説明

画像形成装置

【課題】装置を横方向に大型化することなく、挿入方向に直交する断面の大きさが小さい小断面トナー容器を、大断面トナー容器のトナー容器装着部に挿入することを確実に防止することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】プリンタ100は、作像部と、トナーを収容するトナー容器32と、トナー容器32の横方向の一部に突出するように形成された被ガイド部344を支持し、トナー容器32を案内するガイドレール41と、4つのトナー容器32をプリンタ100本体に対して挿入する際の入口である開孔部201が形成されたインナーカバー200とを備え、各開孔部201は、それぞれのトナー容器32が備える被ガイド部344に沿う形状であり、黒用以外の三つのトナー容器32の被ガイド部344の高さH2は黒用のトナー容器の被ガイド部が通過する部分の開孔部201Kの高さH1´よりも高くなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に係り、作像手段で用いるトナーを収容するトナー容器を複数備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のトナー容器を備えた画像形成装置としては、カラープリンタやカラー複写機等のカラー画像形成装置がある。カラー画像形成装置は、異なる色の画像を形成する複数の画像形成部が設けられており、さらに、各画像形成部へ供給するトナーを収容したトナー容器が着脱自在に装着される複数のトナー容器装着部が設けられた構造のものが知られている(特許文献1〜4)。
【0003】
各色毎の複数のトナー容器装着部を有するカラー画像形成装置においては、或る色のトナーが無くなった場合には、空になったトナー容器をトナー容器装着部から取外してその色のトナーを収容した新しいトナー容器をトナー容器装着部に装着すればよく、取り扱いが簡単である。
このようなカラー画像形成装置での各色毎のトナーの消費量は、黒トナーがカラートナー(イエロー、マゼンタ、シアンの各トナー)に比べかなり多くなっている。このため、消費比率の高い黒トナーを収容するトナー容器を他のカラートナーを収容するトナー容器よりも容積を大きくしてトナーの収容量を多くすることが一般的に行われている(特許文献4)。
【0004】
また、カラー画像形成装置では、トナー容器装着部に異なる色のトナー容器が装着される(以下、誤装着と呼ぶ)と混色が生じるため、誤装着防止手段を備えた構成が従来より知られている。
【0005】
特許文献1には、トナー容器とトナー容器装着部との係合部の形状を各色のトナー容器毎に異ならせ、誤装着を防止する構成が記載されている。しかし、このような構成では、係合部同士が突き当たる位置まで、トナー容器を装置本体に対して挿入しなければ、使用者は誤装着しようとしていることを気付くことができない。係合部同士が突き当たる位置までトナー容器を挿入した後、誤装着に気付いて、引き出すことは無駄な手間となる。さらに、係合部同士が突き当たる位置までトナー容器を挿入すると、トナー容器のトナー排出口と装置本体のトナー受入口とが近接し、トナー排出口またはトナー受入口の一方の近傍に付着していたトナーが他方に移動し、混色が発生するおそれがある。
【0006】
特許文献2〜4には、トナー容器を装置本体に対して水平方向に挿入または引き出すことでトナー容器を装置本体に対して着脱する構成で、トナー容器の挿入方向に直交する方向の側面の一部に凸部からなる誤装着防止部を備えたものが記載されている。この構成では、トナー容器における誤装着防止部の位置または形状が各色毎に異なり、或るトナー容器装着部に誤ったトナー容器を挿入しようとすると、誤装着防止部が装置本体側の一部に突き当たり、装着できない構成となっている。このような構成であれば、使用者は、係合部同士が突き当たる位置までトナー容器を挿入する前に誤装着しようとしていることに気付くことができる。このため、一度挿入したトナー容器を引き出す手間を防止し、さらに、トナー排出口とトナー受入口とが近接することに起因する混色の発生も防止することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献4のように、黒トナーを収容する黒トナー容器を他のカラートナーを収容するカラートナー容器よりも容積を大きくした構成では、次のような問題が起こり得る。
すなわち、容積を大きくすることで、黒トナー容器のトナー容器の挿入方向に直交する断面の大きさがカラートナー容器よりも大きくなり、該トナー容器を装置本体に対して挿入するための開孔も大きくなる。このため、誤装着防止部として、カラートナー容器同士の間での誤セットを防止できる程度の凸部を各カラートナー容器に設けていたとしても、黒トナー容器のトナー容器装着部の開孔が、凸部を含めたカラートナー容器の断面よりも十分に大きくなってしまう場合がある。このような場合、カラートナー容器を黒トナー容器のトナー容器装着部の開孔から挿入できてしまう。これにより、本来黒トナー容器が装着されるトナー容器装着部に外形の小さいカラートナー容器が誤って挿入されてしまうおそれがある。カラートナー容器が誤って挿入されてしまうと、一度挿入したトナー容器を引き出す手間が発生する。さらに、トナー排出口とトナー受入口とが近接することに起因する混色が発生し、画像品質が低下する問題が発生するおそれがある。
このような問題を防止するために、カラートナー容器の誤装着防止部としてトナー容器の挿入方向に直交する横方向の側面の一部に凸部を設け、この凸部を黒トナー容器のトナー容器装着部の開孔でも突き当たる程度の大きさとすることが考えられる。しかし、このような凸部が進入できるスペースを各カラートナー容器のトナー容器装着部に設けると装置の横方向の大型化に繋がる。
【0008】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、装置を横方向に大型化することなく、挿入方向に直交する断面の大きさが小さい小断面トナー容器を、大断面トナー容器のトナー容器装着部に挿入することを確実に防止することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、トナーを用いてトナー像を作像する作像手段と、該作像手段に補給するトナーを収容し、装置本体に対して水平方向に引き出されることで取外され、水平方向に挿入されることでトナー容器装着部に装着されるように、装置本体に対して着脱可能に構成された複数のトナー容器と、該トナー容器の挿入方向に直交する断面形状の横方向の一部に突出するように形成された被ガイド部を支持し、装置本体に挿入される該トナー容器を該トナー容器装着部まで案内するガイド部材と、複数の該トナー容器を装置本体に対して挿入する際の入口である複数の容器挿入口が形成された挿入口形成部材とを有し、上記複数のトナー容器のうちの少なくとも2つは、上記挿入方向に直交する断面の大きさが互いに異なる小断面トナー容器と大断面トナー容器とである画像形成装置において、上記挿入口形成部材に形成された上記小断面トナー容器及び上記大断面トナー容器が挿入されるためのそれぞれの上記容器挿入口の形状は、それぞれのトナー容器が備える上記被ガイド部に沿うように形成され、該小断面トナー容器の該被ガイド部は該大断面トナー容器の該被ガイド部よりも高さ方向の長さが長いことを特徴とするものである。
【0010】
画像形成装置本体に対してトナー容器を水平方向に挿入または引き出すことでトナー容器を装置本体に対して着脱する構成では、トナー容器に形成された被ガイド部をガイドレール等の装置本体側のガイド部材に載せてスライドさせる構成が一般的である。本発明の画像形成装置では、このように被ガイド部をガイド部材に載せる構成で、各容器挿入口の形状が、それぞれのトナー容器が備える被ガイド部に沿うように形成されている。さらに、小断面トナー容器の被ガイド部は大断面トナー容器の被ガイド部よりも高さ方向の長さが長く構成されている。このため、大断面トナー容器の容器挿入口から小断面トナー容器を挿入するために、被ガイド部をガイド部材に載せようとすると、高さ方向の長さが短い大断面トナー容器の被ガイド部に沿うように容器挿入口が形成された挿入口形成部材に、小断面トナー容器の被ガイド部が突き当たる。この突き当たりにより、大断面トナー容器のトナー容器装着部に小断面トナー容器を挿入することを確実に防止することができる。
また、トナー容器は、装置本体に挿入されるときに、横方向の一部に突出するように形成された被ガイド部で装置本体側のガイド部材に支持される。このため、被ガイド部は、ガイド部材に支持されているトナー容器の自重を支えることができる程度に横方向に突出した形状である。
このような形状の被ガイド部を備える構成で、小断面トナー容器の被ガイド部を大断面トナー容器の被ガイド部よりも横方向に長くすることにより、大断面トナー容器のトナー容器装着部に小断面トナー容器を挿入することを防止できる。しかし、トナー容器の自重を支えるために必要な長さに加えて、さらに被ガイド部の横方向の長さを長くすると、それを支持する装置本体側のガイド部材の横方向の長さも長くなる。ガイド部材の横方向の長さが長くなると、装置全体も横方向に長くなり、装置の大型化に繋がる。
一方、本発明の画像形成装置のように、小断面トナー容器の被ガイド部を大断面トナー容器の被ガイド部よりも高さ方向に長くした構成であれば、それを支持するガイド部材の横方向の長さを長くする必要はない。このため、装置全体を横方向に長くする必要がなく、装置の横方向の大型化を防止できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、装置を横方向に大型化することなく、小断面トナー容器を、大断面トナー容器のトナー容器装着部に挿入することを確実に防止することができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】トナー容器がプリンタ本体に挿入される様子を示す説明図。
【図2】実施形態に係るプリンタの全体を示す概略構成図。
【図3】イエロー用の作像部を示す拡大構成図。
【図4】トナー補給装置の説明図。
【図5】四つのトナー容器が装着されたトナー容器収容部の斜視説明図。
【図6】イエロートナーを収容したトナー容器の斜視説明図。
【図7】最小トナー容量のトナー容器と最大トナー容量のトナー容器とが挿入される様子を示す説明図。
【図8】容量が小さいトナー容器の左右のガイド高さを違えた構成のトナー容器と開孔部との関係を示す説明図。
【図9】非互換用突起部を備えたトナー容器の斜視説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、複数の感光体が並行配設されたタンデム型のカラープリンタ(以下、単に「プリンタ100」という)の一実施形態について説明する。
図2は、本実施形態に係るプリンタ100の全体を示す概略構成図である。
図2に示すように、プリンタ100本体の上方にあるトナー容器収容部31には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つのトナー容器32(Y,M,C,K)がプリンタ100に対して着脱自在(交換自在)に設置されている。
トナー容器収容部31の下方には中間転写ユニット15が配設されている。その中間転写ユニット15の中間転写ベルト8に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6(Y,M、C,K)が並設されている。
【0014】
図3は、プリンタ100が備える4つの作像部6(Y,M,C,K)のうちの1つであるイエロー用の作像部6Yを示す拡大構成図である。
図3に示すように、イエロー用の作像部6Yは、潜像担持体であるドラム状の感光体1Y、感光体1Yの周囲に配設された帯電手段としての帯電ローラ4Y、現像手段である現像装置5Y、クリーニング手段であるクリーニング装置2Y等を備える。さらに、不図示の除電手段を備える。そして、感光体1Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)がおこなわれて、感光体1Y上にイエロー画像が形成されることになる。
【0015】
他の3つの作像部6(M,C,K)も、使用されるトナーの色が異なる以外は、イエローに対応した作像部6Yとほぼ同様の構成となっていて、それぞれのトナー色に対応した画像が形成される。以下、他の3つの作像部6(M,C,K)の説明を適宜に省略して、イエローに対応した作像部6Yのみの説明をおこなうことにする。
【0016】
図3に示す感光体1Yは、不図示の駆動モータによって図3中の時計方向に回転駆動される。そして、帯電ローラ4Yとの対向位置で、感光体1Yの表面が一様に帯電される(帯電工程)。
帯電ローラ4との対向位置で一様帯電された感光体1Yの表面は、図2中の露光装置7から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程)。
静電潜像が形成された感光体1Yの表面は、現像装置5Yが備える現像ローラ51Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、イエローのトナー像が形成される(現像工程)。
【0017】
トナー像が形成された感光体1Yの表面は、中間転写ベルト8を挟んで一次転写バイアスローラ9Yに対向する位置に達して、この位置で感光体1Y上のトナー像が中間転写ベルト8上に転写される(一次転写工程)。このとき、感光体1Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
一次転写バイアスローラ9Yとの対向位置を通過した感光体1Yの表面は、クリーニング装置2Yとの対向位置に達して、この位置で感光体1Y上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによって機械的に回収される(クリーニング工程)。
クリーニング装置2Yとの対向位置を通過した感光体1Yの表面は、最後に不図示の除電装置との対向位置に達して、この位置で感光体1Y上の残留電位が除去される。
【0018】
このようにして、感光体1Y上でおこなわれる一連の作像プロセスが終了する。
上述した作像プロセスは、他の作像部6(M,C,K)でも、イエロー用の作像部6Yと同様におこなわれる。すなわち、作像部6(M,C,K)の下方に配設された露光装置7から、画像情報に基づいたレーザ光Lが、各作像部6(M,C,K)の潜像担持体上に向けて照射される。詳しくは、露光装置7は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して各感光体1(M,C,K)上に照射する。
その後、現像工程を経て各感光体1(M,C,K)上に形成した各色のトナー像を、イエローのトナー像が転写された中間転写ベルト8上に重ねて転写する。このようにして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0019】
図2に示すように、中間転写ユニット15は、中間転写ベルト8、4つの一次転写バイアスローラ9(Y,M,C,K)、二次転写バックアップローラ12、クリーニングバックアップローラ13、テンションローラ14、中間転写クリーニング装置10、等で構成される。中間転写ベルト8は、3つの張架ローラ(12〜14)によって張架・支持されるとともに、張架する3つのローラのうちの1つのローラの回転駆動によって図2中の矢印方向に無端移動される。本実施形態のプリンタ100では二次転写バックアップローラ12を駆動ローラとして回転駆動させる。
【0020】
4つの一次転写バイアスローラ9(Y,M,C,K)は、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体1(Y,M,C,K)との間に挟み込んで一次転写ニップを形成している。そして、一次転写バイアスローラ9(Y,M,C,K)に、トナーの極性とは逆の転写バイアスが印加される。
一方、中間転写ベルト8は、矢印方向に走行して、各一次転写バイアスローラ9(Y,M,C,K)の一次転写ニップを順次通過する。このようにして、感光体1(Y,M,C,K)上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて一次転写され、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0021】
各色のトナー像が重ねて転写されてカラー画像が形成された中間転写ベルト8は、二次転写ローラ19との対向位置に達する。この位置では、二次転写バックアップローラ12が、二次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで二次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト8上に形成された4色のトナー像は、この二次転写ニップの位置に搬送された転写紙等の被転写材P上に転写される。このとき、中間転写ベルト8の表面上には、被転写材Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。
二次転写ニップを通過した中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング装置10との対向位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8上の未転写トナーが回収される。
このようにして、中間転写ベルト8上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
【0022】
上述した二次転写ニップの位置に搬送された被転写材Pは、プリンタ100本体の下方に配設された給紙部26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、給紙部26には、転写紙等のシート状の被転写材Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図2中の反時計方向に回転駆動されると、給紙部26内の一番上の被転写材Pがレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。レジストローラ対28に搬送された被転写材Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、被転写材Pが二次転写ニップに向けて搬送される。このようにして、被転写材P上に所望のカラー画像が転写される。
【0023】
二次転写ニップの位置でカラー画像が転写された被転写材Pは、定着装置20に搬送される。そして、定着装置20が備える定着ローラ及び圧力ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像が被転写材P上に定着される。
定着装置20でカラー画像が定着された被転写材Pは、排紙ローラ対29のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対29によって装置外に排出された被転写材Pは、出力画像として、スタック部30上に順次スタックされる。
このようにして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0024】
次に、図3を用いて作像部6Yが備える現像装置5Yについて説明する。
現像装置5Yは、感光体1Yに対向する現像剤担持体としての現像ローラ51Yを備え、現像ローラ51Yに供給する現像剤を収容する現像剤収容部として第一現像剤収容部53Yと第二現像剤収容部54Yとを形成している。また、現像装置5Yは、現像ローラ51Yに対向する層厚規制部材であるドクタ52Yを備え、第一現像剤収容部53Y及び第二現像剤収容部54Y内に配設された2つの搬送スクリュとして第一搬送スクリュ55Y及び第二搬送スクリュ57Yを備える。さらに、第二現像剤収容部54内の現像剤中のトナー濃度を検知する濃度検知センサ56Y等を備える。
【0025】
現像ローラ51Yは、内部に固設された磁石や、磁石の周囲を回転するスリーブ等で構成される。また、第一現像剤収容部53Y及び第二現像剤収容部54Yには、キャリアとトナーとからなる二成分の現像剤Gが収容されている。
第一現像剤収容部53Yと第二現像剤収容部54Yとは仕切り壁58Yによって仕切られており、仕切り壁58Yは第一現像剤収容部53Yの搬送スクリュの軸方向(図3中の紙面に直交する方向)の両端部に不図示の開口部を備えている。そして、この開口部によって第一現像剤収容部53Yと第二現像剤収容部54Yとが連通し、第一搬送スクリュ55Y及び第二搬送スクリュ57Yが回転することによって、現像剤Gが第一現像剤収容部53Yと第二現像剤収容部54Yとを循環する。
また、第二現像剤収容部54Yは、その上方に形成された開口を介してトナー搬送経路40Yに連通している。
【0026】
作像を行うときには、現像ローラ51Yを構成するスリーブは、図3の矢印方向に回転する。そして、スリーブ内に配置されたマグネットにより形成された磁界によって現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、スリーブの回転にともない現像ローラ51Y上を移動する。
現像装置5Y内の現像剤Gは、現像剤中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。詳しくは、現像装置5Y内のトナー消費に応じて、トナー容器32Yに収容されているトナーが、詳細は後述するトナー補給装置59Yによって第二現像剤収容部54Y内に補給される。
第二現像剤収容部54Y内に補給されたトナーは、第二搬送スクリュ57Y及び第一搬送スクリュ55Yによって、現像剤Gとともに混合・撹拌されながら、第一現像剤収容部53Yと第二現像剤収容部54Yとを循環する(図3の紙面に直交する方向の移動である)。そして、現像剤G中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51Y上に形成された磁力によりキャリアとともに現像ローラ51Y上に担持される。
【0027】
このように構成された現像装置5Yは、次のように動作する。
現像ローラ51Yのスリーブは、図3中の矢印方向(反時計回り方向)に回転している。そして、スリーブ内部の磁石により形成された磁界によって現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、スリーブの回転にともない現像ローラ51Y上を移動する。
現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、図3中の矢印方向に搬送されて、現像ローラ51とドクタ52Yとの対向位置に達する。そして、現像ローラ51Y上の現像剤Gは、この位置で現像剤量が適量化された後に、現像ローラ51Yと感光体1Yとの対向位置である現像領域まで搬送される。そして、現像領域で現像ローラ51Yと感光体1Yとの間に形成された現像電界によって、感光体1Y上に形成された静電潜像にトナーが吸着される。現像領域を通過したあとの現像ローラ51Y上に残った現像剤Gはスリーブの回転にともない第一現像剤収容部53Yの上方に達して、この位置で現像ローラ51Yから離脱し、第一現像剤収容部53Y内で攪拌されながら搬送される。
【0028】
次に、トナー容器32Y内に収容されたトナーを現像装置5Yに導くトナー補給装置59Yについて説明する。
図4は、トナー補給装置59Yの説明図である。
図4は、理解を容易にするために、トナー容器32Y、トナー一時貯留部36Y、トナー補給経路343Y、現像装置5Yの配置方向を変えて図示している。実際には、図4において、トナー容器32Yの長手方向が図4中の紙面に直交する方向になるように配設されている(図2参照)。
【0029】
図5は、四つのトナー容器32(Y,M,C,K)が装着されたトナー容器収容部31の斜視説明図である。プリンタ100の筺体を形成する前側面板101と後側面板102との間には、四つのガイドレール41(Y,M,C,K)が受け渡されている。そして、トナー容器収容部31は、前側面板101と後側面板102とに挟まれた空間の四つのガイドレール41(Y,M,C,K)よりも上方の領域である。
プリンタ100は、図5に示す筺体を覆うように不図示の外装カバーが設けられており、前側面板101を覆うように設けられた不図示の前面外装カバーがプリンタ100本体に対して開閉可能に設けられている。そして、前面外装カバーを開放することにより、前側面板101に設けられたインナーカバー200が露出する。
【0030】
図5に示すように、プリンタ100本体のトナー容器収容部31に設置された各トナー容器32(Y,M,C,K)内のトナーは、各色の現像装置内のトナー消費に応じて、トナー色ごとに設けられたトナー補給経路343、トナー一時貯留部36及びトナー搬送経路40Yを経て適宜に各現像装置5内に補給される。4つのトナー補給装置59は、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外はほぼ同一構造である。
【0031】
トナー容器32Yは、プリンタ100本体の前側面板101及び後側面板102に対して、図5中の矢印Aで示すように、水平方向に挿入されることによってプリンタ100本体にセットされる。
トナー容器32Yがプリンタ100本体のトナー容器収容部31にセットされる際には、容器保持部34Yにスポンジシール部材341Yを介して設けられているシャッタ342Yがトナー容器収容部31の突起(不図示)の作用によりスライドする。これにより、トナー容器32Yのトナー排出経路が露出するような構成となっている。
トナー容器32Yが装置本体にセットされると、トナー容器32Yの先端に設けられた電子基板35Yがプリンタ100本体に設置された電子基板読み取り部(不図示)に接触し、電子基板35Yに収納されたトナー容器32に関する情報等をプリンタ100本体の制御部に伝達することができる。
【0032】
図2及び図5に示すように、トナー容器収容部31には、四つの略円筒状のトナー容器32(Y,M,C,K)が、着脱自在に設置されている。四つのトナー容器32(Y,M,C,K)は、それぞれ、寿命に達したとき(収容するトナーがほとんどすべて消費されて空になったとき)にトナーが充填された新品のものに交換される。そして、トナー容器32(Y,M,C,K)内に収容された各色のトナーは、それぞれ、図4で説明したトナー補給装置59によって、各作像部6(Y,M,C,K)の現像装置5(Y,M,C,K)に適宜補給される。
【0033】
図6は、イエロートナーを収容したトナー容器32Yの斜視説明図である。
他の三つのトナー容器32(M,C,K)についての説明を適宜に省略して、イエロートナーを収容したトナー容器32Yのみの説明をおこなうことにする。
図6に示すように、トナー容器32Yは、主として、容器本体33Yと、その頭部に設けられた容器保持部34Yとで構成される。
【0034】
容器保持部34Yは、プリンタ100本体に固定セットされ、容器本体33Yとスナップフィットなどにより結合され、容器本体33Yが自在に回転する構成となっている。また、図4に示すように、容器保持部34Yの下面にはトナーを排出する排出口345Y、スポンジシール部材341Y及びシャッタ342Yを備える。さらに、容器保持部34Yには、被ガイド部344Yが設けられている。
【0035】
容器本体33Yの頭部には、容器本体33Yと一体的に回転する容器ギヤ331Yが設けられている。この容器ギヤ331Yとプリンタ100本体のトナー容器収容部31に設けられた駆動ギヤ335Yとが噛合い、駆動ギヤ335Yを回転させる不図示の駆動モータを駆動することによって、容器本体33Yを回転駆動する仕組みとなっている。
容器本体33Yの内周面には、螺旋状の突起332Yが設けられており、この突起332Yは、図6のように外周面側から見ると螺旋状の溝となっている。この螺旋状の突起332は、容器本体33Yを所定方向に回転駆動したときに容器内のトナーを搬送し、容器保持部34Yに設けられた排出口345Yからトナーを排出するためのものである。このように構成された容器本体33Yは、その周面上に配設される容器ギヤ331Yとともにブロー成形にて一体的に製造することができる。容器本体33Yと容器保持部34Yとはスナップフィットなどにより一体に結合されているが、容器本体33Yの端面は容器保持部34Yに添付された発泡PUR(ポリウレタンエラストマー)などのシール部材(不図示)に押付けられるよう構成され、トナー漏れに対するシール性を確保している。
【0036】
図4中の破線の矢印Tは、トナーの流れを示しており、容器本体33Yの回転に伴い排出されたトナーは自由落下によりトナー補給経路343Yを通って、トナー一時貯留部36Yへと排出される。トナー一時貯留部36Yには、圧電センサ37Yとその表面を清掃する為の清掃部材38Yが設けられている。清掃部材38Yは図4中の矢印Bの方向に回転しており、薄いPET(ポリエチレンテレフタレート)部材などで、圧電センサ37Yの表面のトナーを掻き取る機能を担っている。
トナー一時貯留部36Yと現像装置5Yとの間に設けられたトナー搬送経路40Y中には不図示のスクリュ部材等のトナー搬送部材が設置されている。そして、濃度検知センサ56Yのフィードバック値によって搬送部材の駆動が制御され、現像剤Gは適切なトナー濃度に保たれる。トナー搬送経路40Y中に設けるトナー搬送部材としては中心軸のないオーガなども考えられる。
【0037】
トナー一時貯留部36Yに設けられた圧電センサ37Yは設置位置におけるトナーの有無を検知する。トナー容器32Y内のトナーが無くなると、トナー一時貯留部36Yへのトナーの供給がなくなり、圧電センサ37Yがその設置位置にトナーが無くなったことを検出する。このように、トナー一時貯留部36Yに設けられた圧電センサ37Yがその設置位置のトナーが無くなったことを検出することにより、トナー容器32Y中のトナーが無くなった際にはアラートを表示してユーザーにトナー容器の交換を促すことが可能である。
その際、トナー搬送経路40Y中にはトナーが残留しているため、トナー容器32Y中のトナーが無くなっていてもトナー搬送経路40Y中に残留するトナーによって現像剤Gのトナー濃度は適正値に保たれ、プリンタ100にて形成される画像は良好な品質を維持できる。
【0038】
また、トナー一時貯留部36Yを有さず、容器保持部34Yのトナー排出経路を通ったトナーが直接に現像装置5Yへと排出される形態も考えられる。この構成により部品点数低減が図れるため大幅なコストダウンが見込めることとなる。その場合、トナー容器32Y中のトナーの有り/無しを検知する方法が別途必要となるが、プリント画像面積と消費トナー量の関係を事前に求めておき、プリント画素数により消費トナー量を予測する方法などが一般的な方法として考えられる。
【0039】
次にプリンタ100本体に対するトナー容器32の挿入について説明する。
図1は、トナー容器32Yがプリンタ100本体に挿入される様子を示す説明図である。プリンタ100本体の手前側となる前側面板101には、内部に存在する画像形成プロセス装置を覆い隠すようなインナーカバー200が設けられている。もちろん、トナー補給装置専用のカバーが設けられている場合も考えられる。
【0040】
インナーカバー200には、トナー容器32が挿入できる4つの開孔部201(Y,M,C,K)が設けられている。4つの開孔部201(Y,M,C,K)はトナー容器32の挿入方向への投影形状よりも一回り大きな開孔となっている。
図1における最右端の開孔部201Yは、プリンタ100における最小トナー容量であるイエロー用のトナー容器32Yが挿入される開孔となっており、イエロー用のトナー容器32Yの投影形状よりも一回り大きな開孔となっている。
一方、図1における最左端の開孔部201Kは、プリンタ100における最大トナー容量である黒用のトナー容器32Kが挿入される開孔となっており、黒用のトナー容器32Kの投影形状よりも一回り大きな開孔となっており、開孔部201Yよりも十分に大きな開孔となっている。
また、マゼンタ用のトナー容器32M及びシアン用のトナー容器32Cは、イエロー用のトナー容器32Yと同じ容量であり、4つの開孔部201のうちの中央二つの開孔部201(M,C)は、開孔部201Yと同じ大きさとなっている。
【0041】
インナーカバー200の奥側には、トナー容器32(Y,M,C,K)がセットされる位置まで全域にわたってガイドレール41(Y,M,C,K)が設置されている(図1では、イエロー用のガイドレール41Yのみ図示)。プリンタ100本体に対してトナー容器32Yを挿入すると、トナー容器32Yの被ガイド部344Yが、ガイドレール41Yの曲げ部分の下に入り込み、挿入セットする過程において、トナー容器32Yが浮き上がるのを防止する構成となっている。
【0042】
図7は、最小トナー容量のトナー容器32(Y,M,C)のうちのひとつと最大トナー容量のトナー容器32Kとが挿入される様子を示す説明図である。
当然のことながら、最小トナー容量のトナー容器32(Y,M,C)の挿入方向に直交する断面の外径は、最大トナー容量のトナー容器32Kの挿入方向に直交する断面の外径よりも小さい。このため、容器本体33のみであれば、最小トナー容量のトナー容器32(Y,M,C)は、最大トナー容量のトナー容器32Kが挿入されるべき開孔部201Kに挿入できてしまう。
しかし、本実施形態のプリンタ100が備えるトナー容器32は先端に容器保持部34を有し、容器保持部34には、上述した被ガイド部344が設けられている。
最小容量のトナー容器32(Y,M,C)の被ガイド部344(Y,M,C)の高さH2は、最大トナー容量のトナー容器32Kの被ガイド部344Kの高さH1よりも高く、開孔部201Kの被ガイド部344Kが通過する部分の高さH1´よりも高くなっている。このため、最大トナー容量のトナー容器32Kがセットされるべき開孔部201Kに、最小トナー容量のトナー容器32(Y,M,C)を誤ってセットできない構成となっている。
【0043】
図1及び図7を用いて説明した構成では、挿入方向に対してトナー容器32の両側に被ガイド部344を有する形態を示している。プリンタ100本体のさらなる小型化を目的としてトナー容器32の片側にのみに被ガイド部344を設ける形態も考えられる。片側のみに被ガイド部344を設ける構成においてもガイド機能は充分に発揮でき、隣り合うトナー容器32の間隔を狭く配置することができるので、プリンタ100本体の小型化が実現可能となる。
【0044】
図8は、トナー容器32の両側に被ガイド部344を有し、容量が小さいトナー容器32(Y,M,C)の被ガイド部344の高さ方向の位置を左右で違えた構成のトナー容器32と開孔部201との関係を示す説明図である。プリンタ100本体の小型化を実現しながらガイド機能を安定させる為にトナー容器32の両側に被ガイド部344を有する形態において、図8に示すように、左右の被ガイド部344の位置の高さを違えることも考えられる。左右の被ガイド部344の高さ方向の位置を違えることで、隣り合うトナー容器32の間のスペースを小さくすることができ、プリンタ100本体の小型化に結びつけることができる。
【0045】
図9は、容器保持部34Yの上部に突起状の誤装着防止部としての非互換用突起部349Yを備えたトナー容器32Yの斜視説明図である。なお、トナー容器32Yが非互換用突起部349Yを備える構成では、他の三つのトナー容器32(M,C,K)も同様に、容器保持部34(M,C,K)の上部に非互換用突起部349(M,C,K)を備える。四つの非互換用突起部349(Y,M,C,K)は互いに形状が異なる。そして、トナー容器32が非互換用突起部349を備える構成では、四つの開口部201(Y,M,C,K)には、挿入されるトナー容器32(Y,M,C,K)が備える非互換用突起部349(Y,M,C,K)の形状に合わせた切り欠きが設けられている。
【0046】
非互換用突起部349のように、トナー容器32の上部に各色に応じて異なる形状を持たせた突起等の誤装着防止部を設けることで、大きさが同じカラー用のトナー容器32(Y,M,C)間であっても、他のカラー用の開孔部201(Y,M,C)に挿入することが出来ず、各色間での非互換性を有するようにすることが出来る。
また、トナー容器32の上部に誤装着防止部を設けた構成では、外径の小さいカラー用のトナー容器32(Y,M,C)を外径の大きな黒用のトナー容器32K用の開口部201Kに誤挿入しようとしたときに、より確実に誤挿入を防止できる。すなわち、トナー容器32の上部の誤装着防止部を避けて挿入しようと場合には、トナー容器32の下側における被係合部(被ガイド部344)で誤挿入を防止できる。一方、トナー容器32の下側における被係合部(被ガイド部344)を避けて挿入しようとした場合には、トナー容器32の上部の誤装着防止部が引っかかることで誤挿入を防止できる。
【0047】
また、黒用のトナー容器32Kはカラー用の三つのトナー容器32(Y,M,C)に比して大きいため、カラー用の開孔部201(Y,M,C)には、黒用のトナー容器32Kを挿入することは出来ない。よって、カラー用のトナー容器32(Y,M,C)に非互換用突起部349を設け、黒用のトナー容器32Kには、非互換用突起部349を設けない構成としてもよい。
【0048】
また、画像形成装置本体側としては、本実施形態のように、開口部201がトナー容器32の下側における被係合部(被ガイド部344)や上部の誤装着防止部に応じた本体側の形状となっていることが望ましい。また、仮に、開口部201の形状が被係合部(被ガイド部344)や誤装着防止部に応じていなくても、できる限り開口部201に近いところで被係合部等を受け入れる形状とされているのが望ましい。これにより、入口近くで誤ったトナー容器32の進入を防止できる。
【0049】
また、プリンタ100本体またはトナー容器32の少なくともいずれか一方に、トナー容器32の交換作業を行う作業者に対して、トナー容器32の底部を開口部201の下端に沿わせるように挿入することを促す注意書きが記載されていることが望ましい。本実施形態のプリンタ100のように、トナー容器32の下側における被係合部(被ガイド部344)で誤挿入を防止する構成では、トナー容器32の底部を開口部201の下端に沿わせるように挿入することで、カラー用のトナー容器32(Y,M,C)を黒用の開孔部201Kに挿入しようとしたときに、カラー用のトナー容器32(Y,M,C)の被ガイド部344(Y,M,C)を、より確実に黒用の開孔部201Kが形成されたインナーカバー200に突き当てさせることができ、誤挿入を防止することができる。
【0050】
以上、本実施形態の画像形成装置であるプリンタ100は、作像部6(Y,M,C,K)と、トナー容器32(Y,M,C,K)と、ガイドレール41(Y,M,C,K)と、インナーカバー200とをそなえる。作像部6は、トナーを用いてトナー像を作像する作像手段である。四つのトナー容器32は、作像部6に補給するトナーを収容し、プリンタ100本体に対して水平方向に引き出されることで取外され、水平方向に挿入されることでトナー容器装着部であるトナー容器収容部31に装着されるように、プリンタ100本体に対して着脱可能に構成されている。ガイドレール41は、トナー容器32の挿入方向に直交する断面形状の横方向の一部に突出するように形成された被ガイド部344を下方より支持し、プリンタ100本体に挿入されるトナー容器32をトナー容器収容部31まで案内するガイド部材である。また、インナーカバー200は、4つのトナー容器32をプリンタ100本体に対して挿入する際の入口である複数の容器挿入口である開孔部201が形成された挿入口形成部材である。さらに、4つのトナー容器32のうちの黒用のトナー容器32Kと他の三つのトナー容器32(Y,M,C)は、挿入方向に直交する断面の大きさが互いに異なる大断面トナー容器と小断面トナー容器とである。インナーカバー200に形成された黒用のトナー容器32Kが挿入されるための開孔部201Kと、他の三つのトナー容器32(Y,M,C)が挿入されるための開孔部201(Y,M,C)との形状は、それぞれのトナー容器32が備える被ガイド部344に沿うように、トナー容器32の挿入方向への投影形状よりも一回り大きな開孔となっている。そして、黒用以外の三つのトナー容器32(Y,M,C)の被ガイド部344(Y,M,C)の高さH2は黒用のトナー容器32Kの被ガイド部344Kの高さH1よりも高く、開孔部201Kの被ガイド部344Kが通過する部分の高さH1´よりも高くなっている。
本実施形態のプリンタ100では、被ガイド部344をガイドレール41に載せる構成で、各開孔部201の形状が、それぞれのトナー容器32が備える被ガイド部344に沿うように形成されている。プリンタ100では、黒用以外の三つのトナー容器32(Y,M,C)の被ガイド部344(Y,M,C)は黒用のトナー容器32Kの被ガイド部344Kよりも高さ方向の長さが長く構成されているため、黒用のトナー容器32Kの開孔部201Kから他の三つのトナー容器32(Y,M,C)のいずれかを挿入するために、被ガイド部344(Y,M,C)をガイドレール41K(不図示)に載せようとすると、高さ方向の長さが短い被ガイド部344Kに沿うように開孔部201Kが形成されたインナーカバー200に、挿入しようとしたトナー容器32(Y,M,Cのいずれか)の被ガイド部344が突き当たる。この突き当たりにより、黒用のトナー容器32Kのトナー容器装着部に他の色のトナー容器32(Y,M,C)を挿入することを確実に防止することができる。
【0051】
従来は、トナー容器の色ごとの非互換として最小トナー収容量のトナー容器に突起部を設けて、最大収容量のトナー容器のセット位置に設けられた開孔部に挿入できないような工夫がなされてきた。しかし、装置の小型化が進むにつれて、隣同士のトナー容器の間隔が十部に確保できなくなり、最大収容量のトナー容器のセット位置に設けられた開孔部で突き当たるような突起部を装置本体の幅方向に確保することが困難となっている。
これ対して、本実施形態のプリンタ100では、カラーのトナー容器32(Y,M,C)の被ガイド部344(Y,M,C)の高さH2を黒用のトナー容器32Kの被ガイド部344Kの高さH1よりも大きくし、黒用のトナー容器32Kのセット位置に他の色のトナー容器32(Y,M,C)がセットできないような構成としている。
このように、大きな突起部を設けて非互換を実施するのではなく、被ガイド部344の高さを違えて、黒用と他の色用との非互換を実施することにより、装置幅方向へのスペース拡大をすることなく誤セットを解消している。
【0052】
また、プリンタ100に用いるトナー容器32としては、プリンタ100本体に対する挿入方向に直交する断面形状の横方向の片側のみに被ガイド部344を形成する構成としてもよい。片側のみに被ガイド部344を有することで、ガイド機能は有しながら隣り合うトナー容器32の間隔をさらに狭くする事が可能となり、プリンタ100の小型化が実現できる。
【0053】
また、プリンタ100に用いるトナー容器32としては、図8に示すように、プリンタ100本体に対する挿入方向に直交する断面形状の横方向の左右両側に被ガイド部344を有し、被ガイド部344の高さ方向の位置を左右で違えた構成としてもよい。これにより、片側にのみ被ガイド部344を有する形態のものよりもガイド機能を安定させることができ、高さ方向の位置を非対称とすることにより隣り合うトナー容器32の間のスペースを有効に活用することが可能となる。
【0054】
また、プリンタ100に用いるトナー容器32としては、図9に示すように、上部には少なくとも、小断面のカラー用のトナー容器32(Y,M,C)と、大断面の黒用のトナー容器32Kとで異なる形状の非互換部材としての非互換用突起部349を設ける構成としてもよい。このようなトナー容器32を用いる構成では、プリンタ100本体側の容器挿入口である開口部201の形状は、各トナー容器32の非互換用突起部349に沿うように形成する。これにより、小断面のトナー容器32(Y,M,C)を大断面の黒用のトナー容器32K用の開口部201Kに誤挿入しようとしたときに、トナー容器32の下側における被係合部(被ガイド部344)、または、トナー容器32の上部の非互換用突起部349が引っかかることで誤挿入を防止できる。
【0055】
また、プリンタ100に用いるトナー容器32としては、特許文献4に記載の構成のように、内部にトナーを搬送する搬送部材を備える構成であってもよい。トナー容器32の容器本体の内部にトナーを搬送する搬送部材を有することで、安定してトナーを搬送することができる。さらに、容器そのものを回転して粉体を搬送する方式に比較してガタツキによる振動、音が発生しないという利点がある。
【0056】
また、本実施形態のプリンタ100が備えるトナー容器32は、容器本体33と、容器保持部34とを備える。容器本体33は、内周面に螺旋状の突起332を備えた容器部である。また、容器保持部34は、容器本体33を回転可能に支持し、トナー容器32がプリンタ100本体に装着されたときにプリンタ100本体対して位置が固定される容器保持部である。そして、容器本体33が回転することにより、内部に収容するトナーを螺旋状の突起332によって搬送する。このような構成により、トナー容器にトナー搬送部材を有して、それら部材により内部のトナーを搬送する方式に比較して部品点数が少なくなり、コスト面でのメリットがある。また、内部のトナー搬送部材を駆動させるには外部からの駆動入力が必要となり、駆動部とトナー容器とでトナーの漏れ対応が困難である。一方、本実施形態のプリンタ100のように、容器本体33自体を回転させる方式であればトナー漏れの対策が不要となる。
【符号の説明】
【0057】
1 感光体
5 現像装置
6 作像部
15 中間転写ユニット
19 二次転写ローラ
20 定着装置
26 給紙部
31 トナー容器収容部
32 トナー容器
33 容器本体
34 容器保持部
41 ガイドレール
100 プリンタ
101 前側面板
102 後側面板
200 インナーカバー
201 開孔部
344 被ガイド部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【特許文献1】特開2006−209060号公報
【特許文献2】特開2003−084534号公報
【特許文献3】特開2007−178969号公報
【特許文献4】特開2008−134524号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを用いてトナー像を作像する作像手段と、
該作像手段に補給するトナーを収容し、装置本体に対して水平方向に引き出されることで取外され、水平方向に挿入されることでトナー容器装着部に装着されるように、装置本体に対して着脱可能に構成された複数のトナー容器と、
該トナー容器の挿入方向に直交する断面形状の横方向の一部に突出するように形成された被ガイド部を支持し、装置本体に挿入される該トナー容器を該トナー容器装着部まで案内するガイド部材と、
複数の該トナー容器を装置本体に対して挿入する際の入口である複数の容器挿入口が形成された挿入口形成部材とを有し、
上記複数のトナー容器のうちの少なくとも2つは、上記挿入方向に直交する断面の大きさが互いに異なる小断面トナー容器と大断面トナー容器とである画像形成装置において、
上記挿入口形成部材に形成された上記小断面トナー容器及び上記大断面トナー容器が挿入されるためのそれぞれの上記容器挿入口の形状は、それぞれのトナー容器が備える上記被ガイド部に沿うように形成され、
該小断面トナー容器の該被ガイド部は該大断面トナー容器の該被ガイド部よりも高さ方向の長さが長いことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記トナー容器は、装置本体に対する挿入方向に直交する断面形状の横方向の片側のみに上記被ガイド部が形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1の画像形成装置において、
上記トナー容器は、装置本体に対する挿入方向に直交する断面形状の横方向の両側に上記被ガイド部が形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の画像形成装置において、
前記トナー容器の上部には少なくとも、小断面トナー容器と、大断面トナー容器とで異なる形状の非互換部材が設けられ、上記容器挿入口の形状は、該非互換部材に沿うように形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の画像形成装置において、
上記トナー容器は、内部にトナーを搬送する搬送部材を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至4の画像形成装置において、
上記トナー容器は、内周面に螺旋状の突起を備えた容器部と、該容器部を回転可能に支持し、該トナー容器が装置本体に装着されたときに装置本体対して位置が固定される容器保持部とを備え、該容器部が回転することにより、内部に収容するトナーを搬送することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−137740(P2012−137740A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244129(P2011−244129)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】