画像形成装置
【課題】主として流通段階で使用される部品に,画像形成装置としての実使用段階でも機能を発揮させるようにして,部品点数の減少,各部品の高機能化を図った画像形成装置を提供すること。
【解決手段】感光体ドラム上にトナー像を形成してこれを用紙に転写することにより用紙に画像を形成する画像形成部と,感光体ドラムに光を照射して潜像を書き込む露光装置とを有し,画像形成部の一部が脱着可能なプロセスカートリッジ17とされ,プロセスカートリッジ17以外の部分が装置本体とされている画像形成装置が本発明の適用対象である。本発明の画像形成装置ではさらに,画像形成装置の梱包状態にて装置本体に装着されてプロセスカートリッジ17の動きを規制する内部梱包部材28を有している。内部梱包部材28は,画像形成装置が開梱され画像形成装置から取り外された後で,画像形成装置の内部の清掃に用いられる清掃部材を有している。
【解決手段】感光体ドラム上にトナー像を形成してこれを用紙に転写することにより用紙に画像を形成する画像形成部と,感光体ドラムに光を照射して潜像を書き込む露光装置とを有し,画像形成部の一部が脱着可能なプロセスカートリッジ17とされ,プロセスカートリッジ17以外の部分が装置本体とされている画像形成装置が本発明の適用対象である。本発明の画像形成装置ではさらに,画像形成装置の梱包状態にて装置本体に装着されてプロセスカートリッジ17の動きを規制する内部梱包部材28を有している。内部梱包部材28は,画像形成装置が開梱され画像形成装置から取り外された後で,画像形成装置の内部の清掃に用いられる清掃部材を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,着脱可能なユニットを有する画像形成装置に関する。さらに詳細には,着脱可能なユニットを装着した状態で梱包して出荷される画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には,内部に可動部材を有するものがある。可動部材としては例えば,画像形成動作に関わる脱着可能なユニットや,用紙カセットにおける多様な用紙サイズに対応するための可動ガイドなどが挙げられる。特許文献1に記載の画像形成装置では,可動部材として「サイドフェンス3a、3b」を備えている。これは,底板に積載した転写紙の搬送方向に対する側端の位置を規制する一対の部材である(同文献の[0014]等参照)。この「サイドフェンス3a、3b」は,転写紙のサイズに合わせて移動可能に設けられている。
【0003】
そしてこの文献の画像形成装置では,装置の流通段階等での運搬のために,「緩衝材4」を備えている。これは,運搬時の振動や衝撃により「サイドフェンス3a、3b」が勝手に動いてしまうことを防止するためのものである。「サイドフェンス3a、3b」流通段階にある間に何度も動くと,当該部品またはその周辺の部品が傷ついてしまうおそれがあるからである。この文献の画像形成装置では,この「緩衝材4」に,実使用段階でも「サイドフェンス3a、3b」の動きを規制する機能を与えている。すなわち,画像形成装置を開梱した後で実使用に供する際には,「緩衝材4」を適宜のサイズに分割して,その分割片を「サイドフェンス3a、3b」の外側に置くことにより,「サイドフェンス3a、3b」の位置決めをするのである。これにより「緩衝材4」を,流通段階だけではなく実使用段階でも有効利用するようにしている。むろん,特許文献1に示した「サイドフェンス3a、3b」に対する固定部材に限らず,脱着ユニットに対する固定部材でも同様のことが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−86679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,前記した従来の技術でも,「緩衝材4」が開梱後に果たしている役割は,やはり可動部材の移動の規制であるという点で,開梱前の役割と大きく違うものではなかった。また,画像形成装置には,実使用段階で使用される部材ではあるものの使用頻度は低いもの(例えば,プリントヘッドの露光窓を掃除するクリーナ部材)がある。このため,流通段階と実使用段階とを通して画像形成装置を見ると,実際に使用される機能の割に部品点数が多かった。
【0006】
本発明は,前記した従来の画像形成装置が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,主として流通段階で使用される部品に,画像形成装置としての実使用段階でも機能を発揮させるようにして,部品点数の減少,各部品の高機能化を図った画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題の解決を目的としてなされた本発明の画像形成装置は,感光体上にトナー像を形成してこれを用紙に転写することにより用紙に画像を形成する画像形成部と,感光体に光を照射して潜像を書き込む露光部とを有し,画像形成部の一部が脱着可能なユニットとされ,ユニット以外の部分が装置本体とされている装置であって,画像形成装置の梱包状態にて装置本体に装着されてユニットの動きを規制する規制部材を有し,規制部材が,画像形成装置が開梱され画像形成装置から取り外された後で,画像形成装置の内部の清掃に用いられる清掃部材を有しているものである。
【0008】
この画像形成装置は,規制部材が装置本体に装着された状態で梱包され流通過程に出される。したがって梱包状態では,規制部材により,ユニットの動きが規制されている。このため,流通段階で振動や衝撃等があっても,そのことによりユニットが画像形成装置内で独りでに外れてしまうことが防止されている。また,開梱後には規制部材は装置本体から取り外されるが,その後も画像形成装置の内部の清掃という用途を持っている。このため,部品点数の減少,各部品の高機能化が達成されており,開梱時に発生する廃棄物の量も少なくてすんでいる。
【0009】
本発明の画像形成装置では,規制部材が,規制部材本体と,規制部材本体に対して可動に設けられた可動部とを有し,可動部の動きにより,清掃部材が露出する露出状態と,清掃部材が露出しない被覆状態とをとり,画像形成装置の梱包状態にて装置本体に装着される際には被覆状態とされるものであることが好ましい。梱包時に清掃部材が露出されていないことで,清掃部材の清掃機能が,開梱前に損なわれてしまうことが防止されるからである。
【0010】
本発明の画像形成装置ではまた,清掃部材による被清掃箇所が,露光部の出射窓であることが好ましい。露光部の出射窓は,汚染された場合に画像品質への影響が大きいので,清掃部材による清掃の対象箇所とすることの意義が大きい。
【0011】
本発明の画像形成装置では,ユニットは,装置本体内で,装置本体からの脱着ができない固定位置と,装置本体からの脱着が可能な脱着位置との間で可動なものであり,規制部材には,画像形成装置の梱包状態にてユニットを固定位置に保持する規制部が設けられていることが好ましい。このような構成により,梱包状態でのユニットを,規制部材により,固定位置に保持できる。すなわちユニットを,装置本体からの脱着ができない位置に固定できる。このため,流通段階でのユニットの外れを確実に防止できる。
【0012】
このようにした場合にはさらに,装置本体には,ユニットの固定位置と脱着位置との間での動きをガイドするガイド凹部が形成されており,ユニットには,装置本体に装着された際にガイド凹部内に位置する被位置決め部が形成されており,規制部は,規制部材が装置本体に装着されている状態ではガイド凹部内に位置してユニットの脱着位置への動きを規制するものであることが望ましい。このような構成であれば,梱包状態では,規制部材の規制部が,ユニットの被位置決め部の,ガイド凹部内での動きを規制する。これにより,ユニットが脱着位置へ移動することが防止される。
【0013】
本発明の画像形成装置ではまた,規制部材は,画像形成装置が開梱された後には,画像形成動作を妨げることなく装置本体内に収納可能なサイズのものであることが好ましい。そうであれば,規制部材の紛失が起こりにくい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば,主として流通段階で使用される部品に,画像形成装置としての実使用段階でも機能を発揮させるようにして,部品点数の減少,各部品の高機能化を図った画像形成装置が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】実施の形態に係る画像形成装置のプロセスカートリッジを示す斜視図である。
【図3】実施の形態に係る画像形成装置のプロセスカートリッジを示す断面図である。
【図4】実施の形態に係る画像形成装置の内部フレームの斜視図である。
【図5】実施の形態に係る画像形成装置の内部フレームの一部を内部側から見た斜視図である。
【図6】実施の形態に係る画像形成装置の内部梱包部材を示す斜視図である。
【図7】清掃部材の被覆状態を示す斜視図である。
【図8】清掃部材の露出状態を示す斜視図である。
【図9】実施の形態に係る画像形成装置におけるプロセスカートリッジの取付位置を説明する概念図である。
【図10】実施の形態に係る画像形成装置におけるプロセスカートリッジの脱着操作時の位置を説明する概念図(その1)である。
【図11】実施の形態に係る画像形成装置におけるプロセスカートリッジの脱着操作時の位置を説明する概念図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態に係る画像形成装置は,図1に示すように構成されている。図1の画像形成装置1は,装置内の下部に給紙カセット2を有し,その上側に露光装置3を有している。露光装置3の上側には,画像形成部4が配置されている。画像形成部4には,4色それぞれの感光体ドラム5,帯電器6,現像器7,クリーナ8が設けられている。画像形成部4にはさらに,4つの感光体ドラム5に接触する転写ベルト9が設けられている。また,転写ベルト9の内側には,4つの感光体ドラム5に対応して,4つの1次転写ローラ10が設けられている。
【0017】
転写ベルト9は,4つの感光体ドラム5の他にさらに,2次転写ローラ11とも接している。この,転写ベルト9と2次転写ローラ11との接触箇所に向けて,給紙カセット2から用紙が供給されるようになっている。また,手差しトレイ12からの給紙も可能なようにされている。画像形成装置1にはさらに,定着器13と排紙トレイ14とが設けられている。
【0018】
本形態における露光装置3は,4つの感光体ドラム5に対して光を照射して静電潜像を書き込むものである。このため露光装置3における画像形成部4側の面には,4箇所に出射窓15が設けられている。各感光体ドラム5においては,帯電器6と現像器7との間の箇所が,露光箇所16となっている。画像形成装置1では,各感光体ドラム5でそれぞれ,帯電,露光,現像のプロセスを経てトナー像を形成する。それらのトナー像は,転写ベルト9上に重ね合わせられ,そして2次転写ローラ11で用紙上に転写される。トナー像の転写を受けた用紙は,定着プロセスを経てから排紙される。
【0019】
本形態における感光体ドラム5,帯電器6,現像器7,クリーナ8は,1色分ごとに,脱着可能なユニットであるプロセスカートリッジを構成している。このプロセスカートリッジを,図2および図3により説明する。図2は,プロセスカートリッジ17の主要部分の断面図である。図3は,プロセスカートリッジ17の外観の斜視図である。
【0020】
図2から明らかなように,クリーナ8には,クリーニングブレード18と,搬送ローラ19とが設けられている。クリーニングブレード18は,感光体ドラム5上の転写残トナーを掻き取るものである。搬送ローラ19は,掻き取ったトナーを図外の廃トナータンクへ搬送するものである。現像器7には,現像ローラ20,供給ローラ21,規制部22等が設けられている。現像ローラ20は,感光体ドラム5にトナーを付与するものである。供給ローラ21は,現像ローラ20にトナーを供給するものである。規制部22は,現像ローラ20上のトナー層の厚さを規制するものである。
【0021】
図2に示した断面図は,図3の斜視図中では矢印Aで示す辺りの断面図である。プロセスカートリッジ17において現像器7は,支点軸23を中心に揺動可能に設けられている。プロセスカートリッジ17は,画像形成装置1に取り付けて使用される。画像形成装置1から4つのプロセスカートリッジ17をすべて取り除いた残りの部分が装置本体である。図1の画像形成装置1において各プロセスカートリッジ17は,図3中左下の端部24が奥向きに位置し,図3中右上の端部25が手前向きに位置するように取り付けられる。
【0022】
次に,画像形成装置1を工場から出荷して流通段階におくときに用いられる内部梱包部材について説明する。内部梱包部材とは,流通段階での画像形成装置1の内部に配置され,可動部分の動きを規制する部材である。内部梱包部材は,画像形成装置1の開梱後の実使用段階での画像形成プロセスに直接的に寄与するものではない。
【0023】
内部梱包部材の説明のため図4に,画像形成装置1の内部フレーム26の斜視図を示す。図4に示すのは,画像形成装置1から外板類を取り除いた内部フレーム26の斜視図である。図4では,内部フレーム26に,プロセスカートリッジ17を1つだけ取り付けた状態を示している。図4では,プロセスカートリッジ17のうち端部25の部分が見えている。図4に示されるように,内部フレーム26における手前面側(図1においても手前側)の下部には,カートリッジ受けベース部27が設けられている。そして,カートリッジ受けベース部27の上端部分に,内部梱包部材28が取り付けられている。
【0024】
図4に示されるカートリッジ受けベース部27および内部梱包部材28を内部フレーム26の内側から見た斜視図を,図5に示す。図5には,カートリッジ受けベース部27および内部梱包部材28の裏面側が現れている。図5にはまた,図4中に示した端部25の裏面側の一部も現れている。図5に示されるように,カートリッジ受けベース部27の上端には,4箇所のカートリッジ位置決め凹部29が形成されている。ただしカートリッジ位置決め凹部29は,図4では内部梱包部材28の陰に隠れてほとんど見えない。
【0025】
図6に内部梱包部材28の単独での斜視図を示す。内部梱包部材28は,棒状の部材であり,裏面に4箇所の規制部31を有している。内部梱包部材28はさらに,可動部32を有しており,可動部32には清掃部材33が取り付けられている。可動部32は,内部梱包部材28の本体部分に対して可動に取り付けられているものであり,清掃部材33が露出していない被覆状態(図7参照)と,清掃部材33が露出している露出状態(図8参照)とを取るものである。すなわち,図7の被覆状態では,清掃部材33は内部梱包部材28の本体部分と可動部32とに挟まれており,露出していない。図8の露出状態では,清掃部材33は露出している。可動部32は,図4,図5のように内部梱包部材28が画像形成装置1に取り付けられる際には,図7の被覆状態とされる。
【0026】
図5に戻って,内部梱包部材28が画像形成装置1に取り付けられている状態では,規制部31はカートリッジ位置決め凹部29に挿入されている。また,図5から分かるように,プロセスカートリッジ17の端部25には,突起状の被位置決め部30が形成されている。被位置決め部30は,端部25の裏面に形成されており,図5では4つのカートリッジ位置決め凹部29の1つに保持されている。この状態での被位置決め部30は,内部梱包部材28の規制部31の分だけ,カートリッジ位置決め凹部29の底よりも持ち上げられた状態にある。
【0027】
ここで,画像形成装置1におけるプロセスカートリッジ17の脱着操作について,図9〜図11を用いて説明する。図9〜図11は,脱着操作の際のプロセスカートリッジ17の位置を説明するための概念図であり,プロセスカートリッジ17を図1中の右側から見た状態を示している。よって図9〜図11では,図中左側が装置の前面側であり,図中右側が装置の奥側である。
【0028】
図9は,画像形成装置1にプロセスカートリッジ17が正しく取り付けられた状態での内部フレーム26とプロセスカートリッジ17との位置関係を示している。図9に示されるように,プロセスカートリッジ17の端部24,25の上側には,係合部34,35が設けられている。内部フレーム26の上部にも,係合部36,37が設けられている。また,内部フレーム26の下部には押し上げバネ39が設けられている。画像形成装置1にはさらに,押し出しバネ40も設けられている。
【0029】
図9では,プロセスカートリッジ17は押し上げバネ39により上向きに,また押し出しバネ40により前向きに押し付けられている。そして,プロセスカートリッジ17の係合部34,35が内部フレーム26の係合部36,37の内側に位置している。この状態が,画像形成装置1に対してプロセスカートリッジ17が正しく位置決めされ,画像形成動作を行う状態である。この状態では,プロセスカートリッジ17は,係合部34,35が内部フレーム26の係合部36,37の内側に引っ掛かって固定されている。このためプロセスカートリッジ17の脱着操作はできない。
【0030】
プロセスカートリッジ17を下向きに押し下げると,押し上げバネ39が縮んで,係合部34,35と係合部36,37のとの引っかかりが解除される。図10はこのようにプロセスカートリッジ17を押し下げた状態を示している。この状態では画像形成動作は行われない。この状態ではまた,押し出しバネ40の押圧力によりプロセスカートリッジ17は前向きに押し出されることとなる。こうして図11の状態となり,プロセスカートリッジ17の脱着が可能な状態となる。図10の状態では,プロセスカートリッジ17の被位置決め部30は,カートリッジ位置決め凹部29の底に接触するかまたはごく近接している。つまりカートリッジ位置決め凹部29は,プロセスカートリッジ17の動作位置と脱着位置との間の動きをガイドする凹部である。
【0031】
再び図5に戻って内部梱包部材28の役割を説明する。図5に示される被位置決め部30の位置は,図9の状態に相当する。図5の状態では,プロセスカートリッジ17を上から押しても,図10の状態とすることはできない。プロセスカートリッジ17の被位置決め部30とカートリッジ位置決め凹部29の底との間に内部梱包部材28の規制部31が存在しているからである。つまり内部梱包部材28は,プロセスカートリッジ17の動きを規制して,脱着できない位置に保持する部材なのである。したがって,内部梱包部材28が装着されていることで,プロセスカートリッジ17が外れてしまうことが防止されている。このため,内部梱包部材28を装着した状態で画像形成装置1を流通過程に出すことで,流通途上で振動や衝撃等によりプロセスカートリッジ17が独りでに外れてしまうことを防止できる。
【0032】
画像形成装置1がユーザの手元に届いて開梱されると,内部梱包部材28が外されることとなる。すると,プロセスカートリッジ17の被位置決め部30とカートリッジ位置決め凹部29の底との間に隙間ができる。ただし,内部梱包部材28が外されても,直ちにプロセスカートリッジ17が図10に示された位置に降下するわけではない。押し上げバネ39の押圧力が作用しているからである。しかしプロセスカートリッジ17の端部25を手で上から押せば,押し上げバネ39の押圧力に抗して,被位置決め部30がカートリッジ位置決め凹部29の底に当たるまで,プロセスカートリッジ17を押し下げることができる。これにより図10の状態となり,さらに図11の状態となるので,プロセスカートリッジ17の脱着が可能となる。
【0033】
新しいプロセスカートリッジ17を画像形成装置1に装着する際には,新しいプロセスカートリッジ17を図11中に示される位置にセットして,押し出しバネ40の押圧力に抗して奥向きに押し込めばよい。そうすると,プロセスカートリッジ17の係合部34,35が内部フレーム26の係合部36,37より内側に入った時点で押し上げバネ39の押圧力により自然に図9の状態となる。
【0034】
取り外した内部梱包部材28については,画像形成装置1を別の場所に移動させるようなことがない限り,再び図4,図5のように画像形成装置1に装着する必要はない。しかし内部梱包部材28には,露光装置3の出射窓15の清掃というもう1つの役割がある。内部梱包部材28の可動部32を図8に示した露出状態にすることにより,清掃部材33で出射窓15を清掃することができる。このように開梱後にも用途があるので,内部梱包部材28を廃棄する必要はない。その分開梱時の廃棄物が少なくてすむ。
【0035】
また,内部梱包部材28は,梱包状態では図7の被覆状態とされていたものである。このため,流通過程にある間に清掃部材33が破損したり汚れてしまっていたりする可能性は低い。なお内部梱包部材28は,図6に示した通り細い棒状のものである。このため,開梱後の画像形成装置1の内部空間に,画像形成動作の妨げとなることなく収納することができる。このため紛失しにくい。
【0036】
以上詳細に説明したように本実施の形態によれば,画像形成装置1における脱着ユニットであるプロセスカートリッジ17を,搬送時に固定するための内部梱包部材28を設けている。そして内部梱包部材28には,梱包部材としての役割に加えて,開梱後に清掃用具として使用される役割を与えている。これにより,内部梱包部材28の高機能化を図り,装置全体としての部品点数の削減と開梱時の廃棄物の減少とを達成している。また,内部梱包部材28を部分的に可動とすることにより,被覆状態と露出状態とを取るようにしている。そして,被覆状態で梱包部材としての役割を果たすことにより,清掃部材33の流通段階での破損等を防止している。
【0037】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,本実施の形態では,タンデム型フルカラー画像形成装置を対象としたが,これに限らず,4サイクル型でもよいしモノクロ機でもよい。また,コピー機やファクシミリ機であってもよい。
【0038】
また,内部梱包部材28の可動部32の動き方は,図示したような揺動移動に限らずスライド移動等であってもよい。清掃部材33は,可動部32に取り付けられていることとしたが,内部梱包部材28の本体側に取り付けた構成とすることも可能である。さらに,内部梱包部材28の一部が可動であること自体,不可欠なわけではない。流通段階で清掃部材33がずっと露出状態のままであったとしても,清掃部材33の清掃機能が必ず失われるわけでもないからである。あるいは,内部梱包部材28の一部を可動とする代わりに,梱包のための装着時には内部フレーム26により清掃部材33が覆われて被覆状態を実現するようにすることもできる。また,清掃部材33により清掃される箇所は,出射窓15には限定されない。
【0039】
また本形態では,プロセスカートリッジ17の位置について,画像形成が行われる動作位置と,内部梱包部材28により保持される梱包時の位置とが同じであることとした。しかしこれに限らず,両位置を異なる位置とする構成も考えられる。要は,梱包時の位置と,脱着動作が行われる位置とが違っていればよい。また本形態では,梱包状態にて,プロセスカートリッジ17の被位置決め部30とカートリッジ位置決め凹部29の底との間に,内部梱包部材28の規制部31が位置する構成とした。しかしこれに限らず,梱包状態における被位置決め部30と規制部31との位置関係を上記と逆にする構成も考えられる。
【0040】
また,開梱後における内部梱包部材28は,清掃用具として用いられるばかりでなく,再び装置本体に図4,図5のように取り付けられて規制部材として使用されることが可能である。例えば,画像形成装置1の置かれている室内での配置替え等により画像形成装置1を運搬するような場合には,内部梱包部材28を装着することが望ましい。
【符号の説明】
【0041】
3 露光装置
4 画像形成部
5 感光体ドラム
15 出射窓
17 プロセスカートリッジ(ユニット)
26 内部フレーム
28 内部梱包部材(規制部材)
29 カートリッジ位置決め凹部(ガイド凹部)
30 被位置決め部
31 規制部
32 可動部
33 清掃部材
【技術分野】
【0001】
本発明は,着脱可能なユニットを有する画像形成装置に関する。さらに詳細には,着脱可能なユニットを装着した状態で梱包して出荷される画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には,内部に可動部材を有するものがある。可動部材としては例えば,画像形成動作に関わる脱着可能なユニットや,用紙カセットにおける多様な用紙サイズに対応するための可動ガイドなどが挙げられる。特許文献1に記載の画像形成装置では,可動部材として「サイドフェンス3a、3b」を備えている。これは,底板に積載した転写紙の搬送方向に対する側端の位置を規制する一対の部材である(同文献の[0014]等参照)。この「サイドフェンス3a、3b」は,転写紙のサイズに合わせて移動可能に設けられている。
【0003】
そしてこの文献の画像形成装置では,装置の流通段階等での運搬のために,「緩衝材4」を備えている。これは,運搬時の振動や衝撃により「サイドフェンス3a、3b」が勝手に動いてしまうことを防止するためのものである。「サイドフェンス3a、3b」流通段階にある間に何度も動くと,当該部品またはその周辺の部品が傷ついてしまうおそれがあるからである。この文献の画像形成装置では,この「緩衝材4」に,実使用段階でも「サイドフェンス3a、3b」の動きを規制する機能を与えている。すなわち,画像形成装置を開梱した後で実使用に供する際には,「緩衝材4」を適宜のサイズに分割して,その分割片を「サイドフェンス3a、3b」の外側に置くことにより,「サイドフェンス3a、3b」の位置決めをするのである。これにより「緩衝材4」を,流通段階だけではなく実使用段階でも有効利用するようにしている。むろん,特許文献1に示した「サイドフェンス3a、3b」に対する固定部材に限らず,脱着ユニットに対する固定部材でも同様のことが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−86679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,前記した従来の技術でも,「緩衝材4」が開梱後に果たしている役割は,やはり可動部材の移動の規制であるという点で,開梱前の役割と大きく違うものではなかった。また,画像形成装置には,実使用段階で使用される部材ではあるものの使用頻度は低いもの(例えば,プリントヘッドの露光窓を掃除するクリーナ部材)がある。このため,流通段階と実使用段階とを通して画像形成装置を見ると,実際に使用される機能の割に部品点数が多かった。
【0006】
本発明は,前記した従来の画像形成装置が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,主として流通段階で使用される部品に,画像形成装置としての実使用段階でも機能を発揮させるようにして,部品点数の減少,各部品の高機能化を図った画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題の解決を目的としてなされた本発明の画像形成装置は,感光体上にトナー像を形成してこれを用紙に転写することにより用紙に画像を形成する画像形成部と,感光体に光を照射して潜像を書き込む露光部とを有し,画像形成部の一部が脱着可能なユニットとされ,ユニット以外の部分が装置本体とされている装置であって,画像形成装置の梱包状態にて装置本体に装着されてユニットの動きを規制する規制部材を有し,規制部材が,画像形成装置が開梱され画像形成装置から取り外された後で,画像形成装置の内部の清掃に用いられる清掃部材を有しているものである。
【0008】
この画像形成装置は,規制部材が装置本体に装着された状態で梱包され流通過程に出される。したがって梱包状態では,規制部材により,ユニットの動きが規制されている。このため,流通段階で振動や衝撃等があっても,そのことによりユニットが画像形成装置内で独りでに外れてしまうことが防止されている。また,開梱後には規制部材は装置本体から取り外されるが,その後も画像形成装置の内部の清掃という用途を持っている。このため,部品点数の減少,各部品の高機能化が達成されており,開梱時に発生する廃棄物の量も少なくてすんでいる。
【0009】
本発明の画像形成装置では,規制部材が,規制部材本体と,規制部材本体に対して可動に設けられた可動部とを有し,可動部の動きにより,清掃部材が露出する露出状態と,清掃部材が露出しない被覆状態とをとり,画像形成装置の梱包状態にて装置本体に装着される際には被覆状態とされるものであることが好ましい。梱包時に清掃部材が露出されていないことで,清掃部材の清掃機能が,開梱前に損なわれてしまうことが防止されるからである。
【0010】
本発明の画像形成装置ではまた,清掃部材による被清掃箇所が,露光部の出射窓であることが好ましい。露光部の出射窓は,汚染された場合に画像品質への影響が大きいので,清掃部材による清掃の対象箇所とすることの意義が大きい。
【0011】
本発明の画像形成装置では,ユニットは,装置本体内で,装置本体からの脱着ができない固定位置と,装置本体からの脱着が可能な脱着位置との間で可動なものであり,規制部材には,画像形成装置の梱包状態にてユニットを固定位置に保持する規制部が設けられていることが好ましい。このような構成により,梱包状態でのユニットを,規制部材により,固定位置に保持できる。すなわちユニットを,装置本体からの脱着ができない位置に固定できる。このため,流通段階でのユニットの外れを確実に防止できる。
【0012】
このようにした場合にはさらに,装置本体には,ユニットの固定位置と脱着位置との間での動きをガイドするガイド凹部が形成されており,ユニットには,装置本体に装着された際にガイド凹部内に位置する被位置決め部が形成されており,規制部は,規制部材が装置本体に装着されている状態ではガイド凹部内に位置してユニットの脱着位置への動きを規制するものであることが望ましい。このような構成であれば,梱包状態では,規制部材の規制部が,ユニットの被位置決め部の,ガイド凹部内での動きを規制する。これにより,ユニットが脱着位置へ移動することが防止される。
【0013】
本発明の画像形成装置ではまた,規制部材は,画像形成装置が開梱された後には,画像形成動作を妨げることなく装置本体内に収納可能なサイズのものであることが好ましい。そうであれば,規制部材の紛失が起こりにくい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば,主として流通段階で使用される部品に,画像形成装置としての実使用段階でも機能を発揮させるようにして,部品点数の減少,各部品の高機能化を図った画像形成装置が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】実施の形態に係る画像形成装置のプロセスカートリッジを示す斜視図である。
【図3】実施の形態に係る画像形成装置のプロセスカートリッジを示す断面図である。
【図4】実施の形態に係る画像形成装置の内部フレームの斜視図である。
【図5】実施の形態に係る画像形成装置の内部フレームの一部を内部側から見た斜視図である。
【図6】実施の形態に係る画像形成装置の内部梱包部材を示す斜視図である。
【図7】清掃部材の被覆状態を示す斜視図である。
【図8】清掃部材の露出状態を示す斜視図である。
【図9】実施の形態に係る画像形成装置におけるプロセスカートリッジの取付位置を説明する概念図である。
【図10】実施の形態に係る画像形成装置におけるプロセスカートリッジの脱着操作時の位置を説明する概念図(その1)である。
【図11】実施の形態に係る画像形成装置におけるプロセスカートリッジの脱着操作時の位置を説明する概念図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態に係る画像形成装置は,図1に示すように構成されている。図1の画像形成装置1は,装置内の下部に給紙カセット2を有し,その上側に露光装置3を有している。露光装置3の上側には,画像形成部4が配置されている。画像形成部4には,4色それぞれの感光体ドラム5,帯電器6,現像器7,クリーナ8が設けられている。画像形成部4にはさらに,4つの感光体ドラム5に接触する転写ベルト9が設けられている。また,転写ベルト9の内側には,4つの感光体ドラム5に対応して,4つの1次転写ローラ10が設けられている。
【0017】
転写ベルト9は,4つの感光体ドラム5の他にさらに,2次転写ローラ11とも接している。この,転写ベルト9と2次転写ローラ11との接触箇所に向けて,給紙カセット2から用紙が供給されるようになっている。また,手差しトレイ12からの給紙も可能なようにされている。画像形成装置1にはさらに,定着器13と排紙トレイ14とが設けられている。
【0018】
本形態における露光装置3は,4つの感光体ドラム5に対して光を照射して静電潜像を書き込むものである。このため露光装置3における画像形成部4側の面には,4箇所に出射窓15が設けられている。各感光体ドラム5においては,帯電器6と現像器7との間の箇所が,露光箇所16となっている。画像形成装置1では,各感光体ドラム5でそれぞれ,帯電,露光,現像のプロセスを経てトナー像を形成する。それらのトナー像は,転写ベルト9上に重ね合わせられ,そして2次転写ローラ11で用紙上に転写される。トナー像の転写を受けた用紙は,定着プロセスを経てから排紙される。
【0019】
本形態における感光体ドラム5,帯電器6,現像器7,クリーナ8は,1色分ごとに,脱着可能なユニットであるプロセスカートリッジを構成している。このプロセスカートリッジを,図2および図3により説明する。図2は,プロセスカートリッジ17の主要部分の断面図である。図3は,プロセスカートリッジ17の外観の斜視図である。
【0020】
図2から明らかなように,クリーナ8には,クリーニングブレード18と,搬送ローラ19とが設けられている。クリーニングブレード18は,感光体ドラム5上の転写残トナーを掻き取るものである。搬送ローラ19は,掻き取ったトナーを図外の廃トナータンクへ搬送するものである。現像器7には,現像ローラ20,供給ローラ21,規制部22等が設けられている。現像ローラ20は,感光体ドラム5にトナーを付与するものである。供給ローラ21は,現像ローラ20にトナーを供給するものである。規制部22は,現像ローラ20上のトナー層の厚さを規制するものである。
【0021】
図2に示した断面図は,図3の斜視図中では矢印Aで示す辺りの断面図である。プロセスカートリッジ17において現像器7は,支点軸23を中心に揺動可能に設けられている。プロセスカートリッジ17は,画像形成装置1に取り付けて使用される。画像形成装置1から4つのプロセスカートリッジ17をすべて取り除いた残りの部分が装置本体である。図1の画像形成装置1において各プロセスカートリッジ17は,図3中左下の端部24が奥向きに位置し,図3中右上の端部25が手前向きに位置するように取り付けられる。
【0022】
次に,画像形成装置1を工場から出荷して流通段階におくときに用いられる内部梱包部材について説明する。内部梱包部材とは,流通段階での画像形成装置1の内部に配置され,可動部分の動きを規制する部材である。内部梱包部材は,画像形成装置1の開梱後の実使用段階での画像形成プロセスに直接的に寄与するものではない。
【0023】
内部梱包部材の説明のため図4に,画像形成装置1の内部フレーム26の斜視図を示す。図4に示すのは,画像形成装置1から外板類を取り除いた内部フレーム26の斜視図である。図4では,内部フレーム26に,プロセスカートリッジ17を1つだけ取り付けた状態を示している。図4では,プロセスカートリッジ17のうち端部25の部分が見えている。図4に示されるように,内部フレーム26における手前面側(図1においても手前側)の下部には,カートリッジ受けベース部27が設けられている。そして,カートリッジ受けベース部27の上端部分に,内部梱包部材28が取り付けられている。
【0024】
図4に示されるカートリッジ受けベース部27および内部梱包部材28を内部フレーム26の内側から見た斜視図を,図5に示す。図5には,カートリッジ受けベース部27および内部梱包部材28の裏面側が現れている。図5にはまた,図4中に示した端部25の裏面側の一部も現れている。図5に示されるように,カートリッジ受けベース部27の上端には,4箇所のカートリッジ位置決め凹部29が形成されている。ただしカートリッジ位置決め凹部29は,図4では内部梱包部材28の陰に隠れてほとんど見えない。
【0025】
図6に内部梱包部材28の単独での斜視図を示す。内部梱包部材28は,棒状の部材であり,裏面に4箇所の規制部31を有している。内部梱包部材28はさらに,可動部32を有しており,可動部32には清掃部材33が取り付けられている。可動部32は,内部梱包部材28の本体部分に対して可動に取り付けられているものであり,清掃部材33が露出していない被覆状態(図7参照)と,清掃部材33が露出している露出状態(図8参照)とを取るものである。すなわち,図7の被覆状態では,清掃部材33は内部梱包部材28の本体部分と可動部32とに挟まれており,露出していない。図8の露出状態では,清掃部材33は露出している。可動部32は,図4,図5のように内部梱包部材28が画像形成装置1に取り付けられる際には,図7の被覆状態とされる。
【0026】
図5に戻って,内部梱包部材28が画像形成装置1に取り付けられている状態では,規制部31はカートリッジ位置決め凹部29に挿入されている。また,図5から分かるように,プロセスカートリッジ17の端部25には,突起状の被位置決め部30が形成されている。被位置決め部30は,端部25の裏面に形成されており,図5では4つのカートリッジ位置決め凹部29の1つに保持されている。この状態での被位置決め部30は,内部梱包部材28の規制部31の分だけ,カートリッジ位置決め凹部29の底よりも持ち上げられた状態にある。
【0027】
ここで,画像形成装置1におけるプロセスカートリッジ17の脱着操作について,図9〜図11を用いて説明する。図9〜図11は,脱着操作の際のプロセスカートリッジ17の位置を説明するための概念図であり,プロセスカートリッジ17を図1中の右側から見た状態を示している。よって図9〜図11では,図中左側が装置の前面側であり,図中右側が装置の奥側である。
【0028】
図9は,画像形成装置1にプロセスカートリッジ17が正しく取り付けられた状態での内部フレーム26とプロセスカートリッジ17との位置関係を示している。図9に示されるように,プロセスカートリッジ17の端部24,25の上側には,係合部34,35が設けられている。内部フレーム26の上部にも,係合部36,37が設けられている。また,内部フレーム26の下部には押し上げバネ39が設けられている。画像形成装置1にはさらに,押し出しバネ40も設けられている。
【0029】
図9では,プロセスカートリッジ17は押し上げバネ39により上向きに,また押し出しバネ40により前向きに押し付けられている。そして,プロセスカートリッジ17の係合部34,35が内部フレーム26の係合部36,37の内側に位置している。この状態が,画像形成装置1に対してプロセスカートリッジ17が正しく位置決めされ,画像形成動作を行う状態である。この状態では,プロセスカートリッジ17は,係合部34,35が内部フレーム26の係合部36,37の内側に引っ掛かって固定されている。このためプロセスカートリッジ17の脱着操作はできない。
【0030】
プロセスカートリッジ17を下向きに押し下げると,押し上げバネ39が縮んで,係合部34,35と係合部36,37のとの引っかかりが解除される。図10はこのようにプロセスカートリッジ17を押し下げた状態を示している。この状態では画像形成動作は行われない。この状態ではまた,押し出しバネ40の押圧力によりプロセスカートリッジ17は前向きに押し出されることとなる。こうして図11の状態となり,プロセスカートリッジ17の脱着が可能な状態となる。図10の状態では,プロセスカートリッジ17の被位置決め部30は,カートリッジ位置決め凹部29の底に接触するかまたはごく近接している。つまりカートリッジ位置決め凹部29は,プロセスカートリッジ17の動作位置と脱着位置との間の動きをガイドする凹部である。
【0031】
再び図5に戻って内部梱包部材28の役割を説明する。図5に示される被位置決め部30の位置は,図9の状態に相当する。図5の状態では,プロセスカートリッジ17を上から押しても,図10の状態とすることはできない。プロセスカートリッジ17の被位置決め部30とカートリッジ位置決め凹部29の底との間に内部梱包部材28の規制部31が存在しているからである。つまり内部梱包部材28は,プロセスカートリッジ17の動きを規制して,脱着できない位置に保持する部材なのである。したがって,内部梱包部材28が装着されていることで,プロセスカートリッジ17が外れてしまうことが防止されている。このため,内部梱包部材28を装着した状態で画像形成装置1を流通過程に出すことで,流通途上で振動や衝撃等によりプロセスカートリッジ17が独りでに外れてしまうことを防止できる。
【0032】
画像形成装置1がユーザの手元に届いて開梱されると,内部梱包部材28が外されることとなる。すると,プロセスカートリッジ17の被位置決め部30とカートリッジ位置決め凹部29の底との間に隙間ができる。ただし,内部梱包部材28が外されても,直ちにプロセスカートリッジ17が図10に示された位置に降下するわけではない。押し上げバネ39の押圧力が作用しているからである。しかしプロセスカートリッジ17の端部25を手で上から押せば,押し上げバネ39の押圧力に抗して,被位置決め部30がカートリッジ位置決め凹部29の底に当たるまで,プロセスカートリッジ17を押し下げることができる。これにより図10の状態となり,さらに図11の状態となるので,プロセスカートリッジ17の脱着が可能となる。
【0033】
新しいプロセスカートリッジ17を画像形成装置1に装着する際には,新しいプロセスカートリッジ17を図11中に示される位置にセットして,押し出しバネ40の押圧力に抗して奥向きに押し込めばよい。そうすると,プロセスカートリッジ17の係合部34,35が内部フレーム26の係合部36,37より内側に入った時点で押し上げバネ39の押圧力により自然に図9の状態となる。
【0034】
取り外した内部梱包部材28については,画像形成装置1を別の場所に移動させるようなことがない限り,再び図4,図5のように画像形成装置1に装着する必要はない。しかし内部梱包部材28には,露光装置3の出射窓15の清掃というもう1つの役割がある。内部梱包部材28の可動部32を図8に示した露出状態にすることにより,清掃部材33で出射窓15を清掃することができる。このように開梱後にも用途があるので,内部梱包部材28を廃棄する必要はない。その分開梱時の廃棄物が少なくてすむ。
【0035】
また,内部梱包部材28は,梱包状態では図7の被覆状態とされていたものである。このため,流通過程にある間に清掃部材33が破損したり汚れてしまっていたりする可能性は低い。なお内部梱包部材28は,図6に示した通り細い棒状のものである。このため,開梱後の画像形成装置1の内部空間に,画像形成動作の妨げとなることなく収納することができる。このため紛失しにくい。
【0036】
以上詳細に説明したように本実施の形態によれば,画像形成装置1における脱着ユニットであるプロセスカートリッジ17を,搬送時に固定するための内部梱包部材28を設けている。そして内部梱包部材28には,梱包部材としての役割に加えて,開梱後に清掃用具として使用される役割を与えている。これにより,内部梱包部材28の高機能化を図り,装置全体としての部品点数の削減と開梱時の廃棄物の減少とを達成している。また,内部梱包部材28を部分的に可動とすることにより,被覆状態と露出状態とを取るようにしている。そして,被覆状態で梱包部材としての役割を果たすことにより,清掃部材33の流通段階での破損等を防止している。
【0037】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,本実施の形態では,タンデム型フルカラー画像形成装置を対象としたが,これに限らず,4サイクル型でもよいしモノクロ機でもよい。また,コピー機やファクシミリ機であってもよい。
【0038】
また,内部梱包部材28の可動部32の動き方は,図示したような揺動移動に限らずスライド移動等であってもよい。清掃部材33は,可動部32に取り付けられていることとしたが,内部梱包部材28の本体側に取り付けた構成とすることも可能である。さらに,内部梱包部材28の一部が可動であること自体,不可欠なわけではない。流通段階で清掃部材33がずっと露出状態のままであったとしても,清掃部材33の清掃機能が必ず失われるわけでもないからである。あるいは,内部梱包部材28の一部を可動とする代わりに,梱包のための装着時には内部フレーム26により清掃部材33が覆われて被覆状態を実現するようにすることもできる。また,清掃部材33により清掃される箇所は,出射窓15には限定されない。
【0039】
また本形態では,プロセスカートリッジ17の位置について,画像形成が行われる動作位置と,内部梱包部材28により保持される梱包時の位置とが同じであることとした。しかしこれに限らず,両位置を異なる位置とする構成も考えられる。要は,梱包時の位置と,脱着動作が行われる位置とが違っていればよい。また本形態では,梱包状態にて,プロセスカートリッジ17の被位置決め部30とカートリッジ位置決め凹部29の底との間に,内部梱包部材28の規制部31が位置する構成とした。しかしこれに限らず,梱包状態における被位置決め部30と規制部31との位置関係を上記と逆にする構成も考えられる。
【0040】
また,開梱後における内部梱包部材28は,清掃用具として用いられるばかりでなく,再び装置本体に図4,図5のように取り付けられて規制部材として使用されることが可能である。例えば,画像形成装置1の置かれている室内での配置替え等により画像形成装置1を運搬するような場合には,内部梱包部材28を装着することが望ましい。
【符号の説明】
【0041】
3 露光装置
4 画像形成部
5 感光体ドラム
15 出射窓
17 プロセスカートリッジ(ユニット)
26 内部フレーム
28 内部梱包部材(規制部材)
29 カートリッジ位置決め凹部(ガイド凹部)
30 被位置決め部
31 規制部
32 可動部
33 清掃部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体上にトナー像を形成してこれを用紙に転写することにより用紙に画像を形成する画像形成部と,前記感光体に光を照射して潜像を書き込む露光部とを有し,前記画像形成部の一部が脱着可能なユニットとされ,前記ユニット以外の部分が装置本体とされている画像形成装置において,
画像形成装置の梱包状態にて前記装置本体に装着されて前記ユニットの動きを規制する規制部材を有し,
前記規制部材は,画像形成装置が開梱され画像形成装置から取り外された後で,画像形成装置の内部の清掃に用いられる清掃部材を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において,前記規制部材は,
規制部材本体と,前記規制部材本体に対して可動に設けられた可動部とを有し,
前記可動部の動きにより,前記清掃部材が露出する露出状態と,前記清掃部材が露出しない被覆状態とをとり,
画像形成装置の梱包状態にて前記装置本体に装着される際には被覆状態とされるものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像形成装置において,
前記清掃部材による被清掃箇所は,前記露光部の出射窓であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1つに記載の画像形成装置において,
前記ユニットは,前記装置本体内で,
前記装置本体からの脱着ができない固定位置と,
前記装置本体からの脱着が可能な脱着位置との間で可動なものであり,
前記規制部材には,画像形成装置の梱包状態にて前記ユニットを固定位置に保持する規制部が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において,
前記装置本体には,前記ユニットの固定位置と脱着位置との間での動きをガイドするガイド凹部が形成されており,
前記ユニットには,前記装置本体に装着された際に前記ガイド凹部内に位置する被位置決め部が形成されており,
前記規制部は,前記規制部材が前記装置本体に装着されている状態では前記ガイド凹部内に位置して前記ユニットの脱着位置への動きを規制するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1つに記載の画像形成装置において,
前記規制部材は,画像形成装置が開梱された後には,画像形成動作を妨げることなく前記装置本体内に収納可能なサイズのものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
感光体上にトナー像を形成してこれを用紙に転写することにより用紙に画像を形成する画像形成部と,前記感光体に光を照射して潜像を書き込む露光部とを有し,前記画像形成部の一部が脱着可能なユニットとされ,前記ユニット以外の部分が装置本体とされている画像形成装置において,
画像形成装置の梱包状態にて前記装置本体に装着されて前記ユニットの動きを規制する規制部材を有し,
前記規制部材は,画像形成装置が開梱され画像形成装置から取り外された後で,画像形成装置の内部の清掃に用いられる清掃部材を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において,前記規制部材は,
規制部材本体と,前記規制部材本体に対して可動に設けられた可動部とを有し,
前記可動部の動きにより,前記清掃部材が露出する露出状態と,前記清掃部材が露出しない被覆状態とをとり,
画像形成装置の梱包状態にて前記装置本体に装着される際には被覆状態とされるものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像形成装置において,
前記清掃部材による被清掃箇所は,前記露光部の出射窓であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1つに記載の画像形成装置において,
前記ユニットは,前記装置本体内で,
前記装置本体からの脱着ができない固定位置と,
前記装置本体からの脱着が可能な脱着位置との間で可動なものであり,
前記規制部材には,画像形成装置の梱包状態にて前記ユニットを固定位置に保持する規制部が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において,
前記装置本体には,前記ユニットの固定位置と脱着位置との間での動きをガイドするガイド凹部が形成されており,
前記ユニットには,前記装置本体に装着された際に前記ガイド凹部内に位置する被位置決め部が形成されており,
前記規制部は,前記規制部材が前記装置本体に装着されている状態では前記ガイド凹部内に位置して前記ユニットの脱着位置への動きを規制するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1つに記載の画像形成装置において,
前記規制部材は,画像形成装置が開梱された後には,画像形成動作を妨げることなく前記装置本体内に収納可能なサイズのものであることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−133057(P2012−133057A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283951(P2010−283951)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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