説明

画像形成装置

【課題】著作権者の利益を確保し、かつ、ユーザの利便性を向上させつつ、電子ブック端末に記録されている、コピー制限が設定された電子ブックデータのコピー制御を実行する画像形成装置を提供すること。
【解決手段】コピー制限解除部211cは、電子ブック端末に記録されている、コピー制限が設定された電子ブックデータを電子ブック端末から消去すること、又は、前記電子ブックデータに係る著作権料の入金により、当該電子ブックデータのコピー制限を解除する。電子ブックデータコピー制御部211は、コピー制限解除部211cの動作により、コピー制限が設定された電子ブックデータのコピーを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ブック端末と接続し、当該端末に記録された電子ブックデータをコピーする画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サーバ装置等から電子ブック端末に電子ブックデータをダウンロードし、当該端末にて、当該電子ブックデータを閲覧することが行われている(特許文献1参照)。電子ブックデータは、小説、新聞、雑誌、漫画等の各種コンテンツに係る文章、画像等の電子データから構成されるものである。
【0003】
電子ブックデータに係るコンテンツの著作権者(複製権者、出版権者)を保護するため、通常、電子ブックデータには複製制限が設定される。以下、複製制限として、電子ブックデータのコピー(印刷)制限について説明する。
【0004】
前記コピー制限が設定された電子ブックデータは、ダウンロード先の電子ブック端末においてのみ閲覧が可能であり、当該電子ブックデータを紙媒体にコピーすることは制限されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−134330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コピー制限が設定された電子ブックデータであっても、ユーザによっては、紙媒体で読みたいニーズもあり、紙媒体にコピーできないと不便なこともある。
他方、電子ブックデータのコピーを許可すると電子ブックデータの著作権者の利益(権利)を大きく損なうことになる。
【0007】
本発明は、著作権者の利益を確保し、かつ、ユーザの利便性を向上させつつ、電子ブック端末に記録されている、コピー制限が設定された電子ブックデータのコピー制御を実行する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の技術手段は、コピー制限が設定された電子ブックデータが記録された電子ブック端末と接続する端末接続部と、前記電子ブックデータを前記電子ブック端末から消去する消去部と、前記電子ブックデータに設定されたコピー制限に予め定められた所定の著作権料の入金確認部と、前記電子ブックデータを前記電子ブック端末から消去すること、又は、前記電子ブックデータに係る著作権料の入金により、前記電子ブックデータのコピー制限を解除するコピー制限解除部とを備え、前記コピー制限解除部の動作により、前記電子ブックデータのコピーを可能にすることを特徴とする画像形成装置である。
【0009】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記消去部は、前記電子ブックデータの消去を指示する消去コマンドを前記電子ブック端末に送信し、当該消去コマンドに対する当該電子ブック端末からの消去完了コマンドを受信することにより、前記電子ブックデータのコピー制限を解除することを特徴とするものである。
【0010】
第3の技術手段は、第2の技術手段において、前記端末接続部を介してコピー制限が設定された前記電子ブックデータを受信、記録し、前記コピー制限が解除された前記電子ブックデータのコピーが失敗すると、当該電子ブックデータを前記電子ブック端末に送信することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電子ブック端末に記録されている、コピー制限が設定された電子ブックデータであっても、前記電子ブックデータを電子ブック端末から消去すること、又は、前記電子ブックデータに係る著作権料の入金により、当該電子ブックデータに設定されているコピー制限を解除し、当該電子ブックデータをコピーすることができる。
その結果、著作権者の利益を確保し、かつ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】電子ブックデータ送信サーバ装置、本発明に係る画像形成装置、課金装置、電子ブック端末で構成する電子ブックシステムの一例を示す概略図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置の機能ブロック図である。
【図3】電子ブック端末の機能ブロック図である。
【図4】画像形成装置に表示される操作画面の一例である。
【図5】電子ブックデータコピー用操作画面の一例である。
【図6】コピーする電子ブックデータの選択画面の一例である。
【図7】コピーに必要な著作権料及びコピー代金を示す代金画面の一例である。
【図8】コピー中であることをユーザに報知する報知画面の一例である。
【図9】コピーに必要なコピー代金を示す代金画面の一例である。
【図10】コピー中であることをユーザに報知する報知画面の一例である。
【図11】コピーが失敗したことをユーザに報知する報知画面の一例である。
【図12A】コピー制限が設定された電子ブックデータのコピー制御を実行する処理を説明する第1フロー図である。
【図12B】コピー制限が設定された電子ブックデータのコピー制御を実行する処理を説明する第2フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、電子ブックデータ送信サーバ装置(以下、送信サーバ装置と略記する)1、本発明に係る画像形成装置2、課金装置3、電子ブック端末4で構成する電子ブックシステムの一例を示す概略図である。
【0014】
送信サーバ装置1は、電子ブックデータを記録(管理)し、画像形成装置2又は電子ブック端末4からの電子ブックデータ送信要求に基づき、画像形成装置2又は電子ブック端末4に電子ブックデータを送信する。他にも、記録されている電子ブックデータをコピーするのに必要な著作権料も記録する。
【0015】
画像形成装置2は、電子ブック端末4に記録されている、コピー制限が設定された電子ブックデータであっても、前記電子ブックデータを電子ブック端末4から消去すること、又は、前記電子ブックデータに係る著作権料(コピーに必要な著作権料)の入金により、当該電子ブックデータに設定されているコピー制限を解除し、当該電子ブックデータのコピーを可能にする機能を備える。詳細については、後述する。
【0016】
なお、画像形成装置2は、送信サーバ装置1に対して電子ブックデータの送信要求を行い、送信サーバ装置1から送信された電子ブックデータをダウンロード(受信)し、記録する。そして、電子ブック端末4からの電子ブックデータ送信要求に基づき、記録している電子ブックデータを電子ブック端末4に送信する。
【0017】
課金装置3は、コインボックス等から構成され、投入された代金額(料金額)を示す代金情報を画像形成装置2に送信する。
【0018】
電子ブック端末4は、端末内に記録された電子ブックデータを表示出力する。なお、電子ブック端末4は、画像形成装置2を介して送信サーバ装置1から電子ブックデータをダウンロードして記録することもできるし、また、送信サーバ装置1から電子ブックデータを直接ダウンロードして記録することもできる。
【0019】
図2は、画像形成装置2の機能ブロック図で、画像形成装置2は、ネットワーク接続部201、課金装置接続部202、端末接続部203、操作部204、表示部205、画像形成部206、記録部207、メモリ208、電子ブックデータダウンロード部210、電子ブックデータコピー制御部211、制御部212を備える。
【0020】
ネットワーク接続部201は、ネットワークNに対するインターフェイス機能を提供し、ネットワークNに接続している送信サーバ装置1とデータ送受信を実行する。
【0021】
課金装置接続部202は、課金装置3と接続し、課金装置3から送信される代金情報を受信する。
【0022】
端末接続部203は、例えば、無線通信機能、赤外線通信機能を備え、電子ブック端末4と接続しデータ送受信を実行する。
【0023】
操作部204は、テンキーやコピースタートキー等から構成され、画像形成装置2を操作する操作パネルである。
表示部205は、液晶パネル、タッチパネル等から構成され、各種操作画面や画像形成装置の状態情報を表示する。
【0024】
画像形成部206は、感光体ドラム、印字ユニット等を備え、電子ブックデータの画像形成(コピー)を実行する。
記録部207は、HDD(Hard Disk Drive)等から構成される大容量記録装置で、送信サーバ装置1からダウンロードした電子ブックデータ等を記録する。メモリ208は、各種制御情報を記録する。
【0025】
電子ブックデータダウンロード部210は、送信サーバ装置1から電子ブックデータをダウンロードし、記録部207に記録する処理を実行する。ダウンロードした電子ブックデータは、例えば、画像形成部206によりコピーされたり、電子ブック端末4に送信される。
【0026】
電子ブックデータコピー制御部211は、電子ブック端末4に記録されている、コピー制限が設定された電子ブックデータのコピー処理を制御する。また、電子ブックデータコピー制御部211は、電子ブックデータ消去部211a、入金確認部211b、コピー制限解除部211cを備える。
【0027】
電子ブックデータ消去部211aは、電子ブック端末4に記録されている、コピー制限が設定された電子ブックデータをコピーする際に、当該電子ブックデータを電子ブック端末4から消去する。
【0028】
入金確認部211bは、電子ブック端末4に記録されている、コピー制限が設定された電子ブックデータをコピーする際に、当該電子ブックデータに設定されたコピー制限に予め定められた所定の著作権料の入金確認を行う。なお、前記所定の著作権料については、後述する。
【0029】
コピー制限解除部211cは、前記電子ブックデータを電子ブック端末4から消去すること、又は、前記電子ブックデータに係る著作権料の入金により、当該電子ブックデータのコピー制限を解除する。
【0030】
電子ブックデータコピー制御部211は、コピー制限解除部211cの動作により、前記電子ブックデータのコピーを可能にする。画像形成部206は、コピー制限が解除された電子ブックデータを印刷用データに変換し、コピーする。
【0031】
制御部212は、CPU、RAM、ROM等から構成され、各機能ブロックを制御すると共に、画像形成部206の動作状態を監視し、電子ブックデータのコピーが失敗したか否かを検知する。
【0032】
図3は、電子ブック端末4の機能ブロック図で、電子ブック端末4は、画像形成装置接続部401、表示部402、電子ブックデータダウンロード部403、電子ブックデータ記録部404、電子ブックデータ管理部405、メモリ406、制御部407を備える。
【0033】
画像形成装置接続部401は、例えば、無線通信機能、赤外線通信機能を備え、画像形成装置2と接続しデータ送受信を実行する。
表示部402は、液晶パネル、タッチパネル等から構成され、電子ブックデータや、操作用画面を表示する。
【0034】
電子ブックデータダウンロード部403は、画像形成装置2を介して送信サーバ装置1から電子ブックデータをダウンロードし、電子ブックデータ記録部404に記録する処理等を実行する。なお、送信サーバ装置1から電子ブックデータを直接ダウンロードしてもよい。この場合、送信サーバ装置1と接続するための接続部(ネットワーク接続部)を設ける。
【0035】
電子ブックデータ記録部404は、不揮発性メモリ等から構成され、電子ブックデータを記録する。
電子ブックデータ管理部405は、電子ブックデータ記録部404に記録されている電子ブックデータの管理を行う。また、前記電子ブックデータの属性情報を管理する。前記属性情報には、電子ブックデータの名称(書籍名)等の電子ブックデータに係る各種情報が記録されている。
【0036】
メモリ406は、各種制御情報を記録する。
制御部407は、CPU、RAM、ROM等から構成され、電子ブックデータの表示処理を制御すると共に、各機能ブロックを制御する。
【0037】
以下に、画像形成装置2において実行されるコピー制限が設定された電子ブックデータのコピー制御を説明する。なお、電子ブック端末4の電子ブックデータ記録部404には、既に、コピー制限が設定された書籍名“AAA”〜“DDD”の電子ブックデータが記録され、電子ブックデータ管理部405は、各電子ブックデータの属性情報を管理しているものとする。
【0038】
まず、ユーザが、画像形成装置2の表示部205に表示されている、図4に示す操作画面40の“書籍購入ボタン”41を操作すると、電子ブックデータコピー制御部211は、図5に示す電子ブックデータコピー用操作画面50を表示部205に表示する。
【0039】
ユーザが、“電子ブック端末からのコピーボタン”51を操作すると、電子ブックデータコピー制御部211は、図6に示す選択画面60を表示部205に表示する。
なお、ユーザが、“書籍データ(購入)ダウンロードボタン”52を操作すると、電子ブックデータダウンロード部210は、ユーザにより選択された電子ブックデータを送信サーバ装置1からダウンロードして、端末接続部203を介して接続している電子ブック端末4に送信する。また、ユーザが、“書籍データ(購入)ブック印刷ボタン”53を操作すると、電子ブックデータダウンロード部210は、ユーザにより選択された電子ブックデータを送信サーバ装置1からダウンロードして、画像形成部206が、当該電子ブックデータを印刷する。
【0040】
ユーザが、“電子ブック端末からのコピーボタン”51を操作することにより表示された図6に示す選択画面60は、案内文章61、電子ブック端末4に記録されている電子ブックデータの中からコピーする電子ブックデータを選択する電子ブックデータ選択ボックス62、電子ブックデータを電子ブック端末4に残したままコピーする“残すボタン”63、電子ブックデータを電子ブック端末4に残さずに電子ブック端末4から消去してコピーする“残さないボタン”64を有する。
【0041】
ユーザが、選択画面60の案内文章61に従って、電子ブック端末4と画像形成装置2を接続し、両者間でデータ通信を実行できる状態にする。例えば、ユーザが、電子ブック端末4を画像形成装置2の近傍に近づけると、電子ブック端末4の画像形成装置接続部401と画像形成装置2の端末接続部203間で自動的に接続処理が実行され、データ送受信が可能になる。
【0042】
前記接続処理が終了すると、画像形成装置2の電子ブックデータコピー制御部211は、電子ブック端末4の電子ブックデータ管理部405から、電子ブックデータ記録部404に記録されている電子ブックデータの属性情報を取得する。
【0043】
電子ブックデータコピー制御部211は、取得した属性情報に基づき、電子ブック端末4に記録されている電子ブックデータの書籍名を電子ブックデータ選択ボックス62に表示する。
電子ブックデータ選択ボックス62には、書籍名“AAA”〜“DDD”の電子ブックデータが表示されている。
【0044】
ユーザが、コピーする電子ブックデータの書籍名として“CCC”を選択し、コピーするページとして01〜99を選択するとする。なお、説明のため、書籍名“CCC”の電子ブックデータは99ページの書籍であるとする。つまり、ユーザは、書籍名“CCC”の電子ブックデータを全ページコピーする。以下の説明では、コピー対象となる書籍名“CCC”の電子ブックデータを電子ブックデータCと記す。
【0045】
更に、ユーザが、“残すボタン”63を操作すると、電子ブックデータコピー制御部211は、電子ブックデータCを送信するように指示する送信コマンドを電子ブック端末4に送信する。前記送信コマンドを受信した電子ブック端末4の電子ブックデータ管理部405は、電子ブックデータCを画像形成装置2に送信する。このとき、電子ブックデータCは、電子ブック端末4の電子ブックデータ記録部404に記録されたままである(消去されていない)。
【0046】
画像形成装置2の電子ブックデータコピー制御部211は、電子ブックデータCを受信する。以下の説明では、電子ブック端末4に対して電子ブックデータの送信要求を行い、当該送信要求に応じて送信された電子ブックデータを取得(受信)する処理を電子ブックデータの取得と記す。
【0047】
次いで、電子ブックデータコピー制御部211は、電子ブックデータCに設定されたコピー制限に対応して予め定められた所定の著作権料に基づき、コピーに必要な著作権料及びコピー代金を決定する。コピーに必要な著作権料とは、電子ブックデータCに係る著作権料(前記所定の著作権料)に対応するものであり、前記コピー代金は、トナー代金、紙代金に相当するものである。
【0048】
前記所定の著作権料は、電子ブックデータCのヘッダ領域等に格納されている場合もあるし、また、送信サーバ装置1に電子ブックデータCに対応付けられて記録されている場合もある。
前者の場合には、電子ブックデータコピー制御部211は、電子ブックデータCのヘッダ領域等から前記所定の著作権料を抽出する。後者の場合には、電子ブックデータコピー制御部211は、送信サーバ装置1から電子ブックデータCに対応付けられて記録されている前記所定の著作権料を取得する。なお、画像形成装置2の記録部207に予め記録してもよい。
【0049】
電子ブックデータコピー制御部211は、決定したコピーに必要な著作権料及びコピー代金に基づき、図7に示す代金画面70を表示する。
【0050】
ユーザが、代金画面70の指示に従って、課金装置3に代金を投入すると、課金装置3は、投入された代金額を示す代金情報を画像形成装置2に送信する。前記代金情報を受信した画像形成装置2の入金確認部211bは、少なくとも、コピーに必要な著作権料が入金されたことを確認する。
【0051】
前記著作権料の入金が入金確認部211bによって確認されると、コピー制限解除部211cは、電子ブックデータCのコピー制限を解除する。
【0052】
次いで、電子ブックデータCのコピー代金の入金が確認されると、電子ブックデータコピー制御部211は、コピー制限が解除された電子ブックデータCを、画像形成部206に出力する。
【0053】
同時に、電子ブックデータコピー制御部211は、図8に示す報知画面80を表示する。
ユーザが、報知画面80の指示に従って、操作部204のスタートキーを操作すると、画像形成部206は、電子ブックデータCを印刷用データに変換し、コピーを実行する。
【0054】
即ち、電子ブックデータCのコピーに必要な著作権料及びコピー代金の総額(600円)の入金確認が行われると、電子ブックデータCのコピー制限が解除され、コピーされる。
【0055】
このようにすることで、コピー制限が設定された電子ブックデータであっても、コピー代金に加えてコピーに必要な著作権料が別途入金された場合には、当該電子ブックデータをコピーすることができる。
【0056】
図6の説明に戻る。図6に示した選択画面60において、ユーザが、選択画面60の“残さないボタン”64を操作すると、電子ブックデータコピー制御部211は、電子ブックデータCを電子ブック端末4から取得する。
【0057】
電子ブックデータコピー制御部211は、取得した電子ブックデータCを記録部207に記録する。電子ブックデータCの記録は、電子ブックデータCのコピー処理に失敗した場合に備えて実行するものであり、詳細については後述する。
【0058】
次いで、電子ブックデータコピー制御部211は、コピー代金を決定する。前記代金は、コピーに必要な著作権料を含まないものであり、コピー枚数等に基づいて決定される。
電子ブックデータコピー制御部211は、決定したコピー代金に基づき、図9に示す代金画面90を表示する。
【0059】
ユーザが代金画面90の指示に従って、課金装置3に代金を投入すると、課金装置3は、投入された代金額を示す代金情報を画像形成装置2に送信する。前記代金情報を受信した画像形成装置2の電子ブックデータコピー制御部211は、決定したコピー代金(100円)が入金されたか否かを確認する。
【0060】
入金確認部211bが入金を確認すると、電子ブックデータ消去部211aは、電子ブックデータCを消去するように指示する消去コマンドを電子ブック端末4に送信する。前記消去コマンドを受信した電子ブック端末4の電子ブックデータ管理部405は、電子ブックデータ記録部404に記録されている電子ブックデータCを消去する。前記消去の実行後、電子ブックデータCを電子ブックデータ記録部404から消去したことを示す消去完了コマンドを画像形成装置2に送信する。
【0061】
画像形成装置2の電子ブックデータコピー制御部211が、前記消去完了コマンドを受信すると、コピー制限解除部211cは、記録部207に記録されている電子ブックデータCのコピー制限を解除し、画像形成部206は、コピー制限が解除された電子ブックデータCをコピーする。同時に、電子ブックデータコピー制御部211は、図10に示す報知画面100を表示する。前記コピーが正常に終了すると、電子ブックデータ消去部211aは、画像形成装置2の記録部207に記録されている電子ブックデータCを消去する。
【0062】
このようにすることで、コピー制限が設定された電子ブックデータであっても、前記電子ブックデータを電子ブック端末から消去すると、当該電子ブックデータをコピーすることができる。
また、コピー実行中に、画像形成装置2と電子ブック端末4の通信が切断されても、電子ブック端末4には電子ブックデータが残らないので、不正コピーを防止することができる。
【0063】
ところで、前述したように、画像形成装置2の画像形成部206は、コピー制限が解除された電子ブックデータCをコピーするが、用紙詰まり(ジャム)、用紙・トナー切れ等が原因でコピーが失敗することがある。
【0064】
そこで、画像形成装置2の制御部212が、電子ブックデータCのコピーが失敗したことを検知すると、電子ブックデータコピー制御部211は、図11に示す報知画面110を表示する。同時に、記録部207に記録した電子ブックデータCを電子ブック端末4に送信し、当該電子ブックデータを電子ブック端末4に書き戻す処理を実行する。また、課金装置3に対して入金された代金を返却するように指示する。
【0065】
図12Aは、コピー制限が設定された電子ブックデータのコピー制御を実行する処理を説明する第1フロー図、図12Bは、同第2フロー図である。以下の説明では、既に、電子ブック端末4にコピー対象となる電子ブックデータCが記録されているものとする。
【0066】
図5に示す電子ブックデータコピー用操作画面50内の“電子ブック端末からのコピーボタン”51をユーザが操作することにより表示された、図6に示す選択画面60の指示に従って、ユーザが電子ブック端末4と画像形成装置2を接続する(ステップS1)。
【0067】
接続後、画像形成装置2の電子ブックデータコピー制御部211は、電子ブック端末4の電子ブックデータ管理部405から、電子ブックデータ記録部404に記録されている電子ブックデータC等の属性情報を取得する(ステップS2)。
【0068】
ユーザが、選択画面60の電子ブックデータ選択ボックス62からコピー対象となる電子ブックデータCを選択し、電子ブックデータCを電子ブック端末4に残したままコピーする“残すボタン”63を操作すると(ステップS3/残すボタン操作)、電子ブックデータコピー制御部211は、電子ブックデータCを電子ブック端末4から取得し(ステップS4)、電子ブックデータCに設定されたコピー制限に対応して予め定められた所定の著作権料に基づき、コピーに必要な著作権料及びコピー代金を決定する(ステップS5)。
【0069】
入金確認部211bが、電子ブックデータコピー制御部211が決定したコピーに必要な著作権料が入金されたことを確認すると(ステップS6/YES)、コピー制限解除部211cは、電子ブックデータCのコピー制限を解除する(ステップS7)。
【0070】
入金確認部211bが、著作権料に加えてコピー代金の入金、即ち、著作権料及びコピー代金の総額の入金を確認すると(ステップS8/YES)、画像形成部206は、コピー制限が解除された電子ブックデータCを印刷用データに変換し、コピーを実行する(ステップS9)。
【0071】
ステップS3において、電子ブックデータCを電子ブック端末4に残さずにコピーする“残さないボタン”64(図6参照)を操作すると(ステップS3/残さないボタン操作)、電子ブックデータコピー制御部211は、電子ブックデータCを電子ブック端末4から取得し、記録部207に記録する(ステップS10)。
【0072】
次いで、電子ブックデータコピー制御部211は、コピー代金を決定する(ステップS11)。なお、前述したように、前記コピー代金には、電子ブックデータCのコピーに必要な著作権料は含まれない
【0073】
入金確認部211bが、電子ブックデータコピー制御部211が決定したコピー代金が入金されたことを確認すると(ステップS12/YES)、電子ブックデータ消去部211aは、電子ブックデータCを消去するように指示する消去コマンドを電子ブック端末4に送信する(ステップS13)。
【0074】
電子ブックデータ消去部211aが、電子ブックデータCを消去したことを示す消去完了コマンドを電子ブック端末4から受信すると(ステップS14/YES)、コピー制限解除部211cは、記録部207に記録されている電子ブックデータCのコピー制限を解除し、画像形成部206は、コピー制限が解除された電子ブックデータCをコピーする(ステップS15)。
【0075】
制御部212が、電子ブックデータCのコピーが正常に終了(成功)したことを検知すると(ステップS16/コピー成功)、電子ブックデータ消去部211aは、画像形成装置2の記録部207に記録されている電子ブックデータCを消去する(ステップS17)。
【0076】
制御部212が、電子ブックデータCのコピーが失敗したことを検知すると(ステップS16/失敗)、電子ブックデータコピー制御部211は、記録部207に記録されている電子ブックデータCを電子ブック端末4に送信し、電子ブックデータCを電子ブック端末4に書き戻す処理を実行する(ステップS18)。
【0077】
なお、図12A、図12Bで説明したステップを省略したり、入れ替えてもよい。例えば、図12Aのフロー図では、コピーに必要な著作権料の入金確認後(ステップS6/YES)、コピー制限解除部211cが、電子ブックデータCのコピー制限を解除し(ステップS7)、更に、著作権料及びコピー代金の総額の入金確認後(ステップS8/YES)、コピー制限が解除された電子ブックデータCのコピーを実行(ステップS9)している。
【0078】
しかし、著作権料及びコピー代金の総額の入金確認後(ステップS8/YES)、電子ブックデータCのコピー制限を解除し(ステップS7)、コピー制限が解除された電子ブックデータCのコピーを実行(ステップS9)してもよい。即ち、ステップS6の処理を省略し、ステップS8の判定処理の後に、ステップS7の処理を実行し、次いで、ステップ9の処理を実行してもよい。
【0079】
また、図12Bのフロー図では、コピー代金の入金確認後(ステップS12/YES)、ステップS13、S14の処理を実行しているが、電子ブックデータCの消去完了コマンドを受信した後(ステップS14/YES)、コピー代金の入金確認(ステップS12)を実行してもよい。即ち、ステップS14の後に、ステップS12を実行し、その後、ステップS15を実行してもよい。
【0080】
(付記)
課金装置3として、コインボックスを例示したが、他にも、クレジットカード決済システム、電子マネー決済システム、プリベートカード決済システム等を利用することができる。
【0081】
電子ブックデータのコピーページとして、全ページを選択した場合を例示したが、電子ブックデータにおける例えば、ページ数、行数等の任意の範囲を選択することができる。
【0082】
このとき、電子ブックデータを電子ブック端末4に残したままコピーする場合、電子ブックデータコピー制御部211は、コピーするページ数、行数、更には、文字数等のコピーデータ量に基づいて、コピーに必要な著作権料を決定する。例えば、全ページ数がXページの電子ブックデータをXページコピーする場合を想定し、仮に、前記電子ブックデータを全ページコピーするのに必要な著作権料はY円だとする。この場合、前記電子ブックデータをXページコピーするのに必要な著作権料を、例えば、(X/X)×Yとする。
【0083】
このようにすることで、ユーザがコピーしたい範囲のみをコピーすることができる。また、著作権料をきめ細かに決定することができる。その結果、ユーザの利便性が向上する。特に、コピーするページ数を選択できるので、操作が容易になる。また、ページの途中からコピーすることができ、不要部分をコピーすることがない(無駄な部分のコピーを防止できる)。
【0084】
また、電子ブックデータを電子ブック端末4に残さずにコピーする場合、電子ブックデータコピー制御部211は、前記電子ブックデータにおける前記選択された任意の範囲を消去するように指示する消去コマンドを電子ブック端末4に送信する。前記消去コマンドを受信した電子ブック端末4の電子ブックデータ管理部405は、電子ブックデータ記録部404に記録されている前記電子ブックデータにおける前記選択された任意の範囲を消去する。
【0085】
このようにすることで、ユーザがコピーしたい場所のみをコピーすることができる。その結果、ユーザの利便性が向上する。特に、コピーするページ数を選択できるので、操作が容易になる。また、ページの途中からコピーすることができ、不要部分をコピーすることがない(無駄な部分のコピーを防止できる)。
【符号の説明】
【0086】
1…電子ブックデータ送信サーバ装置(送信サーバ装置)、2…画像形成装置、201…ネットワーク接続部、202…課金装置接続部、203…端末接続部、204…操作部、205…表示部、206…画像形成部、207…記録部、208…メモリ、210…電子ブックデータダウンロード部、211…電子ブックデータコピー制御部、211a…電子ブックデータ消去部、211b…入金確認部、211c…コピー制限解除部、212…制御部、3…課金装置、4…電子ブック端末、401…画像形成装置接続部、402…表示部、403…電子ブックデータダウンロード部、404…電子ブックデータ記録部、405…電子ブックデータ管理部、406…メモリ、407…制御部、40…操作画面、50…電子ブックデータコピー用操作画面、60…選択画面、70…代金画面、80…報知画面、90…代金画面、100…報知画面、110…報知画面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コピー制限が設定された電子ブックデータが記録された電子ブック端末と接続する端末接続部と、
前記電子ブックデータを前記電子ブック端末から消去する消去部と、
前記電子ブックデータに設定されたコピー制限に予め定められた所定の著作権料の入金確認部と、
前記電子ブックデータを前記電子ブック端末から消去すること、又は、前記電子ブックデータに係る著作権料の入金により、前記電子ブックデータのコピー制限を解除するコピー制限解除部とを備え、
前記コピー制限解除部の動作により、前記電子ブックデータのコピーを可能にすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記消去部は、前記電子ブックデータの消去を指示する消去コマンドを前記電子ブック端末に送信し、当該消去コマンドに対する当該電子ブック端末からの消去完了コマンドを受信することにより、前記電子ブックデータのコピー制限を解除することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記端末接続部を介してコピー制限が設定された前記電子ブックデータを受信、記録し、
前記コピー制限が解除された前記電子ブックデータのコピーが失敗すると、当該電子ブックデータを前記電子ブック端末に送信することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【公開番号】特開2011−257903(P2011−257903A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130742(P2010−130742)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】