説明

画像形成装置

【課題】表示面積の制限を受けにくく且つ個別に認識可能な状態で、他の画像形成ジョブを割込みジョブとしてウィンドウ表示することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成ジョブの実行中に要求された他の画像形成ジョブを割込みジョブとしてウィンドウ表示する割込みジョブ表示手段と、表示された割込みジョブを実行するか否かを選択する割込みジョブ選択手段と、割込みジョブ選択手段により割込みジョブの実行が選択されたときに割込みジョブを実行する割込み制御手段とを備え、割込みジョブ表示手段は、画像形成ジョブの実行中に要求された複数の割込みジョブに対するウィンドウ表示を個別に識別可能な状態で重畳表示するとともに、割込みジョブに対するウィンドウ表示のうち最上面に表示されるウィンドウに、ウィンドウ表示された全ての割込みジョブに対する割込みジョブを取消し操作する全消去キーを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成ジョブの実行中に要求された他の画像形成ジョブを割込みジョブとしてウィンドウ表示する割込みジョブ表示手段と、割込みジョブ表示手段に表示された割込みジョブを実行するか否かを選択する割込みジョブ選択手段と、割込みジョブ選択手段により割込みジョブの実行が選択されたときに割込みジョブを実行する割込み制御手段を備えて構成される画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像形成装置は、画像形成ジョブの実行中に他の画像形成ジョブの要求があると、画像形成ジョブが要求された順に順番待ちのリストに登録され、実行中の画像形成ジョブの終了後にリストに登録された順に他の画像形成ジョブが実行されるように構成されているが、急いで印刷したい場合や他の画像形成ジョブが一枚だけの場合等でも、実行中の画像形成ジョブの実行が終了するまで待つ必要があり、使い勝手が悪いという問題がある。
【0003】
そこで、図10に示すように、複写シーケンス実行中に外部装置からのプリント要求があった場合、その旨の表示を行う表示手段と、前記の旨の表示されたプリント要求による割込みプリントを許諾するや否やをオペレータ入力に基づき選択する選択手段と、前記選択手段によって割込みプリントの許諾が選択された場合、前記複写シーケンスの実行を中断し、前記プリント要求による割込みプリントシーケンスを実行する一方、割込みプリントの否許諾が選択された場合、前記複写シーケンスを継続して実行するシーケンス制御手段を備え、外部装置と共用使用可能な画像形成装置等が提案されている。
【特許文献1】特開平11−168590号公報
【特許文献2】特開2003−162387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の画像形成装置は、画像形成ジョブの実行中であっても要求される他の画像形成ジョブの要求があった旨を表示することにより選択的に実行可能として機能性の向上を図ることができるものであるが、画像形成ジョブの実行中に複数の他の画像形成ジョブが要求される場合については考慮されるものではなく、どのように割込みジョブを表示してどのように割込みジョブを選択すべきか等について更なる改良の余地があった。
【0005】
例えば、複数の割込みジョブが要求されたときに、それら割込みジョブの要求の発生とその許否の選択入力のための割込みジョブウィンドウをタッチパネル式の表示部に表示することが考えられるが、要求された複数の割込みジョブウィンドウを表示画面に並列表示する場合には、要求される他の画像形成ジョブの増加に対応して表示ウィンドウ数が増加することとなり、ウィンドウを表示する表示エリアの面積の制限により多くのウィンドウを表示することが困難となるという問題がある。
【0006】
また、要求される他の画像形成ジョブの増加に対応してウィンドウの表示面積を小さくして並列表示するように割込みジョブ表示手段を構成することも考えられるが、他の画像形成ジョブが多数要求されると1つのウィンドウの表示面積が小さくなりすぎ、操作者が個別に認識可能な状態でウィンドウを表示することが困難になるという問題もある。
【0007】
本発明は、上述した従来技術に鑑み、画像形成ジョブの実行中に他の複数の画像形成ジョブが要求される場合であっても、表示面積の制限を受けにくく且つ個別に認識可能な状態で、他の画像形成ジョブを割込みジョブとしてウィンドウ表示することができる画像形成装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明による画像形成装置の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、画像形成ジョブの実行中に要求された他の画像形成ジョブを割込みジョブとしてウィンドウ表示する割込みジョブ表示手段と、前記割込みジョブ表示手段に表示された割込みジョブを実行するか否かを選択する割込みジョブ選択手段と、前記割込みジョブ選択手段により割込みジョブの実行が選択されたときに前記割込みジョブを実行する割込み制御手段を備えて構成される画像形成装置であって、前記割込みジョブ表示手段は、画像形成ジョブの実行中に要求された複数の割込みジョブに対するウィンドウ表示を個別に識別可能な状態で重畳表示するとともに、割込みジョブに対するウィンドウ表示のうち最上面に表示されるウィンドウに、ウィンドウ表示された全ての割込みジョブに対する割込みジョブを取消し操作する全消去キーを表示するように構成されている点にある。
【0009】
上述した構成によれば、画像形成ジョブの実行中に他の複数の画像形成ジョブが要求されると、割込みジョブ表示手段により他の複数の画像形成ジョブを割込みジョブとしてウィンドウ表示が個別に識別可能な状態で重畳表示され、割込みジョブ選択手段により割込みジョブ表示手段に表示された割込みジョブを実行するか否かが選択され、割込みジョブ選択手段により割込みジョブの実行が選択されたときに割込み制御手段により割込みジョブが実行される。つまり、割込みジョブのウィンドウ表示が重畳表示されるため、上述のウィンドウ表示が並列表示される場合に比べて同数で同じ大きさのウィンドウを小さい面積で表示することができるので、表示面積が制限される条件下であっても複数の割込みジョブが操作者に個別に認識可能な状態でウィンドウ表示することができるようになる。このとき、割込みジョブに対するウィンドウ表示のうち最上面に表示されるウィンドウに表示された全消去キーを操作するだけで、全ての割込みジョブを取り消すことができるので、複数の割込みジョブを個別に取り消すための煩雑な操作が不要となり、利便性が向上する。
【0010】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、割込みジョブ表示手段は、要求された割込みジョブを要求順に従って背面から上面に重畳表示する点にある。
【0011】
上述の構成によれば、割込みジョブ表示手段により要求された割込みジョブが要求順に従って背面から上面に重畳表示されることにより、操作者が割込みジョブの要求順を容易に認識することができる。さらに、最近に要求された割込みジョブが最上面に表示されるので、操作者が何れの割込みジョブが最新の割込みジョブであるかを容易に認識することができる。
【0012】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、割込みジョブ表示手段は、要求された割込みジョブの優先順位に従って上面から背面に重畳表示する点にある。
【0013】
上述の構成によれば、割込みジョブ表示手段により要求された割込みジョブが優先順位に従って上面から背面に重畳表示されるので、操作者が表示される割込みジョブの優先順位を容易に認識することができる。さらに、優先順位の最も高い割込みジョブが最上面に表示されるので、操作者が何れの割込みジョブが優先順位の最も高い割込みジョブであるかを容易に認識することができる。
【0014】
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第一から第三の何れかの特徴構成に加えて、割込みジョブ表示手段により表示されるウィンドウは、各割込みジョブを個別に識別可能な識別情報を表示するタスク表示部と各画像形成ジョブの詳細情報を表示するコンテンツ表示部で構成され、少なくともタスク表示部が個別に識別可能な状態で重畳表示される点にある。
【0015】
上述の構成によれば、タスク表示部により重畳表示されるウィンドウのうち、タスク表示部が個別に識別可能な状態で表示されるので、操作者が選択すべき割込みジョブに対応するウィンドウを容易に認識することができる。
【0016】
同第五の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第一から第四の何れかの特徴構成に加えて、割込みジョブ表示手段は、重畳表示されたウィンドウの何れかが選択されたときに選択された割込みジョブを最前面に表示するように構成されている点にある。
【0017】
上述の構成によれば、重畳表示されたウィンドウの何れかが選択されたときに選択されたウィンドウが最前面に表示されるので、選択されたウィンドウに対応する割込みジョブの詳細な内容を容易に認識することができるようになり、より操作性が向上する。
【0018】
同第六の特徴構成は、同請求項6に記載した通り、上述の第四特徴構成に加えて、割込みジョブ選択手段は、コンテンツ表示部に表示される選択キーと、選択キーに対する操作を検出するキー操作検出手段を備えて構成されている点にある。
【0019】
上述の構成によれば、操作者が割込みジョブを実行する旨の選択キー操作を行うと、キー操作検出手段により選択キーに対する操作が検出され割込み制御手段により割込みジョブが実行され、操作者が割込みジョブを実行しない旨の選択キー操作を行うと、キー操作検出手段により選択キーに対する操作が検出され割込みジョブが実行されない。つまり、操作者が選択キーの操作することにより割込みジョブを実行するか否かを選択することができる。
【0020】
同第七の特徴構成は、同請求項7に記載した通り、上述の第六の特徴構成に加えて、割込みジョブ表示手段は、キー操作検出手段により選択キーの操作が検出されたときに対応するウィンドウを閉じるように構成されている点にある。
【0021】
上述の構成によれば、操作者が選択キーを操作するとキー操作検出手段により選択キーに対する操作が検出され割込みジョブ表示手段により対応するウィンドウが閉じられる。つまり、割込みジョブの実行可否が選択済みのウィンドウが閉じられ、割込みジョブの実行可否が未選択のウィンドウのみが表示されるので、その後の未選択のウィンドウに対する操作の煩雑さを大きく軽減させることができる。
【0022】
同第八の特徴構成は、同請求項8に記載した通り、上述の第六または第七の特徴構成に加えて、割込みジョブ表示手段は、表示されたウィンドウに対する操作が所定時間なされないときに対応するウィンドウを閉じるように構成されている点にある。
【0023】
上述の構成によれば、表示されたウィンドウに対する操作が所定時間なされないときにはウィンドウが閉じられるので、割込みジョブの実行を望まない画像形成ジョブに対しては特に何らかの操作行う必要が無く、操作者の操作が簡易なものとなる。
【0024】
同第九の特徴構成は、同請求項9に記載した通り、上述の第一から第七の何れかの特徴構成に加えて、割込みジョブ表示手段は、重畳表示されるウィンドウ数が所定数を超えるときに新たなウィンドウの表示に対応して最先に表示されたウィンドウを閉じるように構成されている点にある。
【0025】
上述の構成によれば、重畳表示されるウィンドウ数が所定数を超えるときには最先に表示されたウィンドウが閉じられ、重畳表示されるウィンドウ数が一定に保たれるので、ウィンドウ表示を簡略化することができる。
【0026】
同第十の特徴構成は、同請求項10に記載した通り、上述の第一から第七の何れかの特徴構成に加えて、割込みジョブ表示手段は、重畳表示されるウィンドウ数が所定数を超えるときに新たなウィンドウの表示に対応して最背面のウィンドウを閉じるように構成されている点にある。
【0027】
上述の構成によれば、重畳表示されるウィンドウ数が所定数を超えるときには最背面のウィンドウが閉じられ、重畳表示されるウィンドウ数が一定に保たれるので、ウィンドウ表示を簡略化することができる。
【発明の効果】
【0028】
以上説明した通り、本発明によれば、画像形成ジョブの実行中に他の複数の画像形成ジョブが要求される場合であっても、表示面積の制限を受けにくく且つ個別に認識可能な状態で、他の画像形成ジョブを割込みジョブとしてウィンドウ表示することができる画像形成装置を提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明が適用される第一の実施形態のデジタル複合機を含むネットワークの概要図。
【図2】デジタル複合機の外観図。
【図3】デジタル複合機の機能ブロック図。
【図4】制御部の機能ブロック図。
【図5】(a)は複写ジョブ実行中の液晶タッチパネルの外観図、(b)は割込みジョブウィンドウが表示される液晶タッチパネルの外観図、(c)は割込みジョブウィンドウが最小化表示される液晶タッチパネルの外観図。
【図6】(a)は3つの割込みジョブウィンドウが表示される液晶タッチパネルの外観図、(b)は(a)の前面から2枚目の割込みジョブウィンドウが押圧操作されたときの液晶タッチパネルの外観図。
【図7】プリントジョブの割込み処理を示すフローチャート。
【図8】(a)は割込みFAXジョブウィンドウが表示される液晶タッチパネルの外観図、(b)は3つの割込みFAXジョブウィンドウが表示される液晶タッチパネルの外観図。
【図9】タブを用いて割込みジョブウィンドウを表示する場合の液晶タッチパネルの外観図。
【図10】従来技術による割込みジョブの表示の説明図
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に本発明による画像形成装置をデジタル複合機に採用した場合の実施形態について説明する。図1に示すように、複数のパーソナルコンピュータ(以下、「PC」と記す。)が接続されたネットワークLAN上にデジタル複合機1が接続されている。前記デジタル複合機1は、前記ネットワークLANを介して要求されるPCからのプリントジョブを実行するプリント機能、電話回線を介して図示しない外部FAXとの間で画像データの送受信を実行するファクシミリ機能、原稿を複写する複写機能といった複数の機能を備えている。
【0031】
前記デジタル複合機1は、図2に示すように、複写メニューを設定する複数のメニューキー等が表示され各メニューキーに対する操作を検出する液晶タッチパネル20や設定された複写メニューで複写動作を起動するスタートキー等が配置される操作部2と、原稿載置部3にセットされた一連の原稿を順次読込んで電子データに変換する画像読取部4と、前記画像読取部4によって電子データに変換された画像データや外部FAXから送信される画像データやPCから送信される画像データ等に基づいて用紙上にトナー像を形成して出力する電子写真方式の画像形成部5と、それぞれ異なるサイズまたは種類の用紙が収容された複数の給紙カセット6(6a〜6d)及び機械左側部に設けられた手差し給紙口(図示せず)を備えて構成されている。
【0032】
前記デジタル複合機1は、図3に示すように、前記操作部2、前記画像読取部4、前記画像形成部5に加えて、図示しない外部のFAXと画像データの送受信を行うためのFAXモデム9と、ネットワークLANを介して複数のPCと接続するための外部インターフェイス10と、それらを制御する制御部8を備えて構成されている。
【0033】
前記制御部8は、マイクロコンピュータ、当該マイクロコンピュータで実行される制御プログラムが記憶されたROM及び周辺回路を備えて構成され、当該マイクロコンピュータにより具現化される本発明に関する主な機能を機能ブロックに分割して示すと、図4に示すように、要求された複数の画像形成ジョブを要求順に記憶するジョブ記憶部80と、前記ジョブ記憶部80に記憶されたジョブに基づいて前記画像形成部5に対してその実行を要求し、個々の画像形成ジョブの進捗を管理するジョブ管理手段81と、画像形成ジョブの実行中に要求され、前記ジョブ記憶部80に記憶された他の画像形成ジョブを割込み対象ジョブとするか否かを識別する割込みジョブ識別手段82と、前記割込みジョブ識別手段82により識別された割込み対象ジョブを割込みジョブとして管理する割込みジョブ管理手段84と、前記割込みジョブ管理手段84により管理される割込みジョブを前記液晶タッチパネル20にウィンドウ表示する割込みジョブ表示手段83と、前記割込みジョブ表示手段83により表示された割込みジョブの許否を選択する割込みジョブ選択手段85等を備えて構成され、前記割込みジョブ管理手段84は、前記割込みジョブ選択手段85により割込みジョブの実行が選択されたときに選択された割込みジョブの実行を前記ジョブ管理手段81に要求するように構成されている。つまり、前記割込みジョブ管理手段84と前記ジョブ管理手段81により割込みジョブを実行する割込み制御手段が構成される。
【0034】
前記ジョブ記憶部80には、PCから要求される画像形成ジョブに関するジョブデータ、即ち、ジョブ要求元のPCのユーザ名、要求日時、用紙サイズ、枚数、画像データ、前記操作部2で操作された画像形成ジョブに関するジョブデータ、前記電話回線を介して受信されたファックスデータに対するジョブデータが記憶される。
【0035】
前記割込みジョブ識別手段82は、前記ジョブ記憶部80に記憶された画像形成ジョブが割込み対象ジョブであるか否かを識別する割込みジョブ識別テーブルを備え、当該割込みジョブ識別テーブルに記憶されたテーブルデータに基づいて割込み対象ジョブであると判断された画像形成ジョブの管理(画像形成ジョブを個別に識別可能なジョブデータの一部と後述する割込み優先順位データが管理データとなる)を前記割込みジョブ管理手段81に引き渡す。前記割込みジョブ管理手段81は引き渡された割込みジョブを前記割込みジョブ表示手段83により表示させ、前記割込みジョブ選択手段85を介して操作者により割込み処理の実行が選択された割込みジョブを認識すると、前記ジョブ記憶部81に記憶された対応する画像形成ジョブに割込みフラグをセットする。
【0036】
前記ジョブ管理手段81は、前記ジョブ記憶部81に記憶された複数の画像形成ジョブに対して要求順に画像形成処理を実行管理し、実行の終了したジョブデータを消去するのであるが、割込みフラグがセットされた画像形成ジョブを識別すると実行中の画像形成ジョブを中断して割込みフラグがセットされた画像形成ジョブを優先して実行管理する。割込みフラグは割込み優先度を示す割込みカウンタで構成され、カウンタの値が「0」のときは通常の処理を示し、「0」以外の値のときに割込み処理を示すように構成され、その値が大であるほど優先順位が高くなるように設定される。従って、例えば画像形成ジョブの実行中に割込みカウンタの値が「1」を示す画像形成ジョブが発生すると、現在実行中のカウンタ「0」の画像形成ジョブを中断して割込みジョブを開始し、その割込みジョブ中に割込みカウンタの値が「2」を示す画像形成ジョブが発生すると現在実行中の割込みジョブを中断して割込みカウンタの値が「2」に対応する画像形成ジョブを優先して実行する。当該割込みジョブが終了すると先の割込みジョブが再開され、その割込みジョブが終了すると中断していた初期の画像形成ジョブが再開されるように多重割込み処理が可能に構成されている。
【0037】
前記割込みジョブ識別テーブルは、前記操作部2を介して前記デジタル複合機1の管理者等により予め設定されるもので、割込み対象となる画像形成ジョブを特定する割込み対象ジョブデータ及び割込み優先順位データで構成される。前記割込み対象ジョブデータは、前記操作部2に設けられた割込みキーに対応するジョブ、PCからの要求ジョブ、ファクシミリからの要求ジョブといった複写、プリント、ファックスという各機能単位のジョブの他、PCからの要求ジョブの場合にはジョブ要求元のPC名またはユーザ名、画像ファイルのファイル名、枚数、用紙サイズ、用紙種類、ファクシミリからの要求ジョブの場合には発信元電話番号等ジョブを特定可能な任意のデータを設定することが可能で、また、各割込み対象ジョブデータに対して3段階の割込み優先順位データを設定できるように構成してある。ここに、割込み優先順位データは3段階に限るものではなく、適宜設定できるように構成してもよい。以下の実施形態では、ネットワーク接続されたPCからの画像形成ジョブに対してのみ割込み対象ジョブデータが設定されているとの条件で説明する。
【0038】
前記液晶タッチパネル20には、図5(a)に示すように、複写枚数、用紙サイズ、複写倍率、排出先のトレイ、ソート等の基本的な複写メニューを選択するメニュー画面が表示され、画像形成ジョブの実行中には[コピー中です。]とのメッセージが表示される。
【0039】
前記割込みジョブ識別テーブルに、前記割込みジョブデータとしてアルファベットの組合せによるユーザ名が登録され、各ユーザ名に対して所定の割込み優先順位データが設定されているとき、前記割込みジョブ識別手段82により前記ジョブ記憶部80に記憶された複数のジョブから割込み対象ジョブが識別されると、前記割込みジョブ管理手段84からの指示により、前記割込みジョブ表示手段83により、図5(b)に示すように、当該割込みジョブを割込みジョブウィンドウ200にウィンドウ表示する。
【0040】
当該割込みジョブウィンドウ200は、当該割込みジョブを個別に識別可能な識別情報を表示するタスク表示部201と各画像形成ジョブの詳細情報を表示するコンテンツ表示部202で構成される。前記タスク表示部201には、PCからの割込みジョブを特定するアイコン、ユーザ名「ABCDEFG」等の識別情報が表示され、前記コンテンツ表示部202には、ファイル名、当該画像形成ジョブの要求日時である登録日時等のジョブデータの一部及び当該割込みジョブの実行の許否を設定入力する「はい」、「いいえ」の選択キー204が表示される。
【0041】
前記タスク表示部201には、最小化キー203が表示され(図5(b)参照)、操作者により前記最小化キー203が押圧されると前記割込みジョブウィンドウ200が消去され、図5(c)に示すように、最小化表示されたことを示す最小化表示キー205が前記液晶タッチパネル20の右上部に表示され、その状態で前記最小化表示キー205が操作されると、図5(b)に示す前記割込みジョブウィンドウ200が再表示されるように前記割込みジョブ表示手段83により表示制御される。
【0042】
前記割込みジョブ選択手段85は、前記選択キー204と、その何れかの操作を検出するキー操作検出手段86を備えて構成され、前記選択キー204のうち、「はい」キーが操作されると割込みジョブとして選択し、「いいえ」キーが操作されると割込みジョブをキャンセル、つまり、通常の要求順序に従った処理として選択し、前記割込みジョブ管理手段84にその旨を通知する。その後、前記割込みジョブ表示手段83は割込みジョブウィンドウ200を閉じる。
【0043】
前記割込みジョブ管理手段84は、前記割込みジョブ選択手段85から割込みジョブの実行が選択された旨の通知を受けると、前記ジョブ記憶部80に記憶されている当該画像形成ジョブに対するジョブデータに前記割込みフラグをセットして前記ジョブ管理手段81に割込みジョブの発生を通知する。前記ジョブ管理手段81は当該通知に基づいて前記ジョブ記憶部80に割込みフラグがセットされたジョブデータに対する割込みジョブを実行管理する。
【0044】
通常の画像形成ジョブまたは割込みジョブの実行中に複数の他の画像形成ジョブの要求があり、前記割込みジョブ識別手段82によりそれら画像形成ジョブが割込みジョブであると識別されると、前記割込みジョブ表示手段83は、図6(a)に示すように、それらの割込みジョブに対応する複数の割込みプリントジョブウィンドウ200を前記タスク表示部201が個別に識別可能な状態で重畳表示する。
【0045】
このとき、前記割込みジョブ表示手段83は、要求された割込みジョブの優先順位、つまり割込み優先順位データに従って複数の割込みジョブウィンドウ200を上面から背面に重畳表示し、優先順位データが設定されていないときまたは優先順位データが同位のときには、要求された割込みジョブを要求順に従って背面から上面に重畳表示する。
【0046】
図6(a)に示す複数の割込みジョブウィンドウ200に対して、操作者により2枚目の割込みジョブウィンドウ210が押圧操作されると、前記割込みジョブ表示手段83は、図6(b)に示すように、押圧操作された割込みジョブウィンドウ210が最前面に配置されるように更新表示する。
【0047】
更に前記割込みジョブ表示手段83は、最前面の割込みジョブウィンドウ200のコンテンツ表示部202に全消去キー206を表示するように構成されており、当該全消去キー206が押圧操作されると前記液晶タッチパネル20に表示されている全ての割込みジョブウィンドウ200を閉じ、閉じられたウィンドウに対応する割込みジョブがキャンセル、つまり、通常の要求順序に従った処理として選択するように構成されている。
【0048】
前記割込みジョブ表示手段83は、更に、重畳表示される前記割込みジョブウィンドウ200のウィンドウ数が所定数を超えるときに新たな割込みジョブウィンドウの表示に対応して最背面に表示されたウィンドウを閉じ、表示された各ウィンドウに対する操作が所定時間なされないときに対応するウィンドウを閉じるように構成されている。これにより、割込みジョブの選択操作がなされない割込みジョブウィンドウ200の重畳表示数が不必要に多く表示することが回避される。ここで、重畳表示されるウィンドウ数が所定数を超えるときに新たなウィンドウの表示に対応して最先に表示されたウィンドウを閉じるように構成することも可能である。
【0049】
以下に、前記デジタル複合機1により画像形成ジョブの一つである複写ジョブが実行されている間にPCから他の画像形成ジョブとしてのプリントジョブが要求されたときの割込み処理を、図7に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0050】
先に要求された画像形成ジョブが実行されているときに(S1)、PCからプリントジョブが要求されると前記ジョブ管理手段81により前記ジョブ記憶部80にジョブデータが記憶され(S2)、記憶されたジョブデータに基づいて割込みジョブ識別手段82により当該プリントジョブが割込み対象ジョブであるか否かが識別される(S3)。当該プリントジョブが割込みジョブと識別されないときは、現在実行中の複写ジョブ終了後にプリントジョブが実行されるように割込み処理は行なわず(S4)、当該プリントジョブが割込みジョブと識別されるときは、前記割込みジョブ表示手段83により先に割込みジョブウィンドウ200が表示されているか否かが判断され(S5)、先に割込みジョブウィンドウ200が表示されていないときには当該プリントジョブに対応する割込みジョブウィンドウ200が表示される(S6)。
【0051】
既に他の割込みジョブウィンドウ200が表示されているときには、先に表示されている割込みジョブと今回の割込みジョブとの優先順位が前記優先順位データに基づいて判断され(S7)先の割込みジョブの優先順位より現在PCから要求される割込みジョブの優先順位が低い場合には、タスク表示部201が重ならないように先の割込みジョブウィンドウ200の背面に今回の割込みジョブウィンドウ210が重畳表示され(S8)、先の割込みジョブの優先順位より今回の割込みジョブの優先順位が高い場合には、タスク表示部201が重ならないように先の割込みジョブウィンドウ200の前面、つまり最前面に割込みプリントジョブウィンドウ210が重畳表示される(S9)。
【0052】
この状態で、現在表示している割込みジョブウィンドウ200がウィンドウ消去条件に適合するか否かが判断される(S10)。ウィンドウ消去条件とは、前記全消去キー206が操作されたか否か、重畳表示されるウィンドウの表示数が所定数を超えているか否かの各条件であり、何れかのウィンドウ消去条件に適合するときには消去対象となる最背面のウィンドウまたは最先に表示されたウィンドウ(全消去キー206が押圧された場合は全ての割込みウィンドウ)が閉じられ(S11)、閉じられたウィンドウに対応する割込みジョブがキャンセルされる(S12)。つまり、キャンセルされた画像形成ジョブが現在実行中の画像形成ジョブの終了後に実行されるように割込みフラグの設定が行なわれない。
【0053】
ウィンドウ消去条件に適合しないときには、更に、背面に表示される割込みジョブウィンドウ210が押圧操作されたか否かが判断され(S13)、押圧されたときにはその割込みジョブウィンドウ210が最前面に位置するように更新表示される(S14)。
【0054】
最前面に表示される割込みジョブウィンドウ200の選択キー204が押圧されたか否かが判断され(S15)、選択キー204の「いいえ」が押圧されると(S16)、当該割込みジョブウィンドウが閉じられ(S17)、閉じられたウィンドウに対応する割込みジョブがキャンセルされる(S18)。選択キー204の「はい」が押圧されると、前記割込みジョブ管理手段84により前記ジョブ記憶手段80に記憶されている当該割込みジョブに対して割込みフラグがセットされ、前記ジョブ管理手段81により現在実行中の画像形成ジョブが中断され(S19)、当該割込みプリントジョブが実行されるように管理制御され(S20)、当該割込みプリントジョブウィンドウが閉じられる(S21)。前記ジョブ管理手段81は、割込みプリントジョブ終了後、中断していた画像形成ジョブを再開する。
【0055】
前記割込みジョブ表示手段83により表示されている割込みジョブウィンドウ200に対する選択操作がなされないときに、前記ジョブ管理手段81により管理されている実行中の画像形成ジョブが終了すると、前記ジョブ管理手段81は前記ジョブ記憶部81に記憶されている他の画像形成ジョブを要求順に実行管理することになるが、このときに割込みジョブウィンドウ200に表示されている割込みジョブがジョブ実行順序となるときには、前記割込みジョブ管理手段84の指示に基づいて当該割込みジョブウィンドウが消去されるように構成されている。
【0056】
以下に、別実施形態を説明する。上述の実施形態では、前記デジタル複合機1が画像形成ジョブを実行中にPCからプリントジョブが要求される場合に割り込み処理がされる場合を説明したが、画像形成ジョブの実行中に外部からのFAX受信があった場合や、画像形成ジョブの実効中に前記操作部2で割込みキーが操作された場合、更にはそれらが混在する場合についても、本発明による割込み制御を適用することができる。
【0057】
例えば、FAXジョブに対して割込み制御が行なわれる場合には、前記割込みジョブ識別テーブルに記憶されるテーブルデータとして、送信元のユーザ名またはFAX番号、FAXジョブの枚数等を採用することができ、特定の送信元からの受信や枚数の少ない受信を割込み対象ジョブとして設定することができる。更には、メモリ受信モードでの受信や親展受信を割込みジョブから排除するように設定することも可能である。
【0058】
図8(a)に示すように、この場合の割込みジョブウィンドウ300には、タスク表示部301に送信元の企業名(もしくは、氏名、電話番号等)やFAXジョブであることを示すアイコン等の識別情報が表示され、コンテンツ表示部302に受信日時、出力用紙枚数等のジョブデータの一部及び当該割込みジョブの実行の許否を設定入力する「はい」、「いいえ」の選択キー304が表示される。
【0059】
複数の割込みジョブが要求されると、図8(b)に示すように、複数の割込みジョブに対するウィンドウ表示を個別に識別可能な状態で重畳表示する点、割込み優先順位や要求順位に基づいて重畳表示される等の表示態様は上述と同様である。
【0060】
上述の実施形態では、割込みジョブ表示手段により、複数の割込みジョブウィンドウを、割込みジョブを個別に識別可能な識別情報を表示するタスク表示部が重ならないように重畳表示するものを説明したが、複数の割込みジョブに対するウィンドウ表示を個別に識別可能な状態で重畳表示する態様としては、図9に示すように、複数の割込みジョブウィンドウを個別に識別可能な識別情報が複数のタブに表示されるタブ方式を採用してもよい。この場合、タブがタスク表示部となり、選択されたタブ207の表示画面がコンテンツ表示部となり、各タブ画面の選択、消去等の制御は上述と同様に行なわれるように構成することができる。
【0061】
上述の実施形態では、割込みジョブ識別手段が、割込み対象ジョブデータ及び割込み優先順位データで構成される割込みジョブ識別テーブルに基づいて割込みジョブであるか否か及び割込み優先順位が識別されるものを説明したが、割込み優先順位が設定されない場合には、画像形成ジョブの要求順に選択された割込みジョブが処理されるように構成することが可能で、割込み対象ジョブデータが設定されない場合には、画像形成ジョブの実行中に要求された他の全ての画像形成ジョブを割込みジョブとして識別されるように構成することができる。
【0062】
割込みジョブ表示手段83により表示される割込みジョブウィンドウの表示タイミングは、割込みジョブ識別手段により割込みジョブと識別されたときのタイミングとしてもよいが、その時点で操作部2に対して何らかの操作が行なわれているときには、所定時間何らの操作も行なわれなくなったタイミングとしてもよい。後者の場合には操作部の操作中に割込みプリントジョブウィンドウが突然表示されて、他のメニュー選択操作が困難になるのを解消することができる。
【0063】
上述の実施形態では、複写ジョブ実行中に複数のプリントジョブが要求される場合について述べたが、プリントジョブ実行中に他の複数のプリントジョブや複写ジョブが要求される場合であっても、FAXジョブ実行中に複数のプリントジョブやFAXジョブが要求される場合であっても、本発明を適用することができる。
【0064】
上述した何れの実施形態も本発明の一例に過ぎず、本発明の作用効果を奏する範囲において各ブロックの具体的構成等を適宜変更設計できることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0065】
1:デジタル複合機(画像形成装置)
82:割込みジョブ識別手段
83:割込みジョブ表示手段
84:割込み制御手段
85:割込み選択手段
86:キー操作検出手段
200、210:割込みプリントジョブウィンドウ(ウィンドウ)
201、301:タスク表示部
202、302:コンテンツ表示部
204、304:選択キー
300、310:割込みFAXジョブウィンドウ(ウィンドウ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成ジョブの実行中に要求された他の画像形成ジョブを割込みジョブとしてウィンドウ表示する割込みジョブ表示手段と、前記割込みジョブ表示手段に表示された割込みジョブを実行するか否かを選択する割込みジョブ選択手段と、前記割込みジョブ選択手段により割込みジョブの実行が選択されたときに前記割込みジョブを実行する割込み制御手段を備えて構成される画像形成装置であって、
前記割込みジョブ表示手段は、画像形成ジョブの実行中に要求された複数の割込みジョブに対するウィンドウ表示を個別に識別可能な状態で重畳表示するとともに、割込みジョブに対するウィンドウ表示のうち最上面に表示されるウィンドウに、ウィンドウ表示された全ての割込みジョブに対する割込みジョブを取消し操作する全消去キーを表示するように構成されている画像形成装置。
【請求項2】
前記割込みジョブ表示手段は、要求された割込みジョブを要求順に従って背面から上面に重畳表示する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記割込みジョブ表示手段は、要求された割込みジョブの優先順位に従って上面から背面に重畳表示する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記割込みジョブ表示手段により表示されるウィンドウは、各割込みジョブを個別に識別可能な識別情報を表示するタスク表示部と各画像形成ジョブの詳細情報を表示するコンテンツ表示部で構成され、少なくともタスク表示部が個別に識別可能な状態で重畳表示される請求項1から3の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記割込みジョブ表示手段は、重畳表示されたウィンドウの何れかが選択されたときに選択された割込みジョブを最前面に表示するように構成されている請求項1から4の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記割込みジョブ選択手段は、前記コンテンツ表示部に表示される選択キーと、前記選択キーに対する操作を検出するキー操作検出手段を備えて構成されている請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記割込みジョブ表示手段は、前記キー操作検出手段により前記選択キーの操作が検出されたときに対応するウィンドウを閉じるように構成されている請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記割込みジョブ表示手段は、表示されたウィンドウに対する操作が所定時間なされないときに対応するウィンドウを閉じるように構成されている請求項6または7記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記割込みジョブ表示手段は、重畳表示されるウィンドウ数が所定数を超えるときに新たなウィンドウの表示に対応して最先に表示されたウィンドウを閉じるように構成されている請求項1から7の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記割込みジョブ表示手段は、重畳表示されるウィンドウ数が所定数を超えるときに新たなウィンドウの表示に対応して最背面のウィンドウを閉じるように構成されている請求項1から7の何れかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−257766(P2011−257766A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159401(P2011−159401)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【分割の表示】特願2005−142875(P2005−142875)の分割
【原出願日】平成17年5月16日(2005.5.16)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】