説明

画像形成装置

【課題】各スコロトロン帯電器の汚れ具合の差によって生じる放電量の差を小さくする画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】画像形成装置は、装置本体内に設けられた第1感光体51Cと、装置本体内の、装置本体内の空気を外部へ排出するファンFに対して第1感光体51Cよりも離れた位置に並列配置された複数の第2感光体51K,51Y,51Mと、第1感光体51Cを帯電させる第1スコロトロン帯電器52Cと、対応する各第2感光体51K,51Y,51Mを帯電させる複数の第2スコロトロン帯電器52K,52Y,52Mと、第1スコロトロン帯電器52Cに接続され、第1スコロトロン帯電器52Cに電圧を印加する第1電圧印加回路210と、各第2スコロトロン帯電器52K,52Y,52Mに共通に接続され、各第2スコロトロン帯電器52K,52Y,52Mに電圧を印加する第2電圧印加回路220とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノクロ印刷とカラー印刷を実行可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラーレーザプリンタ等の多色の画像形成装置として、感光体と、各色の現像剤に対応し、感光体を帯電するスコロトロン帯電器とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1の画像形成装置では、各スコロトロン帯電器に電圧を印加する電圧印加回路を共通化して一つにしており、これにより、コストの削減と装置の小型化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−142483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した技術では、電圧印加回路を共通化しているため、スコロトロン帯電器ごとに印加する電圧を調整することができなかった。一方、装置本体の排気用ファンの近くに配置されるスコロトロン帯電器は、その他のスコロトロン帯電器に比べてワイヤに汚れが付着しにくいため、両者の間で放電量に大きな差が生じ、画質の低下を招いていた。
【0005】
そこで、本発明は、各スコロトロン帯電器の汚れ具合の違いによって生じる放電量の差を小さくする画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、装置本体と、前記装置本体に設けられ、前記装置本体内の空気を外部へ排出するファンと、前記装置本体内に設けられた第1感光体と、前記装置本体内の、前記ファンに対して前記第1感光体よりも離れた位置に並列配置された複数の第2感光体と、前記第1感光体を帯電させる第1スコロトロン帯電器と、対応する各前記第2感光体を帯電させる複数の第2スコロトロン帯電器と、前記第1スコロトロン帯電器に接続され、前記第1スコロトロン帯電器に電圧を印加する第1電圧印加回路と、各前記第2スコロトロン帯電器に共通に接続され、各前記第2スコロトロン帯電器に電圧を印加する第2電圧印加回路とを備えていることを特徴とする。
【0007】
このように構成された画像形成装置によれば、第1スコロトロン帯電器と、ワイヤが汚れやすい第2スコロトロン帯電器とで電圧印加回路を分けたので、各スコロトロン帯電器のワイヤの汚れ具合の違いによって生じる放電量の差を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、帯電器に電圧を印加する電圧印加回路を、装置本体に設けられるファンに最も近くワイヤが汚れにくいスコロトロン帯電器に接続される電圧印加回路と、ワイヤが汚れやすいその他のスコロトロン帯電器に共通に接続される電圧印加回路とに分けたので、各スコロトロン帯電器のワイヤの汚れ具合の違いによって生じる放電量の差を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態に係るカラープリンタを示す側断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る電源装置の構成を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る制御装置による第2電圧印加回路の制御を示すフローチャートである。
【図4】変形例に係る制御装置による第2電圧印加回路の制御を示すフローチャートである。
【図5】第2実施形態に係る制御装置による第2電圧印加回路の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
次に、本発明の第1実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、カラープリンタ1(画像形成装置)の全体構成を簡単に説明した後、本発明の特徴部分の詳細を説明する。
【0011】
また、以下の説明においては、カラープリンタ1の使用時におけるユーザを基準にした方向で説明することにする。すなわち、図1においては、左側を「前(手前)側」とし、右側を「後(奥)側」とし、紙面垂直方向のうち奥側を「左側」とし、紙面垂直方向のうち手前側を「右側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。
【0012】
<カラープリンタの全体構成>
図1に示すように、カラープリンタ1は、装置本体2内に、用紙S(記録シート(転写媒体))を供給する給紙部20と、給紙された用紙Sに画像を形成する画像形成部30と、画像が形成された用紙Sを排出する排紙部90とを備えている。
【0013】
装置本体2の上部には、開口部2Aが形成されている。そして、この開口部2Aは、装置本体2に回動可能に支持されるアッパーカバー3によって開閉されるようになっている。アッパーカバー3の上面は、装置本体2から排出された用紙Sを蓄積する排紙トレイ4となっている。
【0014】
また、装置本体2の左側側壁の後方(後述するシアン用の現像カートリッジ56Cよりも後側)には、装置本体2内の空気を外部へ排出するためのファンFが設けられている。
【0015】
給紙部20は、装置本体2内の下部に設けられ、装置本体2に着脱自在に装着される給紙トレイ21と、給紙トレイ21から用紙Sを画像形成部30へ搬送する用紙供給機構22を備えている。用紙供給機構22は、給紙トレイ21の前側に設けられ、給紙ローラ23、分離ローラ24及び分離パッド25を備えている。
【0016】
このように構成される給紙部20では、給紙トレイ21内の用紙Sが、一枚ずつ分離されて上方へ送られ、紙粉取りローラ26とピンチローラ27の間を通過する過程で紙粉が除去された後、図示しない搬送経路を通って後ろ向きに方向転換され、画像形成部30に供給される。
【0017】
画像形成部30は、4つのLEDユニット40と、4つのプロセスカートリッジ50と、転写ユニット70と、定着ユニット80と、電源装置200とを備えている。
【0018】
LEDユニット40は、アッパーカバー3の下部に設けられる図示しないLED取付部材に対して揺動可能に連結されており、装置本体2に設けられている位置決め部材によって適宜位置決めされて支持されている。
【0019】
プロセスカートリッジ50は、アッパーカバー3と給紙部20との間で前後方向に沿って並列配置され、ドラムカートリッジ58と、このドラムカートリッジ58に着脱可能となる現像カートリッジ56とを備えている。
【0020】
現像カートリッジ56は、現像ローラ53と、供給ローラ54と、層厚規制ブレード57と、現像剤の一例としてのトナーを収容するトナー収容室55とを主に備えている。
【0021】
また、現像カートリッジ56は、通常時において、ブラック用、イエロー用、マゼンダ用及びシアン用の各色トナーが入った56K,56Y,56M,56Cの符号で示すものが用紙Sの搬送方向の上流側からこの順で並んで配置されている。
【0022】
ドラムカートリッジ58は、感光体の一例としての感光体ドラム51や、スコロトロン帯電器52などを備えている。なお、本明細書及び図面において、トナーの色に対応した感光体ドラム51とスコロトロン帯電器52を特定する場合には、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンのそれぞれに対応させて、K、Y、M、Cの記号を付すこととする。
【0023】
また、本実施形態では、シアン用感光体ドラム51Cを、「第1感光体ドラム51C」(第1感光体)とも呼ぶ。さらに、ファンFに対して第1感光体ドラム51Cよりも離れた位置に並列配置されている、シアン以外の感光体ドラム51K,51Y,51Mを、「第2感光体ドラム51K,51Y,51M」(第2感光体)とも呼ぶ。また、第1感光体ドラム51Cを帯電させるシアン用スコロトロン帯電器52Cを「第1スコロトロン帯電器52C」、対応するシアン以外の感光体ドラム51K,51Y,51Mを帯電させるシアン以外の複数のスコロトロン帯電器52K,52Y,52Mを「第2スコロトロン帯電器52K,52Y,52M」とも呼ぶ。
【0024】
スコロトロン帯電器52は、金属から形成されるワイヤ521と、ワイヤ521と感光体ドラム51の間に配置され、金属製の板状部材で形成されたグリッド522を有している(図2参照)。このスコロトロン帯電器52は、後述する電源装置200により電圧を印加されることでコロナ放電を発生させ、コロナ放電により生じたイオンが感光体ドラム51側に放電電流として流れることで、感光体ドラム51を帯電させる。
【0025】
転写ユニット70は、給紙部20と各プロセスカートリッジ50との間に設けられ、駆動ローラ71、従動ローラ72、搬送ベルト73及び転写ローラ74を備えている。
【0026】
駆動ローラ71及び従動ローラ72は、前後方向に離間して平行に配置され、その間に無端状のベルトからなる搬送ベルト73が張設されている。搬送ベルト73は、その外側の面が各感光体ドラム51に接している。また、搬送ベルト73の内側には、各感光体ドラム51との間で搬送ベルト73を挟持する転写ローラ74が、各感光体ドラム51に対向して4つ配置されている。この転写ローラ74には、転写時に定電流制御によってトナーの帯電極性とは異なる極性の転写バイアス(転写電圧)が掛けられる。
【0027】
定着ユニット80は、各プロセスカートリッジ50及び転写ユニット70の後側に配置され、加熱ローラ81と、加熱ローラ81と対向配置され加熱ローラ81を押圧する加圧ローラ82とを備えている。
【0028】
このように構成される画像形成部30では、カラー印刷モードの場合、まず、各感光体ドラム51の表面が、各スコロトロン帯電器52により一様に帯電された後、各LEDユニット40で露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、各感光体ドラム51上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容室55内のトナーは、供給ローラ54を介して現像ローラ53に供給され、現像ローラ53と層厚規制ブレード57の間に進入して一定の厚さの薄層として現像ローラ53上に担持される。
【0029】
現像ローラ53上に担持されたトナーは、現像ローラ53から感光体ドラム51上に形成された静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム51上にトナー像が形成される。
【0030】
搬送ベルト73上に供給された用紙Sが各感光体ドラム51と搬送ベルト73の内側に配置される各転写ローラ74との間を通過することで、各感光体ドラム51上に形成されたトナー像が用紙S上に転写される。そして、用紙Sが加熱ローラ81と加圧ローラ82との間を通過することで、用紙S上に転写されたトナー像が熱定着される。
【0031】
排紙部90は、定着ユニット80の出口から上方に向かって延び、前方に反転するように形成された排紙側搬送経路91と、用紙Sを搬送する複数対の搬送ローラ92を備えている。トナー像が転写され、熱定着された用紙Sは、搬送ローラ92によって排紙側搬送経路91を搬送され、装置本体2の外部に排出されて排紙トレイ4に蓄積される。
【0032】
<電源装置の構成>
次に、電源装置200の構成について説明する。
電源装置200は、各スコロトロン帯電器52に電圧を印加するための装置であり、図2に示すように、第1電圧印加回路210と、第2電圧印加回路220と、制御装置230と、定電圧回路D1,D2,D3,D4と、電流検出部R1,R2,R3,R4とから主に構成されている。
【0033】
第1電圧印加回路210と第2電圧印加回路220は、それぞれPWM信号平滑回路211,221と、トランスドライブ回路212,222と、出力回路213,223と、電圧検出回路214,224とを備えている。
【0034】
そして、第1電圧印加回路210は、第1スコロトロン帯電器52Cに接続され、第1スコロトロン帯電器52Cに電圧を印加する。また、第2電圧印加回路220は、各第2スコロトロン帯電器52K,52Y,52Mに共通に接続され、各第2スコロトロン帯電器52K,52Y,52Mに電圧を印加する。
【0035】
PWM信号平滑回路211,221は、後述する制御装置230から出力されるPWM信号を平滑して、トランスドライブ回路212,222に出力する。
【0036】
トランスドライブ回路212,222は、例えば、トランジスタなどの増幅素子から構成され、出力回路213,223にPWM信号に応じた電圧を印加する。
【0037】
出力回路213,223は、トランスドライブ回路212,222から入力された電圧を整流して各スコロトロン帯電器52K,52Y,52M,52Cに出力する回路である。第1スコロトロン帯電器52Cのワイヤ521は、第1電圧印加回路210の出力回路213に接続されており、第2スコロトロン帯電器52K,52Y,52Mのワイヤ521は、第2電圧印加回路220の出力回路223に接続されている。
【0038】
電圧検出回路214,224は、出力回路213,223内で発生する電圧を検出し、制御装置230に入力する。これにより、制御装置230が出力回路213,223の出力電圧のデータを取り込むことができるようになっている。
【0039】
定電圧回路D1,D2,D3,D4は、例えば、直列に接続された三つのツェナーダイオードから構成され、各スコロトロン帯電器52K,52Y,52M,52Cのグリッド522の電圧を定電圧化する。
【0040】
電流検出部R1,R2,R3,R4は、例えば、抵抗器から構成され、それぞれ定電圧回路D1,D2,D3,D4に接続されている。そして、後述する制御装置230に設けられた図示しない各A/Dポートが、各電流検出部R1,R2,R3,R4と定電圧回路D1,D2,D3,D4の間に、それぞれ信号線を介して接続されている。このように構成することにより、各グリッド522に流れるグリッド電流値の大きさに比例した電圧が、各A/Dポートに入力されるため、各A/Dポートに入力された電圧を読みとることで、各グリッド電流値を検出することができる。
【0041】
制御装置230は、CPU,ROM,RAMなどを有し、予め用意されたプログラムに従って、第1電圧印加回路210と第2電圧印加回路220の制御を行うように構成されている。なお、スコロトロン帯電器52から感光体ドラム51の表面に流れる放電量は、グリッド522に流れるグリッド電流値と略比例関係にある。従って、本実施形態では、制御装置230は、感光体ドラム51の表面の帯電量が不足しないように、各グリッド電流値が、所定値以上となるような制御を行っている。
【0042】
<制御装置による制御方法>
次に、制御装置230による第2電圧印加回路220の制御方法について図3を参照して詳細に説明する。
制御装置230による第2電圧印加回路220の制御は、印刷処理開始直後に実行される初期制御(定電圧制御)と、初期制御以降の印刷処理終了時まで実行される実制御(定電流制御)の2段階制御となっている。
【0043】
初期制御ではまず、制御装置230は、印刷処理開始直後に、第2電圧印加回路220の出力電圧、すなわち、第2電圧印加回路220が各第2スコロトロン帯電器52K,52Y,52M(各ワイヤ521)に印加する電圧の目標値を設定する(S10)。
【0044】
次に、制御装置230は、第2電圧印加回路220の出力電圧がステップS10で設定した目標値となるように、PWM信号平滑回路221にPWM信号を入力する。そして、電圧検出回路224にて検出される電圧値に基づいて、第2電圧印加回路220の出力電圧が目標値で安定するように調節する(S20)。
【0045】
そして、ステップS20で出力電圧が安定すると、制御装置230は、各A/Dポートに入力される電圧から各電流検出部R2,R3,R4に流れる電流値、つまり、各グリッド522に流れるグリッド電流値を算出(検出)する(S30)。そして、ステップS30で検出した各グリッド電流値が、すべて所定値以上であるか否かを判定する(S40)。
【0046】
ステップS40において、一つでも所定値より小さいグリッド電流値があった場合(No)、制御装置230は、出力電圧の目標値を上昇させる(S50)。その後は、全てのグリッド電流値が所定値以上になるまでステップS20からステップS40の処理が同様に行われる。
【0047】
ステップS40において、各グリッド電流値がすべて所定値以上であった場合(Yes)、制御装置230による制御は、実制御へと移行する。
【0048】
実制御ではまず、制御装置230は、各グリッド522に流れるグリッド電流値を検出する(S60)。そして、制御装置230は、ステップS60で検出した各グリッド電流値のうち最小の電流値を示すグリッド電流値を判別する(S70)。
【0049】
そして、制御装置230は、ステップS70で判別された最小の電流値を示すグリッド電流が所定値以上の定電流となるように第2電圧印加回路220を制御する(S80)。具体的に、ステップS80において制御装置230は、最小の電流値を示すグリッド522に対応するA/Dポートに入力される電圧に基づいて、PWM信号をPWM信号平滑回路221に出力することで、最小の電流値を示すグリッド電流が定電流となるように出力電圧を調整する。このように、最小の電流値を示すグリッドを定電流制御することで、他のグリッドも所定値以上の電流値を維持することができる。
【0050】
そして、制御装置230は、電圧印加処理を終了するか否かを判定する(S90)。継続して電圧印加処理を行う場合(No)、グリッド電流値を検出するタイミングであるかを判定する(S100)。具体的に、制御装置230は、所定印字枚数毎に、各グリッド電流値を検出する。そして、印字枚数が所定値に達した場合には(Yes)、各グリッド電流値を検出し(S60)、最小の電流値を示すグリッド電流値を再度判別する(S70)。一方、ステップS100において、印字枚数が所定値に達していない場合には(No)、引き続き定電流制御が行われる(S80)。
【0051】
また、カラープリンタ1による印刷処理が終了した場合、ステップS90では、電圧印加処理を終了する判定がなされ(Yes)、制御装置230による第2電圧印加回路220の制御は終了する。
【0052】
なお、制御装置230は、第1電圧印加回路210に対しては、前述した初期制御を行ったあと、第1スコロトロン帯電器52Cのグリッド電流値が所定値以上となるように定電流制御を行う。
【0053】
以上によれば、本実施形態において以下のような作用効果を得ることができる。
第1スコロトロン帯電器52Cに接続される第1電圧印加回路210と、ファンFに対して第1スコロトロン帯電器52Cよりも離れた位置に配置される複数の第2スコロトロン帯電器52K,52Y,52Mに共通に接続される第2電圧印加回路220とを設けたことにより、ワイヤ521の汚れ具合の差によって生じる第1スコロトロン帯電器52Cと各第2スコロトロン帯電器52K,52Y,52Mの放電量の差を小さくすることができる。
【0054】
そして、各グリッド522に流れるグリッド電流値を検出する電流検出部R2,R3,R4と、各グリッド電流値が所定値以上となるように第2電圧印加回路220を制御する制御装置230とを設けたことにより、対応する第2感光体ドラム51K,51Y,51Mの表面を十分に帯電させることができる。
【0055】
また、制御装置230が、グリッド電流値のうち最小の電流値を示すグリッド電流値を判別し、当該最小の電流値を示すグリッド電流が、所定値以上の定電流となるように第2電圧印加回路220を制御することにより、他のグリッド電流値を所定値以上の電流値に維持することができる。
【0056】
そして、制御装置230が、所定印字枚数毎に最小の電流値を示すグリッド電流値を判別するので、印字中に最小のグリッド電流値を示すスコロトロン帯電器が入れ替わったとしても、その入れ替わった後の最小の電流値を示すスコロトロン帯電器のグリッド電流値に応じて定電流制御をすることができる。
【0057】
前記実施形態では、ステップS100において、最小の電流値を示すグリッド電流値を判別するタイミングを、所定印字枚数毎としていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、最小の電流値を示すグリッド電流値の判別タイミングは、所定時間毎であってもよい。このように、所定時間毎に最小の電流値を示すグリッド電流値を判別した場合であっても、印字中におけるグリッド電流値の大小の順位の変化に対応することができる。
【0058】
前記実施形態では、初期制御において、定電圧制御を行いながら、各グリッド電流値が所定値以上となるように電圧を制御していたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図4に示すように初期制御は簡素化してもよい。
【0059】
具体的に、制御装置230は、印字開始にともなって、まず、各グリッド電流値の最小値(すなわち、目標電流値)を設定する(S15)。
【0060】
次に、制御装置230は、各グリッド電流値が設定した電流値となるように第2電圧印加回路220の制御を行い、第2電圧印加回路220は、各スコロトロン帯電器52K,52Y,52Mに電圧を印加する(S25)。そして、ステップS25の終了の後、実制御(ステップS60以降)へ移行する。
【0061】
このように、初期制御を簡素化することにより、初期制御を短時間で終了させることができる。
【0062】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、第1実施形態と同様な構成の電源装置200において、制御装置230による制御方法を簡素化したものである。なお、本実施形態では、前記した第1実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付して、その説明を省略することとする。
【0063】
本実施形態において、制御装置230による制御は、ステップS40までの処理は第1実施形態と同様であり、ステップS40以降の処理は、最小の電流値を示すグリッド電流値を判別する処理を行わずに、各グリッド電流値を所定値以上に保つ制御を行っている。
【0064】
具体的には、ステップS40において、各グリッド電流値がすべて所定値以上だった場合(Yes)、制御装置230は、定電圧制御を行う(S110)。その後、電圧印加処理を終了するか否かが判定され(S90)、終了すると判定された場合(Yes)、制御装置230による制御は終了する。
【0065】
ステップS90において、電圧印加処理を終了しないと判定された場合(No)、制御装置230は、グリッド電流値を検出するタイミングであるかを判定する(S100)。グリッド電流の検出タイミングであった場合(Yes)、制御装置230は、各グリッド電流値を検出し(S30)、検出した各グリッド電流値がすべて所定値以上であるかを判定する(S40)。そして、各グリッド電流値のいずれかが所定値未満であった場合に(No)、制御装置230は、各第2スコロトロン帯電器52K,52Y,52Mのワイヤ521とグリッド522間に印加する電圧を上げるように第2電圧印加回路220を制御する(S50)。一方、ステップS100において、グリッド電流の検出タイミングでなかった場合(No)、引き続き定電圧制御が行われる(S110)。
【0066】
これによれば、最小の電流値を示すグリッド電流値を判別するステップがないので、第1実施形態の場合よりも、制御を簡素化することができる。
【0067】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0068】
前記実施形態では、第1電圧印加回路210にシアン用スコロトロン帯電器52Cを接続し、第2電圧印加回路220にその他のマゼンダ用、イエロー用及びブラック用スコロトロン帯電器52K,52Y,52Mを接続していたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ブラック用の現像カートリッジ56Kを最もファンFに近い位置に配置して第1電圧印加回路210に単独で接続してもよい。このように配設することで、使用頻度が高く汚れやすいブラック用スコロトロン帯電器52Kを単独で電圧制御することができる。
【0069】
前記実施形態においては、画像形成装置としてカラープリンタ1を例示したが、複合機やコピー機に本発明を適用することもできる。
【符号の説明】
【0070】
1 カラープリンタ
2 装置本体
51C 第1感光体ドラム
51K,51Y,51M 第2感光体ドラム
52C 第1スコロトロン帯電器
52K,52Y,52M 第2スコロトロン帯電器
200 電源装置
210 第1電圧印加回路
220 第2電圧印加回路
230 制御装置
521 ワイヤ
522 グリッド
F ファン
R1,R2,R3,R4 電流検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体に設けられ、前記装置本体内の空気を外部へ排出するファンと、
前記装置本体内に設けられた第1感光体と、
前記装置本体内の、前記ファンに対して前記第1感光体よりも離れた位置に並列配置された複数の第2感光体と、
前記第1感光体を帯電させる第1スコロトロン帯電器と、
対応する各前記第2感光体を帯電させる複数の第2スコロトロン帯電器と、
前記第1スコロトロン帯電器に接続され、前記第1スコロトロン帯電器に電圧を印加する第1電圧印加回路と、
各前記第2スコロトロン帯電器に共通に接続され、各前記第2スコロトロン帯電器に電圧を印加する第2電圧印加回路とを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1スコロトロン帯電器及び前記第2スコロトロン帯電器は、ワイヤとグリッドをそれぞれ有し、
対応する各前記第2スコロトロン帯電器の前記グリッドに流れるグリッド電流値を検出する電流検出部と、
各前記グリッド電流値がそれぞれ所定値以上となるように前記第2電圧印加回路を制御する制御装置とをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御装置は、各前記グリッド電流値のうち最小の電流値を示すグリッド電流値を判別し、当該最小の電流値を示すグリッド電流が前記所定値以上の定電流となるように前記第2電圧印加回路を制御することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御装置は、所定印字枚数毎に、前記最小の電流値を示すグリッド電流値を判別することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御装置は、所定時間毎に、前記最小の電流値を示すグリッド電流値を判別することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御装置は、各前記グリッド電流値のいずれかが所定値未満となった場合に、各前記第2スコロトロン帯電器に印加する電圧を上げるように前記第2電圧印加回路を制御することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御装置は、所定印字枚数毎に、各前記グリッド電流値を検出することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御装置は、所定時間毎に、各前記グリッド電流値を検出することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1感光体は、黒色の現像剤に対応することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−113118(P2012−113118A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261680(P2010−261680)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】