説明

画像形成装置

【課題】画像形成の生産性の低下を抑制しつつ記録材に発生する汚れを低減する。
【解決手段】先行紙に後続する用紙が搬送されるに際し演算[(B−A)/B]を行い、演算結果Dを取得する。ここで「A」は先行して搬送される用紙の幅であり、「B」は後続して搬送される用紙の幅である。次いで演算結果Dが、予め定められた「小」、「中」、「大」のいずれの区分に属するかを把握する。また非通紙部の累積動作時間を把握する。そして不図示のメモリに記憶されたテーブル(同図(B)参照)を参照し、把握した区分と累積動作時間とに基づき、清掃用バイアスの印加時間を変更(長く)するか否かの決定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非通紙時に像担持体と転写手段との間に、現像剤を転写手段から像担持体へ転移させる方向の電界を形成する手段を有し、転写時前に転写材の幅および長さを検知し、その検知結果に応じて電界の大きさ又は印加時間を制御する画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、転写材の幅が前回の転写における転写材の幅より大きいときは、転写に先立つ転写ローラの前回転においてこの転写ローラに清掃用バイアスを印加するようにし、且つ、清掃用バイアスの印加時間を、他の非転写時における清掃用バイアスの印加時間より長くする転写ローラの清掃方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−287476号公報
【特許文献2】特開平6−51655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本件画像形成装置においては、本発明を採用しない場合に比べ、画像形成の生産性の低下を抑制しつつ記録材に発生する汚れを低減することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、トナー像を保持する像保持体と、前記像保持体に接触配置され当該像保持体との間に記録材が通過する通過部を形成し、当該通過部を通過する記録材に当該像保持体が保持するトナー像を転写する転写部材と、前記転写部材の清掃を行う清掃手段と、前記清掃手段が前記転写部材の清掃を行う際の清掃条件を決定する決定手段と、を備え、前記決定手段は、前記通過部を一の幅を有した一の記録材が複数枚通過した後に当該一の幅よりも大きい幅を有した他の記録材が当該通過部を通過する場合、前記転写部材のうち当該一の記録材が通過しない部分のトナーの付着に関わる情報を取得し、取得した当該情報に基づき、複数枚の当該一の記録材が当該通過部を通過した後の前記清掃条件を決定することを特徴とする画像形成装置である。
請求項2に記載の発明は、前記決定手段は、前記清掃手段が前記転写部材の清掃を行う際の清掃時間を前記清掃条件として決定し、前記一の記録材が前記通過部を順次通過する際の当該清掃時間を第1の清掃時間に決定し、前記トナーの付着に関わる情報により特定される値が予め定められた閾値を超える場合、複数枚の当該一の記録材が当該通過部を通過した後の当該清掃時間を当該第1の清掃時間よりも長い第2の清掃時間に決定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
請求項3に記載の発明は、前記決定手段は、前記清掃手段が前記転写部材の清掃を行う際の清掃時間を前記清掃条件として決定し、前記一の記録材が前記通過部を順次通過する際の当該清掃時間を第1の清掃時間に決定し、前記トナーの付着に関わる情報により特定される値が予め定められた閾値よりも小さい場合、複数枚の当該一の記録材が当該通過部を通過した後の当該清掃時間を当該第1の清掃時間に決定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
請求項4に記載の発明は、前記決定手段は、前記一の幅と前記大きい幅との差に関する情報を更に取得し、前記トナーの付着に関わる情報および当該差に関する情報に基づき、複数枚の前記一の記録材が前記通過部を通過した後の前記清掃条件を決定することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の画像形成装置である。
請求項5に記載の発明は、前記決定手段は、予め定められた部材の稼働情報または前記一の記録材の搬送枚数に関する情報を前記トナーの付着に関わる情報として取得し、当該情報に基づき、複数枚の当該一の記録材が前記通過部を通過した後の前記清掃条件を決定することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の画像形成装置である。
【0006】
請求項6に記載の発明は、トナー像を保持する像保持体と、前記像保持体に接触配置され当該像保持体との間に記録材が通過する通過部を形成し、当該通過部を通過する記録材に当該像保持体が保持するトナー像を転写する転写部材と、前記転写部材の清掃を行う清掃手段と、前記清掃手段が前記転写部材の清掃を行う際の清掃条件を決定する決定手段と、を備え、前記決定手段は、前記通過部を一の幅を有した一の記録材が複数枚通過した後に当該一の幅よりも大きい幅を有した他の記録材が当該通過部を通過する場合、予め定められた部材の稼働情報または当該一の記録材の搬送枚数に関する情報を取得し、取得した当該情報に基づき、複数枚の当該一の記録材が当該通過部を通過した後の前記清掃条件を決定することを特徴とする画像形成装置である。
請求項7に記載の発明は、前記決定手段は、回転可能に設けられた前記像保持体の稼働時間、当該像保持体の回転数、回転可能に設けられた前記転写部材の稼働時間、および当該転写部材の回転数の何れか一つを前記稼働情報として取得することを特徴とする請求項6記載の画像形成装置である。
請求項8に記載の発明は、前記決定手段は、前記画像形成装置内部の環境に関する環境情報を更に取得し、前記稼働情報または前記搬送枚数に関する情報、および当該環境情報に基づき、複数枚の前記一の記録材が前記通過部を通過した後の前記清掃条件を決定することを特徴とする請求項6又は7に記載の画像形成装置である。
請求項9に記載の発明は、前記他の記録材を回転させて前記通過部に供給し、又は、当該他の記録材が収容された収容部とは異なる収容部に収容され当該他の記録材とは向きが異なる状態で収容された記録材を当該他の記録材に替えて当該通過部に供給することで、当該他の記録材が有する前記大きい幅よりも小さい幅を有した状態の記録材を当該通過部に対し供給する供給手段を更に備えることを特徴とする請求項6乃至8の何れかに記載の画像形成装置である。
請求項10に記載の発明は、複数枚の前記一の記録材が前記通過部を通過してから前記他の記録材が当該通過部を通過するまでに要する第1の時間と、複数枚の当該一の記録材が当該通過部を通過してから前記供給手段により供給される記録材が当該通過部を通過するまでに要する第2の時間とを取得する取得手段を更に備え、前記供給手段は、前記取得手段により取得された前記第2の時間の方が前記第1の時間よりも短い場合に、前記他の記録材の回転を行いまたは前記異なる収容部からの記録材の供給を行うことを特徴とする請求項9記載の画像形成装置である。
【0007】
請求項11に記載の発明は、トナー像を保持する像保持体と、前記像保持体に接触配置され当該像保持体との間に記録材が通過する通過部を形成し、当該通過部を通過する記録材に当該像保持体が保持するトナー像を転写する転写部材と、前記転写部材の清掃を行う清掃手段と、前記清掃手段が前記転写部材の清掃を行う際の清掃条件を決定する決定手段と、を備え、前記決定手段は、前記通過部を一の幅を有した一の記録材が複数枚通過した後に当該一の幅よりも大きい他の幅を有した他の記録材が当該通過部を通過する場合、当該一の幅と当該他の幅との差に関する情報を取得し、取得した当該情報に基づき、複数枚の当該一の記録材が当該通過部を通過した後の前記清掃条件を決定することを特徴とする画像形成装置である。
請求項12に記載の発明は、前記決定手段は、前記清掃手段が前記転写部材の清掃を行う際の清掃時間を前記清掃条件として決定し、前記一の幅を有する前記一の記録材が前記通過部を順次通過する際の当該清掃時間を第1の清掃時間に決定し、当該一の幅と前記他の幅との差が予め定められた差よりも大きい場合、複数枚の当該一の記録材が当該通過部を通過した後の当該清掃時間を当該第1の清掃時間よりも長い第2の清掃時間に決定することを特徴とする請求項11記載の画像形成装置である。
請求項13に記載の発明は、前記清掃手段が前記転写部材の清掃を行う際の清掃時間を前記清掃条件として決定し、前記決定手段は、前記一の幅を有する前記一の記録材が前記通過部を順次通過する際の当該清掃時間を第1の清掃時間に決定し、当該一の幅と前記他の幅との差が予め定められた差よりも小さい場合、複数枚の当該一の記録材が当該通過部を通過した後の当該清掃時間を当該第1の清掃時間に決定することを特徴とする請求項11記載の画像形成装置である。
請求項14に記載の発明は、前記決定手段は、前記転写部材のうち前記一の記録材が通過しない部分のトナーの付着に関わる情報を更に取得し、前記差に関する情報および当該トナーの付着に関わる情報に基づき、複数枚の当該一の記録材が前記通過部を通過した後の前記清掃条件を決定することを特徴とする請求項11乃至13の何れかに記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、画像形成の生産性の低下を抑制しつつ記録材に発生する汚れを低減することができる。
請求項2の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、転写部材の清掃をより確実に行うことが可能となる。
請求項3の発明によれば、複数枚の一の記録材が通過部を通過した後の清掃時間が延びず画像形成の生産性の低下を抑制可能となる。
請求項4の発明によれば、例えば、一の記録材の幅と他の記録材の幅との差が小さくこの他の記録材に対するトナーの付着が目立ちにくい場合に、転写部材の清掃時間を短いものとすることができる。
請求項5の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、トナーの付着に関わる情報をより簡易に取得可能となる。
【0009】
請求項6の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、画像形成の生産性の低下を抑制しつつ記録材に発生する汚れを低減することができる。
請求項7の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、稼働情報をより簡易に取得可能となる。
請求項8の発明によれば、例えば、トナーが転写部材に付着しにくい状況であるにもかかわらず転写部材の清掃が長い時間行われることが防止される。
請求項9の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、複数枚の一の記録材に後続する記録材に発生する汚れが低減する。
請求項10の発明によれば、例えば、記録材を回転させることにより画像形成の生産性が低下することが抑制される。
【0010】
請求項11の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、画像形成の生産性の低下を抑制しつつ記録材に発生する汚れを低減可能となる。
請求項12の発明によれば、他の記録材の幅が大きくこの他の記録材に付着するトナーの量が多くなる場合に、転写部材の清掃時間が長くなる。
請求項13の発明によれば、他の記録材の幅が小さくこの他の記録材に付着するトナーの量が少なくなる場合、転写部材の清掃時間が長くならず画像形成の生産性が低下することが抑制される。
請求項14の発明によれば、例えば、転写部材の清掃時間を、転写部材のうち一の記録材が通過しない部分におけるトナーの付着に応じた清掃時間とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施の形態が適用された画像形成装置の概略構成を示した図である。
【図2】清掃用バイアスを説明するための図である。
【図3】転写装置の非通紙部に付着するトナーの量を説明するための図である。
【図4】転写装置と感光体ドラムとの関係等を示した図である。
【図5】用紙幅と汚れとの関係および画像形成時間と汚れとの関係を説明する図である。
【図6】画像形成装置の設置環境と用紙に発生する汚れとの関係を説明するための図である。
【図7】幅の狭い用紙が搬送された後に幅の広い用紙が搬送される状況を示した図である。
【図8】清掃用バイアスの印加時間を説明する図である。
【図9】清掃用バイアスの印加態様を示した図である。
【図10】印加時間の決定方法を説明するための図である。
【図11】用紙の搬送形態の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本実施の形態が適用された画像形成装置1の概略構成を示した図である。この画像形成装置1は、記録材の一例としての用紙にトナー像を形成する画像形成部10、画像形成部10によって用紙上に形成されたトナー像を加熱・加圧定着する定着部20、および画像形成部10に用紙を供給する用紙供給部30が設けられている。
【0013】
画像形成部10は、感光体ドラム11、帯電装置12、露光装置13、現像装置14、転写装置15、およびクリーニング装置16を備える。これらのうち、像保持体の一例としての感光体ドラム11は、その外周面に感光層を備えており、図中矢印方向に回転する。帯電装置12は、感光体ドラム11に接触した帯電ロールが用いられ、回転する感光体ドラム11を予め定められた電位に帯電する。露光装置13は、帯電装置12によって予め定められた電位に帯電した感光体ドラム11を選択的に露光して静電潜像を形成する。また、現像装置14は、感光体ドラム11上に形成された静電潜像をトナーで現像して感光体ドラム11上にトナー像を形成する。
【0014】
転写部材の一例としての転写装置15は、ロール状に形成されるとともに感光体ドラム11の軸方向に沿って設けられ、この感光体ドラム11に接触配置(押圧配置)されている。また転写装置15は、感光体ドラム11との間に、用紙が通過する通過部を形成する。なお、感光体ドラム11と転写装置15とが対向する対向部であって、感光体ドラム11に保持されているトナー像が用紙に転写される位置を、以下転写部Tpと呼ぶ。転写装置15は、バイアスを転写部Tpに印加することにより、感光体ドラム11上のトナー像を用紙に転写する。付言すると、転写装置15は、転写装置15と感光体ドラム11との間に電界を形成することにより、感光体ドラム11上のトナー像を用紙に転写する。クリーニング装置16は、転写後に感光体ドラム11上に残留するトナー等を除去する。
【0015】
供給手段の一例としての用紙供給部30は、異なるサイズの用紙を画像形成部10に対して供給可能なように第1給紙部31〜第3給紙部33を備えている。ここで第1給紙部31〜第3給紙部33は同様に構成されている。第1給紙部31を一例に説明すると、第1給紙部31は、用紙収容部41、引き込みロール43、および捌き機構44を備える。これらのうち、用紙収容部41は、上部が開口する直方体状の形状を有しておりその内部に用紙を収容する。引き込みロール43は、用紙収容部41に収容される用紙束のうち最上位の用紙に接触し、この最上位の用紙を捌き機構44側に向けて送り出す。捌き機構44は、例えば回転可能に配設されるフィードロールと回転が制限されたリタードロールとによって構成され、引き込みロール43にて送り出された用紙を一枚ずつに捌く。そして、捌かれた一枚の用紙を後述する第1搬送ロール45に向けて送り出す。
【0016】
また用紙供給部30は、第1搬送ロール45、第2搬送ロール55、および第3搬送ロール65を備える。第1搬送ロール45は、一対のロール状部材から構成され、第1給紙部31の捌き機構44から送られてくる用紙を一旦停止させた後、予め定められたタイミングを持って再送する。また、第2搬送ロール55も、一対のロール状部材から構成され、第2給紙部32の捌き機構44から送られてくる用紙を一旦停止させた後、予め定められたタイミングを持って再送する。さらに第3搬送ロール65も、一対のロール状部材から構成され、第3給紙部33の捌き機構44から送られてくる用紙を一旦停止させた後、予め定められたタイミングを持って再送する。なお、第1搬送ロール45および第2搬送ロール55は、より下段の第2給紙部32および第3給紙部33から用紙が供給される際に、用紙を用紙経路811に搬送するための搬送ロールとしても機能する。
【0017】
第1搬送ロール45の下流側に設けられた用紙経路811には、プレレジロール851およびレジストレーションロール(レジロール)852が取り付けられている。ここで、プレレジロール851は、第1搬送ロール45を介して搬送されてきた用紙をさらに下流側に向けて搬送するとともに、レジロール852と協同してループ形成を行う。また、レジロール852は、一旦停止することにより用紙の搬送を一時的に止め、タイミングを合わせて回転を再開することにより、転写部Tpに対してレジストレーション調整を施しながら用紙を供給する。また、用紙経路811は定着部20を通過するように構成されている。
【0018】
また画像形成装置1には、不図示のPCやスキャナ装置等からの画像データを受信する受信部400、画像形成部10、定着部20、および用紙供給部30の動作全般を制御する制御部500が設けられている。また、受信部400にて受信された画像データに画像処理を施した後に露光装置13に画像データを出力する画像処理部600が設けられている。さらに画像形成装置1には、ユーザからの指示を受け付けるとともに、ユーザに対してメッセージ等を表示するユーザインタフェース(UI)700が設けられている。また画像形成装置1には、画像形成装置1の内部の温度を測定する温度センサS1、画像形成装置1の内部の湿度を測定する湿度センサS2が設けられている。なお、制御部500は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、およびHDD(Hard Disk Drive)(何れも不図示)により構成されている。CPUでは、後述する処理の処理プログラムが実行される。ROMには、各種プログラム、各種テーブル、パラメータ等が記憶されている。RAMは、CPUによる各種プログラムの実行時におけるワークエリア等として用いられる。
【0019】
ここで本実施形態の画像形成装置1では転写部Tpを用紙が通過するとともにこの用紙に対して感光体ドラム11上のトナーが転写される。ところで感光体ドラム11には、用紙が通過する部分のみならず用紙が通過しない部分にもトナーが付着してしまう。即ち、用紙が通過する通紙部のみならず用紙が通過しない非通紙部にもトナーが付着してしまう。ここで、通紙部に付着したトナーは用紙に転写されることになるが、非通紙部に付着したトナーは転写装置15に付着する。そして転写装置15に付着したトナーは後に転写部Tpに搬送されてきた用紙の裏面に付着しこの用紙を汚してしまう。
【0020】
そこで本実施形態では、清掃手段の一部として機能する制御部500によって、画像形成の開始時などに、トナーと逆極性のバイアスが転写部Tpに印加され、転写装置15に付着したトナーが感光体ドラム11に戻される。即ち、転写装置15の清掃が行われる。また本実施形態では、複数枚の用紙が順次搬送される際にも、図2(清掃用バイアスを説明するための図)の(A)に示すように、転写部Tpに用紙が搬送されていないタイミングにて、トナーと逆極性のバイアスが転写部Tpに印加され、転写装置15に付着したトナーが感光体ドラム11に戻される。付言すれば、転写部Tpを用紙が通過する毎にトナーと逆極性のバイアスが転写部Tpに印加され、転写装置15の清掃が行われる。
【0021】
なお、同図(B)に示すように、トナーと同極性のバイアスを印加することで転写装置15にトナーを一旦保持させるとともに、予め定められたタイミングにてトナーと逆極性のバイアスを印加し、転写装置15に付着したトナーをまとめて感光体ドラム11に移すこともできる。なお本明細書では、以下、転写装置15を清掃するために印加する上記バイアスを清掃用バイアスと称する場合がある。
【0022】
ところで幅の狭い用紙が連続して搬送される場合には、転写装置15の非通紙部におけるトナーの量が増加し、上記清掃用バイアスを印加したとしてもその清掃効果が不十分となることがある。そしてこの状態にて幅の広い用紙が転写部Tpに搬送されてくるとこの用紙の裏面が汚れてしまう。そこで幅の広い用紙が搬送される場合、例えば清掃用バイアスの印加時間を変更したり印加する清掃用バイアスの電圧値を変更したりすることで、この幅の広い用紙に汚れが発生することを抑制できる。
【0023】
ところで幅の狭い用紙が搬送された後に幅の広い用紙が搬送されることは頻繁にあり、その都度、例えば清掃用バイアスの印加時間を長くしてしまうと全体の生産性が低下してしまう。一方、幅の狭い用紙の後に幅の広い用紙が搬送される場合であっても、転写装置15の非通紙部に蓄積するトナーの量が、幅の広い用紙の裏面を汚す程の量でなければ、清掃用バイアスの印加時間を長くする必要は無い。
【0024】
ここで図3は、転写装置15の非通紙部に付着するトナーの量を説明するための図である。同図(A)に示すように、幅の狭い用紙の搬送枚数が少ない場合(本例では3枚)、転写装置15の非通紙部に付着するトナーは少なくなる。付言すると転写装置15には、後に搬送される幅の広い用紙を汚すほどのトナーは付着しない。そしてこのような場合、清掃用バイアスの印加時間を長いものに変更する必要はない。一方、同図(B)に示すように幅の狭い用紙の搬送枚数が多い場合(本例では6枚)、転写装置15の非通紙部に付着するトナーは多くなる。付言すると転写装置15には、後に搬送される幅の広い用紙を汚す量のトナーが付着してしまう。そしてこのような場合は、清掃用バイアスの印加時間を長いものに変更することが好ましくなる。
【0025】
図4は、転写装置15と感光体ドラム11との関係等を示した図である。
画像形成装置1では、先行して搬送される用紙の幅が広いほど非通紙部の幅が小さくなる。このため先行して搬送される用紙の幅が拡がるほど後続して搬送される用紙の裏面は汚れにくくなる。また、本実施形態における転写装置15はその両端で保持されており、同図(B)に示すように、転写装置15は長手方向における中央部が感光体ドラム11から離れるように撓む。そしてこの撓みの影響により転写装置15の端部に向かうほど感光体ドラム11と転写装置15との接触圧が高くなり、端部に向かうほど転写装置15により多くトナーが付着する。この結果、同図(A)に示すように後続する幅の広い用紙においては用紙の端部に向かうほど汚れが生じやすくなる。
【0026】
この結果、幅の狭い用紙に幅の広い用紙を後続させて搬送する場合であっても、この後続する用紙の幅が小さい場合には裏面に汚れが生じにくくなる。そしてこの場合は清掃用バイアスの印加時間を長くする必要がなくなる。その一方で、後続する用紙の幅が広くこの幅が通紙可能(搬送可能)な最大の用紙の幅に近い場合には裏面に汚れが生じやすくなる。そしてこの場合、清掃用バイアスの印加時間を長くすることが好ましくなる。
【0027】
図5は、用紙幅と汚れとの関係および画像形成時間と汚れとの関係を説明する図である。
同図(A)は、幅Aを有する用紙が複数枚搬送された後に、幅B(>幅A)を有する用紙が搬送されたときの状態を示している。このような搬送状態の場合、同図(B)に示すように幅Aと幅Bとの差が大きいほど後続する用紙の裏面に汚れが生じやすくなる。また、幅Aと幅Bとの差が小さいほど後続する用紙の裏面に汚れが生じにくくなる。
また、先行する用紙(先行紙)に対する画像形成の時間(プリント時間)も、後続する用紙に影響を与え、画像形成の時間が長いほど転写装置15の非通紙部により多くのトナーが付着し、後続する用紙に汚れが生じやすくなる。付言すると、先行する用紙の枚数が多いほど転写装置15の非通紙部により多くのトナーが付着し、後続する用紙の裏面に汚れが生じやすくなる。
【0028】
また画像形成装置1の設置環境によって非通紙部に付着するトナーの量が変化する。このため画像形成装置1の設置環境によっては、清掃用バイアスの印加時間を長くしないでもよい場合がある。
図6は、画像形成装置1の設置環境と用紙に発生する汚れとの関係を説明するための図である。ここで同図(A1)では、幅の狭い用紙(先行紙)が複数枚搬送された後に幅の広い用紙(後続紙)が搬送されたときの搬送状態を示している。このような搬送状態において、低温/低湿の環境下では後続紙に対する汚れが生じにくくなる(同図(A4)参照)。その一方で、中温/中湿の環境となると(同図(A3)参照)、汚れの発生が目立つにようになり、高温/高湿になると(同図(A2)参照)、中温/中湿の環境に比べより汚れが発生するようになる。なお、図中、「B」、「C」、「D」は先行して搬送される用紙の幅を示しており、これらと後続して搬送される用紙の幅Aとの大小関係は、B<C<D<Aとなっている。
【0029】
以上のように、幅の狭い用紙を搬送後に幅の広い用紙を搬送する場合であっても、清掃用バイアスの印加時間を長くする必要がない場合があり、清掃用バイアスの印加時間を一律に長くすることは画像形成の生産性を低下させてしまう。また不必要に清掃用バイアスの印加時間を伸ばすと、転写装置15や感光体ドラム11など交換可能な部品の交換頻度が高くなったり、画像形成装置1の寿命が短くなったりするおそれがある。
【0030】
そこで本実施形態では、制御部500(図1参照)にて、転写装置15の両端部に生じる非通紙部(非通紙領域)の累積動作時間(トナーの付着に関わる情報の一例)を把握する。より具体的には、非通紙部の累積動作時間を転写装置15の動作時間(稼働情報の一例)に基づき把握する。そして決定手段として機能する制御部500は、把握したこの累積動作時間に応じて上記清掃用バイアスの印加条件を決定する。より具体的には清掃用バイアスの印加時間を決定する。これにより、用紙を汚す量のトナーが非通紙部に付着した場合に清掃用バイアスの印加時間が長くなる。この結果、必要以上に生産性を落とさずに用紙の裏面の汚れが抑制される。ここで図7を参照してより詳細に説明する。
【0031】
図7は、幅の狭い用紙が搬送された後に幅の広い用紙が搬送される状況を示している。詳細には、幅Aを有する用紙P1と、幅B(<幅A)を有する用紙P2と、幅C(>幅A)を有する用紙P3とが搬送される状況を示している。より詳細には、まず用紙P1が複数枚(本図では2枚)搬送された後、用紙P2が1枚搬送され、再び用紙P1が複数枚(本図では4枚)搬送され、さらに、用紙P3が搬送される状況を示している。
【0032】
上記のとおり本実施形態では非通紙部の累積動作時間を把握する。ここで図7では、用紙P1が搬送されることによりこの用紙P1の側方に非通紙部R1が生じ、また用紙P2が搬送されることによりこの用紙P2の側方に非通紙部R2が生じる。そして本実施形態では、非通紙部R1の累積動作時間および非通紙部R2の累積動作時間を把握する。そして把握したこの累積動作時間が予め定められた時間を超えた場合に、清掃用バイアスの印加時間を予め定められた印加時間よりも長い印加時間に変更(決定)する。尚、印加時間の変更(決定)にあたっては、生産性をより重視する場合に印加時間を設けない印加時間ゼロという形態を含んでも良い。
【0033】
図7では、非通紙部R2の累積動作時間が上記予め定められた時間よりも短い場合を例示しており、用紙P2に続いて用紙P1が搬送される際、清掃用バイアスの印加時間は長くならない。また図7では、非通紙部R1の累積動作時間が上記予め定められた時間よりも長い場合を例示しており、用紙P3が搬送される際には、清掃用バイアスの印加時間がより長い印加時間に変更される。付言すると、用紙P3が搬送される際、清掃用バイアスの印加時間は、用紙P1が順次搬送されている際に印加される清掃用バイアスの印加時間(第1の清掃時間の一例)よりも長い印加時間(第2の清掃時間の一例)に変更される。なお、非通紙部R1の累積動作時間が上記予め定められた時間よりも短い場合には、用紙P3が搬送される際、清掃用バイアスの印加時間は、用紙P1が順次搬送されている際に印加される清掃用バイアスの印加時間に決定される。即ちこの場合は印加時間が長くならない。
【0034】
なお、非通紙部の累積動作時間は、上記のとおり転写装置15の動作時間(稼働時間)に基づき把握することができる。また非通紙部の累積動作時間は、転写装置15の回転数、感光体ドラム11の動作時間(稼働時間)、感光体ドラム11の回転数、用紙の搬送枚数などに基づき把握することもできる。また、中間転写式の画像形成装置の場合には、中間転写体の動作時間(稼働時間)や回転数に基づき把握することもできる。
【0035】
また清掃用バイアスの印加時間は、ある一定の印加時間に一律に変更することもできるし、非通紙部の累積動作時間に応じて変更することもできる。印加時間は、例えば図8(清掃用バイアスの印加時間を説明する図)の(A)に示すように、非通紙部の累積動作時間に比例するように長くすることができる。また例えば同図(B)に示すように、累積動作時間が時間T1以内である場合にはある一定の印加時間T2に変更し、時間T1を超えた場合には印加時間を累積動作時間に比例するように長くすることができる。また、同図(C)に示すように累積動作時間に複数の閾値を設定しておき(図中T1、T2参照)、閾値を超える毎に印加時間を長くすることができる。さらに印加時間は、同図(D)に示すように累積動作時間に応じて2次関数的に増加させることができる。
【0036】
また上記では清掃用バイアスの印加時間を長くする場合を説明したが、清掃用バイアスの出力を変更することもできる。より具体的には清掃用バイアスの出力を増加させることができる。なお出力の変更は、電圧値を変更することで行うこともできるし電流値を変更することで行うこともできる。
【0037】
また清掃用バイアスの印加時間を長くする場合、この清掃用バイアスは、図9(清掃用バイアスの印加態様を示した図)の(A)に示すように、トナーとは逆極性のバイアス(以下「基準バイアス」と称する)とすることができる。また、同図(B)に示すように、上記基準バイアスを印加した後、この基準バイアスとは極性が異なるバイアス(以下「逆極性バイアス」)を更に印加することができる。トナーには通常のトナーのみならず逆極性のトナーが含まれる場合がある。同図(B)に示す印加態様では、上記基準バイアスの印加により通常のトナーを感光体ドラム11に戻し、上記逆極性バイアスの印加により逆極性のトナーを感光体ドラム11に戻している。また、同図(C)に示すように、基準バイアスおよび逆極性バイアスを印加した後、基準バイアスを更に印加することができる。
【0038】
また、先行して搬送される用紙の幅と後続して搬送される用紙の幅との関係(先行紙の幅と後続紙の幅との差)に基づき、清掃用バイアスの印加時間を決定することができる。上記のとおり、先行して搬送される用紙の幅と後続して搬送される用紙の幅との差が小さい場合、後続紙の裏面は汚れにくくなる。このため、先行して搬送される用紙の幅と後続して搬送される用紙の幅との差が小さい場合には、清掃用バイアスの印加時間を長い印加時間に変更しない処理(印加時間を維持する処理)を行うことができる。この場合、必要でないにもかかわらず印加時間の変更がなされることが防止され、全体の生産性が向上する。
【0039】
図10(印加時間の決定方法を説明するための図)を参照しながら本実施形態の画像形成装置1にて実行される処理をより具体的に説明する。
同図(A)は、幅W1を有する用紙P1、幅W2(<幅W1)を有する用紙P2、幅W3(>幅W1)を有する用紙P3、幅W4(>幅W3)を有する用紙P4が順に搬送される状況を示している。より詳細には、まず用紙P1が2枚搬送された後、用紙P2が2枚搬送され、その後用紙P3が2枚搬送され、最後に用紙P4が搬送される状況を示している。
【0040】
本画像形成装置1では、先行紙に後続する用紙が搬送されるに際し演算[(B−A)/B]を行い、演算結果Dを取得する。ここで「A」は先行して搬送される用紙の幅であり、「B」は後続して搬送される用紙の幅である。なお、演算[(B−A)/A]としてもよい。次いで演算結果Dが、予め定められた「小」、「中」、「大」のいずれの区分に属するかを把握する。また上記累積動作時間を把握する。そして不図示のメモリに記憶されたテーブル(同図(B)参照)を参照し、把握した区分と累積動作時間とに基づき、清掃用バイアスの印加時間を変更(長く)するか否かの決定を行う。ここで本実施形態では、把握した区分が例えば「小」である場合、同図(B)に示すように、清掃用バイアスの印加時間を変更しない(印加時間の変更が不要)と決定する。把握した区分が小さい場合、先行する用紙の幅と後続する用紙の幅との差が小さいことを意味しており、後続する用紙には汚れが生じにくい。
【0041】
また例えば把握した区分が「中」である場合には、区分が「小」である場合に比べ後続する用紙の裏面が汚れやすくなる。このため本例では、同図(B)に示すように、累積動作時間が予め定められた閾値を超え累積動作時間が長いと判断できる場合に、清掃用バイアスの印加時間を変更(長く)する。また例えば把握した区分が「大」である場合には、区分が「中」である場合に比べ、後続する用紙が更に汚れやすくなる。このため本例では、累積動作時間が予め定められた閾値を超え、この累積動作時間が長いと判断できる場合ややや長いと判断できる場合に、清掃用バイアスの印加時間を変更(長く)する(同図(B)参照)。
【0042】
同図(A)を参照してより具体的に説明すると、同図(A)に示す例では、幅W2を有する用紙P2が搬送される際に上記演算が実施され、演算結果Dが取得される。また、演算結果Dが属する区分が把握される。ここで本例では幅B<幅Aの関係となるため、演算結果Dはマイナスとなるとともに把握される区分もマイナスとなる。そしてこの場合、印加時間の変更は行われない。
【0043】
また幅W3を有する用紙P3が搬送される際にも上記演算が実施され演算結果Dが取得されるとともに、演算結果Dが属する区分が把握される。ここで本例では幅W2に比して幅W3は大きいため把握される区分は「大」となる。また非通紙部の累積動作時間も把握される。ここで本例では用紙P2の側方に位置する非通紙部(非通紙部I)の累積動作時間がやや長いと判断することができる。この結果、幅W3を有する用紙P3が搬送される際には、清掃用バイアスの印加時間がより長いものに変更される。付言すると、用紙P3が搬送される際、清掃用バイアスの印加時間は、用紙P2が順次搬送されている際に印加される清掃用バイアスの印加時間(第1の清掃時間の一例)よりも長い印加時間(第2の清掃時間の一例)に変更される。
【0044】
さらに幅W4を有する用紙P4が搬送される際にも上記演算が実施され演算結果Dが取得されるとともに、演算結果Dが属する区分が把握される。ここで本例では幅W3に比して幅W4はそれほど大きくないため把握される区分は「小」となる。このため、幅W4を有する用紙P4が搬送される際には、清掃用バイアスの印加時間は変更されない。付言すると、用紙P4が搬送される際、清掃用バイアスの印加時間は、用紙P3が順次搬送されている際に印加される清掃用バイアスの印加時間(第1の清掃時間の一例)と同じ印加時間に決定される。
【0045】
なお上記ではメモリに格納されたテーブルを参照することで印加時間を決定する例を説明したが、例えば演算[上記演算結果D×累積動作時間×係数]を行い、この演算結果が予め定められた値を超える場合に清掃用バイアスの印加時間を長くする処理を行うこともできる。
【0046】
また画像形成装置1の設置環境や動作状況などによって決まる画像形成装置1の内部の環境に関する環境情報を加味して、清掃用バイアスの印加時間を決定することができる。例えば、画像形成装置1の内部の環境が高温/高湿である場合には用紙に汚れが生じやすいため(図6参照)、この場合、清掃用バイアスの印加時間を長くすることができる。より具体的には、例えば、図10(B)に示したテーブルを環境毎に(温度域毎や湿度域毎に)複数用意しておき、温度センサS1や湿度センサS2による検知結果に基づき用いるテーブルを切り替え、清掃用バイアスの印加時間を決定することができる。なお温度センサS1や湿度センサS2による検知結果によらず、例えば環境により抵抗値の変化する用紙の特性を利用して環境情報を取得することもできる。即ち用紙の抵抗値を測定することにより環境情報を取得することができる。
【0047】
ここで図11は、用紙の搬送形態の一例を示した図である。
同図の一点鎖線に示すように幅が広い用紙が後続して搬送されようとしている場合には、この用紙の長手方向が用紙の搬送方向に沿うように用紙の向きを変更することもできる。付言すると、用紙の幅が小さくなるように用紙の向きを異ならせることができる。これにより、先行する用紙の幅と後続する用紙の幅との差が小さくなる。または、先行する用紙の幅よりも後続する用紙の幅の方が小さくなる。この結果、後続する用紙の裏面に汚れが生じにくくなる。なお上記用紙の向きの変更は、例えば、用紙が当初供給されようとしていた給紙部(第1給紙部31〜第3給紙部33参照(図1参照))とは異なる給紙部から用紙を供給することで行うことができる。また、用紙の向きの変更は、用紙を搬送する過程において用紙を90°回転させることにより行うことができる。なお、用紙の向きを変更する際、画像データの回転も必要となってくる。
【0048】
ここで上記のように用紙の向きを変更する場合、用紙の搬送方向における長さが用紙の向きを変更する前に比べ延びる。このため、用紙の向きを変更したとしても画像形成の生産性が逆に低下してしまうおそれがある。そこで本実施形態では、取得手段の一例としての制御部500が、向きを変更して用紙を搬送する場合の用紙の搬送完了時間と、向きを変更せずに用紙を搬送する場合の用紙の搬送完了時間とを取得し、この2つの搬送完了時間の大小を比較する。そして、向きを変更して用紙を搬送する場合の搬送完了時間の方が短い場合に、向きを変更したうえで用紙の搬送を行う。一方、向きを変更せずに用紙を搬送した場合の搬送完了時間の方が短い場合には、用紙の向きを変更せずに用紙の搬送を行う。
【0049】
より具体的に説明すると、例えば、先行する幅の狭い用紙が転写部Tp(図1参照)を通過してから向きを変更した用紙(後続紙)が転写部Tpを通過するまでに要する時間(第2の時間の一例)と、先行する幅の狭い用紙が転写部Tpを通過してから向きを変更せずに搬送した用紙が転写部Tpを通過するまでに要する時間(第1の時間の一例)とを比較する。そして、幅の狭い用紙が転写部Tpを通過してから向きを変更した用紙が転写部Tpを通過するまでに要する時間の方が短い場合には、用紙の向きを変更して用紙を搬送する。その一方で、幅の狭い用紙が転写部Tpを通過してから向きを変更した用紙が転写部Tpを通過するまでに要する時間の方が長い場合には、用紙の向きを変更せずに用紙の搬送を行う。
【0050】
なお上記では説明を省略したが、後続する用紙の裏面の汚れは用紙の種類によっても異なってくる。このため用紙の種類に応じて清掃用バイアスの印加条件を変化させることができる。例えば汚れが生じやすい一の種類の用紙である場合には清掃用バイアスがより長く印加されるようにする。その一方で、汚れが生じにくい他の種類の用紙である場合には清掃用バイアスの印加時間を短いものとする。また清掃用バイアスは、DCバイアスのみを使用しても良いし、DC+ACを使用し清掃効果を高めてもよい。また本実施形態では転写装置15としてロール状のものを用いたが、例えば無端状のベルト部材を感光体ドラム11に接触させる構成とすることもできる。
【0051】
また上記では累積動作時間が予め定められた時間を超えた場合に清掃用バイアスの印加時間を長くする例を説明したが、累積動作時間が予め定められた時間よりも小さい場合に清掃用バイアスの印加時間を短くする処理を行うこともできる。また上記では、清掃用バイアスの印加時間を積極的に異ならせたが、本願発明には、清掃バイアス等を変更して清掃効率を高めて清掃し、その結果、結果的に時間が異なってしまう形態も含まれる。
また、先行して搬送される用紙の幅と後続して搬送される用紙の幅とが小さい場合であっても後続して搬送される用紙の幅が大きい場合、この後続して搬送される用紙は、トナーの付着量が多い転写装置15の端部(図4参照)近くを通るようになる。この結果、先行して搬送される用紙の幅と後続して搬送される用紙の幅とが小さい場合であっても、後続して搬送される用紙の裏面に多量のトナーが付着する場合が生じる。このため、先行して搬送される用紙の幅と後続して搬送される用紙の幅とが小さい場合であっても後続して搬送される用紙の幅が大きく予め定められた幅を超える場合、清掃用バイアスの印加時間を長くすることが好ましい。
【符号の説明】
【0052】
1…画像形成装置、11…感光体ドラム、15…転写装置、30…用紙供給部、31…第1給紙部、32…第2給紙部、33…第3給紙部、41…用紙収容部、500…制御部







【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を保持する像保持体と、
前記像保持体に接触配置され当該像保持体との間に記録材が通過する通過部を形成し、当該通過部を通過する記録材に当該像保持体が保持するトナー像を転写する転写部材と、
前記転写部材の清掃を行う清掃手段と、
前記清掃手段が前記転写部材の清掃を行う際の清掃条件を決定する決定手段と、を備え、
前記決定手段は、前記通過部を一の幅を有した一の記録材が複数枚通過した後に当該一の幅よりも大きい幅を有した他の記録材が当該通過部を通過する場合、前記転写部材のうち当該一の記録材が通過しない部分のトナーの付着に関わる情報を取得し、取得した当該情報に基づき、複数枚の当該一の記録材が当該通過部を通過した後の前記清掃条件を決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記決定手段は、前記清掃手段が前記転写部材の清掃を行う際の清掃時間を前記清掃条件として決定し、前記一の記録材が前記通過部を順次通過する際の当該清掃時間を第1の清掃時間に決定し、前記トナーの付着に関わる情報により特定される値が予め定められた閾値を超える場合、複数枚の当該一の記録材が当該通過部を通過した後の当該清掃時間を当該第1の清掃時間よりも長い第2の清掃時間に決定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記清掃手段が前記転写部材の清掃を行う際の清掃時間を前記清掃条件として決定し、前記一の記録材が前記通過部を順次通過する際の当該清掃時間を第1の清掃時間に決定し、前記トナーの付着に関わる情報により特定される値が予め定められた閾値よりも小さい場合、複数枚の当該一の記録材が当該通過部を通過した後の当該清掃時間を当該第1の清掃時間に決定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記決定手段は、前記一の幅と前記大きい幅との差に関する情報を更に取得し、前記トナーの付着に関わる情報および当該差に関する情報に基づき、複数枚の前記一の記録材が前記通過部を通過した後の前記清掃条件を決定することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記決定手段は、予め定められた部材の稼働情報または前記一の記録材の搬送枚数に関する情報を前記トナーの付着に関わる情報として取得し、当該情報に基づき、複数枚の当該一の記録材が前記通過部を通過した後の前記清掃条件を決定することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
トナー像を保持する像保持体と、
前記像保持体に接触配置され当該像保持体との間に記録材が通過する通過部を形成し、当該通過部を通過する記録材に当該像保持体が保持するトナー像を転写する転写部材と、
前記転写部材の清掃を行う清掃手段と、
前記清掃手段が前記転写部材の清掃を行う際の清掃条件を決定する決定手段と、を備え、
前記決定手段は、前記通過部を一の幅を有した一の記録材が複数枚通過した後に当該一の幅よりも大きい幅を有した他の記録材が当該通過部を通過する場合、予め定められた部材の稼働情報または当該一の記録材の搬送枚数に関する情報を取得し、取得した当該情報に基づき、複数枚の当該一の記録材が当該通過部を通過した後の前記清掃条件を決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記決定手段は、回転可能に設けられた前記像保持体の稼働時間、当該像保持体の回転数、回転可能に設けられた前記転写部材の稼働時間、および当該転写部材の回転数の何れか一つを前記稼働情報として取得することを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記決定手段は、前記画像形成装置内部の環境に関する環境情報を更に取得し、前記稼働情報または前記搬送枚数に関する情報、および当該環境情報に基づき、複数枚の前記一の記録材が前記通過部を通過した後の前記清掃条件を決定することを特徴とする請求項6又は7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記他の記録材を回転させて前記通過部に供給し、又は、当該他の記録材が収容された収容部とは異なる収容部に収容され当該他の記録材とは向きが異なる状態で収容された記録材を当該他の記録材に替えて当該通過部に供給することで、当該他の記録材が有する前記大きい幅よりも小さい幅を有した状態の記録材を当該通過部に対し供給する供給手段を更に備えることを特徴とする請求項6乃至8の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
複数枚の前記一の記録材が前記通過部を通過してから前記他の記録材が当該通過部を通過するまでに要する第1の時間と、複数枚の当該一の記録材が当該通過部を通過してから前記供給手段により供給される記録材が当該通過部を通過するまでに要する第2の時間とを取得する取得手段を更に備え、
前記供給手段は、前記取得手段により取得された前記第2の時間の方が前記第1の時間よりも短い場合に、前記他の記録材の回転を行いまたは前記異なる収容部からの記録材の供給を行うことを特徴とする請求項9記載の画像形成装置。
【請求項11】
トナー像を保持する像保持体と、
前記像保持体に接触配置され当該像保持体との間に記録材が通過する通過部を形成し、当該通過部を通過する記録材に当該像保持体が保持するトナー像を転写する転写部材と、
前記転写部材の清掃を行う清掃手段と、
前記清掃手段が前記転写部材の清掃を行う際の清掃条件を決定する決定手段と、を備え、
前記決定手段は、前記通過部を一の幅を有した一の記録材が複数枚通過した後に当該一の幅よりも大きい他の幅を有した他の記録材が当該通過部を通過する場合、当該一の幅と当該他の幅との差に関する情報を取得し、取得した当該情報に基づき、複数枚の当該一の記録材が当該通過部を通過した後の前記清掃条件を決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
前記決定手段は、前記清掃手段が前記転写部材の清掃を行う際の清掃時間を前記清掃条件として決定し、前記一の幅を有する前記一の記録材が前記通過部を順次通過する際の当該清掃時間を第1の清掃時間に決定し、当該一の幅と前記他の幅との差が予め定められた差よりも大きい場合、複数枚の当該一の記録材が当該通過部を通過した後の当該清掃時間を当該第1の清掃時間よりも長い第2の清掃時間に決定することを特徴とする請求項11記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記決定手段は、前記清掃手段が前記転写部材の清掃を行う際の清掃時間を前記清掃条件として決定し、前記一の幅を有する前記一の記録材が前記通過部を順次通過する際の当該清掃時間を第1の清掃時間に決定し、当該一の幅と前記他の幅との差が予め定められた差よりも小さい場合、複数枚の当該一の記録材が当該通過部を通過した後の当該清掃時間を当該第1の清掃時間に決定することを特徴とする請求項11記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記決定手段は、前記転写部材のうち前記一の記録材が通過しない部分のトナーの付着に関わる情報を更に取得し、前記差に関する情報および当該トナーの付着に関わる情報に基づき、複数枚の当該一の記録材が前記通過部を通過した後の前記清掃条件を決定することを特徴とする請求項11乃至13の何れかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−81208(P2011−81208A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233719(P2009−233719)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】