画像形成装置
【課題】 操作部の少なくとも一部が、積載面12上方のシートが積載される空間に位置するように配置されると、積載面12上に積載可能なシートSの量が減ってしまう。
【解決手段】 装置本体の上面に設けられ、画像が形成された記録材を積載する積載面と、装置本体の上面に設けられ、情報を表示する表示部を備える平板状の可動部と、を有し、鉛直方向で見て可動部の少なくとも一部が積載面に重なっている画像形成装置において、可動部は、可動部の平面部が装置本体の上面に沿った第1の位置と、第1の位置よりも鉛直方向における可動部と積載面との距離が離れた第2の位置との間を移動可能である。
【解決手段】 装置本体の上面に設けられ、画像が形成された記録材を積載する積載面と、装置本体の上面に設けられ、情報を表示する表示部を備える平板状の可動部と、を有し、鉛直方向で見て可動部の少なくとも一部が積載面に重なっている画像形成装置において、可動部は、可動部の平面部が装置本体の上面に沿った第1の位置と、第1の位置よりも鉛直方向における可動部と積載面との距離が離れた第2の位置との間を移動可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角度及び高さが変更可能な操作部を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置にはユーザが装置を操作するためのボタンや装置の状態等を表示するディスプレイ等を備える操作部が装置本体外面に設けられている。
【0003】
このような従来の画像形成装置を図14(a)、(b)に示す。100は画像形成装置本体、10は操作部である。従来の画像形成装置では、輸送時や保管時の装置のサイズを小さく抑えつつ、ユーザの使い勝手に合わせて操作性や視認性を自由に変えることができるよう、操作部の角度及び高さを調整可能にした構成としている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−139880
【特許文献2】特開2003−231328
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、操作部は、ユーザビリティの観点からユーザが装置本体の上方や前方から操作し易い位置に設けられることが多い。また一方で、画像形成されたシートが排出され積載される積載面12も、同様にユーザビリティの観点から、ユーザが装置本体の上方や前方からアクセスし易い位置に設けられることが多い。このため、操作部と積載面とが近くに配置されることが多い。
【0006】
とりわけ近年では、例えば、外部メモリから読み込んだデータの印刷プレビューを表示する等、ディスプレイで表示する情報量が増加に伴ってディスプレイが大画面化している等の理由により、操作部が大型化されていく傾向にある。その一方で、装置本体は一層小型化される傾向にある。
【0007】
このため、操作部を配置する場所を確保しにくくなっている。図15に示すように、操作部を近くに配置された積載面上方のシートが積載される空間に入るように配置せざるを得ない場合がある。
【0008】
しかし、このように操作部を積載面上方のシートが積載される空間に入るように配置すると、積載面と操作部との鉛直方向の距離が制限される。このため、積載面上に積載可能なシートの枚数(積載量)が制限され、積載面上に積載可能なシートの量が減ってしまう。
【0009】
そこで本発明は、上記課題に鑑みて、操作部の少なくとも一部が、積載面上方のシートが積載される空間に位置するように配置された画像形成装置において、積載面に積載されるシートの積載量を確保可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、装置本体の上面に設けられ、画像が形成された記録材を積載する積載面と、装置本体の上面に設けられ、情報を表示する表示部を備える平板状の可動部と、を有し、鉛直方向で見て前記可動部の少なくとも一部が前記積載面に重なっている画像形成装置において、前記可動部は、前記可動部の平面部が前記装置本体の上面に沿った第1の位置と、前記第1の位置よりも鉛直方向における前記可動部と前記積載面との距離が離れた第2の位置との間を移動可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、操作部の少なくとも一部が、積載面上方のシートが積載される空間に位置するように配置された画像形成装置において、積載面に積載されるシートの積載量を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)操作部が倒れた状態の画像形成装置の斜視図。(b)操作部が起こされた状態の画像形成装置の斜視図。
【図2】(a)操作部が倒れた状態の画像形成装置の断面図。(b)操作部が起こされた状態の画像形成装置の断面図。
【図3】(a)操作部が倒れた状態の操作部付近の斜視図。(b)操作部が起こされた状態の操作部付近の斜視図。
【図4】操作部が起こされた状態の画像形成装置の部分断面図。
【図5】操作部が起こされた状態の画像形成装置の斜視図。
【図6】積載面にカールした記録材が排出されたときの画像形成装置の斜視図。
【図7】(a)操作部が倒された状態の画像形成装置の図1(a)のX1方向から見た部分断面図。(b)は操作部が起こされた状態の画像形成装置の図1(a)のX1方向から見た部分断面図。
【図8】(a)操作部が倒された状態の満載検知レバー付近の画像形成装置の斜視図。(b)操作部が起こされた状態の満載検知レバー付近の画像形成装置の斜視図。
【図9】(a)操作部が倒された状態の画像形成装置を図1のX2方向から見た部分断面図。(b)操作部が最も起こされた状態の画像形成装置を図1のX2方向から見た部分断面図。
【図10】(a)操作部が倒された状態の画像形成装置を図1(a)のX1方向から見た部分断面図。(b)操作部が起こされた状態の画像形成装置を図1(a)のX1方向から見た部分断面図。
【図11】(a)操作部が倒された状態の満載検知レバー付近を図10のZ方向から見た図。(b)操作部10が起こされた状態の満載検知レバー付近を図10のZ方向から見た図。
【図12】(a)操作部が倒された状態におけるフォトセンサが遮光されていない状態の満載検知レバー付近の装置内部の斜視図。(b)操作部が倒された状態におけるフォトセンサが遮光された状態の満載検知レバー付近の装置内部の斜視図。
【図13】(a)操作部が起こされた状態におけるフォトセンサが遮光されていない状態の満載検知レバー付近の装置内部の斜視図。(b)操作部が起こされた状態におけるフォトセンサが遮光された状態の満載検知レバー付近の装置内部の斜視図。
【図14】(a)従来の画像形成装置の斜視図。(b)従来の画像形成装置の斜視図。
【図15】操作部と積載面の配置を示す斜視図。
【図16】画像形成部の制御構成の概略を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔第1実施形態〕
(画像形成装置)
まず、図1を用いて本実施形態の画像形成装置について説明する。図1は画像形成装置の斜視図であり、(a)は操作部10が倒れた状態、(b)は操作部10が起こされた状態を示している。なお、操作部10については後述する。
【0014】
本実施形態の画像形成装置100は電子写真方式の画像形成装置である。画像形成装置100本体内には、画像形成部である不図示の感光ドラム、及び感光ドラムに作用するプロセス手段としての帯電器、スキャナユニット、現像器、転写ローラ、クリーナ、及び定着器が設けられている。
【0015】
記録材としてのシートへの画像形成は、感光ドラムを回転させながら、その表面を帯電器により帯電させ、帯電した感光ドラム表面をスキャナユニットで露光して潜像を形成し、現像器でその潜像をトナー像として可視化し、感光ドラム表面上にトナー像を形成する。次に、感光ドラム表面のトナー像を、転写ローラと感光ドラムの間の転写ニップ部に搬送されたシート上に転写し、そのシートを定着器へ搬送し定着ニップで加熱及び加圧することでシート上に定着画像を形成する。転写ニップ部でシートに転写されず感光ドラム表面に残ったトナーはクリーナによって清掃され感光ドラム表面から除去される。シート上に定着画像を形成されたシートは積載面12の上方から排出され、積載面12上に積載されていく。このようにシート上に画像を形成し積載面12上に排出することを画像形成動作と定義する。
【0016】
なお、上記では単色の画像形成について説明したが複数色の画像形成を行ってもよい。また、本実施形態の画像形成装置100は、電子写真方式の画像形成装置であるが、インクジェット方式やその他シート上に画像を形成するものであればよい。
【0017】
画像形成装置100の上面には、装置の情報等を表示する表示面Dとしてのディスプレイ、及び、ユーザが触れることにより装置を操作するためのタッチパネル(操作面)が平面部10aに設けられた平板状の操作部(可動部)10が設けられている。なお、本実施形態のタッチパネル(操作面)は表示面D上に設けられている。本実施形態の操作部10は、表示部としてのディスプレイを備えるものであるが、ディスプレイのみを備えるものや、ユーザが装置を操作するためのボタン又はスイッチのみを備えるものであってもよい。また、メモリーカード等の外部メモリを装着する装着部を備えていてもよい。
【0018】
また、画像形成装置100の上面には、シートSが積載される積載面12、積載面12に積載されたシートSの積載量に連動して回動可能に取り付けられたシートSの満載を検知する満載検知レバー13が設けられている。満載検知レバー13は、積載面12にシートSが積載されるシートSによって押し上げられて回動する構成となっている。そして、積載されたシートSの高さが所定の高さになる、即ち満載検知レバー13が所定角回動すると、満載状態であると判断され、画像形成動作が停止される。このように満載検知レバー13を設けその回動角が所定の閾値を超えることで、画像形成動作を停止するように構成し、積載面12に積載されるシートSの積載量の限界値を適宜設定して、ジャムの発生を抑えることができる。
【0019】
本実施形態では、本体100の外郭線内に操作部10を搭載しているが、画像形成装置本体100が小さいため、積載面12の上部に操作部10が掛かるように配置されている。つまり、操作部10は、鉛直方向から見て操作部10の少なくとも一部が積載面12に重なっており、積載面12の上方のシートSが積載される空間(記録材積載空間)に少なくとも一部が位置するように配置されている。
【0020】
このため、図1(a)に示すような操作部10が倒れている状態では、積載面12から操作部10の下面までの高さを稼ぐことができない。言い換えれば、この状態では操作部10と積載面12との鉛直方向における距離が短い。このため、積載面12上に積載されたシートSを取り除かれることなく連続して画像形成動作が行われると、積載面12上に積載されたシートSの積載量が増えて排出されるシートSが操作部10と接触してしまう。そして、ジャムや、既に積載されているシートを排出されるシートが押し出してしまう等の積載性の悪化を招く虞がある。
【0021】
(操作部の位置姿勢調整機構)
そこで、本実施形態の画像形成装置は、操作部10の角度や高さ(位置、姿勢)等を調節する操作部の調節機構を有している。次に、このような位置姿勢調節機構について説明する。図2(a)は、操作部が倒れた状態の画像形成装置の断面図、(b)は、操作部が起こされた状態の画像形成装置の断面図である。図3(a)は、操作部が倒れた状態の操作部付近の斜視図、(b)は、操作部が起こされた状態の操作部付近の斜視図である。なお図3では、調節機構をよく説明できるよう装置本体外装の一部を透けさせ装置外装の内部を記載している。
【0022】
この調整機構は、操作部10を、画像形成装置本体100と操作部10を連結するアーム(アーム部材)11で支持する構成となっている。アーム11は装置本体100側に設けられた回転中心(回動軸)11cを中心に回転可能に装置本体100に支持されており、操作部10の角度及び高さを変更することを可能にしている。
【0023】
操作部10を支持し、操作部10と本体100を連結するアーム11には、扇形状のディスク部11aが一体的に形成されている。そしてディスク部11aの円周方向(アーム11の回動軸11c周りの円周方向)に並んで配置された複数の溝部11bを有する。
【0024】
また、本体100側には溝部11bに係合するための係合ピン31、係合ピン31を回動軸11c方向に付勢する圧縮バネ32、係合ピン31及び圧縮バネ32を保持するバネホルダ33が設けられている。圧縮バネ32の復元力により係合ピン31は回動軸11c方向で溝部11bに係合するよう付勢されている。溝部11bに係合ピン31が係合した状態では、アーム11はその状態の姿勢で保持される。複数の溝部11bのなかで、係合ピン31が入る溝部11bを変えることで、アーム11を保持する角度及び高さを変更することができる。
【0025】
次に、この積載面12と操作部10との鉛直方向の距離の調節について説明する。図4は、操作部が起こされた状態の画像形成装置の部分断面図である。図5は、操作部が起こされた状態の画像形成装置の斜視図である。
【0026】
本実施形態では、上述した調節機構によって、操作部10を倒した状態(図2(a))から起こした状態(図2(b)、4、5)とすることで、鉛直方向において操作部10と積載面12との間の距離を広げることができる。従って、排出されるシートSと操作部10の間に充分な高さ21が得られ、排出されるシートSが操作部10に接触するのを避けることができる。
【0027】
このように、装置の輸送時や保管時等の装置を使用していない時は、アーム11を倒して(寝かせて)、操作部10の平面部10aを装置上面の外装面に沿わせて折り畳むことで、操作部10が装置外郭から凸になることを抑え、省スペース化を実現することができる(図1(a)、図2(a)参照)。装置の使用時には、操作部10が倒れた状態から、装置を使用する為にユーザが操作部10を起こしていくと、同時に鉛直方向における積載面12と操作部10との距離が広がっていく構成となっている。このため、装置の使用時には操作部10を起こした状態では積載面12と操作部10との間の鉛直方向の距離20を充分に確保することができる。また、アーム11を複数通りの角度で保持することができるので、ユーザは、操作部10の位置や姿勢をユーザの好みに合わせることができ、ユーザの操作性や視認性を満足することができる。
【0028】
本実施形態においては、上述したように、操作部10は平面部10aが装置本体の上面に沿った第1の位置(寝かせた状態)と、第1の位置よりも、鉛直方向における操作部10と積載面12との距離20が離れた第2の位置(起こした状態)との間を移動可能としている。そして装置の使用時にユーザが操作部10を起こす(第2の位置に配置する)ことで、操作部10を鉛直方向に積載面12から離すことができる。このため、排出されるシートの積載性を悪化しないようにすることができる。
【0029】
また、ユーザによる画像形成装置100の一般的な使用形態として、机の上に画像形成装置100を設置する形態が考えられる。このような形態において、装置の上面に操作部10が配置されている場合に、ユーザにとって表示面Dの視認性が良い、表示面Dの角度は、操作部10を倒した状態の表示面Dの角度を0°(水平)とすると、60°〜80°である。
【0030】
ここで、画像形成装置100を使用する際、ユーザが操作性又は視認性が良い角度になるよう、操作部10を起こしていく(表示面Dの角度を0°から90°に向かって増やしていく)と、積載面12と操作部10との間の鉛直方向の距離20が広がる。このように構成することで、ユーザが視認性の良い角度まで操作部10を起こすという動作を利用して積載面12と操作部10との間の鉛直方向の距離20を稼ぐことができ、ユーザビリティが良好となる。
【0031】
次に、操作部10の積載面12における搬送ガイドとしての機能及びカール矯正方法について説明する。図6は積載面12にカールしたシートSが排出されたときの画像形成装置の斜視図を示す。操作部10は積載面12の上部に位置しているため、その設置角度及び高さによっては積載面12に排出されるシートSの搬送ガイドとして機能する。例えば図6に示すように、端部のカールしたシートSが排出される際には、シートSのカールした端部が操作部10の下部にならって搬送されることで、安定した搬送をアシストすることができる。図14に示すような従来構成においては、積載面12上での搬送ガイドがないため、排出されるシートSの搬送をアシストすることができず、シートSは積載面12上の自由な位置に積載される。これに対して、図6に示す本発明の構成においては、操作部10が排出されるシートSの搬送をガイドすることにより、積載面12上でのシートの整列性が良化する。シートSの搬送方向に対して操作部10の角度を寝かせる程、シートSが操作部10に引っかかりにくく搬送のアシストをすることができる。
【0032】
さらに、操作部10はその設置角度及び高さによっては積載面12に積載されたシートSのカールを矯正する機能も併せ持っている。定着部(不図示)にて加熱されたシートSが積載面12上で冷却されカールする際、上部に設置された操作部10にてシートSの端部を上部から抑えることによりカールの成長を抑制することができる。図14に示すような従来構成においては、積載面12上でのシート抑え部材がないため、シートSの冷却に伴いシート端部のカールが成長してしまう。これに対して、図6に示す本発明の構成においては、操作部10が排出されるシートSの上部を抑えることにより、シートSのカールを抑制・矯正することができる。尚、カールしたシートSが操作部10に接触する際には、シートSの端部のみが操作部10と接触し、シート端部以外はシートSと操作部10の高さ21が確保される。このため、排出されるシートSが操作部10に引っかかって積載性が悪化することはなく、薄紙や放置紙等、カールしやすいシートの搬送性や積載性を改善する一助となる。
【0033】
このように本実施形態では、操作部は装置本体に対して移動可能で、操作部を移動することによって、操作部と積載面との鉛直方向における距離を変更可能にしたことにより、操作部の少なくとも一部が、積載面上方のシートが積載される空間に位置するように配置された画像形成装置において、積載面上に積載されるシートの積載量を確保することができる。
【0034】
また、本実施形態では、操作部の表面が倒れた状態から操作部の表面を起こしていくと、操作部と積載面との鉛直方向における距離が長くなるよう構成してある。このため、ユーザが装置を使用するために操作部を起こす動作を利用して、操作部と積載面との鉛直方向における距離を長くすることができ、ユーザビリティを良好にすることができる。
【0035】
〔第2実施形態〕
次に第2実施形態について説明する。なお第1実施形態と同様の部分については同様の符号を付し、説明を省略する。
【0036】
(操作部10の位置姿勢調節と満載検知の連動)
次に、本実施形態の最も特徴的な構成である、操作部10の回動角と積載部12上に積載されたシートSの満載状態を検知する満載検知レバー13の回動角の閾値とが連動して変化する構成について説明する。
【0037】
図7は画像形成装置100の図1(a)のX1方向から見た部分断面図であり、(a)は操作部10が倒された状態、(b)は操作部10が起こされた状態である。図8は満載検知レバー13付近の装置の斜視図であり、(a)は操作部10が倒された状態、(b)は操作部10が起こされた状態である。なお、図8において、便宜上一部装置の外装を省略して装置の内部を示している。
【0038】
まず本実施形態の満載検知手段としての満載検知機構について説明する。
【0039】
満載検知レバー13は、回転軸13c周りに回動する。回転軸13cにはフォトセンサ14の光を遮光する為のフラグ部13dが設けられており、満載検知レバー13と一体的に回転軸13c周りに回動する。フォトセンサ14は不図示の発光部と発光部からの光を受光する受光部を備えたフォトインタラプタである。フォトセンサ14は、発光部から受光部へ向かう光がフラグ部13dによって遮られることで、フラグ部13dが発光部と受光部の間に位置したことを検知し信号を出力する。このため、積載面12上にシートSが積載されていくと、積載されたシートSが満載検知レバー13を上方に押し上げていき、同時にフラグ部13dも上方へ移動していく。そして、積載されたシートSが満載検知レバー13を押し上げて、予め定められたフォトセンサ14を遮光する位置までフラグ部13dが到達すると、受光部が発光部からの光を受光できなくなったことを検知し、フォトセンサ14は信号を出力する。
【0040】
図16は画像形成装置100における画像形成部の制御構成の概略を示す図である。この図に示すように、フォトセンサ14から出力された信号は、画像形成部による画像形成動作を制御する制御部50へ送られる。制御部50は、フォトセンサからの信号出力に基づいて積載面12上に積載されたシートSの量が予め定められた量に達したと判断し、画像形成部の画像形成動作を停止させる。
【0041】
次に、満載検知機構と操作部10の位置姿勢調節とを連動させる構成について説明する。
フォトセンサ14はフォトセンサ支持部材15に一体的に支持されていて、フォトセンサ支持部材15は、嵌合部15aが回転軸13cに嵌合することで、回転軸13c周りに回動可能になっている。フォトセンサ支持部材15には、リンク部材16に当接するボス15bが設けられている。
【0042】
一方、アーム11の扇形状のディスク部11aには、回転軸11cの半径方向に長い長穴11dにリンク部材16の一端に設けられた軸16aが回転可能に嵌合している(図7)。リンク部材16の他端には長穴16bが設けられ、装置本体100の軸121が摺動可能に嵌合している(図7)。また、リンク部材は不図示のガイドによってY方向に沿って移動可能に設けられている。このような構成によって、満載検知機構と操作部10の位置姿勢調節が連動するようになっている。
【0043】
次に操作部10を倒された状態から回動して起こしていく場合について具体的に説明する。
操作部10を図7(a)、図8(a)の状態から回転軸11cを中心に上方(R1方向)に回動して起こしていくとリンク部材16がY方向に移動していく。フォトセンサ支持部材15は、ボス15bがY方向に移動するリンク部材16により押し上げられ、回転軸13c周りで上方(R2方向)に向かって回動し、フォトセンサ14も上方(R2方向)に向かって回動する。
【0044】
このように、操作部10を倒した状態から起こしていくと、起こした角度に応じて、フォトセンサ14は上方に回動するので、フラグ部13dがフォトセンサ14を遮光可能な位置はより上方(R2方向)に移動する。このため、操作部10を起こしていく程、より多くのシートSを積載して満載検知レバー13を大きく回動させなければ、フラグ部13dでフォトセンサ14を遮光できなくなる。換言すれば、操作部10を起こしていく程、画像形成装置100で設定されるシートSの積載量の上限値は連続的に大きくなる構成となっている。
【0045】
次に、操作部10の設置角度により満載状態を検知されるまでのシート材Sの積載量が変化することについて具体的に説明する。図9は、画像形成装置を図1のX2方向から見た部分断面図であり、(a)は操作部10が倒された状態、(b)は操作部10が最も起こされた状態を示す。
【0046】
操作部10が倒された状態では、図7(a)、図9(a)に示すように、満載検知レバー13がシートSによって押し上げられていない状態(破線で示す初期状態)からa°上方(R2方向)に回転した所で、満載検知レバー13のフラグ部13dがフォトセンサ14を遮光することで、シート材Sの満載状態を検知し、画像形成動作が停止する。
【0047】
一方で操作部10が最も起こされた状態においては、図7(b)、図9(b)に示すように、満載検知レバー13がシートSによって押し上げられていない状態(破線で示す初期状態)からb°上方(R2方向)に回転した所で、満載検知レバー13のフラグ部13dがフォトセンサ14を遮光することで、シート材Sの満載状態を検知し、画像形成動作が停止する。
【0048】
従って、操作部10が倒された状態では積載面には高さ21aまで積載することが可能である。ここで高さ21aは、倒された状態の操作部10の下面と積載面12の鉛直方向における距離20aよりも小さく、排出されるシートSが操作部10に引っ掛かってジャムが発生することを抑えることができる。
【0049】
また、操作部10が最も起こされた状態では積載面には高さ21b(21b>21a)まで積載することが可能である。ここで、高さ21bは、最も起こされた状態の操作部10の下面と積載面12の鉛直方向における距離20b(20b>20a)よりも小さく、排出されるシートSが操作部10に引っ掛かってジャムが発生することを抑えることができる。
【0050】
このように、本実施形態では、倒された状態から操作部10を起こしていくことで、操作部10の下面と積載面12の鉛直方向における距離が、距離20aから距離20bへと大きくなり、積載面12にシートSを積載できる積載量が増加する構成になっている。そこで、本実施形態では、倒された状態から操作部10を起こしていくと、フォトセンサ14が上方に移動するので、フォトセンサ14を遮光するまでにフラグ部13dが移動しなければならない移動量が増加していく構成(満載検知レバー13の回動角の閾値として設定される値が大きくなる構成)としている。つまり、操作部10を起こしていくと、積載面12上に積載されるシートSの高さの上限値(満載状態であると検知される積載量)が高さ21aから高さ21bへと大きく変更される構成となっている。
【0051】
このため、どれだけ操作部10が起こされているか関わらず、満載状態であると検知されるシートSの積載量の上限値が、操作部10が倒された状態において操作部10と積載されたシートSが接触しないだけの値(21a)に常に設定されている場合と比較し、本実施形態では操作部10を起こしてく程、積載量の上限値が大きくなるので、より多くのシートSを積載することが可能である。
【0052】
なお、本実施形態ではフォトセンサ14を用いたが満載検知レバー13の位置を検知できれば他の検知手段を用いてもよい。また、本実施形態ではフォトセンサ14をリンク部材16によって移動させたが、操作部10を起こされるのに連動してフォトセンサ14を移動させるようなアクチュエータを設けてもよい。
【0053】
このように、本実施形態では操作部10を起こしていく程、積載面12により多くのシートSを積載することができ、より多くの積載量を確保することができる。
【0054】
〔第3実施形態〕
次に、第3実施形態について説明する。なお、第2実施形態と同様の部分に関しては同じ符号を付して説明は省略し、第2実施形態と異なる部分について説明する。
【0055】
本実施形態では、操作部10の回動角と、積載部12上に積載されたシートSが満載状態を検知する満載検知レバー13の回動角の閾値とが連動して変化する構成が第2実施形態と異なる。つまり、第2実施形態は操作部10を起こしていくに従ってフォトセンサ14が上方に移動する構成となっていた。これに対し、本実施形態では満載検知レバーと一体的なフラグ部13dの位置を変化させることで、シートSの満載状態を検知する満載検知レバー13の回動角の閾値を変化させる。
【0056】
図10は画像形成装置100の図1(a)のX1方向から見た部分断面図であり、(a)は操作部10が倒された状態、(b)は操作部10が起こされた状態である。図11は満載検知レバー13付近を図10のZ方向から見た図であり、(a)は操作部10が倒された状態、(b)は操作部10が起こされた状態である。
【0057】
本実施形態ではフォトセンサ14は装置本体に固定されている。アーム11の扇形状のディスク部11aには、リンク部材26の一端に設けられた軸26aが回転可能に嵌合している(図10)。リンク部材26の他端には長穴26bが設けられ、装置本体100の軸221が摺動可能に嵌合し、長穴26bの軸221の軸方向の位置をキンテイ224により決められている(図10)。また、リンク部材26の他端の回動軸13C方向(以後、軸方向と称す)の厚みは、図11の左方向にいくに連れて連続的に薄くなっていく。つまり厚みが厚い部分26cと薄い部分26dを備えている(図11)。満載検知レバー13、回転軸13c及びフラグ部13dの軸方向の位置は、圧縮バネ223により回転軸13cがリンク部材26に突き当てられることによって決まっている。
【0058】
次に操作部10を倒された状態から回動して起こしていく際のフラグ部13dの動きについて説明する。
操作部10が倒された状態(図10(a)、図11(a))では、フラグ部13dの軸方向の位置は、回転軸13cがリンク部材26の厚みが厚い部分26cに突き当てられることによって決まっている。この状態から回転軸11cを中心に上方(R1方向)に回動して起こしていくとディスク部11a及び軸221に支持されたリンク部材26が図右方向に移動していく。すると、リンク部材26の回転軸13cが突き当たっている部分の厚みが連続的薄くなっていく。そして、操作部10が最も起こされた状態(図10(b)、図11(b))では、フラグ部13dの軸方向の位置は、リンク部材26の厚みが薄い部分26dに突き当てられることによって決まる。
【0059】
次に、操作部10が倒された状態における満載検知レバー13による満載検知について説明する。図12は、操作部10が倒された状態における満載検知レバー13付近の装置内部の斜視図であり、(a)はフォトセンサ14が遮光されていない状態、(b)はフォトセンサ14が遮光された状態を示している。ここで、フラグ部13dには、軸方向における幅の短い第1遮光部13eと、幅の長い第2遮光部13fとが設けられている。また、第1遮光部13eの方が第2遮光部13dよりも上方(R2方向)に位置するように2つの遮光部が階段状に設けられている。
【0060】
操作部10が倒された状態では、フラグ部13dの軸方向の位置は、リンク部材26の厚みが厚い部分26cによって決まっている。このため、積載面12上に積載されるシートSにより満載検知レバー13が押し上げられていく(R2方向)と、第1遮光部13eによってフォトセンサ14が遮光され(図12(b))、満載状態が検知され、画像形成動作が停止する。
【0061】
次に、操作部10が最も起こされた状態における満載検知レバー13による満載検知について説明する。図13は、操作部10が最もおこされた状態における満載検知レバー13付近の装置内部の斜視図であり、(a)はフォトセンサ14が遮光されていない状態、(b)はフォトセンサ14が遮光された状態を示している。
【0062】
操作部10が最も起こされた状態では、フラグ部13dの軸方向の位置は、リンク部材26の厚みが薄い部分26dによって決まっている。このため、積載面12上に積載されるシートSにより満載検知レバー13が押し上げられていく(R2方向)と、第2遮光部13fによってフォトセンサ14が遮光され(図13(b))、満載状態が検知され、画像形成動作が停止する。なお、フラグ部の軸方向の位置がずれることで、第1遮光部eがフォトセンサ14に対して軸方向にずれるので、第1遮光部eがR2方向でフォトセンサ14に重なっても、第1遮光部eはフォトセンサ14を遮光できない。
【0063】
ここで、第1遮光部13eによってフォトセンサ14を遮光する場合と、第2遮光部13fによってフォトセンサ14を遮光する場合を比べると、前者の場合の方が満載検知レバー13を上方に回動する回動角が少なくてよい。つまり、満載状態を検知する積載量は操作部10が倒されている状態の方が少ないということになる。ここで、第1遮光部13eのR2方向の位置は、満載状態を検知される積載されたシートSの高さが、第1実施形態の高さ21aと同様になるように設定されている。このため、操作部10が倒された状態において排出されるシートSが操作部10に引っ掛かってジャムが発生することを抑えることができる。
【0064】
また、第2遮光部13fのR2方向の位置は、満載状態を検知される積載されたシートSの高さが、高さ21aよりも高く、且つ、高さ21bと同等又はそれ以下となるように設定されている。
【0065】
このため、どれだけ操作部10が起こされているか関わらず、満載状態であると検知されるシートSの積載量の上限値が、操作部10を倒された状態において操作部10と積載されたシートSが接触しないだけの値(21a)に常に設定されている場合と比較し、本実施形態では操作部10を起こすと、積載量の上限値が大きくなるので、より多くのシートSを積載可能にすることができる。
【0066】
このように、本実施形態では操作部10を起こしていくと、より多くの積載量を確保することができる。
【0067】
なお、本実施形態では第1遮光部13eと第2遮光部13fのように、軸方向に幅の異なる遮光部を階段状に設け、フラグ部13dの軸方向の位置を変えることで、フォトセンサ14の遮光タイミングを2段階にずらしている。しかし、遮光部はこの形状に限定される訳ではない。つまり、遮光部の段数をより増やしてもよい。また、R2方向に行くに連れて遮光部の軸方向に幅が連続的に広くなっていくようフラグ部13dの遮光部を構成してもよい。この場合は、操作部10を起こしていくと、積載面12上に積載されるシートSの上限値(満載状態であると検知される積載量)が連続的に大きくなっていく。こうすることで、操作部10を起こしていく程、より多くの積載量を確保可能になる。
【0068】
また、操作部10を起こしていくのに連動して、フラグ部13dの軸方向の位置を変えるようなアクチュエータを設けてもよい。
【0069】
このように本実施形態では、操作部10に連動してフラグ部13dを移動させることで、フラグ部13dが予め定められたフォトセンサ14を遮光する位置に到達するまでにフラグ部材が移動しなければならない移動量(回動量)が増加する構成となっているので、第1実施形態と同様に、操作部10を起こしていく程、積載面12により多くのシートSを積載することができ、より多くの積載量を確保することができる。
【符号の説明】
【0070】
S シート
10 操作部
11 アーム
11a アームのディスク部
11b アームの溝部
11c アームの回転中心
12 積載面/積載トレイ
13 満載検知レバー
20 積載面から操作部までの高さ
21 シートから操作部までの高さ
31 係合ピン
32 圧縮バネ
33 バネホルダ
100 本体
【技術分野】
【0001】
本発明は、角度及び高さが変更可能な操作部を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置にはユーザが装置を操作するためのボタンや装置の状態等を表示するディスプレイ等を備える操作部が装置本体外面に設けられている。
【0003】
このような従来の画像形成装置を図14(a)、(b)に示す。100は画像形成装置本体、10は操作部である。従来の画像形成装置では、輸送時や保管時の装置のサイズを小さく抑えつつ、ユーザの使い勝手に合わせて操作性や視認性を自由に変えることができるよう、操作部の角度及び高さを調整可能にした構成としている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−139880
【特許文献2】特開2003−231328
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、操作部は、ユーザビリティの観点からユーザが装置本体の上方や前方から操作し易い位置に設けられることが多い。また一方で、画像形成されたシートが排出され積載される積載面12も、同様にユーザビリティの観点から、ユーザが装置本体の上方や前方からアクセスし易い位置に設けられることが多い。このため、操作部と積載面とが近くに配置されることが多い。
【0006】
とりわけ近年では、例えば、外部メモリから読み込んだデータの印刷プレビューを表示する等、ディスプレイで表示する情報量が増加に伴ってディスプレイが大画面化している等の理由により、操作部が大型化されていく傾向にある。その一方で、装置本体は一層小型化される傾向にある。
【0007】
このため、操作部を配置する場所を確保しにくくなっている。図15に示すように、操作部を近くに配置された積載面上方のシートが積載される空間に入るように配置せざるを得ない場合がある。
【0008】
しかし、このように操作部を積載面上方のシートが積載される空間に入るように配置すると、積載面と操作部との鉛直方向の距離が制限される。このため、積載面上に積載可能なシートの枚数(積載量)が制限され、積載面上に積載可能なシートの量が減ってしまう。
【0009】
そこで本発明は、上記課題に鑑みて、操作部の少なくとも一部が、積載面上方のシートが積載される空間に位置するように配置された画像形成装置において、積載面に積載されるシートの積載量を確保可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、装置本体の上面に設けられ、画像が形成された記録材を積載する積載面と、装置本体の上面に設けられ、情報を表示する表示部を備える平板状の可動部と、を有し、鉛直方向で見て前記可動部の少なくとも一部が前記積載面に重なっている画像形成装置において、前記可動部は、前記可動部の平面部が前記装置本体の上面に沿った第1の位置と、前記第1の位置よりも鉛直方向における前記可動部と前記積載面との距離が離れた第2の位置との間を移動可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、操作部の少なくとも一部が、積載面上方のシートが積載される空間に位置するように配置された画像形成装置において、積載面に積載されるシートの積載量を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)操作部が倒れた状態の画像形成装置の斜視図。(b)操作部が起こされた状態の画像形成装置の斜視図。
【図2】(a)操作部が倒れた状態の画像形成装置の断面図。(b)操作部が起こされた状態の画像形成装置の断面図。
【図3】(a)操作部が倒れた状態の操作部付近の斜視図。(b)操作部が起こされた状態の操作部付近の斜視図。
【図4】操作部が起こされた状態の画像形成装置の部分断面図。
【図5】操作部が起こされた状態の画像形成装置の斜視図。
【図6】積載面にカールした記録材が排出されたときの画像形成装置の斜視図。
【図7】(a)操作部が倒された状態の画像形成装置の図1(a)のX1方向から見た部分断面図。(b)は操作部が起こされた状態の画像形成装置の図1(a)のX1方向から見た部分断面図。
【図8】(a)操作部が倒された状態の満載検知レバー付近の画像形成装置の斜視図。(b)操作部が起こされた状態の満載検知レバー付近の画像形成装置の斜視図。
【図9】(a)操作部が倒された状態の画像形成装置を図1のX2方向から見た部分断面図。(b)操作部が最も起こされた状態の画像形成装置を図1のX2方向から見た部分断面図。
【図10】(a)操作部が倒された状態の画像形成装置を図1(a)のX1方向から見た部分断面図。(b)操作部が起こされた状態の画像形成装置を図1(a)のX1方向から見た部分断面図。
【図11】(a)操作部が倒された状態の満載検知レバー付近を図10のZ方向から見た図。(b)操作部10が起こされた状態の満載検知レバー付近を図10のZ方向から見た図。
【図12】(a)操作部が倒された状態におけるフォトセンサが遮光されていない状態の満載検知レバー付近の装置内部の斜視図。(b)操作部が倒された状態におけるフォトセンサが遮光された状態の満載検知レバー付近の装置内部の斜視図。
【図13】(a)操作部が起こされた状態におけるフォトセンサが遮光されていない状態の満載検知レバー付近の装置内部の斜視図。(b)操作部が起こされた状態におけるフォトセンサが遮光された状態の満載検知レバー付近の装置内部の斜視図。
【図14】(a)従来の画像形成装置の斜視図。(b)従来の画像形成装置の斜視図。
【図15】操作部と積載面の配置を示す斜視図。
【図16】画像形成部の制御構成の概略を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔第1実施形態〕
(画像形成装置)
まず、図1を用いて本実施形態の画像形成装置について説明する。図1は画像形成装置の斜視図であり、(a)は操作部10が倒れた状態、(b)は操作部10が起こされた状態を示している。なお、操作部10については後述する。
【0014】
本実施形態の画像形成装置100は電子写真方式の画像形成装置である。画像形成装置100本体内には、画像形成部である不図示の感光ドラム、及び感光ドラムに作用するプロセス手段としての帯電器、スキャナユニット、現像器、転写ローラ、クリーナ、及び定着器が設けられている。
【0015】
記録材としてのシートへの画像形成は、感光ドラムを回転させながら、その表面を帯電器により帯電させ、帯電した感光ドラム表面をスキャナユニットで露光して潜像を形成し、現像器でその潜像をトナー像として可視化し、感光ドラム表面上にトナー像を形成する。次に、感光ドラム表面のトナー像を、転写ローラと感光ドラムの間の転写ニップ部に搬送されたシート上に転写し、そのシートを定着器へ搬送し定着ニップで加熱及び加圧することでシート上に定着画像を形成する。転写ニップ部でシートに転写されず感光ドラム表面に残ったトナーはクリーナによって清掃され感光ドラム表面から除去される。シート上に定着画像を形成されたシートは積載面12の上方から排出され、積載面12上に積載されていく。このようにシート上に画像を形成し積載面12上に排出することを画像形成動作と定義する。
【0016】
なお、上記では単色の画像形成について説明したが複数色の画像形成を行ってもよい。また、本実施形態の画像形成装置100は、電子写真方式の画像形成装置であるが、インクジェット方式やその他シート上に画像を形成するものであればよい。
【0017】
画像形成装置100の上面には、装置の情報等を表示する表示面Dとしてのディスプレイ、及び、ユーザが触れることにより装置を操作するためのタッチパネル(操作面)が平面部10aに設けられた平板状の操作部(可動部)10が設けられている。なお、本実施形態のタッチパネル(操作面)は表示面D上に設けられている。本実施形態の操作部10は、表示部としてのディスプレイを備えるものであるが、ディスプレイのみを備えるものや、ユーザが装置を操作するためのボタン又はスイッチのみを備えるものであってもよい。また、メモリーカード等の外部メモリを装着する装着部を備えていてもよい。
【0018】
また、画像形成装置100の上面には、シートSが積載される積載面12、積載面12に積載されたシートSの積載量に連動して回動可能に取り付けられたシートSの満載を検知する満載検知レバー13が設けられている。満載検知レバー13は、積載面12にシートSが積載されるシートSによって押し上げられて回動する構成となっている。そして、積載されたシートSの高さが所定の高さになる、即ち満載検知レバー13が所定角回動すると、満載状態であると判断され、画像形成動作が停止される。このように満載検知レバー13を設けその回動角が所定の閾値を超えることで、画像形成動作を停止するように構成し、積載面12に積載されるシートSの積載量の限界値を適宜設定して、ジャムの発生を抑えることができる。
【0019】
本実施形態では、本体100の外郭線内に操作部10を搭載しているが、画像形成装置本体100が小さいため、積載面12の上部に操作部10が掛かるように配置されている。つまり、操作部10は、鉛直方向から見て操作部10の少なくとも一部が積載面12に重なっており、積載面12の上方のシートSが積載される空間(記録材積載空間)に少なくとも一部が位置するように配置されている。
【0020】
このため、図1(a)に示すような操作部10が倒れている状態では、積載面12から操作部10の下面までの高さを稼ぐことができない。言い換えれば、この状態では操作部10と積載面12との鉛直方向における距離が短い。このため、積載面12上に積載されたシートSを取り除かれることなく連続して画像形成動作が行われると、積載面12上に積載されたシートSの積載量が増えて排出されるシートSが操作部10と接触してしまう。そして、ジャムや、既に積載されているシートを排出されるシートが押し出してしまう等の積載性の悪化を招く虞がある。
【0021】
(操作部の位置姿勢調整機構)
そこで、本実施形態の画像形成装置は、操作部10の角度や高さ(位置、姿勢)等を調節する操作部の調節機構を有している。次に、このような位置姿勢調節機構について説明する。図2(a)は、操作部が倒れた状態の画像形成装置の断面図、(b)は、操作部が起こされた状態の画像形成装置の断面図である。図3(a)は、操作部が倒れた状態の操作部付近の斜視図、(b)は、操作部が起こされた状態の操作部付近の斜視図である。なお図3では、調節機構をよく説明できるよう装置本体外装の一部を透けさせ装置外装の内部を記載している。
【0022】
この調整機構は、操作部10を、画像形成装置本体100と操作部10を連結するアーム(アーム部材)11で支持する構成となっている。アーム11は装置本体100側に設けられた回転中心(回動軸)11cを中心に回転可能に装置本体100に支持されており、操作部10の角度及び高さを変更することを可能にしている。
【0023】
操作部10を支持し、操作部10と本体100を連結するアーム11には、扇形状のディスク部11aが一体的に形成されている。そしてディスク部11aの円周方向(アーム11の回動軸11c周りの円周方向)に並んで配置された複数の溝部11bを有する。
【0024】
また、本体100側には溝部11bに係合するための係合ピン31、係合ピン31を回動軸11c方向に付勢する圧縮バネ32、係合ピン31及び圧縮バネ32を保持するバネホルダ33が設けられている。圧縮バネ32の復元力により係合ピン31は回動軸11c方向で溝部11bに係合するよう付勢されている。溝部11bに係合ピン31が係合した状態では、アーム11はその状態の姿勢で保持される。複数の溝部11bのなかで、係合ピン31が入る溝部11bを変えることで、アーム11を保持する角度及び高さを変更することができる。
【0025】
次に、この積載面12と操作部10との鉛直方向の距離の調節について説明する。図4は、操作部が起こされた状態の画像形成装置の部分断面図である。図5は、操作部が起こされた状態の画像形成装置の斜視図である。
【0026】
本実施形態では、上述した調節機構によって、操作部10を倒した状態(図2(a))から起こした状態(図2(b)、4、5)とすることで、鉛直方向において操作部10と積載面12との間の距離を広げることができる。従って、排出されるシートSと操作部10の間に充分な高さ21が得られ、排出されるシートSが操作部10に接触するのを避けることができる。
【0027】
このように、装置の輸送時や保管時等の装置を使用していない時は、アーム11を倒して(寝かせて)、操作部10の平面部10aを装置上面の外装面に沿わせて折り畳むことで、操作部10が装置外郭から凸になることを抑え、省スペース化を実現することができる(図1(a)、図2(a)参照)。装置の使用時には、操作部10が倒れた状態から、装置を使用する為にユーザが操作部10を起こしていくと、同時に鉛直方向における積載面12と操作部10との距離が広がっていく構成となっている。このため、装置の使用時には操作部10を起こした状態では積載面12と操作部10との間の鉛直方向の距離20を充分に確保することができる。また、アーム11を複数通りの角度で保持することができるので、ユーザは、操作部10の位置や姿勢をユーザの好みに合わせることができ、ユーザの操作性や視認性を満足することができる。
【0028】
本実施形態においては、上述したように、操作部10は平面部10aが装置本体の上面に沿った第1の位置(寝かせた状態)と、第1の位置よりも、鉛直方向における操作部10と積載面12との距離20が離れた第2の位置(起こした状態)との間を移動可能としている。そして装置の使用時にユーザが操作部10を起こす(第2の位置に配置する)ことで、操作部10を鉛直方向に積載面12から離すことができる。このため、排出されるシートの積載性を悪化しないようにすることができる。
【0029】
また、ユーザによる画像形成装置100の一般的な使用形態として、机の上に画像形成装置100を設置する形態が考えられる。このような形態において、装置の上面に操作部10が配置されている場合に、ユーザにとって表示面Dの視認性が良い、表示面Dの角度は、操作部10を倒した状態の表示面Dの角度を0°(水平)とすると、60°〜80°である。
【0030】
ここで、画像形成装置100を使用する際、ユーザが操作性又は視認性が良い角度になるよう、操作部10を起こしていく(表示面Dの角度を0°から90°に向かって増やしていく)と、積載面12と操作部10との間の鉛直方向の距離20が広がる。このように構成することで、ユーザが視認性の良い角度まで操作部10を起こすという動作を利用して積載面12と操作部10との間の鉛直方向の距離20を稼ぐことができ、ユーザビリティが良好となる。
【0031】
次に、操作部10の積載面12における搬送ガイドとしての機能及びカール矯正方法について説明する。図6は積載面12にカールしたシートSが排出されたときの画像形成装置の斜視図を示す。操作部10は積載面12の上部に位置しているため、その設置角度及び高さによっては積載面12に排出されるシートSの搬送ガイドとして機能する。例えば図6に示すように、端部のカールしたシートSが排出される際には、シートSのカールした端部が操作部10の下部にならって搬送されることで、安定した搬送をアシストすることができる。図14に示すような従来構成においては、積載面12上での搬送ガイドがないため、排出されるシートSの搬送をアシストすることができず、シートSは積載面12上の自由な位置に積載される。これに対して、図6に示す本発明の構成においては、操作部10が排出されるシートSの搬送をガイドすることにより、積載面12上でのシートの整列性が良化する。シートSの搬送方向に対して操作部10の角度を寝かせる程、シートSが操作部10に引っかかりにくく搬送のアシストをすることができる。
【0032】
さらに、操作部10はその設置角度及び高さによっては積載面12に積載されたシートSのカールを矯正する機能も併せ持っている。定着部(不図示)にて加熱されたシートSが積載面12上で冷却されカールする際、上部に設置された操作部10にてシートSの端部を上部から抑えることによりカールの成長を抑制することができる。図14に示すような従来構成においては、積載面12上でのシート抑え部材がないため、シートSの冷却に伴いシート端部のカールが成長してしまう。これに対して、図6に示す本発明の構成においては、操作部10が排出されるシートSの上部を抑えることにより、シートSのカールを抑制・矯正することができる。尚、カールしたシートSが操作部10に接触する際には、シートSの端部のみが操作部10と接触し、シート端部以外はシートSと操作部10の高さ21が確保される。このため、排出されるシートSが操作部10に引っかかって積載性が悪化することはなく、薄紙や放置紙等、カールしやすいシートの搬送性や積載性を改善する一助となる。
【0033】
このように本実施形態では、操作部は装置本体に対して移動可能で、操作部を移動することによって、操作部と積載面との鉛直方向における距離を変更可能にしたことにより、操作部の少なくとも一部が、積載面上方のシートが積載される空間に位置するように配置された画像形成装置において、積載面上に積載されるシートの積載量を確保することができる。
【0034】
また、本実施形態では、操作部の表面が倒れた状態から操作部の表面を起こしていくと、操作部と積載面との鉛直方向における距離が長くなるよう構成してある。このため、ユーザが装置を使用するために操作部を起こす動作を利用して、操作部と積載面との鉛直方向における距離を長くすることができ、ユーザビリティを良好にすることができる。
【0035】
〔第2実施形態〕
次に第2実施形態について説明する。なお第1実施形態と同様の部分については同様の符号を付し、説明を省略する。
【0036】
(操作部10の位置姿勢調節と満載検知の連動)
次に、本実施形態の最も特徴的な構成である、操作部10の回動角と積載部12上に積載されたシートSの満載状態を検知する満載検知レバー13の回動角の閾値とが連動して変化する構成について説明する。
【0037】
図7は画像形成装置100の図1(a)のX1方向から見た部分断面図であり、(a)は操作部10が倒された状態、(b)は操作部10が起こされた状態である。図8は満載検知レバー13付近の装置の斜視図であり、(a)は操作部10が倒された状態、(b)は操作部10が起こされた状態である。なお、図8において、便宜上一部装置の外装を省略して装置の内部を示している。
【0038】
まず本実施形態の満載検知手段としての満載検知機構について説明する。
【0039】
満載検知レバー13は、回転軸13c周りに回動する。回転軸13cにはフォトセンサ14の光を遮光する為のフラグ部13dが設けられており、満載検知レバー13と一体的に回転軸13c周りに回動する。フォトセンサ14は不図示の発光部と発光部からの光を受光する受光部を備えたフォトインタラプタである。フォトセンサ14は、発光部から受光部へ向かう光がフラグ部13dによって遮られることで、フラグ部13dが発光部と受光部の間に位置したことを検知し信号を出力する。このため、積載面12上にシートSが積載されていくと、積載されたシートSが満載検知レバー13を上方に押し上げていき、同時にフラグ部13dも上方へ移動していく。そして、積載されたシートSが満載検知レバー13を押し上げて、予め定められたフォトセンサ14を遮光する位置までフラグ部13dが到達すると、受光部が発光部からの光を受光できなくなったことを検知し、フォトセンサ14は信号を出力する。
【0040】
図16は画像形成装置100における画像形成部の制御構成の概略を示す図である。この図に示すように、フォトセンサ14から出力された信号は、画像形成部による画像形成動作を制御する制御部50へ送られる。制御部50は、フォトセンサからの信号出力に基づいて積載面12上に積載されたシートSの量が予め定められた量に達したと判断し、画像形成部の画像形成動作を停止させる。
【0041】
次に、満載検知機構と操作部10の位置姿勢調節とを連動させる構成について説明する。
フォトセンサ14はフォトセンサ支持部材15に一体的に支持されていて、フォトセンサ支持部材15は、嵌合部15aが回転軸13cに嵌合することで、回転軸13c周りに回動可能になっている。フォトセンサ支持部材15には、リンク部材16に当接するボス15bが設けられている。
【0042】
一方、アーム11の扇形状のディスク部11aには、回転軸11cの半径方向に長い長穴11dにリンク部材16の一端に設けられた軸16aが回転可能に嵌合している(図7)。リンク部材16の他端には長穴16bが設けられ、装置本体100の軸121が摺動可能に嵌合している(図7)。また、リンク部材は不図示のガイドによってY方向に沿って移動可能に設けられている。このような構成によって、満載検知機構と操作部10の位置姿勢調節が連動するようになっている。
【0043】
次に操作部10を倒された状態から回動して起こしていく場合について具体的に説明する。
操作部10を図7(a)、図8(a)の状態から回転軸11cを中心に上方(R1方向)に回動して起こしていくとリンク部材16がY方向に移動していく。フォトセンサ支持部材15は、ボス15bがY方向に移動するリンク部材16により押し上げられ、回転軸13c周りで上方(R2方向)に向かって回動し、フォトセンサ14も上方(R2方向)に向かって回動する。
【0044】
このように、操作部10を倒した状態から起こしていくと、起こした角度に応じて、フォトセンサ14は上方に回動するので、フラグ部13dがフォトセンサ14を遮光可能な位置はより上方(R2方向)に移動する。このため、操作部10を起こしていく程、より多くのシートSを積載して満載検知レバー13を大きく回動させなければ、フラグ部13dでフォトセンサ14を遮光できなくなる。換言すれば、操作部10を起こしていく程、画像形成装置100で設定されるシートSの積載量の上限値は連続的に大きくなる構成となっている。
【0045】
次に、操作部10の設置角度により満載状態を検知されるまでのシート材Sの積載量が変化することについて具体的に説明する。図9は、画像形成装置を図1のX2方向から見た部分断面図であり、(a)は操作部10が倒された状態、(b)は操作部10が最も起こされた状態を示す。
【0046】
操作部10が倒された状態では、図7(a)、図9(a)に示すように、満載検知レバー13がシートSによって押し上げられていない状態(破線で示す初期状態)からa°上方(R2方向)に回転した所で、満載検知レバー13のフラグ部13dがフォトセンサ14を遮光することで、シート材Sの満載状態を検知し、画像形成動作が停止する。
【0047】
一方で操作部10が最も起こされた状態においては、図7(b)、図9(b)に示すように、満載検知レバー13がシートSによって押し上げられていない状態(破線で示す初期状態)からb°上方(R2方向)に回転した所で、満載検知レバー13のフラグ部13dがフォトセンサ14を遮光することで、シート材Sの満載状態を検知し、画像形成動作が停止する。
【0048】
従って、操作部10が倒された状態では積載面には高さ21aまで積載することが可能である。ここで高さ21aは、倒された状態の操作部10の下面と積載面12の鉛直方向における距離20aよりも小さく、排出されるシートSが操作部10に引っ掛かってジャムが発生することを抑えることができる。
【0049】
また、操作部10が最も起こされた状態では積載面には高さ21b(21b>21a)まで積載することが可能である。ここで、高さ21bは、最も起こされた状態の操作部10の下面と積載面12の鉛直方向における距離20b(20b>20a)よりも小さく、排出されるシートSが操作部10に引っ掛かってジャムが発生することを抑えることができる。
【0050】
このように、本実施形態では、倒された状態から操作部10を起こしていくことで、操作部10の下面と積載面12の鉛直方向における距離が、距離20aから距離20bへと大きくなり、積載面12にシートSを積載できる積載量が増加する構成になっている。そこで、本実施形態では、倒された状態から操作部10を起こしていくと、フォトセンサ14が上方に移動するので、フォトセンサ14を遮光するまでにフラグ部13dが移動しなければならない移動量が増加していく構成(満載検知レバー13の回動角の閾値として設定される値が大きくなる構成)としている。つまり、操作部10を起こしていくと、積載面12上に積載されるシートSの高さの上限値(満載状態であると検知される積載量)が高さ21aから高さ21bへと大きく変更される構成となっている。
【0051】
このため、どれだけ操作部10が起こされているか関わらず、満載状態であると検知されるシートSの積載量の上限値が、操作部10が倒された状態において操作部10と積載されたシートSが接触しないだけの値(21a)に常に設定されている場合と比較し、本実施形態では操作部10を起こしてく程、積載量の上限値が大きくなるので、より多くのシートSを積載することが可能である。
【0052】
なお、本実施形態ではフォトセンサ14を用いたが満載検知レバー13の位置を検知できれば他の検知手段を用いてもよい。また、本実施形態ではフォトセンサ14をリンク部材16によって移動させたが、操作部10を起こされるのに連動してフォトセンサ14を移動させるようなアクチュエータを設けてもよい。
【0053】
このように、本実施形態では操作部10を起こしていく程、積載面12により多くのシートSを積載することができ、より多くの積載量を確保することができる。
【0054】
〔第3実施形態〕
次に、第3実施形態について説明する。なお、第2実施形態と同様の部分に関しては同じ符号を付して説明は省略し、第2実施形態と異なる部分について説明する。
【0055】
本実施形態では、操作部10の回動角と、積載部12上に積載されたシートSが満載状態を検知する満載検知レバー13の回動角の閾値とが連動して変化する構成が第2実施形態と異なる。つまり、第2実施形態は操作部10を起こしていくに従ってフォトセンサ14が上方に移動する構成となっていた。これに対し、本実施形態では満載検知レバーと一体的なフラグ部13dの位置を変化させることで、シートSの満載状態を検知する満載検知レバー13の回動角の閾値を変化させる。
【0056】
図10は画像形成装置100の図1(a)のX1方向から見た部分断面図であり、(a)は操作部10が倒された状態、(b)は操作部10が起こされた状態である。図11は満載検知レバー13付近を図10のZ方向から見た図であり、(a)は操作部10が倒された状態、(b)は操作部10が起こされた状態である。
【0057】
本実施形態ではフォトセンサ14は装置本体に固定されている。アーム11の扇形状のディスク部11aには、リンク部材26の一端に設けられた軸26aが回転可能に嵌合している(図10)。リンク部材26の他端には長穴26bが設けられ、装置本体100の軸221が摺動可能に嵌合し、長穴26bの軸221の軸方向の位置をキンテイ224により決められている(図10)。また、リンク部材26の他端の回動軸13C方向(以後、軸方向と称す)の厚みは、図11の左方向にいくに連れて連続的に薄くなっていく。つまり厚みが厚い部分26cと薄い部分26dを備えている(図11)。満載検知レバー13、回転軸13c及びフラグ部13dの軸方向の位置は、圧縮バネ223により回転軸13cがリンク部材26に突き当てられることによって決まっている。
【0058】
次に操作部10を倒された状態から回動して起こしていく際のフラグ部13dの動きについて説明する。
操作部10が倒された状態(図10(a)、図11(a))では、フラグ部13dの軸方向の位置は、回転軸13cがリンク部材26の厚みが厚い部分26cに突き当てられることによって決まっている。この状態から回転軸11cを中心に上方(R1方向)に回動して起こしていくとディスク部11a及び軸221に支持されたリンク部材26が図右方向に移動していく。すると、リンク部材26の回転軸13cが突き当たっている部分の厚みが連続的薄くなっていく。そして、操作部10が最も起こされた状態(図10(b)、図11(b))では、フラグ部13dの軸方向の位置は、リンク部材26の厚みが薄い部分26dに突き当てられることによって決まる。
【0059】
次に、操作部10が倒された状態における満載検知レバー13による満載検知について説明する。図12は、操作部10が倒された状態における満載検知レバー13付近の装置内部の斜視図であり、(a)はフォトセンサ14が遮光されていない状態、(b)はフォトセンサ14が遮光された状態を示している。ここで、フラグ部13dには、軸方向における幅の短い第1遮光部13eと、幅の長い第2遮光部13fとが設けられている。また、第1遮光部13eの方が第2遮光部13dよりも上方(R2方向)に位置するように2つの遮光部が階段状に設けられている。
【0060】
操作部10が倒された状態では、フラグ部13dの軸方向の位置は、リンク部材26の厚みが厚い部分26cによって決まっている。このため、積載面12上に積載されるシートSにより満載検知レバー13が押し上げられていく(R2方向)と、第1遮光部13eによってフォトセンサ14が遮光され(図12(b))、満載状態が検知され、画像形成動作が停止する。
【0061】
次に、操作部10が最も起こされた状態における満載検知レバー13による満載検知について説明する。図13は、操作部10が最もおこされた状態における満載検知レバー13付近の装置内部の斜視図であり、(a)はフォトセンサ14が遮光されていない状態、(b)はフォトセンサ14が遮光された状態を示している。
【0062】
操作部10が最も起こされた状態では、フラグ部13dの軸方向の位置は、リンク部材26の厚みが薄い部分26dによって決まっている。このため、積載面12上に積載されるシートSにより満載検知レバー13が押し上げられていく(R2方向)と、第2遮光部13fによってフォトセンサ14が遮光され(図13(b))、満載状態が検知され、画像形成動作が停止する。なお、フラグ部の軸方向の位置がずれることで、第1遮光部eがフォトセンサ14に対して軸方向にずれるので、第1遮光部eがR2方向でフォトセンサ14に重なっても、第1遮光部eはフォトセンサ14を遮光できない。
【0063】
ここで、第1遮光部13eによってフォトセンサ14を遮光する場合と、第2遮光部13fによってフォトセンサ14を遮光する場合を比べると、前者の場合の方が満載検知レバー13を上方に回動する回動角が少なくてよい。つまり、満載状態を検知する積載量は操作部10が倒されている状態の方が少ないということになる。ここで、第1遮光部13eのR2方向の位置は、満載状態を検知される積載されたシートSの高さが、第1実施形態の高さ21aと同様になるように設定されている。このため、操作部10が倒された状態において排出されるシートSが操作部10に引っ掛かってジャムが発生することを抑えることができる。
【0064】
また、第2遮光部13fのR2方向の位置は、満載状態を検知される積載されたシートSの高さが、高さ21aよりも高く、且つ、高さ21bと同等又はそれ以下となるように設定されている。
【0065】
このため、どれだけ操作部10が起こされているか関わらず、満載状態であると検知されるシートSの積載量の上限値が、操作部10を倒された状態において操作部10と積載されたシートSが接触しないだけの値(21a)に常に設定されている場合と比較し、本実施形態では操作部10を起こすと、積載量の上限値が大きくなるので、より多くのシートSを積載可能にすることができる。
【0066】
このように、本実施形態では操作部10を起こしていくと、より多くの積載量を確保することができる。
【0067】
なお、本実施形態では第1遮光部13eと第2遮光部13fのように、軸方向に幅の異なる遮光部を階段状に設け、フラグ部13dの軸方向の位置を変えることで、フォトセンサ14の遮光タイミングを2段階にずらしている。しかし、遮光部はこの形状に限定される訳ではない。つまり、遮光部の段数をより増やしてもよい。また、R2方向に行くに連れて遮光部の軸方向に幅が連続的に広くなっていくようフラグ部13dの遮光部を構成してもよい。この場合は、操作部10を起こしていくと、積載面12上に積載されるシートSの上限値(満載状態であると検知される積載量)が連続的に大きくなっていく。こうすることで、操作部10を起こしていく程、より多くの積載量を確保可能になる。
【0068】
また、操作部10を起こしていくのに連動して、フラグ部13dの軸方向の位置を変えるようなアクチュエータを設けてもよい。
【0069】
このように本実施形態では、操作部10に連動してフラグ部13dを移動させることで、フラグ部13dが予め定められたフォトセンサ14を遮光する位置に到達するまでにフラグ部材が移動しなければならない移動量(回動量)が増加する構成となっているので、第1実施形態と同様に、操作部10を起こしていく程、積載面12により多くのシートSを積載することができ、より多くの積載量を確保することができる。
【符号の説明】
【0070】
S シート
10 操作部
11 アーム
11a アームのディスク部
11b アームの溝部
11c アームの回転中心
12 積載面/積載トレイ
13 満載検知レバー
20 積載面から操作部までの高さ
21 シートから操作部までの高さ
31 係合ピン
32 圧縮バネ
33 バネホルダ
100 本体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の上面に設けられ、画像が形成された記録材を積載する積載面と、
装置本体の上面に設けられ、情報を表示する表示部を備える平板状の可動部と、
を有し、鉛直方向で見て前記可動部の少なくとも一部が前記積載面に重なっている画像形成装置において、
前記可動部は、前記可動部の平面部が前記装置本体の上面に沿った第1の位置と、前記第1の位置よりも鉛直方向における前記可動部と前記積載面との距離が離れた第2の位置との間を移動可能である。
【請求項2】
前記可動部は装置本体に対して回動することで前記第1の位置と前記第2の位置との間を移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記可動部が前記第1の位置にある状態から、前記表示面の水平方向に対する角度が増えるように前記可動部を回動することにより前記第2の位置にある状態となることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
積載面に積載された記録材の量が予め定められた量に達したことを検知する検知手段と、 前記検知手段からの出力に基づいて画像形成動作を停止させる制御部と、を有し、
前記予め定められた量が前記可動部の移動に連動して変更されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像が形成された記録材を積載する積載面と、
情報を表示する表示面を備える可動部と、
積載面に積載された記録材の量が予め定められた量に達したことを検知する検知手段と、
前記検知手段からの出力に基づいて画像形成動作を停止させる制御部と、
を有し、鉛直方向で見て前記可動部の少なくとも一部が前記積載面に重なっている画像形成装置において、
前記可動部は鉛直方向における前記可動部と前記積載面との距離を変更するよう移動可能であり、前記予め定められた量が前記可動部の移動に連動して変更されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記可動部にはユーザが操作する操作部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
装置本体の上面に設けられ、画像が形成された記録材を積載する積載面と、
装置本体の上面に設けられ、情報を表示する表示部を備える平板状の可動部と、
を有し、鉛直方向で見て前記可動部の少なくとも一部が前記積載面に重なっている画像形成装置において、
前記可動部は、前記可動部の平面部が前記装置本体の上面に沿った第1の位置と、前記第1の位置よりも鉛直方向における前記可動部と前記積載面との距離が離れた第2の位置との間を移動可能である。
【請求項2】
前記可動部は装置本体に対して回動することで前記第1の位置と前記第2の位置との間を移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記可動部が前記第1の位置にある状態から、前記表示面の水平方向に対する角度が増えるように前記可動部を回動することにより前記第2の位置にある状態となることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
積載面に積載された記録材の量が予め定められた量に達したことを検知する検知手段と、 前記検知手段からの出力に基づいて画像形成動作を停止させる制御部と、を有し、
前記予め定められた量が前記可動部の移動に連動して変更されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像が形成された記録材を積載する積載面と、
情報を表示する表示面を備える可動部と、
積載面に積載された記録材の量が予め定められた量に達したことを検知する検知手段と、
前記検知手段からの出力に基づいて画像形成動作を停止させる制御部と、
を有し、鉛直方向で見て前記可動部の少なくとも一部が前記積載面に重なっている画像形成装置において、
前記可動部は鉛直方向における前記可動部と前記積載面との距離を変更するよう移動可能であり、前記予め定められた量が前記可動部の移動に連動して変更されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記可動部にはユーザが操作する操作部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−139997(P2012−139997A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−264880(P2011−264880)
【出願日】平成23年12月2日(2011.12.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月2日(2011.12.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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