説明

画像形成装置

【課題】 本体フレームに対して着脱自在なベルトユニットのロック操作が失念されたまま誤って次の動作が行われることを、良好に防止すること。
【解決手段】 ロック部材は、画像形成装置の本体フレームと、ベルトユニットと、の固定状態を、互いに脱着不能に固定されたロック状態と、脱着容易なアンロック状態と、に切換可能に構成されている。検知手段は、ロック部材の操作状態がロック状態であるかアンロック状態であるかを検知する。報知手段は、ロック部材がアンロック状態であることが検知手段によって検知された場合に、異常を報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の記録媒体を搬送しつつ、当該記録媒体上に画像形成を行うように構成された、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置として、特開2007−101728号公報や特開2009−75402号公報等に開示されたものが知られている。かかる画像形成装置は、装置本体を構成する本体フレームに対して着脱自在なベルトユニットを備えている。このベルトユニットは、シート状の記録媒体(用紙)を搬送するための用紙搬送ベルト、あるいは、トナー像を記録媒体に転写するための中間転写ベルトを備えている。特開2007−101728号公報に開示された装置においては、本体フレームの所定位置にベルトユニットが載置された後、装置使用者がロック部材を操作することで、両者の確実な固定(ロック)及びその解除(アンロック)が行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種の画像形成装置において、装置使用者による装置メンテナンスの際に、ロック部材がアンロック操作されることがある。ここで、装置使用者がロック部材のロック操作を失念したままメンテナンスを終了した(カバー閉鎖等を行った)場合に、様々な不具合が生じるおそれがある。
【0004】
例えば、アンロック状態のままカバーが閉鎖されて画像形成動作が行われた場合、開始直後は正常な動作が行われたとしても、その後は用紙搬送や静電潜像の現像にズレが生じるのが通常である。あるいは、アンロック状態のままカバーが閉鎖されることで、装置本体内部の部材同士が干渉して不要な摩擦抵抗が生じる、これによりスムーズな動作が損なわれることもあり得る。
【0005】
本発明は、このような課題に対処するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、本体フレームに対して着脱自在なベルトユニットのロック操作が失念されたまま誤って次の動作が行われることを、良好に防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、シート状の記録媒体を搬送しつつ、当該記録媒体上に画像形成を行うように構成されている。この画像形成装置は、本体フレームと、ベルトユニットと、複数の画像形成部と、ロック部材と、検知手段と、報知手段と、を備えている。前記本体フレームは、当該画像形成装置の内部の各部を支持するように構成されている。
【0007】
前記ベルトユニットは、ベルトと、複数のベルト搬送ローラと、ベルトユニットフレームと、を備えている。前記ベルトユニットフレームは、前記本体フレームに対して着脱自在に構成されている。複数の前記ベルト搬送ローラは、前記ベルトユニットフレームに回転可能に支持されている。前記ベルトは、側面視にて閉曲線を構成するように無端状に形成されている。複数の前記ベルト搬送ローラは、前記ベルトを支持しつつ前記閉曲線に沿って当該ベルトの表面を移動させるように設けられている。
【0008】
前記画像形成部は、前記記録媒体に対して画像形成を行うために設けられていて、例えば、感光体ドラムを備えている。複数の前記画像形成部は、前記本体フレーム内にて前記ベルトの前記表面に沿って(例えば水平方向に沿って)配列されている。なお、複数の前記画像形成部は、前記本体フレームに対して着脱されることで交換可能に構成されていてもよい。
【0009】
前記ベルトユニットは、前記記録媒体を前記ベルトの前記表面上に担持しつつ複数の前記画像形成部の配列方向に沿って搬送するように設けられていてもよい。
【0010】
前記ベルトユニットは、複数の前記画像形成部の下方に配置されていてもよい。前記ベルトは、複数の前記ベルト搬送ローラに側面視にて略長円状に架け渡されていてもよい。
【0011】
複数の前記画像形成部の上方には、前記本体フレームに対して開閉可能な上部カバーが設けられていてもよい。この場合、具体的には、例えば、前記上部カバーは、複数の前記画像形成部の配列方向における一方の端部にて揺動可能に支持されている。また、前記上部カバーには、前記感光体ドラムを露光するための露光部が設けられていてもよい。
【0012】
前記ロック部材は、着脱切換部と、操作部と、を有している。前記着脱切換部は、前記ベルトユニットと前記本体フレームとの固定状態を、互いに脱着不能に固定されたロック状態と、脱着容易なアンロック状態と、に切換可能に構成されている。前記操作部は、前記ロック状態と前記アンロック状態との切換を行うために操作される部材であって、前記着脱切換部と一体に形成されている。例えば、前記操作部は、前記画像形成部に向けて突出するように設けられている。
【0013】
前記着脱切換部は、係合片を有していてもよい。この係合片は、前記ロック状態にて前記本体フレームと係合する一方で、前記アンロック状態にて前記本体フレームとの係合が解除されるように形成されている。具体的には、例えば、前記係合片は、前記アンロック状態にて前記本体フレームに設けられた係合穴に対して取出し可能に挿入されるとともに、前記ロック状態にて前記本体フレームにおける前記係合穴の周囲の部分と係合するように形成されている。この場合、前記ロック部材は、前記操作部が操作されて、前記係合穴を貫通する所定の回転中心軸を中心として回転することで、前記ロック状態と前記アンロック状態との切換を行うように構成されている。
【0014】
前記検知手段は、前記ロック部材の操作状態を検知するように設けられている。具体的には、例えば、前記係合片が、前記ロック状態にて前記本体フレームと係合した際に当該本体フレーム側にて所定の電気回路を形成するように設けられている場合、前記検知手段は、前記電気回路の形成状態に基づいて、前記操作状態を検知するように設けられている。前記報知手段は、前記ロック部材の前記操作状態が前記アンロック状態であることを前記検知手段が検知した場合に、異常を報知するように設けられている。
【発明の効果】
【0015】
かかる構成を有する本発明の画像形成装置においては、前記検知手段によって、前記ロック部材が前記ロック状態であるか前記アンロック状態であるかが検知される。前記報知手段は、前記ロック部材が前記アンロック状態であることが前記検知手段によって検知された場合に、異常を報知する。よって、前記アンロック状態が維持されたまま誤って次の動作が行われることが、良好に防止される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置であるレーザープリンタの全体構成を示す概略図である。
【図2】図1における(ii)に示されているロック部材の周辺の構成を拡大して示す図である。
【図3】図2に示されているロック部材の操作状態を示す図である。
【図4】図3に示されているロック部材の状態を検知するための構成を示す概略図である。
【図5】図4に示されているロック部材の周辺の構成の一変形例を示す概略図である。
【図6】図4に示されているロック部材の周辺の構成の他の変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
<レーザープリンタの全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置であるレーザープリンタ1の全体構成を示す概略図である。ここで、図1における(i)は、レーザープリンタ1の側断面図を示している。このレーザープリンタ1は、その内部にて、シート状の記録媒体である用紙Pを用紙搬送経路PP(paper path)に沿って搬送しつつ、当該用紙P上に、微粉末状の乾式現像剤としての非磁性一成分トナーによる像(以下、「トナー像」と称する。)を形成するように構成されている。
【0019】
なお、以下の説明では、図1における(i)にて、用紙搬送経路PPに沿って用紙Pが搬送される方向(すなわち用紙搬送経路PPの任意の位置における接線方向)を、「用紙搬送方向」と称する。また、同図中右側を「前側」と称し、図中左側を「後側」と称する。よって、同図中の左右方向がレーザープリンタ1の前後方向となる。さらに、同図中の左右方向及び上下方向と垂直な方向(レーザープリンタ1の上述の前後方向及び高さ方向と垂直な方向)である、レーザープリンタ1の幅方向を、「用紙幅方向」と称する。この用紙幅方向は、用紙搬送方向及び用紙Pの厚さ方向と垂直な方向である。また、この用紙幅方向は、「主走査方向」とも称される。
【0020】
図1における(i)を参照すると、レーザープリンタ1は、転写ユニット2と、用紙カセット3と、画像形成ユニット4と、を備えている。転写ユニット2は、用紙カセット3の上方且つ画像形成ユニット4よりも下方に配置されている。
【0021】
画像形成ユニット4は、側断面視にて前後方向に沿って水平に配列された複数の画像形成部4a(4Y,4M,4C,4K)と、これらを支持する画像形成ユニットフレーム4bと、を備えている。すなわち、複数の画像形成部4Y、4M、4C、及び4Kは、用紙搬送方向について、この順で配列されている。画像形成部4Y、4M、4C、及び4Kは、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックのトナーによるトナー像を形成するように構成されている。
【0022】
画像形成部4aは、感光体ドラム4cと、帯電器4dと、プロセスカートリッジ4eと、を備えている。複数の感光体ドラム4cは、互いに平行に設けられている。感光体ドラム4cは、その外周部に感光体層が形成された、円筒形状の部材であって、画像形成ユニットフレーム4bによって回転可能に支持されている。すなわち、感光体ドラム4cは、用紙幅方向と平行な軸を中心として回転駆動されることで、その周面である静電潜像担持面が用紙幅方向と直交する方向に移動するようなっている。
【0023】
感光体ドラム4cは、転写ユニット2と対向するように配置されている。すなわち、複数の感光体ドラム4cは、用紙搬送経路PPにおける側断面視にて前後方向に沿って水平に形成されている箇所と対向するように配置されている。帯電器4dは、当該静電潜像担持面を一様に帯電させるために、当該静電潜像担持面と対向する位置にて画像形成ユニットフレーム4bに装着されている。
【0024】
プロセスカートリッジ4eは、画像形成ユニットフレーム4bに対して着脱自在に構成されている。プロセスカートリッジ4eには、各色のトナーが収容されている。このプロセスカートリッジ4eは、感光体ドラム4cにおける用紙搬送経路と対向する部分とは反対側の部分と対向するように装着されることで、感光体ドラム4cの周面である静電潜像担持面に形成された静電潜像をトナーによって現像するように構成されている。
【0025】
転写ユニット2、用紙カセット3、及び画像形成ユニット4(画像形成ユニットフレーム4b)は、レーザープリンタ1の本体部10に対して着脱自在(容易に着脱可能)に構成されている。本実施形態においては、複数の画像形成部4a(4Y,4M,4C,4K)は、本体部10に対して一体的に着脱されるようになっている。具体的には、本体部10は、本体フレーム11を備えている。本体フレーム11は、金属製の板材からなる箱状の部材であって、上述の各ユニット等を着脱自在に支持するとともに、画像形成に用いられる他の機構部分を固定的に支持するように構成されている。
【0026】
用紙カセット3は、本体部10の下方に設けられていて、前後方向にスライドさせることで本体部10(本体フレーム11)に対して脱着自在に装着されている。この用紙カセット3内には、多数枚のシート状の用紙Pが、積載状態で収容されている。画像形成ユニットフレーム4bは、転写ユニット2の上方にて、本体フレーム11に対して着脱自在に構成されている。
【0027】
本発明の「ベルトユニット」に相当する転写ユニット2は、用紙カセット3の上方且つ画像形成ユニット4の下方に配置されている。この転写ユニット2は、本体部10から画像形成ユニット4(画像形成ユニットフレーム4b)が取り外された状態で、上下方向に沿って着脱されるように構成されている。
【0028】
図1における(ii)は、本体フレーム11及びこれに装着された転写ユニット2の外観を示す斜視図である。この図に示されているように、本体フレーム11は、一対の転写ユニット支持舌片11aを有している。転写ユニット支持舌片11aは、転写ユニット2を支持するために水平面と平行に設けられた平板状の部材であって、本体フレーム11の他の部分と継ぎ目なく一体に形成されている。
【0029】
本体フレーム11は、ケーシング12によって覆われている。ケーシング12は、転写ユニット2や画像形成ユニット4(プロセスカートリッジ4e)の着脱の際に開閉される上部カバー12aを有している。この上部カバー12aは、ケーシング12の後端部に設けられたヒンジ12bを中心として回動(揺動)可能に支持されている。また、上部カバー12aには、本発明の「報知手段」に相当する表示部13が設けられている。
【0030】
本体部10内には、給紙部14と、露光部15と、定着部16と、排紙部17と、が設けられている。給紙部14は、用紙カセット3に積載されている多数枚の用紙Pのうちの最上位のものをピックアップするとともに、ピックアップされた当該用紙Pを転写ユニット2と画像形成ユニット4との間に向けて搬送するように構成されている。
【0031】
露光部15は、画像情報に対応して変調された(ON/OFFが制御された)所定波長のレーザー光を発生するとともに、当該レーザー光を感光体ドラム4cに照射するように、画像形成ユニット4の上方の上部カバー12aに設けられている。定着部16は、転写ユニット2と画像形成ユニット4とが対向する位置にてトナー像が転写された用紙Pを加圧及び加熱することで、当該用紙P上にトナー像を定着させるように、当該位置よりも用紙搬送方向における下流側に設けられている。排紙部17は、定着部16を経てトナーが定着された用紙Pを、本体部10の外部に排出するように、定着部よりも用紙搬送方向における下流側に設けられている。
【0032】
<転写ユニットの詳細な構成>
転写ユニット2は、転写ユニットフレーム20を備えている。転写ユニットフレーム20は、金属製の板材からなる、平面視にて略矩形状に形成された部材であって、本体フレーム11に対して着脱自在に構成されている。転写ユニットフレーム20の用紙幅方向における両端部であって、転写ユニット支持舌片11aに対して上方にて対向する位置には、被支持舌片20aが形成されている。被支持舌片20aは、転写ユニットフレーム20が本体フレーム11に載置された際に、転写ユニット支持舌片11aと当接しつつ重なるように設けられている。
【0033】
図1における(ii)に示されているように、転写ユニット支持舌片11aと被支持舌片20aとが積層された位置には、ロック部材21が脱着可能に装着されている。このロック部材21は、転写ユニット2と本体フレーム11との固定状態を、互いに脱着不能に固定されたロック状態と、脱着容易なアンロック状態と、に切換可能に構成されている。このロック部材21の構成の詳細は後述する。
【0034】
転写ユニット2は、上述のように配列された複数の画像形成部4a(4Y,4M,4C,4K)の各々と対向するように設けられている。この転写ユニット2は、用紙搬送経路PPにおける上述の側断面視にて水平に形成されている箇所に沿って用紙Pを後方に搬送しつつ、各画像形成部4aから用紙Pにトナー像を転写するように構成されている。具体的には、転写ユニットフレーム20には、複数の転写ローラ22と、一対のベルト搬送ローラ23と、一本の用紙搬送ベルト24と、が支持されている。
【0035】
転写ローラ22は、用紙幅方向と平行に配置されていて、当該用紙幅方向と平行な軸を中心として回転自在に支持されている。また、転写ローラ22は、トナーを用紙P側に静電気的に引きつけるための所定のバイアス電圧が印加されるように、所定の電源(図示せず)と接続されている。この転写ローラ22は、感光体ドラム4cと、用紙搬送経路PPを挟んで対向するように設けられている。すなわち、本実施形態においては、画像形成部4aの数と同数の複数の転写ローラ22が、用紙搬送経路PPにおける、上述のように側断面視にて前後方向に沿って水平に形成されている箇所に沿って配列されている。
【0036】
一対のベルト搬送ローラ23のうちの一方は、最上流側に位置する画像形成部4Yと対向する転写ローラ22よりも、用紙搬送方向におけるさらに上流側に配置されている。一対のベルト搬送ローラ23のうちの他方は、最下流側に位置する画像形成部4Kと対向する転写ローラ22よりも、用紙搬送方向におけるさらに下流側に配置されている。一対のベルト搬送ローラ23は、それぞれ、用紙幅方向と平行に配置されていて、当該用紙幅方向と平行な軸を中心として回転可能に支持されている。そして、一対のベルト搬送ローラ23における前記一方又は他方は、モータ(図示せず)等の駆動源によって回転駆動されるようになっている。
【0037】
用紙搬送ベルト24は、側面視にて閉曲線を構成するように無端状に形成されていて、その内側表面が転写ローラ22の周面と接触するように、一対のベルト搬送ローラ23に架け渡されている。用紙搬送ベルト24の、一対のベルト搬送ローラ23の間で複数の転写ローラ22に沿って配置された部分の外側表面は、画像形成部4Y、4M、4C、及び4Kにそれぞれ設けられた感光体ドラム4cと、用紙搬送経路PPを挟んで対向するように設けられている。かかる部分は、用紙搬送経路PPにおける、上述のように側断面視にて前後方向に沿って水平に形成されている箇所を構成するように、略平面状に架設されている。そして、この用紙搬送ベルト24は、一対のベルト搬送ローラ23の回転駆動によって、その外側表面が側断面視にて略長円状の軌道上を移動するようになっている。
【0038】
このように、転写ユニット2は、用紙Pを用紙搬送ベルト24の外側表面上に担持しつつ複数の複数の画像形成部4aの配列方向に沿って搬送するように構成されている。
【0039】
<ロック部材>
図2は、図1における(ii)に示されているロック部材21の周辺の構成を拡大して示す図である。ここで、図2における(i)は、ロック部材21の拡大斜視図であり、(ii)は、かかるロック部材21が装着される転写ユニット支持舌片11a及び被支持舌片20aを拡大した平面図である。
【0040】
以下図2を参照すると、ロック部材21は、操作部211と、一対の着脱切換部212と、を有している。操作部211は、上述のロック状態とアンロック状態との切換を行うために操作される板状の部材であって、一対の着脱切換部212と一体に形成されている。なお、本実施形態においては、ロック部材21は、導電性を有する合成樹脂によって、一体成形されている。また、図1に示されているように、操作部211は、画像形成ユニット4に向けて突出するように設けられている。着脱切換部212は、操作部211の下端部に且つ幅方向における両端部に設けられている。
【0041】
着脱切換部212は、転写ユニット支持舌片11a及び被支持舌片20aを貫通するように設けられた係合穴H(同図における(ii)参照)に挿入された状態で、操作部211が操作されることで、転写ユニットフレーム20と本体フレーム11との固定状態を、上述ロック状態とアンロック状態とに切換可能に構成されている。具体的には、着脱切換部212は、脚部212aと、係合片212bと、を有している。
【0042】
脚部212aは、操作部211の下端部から下方に延出するように設けられた棒状部材であって、弾性変形可能に形成されている。係合片212bは、脚部212aの上部から水平方向に延出するように設けられた板状部材である。本実施形態においては、着脱切換部212は、鉛直方向と平行なロック部材21の回転中心軸Cに対して対称に形成されている。
【0043】
図3は、図2に示されているロック部材21の操作状態を示す図である。図3に示されているように、係合片212bは、アンロック状態(同図における(i)参照)にて係合穴Hに挿入された後、操作部211が操作されて上述の回転中心軸Cを中心として回転することでロック状態(図3における(iii)参照)となった際に、転写ユニット支持舌片11aにおける係合穴Hの周囲の部分と係合するように形成されている。なお、一対の脚部212aは、ロック状態とアンロック状態との中間の状態にて図3における(ii)に示されているように内側に弾性変形することで、ロック状態とアンロック状態との間で操作上のクリック感を生じさせるように配置されている。
【0044】
<検知機構>
図4は、図3に示されているロック部材21の状態を検知するための構成を示す概略図である。図4に示されているように、本実施形態においては、本体フレーム11内であって、転写ユニット支持舌片11aの下方には、本体フレーム11内の他の部材(例えば図1における(i)に示されている定着部16等)を接地するための金属製の板状部材であるアース経路部材501及び502が設けられている。アース経路部材501は、接地されている。アース経路部材501とアース経路部材502との間には、ロック部材21における着脱切換部212を貫通させるように、ギャップ503が設けられている。
【0045】
図4に示されているように、ロック部材21は、ロック状態(図中(ii)参照)にて一対の脚部212aがアース経路部材501とアース経路部材502とにそれぞれ当接することでアース経路部材501とアース経路部材502との電気的接続を形成する一方、アンロック状態(図中(i)参照)にて一対の脚部212aがアース経路部材501及びアース経路部材502から離隔することでアース経路部材501とアース経路部材502との電気的接続を遮断するようになっている。そして、かかる電気的接続が形成されたか否かを検知するための検知手段504(例えば電流検知手段)が、アース経路部材501及びアース経路部材502によって構成されるアース経路に介装されている。
【0046】
<実施形態の構成による作用・効果>
かかる構成においては、ロック状態にて、図3における(iii)に示されているように、係合片212bが転写ユニット支持舌片11aにおける係合穴Hの周囲の部分と係合する。これにより、転写ユニットフレーム20(転写ユニット2)と本体フレーム11とが良好に固定される。このとき、図4における(ii)に示されているように、一対の脚部212aがアース経路部材501及びアース経路部材502にそれぞれ当接することで、アース経路部材501とアース経路部材502との電気的接続が形成される。
【0047】
これに対し、アンロック状態においては、図3における(i)に示されているように、係合片212bと転写ユニット支持舌片11aにおける係合穴Hの周囲の部分との係合が解除される。これにより、転写ユニットフレーム20(転写ユニット2)を本体フレーム11から簡易に脱着することができるようになる(但し、この状態においても、本体フレーム11に転写ユニット2が載置されている状態には変わりがない。)。このとき、図4における(i)に示されているように、一対の脚部212aがアース経路部材501及びアース経路部材502から離隔することで、アース経路部材501とアース経路部材502との電気的接続が遮断される。
【0048】
検知手段504は、アース経路部材501とアース経路部材502との電気的接続が形成されているか遮断されているかを検知することで、ロック部材21の操作状態を検知する。かかる検知結果は、図1における(i)に示されている表示部13に表示される。よって、例えば、アンロック状態のまま、上部カバー12aが閉じられようとしたり、画像形成動作の開始指示があったりした際に、表示部13によってエラー報知が行われる。
【0049】
よって、かかる構成によれば、アンロック状態のまま上部カバー12aが完全に閉じられることで操作部211と画像形成ユニット4とが干渉することが、効果的に防止される。あるいは、かかる構成によれば、アンロック状態のまま画像形成動作が行われることによる、画像形成途中の転写ユニット2の本体フレーム11に対する微小な位置ずれに起因する色ずれ等の画像形成不良の発生が、効果的に防止される。
【0050】
<変形例の例示>
なお、上述の実施形態は、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の代表的な実施形態を、単に例示したものにすぎない。よって、本発明はもとより上述の実施形態に何ら限定されるものではない。したがって、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、上述の実施形態に対して種々の変形が施され得ることは、当然である。
【0051】
以下、代表的な変形例について、幾つか例示する。もっとも、言うまでもなく、変形例とて、以下に列挙されたものに限定されるものではない。また、実施形態や変形例の、全部又は一部が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、互いに複合的に適用され得る。本発明(特に、本発明の課題を解決するための手段を構成する各構成要素における、作用的・機能的に表現されているもの)は、上述の実施形態や、下記変形例の記載に基づいて限定解釈されてはならない。このような限定解釈は、(先願主義の下で出願を急ぐ)出願人の利益を不当に害する反面、模倣者を不当に利するものであって、許されない。
【0052】
本発明の適用対象は、多色画像形成可能なレーザープリンタに限定されない。例えば、本発明は、単色のレーザープリンタや、単色及びカラーの複写機等の、いわゆる電子写真方式の画像形成装置に対して、好適に適用され得る。また、本発明は、感光体を用いない方式(マルチスタイラス電極方式、イオンフロー方式、トナージェット方式、等)の画像形成装置における、現像剤供給装置に対しても、好適に適用され得る。
【0053】
複数の画像形成部4a(4Y,4M,4C,4K)が、本体部10に対して一体的に着脱されるのではなく、個別に着脱可能であってもよい。
【0054】
ロック部材21は、転写ユニット2が本体フレーム11に着脱される際に、転写ユニット2が本体フレーム11上に載置されてから係合穴Hに装着されるものであってもよいし、予め転写ユニットフレーム20(被支持舌片20a)側に装着されていてもよい。
【0055】
図5は、図4に示されているロック部材21の周辺の構成の一変形例を示す概略図である。図5に示されているように、ロック部材21は、転写ローラ22への転写バイアスの給電回路中に介装されていてもよい。この場合、ロック部材21の一対の脚部212aにおける一方は、ロック状態(図中(ii)参照)にて転写ローラシャフトSと当接するように設けられているとともに、他方は、本体フレーム11に設けられた給電部材505と当接するように設けられている。
【0056】
かかる構成においては、アンロック状態(図中(i)参照)にて、ロック部材21の一対の脚部212aが、転写ローラシャフトS及び給電部材505から離隔する。この場合、給電部材505から転写ローラ22への転写バイアスの給電回路が遮断される。一方、ロック状態(図中(ii)参照)にて、ロック部材21の一対の脚部212aが、転写ローラシャフトS及び給電部材505にそれぞれ当接する。この場合、給電部材505から転写ローラ22への転写バイアスの給電回路が形成される。検知手段504は、かかる給電回路が形成されたか遮断されたかを検知する。
【0057】
図6は、図4に示されているロック部材21の周辺の構成の他の変形例を示す概略図である。図6に示されているように、検知手段506は、光学的検知手段であってもよい。この場合、図6に示されているように、かかる検知手段506は、色ずれ補正用のレジストレーションマークを検出するための、いわゆる「レジセンサ」を兼ねるものであってもよい。
【0058】
具体的には、図6に示されているように、検知手段506は、用紙搬送ベルト24のベルト搬送ローラ23に巻回されて略半円筒状になった部分の周面であって、用紙幅方向における端部を測定用ビーム(図中破線参照)によって照射するとともに、その反射光を検知するように設けられている。
【0059】
また、用紙幅方向と平行な軸を中心として揺動する部材である揺動レバー507が、検知手段506の近傍に配置されている。揺動レバー507は、第一腕部507aと、この第一腕部507aの先端に設けられた遮断部507bと、第一腕部507aの基端に接続された第二腕部507cと、を有している。この揺動レバー507は、第一腕部507aと第二腕部507cとの接続位置を中心として揺動可能に支持されている。
【0060】
揺動レバー507は、ロック状態(図中(ii)参照)にて脚部212aにより付勢バネ508を介して第二腕部507cが付勢されることで遮断部507bが上述の測定用ビームの光路を遮断しないレジストレーション位置に配置される一方、アンロック状態(図中(i)参照)にて第二腕部507cの付勢が解除されることで遮断部507bが上述の測定用ビームの光路を遮断する遮断位置に配置されるように、構成及び配置されている。
【0061】
かかる構成においては、ロック状態(図中(ii)参照)にて、脚部212aにより付勢バネ508を介して第二腕部507cが付勢されることで、遮断部507bの位置が、上述の測定用ビームの光路を遮断しないレジストレーション位置となる。このとき、検知手段506による反射光の検知が可能になる。一方、アンロック状態(図中(i)参照)にて、脚部212aによる第二腕部507cの付勢が解除されることで、遮断部507bの位置が、上述の測定用ビームの光路を遮断する遮断位置となる。このとき、検知手段506による反射光の検知ができなくなる。よって、検知手段506による検知レベルに基づいて、ロック部材21の操作状態が良好に検知される。
【0062】
上述の実施形態における用紙搬送ベルト24に代えて、トナー像をその表面に担持可能な、中間転写ベルトあるいは感光体ベルトが用いられていてもよい。この場合、プロセスカートリッジ4eや給紙部14の構成、定着部16や排紙部17の配置、及びこれらに基づく用紙搬送経路PPの態様は、上述の実施形態におけるものから適宜変更される。
【0063】
その他、特段に言及されていない変形例についても、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、本発明の技術的範囲に含まれることは当然である。また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。さらに、本明細書にて引用した他の出願や公報の内容(明細書及び図面を含む)は、本明細書の一部を構成するものとして、必要に応じて且つ技術的に矛盾しない範囲内において援用され得る。
【符号の説明】
【0064】
1 レーザープリンタ 10 本体部
11 本体フレーム 11a 転写ユニット支持舌片
12 ケーシング 12a 上部カバー
13 表示部 14 給紙部
15 露光部 16 定着部
17 排紙部
2 転写ユニット 20 転写ユニットフレーム
20a 被支持舌片
21 ロック部材 211 操作部
212 着脱切換部 212a 脚部
212b 係合片
22 転写ローラ 23 ベルト搬送ローラ
24 用紙搬送ベルト
4 画像形成ユニット 4a 画像形成部
4b 画像形成ユニットフレーム 4c 感光体ドラム
4d 帯電器 4e プロセスカートリッジ
501 アース経路部材 502 アース経路部材
503 ギャップ 504 検知手段
505 給電部材
506 検知手段 507 揺動レバー
507a 第一腕部 507b 遮断部
507c 第二腕部 508 付勢バネ
H 係合穴 P 用紙
PP 用紙搬送経路 S 転写ローラシャフト
【先行技術文献】
【特許文献】
【0065】
【特許文献1】特開2007−101728号公報
【特許文献2】特開2009−75402号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の記録媒体を搬送しつつ、当該記録媒体上に画像形成を行うように構成された、画像形成装置において、
当該画像形成装置の内部の各部を支持する、本体フレームと、
側面視にて閉曲線を構成するように無端状に形成されたベルトと、当該ベルトを支持しつつ前記閉曲線に沿って当該ベルトの表面を移動させるための複数のベルト搬送ローラと、これら複数のベルト搬送ローラを回転可能に支持するとともに前記本体フレームに対して着脱自在に構成されたベルトユニットフレームと、を有する、ベルトユニットと、
前記記録媒体に対して画像形成を行うために、前記本体フレーム内にて前記ベルトの前記表面に沿って配列された、複数の画像形成部と、
前記ベルトユニットと前記本体フレームとの固定状態を互いに脱着不能に固定されたロック状態と脱着容易なアンロック状態とに切換可能に構成された着脱切換部と、この着脱切換部と一体に形成されていて前記ロック状態と前記アンロック状態との切換を行うために操作される操作部と、を有する、ロック部材と、
前記ロック部材の操作状態を検知する、検知手段と、
前記ロック部材の前記操作状態が前記アンロック状態であることを前記検知手段が検知した場合に、異常を報知する、報知手段と、
を備えたことを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の、画像形成装置であって、
前記操作部は、前記画像形成部に向けて突出するように設けられたことを特徴とする、画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の、画像形成装置であって、
前記着脱切換部は、前記ロック状態にて前記本体フレームと係合する一方で前記アンロック状態にて前記本体フレームとの係合が解除される係合片を有することを特徴とする、画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の、画像形成装置であって、
前記係合片は、前記アンロック状態にて前記本体フレームに設けられた係合穴に対して取出し可能に挿入されるとともに、前記ロック状態にて前記本体フレームにおける前記係合穴の周囲の部分と係合するように形成されていて、
前記ロック部材は、前記操作部が操作されて、前記係合穴を貫通する所定の回転中心軸を中心として回転することで、前記ロック状態と前記アンロック状態との切換を行うように構成されたことを特徴とする、画像形成装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の、画像形成装置であって、
前記係合片は、前記ロック状態にて前記本体フレームと係合した際に、当該本体フレーム側にて所定の電気回路を形成するように設けられ、
前記検知手段は、前記電気回路の形成状態に基づいて、前記操作状態を検知するように構成されたことを特徴とする、画像形成装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のうちのいずれか1項に記載の、画像形成装置であって、
複数の前記画像形成部は、水平方向に沿って配列され、
前記ベルトユニットは、複数の前記画像形成部の下方に配置され、
前記ベルトは、複数の前記ベルト搬送ローラに側面視にて略長円状に架け渡されていることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載の、画像形成装置において、
複数の前記画像形成部の上方にて、前記本体フレームに対して開閉可能に設けられた、上部カバーをさらに備えたことを特徴とする、画像形成装置。
【請求項8】
請求項7に記載の、画像形成装置であって、
前記上部カバーは、複数の前記画像形成部の配列方向における一方の端部にて揺動可能に支持されていることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の、画像形成装置であって、
前記画像形成部は、感光体ドラムを備え、
前記上部カバーには、前記感光体ドラムを露光するための露光部が設けられたことを特徴とする、画像形成装置。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のうちのいずれか1項に記載の、画像形成装置であって、
複数の前記画像形成部は、前記本体フレームに対して着脱されることで交換可能に構成されたことを特徴とする、画像形成装置。
【請求項11】
請求項1〜請求項10のうちのいずれか1項に記載の、画像形成装置であって、
前記ベルトユニットは、前記記録媒体を前記ベルトの前記表面上に担持しつつ複数の前記画像形成部の配列方向に沿って搬送するように設けられたことを特徴とする、画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−181464(P2012−181464A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45806(P2011−45806)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】