説明

画像形成装置

【課題】ヘッドアレイ両端の画像濃度差の上昇を抑えてヘッドの繋ぎ目のバンディングを低減することができない。
【解決手段】ヘッド101Aは左右端で明度差|ΔEa|があり、同様に、ヘッド101Bは明度差|ΔEb|があり、ヘッド101Cは明度差|ΔEc|があり、ヘッド101Dは明度差|ΔEd|があることから、ヘッド101Aの明度が高い端のノズルとヘッド101Bの明度が高い端のノズルが隣接し、ヘッド101Bの明度が低い端のノズルとヘッド101Cの明度が低い端のノズルが隣接し、ヘッド101Cの明度が高い端のノズルとヘッド101Dの明度が高い端のノズルが隣接して、ヘッド101Aないし101Dを配置することで、ヘッドアレイ全体での明度差は|ΔEmax|とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、特に複数のヘッドが配列された液体吐出ヘッドアレイを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙などとも称される。)に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、液体吐出記録方式の「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0004】
ところで、ライン型画像形成装置で使用するライン型ヘッドとして、複数のヘッドをノズル配列方向に千鳥状に配列したヘッド列を備える液体吐出ヘッドアレイ(以下、単に「ヘッドアレイ」という。)が使用される。このようなヘッドアレイにおいて、個々のヘッドの組み付けコストを抑えるために、繋ぎ合わせるそれぞれのヘッド自体も長尺化が図られている。
【0005】
しかしながら、ヘッドの長尺化を進めると、各ヘッドで印写する画像濃度のヘッド内分布においてヘッド両端の濃度差が大きくなるという新たな問題が生じる。このような濃度差が生じる要因としては各ノズルから吐出される液滴の径にムラがあることが挙げられる。
【0006】
すなわち、例えば、図11(a)に示すように、ヘッド1001のノズルから液滴1002を吐出したとき、ノズル列の一端から他端にかけて液滴1002の径にムラが発生し、例えば、同図(b)に示すように、一端のノズルから吐出された液滴1002の径D1と、他端のノズルから吐出された液滴1002の径D2との間で、D1>D2となる。この結果、例えば、図12に示すようにヘッド内のノズル位置によって当該ノズルから吐出された液滴によって形成される画像(ドット)の明度が異なる。
【0007】
なお、このような1つのヘッド内における明度差(これを「濃度差」ともいう。)の問題は、ヘッドの長尺化によって、ヘッド内公差の積み上げ値が大きくなるため、ヘッド内の各部品の接合等にずれが生じることが要因の1つである。
【0008】
そして、ヘッドアレイでは、上述したようにノズル配列方向の両端で濃度の異なる複数のヘッドを組み合わせて用いるため、ヘッド間の繋ぎ目で濃度が異なりバンディングが発生し、画質が低下することになる。
【0009】
そこで、従来、ヘッドアレイに隣接して組み込まれるヘッドごとの濃度の差によるバンディングの発生を防ぐために、ヘッドの繋ぎ目の濃度を合わせるように駆動電圧を調整すること(電圧補正という。)が一般的に行われている。
【0010】
例えば、3個のヘッドを使用して上記電圧補正を行う例について図13及び図14を参照して説明する。
この例では、3個のヘッドA、B、Cは、それぞれノズル配列方向(ノズル列方向ともいう。)で図13に示すような明度勾配(これを「濃度勾配」という。)を有している。このとき、隣り合うヘッドAとB、BとCの配置において、ヘッドAの明度が高い端とヘッドBの明度が低い端、ヘッドBの明度が高い端とヘッドCの明度が低い端が隣接した場合、ヘッドの繋ぎ目では明度差はそれぞれΔEab、ΔEbcとなる。なお、ヘッドアレイ全体での明度差はΔEmaxとなる。
【0011】
そこで、図14に示すように、電圧補正を行うことで、ヘッドAの明度を全体的に下げ、ヘッドCの明度を全体的に上げることができ、これによりヘッドの繋ぎ目における明度差を低減することができる。
【0012】
しかしながら、繋ぎ目での明度差は低減できるものの、このような電圧補正では記録領域全体の濃度差ΔEmaxは逆に大きくなってしまい、画像全体の濃度むらを生じ画質低下を引き起こす。
【0013】
この場合、ヘッドの両端に濃度差がないヘッドを選別して使用し、さらに電圧補正を行うことで、ヘッドアレイ両端の濃度差を抑えることはできるが、この方法では選別から漏れたヘッドを製品に使用できないため、ヘッドアレイ製造時の歩留まりが低下することで製造コストが高くなるという問題が生じる。更にヘッドの長尺化が進むと、選別から漏れるヘッドが増え、製造コストは一段と上昇してしまうことになる。
【0014】
そこで、従前、印字ヘッドを構成する複数のノズルモジュールのうち、ドット印字精度が最も良好なノズルモジュールをバンディング現象が目立ちやすく、かつ他のインクを組み合わせて得られるブラックなどの特定色用のノズルモジュールとして利用すると共に、その特定色が最大限利用されるように色使用比率を調整することで、バンディング現象による白スジや濃いスジが解消または殆ど目立たなくするものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2006−297732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述した特許文献1に開示に構成にあっては、バンディングをより目立たなくすることはできるものの、上記構成を適用するためには、ヘッド内の印写濃度が均一で、左右端(ノズル配列方向両端)の濃度に差がないヘッドを、ある程度の割合で確保しなければならない。そして、例えば、CMYKの4色のインクを用いる画像形成装置の場合は4分の1以上、モノクロ画像形成装置など、1種類の液体しか吐出しないが造形性装置の場合は、全てのヘッドが左右端濃度差の無いものでなくてはならなくなる。さらに、上記構成にあっては、特定の色についてのみヘッドアレイ両端の濃度差を小さくすることはできるが、その色があまり使用されない画像ではヘッドアレイ両端の濃度差が大きくなってしまうという課題がある。
【0017】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、ヘッドアレイ両端の画像濃度差を大きくすることなく、ヘッドの繋ぎ目のバンディングを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の課題を解決するために、本発明に係る液体吐出ヘッドアレイは、
液滴を吐出する複数のノズルを配列したノズル列を有する複数のヘッドがノズル配列方向に千鳥状に配列された少なくとも1つのヘッド列を備える液体吐出ヘッドアレイを備えた画像形成装置であって、
前記ヘッドは、前記ノズル列の一端のノズルから吐出される液滴で形成される画像濃度と他端のノズルから吐出される液滴で形成される画像濃度との間に濃度差があり、
記録領域に配置される前記ヘッドの全てが、前記濃度が高いノズル同士又は濃度が低いノズル同士が隣接して液体吐出ヘッドアレイに配置されている
構成とした。
【0019】
ここで、前記記録領域は、液体吐出ヘッドアレイで記録が行われる記録媒体の中で最小の記録媒体の記録領域である構成とできる。
【0020】
また、隣接する2つのヘッドの繋ぎ目の濃度差が、CIELAB色空間における明度の値で1.0以内である構成とできる。
【0021】
また、少なくとも2列の前記ヘッド列がノズル配列方向と直交する方向に配置され、
一方のヘッド列における隣り合うヘッドの前記濃度差の関係と、他方のヘッド列における隣り合うヘッドの前記濃度差の関係が逆である
構成とできる。
【0022】
また、ノズル列の両端における濃度差が、CIELAB色空間における明度の値で1.5以上であるヘッドに隣接するヘッドのみが、前記濃度差が、前記明度の値で1.5以上であるヘッドに対し、前記濃度が高いノズル同士又は濃度が低いノズル同士が隣接する関係で配置されている構成とできる。
【0023】
また、異なる色の液滴を吐出させる複数のヘッド列を有し、
前記異なる色のうちの他の色に対して濃度の高い色の液滴を吐出させるヘッド列は、少なくとも2つの隣り合う前記ヘッドが、前記ノズル配列方向における濃度が高いノズル同士又は濃度が低いノズル同士が隣接して配置されている
構成とできる。
【0024】
また、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色の液滴を吐出する4列のヘッド列を有し、
ブラック、又は、ブラック及びシアンの液滴を吐出するヘッド列は、少なくとも2つの隣り合う前記ヘッドが、前記ノズル配列方向における濃度が高いノズル同士又は濃度が低いノズル同士が隣接して配置されている
構成とできる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る画像形成装置によれば、ヘッドは、ノズル列の一端のノズルから吐出される液滴で形成される画像濃度と他端のノズルから吐出される液滴で形成される画像濃度との間に濃度差があり、記録領域に配置されるヘッドの全てが、濃度が高いノズル同士又は濃度が低いノズル同士が隣接して液体吐出ヘッドアレイに配置されている構成としたので、ヘッドアレイ両端の画像濃度差の上昇を抑えてヘッドの繋ぎ目のバンディングを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態におけるヘッドアレイの平面説明図である。
【図2】(a)は1つのヘッドの平面説明図、(b)は同じく正面説明図である。
【図3】同じく図2(a)のA−A線に沿う液室長手方向(ノズル配列方向と直交する方向)に沿う断面説明図である。
【図4】同実施形態のノズル列方向の位置と明度の関係を説明する説明図である。
【図5】本発明の第2実施形態のノズル列方向の位置と明度の関係を説明する説明図である。
【図6】本発明の第3実施形態におけるヘッドアレイの平面説明図である。
【図7】同実施形態のノズル列方向の位置と明度の関係を説明する説明図である。
【図8】本発明の第4実施形態のノズル列方向の位置と明度の関係を説明する説明図である。
【図9】本発明の第7実施形態のノズル列方向の位置と明度の関係を説明する説明図である。
【図10】本発明に係る画像形成装置の全体構成の一例を示す概略構成図である。
【図11】ヘッド内明度分布の説明に供するヘッドから吐出される液滴の径の変化を示す説明図である。
【図12】ヘッド内明度分布の一例を説明する説明図である。
【図13】比較例のノズル列方向の位置と明度の関係を説明する説明図である。
【図14】同じく電圧補正を行ったときのノズル列方向の位置と明度の関係を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明の第1実施形態におけるヘッドアレイについて図1を参照して説明する。なお、図1は同ヘッドアレイの平面説明図である。
このヘッドアレイ100は、複数のヘッド101A〜101D(区別しないときは、「ヘッド101」という。)をノズル配列方向に千鳥状に配列したヘッド列を備えている。ヘッド101は、液滴を吐出する複数のノズル4を配列したノズル列102a、102b(全体として「ノズル列102」という。)を有している。
【0028】
ここで、1つのヘッドの一例について図2及び図3を参照して説明する。なお、図1(a)は同ヘッドの平面説明図、(b)は同じく正面説明図、図3は同じく図2(a)のA−A線に沿う液室長手方向(ノズル配列方向と直交する方向)に沿う断面説明図である。
ヘッド101は、流路部材(液室基板)1と、この流路部材1の下面に接合した振動板部材2と、流路部材1の上面に接合したノズル板3とを有し、これらによって液滴を吐出するノズル4が連通する個別流路(以下「加圧液室」ともいう。)6を形成し、各加圧液室6に振動板部材2に設けた連通部9及び流路部材1に形成した連通路10、流体抵抗部7を介して共通液室8から液体であるインクを供給する。共通液室8は後述するフレーム部材17に形成している。
【0029】
ここで、流路部材1は、結晶面方位(110)の単結晶シリコン基板を水酸化カリウム水溶液(KOH)などのアルカリ性エッチング液を用いて異方性エッチングすることで各加圧液室6や流体抵抗部7、連通路10などの開口、溝を形成している。なお、流路部材1は、SUS基板を、酸性エッチング液を用いてエッチング、あるいは打ち抜きなどの機械加工することで、各加圧液室6などを形成することもできるし、また、流路部材1とノズル板3或いは振動板部材2とを電鋳で一体形成することもできる。その他感光性樹脂などを用いることもできる。
【0030】
振動板部材2は、加圧液室6側から第1層2a、第2層2b、第3層2cの3層構造のニッケルプレートで形成したもので、例えば電鋳によって作製している。なお、この振動板部材2は、例えば、ポリイミドなどの樹脂部材とSUS基板などの金属プレートとの積層部材、或いは、樹脂部材から形成したものなどを用いることもできる。
【0031】
ノズル板3は、各加圧液室6に対応して多数のノズル4を形成し、流路部材1に接着剤接合している。このノズル板3としては、ステンレス、ニッケルなどの金属、ポリイミド樹脂フィルムなどの樹脂、シリコン、及びそれらの組み合わせからなるものを用いることができる。また、ノズル4の内部形状(内側形状)は、ホーン形状(略円柱形状又は略円錘台形状でもよい。)に形成し、このノズル4の穴径はインク滴出口側の直径で約14〜35μmとしている。
【0032】
また、ノズル板3のノズル面(吐出方向の表面:吐出面)には、図示しない撥水性の表面処理を施した撥水処理層を設けている。撥水処理層としては、例えば、PTFE−Ni共析メッキやフッ素樹脂の電着塗装、蒸発性のあるフッ素樹脂(例えばフッ化ピッチなど)を蒸着コートしたもの、シリコン系樹脂・フッ素系樹脂の溶剤塗布後の焼き付け等、インク物性に応じて選定した撥水処理膜を設けて、記録液の滴形状、飛翔特性を安定化し、高品位の画像品質を得られるようにしている。
【0033】
そして、振動板部材2には、各加圧液室6に対応して第1層2aで形成した変形可能な領域であるダイアフラム部(振動領域)2Aの中央部に第2層2b及び第3層2cの積層構造からなる凸部2Bを形成し、この凸部2Bに圧力発生手段(アクチュエータ手段)を構成する積層型の圧電柱(積層型圧電素子柱)12Aをそれぞれ接合している。
【0034】
複数の圧電柱12Aは、1つの圧電部材12にハーフカットの溝加工(スリット加工)によって分断することなくことなく櫛歯状に形成したものであり、圧電部材12は複数個の圧電柱12Aの並び方向(ノズル配列方向)に沿ってベース部材13上に固定配置している。この場合、1列に並ぶ複数の圧電柱は、交互に駆動する駆動圧電柱12Aと単なる支柱部となる駆動されない図示しない非駆動圧電柱となる。支柱部となる非駆動圧電柱12Bは液室間隔壁部に対応する部分に接合される。
【0035】
圧電部材12は、例えば厚さ10〜50μm/1層のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の圧電層と、厚さ数μm/1層の銀・パラジューム(AgPd)からなる内部電極層とを交互に積層したものであり、内部電極を交互に端面の端面電極(外部電極)である個別電極及び共通電極にそれぞれ電気的に接続したものである。この圧電定数がd33(d33は内部電極面に垂直(厚み方向)の伸び縮みを指す。)である圧電柱12Aの伸縮により振動領域2Aを変位させて液室6を収縮、膨張させるようになっている。圧電柱12Aに駆動信号が印加され充電が行われると伸長し、また圧電柱12Aに充電された電荷が放電すると反対方向に収縮する。
【0036】
なお、圧電部材12の圧電方向としてd33方向の変位を用いて加圧液室6内インクを加圧する構成とすることも、圧電部材12の圧電方向としてd31方向の変位を用いて加圧液室6内インクを加圧する構成とすることもできる。本実施形態ではd33方向の変位を用いた構成をとっている。
【0037】
ベース部材13は金属材料で形成することが好ましい。ベース部材13の材質(材料)が金属であれば、圧電素子部材12の自己発熱による蓄熱を防止することができる。
【0038】
さらに、振動板部材2の周囲にはフレーム部材17を接着剤で接合している。そして、このフレーム部材17には各液室6に液体を供給する共通液室8を形成している。この共通液室8から振動板部材2に形成した連通部9を介して液室6に液体が供給される。なお、フレーム部材17には共通液室8に外部から記録液を供給するための記録液供給口も形成される。
【0039】
この共通液室8は、加圧液室6の並び方向(ノズル配列方向、これを「共通液室長手方向」ともいう。)に平面形状で長方形状に形成している。そして、この共通液室8を形成する壁面の中で、少なくとも一つの壁面は、振動板部材2の第1層2aで形成することにより、フレーム部材17で形成される他の壁面よりも剛性が低いダンパ部材20としている。
【0040】
なお、ダンパ部材20は1層ではなく2層としても良いし、あるいはダンパ部材20のみを振動板部材2と異なる材料で構成しても良い。また、ダンパ部材20は例えば金属Niのような気体の透過性が低い素材で構成されていることが好ましいが、樹脂膜等で形成されていてもかまわない。
【0041】
このように構成したヘッドにおいては、例えば圧電部材12の圧電柱12Aに印加する電圧を基準電位から下げることによって圧電柱12Aが収縮し、振動板部材2が下降して加圧液室6の容積が膨張することで、加圧液室6内にインクが流入し、その後圧電柱12Aに印加する電圧を上げて圧電柱12Aを積層方向に伸長させ、振動板部材2をノズル4方向に変形させて加圧液室6の容積を収縮させることにより、加圧液室6内のインクが加圧され、ノズル4からインク滴が吐出(噴射)される。
【0042】
そして、圧電柱12Aに印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板部材2が初期位置に復元し、加圧液室6が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室8から加圧液室6内にインクが充填される。そこで、ノズル4のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
【0043】
なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行うこともできる。引き打ちとは、基準電位から電位を下げて圧電素子を収縮させて加圧液室の内容積を増加し後電位を基準電位まで戻すことによって振動板を初期位置に復帰させて液滴を吐出させる打ち方、押し打ちとは基準電位から電位を上げて振動板を加圧液室側に押し込むことで液滴を吐出させる打ち方である。
【0044】
次に、本実施形態におけるヘッドアレイ100における各ヘッド101A〜101Dの濃度勾配(明度勾配)とヘッド配置について図4を参照して説明する。なお、図4はノズル列方向の位置と明度の関係を説明する説明図である。
【0045】
4つのヘッド101A〜101Dは、同一の液体を充填して均一な画像チャートを印写したとき、ノズル配列方向において、ノズル列102の一端のノズル4から吐出される液滴で形成される画像の濃度と他端のノズル4から吐出される液滴で形成される画像の濃度との間に濃度差(以下、「明度差」という。)があり、例えば、ノズル列102を構成するすべてのノズル4について見たとき、それぞれ、図4に示すような明度勾配(濃度勾配)がある。
【0046】
すなわち、ヘッド101Aは左右端(ノズル配列方向の一端と他端の意味)で明度差|ΔEa|があり、同様に、ヘッド101Bは明度差|ΔEb|があり、ヘッド101Cは明度差|ΔEc|があり、ヘッド101Dは明度差|ΔEd|がある。そこで、ヘッド101Aの明度が高い端のノズルとヘッド101Bの明度が高い端のノズルが隣接し、ヘッド101Bの明度が低い端のノズルとヘッド101Cの明度が低い端のノズルが隣接し、ヘッド101Cの明度が高い端のノズルとヘッド101Dの明度が高い端のノズルが隣接して、ヘッド101Aないし101Dを配置している。これにより、ヘッドアレイ全体での明度差は|ΔEmax|となる。
【0047】
なお、本実施形態における明度差は、分光光度計を用いて測定し、CIELAB色空間における明度の値をもとに算出するものとする。なお、前記明度差は上記以外の方法で算出してもよく、例えばヘッドから吐出されたインクによって形成された画像のドットの大きさや、インク付着面積を測定し、それを前記明度に換算することで行っても良いし、用紙上に形成された画像を確認することなく、ヘッドから吐出されたインク滴の大きさを直接観測することで行ってもよい。
【0048】
このように構成することでヘッド繋ぎ目の明度差ΔEab、ΔEbc、ΔEcdを小さくすることができ、繋ぎ目でのバンディングを抑制することができる。また明度差|ΔEmax|も通常のランダムな配置と変わらず、図14に示した従来構成のように明度差|ΔEmax|が大きくなることはない。
【0049】
この場合、ヘッド101A、101Bとして、明度勾配が略同じヘッドを、ヘッド101C、101Dとして明度勾配が略同じヘッドを選択して、配置することによって、ヘッドをランダムに選択して組み付けた場合と比較して、ヘッドアレイ全体の最大明度差|ΔEmax|を効果的に小さくすることもできる。
【0050】
また、このヘッドアレイを駆動するときには、ノズル配列方向に隣接する2つのヘッドの繋ぎ目の濃度差が、CIELAB色空間における明度の値で1、0以内になるように、つまり、図4のΔEab、ΔEbc、ΔEcdがそれぞれ1.0以内になるように、各ヘッド101Aないし101Dの駆動電圧を調整することが好ましい。
【0051】
このように、ヘッドは、ノズル列の一端のノズルから吐出される液滴で形成されるドットの濃度と他端のノズルから吐出される液滴で形成されるドットの濃度との間に濃度差があり、ヘッド列は、隣り合うヘッドが、濃度が高いノズル同士又は濃度が低いノズル同士が隣接して配置されている構成とすることで、ヘッドアレイ全体のノズル配列方向における濃度差の上昇を抑えてヘッドの繋ぎ目のバンディングを低減して、画像品質を向上することができる。
【0052】
また、ノズル配列方向(左右端)濃度差の観点からヘッドの使用可否の選別を行う必要がなくなり、ヘッドアレイの製造上の歩留まりが向上し、ヘッドアレイの製造コストを低減することができる。
【0053】
この場合、ノズル配列方向に隣接する2つのヘッドの繋ぎ目の濃度差が、CIELAB色空間における明度の値で1、0以内になるように各ヘッド101Aないし101Dの駆動電圧を調整することで、隣接ヘッド間の吐出特性の差による画像濃度の差が人の目で認識されにくくなる。また、図14に示した従来構成ではバンディング解消のための電圧補正により明度差|ΔEmax|は逆に大きくなってしまったが、本実施形態では明度差|ΔEmax|はむしろ小さくなる。これにより、バンディング解消とともにヘッドアレイ両端の濃度差を低減することができ、出力される画像のノズル配列方向における濃度ムラが目立ちにくくなる。
【0054】
また、隣接する各ヘッドの濃度勾配が同じである構成とすることで、隣りのヘッドのヘッド内濃度勾配をより効果的に打ち消しあうことができ、出力される画像のノズル配列方向の濃度ムラをより効果的に低減することができる。
【0055】
次に、上述したヘッドアレイを製作するために印写検査方法について説明する。
印写検査では、ヘッドアレイに組み込むヘッドの組み合わせ方と、各ヘッドの駆動時に適用する駆動電圧値を設定する。印写検査では、全ヘッドに共通の三段階の電圧倍率で各ヘッドの左右端の濃度値を測定し、記録する。また、得られた結果からヘッド左右端の濃度傾きが右肩上がり、右肩下がりのどちらであるかを判断し、選別を行う。このとき、最大明度差|ΔEmax|をより低減するために、各ヘッドの左右端の濃度差の大きさのランク分けも行う。ランクはヘッド左右端の濃度差が、明度換算で0.5ごとに区切られるように設定し、各ヘッドに濃度差ランクとしてランク値を付与して管理する。これにより、各ヘッドは、右端の濃度値、左端の濃度値、駆動電圧を変化させた際の濃度の変動率、ヘッド内濃度傾きの向き、濃度差ランク、の5つの情報で管理される。
【0056】
そこで、まず、ランク値が同じで濃度傾きが逆になっているヘッドを2個ずつ2組選別し、それを組となったヘッドが隣接するようにアレイ化する(組み付ける)。そして、隣り合うヘッドの各端部の明度差が全て1.0以下になるように、個別のヘッドの駆動電圧値を設定する。
【0057】
なお、本実施形態では、1列のヘッド列(千鳥配置された全体のヘッド列の意味)を有するヘッドアレイについて説明したが、複数列のヘッド列を有する場合には、それぞれのヘッド列について上述した印写検査を行えばよい。また、本実施形態では、ヘッドの数が4個の例で説明しているが、他の数でもよく、ヘッドの数が奇数の場合には、濃度差ランクによる補正はヘッドの数から「1」を引いた数のヘッドについてだけ行えばよい。
【0058】
また、印写検査の方法は、同一の画像チャートを同一条件で印写し、分光測色系を用いてCMYKの各色のいずれか大きな値の濃度や、明度を測定することで行う。しかし、測定をより精密に行うために、高倍率のCCDカメラ等を用いてドット径を測定してその値を明度値に近似的に変換することで行ってもいいし、CCDカメラで得られた画像を2値化して、黒と白のデータの比を明度値に近似的に変換することで行ってもいい。なお、前記濃度と明度、カメラによる画像の二値化データについては、同一色インクを使用する場合は強い相関関係を持つものであり、ドット径についても、印刷されたドット形状がきれいな円形を保てる限り、前記明度、濃度と強い相関関係を持つため、濃度、明度、ドット径、二値化データが表す画像特性を、まとめて「濃度」と表現する。
【0059】
また、補正に必要な前記左右端の濃度値は、1ノズル単位の細かな吐出特性のばらつきの影響を受けない範囲で、できる限りヘッドの最も端に近い位置だけを用いて測定ができることが好ましい。ただし、ヘッドの繋ぎ合わせにあたり、隣接するヘッドのノズル列にオーバーラップするノズルを設ける場合は、オーバーラップしていないヘッド内両端の部分が濃度の測定範囲に含まれていればよく、ヘッドの厳密な両端が測定範囲に含まれている必要はない。
【0060】
次に、本発明の第2実施形態について図5を参照して説明する。なお、図5は同実施形態のノズル列方向の位置と明度の関係を説明する説明図である。
本実施形態では、最小の記録媒体の幅である2ヘッド分だけ、ヘッド内濃度傾きが逆向きになるようにヘッド101A〜ヘッド101Fが組み合わされている。これにより、少なくとも最小サイズの用紙に対する印字に関しては、出力される画像のノズル配列方向における濃度ムラを|ΔEmax´|に低減することができる。
【0061】
ここでは、6つのヘッド101A〜ヘッド101Fのうち中央の4つのヘッド101B〜101Eだけを、濃度傾きが逆向きになるように配置しているが、全体の幅はより大きくてもよく、ヘッドの数も多くても良い。また、その中で濃度勾配の傾きが逆向きになるように配置されるヘッドの数も最小の記録媒体の幅とヘッドの1つ当たりの長さに応じて任意の値を取ることができる。また、通紙が中央でない場合は、濃度傾きが逆向きになるように配置されるヘッドの位置も、中央でなく、左右どちらかに寄っていても良い。
【0062】
一般的に画像を記録する最小サイズの用紙はハガキであることが多く、写真等の高画質記録が求められることが多い。このため、この記録領域だけに上記の通りヘッドを配置することでハガキに対しては高画質の記録が可能とし、画像形成装置全体としてのヘッド選別等の製造コストを抑えることができる。
【0063】
次に、本発明の第3実施形態について図6及び図7を参照して説明する。なお、図6は同実施形態におけるヘッドアレイの平面説明図、図7は同実施形態のノズル列方向の位置と明度の関係を説明する説明図である。
このヘッドアレイ100は、複数のヘッド101A1〜101D1をノズル配列方向に千鳥状に配列した第1ヘッド列111と、複数のヘッド101A2〜101D2をノズル配列方向に千鳥状に配列した第2ヘッド列112と、被記録媒体送り方向(ノズル配列方向と直交する方向)に配置したものである。ここで、第1ヘッド列111の各ヘッド101と第2ヘッド列112の各ヘッド101は、主走査方向と同じ位置に配置されている。
【0064】
第1ヘッド列111の4つのヘッド101A1〜101D1は、同一の液体を充填して均一な画像チャートを印写したとき、ノズル配列方向において、ノズル列102の一端のノズル4から吐出される液滴で形成されるドットの濃度と他端のノズル4から吐出される液滴で形成されるドットの濃度との間に濃度差(明度差)があり、例えば、ノズル列102を構成するすべてのノズル4について見たとき、それぞれ、図7に示すような明度勾配(濃度勾配)がある。
【0065】
そして、ヘッド101A1の明度が高い端のノズルとヘッド101B1の明度が高い端のノズルが隣接し、ヘッド101B1の明度が低い端のノズルとヘッド101C1の明度が低い端のノズルが隣接し、ヘッド101C1の明度が高い端のノズルとヘッド101D1の明度が高い端のノズルが隣接して、ヘッド101A1ないし101D1を配置している。
【0066】
また、第2ヘッド列112の4つのヘッド101A2〜101D2も、同一の液体を充填して均一な画像チャートを印写したとき、ノズル配列方向において、ノズル列102の一端のノズル4から吐出される液滴で形成されるドットの濃度と他端のノズル4から吐出される液滴で形成されるドットの濃度との間に濃度差(明度差)があり、例えば、ノズル列102を構成するすべてのノズル4について見たとき、それぞれ、図7に示すような明度勾配(濃度勾配)がある。
【0067】
そして、ヘッド101A2の明度が低い端のノズルとヘッド101B2の明度が低い端のノズルが隣接し、ヘッド101B2の明度が高い端のノズルとヘッド101C2の明度が高い端のノズルが隣接し、ヘッド101C2の明度が低い端のノズルとヘッド101D2の明度が低い端のノズルが隣接して、ヘッド101A2ないし101D2を配置している。
【0068】
つまり、第1ヘッド列111と第2ヘッド列112との間では、ノズル配列方向で同じ位置にあるヘッドは、ヘッド内濃度勾配の傾きの方向が逆になる関係で、各ヘッド101A1〜101D1、101A2〜101D2を配置している。
【0069】
これにより、第1ヘッド列111の各ヘッド101A1〜101D1と第2ヘッド列112の各ヘッド101A2〜101D2とで同じ種類のインク(液体)を吐出して同じ位置に印写する(重ね打ちをする)ときでも、両端の濃度差を打ち消すことができるため、ヘッドアレイ全体の濃度ばらつきを小さくすることができる。
【0070】
次に、本発明の第4実施形態について図8を参照して説明する。なお、図8は同実施形態のノズル列方向の位置と明度の関係を説明する説明図である。
本実施形態のヘッド配置(濃度勾配の方向を除く)は図6と同じである。つまり、4個のヘッド101A1〜101D1からなる第1ヘッド列111と、4個のヘッド101A2〜101D2からなる第2ヘッド列112とを備えている。
【0071】
そして、第1ヘッド列111については、前記第3実施形態と同様に、ヘッド101A1の明度が高い端のノズルとヘッド101B1の明度が高い端のノズルが隣接し、ヘッド101B1の明度が低い端のノズルとヘッド101C1の明度が低い端のノズルが隣接し、ヘッド101C1の明度が高い端のノズルとヘッド101D1の明度が高い端のノズルが隣接して、ヘッド101A1ないし101D1を配置している。
【0072】
一方、第2ヘッド列112については、ヘッド101A2の明度が高い端のノズルとヘッド101B2の明度が低い端のノズルが隣接し、ヘッド101B2の明度が高い端のノズルとヘッド101C2の明度が低い端のノズルが隣接し、ヘッド101C2の明度が高い端のノズルとヘッド101D2の明度が高い端のノズルが隣接して、ヘッド101A2ないし101D2を配置している。
【0073】
そして、本実施形態では、第1ヘッド列111の各ヘッド101A1〜101D1ではブラックのインクを吐出させ、第2ヘッド列112の各ヘッド101A2〜101D2ではマゼンタのインクを吐出させている。つまり、最も濃度の高いブラックのインクだけについて、隣接する各ヘッドの濃度傾きが逆向きになるように配置されている。一方、マゼンタのインクについては、同じ吐出特性を持つヘッドから出力した画像でも、吐出するインクの濃度が薄いと、その明度差が認識されにくくなることから、隣接する各ヘッドの特に濃度傾きが逆向きになるように配置していない。
【0074】
これにより、ヘッドアレイを生産するときのヘッドの選別、歩留まり低下によるコストをさらに低減しながら、出力される画像のノズル配列方向における濃度ムラを効果的に低減することができる。
【0075】
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
本実施形態では、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色の液滴を吐出させる4列のヘッド列を有し、最も濃度の高いブラックの液滴を吐出するヘッド列、及び、シアンの液滴を吐出するヘッド列について、前記第1実施形態と同様なヘッド配置としている。
【0076】
次に、本発明の第6実施形態について説明する。
本実施形態では、明細書や決められたパターンの印刷などに用いられるヘッドアレイであって、特に消費量が多い色の液滴を吐出するヘッド列についてのみ、前記第1実施形態と同様なヘッド配置としている。
【0077】
これらの第4ないし第6実施形態は、いずれも、人の目に付きやすい画像を形成するヘッド列についてのみ、ヘッドの選別と並べ替えを行うことで、コストをさらに低く抑えながら出力される画像のノズル配列方向における濃度ムラを効果的に低減することができる。
【0078】
次に、本発明の第7実施形態について図9を参照して説明する。なお、図9は同実施形態のノズル列方向の位置と明度の関係を説明する説明図である。
本実施形態では、前記第1実施形態と同様に、ヘッド101A〜ヘッド101Dを配列したヘッド列を有している。そして、各ヘッド101A〜ヘッド101Dのそれぞれの濃度勾配における濃度差は、|ΔEa|>1.5、|ΔEb|>1.5であり、|ΔEc|<1.5、|ΔEd|<1.5であるとする。
【0079】
ここで、ヘッド左右端の濃度差が1.5より大きいヘッドであるヘッド101Aとヘッド101Bと、それらのヘッドに隣接しているヘッドCだけが、隣接する各ヘッドの濃度傾きが逆向きになるように配置されている。
【0080】
このように構成にすることで、厳密にヘッドの左右端の濃度が右肩上がりのヘッド、右肩下がりのヘッドを同数用意することなく本発明を適用することができ、ヘッドの左右端の濃度傾きに、例えば右肩下がりが多いというように偏りがある場合でも、より多くのヘッドを製品に組み込むことができるため、コストを下げながら画像品質を向上させることができる。
【0081】
次に、本発明に係る画像形成装置の全体構成の一例について図10を参照して説明する。なお、図10は同画像形成装置の概略構成図である。
この画像形成装置は、ライン型画像形成装置であり、装置本体401の内部に画像形成部402等を有し、装置本体401の下方側に多数枚の記録媒体(用紙)403を積載可能な給紙トレイ404を備え、この給紙トレイ404から給紙される用紙403を取り込み、搬送機構405によって用紙403を搬送しながら画像形成部402によって所要の画像を記録した後、装置本体401の側方に装着された排紙トレイ406に用紙403を排紙する。
【0082】
また、装置本体401に対して着脱可能な両面ユニット407を備え、両面印刷を行うときには、一面(表面)印刷終了後、搬送機構405によって用紙403を逆方向に搬送しながら両面ユニット407内に取り込み、反転させて他面(裏面)を印刷可能面として再度搬送機構405に送り込み、他面(裏面)印刷終了後排紙トレイ406に用紙403を排紙する。
【0083】
ここで、画像形成部402は、例えばブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色の液滴を吐出する、フルライン型の4個の本発明に係る液体吐出ヘッドアレイで構成した記録ヘッド411k、411c、411m、411y(色を区別しないときには「記録ヘッド411」という。)を備え、各記録ヘッド411は液滴を吐出するノズルを形成したノズル面を下方に向けてヘッドホルダ413に装着している。
【0084】
また、各記録ヘッド411に対応してヘッドの性能を維持回復するための維持回復機構412k、412c、412m、412y(色を区別しないときには「維持回復機構412」という。)を備え、パージ処理、ワイピング処理などのヘッドの性能維持動作時には、記録ヘッド411と維持回復機構412とを相対的に移動させて、記録ヘッド411のノズル面に維持回復機構412を構成するキャッピング部材などを対向させる。
【0085】
なお、ここでは、記録ヘッド411は、用紙搬送方向上流側から、ブランク、シアン、マゼンタ、イエローの順に各色の液滴を吐出する配置としているが、配置及び色数はこれに限るものではない。また、ライン型ヘッドとしては、各色の液滴を吐出する複数のノズル列を所定間隔で設けた1又は複数のヘッドを用いることもできるし、ヘッドとこのヘッドにインクを供給する液体カートリッジを一体とすることも別体とすることもできる。
【0086】
給紙トレイ404の用紙403は、給紙コロ(半月コロ)421と図示しない分離パッドによって1枚ずつ分離され装置本体401内に給紙され、搬送ガイド部材423のガイド面423aに沿ってレジストローラ425と搬送ベルト433との間に送り込まれ、所定のタイミングでガイド部材426を介して搬送機構405の搬送ベルト433に送り込まれる。
【0087】
また、搬送ガイド部材423には両面ユニット407から送り出される用紙403を案内するガイド面423bも形成されている。更に、両面印刷時に搬送機構405から戻される用紙403を両面ユニット407に案内するガイド部材427も配置している。
【0088】
搬送機構405は、駆動ローラである搬送ローラ431と従動ローラ432との間に掛け渡した無端状の搬送ベルト433と、この搬送ベルト433を帯電させるための帯電ローラ434と、画像形成部402に対向する部分で搬送ベルト433の平面性を維持するプラテン部材435と、搬送ベルト433から送り出す用紙403を搬送ローラ431側に押し付ける押さえコロ436と、その他図示しないが、搬送ベルト433に付着したインクを除去するためのクリーニング手段である多孔質体などからなるクリーニングローラなどを有している。
【0089】
この搬送機構405の下流側には、画像が記録された用紙403を排紙トレイ406に送り出すための排紙ローラ438及び拍車439を備えている。
【0090】
このように構成した画像形成装置において、搬送ベルト433は矢示方向に周回移動し、高電位の印加電圧が印加される帯電ローラ434と接触することで帯電され、この高電位に帯電した搬送ベルト433上に用紙403が給送されると、用紙403は搬送ベルト433に静電的に吸着される。このようにして、搬送ベルト433に強力に吸着した用紙403は反りや凹凸が校正され、高度に平らな面が形成される。
【0091】
そして、搬送ベルト433を周回させて用紙403を移動させ、記録ヘッド411から液滴を吐出することで、用紙403上に所要の画像が形成され、画像が記録された用紙403は排紙ローラ438によって排紙トレイ406に排紙される。
【0092】
このように、本発明に係る液体吐出ヘッドアレイを記録ヘッドとして備えることによって、各記録ヘッドのノズル配列方向における両端の濃度差を低減することができ、出力される画像のノズル配列方向における濃度ムラが目立ちにくくなり、画像品質が向上する。また、ヘッドアレイの製造コスト低減によって画像形成装置本体のコストも下げることができる。
【0093】
なお、上記実施形態では、ライン型画像形成装置について説明したが、本発明は2つ以上のヘッドを繋ぎ合わせたヘッドアレイを記録ヘッドとして搭載するシリアル型画像形成装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0094】
100 ヘッドアレイ
101A〜101D、101A1〜101D1、101A2〜101D2 ヘッド
102 ノズル
111 第1ヘッド列
112 第2ヘッド列
410y、410m、410c、410k 記録ヘッド(ヘッドアレイ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する複数のノズルを配列したノズル列を有する複数のヘッドがノズル配列方向に千鳥状に配列された少なくとも1つのヘッド列を備える液体吐出ヘッドアレイを備えた画像形成装置であって、
前記ヘッドは、前記ノズル列の一端のノズルから吐出される液滴で形成される画像濃度と他端のノズルから吐出される液滴で形成される画像濃度との間に濃度差があり、
記録領域に配置される前記ヘッドの全てが、前記濃度が高いノズル同士又は濃度が低いノズル同士が隣接して液体吐出ヘッドアレイに配置されている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記記録領域は、液体吐出ヘッドアレイで記録が行われる記録媒体の中で最小の記録媒体の記録領域であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
隣接する2つのヘッドの繋ぎ目の濃度差が、CIELAB色空間における明度の値で1.0以内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
少なくとも2列の前記ヘッド列がノズル配列方向と直交する方向に配置され、
一方のヘッド列における隣り合うヘッドの前記濃度差の関係と、他方のヘッド列における隣り合うヘッドの前記濃度差の関係が逆である
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
ノズル列の両端における濃度差が、CIELAB色空間における明度の値で1.5以上であるヘッドに隣接するヘッドのみが、前記濃度差が、前記明度の値で1.5以上であるヘッドに対し、前記濃度が高いノズル同士又は濃度が低いノズル同士が隣接する関係で配置されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
異なる色の液滴を吐出させる複数のヘッド列を有し、
前記異なる色のうちの他の色に対して濃度の高い色の液滴を吐出させるヘッド列は、少なくとも2つの隣り合う前記ヘッドが、前記ノズル配列方向における濃度が高いノズル同士又は濃度が低いノズル同士が隣接して配置されている
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色の液滴を吐出する4列のヘッド列を有し、
ブラック、又は、ブラック及びシアンの液滴を吐出するヘッド列は、少なくとも2つの隣り合う前記ヘッドが、前記ノズル配列方向における濃度が高いノズル同士又は濃度が低いノズル同士が隣接して配置されている
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−183721(P2012−183721A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48341(P2011−48341)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】