説明

画像形成装置

【課題】ネットワーク上の装置からの印刷処理を実行する画像形成装置を提供する。
【解決手段】ネットワークを介して接続された外部のデータ処理装置から印刷データを受信するデータ受信部と、前記ネットワークに接続され印刷データの展開データを生成する展開処理装置と、その処理能力を逐次収集する情報収集部と、各展開処理装置がこれまでに展開データを生成したときの処理能力および生成に要した時間を履歴データとして保持する履歴データ保持部と、前記印刷データをいずれの展開処理装置に展開させるかを選択する展開先選択部と、前記印刷データを選択された展開処理装置に転送するデータ転送部を備え、前記展開先選択部は、各展開処理装置の直近の処理能力および前記履歴データに基づき前記印刷データの予想展開時間を推定し、前記予想展開時間が最短となる展開処理装置の選択を行い、生成された展開データを受信する画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ネットワーク上の装置からのプリント要求により印刷処理を実行する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはワイドエリアネットワーク(WAN)等に接続された複数のコンピュータ、コピー、スキャナ、プリンタ等からなる多種多様なネットワークシステムが構築されるようになってきた。
【0003】
従来、このようなネットワークシステムにおいては、ネットワーク上の装置の印刷データの展開時間や印刷能力に基づき、処理時間が最短となる装置を選択し、また、装置間で処理機能を互いに補完することによって、処理効率を最適化するシステムが提供されている。例えば、ネットワーク上の端末のデータ展開能力と端末までのデータ転送速度を事前に調べておき、データ展開時間が短い端末を選択する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、複合機に特定の処理機能がない場合、ネットワーク上にある別の複合機で前記処理機能を補う技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
一方、ネットワーク上のプリンタだけでなく、処理能力に十分な余裕のあるネットワーク上の他のコンピュータの処理能力を活用し、印刷データの高速展開処理を実現するシステムも提供されている。例えば、ネットワーク上に存在する複数のサーバ(コンピュータ、プリンタ等)の処理能力を取得し、データ処理(言語処理および画像処理)時間が最短となるサーバを選択し、選択されたサーバにてデータ処理を実行することで、画像処理の効率化を実現する技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−112158号公報
【特許文献2】特開平9−186811号公報
【特許文献3】特開2005-78461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1にある従来の技術では、個々の端末の処理能力を調べた後、調査対象の端末に別のタスクが発生し、使用可能な処理能力が低下した場合においても、この状態を知りえる手段までは有していない。ネットワーク環境のリアルタイムな変化を考慮することが望まれている。また、特許文献2にある従来技術では、複合機間の不足機能の補完を複合機間で行なうことはできるが、保有機能の処理速度アップ及び複合機以外のコンピュータによる速度アップを実現することまではできない。ネットワーク環境を最大限に活かす手法が望まれている。さらに、特許文献3にある従来技術は、コンピュータやプリンタ等の装置の処理能力や稼働状態など、個々の要素に基づいて最適な装置を選択することはできるものの、データ展開処理の実行時に、各コンピュータ、プリンタなどの機器がその処理能力を発揮し得る状況にあるか否かまでは考慮されていない。データ展開処理の実行時に各機器が発揮し得る処理能力を考慮することが望まれている。
【0007】
一方、次々と出される新製品とそれに対する予算の問題から、新旧世代のコンピュータ、プリンタ等が同じネットワーク上に混在して使用される状況が、近年多くみられるようになってきている。このようなネットワーク環境においては、同じ稼働率でも新旧世代のコンピュータ間で処理能力に顕著な違いが生じる場合がある。例えば、コンピュータやプリンタ等の稼働率や性能が同一であっても、それらが属するネットワークの環境によっては、実際の処理能力に違いが生じる場合がある。また、データの並列処理による処理能力の低下やトラフィックの混雑など、処理能力がリアルタイムに変化する。前記の従来技術ではこのような実情が考慮されていなかった。そのため、ネットワークの接続環境によらず、常に最適な処理効率を発揮できる装置の実現が望まれていた。
【0008】
この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであってネットワーク上で印刷データの展開処理を行い得る複数の機器があるとき、各機器の予想展開時間を推定し最短時間で前記印刷データの展開処理が行える機器を選択する画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、ネットワークを介して接続された外部のデータ処理装置から印刷データを受信するデータ受信部と、前記ネットワークを介して接続される複数の展開処理装置であって前記印刷データを展開して展開データを生成し得る展開処理装置の処理能力を逐次収集する情報収集部と、各展開処理装置がこれまでに展開データを生成したときの処理能力および生成に要した時間を履歴データとして保持する履歴データ保持部と、前記印刷データをいずれの展開処理装置に展開させるべきかを選択する展開先選択部と、前記印刷データを選択された展開処理装置に転送するデータ転送部と生成された展開データを印刷する印刷部とを備え、前記展開先選択部は、前記情報収集部が収集した各展開処理装置の直近の処理能力および前記履歴データに基づき前記印刷データの予想展開時間を推定し、前記予想展開時間が最短となる展開処理装置の選択を行い、前記データ転送部は、選択された展開処理装置に前記印刷データを転送して展開データを生成させ、前記受信部は、生成された展開データを受信することを特徴とする画像形成装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明の画像形成装置において、前記展開先選択部は、前記情報収集部が収集した各展開処理装置の直近の処理能力および前記履歴データに基づき前記印刷データの予想展開時間を推定し、前記予想展開時間が最短となる展開処理装置の選択を行うので、直近の処理能力および前記履歴データに基づいて印刷データの展開処理が最短時間で実現される。また、前記ネットワーク上で行われる各種処理やトラフィックの混雑により各展開処理装置の処理能力が変化した場合でも、それに応じた適切な展開処理装置を用いて処理を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明に係る複合機を含むネットワークの形態の一例を示す説明図である。
【図2】この発明に係る複合機の構成例を示す説明図である。
【図3】この発明に係る複合機の印刷データ受信から展開先選択までの処理手順を示すフローチャートである。
【図4】この発明に係る複合機が複数の印刷データを受信した場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】この発明の情報収集部の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】履歴情報を参照して処理時間最小となるデータ処理装置を選択する手順を示すフローチャートである。
【図7】履歴情報を参照せずに処理時間最小となるデータ処理装置を選択する手順を示すフローチャートである。
【図8】この発明に係る複合機を含むネットワークに展開用サーバを設けた場合の実施例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の好ましい態様について説明する。
前記印刷データを展開して展開データを生成し得るデータ展開部をさらに備え、前記情報収集部は、前記データ展開部の処理能力をさらに逐次収集し、前記履歴データ保持部は、前記データ展開部がこれまでに展開データを生成したときの処理能力および生成に要した時間を履歴データとしてさらに保持し、前記展開先選択部は、前記情報収集部が収集した前記データ展開部の直近の処理能力および前記履歴データに基づき前記印刷データの予想展開時間をさらに推定し、前記予想展開時間が最短となる展開処理装置またはデータ展開部の選択を行うものであってもよい。
【0013】
このようにすれば、画像形成装置にデータ展開部が搭載されている態様ではそのデータ展開部も選択対象に含まれるため、ネットワーク上のコンピュータ等で展開処理を行う場合に比べてデータの転送、受信によるロスタイムがなくなりかつネットワークトラフィックの軽減が可能となる。
【0014】
この発明による画像形成装置において、前記展開先選択部は、前記データ展開部が展開処理を行っていない場合、各展開処理装置に優先して前記データ展開部を選択するものであってもよい。
このようにすれば、画像形成装置に搭載されているデータ展開部が待機状態にあるときは、データ展開部が優先的されるため、ネットワークトラフィックの軽減が可能となる。
【0015】
この発明による画像形成装置において、前記履歴データ保持部は、前記印刷データが選択された展開処理装置に転送され、生成された展開データが前記受信部に受信される時間をデータ往復時間としてさらに保持し、前記展開先選択部は、前記データ往復時間と予想展開時間とを合わせた時間を用いて前記選択を行うものであってもよい。
このようにすれば、データ転送、受信によるロスタイムを加味し、最も展開処理時間が短くなる展開先が選択可能となる。
【0016】
この発明による画像形成装置において、前記印刷データが受信された順序または時間を記録するデータ順序記録部と、生成された展開データを前記印刷部による印刷の前に一時的に保持し、印刷順序を制御する印刷順序制御部とをさらに備え、前記印刷順序制御部は、前記データ展開部または前記展開処理装置により第1の前記印刷データを展開中に第2の前記印刷データが受信され、前記第2の印刷データの展開完了時に前記第1の印刷データの展開が完了していない場合、前記印刷部が前記第1の印刷データに係る展開データの印刷を実行するまで、前記第2の印刷データに係る展開データを一時的に保持するものであってもよい。
【0017】
このようにすれば、複数の展開処理を同時に実行した場合に、各展開先での処理能力の差に起因して発生し得る印刷順序の入れ替わりを防止できる。また、一連のドキュメントに係る印刷データの展開処理を複数の展開手段により分割処理で行い、展開時間の短縮を図る場合でも、印刷ドキュメントでの意図したページ順との入れ替わりが防止されるため、ユーザによる印刷ドキュメントの誤った取り出しが防止可能となる。
【0018】
この発明による画像形成装置において、処理時間を優先する設定を行った場合には前記印刷部は、前記第2の印刷データに係る展開データを前記印刷順序制御部が所定時間保持した後は、第1の印刷データの展開完了前であっても、前記第2の展開データの印刷を実行するものであってもよい。
このようにすれば、第1の印刷データの展開処理に非常に長い時間がかかっている場合、後続の展開処理、即ち、第2の印刷データの展開が待たされて全体の処理が滞り効率が低下するような事態を防止できる。
【0019】
この発明による画像形成装置において、前記展開処理装置は、少なくとも1つがデータ展開用サーバであってもよい。
このようにすれば、ネットワーク上の空きコンピュータの処理能力が低い場合やネットワーク上の空きコンピュータが無いもしくは少ない場合においても、データ展開用サーバを用いることによって、印刷データの高速展開処理が実現できる。
【0020】
この発明による画像形成装置において、前記処理能力は、最大展開速度、メモリの残り容量、ハードディスクの残り容量、CPUの処理能力、稼働中の展開タスク数、またはこれらの組み合わせであるものであってもよい。
このようにすれば、前記展開先選択部は、前述の多様な観点から処理能力を判断し適切な展開処理装置を選択することができる。
【0021】
ここで示した種々の好ましい態様は、それら複数を組み合わせることもできる。
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
【0022】
≪画像形成装置を含むネットワークシステムの構成例≫
図1は、この発明の画像形成装置を含むネットワークシステムの一例を示す説明図である。
この発明において、ネットワーク800を介して複数台の複合機、すなわち、この発明の画像形成装置としての複合機100および展開処理に利用可能な他の複合機400とコンピュータ200、300、500とが相互に接続されている。ここで、複合機100は、ユーザによって印刷データを出力する装置として選択されたとする。即ち、複合機100は、画像形成装置として機能する。複合機400は、印刷は行わないが、展開処理に利用可能であるのでデータ処理装置に含まれる。ネットワーク800は、例えば、一般的に知られたイーサネット(登録商標)であって、TCP/IPプロトコルで動作するものであってもよい。
なお、外部のデータ処理装置とは、画像処理をしようとしているこの発明の画像形成装置に係る装置以外のコンピュータや他の複合機等であって、ネットワークを介して画像データ処理可能な装置である。本構成例においては、展開処理に利用可能な他の複合機400およびコンピュータ200、300、500が、外部のデータ処理装置に相当する。
従って、以下の構成例において、複合機は、この発明の画像形成装置としての複合機100を指す。複合機400等については、画像形成装置としては機能しないが印刷データの展開に用いられ得るのでデータ処理装置に含まれるものとする。ただし、異なる態様としてユーザが複合機400を画像形成装置として選択してもよい。その場合、複合機100がデータ処理装置に含まれる。
【0023】
≪この発明に係る複合機の構成例≫
図2は、図1で示したこの発明に係る複合機100を、制御部107を用いて実現した場合の機能的な構成の一例を示すブロック図である。この発明において、データ受信部103は、ネットワークを介して印刷データおよび/または展開データを受信する。また、情報収集部102は、ネットワークを介して外部のデータ処理装置の処理能力を収集する。さらに、データ展開部110は、印刷データを展開データに展開する。履歴データ保持部108は、データ処理装置の処理能力の履歴情報を保持する。また、展開先選択部109は、印刷データを展開すべき1つのデータ処理装置を選択する。データ転送部104は、ネットワークを介して印刷データを選択されたデータ処理装置に転送する。データ順序記録部105は、印刷データの受信順序または受信時間を記録する。印刷順序制御部111は、展開データを一時的に保持する。印刷部112は、展開データを印刷する。なお、情報収集部102、データ受信部103およびデータ転送部104は、それぞれネットワークインターフェース部101を経由して、外部のデータ処理装置の展開処理装置の情報を収集し、データを受信しおよびデータの転送を行う。
【0024】
ネットワークインターフェース部101は、ネットワーク800に接続されネットワーク上のデータ処理装置と通信を行うネットワークインターフェース部を示す。
102は、ネットワークインターフェース部101を経由し、図示しないデータ処理装置の処理能力収集通知アプリケーションによるデータ処理装置の処理能力をネットワーク上の各データ処理装置より収集する。
【0025】
データ受信部103は、ネットワークインターフェース部101を経由し、データ処理装置からの印刷データおよび展開データを受信する。
データ転送部104は、ネットワークインターフェース部101を経由し、データ処理装置へ印刷データを転送する。
データ順序記録部105は、各印刷データの受信順序を記録する。
【0026】
制御部107は、この発明に係る複合機の各部を制御する。制御部107は、マイクロプロセッサ(Microprocessor)、特定の用途のために設計、製造される集積回路であるASIC(Application Specific Integrated Circuit)、その他の演算機能を有する回路のいずれか、またはそれらの組み合わせで構成されてもよい。
【0027】
バッファ部106は、制御部107によってデータアクセスされ、一時的にデータを記憶するワークメモリとして使用するRAM(Random Access Memory)である。また、バッファ部106は、データ受信部103のデータ受信部により受信した印刷データおよび展開データを、制御部107を経由して保存する。さらに、制御部107を経由し、データ転送部104より転送される印刷データの保存及び110のデータの保存も行う。なお、各制御部とバスで接続されていて、DMA(Direct Memory Access)により、制御部107を介さずにデータ転送を行ってもよい。
【0028】
履歴データ保持部108は、データ処理装置で印刷データを展開し、展開データを受信する毎に、展開を行ったデータ処理装置の処理能力とデータ処理装置への印刷データ転送開始からデータ処理装置からの展開データ受信完了までの時間を保持する。
展開先選択部109は、情報収集部102と履歴データ保持部108の情報を元に印刷データの展開先を選択する。
【0029】
データ展開部110は、展開先選択部109によりデータ展開先として、この発明に係る複合機100が選択された場合に使用するデータ展開部である。データ展開部110は、データ受信部103またはデータ転送部104により受信または転送される印刷データをビットマップデータに展開した後に、電子写真方式の画像形成を行う印刷部112に供給する。前記印刷データは、サイズやフォント等の印刷される最終的な形式を選択的に指定できるページ記述言語(PDL:Page Description Language)によって表現されたデータもしくはドキュメントデータ(Adobe PDF(登録商標)、Microsoft Word(登録商標)、Microsoft Excel(登録商標)等のデータ)である。
【0030】
印刷順序制御部111は、データ順序記録部105により記録されたデータの受信順序に基づき、展開データの印刷順序を制御する。なお、111は106の内部に設けることも可能である。
印刷部112は、展開データの印刷を行う。印刷部112は、データ展開部110により展開された印刷データを受け取って用紙に印刷し出力する。
【0031】
≪データ処理装置の構成例≫
この発明の構成例に係るデータ処理装置は、ネットワークインターフェース部101と、データ受信部103と、制御部107と、データ展開部110と、データ転送部104と、データ処理装置の処理能力収集通知アプリケーションとを少なくとも備えている。
ネットワークインターフェース部101は、ネットワーク800に接続されネットワーク上のこの発明に係る複合機100と通信を行う。データ受信部103は、ネットワークインターフェース部101を経由し、複合機100から転送されてきた印刷データを受信する。データ展開部110は、印刷データを展開データに展開する。データ転送部104は、ネットワークインターフェース部101を経由し、複合機100へ展開データを転送する。
【0032】
≪印刷条件の設定の具体例≫
複合機において、操作者はまず印刷条件を設定する。印刷条件の設定項目として、履歴データの参照設定、データ展開部の優先設定、展開予想時間の比較設定の3つの設定項目が設けられている。これらの設定により、操作者はネットワーク環境に合わせてデータ処理を自由にカスタマイズできる。
【0033】
履歴データの参照設定は、処理時間の履歴データを参照するか否かを選択する。この設定が有効のとき、実際のネットワーク環境を反映した印刷処理が実現される。
【0034】
データ展開部の優先設定は、複合機搭載データ展開部を優先するか否かを選択する。この設定が有効のとき、複合機内のデータ展開部が待機状態にある場合は、優先的に複合機内のデータ展開手段を選択するため、ネットワークトラフィックが軽減される。
【0035】
展開予想時間の比較設定は、複合機内のデータ展開部による展開予想時間とデータ処理装置によるデータ展開予想時間との比較をするか否かを選択する。この設定が無効のとき、複合機内のデータ展開手段を選択するため、ネットワークトラフィックが軽減される。
なお、上記の印刷設定は、データ処理装置の設定画面上で選択できるものであっても、図示しない複合機の設定画面のメニュー上で選択できるものであってもよい。
【0036】
≪データ処理装置の情報収集処理の具体例≫
この発明に係る複合機の情報収集部102は、ネットワークに接続された外部のデータ処理装置の処理能力を把握するため、ネットワークインターフェース部101を経由し、データ処理装置の処理能力を定期的に収集し、保存する。図5を用いて、この発明のデータ処理装置の処理能力の収集について、詳細な手順を説明する。
【0037】
図5は、情報収集部102の処理手順を示すフローチャートである。まず、情報収集部102は、ネットワークインターフェース部101を経由し、ネットワーク上に稼動するデータ処理装置(コンピュータおよび展開処理に利用可能な他の複合機等)の合計台数n(nは自然数)を集計する(ステップS40)。次に、制御部107は、集計台数をカウントするカウンタm(mは自然数)を1にセットする(ステップS41)。
【0038】
続いて、情報収集部102は、m台目のデータ処理装置の処理能力を収集し(ステップS42)、ステップS42にて収集した処理能力を保存する(ステップS43)。
また、制御部107は、ネットワーク上のトラフィックの上昇を抑えるべくタイマを設定する(ステップS44)。このタイマはこの実施例では30秒にてネットワーク上の全てのデータ処理装置からの処理能力を集計するよう設定されているが、ネットワーク上のデータ処理装置の台数やネットワークトラフィックの状況などにより、これよりも長くしても、あるいは短くしてもよい。
【0039】
制御部107は、収集済のデータ処理装置の台数mと、最初にS40にてカウントしたデータ処理装置の台数nの比較を行う(ステップS45)。全てのデータ処理装置の収集が終了していない場合(m<nの場合)は、ステップS42に戻り、ステップS42からステップS45の手順を繰り返す。
【0040】
一方、S45にて収集台数mがカウントしたデータ処理装置の台数n以上となった場合(m≧nの場合)は、制御部107は、全データ処理装置の処理能力収集終了と判定し、S40に戻り、繰り返し全てのデータ処理装置の情報収集を繰り返す。
次に、制御部107は、カウンタmにm+1をセットする(ステップS46)。
このようにして、全データ処理装置の処理能力を複合機に保持可能となる。なお、データ展開時の処理能力を的確に把握するため、上記のタイミングの他に、データ展開時にも別途処理能力を収集するようにしてもよい。
【0041】
≪データ処理の具体例≫
次に、図3、4、6、7を用いて、この発明に係る複合機の制御部107が行うデータ処理の詳細な手順を説明する。
図3、4、6、7は、この発明の印刷データ受信から展開先選択、印刷データ送信、展開データ受信および複合機での展開を経て展開データ印刷までを示すフローチャートである。
【0042】
図3に示すように、ネットワークインターフェース部101を経由して、データ受信部103が印刷データを受信すると(ステップS1)、制御部107は、データ展開部110が既に印刷データの展開処理を行っているか否か判定を行う(ステップS2)。
既に印刷データの展開を行っている場合は、図4のフローチャートに進む。この時の印刷データ同時実行は2つに限らず、ネットワーク上のデータ処理装置と複合機内の画像展開部の合計の数までの同時展開が可能である。
【0043】
展開中の印刷データが存在しない場合は(ステップS2)、制御部107は、過去に展開を行った際のデータ処理装置の処理能力とデータ処理装置への印刷データ転送開始からデータ処理装置からの展開データ受信完了までの処理時間情報を参照するか否かについての設定を参照する(ステップS3)。
【0044】
履歴情報を参照する場合は、ステップS4に進み、制御部107は、履歴データ保持部108に保存された処理能力、処理時間履歴情報、現在の処理能力に基づき、処理時間最短となるデータ処理装置の選択を行う(ステップS4)。この処理の詳細については、図6のフローチャートにて後ほど説明する。
【0045】
履歴情報を参照しない場合は、ステップS5に進み、制御部107は、履歴データ保持部108に保存された現在の処理能力のみを参照し、処理時間が最短となるデータ処理装置の選択を行う(ステップS5)。この処理の詳細については、図6のフローチャートにて後ほど説明する。
【0046】
ステップS4、S5の処理の後、制御部107は、複合機内のデータ展開部110の有無を確認する(ステップS6)。データ展開部110が有る場合は前記ステップS7に進む。データ展開部110が無いと判定した場合は、制御部107は、展開部ステップS12に進む。ステップS12以降の処理については後ほど説明する。
ステップS7にて、制御部107は、複合機内の展開部による展開予想時間とステップS4、S5にて選択されたデータ処理装置による展開予想時間の比較が有効になっているか否かについて設定を判定する(ステップS7)。
【0047】
前記ステップS7にて、比較設定が有効と判断した場合は、制御部107は、画像形成装置搭載データ展開部を優先的に選択する設定が有効になっているか否かについて設定を判定する(ステップS8)。前記比較設定が有効でない場合は、ステップS11に進む。ステップS11以降の処理については後ほど説明する。
【0048】
前記ステップS8にて、優先設定が有効の場合は、制御部107は、複合機内のデータ展開部が待機状態にあるか否かを判定する(ステップS9)。一方、優先設定が無効の場合は、制御部107は、ステップS10に進む。ステップS10以降の処理については後ほど説明する。
前記ステップS9にて、複合機内のデータ展開部が待機状態にある場合、制御部107は、ステップS11に進む。一方、待機状態にない場合、ステップS10に進む。
【0049】
ステップ10にて、制御部107は、複合機内の展開部による展開予想時間とステップS4、S5にて選択されたデータ処理装置による展開予想時間の比較を行う(ステップS10)。
前記ステップS10にて、制御部107は、複合機内の画像展開が速いと判断した場合は、複合機内のデータ展開部110により展開を実行し(ステップS11)、続いて印刷部112にて印刷を実行する(ステップS17)。一方、データ処理装置による展開が速いと判断した場合は、ステップS12に進む。
【0050】
ステップS12にて、制御部107は、データ転送部104によりネットワークインターフェース部101を経由し、選択を行ったデータ処理装置への印刷データ転送を実行する(ステップS12)。なお、制御部107は、前記印刷データ転送と同時に、当該印刷データの展開処理および展開処理後の展開データの複合機への返送を指令するコマンドコードのデータ処理装置への送信も行う。
【0051】
一方、上記選択されたデータ処理装置は、複合機から送られてきたコマンドコードの依頼内容に従って印刷データの展開を行い(ステップS13)、展開された展開データを複合機に返送する。返送された展開データは、データ受信部103にて受信される(ステップS14)。
【0052】
なお、コマンドコードの送信の代わりに、CORBA(Common Object Request Broker Architecture)などの分散オブジェクト技術を用いてもよい。ハードウェアやOS等に依存せずに、データ交換や処理要求などが行える。また、Java(登録商標)による仮想環境の実装により、機種に依存せずにコードの実行が可能となり、異なる複数のハードウェアやOS等を搭載したデータ処理装置から構成される多様なネットワーク環境における動作が可能となる。
【0053】
次に、制御部107は、処理時間の履歴情報を参照するか否かについての設定の判定を行い(ステップS15)、当該参照設定が無効の場合は、印刷部112にて印刷を実行する(ステップS17)。前記参照設定が有効の場合は、制御部107は、現在実行したデータ処理装置による展開に要した処理時間と展開処理を行った際の処理能力を履歴データ保持部108に保存した後(ステップS16)、印刷部112にて印刷を実行する(ステップS17)。
【0054】
≪複数データ処理の具体例≫
次に、図4を用いて、複数のデータ展開処理を行われる場合の、この発明に係る複合機の制御部107が行うデータ処理の詳細な手順を説明する。
図4は、複数のデータを受信した場合の展開処理を示すフローチャートである。ステップS18からS31までは図3のステップS3からS16と同様の制御を行う。その後、複数展開処理時に後から受信した印刷データの展開データ受信が先に受信した印刷データの展開データ受信より先に行われたか否かのチェックを行う(ステップS32)。
【0055】
受信の追い越しが無い場合は、印刷を行う(図3の前記ステップS17)。追い越しがある場合は、先に受信した印刷データの展開データ受信を所定の時間待つ(ステップS33)。この実施例では5秒間待機としているが、ネットワーク環境、複合機の能力に応じて可変してもよい。また、複合機内の画像展開部にて展開を行った場合は展開完了をデータ処理装置からの展開データ受信を展開完了と同等に扱う事とする。
【0056】
前記ステップS33にて、5秒以内に展開データが受信された場合は、印刷を行う(図3の前記ステップS17)。5秒以内に展開データが受信されなかった場合は、後から受信した印刷データの印刷を実行し(ステップS34)、S33以降のフローチャートに進む。
【0057】
上記ステップS29からS30までの処理により、複数の展開処理を同時に実行した場合に発生する、各展開先での処理能力の差による印刷順序の入れ替わりを防止し、印刷順序入れ替わりによる分割印刷ドキュメントのページ入れ替わりやユーザによる印刷ドキュメントの誤った取り出しが防止可能になる。
また、上記ステップS30およびS31の処理により,一部の展開先の処理が重い場合に発生する、全体処理の低下を防止可能とする。
【0058】
≪処理時間が最短となるデータ処理装置選択手順の具体例≫
次に、図6を用いて、データ処理装置の処理能力、処理時間履歴情報を参照し、処理時間が最小となるデータ処理装置の選択処理の詳細な手順について説明する。
図6は、図3のステップS4および図4のステップS19にて、データ処理装置の処理能力、処理時間の履歴情報を参照し、処理時間最小となるデータ処理装置の選択処理の手順を示すフローチャートである。
【0059】
制御部107は、ネットワークインターフェース部101を経由して、102により収集され、履歴データ保持部108に保持されたデータ処理装置の処理能力を参照し、現在ネットワーク上で稼動しているデータ処理装置(コンピュータおよび展開処理に利用可能な他の複合機等)の合計台数n(nは自然数)を読取る(ステップS50)。
【0060】
次に、制御部107は、確認台数をカウントするカウンタm(mは自然数)を1にセットし、最小処理時間情報T2MINに100秒(100s)をセットし、展開処理を実行するデータ処理装置の選択番号Sel(Selは0または自然数)のデフォルト値0(ゼロ)を設定する(ステップS51)。この実施例では、T2MINに100秒、データ処理装置の選択番号Selのデフォルト値0(ゼロ)を設定としているが、他の値をセットしてもよい。
【0061】
処理能力の収集結果より、制御部107は、m台目のデータ処理装置の処理能力を読み取り、パラメータR2mにセットする(ステップS52)。次に、制御部107は、処理能力、処理時間の履歴情報を参照し、選択を行ったデータ処理装置の履歴情報が存在するか、108の履歴データ保持部に格納されたデータの確認を行う(ステップS53)。
【0062】
履歴が存在する場合は、制御部107は、前記履歴情報よりm台目のデータ処理装置の履歴情報を読み取り、パラメータR1mにセットする(ステップS54)。前記履歴よりm台目のデータ処理装置の処理時間履歴情報を読み取り、パラメータT1mにセットする(ステップS55)。
【0063】
一方、前記ステップS53にて履歴情報が存在しない場合は、制御部107は、稼動率履歴パラメータR1mに0をセットし(ステップS57)、処理時間履歴T1mに1をセットする(ステップS58)。
【0064】
次に、制御部107は、これまで読み取ったパラメータから、m台目のデータ処理装置の展開処理時間を予測する(ステップS56)。
例えば、処理能力として、展開処理に利用可能なCPUの稼働率に着目した場合、m台目のデータ処理装置の予測処理時間T2mは、m台目のデータ処理装置の処理時間の履歴T1mとCPU稼働率の履歴R1m、および現在のCPU稼働率R2mより、次の(1)式によって求められる。
【0065】
T2m=T1m×(1−R1m)÷(1−R2m) (1)
上式(1)において、1−R1m、1−R2mはそれぞれ、m台目のデータ処理装置の展開処理に利用可能な過去の履歴および現在の空き容量の割合に相当する。例えば、m台目のデータ処理装置のCPU空き容量の割合の履歴1−R1mが100%のとき、処理時間の履歴T1mが10秒であったとする。このとき、現在のCPU空き容量の割合1−R2mが50%とすると、上式(1)の計算に従い、予測処理時間T2mは20秒と計算される。
【0066】
なお、CPU空き容量の割合の履歴1−R2mが0のとき、ゼロ除算によるエラーが発生しうる。これを回避するため、1−R2mが0のとき、上の(1)式に優先して、以下の(2)式を適用する。(2)式において、T2mを1000秒としたが、ネットワーク環境、データ処理装置の能力に応じて可変してもよい。
【0067】
R2m=1のとき、T2m=1000秒 (2)
なお、上式は一例であり、処理能力としてデータ展開速度や同時進行中のタスク数などに着目した場合は、それらの要素に対応した関係式が展開時間の予測に用いられる。
【0068】
制御部107は、求めたm台目データ処理装置による処理時間予測時間T2mと最小処理時間情報T2MINの比較を行う(ステップS59)。
T2mがT2MIN以下の場合は、制御部107は、T2MINの更新を行い、データ処理装置の選択番号Selに予測を行った、データ処理装置の番号mを保存する(ステップS60)。
【0069】
一方、T2mがT2MINより大きい場合は、制御部107は、前記ステップS60をスキップする。制御部107は、予測済のデータ処理装置の台数mとS50にて読み取ったデータ処理装置(コンピュータおよび展開処理に利用可能な他の複合機)の合計台数nとの比較を行い(ステップS61)、カウンタmにm+1をセットする(ステップS63)。
全ての予測が終了していない場合(m<nの場合)はS52に戻り、S52からS61を繰り返す。
なお、予測済台数がn以上となった場合(m≧nの場合)、制御部107は、比較終了と判定し、パラメータSelに保存されているデータ処理装置を展開先として選択し、元の図3または図4のフローチャートに戻る(ステップS62)。
【0070】
≪現在の処理能力より処理時間が最短となるデータ処理装置選択手順の具体例≫
次に、図7を用いて、データ処理装置の処理能力、処理時間の履歴情報を参照せず、現在のデータ処理装置の処理能力、処理時間から、処理時間が最小となるデータ処理装置の選択処理の詳細な手順について説明する。
図7は、図3の前記ステップS5および図4の前記ステップS20にて処理能力、処理時間の履歴情報を参照せず、処理時間最小となるデータ処理装置の選択処理の手順を示すフローチャートである。
【0071】
制御部107は、ネットワークインターフェース部101を経由して、102により収集されたデータ処理装置の稼動情報ストアより、現在ネットワーク上で稼動しているデータ処理装置(コンピュータおよび展開処理に利用可能な他の複合機)の合計台数n(nは自然数)を読取る(ステップS70)。次に、確認台数をカウントするカウンタm(mは自然数)を1にセットし、最小処理能力R2MINに1をセットし、展開処理を実行するデータ処理装置の選択番号Sel(Selは0または自然数)のデフォルト値0(ゼロ)を設定する(ステップS71)。
【0072】
制御部107は、前記稼動情報ストアより、m台目のデータ処理装置の処理能力を読み取り、パラメータR2mにセットする(ステップS72)。続いて制御部107は、選択したm台目のデータ処理装置による処理能力R2mと最小処理能力R2MINの比較を行う(ステップS73)。
【0073】
制御部107は、R2mがR2MIN以下の場合は、R2MINの更新を行い、データ処理装置の選択番号Selに確認を行った、データ処理装置の番号mをバッファ部106に保存する(ステップS74)。
R2mがR2MINより大きい場合は、前記ステップS74をスキップする。制御部107は、確認済のデータ処理装置の台数mと前記ステップS70にて読み取ったデータ処理装置の台数nとの比較を行い(ステップS75)、カウンタmにm+1をセットする(ステップS77)。
全ての確認が終了していない場合は(m<nの場合)、ステップS72に戻り、ステップS72からS75を繰り返す。
【0074】
確認済台数がn以上となった場合(m≧nの場合)、制御部107は、確認終了と判定し、パラメータSelに保存されているデータ処理装置を展開先として選択し、元の図3または図4のフローに戻る(ステップS76)。
以上のように制御することにより、印刷データの高速展開処理が可能となる。
【0075】
≪展開用サーバをさらに設けたネットワークシステムの構成例≫
ネットワークに展開用のサーバを設けることにより、印刷データの高速展開処理が可能となる。
図8は、この発明の複合機等を含むネットワークシステムに展開用サーバを設けた場合の一例を示す説明図である。複数台の複合機、すなわち、この発明に係る複合機100および展開処理に利用可能な他の複合機400とコンピュータ200、300、500は図1と共通の機器を示し、ネットワーク800を介して、展開用サーバ600、700と相互に接続されている。この展開用サーバは、図3から図7にて説明を行ったデータ処理装置に加え展開処理を実施可能な機器となり、図3から図7の実施例に展開用サーバを加え印刷データの高速展開処理が可能となる。
【0076】
≪展開用サーバの構成例≫
この発明の構成例に係る展開用サーバは、ネットワークインターフェース部101と、データ受信部103と、制御部107と、データ展開部110と、データ転送部104とを少なくとも備える。ネットワークインターフェース部101は、ネットワーク800に接続されネットワーク上の複合機100と通信を行う。データ受信部103は、ネットワークインターフェース部101を経由し、複合機100から転送されてきた印刷データを受信する。データ展開部110は、印刷データを展開データに展開する。データ転送部104は、ネットワークインターフェース部101を経由し、複合機100へ展開データを転送する。
【0077】
前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0078】
この発明による画像形成装置は、印刷可能な印刷データ展開処理を行うネットワークシステムに幅広く利用でき、例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、携帯電話、PDAなどの携帯情報端末、またはそれらの複合機等から構成されるネットワークシステムなどに利用できる。
【符号の説明】
【0079】
100,400:複合機
200,300,500:コンピュータ
600,700:展開用サーバ
800:ネットワーク
101:ネットワークインターフェース部
102:情報収集部
103:データ受信部
104:データ転送部
105:データ順序記録部
106:バッファ部
107:制御部
108:履歴データ保持部
109:展開先選択部
110:データ展開部
111:印刷順序制御部
112:印刷部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して接続された外部のデータ処理装置から印刷データを受信するデータ受信部と、
前記ネットワークを介して接続される複数の展開処理装置であって前記印刷データを展開して展開データを生成し得る展開処理装置の処理能力を逐次収集する情報収集部と、
各展開処理装置がこれまでに展開データを生成したときの処理能力および生成に要した時間を履歴データとして保持する履歴データ保持部と、
前記印刷データをいずれの展開処理装置に展開させるべきかを選択する展開先選択部と、
前記印刷データを選択された展開処理装置に転送するデータ転送部と生成された展開データを印刷する印刷部とを備え、
前記展開先選択部は、前記情報収集部が収集した各展開処理装置の直近の処理能力および前記履歴データに基づき前記印刷データの予想展開時間を推定し、前記予想展開時間が最短となる展開処理装置の選択を行い、
前記データ転送部は、選択された展開処理装置に前記印刷データを転送して展開データを生成させ、前記受信部は、生成された展開データを受信することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記印刷データを展開して展開データを生成し得るデータ展開部をさらに備え、
前記情報収集部は、前記データ展開部の処理能力をさらに逐次収集し、
前記履歴データ保持部は、前記データ展開部がこれまでに展開データを生成したときの処理能力および生成に要した時間を履歴データとしてさらに保持し、
前記展開先選択部は、前記情報収集部が収集した前記データ展開部の直近の処理能力および前記履歴データに基づき前記印刷データの予想展開時間をさらに推定し、前記予想展開時間が最短となる展開処理装置またはデータ展開部の選択を行う請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記展開先選択部は、前記データ展開部が展開処理を行っていない場合、各展開処理装置に優先して前記データ展開部を選択する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記履歴データ保持部は、前記印刷データが選択された展開処理装置に転送され、生成された展開データが前記受信部に受信される時間をデータ往復時間としてさらに保持し、
前記展開先選択部は、前記データ往復時間と予想展開時間とを合わせた時間を用いて前記選択を行う請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記印刷データが受信された順序または時間を記録するデータ順序記録部と、
生成された展開データを前記印刷部による印刷の前に一時的に保持し、印刷順序を制御する印刷順序制御部とをさらに備え、
前記印刷順序制御部は、前記データ展開部または前記展開処理装置により第1の前記印刷データを展開中に第2の前記印刷データが受信され、前記第2の印刷データの展開完了時に前記第1の印刷データの展開が完了していない場合、前記印刷部が前記第1の印刷データに係る展開データの印刷を実行するまで、前記第2の印刷データに係る展開データを一時的に保持する請求項1ないし4のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記印刷部は、前記第2の印刷データに係る展開データを前記印刷順序制御部が所定時間保持した後は、第1の印刷データの展開完了前であっても、前記第2の展開データの印刷を実行する請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記展開処理装置は、少なくとも1つがデータ展開用サーバである請求項1ないし6のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記処理能力は、最大展開速度、メモリの残り容量、ハードディスクの残り容量、CPUの処理能力、稼働中の展開タスク数、またはこれらの組み合わせである請求項1ないし7のいずれか一つに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−11721(P2012−11721A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152073(P2010−152073)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】