説明

画像形成装置

【課題】紙粉の装置内への飛散を防止して、画像形成不良の発生を抑制することができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】
紙粉取り装置7を備えるカラーレーザプリンタにおいて、紙粉取り装置7が、紙粉取りローラ36と、紙粉取りローラ36に接触して、紙粉取りローラ36により捕捉された紙粉を掻き取るための掻取ブレード48と、紙粉取りローラ36と掻取ブレード48との接触点よりも掻取ブレード48側に、紙粉を貯留するための紙粉貯留部61と、紙粉よりも相対的に帯電列が負帯電傾向にある第1上カバー37a、下カバー38および負帯電樹脂51とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーレーザプリンタなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置において、給紙トレイから用紙搬送経路を通過して給紙される用紙には、通常、紙粉が付着しているので、良好な画像の形成を確保すべく、用紙上の紙粉を捕捉するための紙粉取り装置を備える画像形成装置が知られている。
【0003】
このような画像形成装置としては、例えば、感光体ドラムに向けて搬送される用紙と接触するPSローラに先端が当接する除去位置とPSローラから先端が離反する回収位置とにわたって回動可能なスクレーパーと、スクレーパーの離反位置に設けられ、スクレーパーによって除去された紙粉を回収する紙粉回収箱とを備えた紙粉採取機構を搭載したレーザープリンタが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
そして、このようなレーザープリンタでは、用紙上からPSローラによって捕捉され、PSローラの表面に付着する紙粉を、PSローラにスクレーパーを押し付けて掻き取った後、紙粉回収箱に収容する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−197316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のレーザープリンタでは、PSローラから掻き取った紙粉が、空中に舞ったり、紙粉回収箱へ移動せずスクレーパー上に溜まったりしてしまう場合がある。このように紙粉が、スクレーパー上に舞ったり、滞留したりしてしまうと、本来紙粉回収箱に収容されるはずの紙粉が逆流し、用紙搬送経路に飛散してしまう場合がある。そのため、飛散した紙粉が装置内の画像形成部を汚染し、それに起因する画像形成不良が生じる場合がある。
【0007】
そこで、本発明は、紙粉の装置内への飛散を防止して、画像形成不良の発生を抑制することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、画像形成に供される記録媒体上の紙粉を除去するための紙粉取り装置を備える画像形成装置において、紙粉取り装置は、前記記録媒体に接触して、前記記録媒体上の紙粉を捕捉するための紙粉取りローラと、前記紙粉取りローラと隣接配置され、前記紙粉取りローラに接触して前記紙粉取りローラにより捕捉された紙粉を掻き取るための掻取部材と、前記紙粉取りローラと前記掻取部材との接触点よりも前記掻取部材側に配置され、前記掻取部材によって掻き取られた紙粉を貯留するための紙粉貯留部と、前記紙粉取りローラと前記掻取部材との接触点よりも前記掻取部材側に配置され、前記紙粉よりも相対的に帯電列が負帯電傾向にある負帯電部材とを備え、前記負帯電部材によって紙粉を前記紙粉貯留部へ誘導することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の画像形成装置では、紙粉取りローラと掻取部材との接触点よりも掻取部材側に、紙粉を貯留するための紙粉貯留部、および、紙粉よりも相対的に帯電列が負帯電傾向にある負帯電部材を備えている。
【0010】
そのため、掻取部材によって掻き取られた紙粉は、負帯電部材によって、紙粉取りローラと掻取部材との接触点よりも掻取部材側に電気的に誘導され、紙粉貯留部に貯留される。
【0011】
したがって、掻き取られた紙粉が舞ったり、掻取部材上に滞留したりして、用紙搬送経路へ逆流することを防止することができる。これにより、画像形成不良の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態としてのカラーレーザプリンタを示す中央断面図である。
【図2】図1に示すカラーレーザプリンタにおける紙粉取り装置の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.カラーレーザプリンタの全体構成
図1に示すように、請求項に記載の「画像形成装置」の一例としてのカラーレーザプリンタ1は、横置きタイプのダイレクトタンデム型カラーレーザプリンタである。カラーレーザプリンタ1は、本体ケーシング2内に、請求項に記載の「記録媒体」の一例としての用紙Pを給紙するための給紙部3と、給紙された用紙Pに画像を形成するための画像形成部4とを備えている。
(1)本体ケーシング
本体ケーシング2は、給紙部3および画像形成部4を収容する断面略矩形状のボックス状に形成されており、その一方側壁には、後述するプロセスユニット9を着脱させるためのフロントカバー5が形成されている。フロントカバー5は、本体ケーシング2に対して下端部を支点として揺動(移動)可能に設けられている。
【0014】
なお、以下の説明において、フロントカバー5が設けられる側(図1における紙面左側)を前側とし、その反対側(図1における紙面右側)を後側とする。また、カラーレーザプリンタ1を前側から見たときを左右の基準とする。すなわち、図1の紙面手前側が右側であり、紙面奥側が左側である。
(2)給紙部
給紙部3は、用紙Pを収容する給紙トレイ6と、給紙ローラ65と、用紙搬送路28とを備えている。
【0015】
給紙トレイ6は、本体ケーシング2内の底部に配置され、本体ケーシング2に対して前後方向に着脱自在に設けられている。
【0016】
また、給紙トレイ6は、その内部に押圧板66を備えている。
【0017】
押圧板66は、給紙トレイ6に対して後端部を支点として、その前端部が上下方向に揺動(移動)可能に設けられている。
【0018】
また、押圧板66は、その上面に用紙Pを積層状にスタック可能としており、その下面は、図示しないばねによって、上方向に付勢されている。
【0019】
そのため、押圧部66は、用紙Pの積層量が増えるに従って、後端部を支点として、ばねの付勢力に抗して下向きに回動する。
【0020】
給紙ローラ65は、給紙トレイ6の前端部上側に設けられている。
【0021】
用紙搬送路28は、給紙トレイ6の前端部上方に配置されており、用紙搬送路28には、分離ローラ67と、分離パッド68と、一対の搬送ローラ31aおよび31bと、レジストローラ35とが設けられている。
【0022】
分離ローラ67および分離パッド68は、給紙ローラ65の前側において、互いに対向するように配設されている。
【0023】
分離パッド68は、その下側に配設されるばね(図示せず)によって、分離パッド68の上面である摩擦分離面が分離ローラ67に向かって押圧されている。
【0024】
一対の搬送ローラ31aおよび31bは、分離ローラ67および分離パッド68の前側上側に配設されている。
【0025】
レジストローラ35は、給紙トレイ6の前端部上方において、後述する紙粉取り装置7が備える紙粉取りローラ36の後下側の外周面と、レジストローラ35の前上側の外周面とが圧接するように、紙粉取りローラ36(後述)に対向配置されている。
【0026】
そして、用紙搬送路28は、その上流側端部が分離ローラ67および分離パッド68に隣接され、その下流側端部が紙粉取りローラ36(後述)およびレジストローラ35に隣接しており、上流側端部から下流側端部に向けて断面略U字状に形成されている。
【0027】
給紙トレイ6に収容されている用紙Pのうち、押圧板66上の最上位にある用紙Pは、給紙ローラ65に向かって搬送され、分離ローラ67および分離パッド68によって1枚毎に給紙される。給紙された用紙Pは搬送ローラ31によって、用紙搬送路28を通過して、紙粉取りローラ36(後述)とレジストローラ35との間に搬送される。なお、紙粉取りローラ36(後述)およびレジストローラ35は、所定のタイミングで、紙粉を除去しつつ画像形成部4(感光ドラム14(後述)と搬送ベルト22(後述)との間)に向けて用紙Pを搬送する。
(3)画像形成部
画像形成部4は、スキャナユニット8、プロセスユニット9、転写ユニット10、および定着ユニット11を備えている。
(3−1)スキャナユニット
スキャナユニット8は、本体ケーシング2の上部に配置されている。スキャナユニット8は、破線で示すように、4つの感光ドラム14(後述)に向けて、画像データに基づいて、レーザービームをそれぞれ出射し、感光ドラム14(後述)を露光する。
(3−2)プロセスユニット
(3−2−1)プロセスユニットの構成
プロセスユニット9は、スキャナユニット8の下側であって、転写ユニット10の上側に配置されており、感光ドラム14、スコロトロン型帯電器15およびドラムクリーニングローラ16を支持する略ボックス形状の感光ドラム支持体12と、各色に対応する4つの現像カートリッジ13とを備えている。また、感光ドラム支持体12は、一体として前後方向にスライド可能であり、着脱自在に設けられている。
【0028】
感光ドラム14は、左右方向に沿うように、前後方向に間隔を隔てて、4つ並列配置されている。具体的には、前側から後側に向かって、ブラック感光ドラム14K、イエロー感光ドラム14Y、マゼンタ感光ドラム14Mおよびシアン感光ドラム14Cが、順次配置されている。
【0029】
スコロトロン型帯電器15は、感光ドラム14の斜め後側上側に、感光ドラム14と間隔を隔てて対向配置されている。
【0030】
ドラムクリーニングローラ16は、感光ドラム14の後側において、感光ドラム14と対向して接触するように配置されている。
【0031】
各現像カートリッジ13は、各感光ドラム14に対応するように、感光ドラム14の上側において、感光ドラム支持体12に着脱自在に支持されている。具体的には、前側から後側に向かって、ブラック現像カートリッジ13K、イエロー現像カートリッジ13Y、マゼンタ現像カートリッジ13Mおよびシアン現像カートリッジ13Cが、順次配置されている。また、各現像カートリッジ13は、それぞれ現像ローラ17を備えている。
【0032】
現像ローラ17は、現像カートリッジ13の下端において、後側から露出されるように回転可能に支持されており、感光ドラム14に対して上側から対向し接触されている。
【0033】
なお、現像カートリッジ13は、現像ローラ17にトナーを供給する供給ローラ18、現像ローラ17に供給されたトナーの厚みを規制する層厚規制ブレード19を備えている。また、各現像カートリッジ13には、供給ローラ18の上側の空間において、各色に対応するトナーが収容されている。
(3−2−2)プロセスユニットでの現像動作
現像カートリッジ13内のトナーは、供給ローラ18に供給され、さらに、現像ローラ17に供給され、供給ローラ18と現像ローラ17との間で正極性に摩擦帯電される。
【0034】
現像ローラ17に供給されたトナーは、現像ローラ17の回転に伴って、層厚規制ブレード19によって厚さが規制され、一定厚さの薄層として現像ローラ17の表面に担持される。
【0035】
一方、感光ドラム14の表面は、感光ドラム14の回転に伴って、スコロトロン型帯電器15により一様に正帯電された後、スキャナユニット8からのレーザービーム(図1破線参照。)の高速走査により露光される。これにより、用紙Pに形成すべき画像に対応した静電潜像が感光ドラム14の表面に形成される。
【0036】
感光ドラム14がさらに回転すると、現像ローラ17の表面に担持され、かつ、正帯電されているトナーが、感光ドラム14の表面に形成されている静電潜像に供給される。これにより、感光ドラム14の静電潜像は可視像化され、感光ドラム14の表面には、反転現像によるトナー像が担持される。
(3−3)転写ユニット
転写ユニット10は、本体ケーシング2内において、給紙部3の上側であって、プロセスユニット9の下側において、前後方向に沿って配置されている。この転写ユニット10は、ベルト駆動ローラ20、従動ローラ21、搬送ベルト22、および4つの転写ローラ23を備えている。
【0037】
ベルト駆動ローラ20および従動ローラ21は、前後方向に間隔を隔てて対向配置されている。
【0038】
搬送ベルト22は、各感光ドラム14に対して上下方向に対向し、その上側部分が各感光ドラム14と接触するように、ベルト駆動ローラ20および従動ローラ21の回りに巻回されている。また、搬送ベルト22は、ベルト駆動ローラ20の駆動により、各感光ドラム14と接触する搬送ベルト22の上側部分が前側から後側に向かって移動するように、周回移動されている。
【0039】
各転写ローラ23は、各感光ドラム14と、それぞれ搬送ベルト22の上側部分を挟んで対向するように、設けられている。
【0040】
そして、給紙部3から給紙された用紙Pは、搬送ベルト22によって、前側から後側に向かって、各感光ドラム14と各転写ローラ23とが対向する転写位置を順次通過するように搬送される。その搬送中に、各感光ドラム14に担持されている各色のトナー像が、用紙Pに順次転写され、カラー画像が形成される。
(3−4)定着ユニット
定着ユニット11は、転写ユニット10の後側に配置され、加熱ローラ24、および、加熱ローラ24に対向する加圧ローラ25を備えている。転写ユニット10において、用紙Pに転写されたカラー画像は、用紙Pが加熱ローラ24と加圧ローラ25との間を通過する間に、加熱および加圧されることによって用紙Pに熱定着される。
(4)排紙
トナー像が定着した用紙Pは、各排紙ローラ26によって、Uターンパスを通過するように搬送され、スキャナユニット8の上側に形成される排紙トレイ27上に排紙される。
2.給紙部の詳細
給紙部3は、さらに、図2に示す紙粉取り装置7を備えている。
【0041】
紙粉取り装置7は、レジストローラ35の前側に隣接配置され、フレーム34と、フレーム34内に収容される紙粉取りローラ36、台座56、請求項に記載の「掻取部材」の一例としての掻取ブレード48、請求項に記載の「負帯電部材」の一例としての負帯電樹脂51、および、紙粉貯留部61とを備えている。
【0042】
フレーム34は、左右方向に延びる断面略矩形枠形状をなし、その左右両端部が図示しない本体ケーシング2の両側壁により閉鎖されている。
【0043】
フレーム34は、上カバー37および下カバー38から形成されている。
【0044】
上カバー37は、前側に配置される第1上カバー37aと、後側に配置される第2上カバー37bとを備えている。
【0045】
第1上カバー37aは、断面略L字形状をなし、上壁40と、側壁39とを備えている。
【0046】
上壁40は、前後方向に延びるように形成されており、側壁39は、上壁40の前端部から、直角下方に延びるように形成されている。
【0047】
第2上カバー37bは、上壁40の後端部から、後側に延びるように形成されている。
【0048】
下カバー38は、断面略L字形状をなし、前後方向長さが上カバー37よりも短く形成されており、前側下壁43と、後側下壁42と、前壁44とを備えている。
【0049】
前側下壁43は、前後方向に延びるように形成されており、後側下壁42は、前側下壁43の後端部から、用紙搬送路28に沿うように、後方斜め上側に延びるように形成されている。
【0050】
前壁44は、前側下壁43の前端部から、直角上方に延びるように形成されている。
【0051】
また、第1上カバー37aと下カバー38とはポリスチレン(PS)から形成されている。
【0052】
PSの帯電列は、紙粉よりも帯電列が相対的に負帯電傾向にあり、つまり、第1上カバー37aおよび下カバー38は、紙粉よりも帯電列が相対的に負帯電傾向にあるような材料選択がなされている。
【0053】
また、第2上カバー37bは、ポリスチレン(PS)よりも帯電列が相対的に正帯電傾向になるような材料(または、紙粉よりも帯電列が相対的に正帯電傾向になるような材料)で形成されている。
【0054】
そして、上カバー37と下カバー38とは、側壁39の下端部と前壁44の上端部とは、左右方向全体にわたって連結されている。これによりフレーム34の前面は封止され、フレーム34が、後下側が斜めに切り欠かれるように、後側が後方に向かって幅狭となる側面視閉断形状に形成されている。
【0055】
そして、第2上カバー37bの後端部と後側下壁42との後端部との間には、開口部41が形成される。この開口部41は、フレーム34の後下側において下方斜め後側に向かうように開放されている。
【0056】
紙粉取りローラ36は、フレーム34内の後側であって、上下方向および前後方向に投影したときに、双方向ともに紙粉取りローラ36の全体が、開口部41内に位置するように配置されている。
【0057】
また、紙粉取りローラ36は、その上側の外周面が第2上カバー37bの下面と空間を隔てて対向し、その下側および後側の外周面が開口部41から用紙搬送路28に臨むように配置されている。
【0058】
また、紙粉取りローラ36は、金属製のローラ軸53と、ローラ軸53と同軸に係留される金属製の中空軸70と、中空軸70とローラ軸53とを同軸に係留する樹脂製のキャップ71と、中空軸70を被覆するフッ素樹脂ローラ54とを備えている。
【0059】
ローラ軸53は、左右方向に延びて、本体ケーシング2の図示しない両側壁に回転自在に支持されており、レジストローラ35の図示しない回転入力軸より分岐された駆動力が伝達される。
【0060】
紙粉取りローラ36は、フッ素樹脂ローラ54の後下側の外周面と、レジストローラ35の前上側の外周面とが圧接するように配置されており、用紙搬送時には、図示しないモータからの駆動力がローラ軸53に伝達され、レジストローラ35と対向接触する用紙接触点(ニップ点)29において、図1に示す矢印方向(右側面視反時計方向)に回転駆動される。
【0061】
台座56は、ポリスチレン(PS)から形成され、後側下壁42および前側下壁43の上面であって、開口部41の前端縁から間隔を隔てて前側に配置されている。
【0062】
また、台座56は、左右方向全体にわたって断面矩形状に設けられている。
【0063】
掻取ブレード48は、台座56の上面に支持され、左右方向全体にわたって略平板形状に設けられており、金属からなる剛性部分50と、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる弾性部分49とを備えている。
【0064】
剛性部分50は、厚みのある平板形状をなし、ねじ55を介して台座56の上面に固定されている。
【0065】
弾性部分49は、可撓性の略矩形フィルム形状をなし、その基端部が、剛性部分50の後端部に支持され、その遊端部が、フッ素樹脂ローラ54の前上側の外周面に前側下方から接触するように、剛性部分50から後方に突出するように設けられている。
【0066】
また、弾性部分49の遊端部は、第1上カバー37aの後端部よりも後側下方、かつ、後側下壁42の後端部よりも後側上方に位置している。言い換えれば、第1上カバー37aの後端部および後側下壁42の後端部は、フッ素樹脂ローラ54と弾性部分49との接触点である掻取点30よりも前側に位置している。
【0067】
スポンジ部材52は、ウレタン樹脂から形成され、弾性部分49の下方であって、紙粉取りローラ36の前側に配置され、フレーム34と回転自在に取り付けられ、図示しないバネにより紙粉取りローラ36に押圧されている。
【0068】
そして、スポンジ部材52の後面は、紙粉取りローラ36の回転方向における、掻取点30と、用紙接触点29との間において、フッ素樹脂ローラ54の前側の外周面に、前側下方から接触している。
【0069】
負帯電樹脂51は、ABS樹脂からなり、上下方向が長手の断面略矩形状に形成され、その前面が側壁39の後面と接触し、その上面が上壁40の下面と接触するように、側壁39に支持されている。また、負帯電樹脂51は、剛性部分50および台座56よりも前側に配置され、その下面が、紙粉貯留部61と対向する位置に配置されている。
【0070】
つまり、負帯電樹脂51は、掻取点30、さらには弾性部分49、さらには剛性部分50から、前方に離間して配置されている。
【0071】
ABS樹脂の帯電列は、紙粉、第1上カバー37a、下カバー38および台座56のPS、剛性部分50の金属、弾性部分49のPET、および、スポンジ部材52のウレタン樹脂よりも相対的に負帯電傾向にあり、すなわち、負帯電樹脂51は、紙粉、第1上カバー37a、下カバー38、台座56、掻取ブレード48、および、スポンジ部材52よりも帯電列が相対的に負帯電傾向にあるような材料選択がなされている。
【0072】
紙粉貯留部61は、負帯電樹脂51の下方に配置され、側壁39、前壁44および前側下壁43から形成され、それらにより区画されている空間に紙粉を貯留する。
【0073】
なお、負帯電樹脂51の下方には、用紙搬送路28とは独立して、手差しトレイ(図示せず)から給紙される用紙Pを、レジストローラ35と紙粉取りローラ36との間の用紙接触点29に搬送するための手差し用搬送路46が設けられている。手差し用搬送路46は、前側下壁43および後側下壁42の下面に沿って形成され、用紙接触点29の直前で用紙搬送路28と合流するように設けられている。
3.紙粉取り装置での紙粉除去動作
カラーレーザプリンタ1では、用紙搬送時において、レジストローラ35の回転駆動により、レジストローラ35の図示しない回転入力軸から分岐された、紙粉取りローラ36の図示しない回転入力軸に入力される駆動力により、紙粉取りローラ36が回転駆動する。このとき、フッ素樹脂ローラ54の外周面はスポンジ部材52と摺動しているので、フッ素樹脂ローラ54は効率的に帯電される。
【0074】
そして、上述したように給紙トレイ6に収容されている用紙Pが、紙粉取りローラ36とレジストローラ35との間に至ると、その用紙Pは用紙接触点29においてフッ素樹脂ローラ54とレジストローラ35とに挟み込まれ、用紙P上の紙粉は帯電するフッ素樹脂ローラ54により捕捉される。
【0075】
捕捉された紙粉は、紙粉取りローラ36の回転に伴って掻取点30に至り、掻取点30において掻取ブレード48により掻き取られる。
【0076】
掻き取られた紙粉は、掻取ブレード48の上面に沿って前方に流動し、紙粉貯留部61に貯留される。
【0077】
上カバー37の第1上カバー37aは、紙粉よりも相対的に帯電列が負帯電傾向にあるため、紙粉は、まず第1上カバー37aの下面に付着する。このとき、第1上カバー37aの後端部は、掻取点30よりも前側に配置されているので、紙粉は前側へ(紙粉貯留部61の方向へ)向かって移動する。そして、紙粉は、第1上カバー37aに付着した後、負帯電樹脂51へ向かって(前側に向かって)移動する。負帯電樹脂51は、第1上カバー37aよりも相対的に帯電列が負帯電傾向にある。そのため、紙粉は前方に誘導されるとともに、負帯電樹脂51に付着する。そして、負帯電樹脂51の表面に堆積された後、落下して紙粉貯留部61に貯留される。
【0078】
4.作用効果
(1)カラーレーザプリンタ1は、紙粉取りローラ36と、掻取ブレード48と、紙粉貯留部61と、第1上カバー37aと、負帯電樹脂51とを備える紙粉取り装置7を備えている。
【0079】
そして、紙粉取り装置7では、第1上カバー37a、負帯電樹脂51および紙粉貯留部61が、掻取点30よりも掻取ブレード48側に配置されている。
【0080】
そのため、掻取ブレード48が、紙粉取りローラ36に接触して、紙粉取りローラ36に捕捉された紙粉を掻き取ることにより、紙粉は、第1上カバー37aの下面に付着するとともに、負帯電樹脂51により、掻取点30よりも掻取ブレード48側に誘導される。そして、負帯電樹脂51の表面に積層された後、落下して紙粉貯留部61に貯留される。
【0081】
したがって、掻き取られた紙粉がカラーレーザプリンタ1内に飛散することを防止することができる。よって、画像形成不良の発生を抑制することができる。
(2)具体的には、カラーレーザプリンタ1では、第1上カバー37aおよび負帯電樹脂51が、掻取点30から紙粉取りローラ36に対して紙粉貯留部61側に離れる方向に配置されている。
【0082】
そのため、紙粉は、第1上カバー37aの下面を介して、負帯電樹脂51により、紙粉貯留部61の上方まで誘導される。
【0083】
したがって、紙粉を開口部41から十分に前方まで誘導した後、紙粉貯留部61に貯留することができるので、紙粉がカラーレーザプリンタ1内に飛散するおそれをより低減することができる。
(3)また、カラーレーザプリンタ1では、帯電列が、第1上カバー37a、下カバー38および負帯電樹脂51の材料の相対的な帯電列を利用して構成されている。
【0084】
つまり、第1上カバー37a、下カバー38および負帯電樹脂51の帯電列が紙粉よりも相対的に負帯電傾向にあるように、第1上カバー37a、下カバー38および負帯電樹脂51の材料選択がなされており、材料を適宜選択することで、電気的な誘導により紙粉を紙粉貯留部61に誘導することが可能になる。
(4)また、カラーレーザプリンタ1では、紙粉貯留部61の相対的な帯電列の負帯電傾向の大きさが、紙粉の相対的な帯電列の負帯電傾向の大きさよりも大きくなるように構成されている。つまり、言い換えれば、紙粉の相対的な帯電列の負帯電傾向の大きさが、紙粉貯留部61の相対的な帯電列の負帯電傾向の大きさよりも小さくなるように、紙粉貯留部61の材料選択がなされている。
【0085】
そのため、紙粉貯留部61に貯留された紙粉が、紙粉貯留部61に電気的に吸着されるので、紙粉貯留部61から流出することを防止することができる。
(5)また、カラーレーザプリンタ1では、紙粉取りローラ36が、ローラ軸53と、中空軸70と、キャップ71と、フッ素樹脂ローラ54とを備えている。
【0086】
そのため、フッ素樹脂ローラ54が良好に帯電されるので、用紙P上の紙粉を良好に捕捉することができる。
(6)また、カラーレーザプリンタ1では、紙粉取りローラ36の回転方向における、掻取点30と、用紙接触点29との間において、紙粉取りローラ36と接触するスポンジ部材52が設けられている。
【0087】
そのため、掻取ブレード48により紙粉が掻き取られた後に、紙粉取りローラ36を帯電させることができる。したがって、紙粉取りローラ36の帯電した部分が、常に用紙Pと接触するので、用紙P上の紙粉を良好に捕捉することができる。
(7)また、カラーレーザプリンタ1では、掻取ブレード48を備えている。
【0088】
そのため、紙粉取りローラ36に捕捉された紙粉を良好に掻き取ることができる。
5.変形例
上記したカラーレーザプリンタ1では、負帯電樹脂51としてABS樹脂(紙粉よりも相対的に帯電列が負帯電傾向にある材料)を用いたが、ABS樹脂を用いずに、図2の仮想線で示すように、紙粉よりも相対的に帯電列が正帯電傾向にある材料からなる負帯電樹脂51にバイアスを印加するための電極部材63を備えることもできる。
【0089】
この場合には、電極部材63は、負帯電樹脂51に電気的に接続されるように、本体ケーシング2に設けられている。
【0090】
この変形例では、負帯電樹脂51にバイアスを印加して、負帯電樹脂51の負帯電を大きくすることができるので、ABS樹脂を用いずに紙粉を誘導することができる。
【0091】
また、例えば、負帯電樹脂51にABS樹脂を用いて、さらに、追加として電極部材63を備えると、より確実に紙粉を誘導することが可能となる。
【0092】
また、上記したカラーレーザプリンタ1のレジストローラ35および紙粉取りローラ36は、レジストローラであるが、本発明はこれに限定されず、例えば、搬送ローラ31に紙粉取り装置7を設けてもよい。
【0093】
また、上記したカラーレーザプリンタ1は、複数の感光ドラム14などを有するカラーレーザプリンタであるが、本発明はこれに限定されず、例えば、単色の感光ドラム14を備えるモノクロプリンタであってもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 カラーレーザプリンタ
7 紙粉取り装置
29 用紙接触点
30 掻取点
36 紙粉取りローラ
37a 第1上カバー
38 下カバー
48 掻取ブレード
49 弾性部分
50 剛性部分
51 負帯電部材
52 スポンジ部材
61 紙粉貯留部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成に供される記録媒体上の紙粉を除去するための紙粉取り装置を備える画像形成装置において、
紙粉取り装置は、
前記記録媒体に接触して、前記記録媒体上の紙粉を捕捉するための紙粉取りローラと、
前記紙粉取りローラと隣接配置され、前記紙粉取りローラに接触して前記紙粉取りローラにより捕捉された紙粉を掻き取るための掻取部材と、
前記紙粉取りローラと前記掻取部材との接触点よりも前記掻取部材側に配置され、前記掻取部材によって掻き取られた紙粉を貯留するための紙粉貯留部と、
前記紙粉取りローラと前記掻取部材との接触点よりも前記掻取部材側に配置され、前記紙粉よりも相対的に帯電列が負帯電傾向にある負帯電部材とを備え、
前記負帯電部材によって紙粉を前記紙粉貯留部へ誘導することを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
前記掻取部材は、前記紙粉取りローラに接触する弾性部分と、前記紙粉取りローラに接触する接触点と反対側に配置される剛性部分とを備え、
前記負帯電部材が、前記弾性部分よりも前記紙粉取りローラから離れる方向に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記帯電列が、前記負帯電部材の材料の相対的な帯電列を利用して構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記負帯電部材は、バイアスを印加するための電極部材を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記紙粉の相対的な帯電列の負帯電傾向の大きさが、前記紙粉貯留部の相対的な帯電列の負帯電傾向の大きさよりも小さいことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記紙粉取りローラが、金属製のローラ軸と、前記ローラ軸と同軸に係留された金属製の中空軸と、前記ローラ軸と前記中空軸とを同軸に係留する樹脂製のキャップと、前記中空軸を被覆するフッ素樹脂とを備えていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記紙粉取りローラの回転方向における、前記紙粉取りローラと前記掻取部材との接触点と、前記記録媒体と前記紙粉取りローラとの接触点との間において、前記紙粉取りローラと接触して、前記紙粉取りローラを帯電するスポンジ部材が設けられていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記掻取部材が、掻取ブレードであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−158395(P2012−158395A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17226(P2011−17226)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】