1は、アルミが蒸着されたアルミ蒸着部でも良い。
【0039】
図5(b)は、帯電器シャッタ10の構成を示す裏面図である。図5(b)に示されるように、帯電器シャッタ10の感光体ドラム1の側の面には、樹脂部10aで構成されており、導電性部10c1が設けられていない。
【0040】
図5(c)は、帯電器シャッタ10の変形例の構成を示す平面図である。図5(c)に示されるように、帯電器シャッタ10の1次帯電器2の側の面には、樹脂部10aの表面で帯電器シャッタ10の開閉方向と直交する方向の端部側に導電性を有する導電性部10c2が設けられており、樹脂部10aの全面に設けられていなくても良い。導電性部10c2は、帯電器シャッタ10の開閉方向に延びる。このように、帯電器シャッタ10の1次帯電器2の側の面には、導電性を有する導電性部10c2が樹脂部10aの一部に設けられる構成であっても良い。なお、図示しないが、帯電器シャッタ10の感光体ドラム1の側の面にも、導電性部が設けられても良い。
【0041】
図5(d)は、帯電器シャッタ10に流れる電流、及び、帯電器シャッタ10の位置の関係を示すグラフである。図5(d)に示されるように、帯電器シャッタ10が遮蔽位置Sに配置される場合には、帯電器シャッタ10を流れる電流値が高い。また、帯電器シャッタ10が退避位置Tに配置される場合には、帯電器シャッタ10を流れる電流値が低い。例えば、ここで、帯電器シャッタ10が遮蔽位置Sから退避位置Tへと移行する過程を想定する。コントローラ50は、帯電器シャッタ10の開動作を開始して所定時間経過後に、帯電ワイヤ2eに所定の電圧値の電圧を印加して放電を開始する。このときに、帯電器シャッタ10は、完全には開ききらない状態であり、端子33から搬送部材32bまでに亘る帯電器シャッタ10の長さは長い状態となっている。したがって、帯電器シャッタ10が1次帯電器2から受ける電荷が多くなる。コントローラ50は、帯電器シャッタ10のロールの端部に接した金属板部30bと端子33を介して電流検知部50aにて流入する電流を大きい値で検知する。その後、コントローラ50は、帯電器シャッタ10が開ききると想定される所定時間経過後に、再度、帯電ワイヤ2eに所定の電圧を印加する。このときに、帯電器シャッタ10が完全に開ききった状態であれば、端子33から搬送部材32bまでに亘る帯電器シャッタ10の長さは短い状態となっている。したがって、帯電器シャッタ10が1次帯電器2から受ける電荷が少なくなる。コントローラ50は、帯電器シャッタ10のロールの端部に接した金属板部33bと端子33を介して電流検知部50aにて流入する電流が無いと検知する。このように、コントローラ50は、帯電器シャッタ10を通して電流を検知できない場合には、帯電器シャッタ10が開いた(退避位置Tにある)と判断し、帯電器シャッタ10の開動作を終了して、次の制御に移行する。
【0042】
図6(a)は、コントローラ50の制御工程を示すフローチャートである。コントローラ50は、電源ON又はコピースタートされると制御を開始する(ステップ1、以下、「ステップ」を「S」と表現する。S1)。コントローラ50は、帯電器シャッタ10の「開」動作を開始し(S2)、帯電電圧を印加する(S3)。コントローラ50は、電流が一定値以上であるか否かを判断する(S4)。コントローラ50は、S4の判断の結果、YESの場合には、帯電電圧をOFFに設定してから(S5)、所定時間経過後に、再び帯電電圧を印加する(S6)。S5からS6の制御工程の間も、帯電器シャッタ10は「開」動作を続行している。コントローラ50は、S4の判断の結果、NOの場合には、帯電電圧をOFFに設定して(S7)、2回目の電流が一定値以上であるか否かの判断をする(S8)。コントローラ50は、S8の判断の結果、YESの場合には、リトライし(S9)、NOの場合には、S2の制御工程へと戻る。
【0043】
コントローラ50は、S6の制御工程の後に、電流が一定値以下であるか否かを判断する(S10)。コントローラ50は、S10の判断の結果、YESの場合には、帯電電圧をOFFに設定して(S11)、帯電器シャッタ10の「開」動作を終了する(S12)。コントローラ50は、S10の判断の結果、NOの場合(一定値以上の電流が検知される場合)には、以下のように制御する(S13)。すなわち、コントローラ50は、帯電ワイヤ2eへの電圧の印加は継続したまま、開き動作を継続し、帯電器シャッタ10を流れる電流を検知し続け、所定時間経過後に電流が一定値以下であるか否かを判断する(S13)。
【0044】
コントローラは、S13の判断の結果、YESの場合には帯電電圧をOFFに設定し(S14)、帯電器シャッタ10の「開」動作を終了する(S12)。コントローラは、S13の判断の結果、NOの場合には帯電電圧をOFFに設定し(S15)、リトライする(S9)。
【0045】
図6(b)は、リトライの場合に、コントローラ50の制御工程を示すフローチャートである。コントローラ50は、リトライを開始する(S21)。コントローラ50は、帯電器シャッタ10の「閉」動作を開始し(S22)、所定時間経過後に、帯電器シャッタ10の「開」動作を開始する(S23)。コントローラ50は、帯電電圧を印加する(S24)。そして、コントローラ50は、電流が一定値以下であるか否かを判断する(S25)。コントローラ50は、S25の判断の結果、YESの場合には、帯電電圧をOFFに設定して(S26)、帯電器シャッタ10の「開」動作を終了する(S27)。コントローラ50は、S25の判断の結果、NOの場合(一定値以上の電流が検知される場合)には、帯電電圧をOFFに設定して(S28)、ユーザインターフェース60にサービスコールを表示する(S29)。
【0046】
図7は、コントローラ50の制御工程を示すフローチャートである。コントローラ50は、画像形成動作が終了後、ユーザが電源をOFFしたか、スタンバイモードへの突入時間に入るかした時点で(S31)、帯電器シャッタ10の「閉」動作を開始する(S32)。コントローラ50は、帯電器シャッタ10の「閉」動作を開始後の所定時間後に帯電ワイヤ2eに帯電電圧を印加して放電を開始する(S33)。
【0047】
コントローラ50は、帯電器シャッタ10に流れる電流が一定値以上であるか否かを判断する(S34)。なお、前述の図5(d)によれば、電流が高い場合には帯電器シャッタ10が閉じており、電流が低い場合には帯電器シャッタ10が開いている。
【0048】
コントローラ50は、S34の判断の結果、YESの場合には、帯電電圧をOFFに設定して(S35)、帯電器シャッタ10が閉まったと想定される所定時間後に再び帯電ワイヤ2eに帯電電圧を印加することで放電を開始する(S36)。コントローラ50は、S34の判断の結果、NOの場合には、値を保存する(S37)。
【0049】
コントローラ50は、S36の制御工程の後に、帯電器シャッタ10を流れる電流値がS34で検知した電流値の所定倍以下であるか否かを判断する(S38)。コントローラ50は、S38の判断の結果、YESの場合には、帯電器シャッタ10が閉じたと判断して帯電電圧をOFFに設定し(S39)、帯電器シャッタ10の「閉」動作を終了する(S40)。コントローラ50は、S38の判断の結果、NOの場合には、帯電電圧をOFFに設定し(S41)、リトライ動作に移る(S42)。
【0050】
図8は、コントローラ50のリトライ動作の制御工程を示すフローチャートである。コントローラ50は、リトライ動作を開始する(S51)。コントローラ50は、帯電器シャッタ10の「閉」動作を開始し(S52)、帯電電圧を印加する(S53)。そして、コントローラ50は、帯電器シャッタ10を流れる電流を検知し、検知した電流値がS38で検知された電流値以下であるか否かを判断する(S54)。
【0051】
コントローラ50は、S54の判断の結果、YESの場合には、帯電器シャッタ10の動作は正常と判断して帯電電圧をOFFに設定し(S55)、帯電器シャッタ10の「閉」動作を開始する(S56)。コントローラ50は、所定時間以後、帯電電圧を印加する(S57)。コントローラ50は、S54の判断の結果、NOの場合には、帯電電圧をOFFに設定し(S58)、ユーザインターフェース60にサービスコールを表示する(S59)。
【0052】
コントローラ50は、S57の制御工程の後に、検知した電流値が所定値以上であるか否かを判断する(S60)。コントローラ50は、S60の判断の結果、YESの場合には、帯電電圧をOFFに設定して(S61)、所定時間経過後に帯電電圧を印加する(S62)。なお、S61からS62への制御工程の間にも、帯電器シャッタ10は「閉」動作を続行している。コントローラ50は、S60の判断の結果、NOの場合には、帯電電圧をOFFに設定して(S58)、ユーザインターフェース60にサービスコールを表示する(S59)。コントローラ50は、S60の判断をすると、YESの場合でもNOの場合でも値を保存する(S63)。
【0053】
コントローラ50は、S62の制御工程の後に、検知した電流値がS60の制御工程で検知した電流値の所定倍以上であるか否かを判断する(S64)。コントローラ50は、S64の判断の結果、YESの場合には、帯電電圧をOFFに設定して帯電ワイヤ2eへの電圧印加を停止し(S65)、帯電器シャッタ10が閉じたと判断し、帯電器シャッタ10の「閉」動作を終了する(S66)。コントローラ50は、S64の判断の結果、NOの場合には、グリッド電圧をOFFに設定し(S67)、ユーザインターフェース60にサービスコールを表示する(S68)。このように、帯電器シャッタ10に流入する電流を検知することで、帯電器シャッタ10の開閉動作の完了を検知することができる。
【実施例2】
【0054】
図9(a)は、実施例2に係る画像形成装置が備える帯電器シャッタ110の構成を示す平面図である。図9(a)は、1次帯電器2の方から見た帯電器シャッタ110の構成を示す。実施例2の帯電器シャッタ110の構成のうち実施例1の帯電器シャッタ10と同一の構成及び効果に関しては、同一の符号を用いて説明を適宜省略する。実施例2においても、実施例1と同様の画像形成装置100に適用することができるため、画像形成装置の説明は省略する。実施例2の帯電器シャッタ110が実施例1の帯電器シャッタ10と異なる点は、実施例2では、画像形成装置は、帯電器シャッタ110に印加されるグリッド電圧の電圧値に基づいて、帯電器シャッタ110の開閉状態を判断する点である。また、実施例2では、帯電器シャッタ110は、一部にのみ導電性を有する部材が用いられている点である。
【0055】
図9(a)に示されるように、帯電器シャッタ110は、樹脂で形成された樹脂部110a(PIシート)を有する。この樹脂部110aは、特に、1次帯電器2の側の面は導電性を有しない材質で形成される。そして、帯電器シャッタ110は、樹脂部110aの一端部側が巻取部材30に巻き取られている。また、帯電器シャッタ110は、樹脂部110aの他端部側に、アルミ薄膜接着部110bを有し、それよりも端部側の接着部110dが搬送部材32bに接着されている。
【0056】
図9(b)は、帯電器シャッタ110の構成を示す裏面図である。図9(b)は、感光体ドラム1の方から見た帯電器シャッタ110の構成を示す。図9(b)に示されるように、帯電器シャッタ110は、感光体ドラム1の面側にアルミ薄膜を蒸着した検知用導線であるアルミ蒸着部110cを有する。アルミ蒸着部110cは、樹脂部110aにおける感光体ドラム1の面側で、樹脂部110aにおける帯電器シャッタ110の開閉方向の端部側で巻取部材30の側からアルミ薄膜接着部110bへと線状(帯状)に延びる導線である。すなわち、アルミ蒸着部110cは、帯電器シャッタ110の開閉方向へと延びる。このように、帯電器シャッタ110は、一部のみに導電性を有している。また、アルミ蒸着部110cと繋がる『導電性部』であるアルミ薄膜接着部110bは、1次帯電器2に対する対向面から感光体ドラム1に対する対向面にかけて導通を取れるように樹脂部110aに設けられている。なお、図示しないが、帯電器シャッタ110の感光体ドラム1の側の面には、アルミ蒸着部110cが樹脂部110aの全面に亘って設けられても良い。なお、アルミ蒸着部110cの最も一端部の側の巻取部材30の円筒部30aに固定される部位は、樹脂部110aの1次帯電器2の側にまでわずかに所定寸法だけ延びており、円筒部30aと導通可能となっている。
【0057】
ここで、図4(c)を参照しつつ、帯電器シャッタ110に印加される電圧を検知する構成に関して説明する。帯電器シャッタ110が遮蔽位置Sに配置される場合には、帯電器シャッタ110の導電性部の一部であるアルミ薄膜接着部110bは、グリッドワイヤ2aに接触できないようになっている。また、帯電器シャッタ110が退避位置Tに配置される場合には、帯電器シャッタ110の導電性部の一部であるアルミ薄膜接着部110bは、グリッドワイヤ2aに接触できないようになっている。しかしながら、帯電器シャッタ110が遮蔽位置S及び退避位置Tの間にある場合には、帯電器シャッタ110の導電性部の一部であるアルミ薄膜接着部110bは、グリッドワイヤ2aに接触できるようになっている。この場合に、帯電器シャッタ110からロールの端部に接した金属板部30bとそれに接触する端子33を介して、コントローラ50の電圧検知部50bは帯電器シャッタ110に印加される電圧を検知する。
【0058】
図9(c)は、帯電器シャッタ110に印加されるグリッド電圧、及び、帯電器シャッタ110の位置の関係を示すグラフである。図9(c)に示されるように、電圧検知部50bは、帯電器シャッタ110が退避位置T及び遮蔽位置Sに配置されるときに、帯電器シャッタ110に印加される電圧が0Vであると検知する。また、電圧検知部50bは、帯電器シャッタ110が退避位置T及び遮蔽位置Sの間に配置されるときに、帯電器シャッタ110に印加される電圧が所定の電圧値で検知される。
【0059】
図10(a)は、帯電器シャッタ110を開動作するコントローラ50の制御工程を示すフローチャートである。実施例1の場合と同様に、コントローラ50は、電源ON時、または、スリープ時からコピー動作開始時になる(S71)と、帯電器シャッタ110の「開」動作を開始する(S72)。コントローラ50は、帯電器シャッタ110の「開」動作の開始後、所定時間経過後に、グリッドワイヤ2aにグリッド電圧を所定の電圧で印加し(S73)、帯電器シャッタ110の「開」動作を確認する(S74)。
【0060】
コントローラ50は、グリッド電圧が一定値以上であるか否かを判断する(S74)。コントローラ50は、S74の判断の結果、YESの場合には、グリッド電圧をOFFに設定し(S75)、次に帯電器シャッタ110が閉まりきると想定される所定時間経過後に、再びグリッドワイヤ2aにグリッド電圧を所定の電圧で印加する(S76)。コントローラ50は、S74の判断の結果、NOの場合には、グリッド電圧をOFFに設定し(S77)、2回目にグリッド電圧が一定値以上であるか否を判断する(S78)。コントローラ50は、S78の判断の結果、YESの場合には、リトライし(S79)、NOの場合には、S72の制御工程に戻る。
【0061】
コントローラ50は、S76の工程の後は、グリッド電圧が一定値以下か否かを判断する(S80)。コントローラ50は、S80の判断の結果、YESの場合には、以下のように制御する(S81、S82)。すなわち、コントローラ50は、帯電器シャッタ110を通して電圧が検知できなければ帯電器シャッタ110が開いたと判断し、グリッド電圧をOFFに設定し(S81)、帯電器シャッタ110の開動作を終了し(S82)、次の制御に移行する。コントローラ50は、S80の判断の結果、NOの場合(電圧が一定値以上検知される場合)には、グリッドワイヤ2aへの電圧の印加は継続したまま、開き動作を継続する。コントローラ50では帯電器シャッタ110を流れる電圧を検知し続け、所定時間経過後に、グリッド電圧が一定値以下か否かを判断する(S83)。
【0062】
コントローラ50は、S83の判断の結果、YESの場合には、グリッド電圧をOFFに設定し(S84)、帯電器シャッタ110の「開」動作を終了する(S82)。コントローラ50は、S83の判断の結果、NOの場合(所定時間以内に帯電器シャッタ110に印加される電圧が無くならない場合)には、グリッド電圧をOFFに設定し(S85)、リトライする(S79)。後述するが、リトライ動作では、帯電器シャッタ110の閉じ動作の後に、帯電器シャッタ110の開き動作を実施する。
【0063】
図10(b)は、コントローラ50がリトライする場合の制御工程を示すフローチャートである。もし、リトライ動作の後に電圧が検知された場合、グリッドワイヤ2aへの電圧印加を中止し、ユーザインターフェース60にサービスコールを要請する表示を行う。図10(b)を参照しつつ、以下、具体的に説明する。コントローラ50は、リトライを開始する(S91)。コントローラ50は、帯電器シャッタ110の閉動作を開始し(S92)、所定時間経過後に、帯電器シャッタ110の開動作を開始する(S93)。コントローラ50は、グリッド電圧を印加する(S94)。
【0064】
コントローラ50は、グリッド電圧が一定値以下であるか否かを判断する(S95)。コントローラ50は、S95の判断の結果、YESの場合(帯電器シャッタ110を通して電圧が検知できない場合)には、帯電器シャッタ110が開いたと判断して、グリッド電圧をOFFに設定し(S96)、帯電器シャッタ110の開動作を終了する(S97)。コントローラ50は、S95の判断の結果、NOの場合には、グリッド電圧をOFFに設定し(S98)、ユーザインターフェース60にサービスコールを表示する(S99)。
【0065】
図11は、帯電器シャッタ110を閉動作するコントローラ50の制御工程を示すフローチャートである。図11に示されるように、コントローラ50は、画像形成動作が終了後、スタンバイモードに突入時間に突入、または、ユーザが電源をOFFした時点で(S101)、帯電器シャッタ110の「閉」動作を開始する(S102)。そして、コントローラ50は、帯電器シャッタ110の「閉」動作を開始後、所定時間後にグリッドワイヤ2aにグリッド電圧を印加する(S103)。
【0066】
コントローラ50は、帯電器シャッタ110に印加されるグリッド電圧を検知し、その電圧が一定値以上であるか否かを判断する(S104)。コントローラ50は、S104の判断の結果、YESの場合には、グリッド電圧をOFFに設定し(S105)、帯電器シャッタ110が閉まったと想定される所定時間後に再度、グリッドワイヤ2aにグリッド電圧を印加する(S106)。コントローラ50は、S104の判断の結果、NOの場合には、グリッド電圧をOFFに設定し(S111)、リトライする(S112)。コントローラ50は、S104の判断の結果、YESの場合でもNOの場合でも、値を保存する(S107)。
【0067】
コントローラ50は、S106の制御工程又はS107の制御工程の後に、検知した電圧値がS104で検知した電圧値の所定倍以下であるか否かを判断する(S108)。コントローラ50は、S108の判断の結果、YESの場合には、グリッド電圧をOFFに設定し(S109)、帯電器シャッタ110の「閉」動作を終了する(S110)。コントローラ50は、S108の判断の結果、NOの場合には、グリッド電圧をOFFに設定し(S111)、リトライする(S112)。
【0068】
図12は、コントローラ50がリトライする場合の制御工程を示すフローチャートである。この時、所定の値が得られない場合にリトライモードを実施する。「シャッタ開」動作を実施し、退避状態に戻る。再度一連の動作を実行し、完了すれば帯電器シャッタ110が閉じたと判断し、「シャッタ閉」動作を終了する。異常がある場合はユーザインターフェース60にサービスコールを要請する表示を行う。図12を参照しつつ、以下、具体的に説明する。コントローラ50は、リトライを開始する(S121)。コントローラ50は、帯電器シャッタ110の開動作を開始する(S122)。コントローラ50は、グリッド電圧を印加する(S123)。
【0069】
コントローラ50は、グリッド電圧が一定値以下であるか否かを判断する(S124)。コントローラ50は、S124の判断の結果、YESの場合には、グリッド電圧をOFFに設定し(S125)、帯電器シャッタ110の閉動作を開始して(S126)、グリッド電圧を印加する(S127)。コントローラ50は、S124の判断の結果、NOの場合には、グリッド電圧をOFFに設定し(S128)、ユーザインターフェース60にサービスコールを表示する(S129)。
【0070】
コントローラ50は、S127の工程の後に、グリッド電圧値が所定値以上であるか否かを判断する(S130)。コントローラ50は、S130の判断の結果、YESの場合には、グリッド電圧をOFFに設定し(S131)、所定時間経過後にグリッド電圧を印加する(S132)。S131からS132への制御工程の間にも、帯電器シャッタ110は「閉」動作を続行している。コントローラ50は、S130の判断の結果、NOの場合には、グリッド電圧をOFFに設定し(S128)、ユーザインターフェース60にサービスコールを表示する(S129)。コントローラ50は、S130の判断でYESの場合もNOの場合も検知した値を保存する(S133)。
【0071】
コントローラ50は、グリッド電圧を印加した後(S132)で、値を保存した後(S133)、電圧値がS130で検知した電圧値の所定倍以下であるか否かを判断する(S134)。コントローラ50は、S134の判断の結果、YESの場合には、グリッド電圧をOFFに設定し(S135)、帯電器シャッタ110の閉動作を終了する(S136)。コントローラ50は、S134の判断の結果、NOの場合には、グリッド電圧をOFFに設定し(S137)、ユーザインターフェース60にサービスコールを表示する(S138)。
【0072】
実施例1の構成によれば、帯電器シャッタ10の材質が導電性を有し、コントローラ50が、1次帯電器2に印加するバイアスで発生した帯電器シャッタ10を流れる電流値に基づいて、帯電器シャッタ10の駆動状態又は異常状態を判断する。実施例2の構成によれば、コントローラ50は、1次帯電器2に印加するバイアスで帯電器シャッタ110に印加される電圧に基づいて、帯電器シャッタ110の駆動状態又は異常状態を判断する。その結果、実施例1又は実施例2の構成によれば、帯電器シャッタ10、110の開閉が従来よりも確実に判断される。
【0073】
なお、前述したように、実施例1では、帯電器シャッタ10の全部が導電性を有し、実施例2では、帯電器シャッタ110の一部が導電性を有していた。このように、帯電器シャッタ10、110の一部又は全部が導電性を有しても良い。なお、帯電器シャッタ10の抵抗は1×10−7Ω以下であると良い。
【符号の説明】
【0074】
1 感光体ドラム(像担持体)
2 1次帯電器(帯電手段)
10 帯電器シャッタ(シャッタ)
10c1 導電性部
50 コントローラ
50a 電流検知部(電流検知手段)
50b 電圧検知部(電圧検知手段)
52 巻取り装置(巻取り手段)
100 画像形成装置
110 帯電器シャッタ(シャッタ)
110c アルミ蒸着部(導電性部)
S 遮蔽位置
T 退避位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
前記像担持体の表面を帯電する帯電手段と、
前記像担持体及び前記帯電手段の間に挿入されて前記像担持体から前記帯電手段を遮蔽する遮蔽位置、並びに、前記像担持体及び前記帯電手段の間から退避して前記像担持体及び前記帯電手段の間を開放する退避位置を取るシート状のシャッタと、
前記シャッタの退避位置で前記シャッタをロール状に巻き取る巻取り手段と、
前記シャッタの導電性部を流れる電流値を検知する電流検知部、又は、前記シャッタの前記導電性部に印加される電圧値を検知する電圧検知部を有し、前記電流検知部が検知した電流値又は前記電圧検知部が検知した電圧値に基づいて、前記シャッタの駆動状態又は異常状態を判断するコントローラと、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記シャッタの一部又は全部は導電性を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記シャッタの抵抗は1×10−7Ω以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項1】
像担持体と、
前記像担持体の表面を帯電する帯電手段と、
前記像担持体及び前記帯電手段の間に挿入されて前記像担持体から前記帯電手段を遮蔽する遮蔽位置、並びに、前記像担持体及び前記帯電手段の間から退避して前記像担持体及び前記帯電手段の間を開放する退避位置を取るシート状のシャッタと、
前記シャッタの退避位置で前記シャッタをロール状に巻き取る巻取り手段と、
前記シャッタの導電性部を流れる電流値を検知する電流検知部、又は、前記シャッタの前記導電性部に印加される電圧値を検知する電圧検知部を有し、前記電流検知部が検知した電流値又は前記電圧検知部が検知した電圧値に基づいて、前記シャッタの駆動状態又は異常状態を判断するコントローラと、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記シャッタの一部又は全部は導電性を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記シャッタの抵抗は1×10−7Ω以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−257443(P2011−257443A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129172(P2010−129172)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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