説明

画像形成装置

【課題】従来のプロセスカートリッジを画像形成装置に同梱した状態で輸送する画像形成装置が有する諸問題を解決し、より操作性に優れた画像形成装置を提供する。
【解決手段】ドラム保護部材に当接して係止する係止部が設けられた係止部材と、係止部材をドラム保護部材に係止するように付勢する付勢部材とが設けられ、プロセスカートリッジを画像形成装置に輸送状態として挿入する際は、係止部材を退避させつつプロセスカートリッジを挿入し、ドラム保護部材が保護位置で転写支持部材と当接することにより、電子写真感光ドラムと転写手段を離間させ、プロセスカートリッジを画像形成装置から取出す際には、ドラム保護部材が係止部材に当接して係止部材を退避位置に移動してプロセスカートリッジの取出しを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着脱可能なプロセスカートリッジが設けられたレーザービームプリンター、複写機、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を用いた画像形成装置は、像担持体である感光ドラム及び感光ドラムに作用するプロセス手段を一体化してカートリッジ化し、このプロセスカートリッジを画像形成装置に対して着脱可能とするプロセスカートリッジ方式が採用されている。この方式は、使用者がプロセスカートリッジを交換できる構成であり操作性がよいため、画像形成装置において広く用いられている。斯かる画像形成装置の一例を図17に示す。
【0003】
本例に示すように、プロセスカートリッジ110には、感光ドラム110dを保護するためにドラム保護部材110bが設けられている。
【0004】
このドラム保護部材110bは、プロセスカートリッジ110が画像形成装置100から取り出された時に、ばね等の付勢手段により感光ドラム110dを保護する位置まで移動する。
【0005】
そして、プロセスカートリッジ110が画像形成装置100に挿入された時は、ドラム保護部材110bは感光ドラム110dを保護しない図17に示す位置となる。つまり、プロセスカートリッジ110の挿入時に感光ドラム110dを転写ローラ113に当接する位置まで案内するドラム保護部材ガイド109の一部に設けられたドラム保護部材ガイド109aによりドラム保護部材109の突起部が挿入途中で係止される。そして、ドラム保護部材110bは感光ドラム110dを保護しない図17に示す位置となる。この時、感光ドラム110dと転写ローラ113は当接する。
【0006】
この状態で画像形成装置100に駆動力がかかると、画像形成装置100に設けられた不図示のドラム駆動ギアが感光ドラム110dと係合し感光ドラム110dが回転する。一方、給紙ローラ106、搬送ローラ108、定着加圧ローラ115、排紙ローラ116も回転し、記録材Pは矢印D1方向に搬送され画像形成装置100は一連の画像形成を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−184351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記構成の画像形成装置100を輸送する際、輸送効率を高める目的でプロセスカートリッジ110を画像形成装置100に同梱した状態で輸送するカートリッジ同梱輸送の形態が昨今増加している。
【0009】
この形態では、感光ドラム110dと転写ローラ113が常時当接した状態で輸送されるため、振動によるローラ間の擦れや長期保管による転写ローラ113のクリープ等の影響により画像不良が発生する場合があった。
【0010】
この対策として感光ドラム110dと転写ローラ113を輸送時に離間する構成として特許文献1に記載された発明が提案されている。
【0011】
特許文献1に記載の発明の第一実施例は、プロセスカートリッジにドラム保護部材の位置を決定する切換部を設け、輸送形態と使用形態に切り換える構成とされる。従って、使用者が初めて画像形成装置を使用する際には、プロセスカートリッジの前記切換部を輸送形態から使用形態に切り換えて使用する必要がある。そのため、この第一実施例では、画像形成装置を初めて使用する際に、使用者に対して追加の操作を要求した。また、使用者が前記切換部を使用形態の位置に切り換えを忘れてしまい、輸送状態のままプロセスカートリッジを誤挿入してしまう可能性があった。
【0012】
特許文献1に記載の発明の第二実施例では、前記切換部を廃止している。代わりに、画像形成装置側にプロセスカートリッジに設けられたドラム保護部材を、係止する位置と、ドラム保護部材を係止せず転写手段を離間方向に移動させる位置と、に移動可能なドラム保護部材ガイドが設けられている。
【0013】
このように、第二実施例では移動可能なドラム保護部材ガイドが可触可能に設けられている。そのため、使用者がプロセスカートリッジを画像形成装置に装着する際、プロセスカートリッジの一部がドラム保護部材ガイドを付勢しドラム保護部材が閉じた状態で、使用者が誤って装着してしまう可能性があった。
【0014】
そこで、本発明の目的は、従来のプロセスカートリッジを画像形成装置に同梱した状態で輸送する画像形成装置が有する上記諸問題を解決し、より操作性に優れた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、
電子写真感光ドラムと、前記電子写真感光ドラムに作用するプロセス手段と、前記電子写真感光ドラムと前記プロセス手段が設けられたカートリッジ枠体と、前記カートリッジ枠体に設けられ前記電子写真感光ドラムを保護する保護位置と露出させる開口位置とに移動可能なドラム保護部材とが設けられ、画像形成装置に着脱可能なプロセスカートリッジと、
前記電子写真感光ドラムと当接し前記プロセス手段により前記電子写真感光ドラムに形成されたトナー像を記録材に転写する転写手段と、
前記転写手段を支持する転写支持部材と、
前記画像形成装置に対して前記プロセスカートリッジの挿入軌跡を決めるカートリッジガイドと、
が設けられた画像形成装置において、
前記ドラム保護部材に当接して係止する係止部が設けられた係止部材と、前記係止部材を前記ドラム保護部材に係止するように付勢する付勢部材とが設けられ、
前記プロセスカートリッジを前記画像形成装置に輸送状態として挿入する際は、前記係止部材を退避させつつ前記プロセスカートリッジを挿入し、前記ドラム保護部材が前記保護位置で前記転写支持部材と当接することにより、前記電子写真感光ドラムと前記転写手段を離間させ、
前記プロセスカートリッジを前記画像形成装置から取り出す際には、前記ドラム保護部材が前記係止部材に当接して前記係止部材を退避位置に移動して前記プロセスカートリッジの取り出しを可能とし、
前記プロセスカートリッジを前記画像形成装置に再挿入する際には、前記ドラム保護部材は前記係止部材の前記係止部で係止され前記開口位置となり、前記電子写真感光ドラムと前記転写手段が当接する、
ことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ドラム保護部材の位置を変える係止部材を画像形成装置に設けられたドラム保護部材ガイドの一部に画像形成装置内部から可触困難に設ける。また、輸送状態にする際には、外装部材が取り付いていない状態で装置外側から係止部材を一時的に退避させつつプロセスカートリッジを転写離間状態で装着可能とする。この構成によって、使用時には特別な操作を必要とすることなくプロセスカートリッジを抜いて再び装着して使用することが可能となる。従って、本発明によれば、従来のプロセスカートリッジを画像形成装置に同梱した状態で輸送する画像形成装置に比較して、操作性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施例における、輸送状態で転写離間状態の断面図である。
【図2】図1に示す画像形成装置で、輸送状態からプロセスカートリッジが画像形成装置から取り出される状態の断面図である。
【図3】図1に示す画像形成装置で、使用状態で感光ドラムと転写ローラが当接し通紙中の断面図である。
【図4】図1に示す画像形成装置で、カートリッジガイド及びその周辺構成を示す斜視図である。
【図5】図1に示す画像形成装置で、係止部材及びその周辺を示す斜視図である。
【図6】図1に示す画像形成装置で、係止部材及びその周辺の上面から見た断面図である。
【図7】図1に示す画像形成装置で、プロセスカートリッジの一部の斜視図である。
【図8】本発明に係る画像形成装置の他の実施例における、輸送状態とする工程の途中でプロセスカートリッジ及び解除工具がない状態の断面図である。
【図9】図8に示す画像形成装置で、輸送状態とする工程の途中でプロセスカートリッジ及び解除工具がない状態の斜視図である。
【図10】図8に示す画像形成装置で、輸送状態とする工程の途中で解除工具を装着した状態の斜視図である。
【図11】図8に示す画像形成装置で、輸送状態とする工程の途中でプロセスカートリッジ及び解除工具を装着した状態の斜視図である。
【図12】図8に示す画像形成装置で、係止部材及びその周辺構成を示す斜視図である。
【図13】図8に示す画像形成装置で、係止部材及びその周辺の上面から見た断面図である。
【図14】本発明に係る画像形成装置の他の実施例における、プロセスカートリッジが未装着の状態を示す断面図である。
【図15】図14に示す画像形成装置で、輸送状態における断面図である。
【図16】図14に示す画像形成装置で、使用状態の断面図である。
【図17】従来の画像形成装置の一例における通紙中の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0019】
実施例1
図1〜図7を参照して、本発明に係るプロセスカートリッジを着脱可能な画像形成装置の一実施例を説明する。
【0020】
図1は、本実施例の画像形成装置100にて、輸送状態で転写ローラ13が感光ドラム10dから離間した状態の断面図である。図2は、図1の画像形成装置100にて輸送状態からプロセスカートリッジ10が画像形成装置から取り出される状態の断面図であり、図3は、使用状態で感光ドラム10dと転写ローラ13が当接して通紙している状態の断面図を示す。また、図4は、本実施例の画像形成装置にてカートリッジガイド9とその周辺構成を示す斜視図、図5は、係止部材24及びその周辺構成を示す斜視図、図6は、係止部材24及びその周辺の上面から見た断面図である。図7は、プロセスカートリッジ10の一部を示す斜視図である。
【0021】
先ず、図3を参照して、本実施例の画像形成装置100の全体構成を説明する。本実施例にて、画像形成装置100は、像担持体としてのドラム状の電子写真感光体、即ち、電子写真感光ドラム(以下、単に「感光ドラム」という。)10dにレーザー光19を照射し、このレーザー光19を走査して記録する電子写真方式の画像形成装置である。記録材Pは矢印A3方向に給送され、記録材P上にトナー画像が形成され、そしてそのトナー画像が記録材P上に定着された後に、装置外に排出される。
【0022】
尚、図3において、右側が本体正前面側であり、左側が本体背面側となる。
【0023】
次に、本実施例における画像形成装置100の動作概要を述べる。
【0024】
トナーが転写される記録材Pは、メイン給紙トレイ部1に載置される。メイン給紙トレイ部1は、給紙トレイ2aと、給送方向A3と直交する方向にガイドし給送時の斜行を防止する幅規制部3と、給送時に紙の後退を防止する後端規制板2bと、給紙圧板4で構成される。
【0025】
画像形成装置100は、プリント開始信号受け取り、モータ20は、搬送ローラ8、感光ドラム10d、定着器15の加圧ローラ15a、排紙ローラ16を矢印A3で示す記録材搬送方向に駆動する。給紙ローラ6は、不図示の1回転制御手段により、給紙開始信号を受け取った後に1回転して記録材Pを矢印A3方向に給紙する。この時、給紙ローラ6と同軸上に設けられた不図示の給紙カムに連動した給紙圧板4が装置上方向に回動し、記録材Pを給紙ローラ6に付勢する。そして給紙ローラ6により、記録材Pを給紙する。
【0026】
一方、給紙ローラ6が回転すると同時に、回動可能な分離パッドアーム5に設けられた分離パッド7によって記録材Pの束が1枚ずつ分離され、1枚の記録材Pが給送される。給紙ローラ6の1回転動作終了直前には、再び前記給紙カムが、給紙圧板4を給紙待機の位置まで押し下げ、給紙待機位置まで戻る。
【0027】
次に、給紙後の動作について述べる。給紙動作にて給紙された記録材Pは、搬送ローラ8により更に搬送される。
【0028】
一方、感光ドラム10dは、不図示の高圧電源から給電される帯電ローラ10eによって回転しながら一様に帯電される。そして、先端を検知してから所定の時間の後、レーザー露光装置21から照射されたレーザー光19が感光ドラム10dに照射され、感光ドラム10d上に静電潜像が形成される。トナー容器10gの中にはトナーが充填されており、現像ローラ10fの回転に伴い、適量のトナーが適度の帯電を受けた後、感光ドラム10d上に供給される。現像ローラ10f上のトナーは、感光ドラム10dの静電潜像に付着し、潜像が現像されトナー像として可視化される。可視化された感光ドラム10d上のトナー像は、転写ローラ13により記録材P上に転写される。転写ローラ13は、転写支持部材である転写ローラ軸受14により両端を回転可能に軸支され転写ローラ付勢ばね12により感光ドラム10dに付勢されている。
【0029】
転写されずに感光ドラム10d上に残った転写残トナーは、クリーニングブレード10cより廃トナー容器10aに回収される。表面をクリーニングされた感光ドラム10dは繰り返し次の画像形成プロセスに入る。
【0030】
トナー像が形成された記録材Pは、定着加圧ローラ15aと加熱手段15bからなる定着器15により加熱、加圧を受け、トナー像は記録材P上に永久定着される。そして排紙ローラ16により装置外に排出され、カートリッジカバー17と排紙トレイ18とで形成される排紙積載面上に積載される。以上が本画像形成装置の動作概略である。
【0031】
なお、本実施例にて、プロセス手段としての感光ドラム10dに作用するクリーニングブレード10c、帯電ローラ10e、現像ローラ10f、などは、感光ドラム10dと共に、カートリッジ枠体にて一体として構成され、プロセスカートリッジ10とされる。廃トナー容器10a、トナー容器10gなどを構成する枠体は、本実施例では、カートリッジ枠体を構成している。また、ドラム保護部材10b、ドラム保護部材支持板10mなどもまた、プロセスカートリッジ10として一体に構成されている。
【0032】
図7に示すように、プロセスカートリッジ10にて、ドラム保護部材10bは、廃トナー容器10aに枢軸10pにて回動可能に設けられたドラム保護部材支持板10mに回動可能に軸支されている。ドラム保護部材支持板10mと廃トナー容器10aの間には不図示の付勢部材が設けられ、ドラム保護部材10bは感光ドラム10dを保護する方向に常に軽い力で付勢されている。ドラム保護部材10bは、詳しくは後で説明するように、感光ドラム10dを保護する保護位置(図1、図2に示す位置)と、感光ドラム10dを露出させる開口位置(図3に示す位置)とに移動可能な構成とされる。
【0033】
プロセスカートリッジ10は、図7に示すように、廃トナー容器10aの両側面に廃トナー容器突起部10j及び10kが一体に設けられている。プロセスカートリッジ10は、廃トナー容器突起部10J、10kが図4に示すカートリッジガイド9に設けられたドラムガイド9bにガイドされながら画像形成装置100に対して着脱可能な構成となっている。図4は、画像形成装置100の右側面を示しているが、左側面もまた対象配置にて同様の構成とされる。
【0034】
次に、画像形成装置100を輸送形態とする生産工程について説明する。
【0035】
図2及び図6に示すように、係止部材24は、画像形成装置内部に設けられたドラム保護部材ガイド9aの一部に、回動可能で画像形成装置内部から可触困難に設けられている。また、係止部材24は、図5に示すように、生産時には外装部材11(図4参照)が装着されていない状態で、矢印A4方向に回動可能に露出した状態で設けられている。
【0036】
一方、図5、図6を参照すると、係止部材24と、画像形成装置のフレーム22に取り付けられた係止部材付勢板支持板26との間には、係止部材付勢ばね25が設けられ、係止部材24を図5、図6に示すA5方向に付勢している。
【0037】
プロセスカートリッジ10を画像形成装置100に輸送形態として装着する際には、外装部材11が装着されていない状態で係止部材24を生産工具(解除工具)等で矢印A4方向に付勢する。これにより、係止部材24は、図6の二点鎖線に示す位置まで回動した状態となる。従って、図6に示すように、係止部材24に設けられた係止部24bがドラム保護部材ガイド9aのガイド溝部から退避した状態でプロセスカートリッジ10を画像形成装置100に挿入することとなる。この時、ドラム保護部材10bに設けられたドラム保護部材突起部10n(図7をも参照)は、係止部材24の係止部24bに係止されることはない。従って、プロセスカートリッジ10は、ドラム保護部材10bが感光ドラム10dを保護した状態で、図1に示すように、画像形成装置に挿入される。なお、その後、生産工具を取り除くことにより、係止部材24は、図6の実線状態の位置に復帰する。
【0038】
また、ドラム保護部材10bには、図7に示すように、転写軸受押さえ部10hが形成されている。転写軸受押さえ部10hが転写支持部材である転写軸受14を付勢して転写ローラ13を退避させることにより、転写ローラ13が感光ドラム10dから離間された状態となる。そして、最後に外装部材11を画像形成装置に装着して輸送形態とする。
【0039】
なお、図示していないが、画像形成装置100には、例えば、カートリッジカバー17を閉じることによりカートリッジ10を所定位置に押圧設定する弾性押圧部材のようなカートリッジ付勢手段が設けられている。カートリッジ付勢手段は、プロセスカートリッジ10に対し輸送状態にて転写ローラ付勢ばね12よりも大きな付勢力を付与している。それにより、プロセスカートリッジ10が画像形成装置に装着される輸送状態に保持し、更には、再挿入されたプロセスカートリッジ10の使用状態においてもプロセスカートリッジ10を画像形成装置内の所定位置に保持する構成が設けられている。
【0040】
次に、使用者が画像形成装置を初めて使用する際の動作について説明する。
【0041】
図2に示すように、カートリッジカバー17を開く。そして、プロセスカートリッジ10を画像形成装置外部に、即ち、矢印A2方向に取り出す。この時、ドラム保護部材10bは、感光ドラム10dを保護する位置のままである。そして、図6に示すように、ドラム保護部材ガイド9aに案内されたドラム保護部材10bの突起部10nが一点鎖線で示す状態から実線で示す状態へと移動され、係止部材係止部24bの斜面部24aを付勢することにより、係止部材24が二点鎖線に示す位置まで退避しつつ、プロセスカートリッジ10は画像形成装置100から取り出される。この状態で、係止部材24は、ドラム保護部材ガイド9aの指が入らない程の狭い凹形状部に設けたため、可触困難とされ、使用者が容易に係止部材24を退避させることが困難な状態となっている。
【0042】
そして、プロセスカートリッジ10に設けられた不図示のトナーシールを除去した後、再び画像形成装置100内へとプロセスカートリッジ10を矢印A1方向に再挿入する。このプロセスカートリッジ再挿入時、図6に示すように、ドラム保護部材10bに設けられたドラム保護部材突起部10nは挿入途中で係止部材24に設けられた係止部24bに係止される。従って、ドラム保護部材10bは、図2に示す感光ドラム保護位置から図3に示す退避位置(開口位置)に移動し、感光ドラム10dが転写ローラ13と当接した状態でプロセスカートリッジ10が画像形成装置100に装着され画像形成が可能な使用状態となる。その後、上述したように、プロセスカートリッジ10は、カートリッジ付勢手段(不図示)により所定位置に保持される。
【0043】
以上説明したように、実施例1の形態では、ドラム保護部材10bの位置を変える係止部材24を画像形成装置100に設けられたドラム保護部材ガイド9aの溝形状の一部に可触困難に設けた。そして、輸送状態にする際には生産工具等で係止部材24を一時的に退避させつつプロセスカートリッジ10を転写離間状態で装着可能とし、使用時には特別な操作を必要とすることなくプロセスカートリッジ10を取り出して、その後再び装着して使用する。
【0044】
従って、従来の形態に対して使用時に特別な操作が必要なく、加えて輸送時と使用時を切り替える係止部材24を可触困難に設けて使用時にプロセスカートリッジ10の誤挿入を防ぐことが可能である。そのため、操作性に優れた画像形成装置を提供することが可能となる。
【0045】
実施例2
図8〜図13を参照して、本発明に係る画像形成装置の第2の実施例について説明する。
【0046】
図8は、画像形成装置100を輸送状態とする工程を示しており、画像形成装置100にはプロセスカートリッジ10及び生産工具(解除工具)28が存在しない状態の断面図である。また、図9は、図8に示す画像形成装置100のプロセスカートリッジ着脱開口部を示す斜視図であり、図10は、図9と同様の斜視図であるが、解除工具28が装着された状態を示す斜視図である。図11は、画像形成装置を輸送状態とする工程を示しており、画像形成装置100にプロセスカートリッジ10及び解除工具28を装着した状態の斜視図である。図12は、外装部材11を外したときの画像形成装置100の係止部材27及びその周辺構成を示す斜視図である。
【0047】
本実施例にて、画像形成装置100の全体構成及び画像形成動作は、実施例1の画像形成装置100と同様であるので、実施例1の説明を援用し、ここでの説明は省略する。
【0048】
実施例2の形態では、図8に示すように、画像形成装置内部でプロセスカートリッジ10の挿入軌跡23以外の場所に、付勢用穴22aを画像形成装置フレーム22の一部に設けたことを特徴とする。付勢用穴22aは、プロセスカートリッジ挿入時に、係止部材27を付勢して、係止部材27をドラム保護部材ガイド10bから退避させることを可能にする。この穴22は、使用者が指等で係止部材27を誤って退避させることを防止するために十分に小さい外径の穴とされる。
【0049】
次に、実施例2の形態において、画像形成装置100を輸送状態とする生産工程について説明する。
【0050】
係止部材27は、図8に示すように、実施例1と同様に画像形成装置内部に設けられたカートリッジガイド9の一部に設けられ、特に、ドラム保護部材ガイド9aの一部に回動可能で画像形成装置内部から可触困難に設けられている。生産時は、実施例1と異なり輸送状態とする前に図11に示す外装部材11を装着して完成品の状態にする。次に、プロセスカートリッジ10を画像形成装置100に装着する前に、解除工具28を図8に示すプロセスカートリッジ挿入軌跡以外の場所に装着する。
【0051】
更に説明すると、図12、図13を参照すると、本実施例の係止部材27は、図6に示す実施例1の係止部材24と同様の作動をなす。
【0052】
つまり、本実施例にて、係止部材27は、実施例1の係止部材24の係止部24bと同様の構成とされる係止部27aを備えている。ただ、本実施例にて、係止部27aは、画像形成装置フレーム22の外側に設置された支持部27bに支持されて作動する構成とされる点で、実施例1と異なる。
【0053】
支持部27bは、略垂直方向に配置されたアーム27b1を備えおり、アーム27b1は、支持板27cを介して、フレーム22に設置された枢動支持軸27dに揺動自在に支持されている。係止部27aは、アーム27b1の上端部27b2に取り付けられており、アーム27b1の下端部27b3は、フレーム22に設けた付勢用穴22aに対向する位置に位置している。
【0054】
一方、係止部27aは、実施例1と同様に、画像形成装置フレーム22に取り付けられた係止部材付勢板支持板26との間に、係止部材付勢ばね25が設けられ、係止部27aを図13に示すA5方向に付勢している。
【0055】
ここで、プロセスカートリッジ10を画像形成装置100に輸送形態として装着する際には、図10に示すように、フレーム22に設けられた解除工具ガイド29(図9参照)を突き当て基準として、解除工具28を図10に示す矢印B1方向に挿入する。次に、解除工具28を矢印B2の方向にスラスト移動させる。この工程により、図12、図13に示すように、解除工具28に設けられた、先端が先細形状とされる先鋭形状の軸体28aが、画像形成装置フレーム22の穴22aを通って係止部材27のアーム端部27b3を矢印B2方向に付勢する。これにより、ドラム保護部材ガイド9aから係止部材27の係止部27aが二点鎖線で示すように、退避した状態となる。このような係止部材27の係止部27aの動きは実施例1の係合部材24の係止部24bと同じである。
【0056】
この状態でプロセスカートリッジ10を画像形成装置に装着する。これにより、実施例1と同様にドラム保護部材10bは係止部材27の係止部27aに係止されない状態、即ち、ドラム保護部材10bが感光ドラム10dを保護した状態のまま画像形成装置100に挿入され、転写離間状態となる。そして、プロセスカートリッジ10が装着された状態でプロセスカートリッジ挿入軌跡23の外側の場所に設置された解除工具28を、図11に示すように、先ず矢印B3の方向にスラスト移動させ、次に矢印B4方向に取り外す。最後にカートリッジカバー17を閉じて輸送状態にする。その後の動作及び使用者が画像形成装置を初めて使用する動作については、実施例1と同じである。
【0057】
以上説明したように、第2の実施例の形態は、前記第1の実施例の形態と同様の形態とされる。更に、プロセスカートリッジ10の挿入軌跡以外の場所に、係止部材27を画像形成装置内部から付勢して退避させるために、係止部材27が可触困難な小径の付勢用穴22aを設けた。そして画像形成装置が完成品の状態で解除工具28により穴22aを貫通して係止部材27を付勢し退避状態とさせつつプロセスカートリッジ10を挿入し、その後に解除工具28を取り外し輸送形態とする構成とした。
【0058】
従って、完成した製品で動作を確認した後に外装部材11を外すことなくプロセスカートリッジ10を装着して輸送形態にすることが可能になる。そのため、第1の実施例に比較して生産性に優れた画像形成装置を提供することが可能である。
【0059】
実施例3
図14〜図16を参照して、本発明に係る画像形成装置の第3の実施例について説明する。
【0060】
図14〜図16は、カートリッジセンサ検知構成を示すために、プロセスカートリッジ10の左側面近傍における断面図を示している。図14は、画像形成装置100におけるプロセスカートリッジ未装着状態の断面図であり、図15は、画像形成装置100の輸送状態の断面図であり、図16は、画像形成装置100の使用状態の断面図を示す。
【0061】
本実施例にて、画像形成装置100の全体構成及び画像形成動作は、実施例1の画像形成装置と同様であり、また、プロセスカートリッジ10の着脱構成に関しては実施例2と同様のため、それぞれ、実施例1及び実施例2の説明を援用し、ここでの説明は省略する。
【0062】
実施例3は、実施例2の形態に加えて、プロセスカートリッジ10が画像形成可能な使用状態で挿入されたかどうかを検知する構成を画像形成装置100に設けたことを特徴とする。
【0063】
実施例3の特徴部構成について説明する。画像形成装置100には、
(1)プロセスカートリッジ10の未装着状態、
(2)プロセスカートリッジ10が装着され転写離間している輸送状態、
(3)感光ドラム10bと転写ローラ13が当接し画像形成が可能な使用状態、
の3つの状態の間で異なる角度に回動可能なカートリッジ検知フラグ31と、カートリッジ検知フラグ31を検知するカートリッジ検知センサ30が設けられている。カートリッジ検知フラグ31は、不図示の付勢部材により、図14に示すC1方向に付勢されている。
【0064】
生産工程では、先ずプロセスカートリッジ10が未装着の状態において、カートリッジ検知フラグ31は、図14に示す位置で画像形成装置100の一部に係止した状態となり、カートリッジ検知センサ30は透光状態を検知する(第一の検知状態)。そして、プロセスカートリッジ10を画像形成装置100に挿入し輸送状態とする時に、図7に示すドラム保護部材10bの一部に設けられた転写軸受押さえ部10hが、カートリッジ検知フラグ31を図15に示す位置にまで付勢する。これにより、カートリッジ検知フラグ31が回動し、プロセスカートリッジ10は透光状態を検知する(第一の検知状態)。この時、生産工程での作業もれ等で、プロセスカートリッジ10が輸送状態ではなく誤って使用状態で挿入されると、図16に示すように、カートリッジ検知センサ30は遮光状態を検知する(第二の検知状態)。従って、生産工程でプロセスカートリッジ10が正しく輸送状態で挿入されたかどうかを画像形成装置100に接続された確認用工具で確認することによって確実に輸送状態とすることが可能となる。
【0065】
次に、使用者が使用する際には、プロセスカートリッジが正常に挿入されると、挿入されたプロセスカートリッジ10の廃トナー容器10aの一部に、カートリッジ検知フラグ31が図16に示す位置で当接し、プロセスカートリッジ検知センサが遮光状態となる(第二の検知状態)。
【0066】
プロセスカートリッジ10が未装着の状態は前述したように透光状態となり、且つ、本実施例の形態では使用者が輸送状態とすることを防止した形態とされる。また、使用時は、プロセスカートリッジ10の装着有無を検知することが可能となり、その状況は画像形成装置に設けた表示部により使用者に伝えられる。
【0067】
以上説明したように、実施例3の形態では、画像形成装置100に設けたカートリッジ検知フラグ31と、カートリッジ検知センサ30を用いて、生産時にはプロセスカートリッジ10が使用状態ではなく輸送形態で正しく装着されたか否かを検知する。そして、使用時にはプロセスカートリッジが装着されたか否かを検知する構成とした。
【0068】
従って、生産時にプロセスカートリッジ10が輸送状態で正しく装着されたかどうかを、使用時のプロセスカートリッジ有無検知機構を使用して判別することが可能となる。そのため、実施例1及び実施例2に比較して、生産性に優れた画像形成装置を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0069】
9 カートリッジガイド
9a ドラム保護部材ガイド
9b ドラムガイド
10 プロセスカートリッジ
10a 廃トナー容器(カートリッジ枠体)
10b ドラム保護部材
10d 電子写真感光ドラム
10e 帯電ローラ
10f 現像ローラ
10g トナー容器(カートリッジ枠体)
10h 転写軸受押さえ部
10j、10k 廃トナー容器突起部
10m ドラム保護部材支持板
10n ドラム保護部材突起部
11 外装部材
12 転写ローラ付勢ばね
13 転写ローラ
14 転写ローラ軸受(転写支持部材)
15 定着器
17 カートリッジカバー
22 画像形成装置フレーム
22a 付勢用穴(右側板)
23 カートリッジ挿入軌跡
24 係止部材
24a 斜面部
24b 係止部
25 係止部材付勢ばね
26 係止部材付勢ばね支持板
27 係止部材
27a 係止部
27b 斜面部
28 解除工具
28a 先鋭形状軸体
29 解除工具ガイド
30 カートリッジ検知センサ
31 カートリッジ検知フラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真感光ドラムと、前記電子写真感光ドラムに作用するプロセス手段と、前記電子写真感光ドラムと前記プロセス手段が設けられたカートリッジ枠体と、前記カートリッジ枠体に設けられ前記電子写真感光ドラムを保護する保護位置と露出させる開口位置とに移動可能なドラム保護部材とが設けられ、画像形成装置に着脱可能なプロセスカートリッジと、
前記電子写真感光ドラムと当接し前記プロセス手段により前記電子写真感光ドラムに形成されたトナー像を記録材に転写する転写手段と、
前記転写手段を支持する転写支持部材と、
前記画像形成装置に対して前記プロセスカートリッジの挿入軌跡を決めるカートリッジガイドと、
が設けられた画像形成装置において、
前記ドラム保護部材に当接して係止する係止部が設けられた係止部材と、前記係止部材を前記ドラム保護部材に係止するように付勢する付勢部材とが設けられ、
前記プロセスカートリッジを前記画像形成装置に輸送状態として挿入する際は、前記係止部材を退避させつつ前記プロセスカートリッジを挿入し、前記ドラム保護部材が前記保護位置で前記転写支持部材と当接することにより、前記電子写真感光ドラムと前記転写手段を離間させ、
前記プロセスカートリッジを前記画像形成装置から取り出す際には、前記ドラム保護部材が前記係止部材に当接して前記係止部材を退避位置に移動して前記プロセスカートリッジの取り出しを可能とし、
前記プロセスカートリッジを前記画像形成装置に再挿入する際には、前記ドラム保護部材は前記係止部材の前記係止部で係止され前記開口位置となり、前記電子写真感光ドラムと前記転写手段が当接する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記プロセスカートリッジ挿入時に、前記ドラム保護部材が前記係止部材と当接しない位置にまで前記係止部材を付勢して退避位置に移動させるための付勢用穴を、前記プロセスカートリッジの挿入軌跡以外の場所に設けたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記プロセスカートリッジに当接し移動可能なカートリッジ検知フラグと、前記カートリッジ検知フラグの位置を検知する検知センサを設け、前記画像形成装置内にプロセスカートリッジが存在しない状態と前記輸送状態とを第一の検知状態として検知し、前記転写手段と前記電子写真感光ドラムとが当接した状態を第二の検知状態として検知することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記係止部材の係止部は、前記画像形成装置内部に設けられた前記ドラム保護部材をガイドするドラム保護部材ガイドの一部に位置して可触困難に設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−173326(P2012−173326A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32159(P2011−32159)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】