説明

画像形成装置

【課題】拡張半導体メモリの消費電力を使用状況に応じて自動的に節減可能にする。
【解決手段】アプリケーション24からのメモリ割当要求応じて変動する、拡張メモリ141の使用サイズの符号に基づいて、拡張メモリ141へのクロック信号の供給/停止を制御する。拡張メモリ141の使用履歴に応じて、その拡張メモリ141へのクロック信号供給のオン・オフ制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードスロットに着脱自在に装着される半導体メモリを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、環境保護などの観点から、低消費電力化が要求されている。
【0003】
一方、画像形成装置に備えられるカラースキャナの解像度向上に伴い、半導体メモリの使用量が増加し、カードスロットに大容量の拡張メモリカードを装着して画像形成装置を使用することが行われている(下記特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−30477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、高解像度のカラー画像を常時印刷するとは限らず、使用状況が変化して、高解像度のカラー画像を殆ど印刷しない場合にも、拡張メモリが使用可能な状態となっていて、無駄な電力が消費される。
【0006】
本発明の目的は、このような問題点に鑑み、拡張半導体メモリの消費電力を使用状況に応じて自動的に節減可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様では、CPUと、該CPUと結合され固定的に動作クロック信号が供給される第1半導体メモリとを備え、供給される画像データに基づいて用紙に画像を形成する画像形成装置において、
該CPUと結合され、カードスロットに着脱自在に装着される第2半導体メモリと、
アプリケーションからのメモリ割当要求応じて変動する、該半導体メモリの使用情報に基づいて、該第2半導体メモリへの該動作クロック信号の供給/停止を制御する制御手段とを有する。
【0008】
本発明による画像形成装置の第2態様では、第1態様において、該半導体メモリの使用情報は、該第2半導体メモリの使用サイズを含む。
【0009】
本発明による画像形成装置の第3態様では、第2態様において、該半導体メモリの使用情報は、該第2半導体メモリの使用サイズが正である時間を含む。
【0010】
本発明による画像形成装置の第4態様では、第3態様において、該半導体メモリの使用情報は、該第2半導体メモリの使用サイズの平均値と該第2半導体メモリの使用サイズが正である時間の割合との積を含む。
【0011】
本発明による画像形成装置の第5態様では、第1態様において、
不揮発性記憶手段と、
該半導体メモリの使用サイズが変化するときの該使用サイズを現時刻とともに該使用情報として該不揮発性記憶手段に記録させることによりログを作成する記録手段と、
をさらに有し、該制御手段は、該CPUに対し、システム電源オン時の初期化処理として、該履歴を参照して評価値を算出し、該評価値と基準値との比較結果に基づいて、該第2半導体メモリへの該動作クロック信号の供給/停止を制御させるプログラムを有する。
【発明の効果】
【0012】
上記第1態様の構成によれば、アプリケーションからのメモリ割当要求応じて変動する、半導体メモリの使用情報に基づいて、カードスロットに着脱自在に装着された第2半導体メモリへの動作クロック信号の供給/停止を制御するので、該第2半導体メモリの消費電力を使用状況に応じて自動的に節減可能であるという効果を奏する。
【0013】
上記第2態様の構成によれば、該第2半導体メモリの使用サイズに着目すればよいので、処理が簡単になるという効果を奏する。
【0014】
上記第3態様の構成によれば、該使用情報が、該第2半導体メモリの使用サイズが正である時間を含むので、該第2半導体メモリの消費電力をより適切に節減可能であるという効果を奏する。
【0015】
上記第4態様の構成によれば、該使用情報が、該第2半導体メモリの使用サイズの平均値と該第2半導体メモリの使用サイズが正である時間の割合との積を含むので、該第2半導体メモリの消費電力をさらに適切に節減可能であるという効果を奏する。
【0016】
上記第5態様の構成によれば、システム電源オン時に、該第2半導体メモリの使用履歴に基づいて該第2半導体メモリへの該動作クロック信号の供給/停止を制御するので、該第2半導体メモリの消費電力をさらに適切に節減可能であるという効果を奏する。
【0017】
本発明の他の目的、特徴的な構成及び効果は、以下の説明を特許請求の範囲及び図面の記載と関係づけて読むことにより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例1に係る拡張メモリ消費電力自動節減構成を示す概略ブロック図である。
【図2】図1中のメモリ管理部の一部構成を示す概略ブロック図である。
【図3】実施例1の動作説明図であって、(A)はDRAMの概略メモリマップ、(B)は時間に対するDRAMの使用サイズの変化を示す図、(C)はクロックオン・オフ制御信号のレベル変化を示すタイムチャートである。
【図4】画像形成装置のハードウェア構成を示す概略ブロック図である。
【図5】本発明の実施例2に係る拡張メモリ消費電力自動節減構成を示す概略ブロック図である。
【図6】画像形成装置の電源オン時のリセット割込要求に対する割込処理の一部を示す概略フローチャートである。
【図7】実施例2の動作説明図であって、(A)は時間に対するDRAMの使用サイズの変化を示す図、(B)はクロックオン・オフ制御信号のレベル変化を示すタイムチャートである。
【実施例1】
【0019】
図4は、画像形成装置10のハードウェア構成を示す概略ブロック図である。
【0020】
画像形成装置10では、CPU11がインターフェイス12を介してPROM13、DRAM14、ハードディスクドライブ15、ネットワークインターフェイス16、操作パネル17、スキャナ18、プリンタ19、時計部1A及びファックスモデム1Bに結合されている。
【0021】
PROM13は、例えばフラッシュメモリであり、BIOS(Basic Input/Output System)、仮想記憶方式のOS(Operating System)、各種ドライバ、及び、画像形成装置として機能させるための各種アプリケーションが格納されている。DRAM14は、主記憶装置として用いられる。ハードディスクドライブ15には、印刷用データ、スキャナ18で読み取った画像データ及びファクシミリ受信データが保存される。操作パネル17は、キー及び表示パネルを供えている。スキャナ18は、印刷及びファクシミリ送信の入力装置として用いられるとともに、画像ファイル生成のために用いられる。プリンタ19は、プリントエンジン並びに用紙の給紙部、搬送部及び排紙部を備え、DRAM14に生成されたビットマップデータが供給され、このデータに基づいて感光ドラムに静電潜像を形成し、この像をトナーで現像し、トナー像を用紙に転写し定着させ、排紙する。時計部1Aは、バッテリバックアップされている。
【0022】
図1は、本発明の実施例1に係る拡張メモリ消費電力自動節減構成を示す概略ブロック図である。
【0023】
メインメモリ140と拡張メモリ141とは、図4のDRAM14を構成している。メインメモリ140のクロック入力端子CKには、クロック発生器20からのクロック信号が直接供給され、拡張メモリ141のクロック入力端子CKには、クロック発生器20からのクロック信号がアンドゲート21を介して供給される。メインメモリ140は、アドレスバスとデータバスとからなる基板上のバス22に、直接接続され、一方、拡張メモリ141は、これを着脱自在なメモリカードスロット23を介して、バス22に接続されている。
【0024】
アプリケーション24は、メモリ管理部25に対しメモリ割り当てを要求する。メモリ管理部25は、CPU11に内蔵されたメモリ管理ユニットと、ソフトウェア(OSの一部)とにより、この要求に応答して、メモリ割当ての管理を行う。この管理の一部として、アンドゲート21の入力端へのクロックオン・オフ制御信号ECのレベルを変化させる。メモリ管理部25は、図2に示すような構成を備えて、この制御信号ECを生成している。
【0025】
図2は、メモリ管理部25の一部構成を示す概略ブロック図である。
【0026】
メインメモリアドレス上限値設定部250には、メインメモリ140のアドレス上限値SZ0が固定設定されている。一方、現使用実メモリアドレス上限値設定部251には、仮想記憶方式での実メモリ割当て(マッピング)に応じて、実メモリアドレス上限値SZが可変設定される。コンパレータ252は、SZ>SZ0であればクロックオン・オフ制御信号ECを高レベルとし、そうでなければクロックオン・オフ制御信号ECを低レベルとする。クロックオン・オフ制御信号ECが高レベルとなると、アンドゲート21が開かれて、クロック発生器20からのクロック信号が拡張メモリ141のクロック入力端子CKにも供給され、拡張メモリ141が物理的にアクセス可能となる。
【0027】
一方、クロックオン・オフ制御信号ECの立ち上がエッジで、CPU11に割り込み要求が掛かり、その割り込み処理プログラムにおいて、実メモリの使用可能範囲が拡張メモリ141のアドレス上限値まで拡大されて、拡張メモリ141が論理的にアクセス可能となる。この割り込み処理プログラムは、メモリ管理部25の一部である。メモリ管理部25は、この実メモリ使用可能範囲変動に応じて、上記メモリ割り当て要求に対し、実メモリを割当てるか否かを決定する。
【0028】
図3(A)は、メインメモリ140と拡張メモリ141の概略メモリマップを示す。図3(B)は、時間に対するDRAM14の使用サイズの変化を示す。図3(C)は、クロックオン・オフ制御信号ECのレベル変化を示す。
【0029】
図3(B)及び(C)では、時点t1又はt3においてSZ>SZ0が成立して、クロックオン・オフ制御信号ECが高レベルに遷移し、拡張メモリ141が物理的にアクセス可能となり、次いで拡張メモリ141が論理的にアクセス可能となって使用される。また、時点t2でSZ<SZ0が成立して、クロックオン・オフ制御信号ECが低レベルに遷移し、拡張メモリ141が物理的にアクセス不可能となり、次いでこの立ち下がりエッジでもCPU11に対し割り込みが掛けられて、その割込処理(メモリ管理部25による処理)で、実メモリアドレス上限値がSZ0に書き換えられ、拡張メモリ141が論理的にアクセス不可能となる。
【0030】
本実施例1によれば、アプリケーション24からのメモリ割当要求応じて変動する、拡張メモリ141の使用サイズ(SZ−SZ0)の符号に基づいて、拡張メモリ141へのクロック信号の供給/停止を制御するので、拡張メモリ141の消費電力を使用状況に応じて自動的に節減可能であるという効果を奏する。
【0031】
また、拡張メモリ141の使用サイズ(SZ−SZ0)の符号に着目すればよいので、処理が簡単であるという効果を奏する。
【実施例2】
【0032】
図5は、本発明の実施例2に係る拡張メモリ消費電力自動節減構成を示す概略ブロック図である。
【0033】
この実施例2では、図1の構成にさらに、記録部26と、時計部1Aと、ハードディスクドライブ15内のログファイルとが付加されている。メモリ管理部25Aは、アプリケーション24からのメモリ割当要求に対応して実メモリの使用上限値SZを変化させると、記録部26に対し、その上限値SZを供給するとともに記録指示を与える。記録部26はこれに応答して、時計部1Aから現時刻tを読み込み、上限値SZをこの現時刻tと対応させてハードディスクドライブ15内のログファイルに書き込む。
【0034】
画像形成装置10の電源をオンにすると、CPU11に対してリセット割込要求が掛かり、その割込処理の一部として、図6に示す処理が行われる。
【0035】
(S0)ハードディスクドライブ15から、上記ログファイルを読み出す。
【0036】
(S1)ログファイル中の最新のデータから所定時間Tの間の記録データ、例えば1週間分の記録データに基づいて、SZ>SZ0となった期間の合計値Tovを求める。
【0037】
(S2)この所定期間Tにおいて、条件SZ>SZ0を満たすときの拡張メモリ使用サイズ(SZ−SZ0)の値の平均値ΔSavを求める。
【0038】
(S3)評価関数U=(Tov/T)(ΔSav/Se)の値を算出する。ここにSeは、拡張メモリ141のサイズ(容量)である。
【0039】
(S4)U>U0であれば、クロックオン・オフ制御信号ECを高レベルにしてこれをラッチする。ここにU0は、予め設定された基準値であり、また、クロックオン・オフ制御信号ECの初期値は、低レベルである。
【0040】
本実施例2によれば、拡張メモリ141の使用履歴に応じて、その拡張メモリ141へのクロック信号供給のオン・オフ制御が行われるので、DRAM14の消費電力を自動的且つ効果的に節減することができる。
【0041】
また、このオン・オフ制御が、画像形成装置10の電源オン時のみ行われるので、このオン・オフ制御に伴う処理の遅延が防止される。
【0042】
また、クロック信号供給のオン・オフ判定用評価関数Uが、拡張メモリ141の容量に対する使用サイズ(SZ−SZ0)の平均値の割合ΔSav/Seと拡張メモリ141の使用サイズ(SZ−SZ0)が正である時間の割合Tov/Tとの積を含むので、拡張メモリ141の消費電力を適切に節減可能であるという効果を奏する。
【0043】
以上において、本発明の好適な実施例を説明したが、本発明には他にも種々の変形例が含まれ、上記実施例で述べた各構成要素の機能を実現する他の構成を用いたもの、当業者であればこれらの構成又は機能から想到するであろう他の構成も、本発明に含まれる。
【0044】
例えば、上記実施例では仮想記憶方式の場合を説明したが、本発明は仮想記憶方式でない場合にも適用可能である。この場合、実施例2において、制御信号ECと手動スイッチに基づき生成する制御信号との論理和信号をアンドゲート21に供給する構成とし、拡張メモリ141へのクロック信号供給が停止している状態でメモリ不足が生じた場合には、この手動スイッチを操作して拡張メモリ141へクロック信号を供給させる。
【0045】
また、上記評価関数Uは、他のもの、例えばU=Tov/Tであってもよい。
【0046】
さらに、拡張メモリ141はDRAMに限定されず、半導体メモリであればよい。
【0047】
また、実施例1と実施例2の構成を組み合わせて、画像形成装置10の電源オン時には実施例2の動作を行わせ、電源オン後、所定時間経過後に、実施例2の動作を行わせる構成、或いは、実施例1と実施例2の動作モードを択一的に選択可能にする構成であってもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 画像形成装置
11 CPU
12 インターフェイス
13 PROM
14 DRAM
140 メインメモリ
141 拡張メモリ
15 ハードディスクドライブ
16 ネットワークインターフェイス
17 操作パネル
18 スキャナ
19 プリンタ時計部
1A 時計部
1B ファックスモデム
20 クロック発生器
21 アンドゲート
22 バス
23 メモリカードスロット
24 アプリケーション
25、25A メモリ管理部
26 記録部
250 メインメモリアドレス上限値設定部
251 現使用実メモリアドレス上限値設定部
252 コンパレータ
CK クロック入力端子
EC クロックオン・オフ制御信号
ΔSav 拡張メモリ使用サイズ平均値
SZ メモリ使用アドレス上限値
SZ0 実メモリアドレス上限値
U 拡張メモリ使用率
U0 基準値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CPUと、該CPUと結合され固定的に動作クロック信号が供給される第1半導体メモリとを備え、供給される画像データに基づいて用紙に画像を形成する画像形成装置において、
該CPUと結合され、カードスロットに着脱自在に装着される第2半導体メモリと、
アプリケーションからのメモリ割当要求応じて変動する、該半導体メモリの使用情報に基づいて、該第2半導体メモリへの該動作クロック信号の供給/停止を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
該半導体メモリの使用情報は、該第2半導体メモリの使用サイズを含むことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
該半導体メモリの使用情報は、該第2半導体メモリの使用サイズが正である時間を含むことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
該半導体メモリの使用情報は、該第2半導体メモリの使用サイズの平均値と該第2半導体メモリの使用サイズが正である時間の割合との積を含むことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
不揮発性記憶手段と、
該半導体メモリの使用サイズが変化するときの該使用サイズを現時刻とともに該使用情報として該不揮発性記憶手段に記録させることによりログを作成する記録手段と、
をさらに有し、該制御手段は、該CPUに対し、システム電源オン時の初期化処理として、該履歴を参照して評価値を算出し、該評価値と基準値との比較結果に基づいて、該第2半導体メモリへの該動作クロック信号の供給/停止を制御させるプログラムを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
該評価値は、該第2半導体メモリの使用サイズの平均値と該第2半導体メモリの使用サイズが正である時間の割合との積を含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
該プログラムは、該CPUに対し、該初期化処理でのみ、該第2半導体メモリへの該動作クロック信号の供給/停止を制御させる、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−10090(P2012−10090A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144006(P2010−144006)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】