説明

画像形成装置

【課題】剛性を確保しつつ軽量化を図ることが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置10は、処理ユニットが収容される収容空間Sを画定する筐体11であって、互いに対向する一対の第1板金フレーム21および第2板金フレーム22と、第1板金フレーム21と第2板金フレーム22との間で延びて第1板金フレーム21と第2板金フレーム22とを連結する板金製の連結片24,25とを含み、第1板金フレーム21および第2板金フレーム22は、それらの間で処理ユニットを支持する筐体11と、処理ユニットに高電圧を供給する高電圧基板28と、高電圧基板28と処理ユニットとを電気的に接続して高電圧を処理ユニットに供給する線材31〜35を保持する線材保持板30とを含み、線材保持板30は、連結片24,25の延在方向における寸法の略全体にわたって延び、連結片24,25に固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙に対して画像形成処理を行う処理ユニットと、処理ユニットを収容する板金製の筐体とを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンター、ファクシミリ等の電子写真方式を利用した画像形成装置は、用紙に対して画像形成処理を行うために複数の処理ユニットを内蔵している。処理ユニットとして、例えばトナー像が形成される感光体ドラムユニットや、感光体ドラムにトナーを供給して感光体ドラム上にトナー像を形成する現像ユニットや、画像形成装置がタンデム式の場合、カラーのトナー像が転写される中間転写ベルトを有する中間転写ユニット等が挙げられる(例えば特許文献1)。
【0003】
画像形成装置は、上記のような複数の処理ユニットを収容する収容空間を画定して、該収容空間内で処理ユニットを支持する筐体をさらに含む。筐体は、通常該筐体の剛性を確保するために板金製のフレーム部材から構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−8670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年の画像形成装置は、筐体の剛性を確保しつつ軽量化が要求されている。上記のような板金製のフレーム部材から構成された筐体を用いた場合、筐体の剛性を確保することができるものの、画像形成装置の軽量化を図ることが困難である。そのため、近年の画像形成装置に求められている前記要求を満たすことができない。
【0006】
本発明の目的は、剛性を確保しつつ軽量化を図ることが可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に係る画像形成装置は、用紙に対して画像形成処理を行う処理ユニットと、前記処理ユニットが収容される収容空間を画定する筐体であって、互いに対向する一対の第1板金フレームおよび第2板金フレームと、前記第1板金フレームと前記第2板金フレームとの間で延びて前記第1板金フレームと前記第2板金フレームとを連結する板金製の連結片とを含み、前記第1板金フレームおよび前記第2板金フレームは、それらの間で前記処理ユニットを支持する筐体と、前記処理ユニットに与える高電圧を発生する高電圧基板と、前記高電圧基板と前記処理ユニットとを電気的に接続して前記高電圧を前記処理ユニットに供給する線材と、前記線材を保持する線材保持板と、を備え、前記線材保持板は、前記連結片の延在方向における寸法の略全体にわたって延び、前記連結片に固定されている。
【0008】
この構成によれば、連結片に、その延在方向における寸法の略全体にわたって線材保持板が固定されているので、連結片によって連結されている一対の第1板金フレームおよび第2板金フレームが、処理ユニットを支持することで発生する負荷に起因してねじれることを抑制することができる。これにより、筐体の剛性を確保することができる。そして、線材保持板を用いて筐体の剛性を確保している分、連結片の板金の使用量を削減することができる。これにより、画像形成装置の軽量化を図ることができる。
【0009】
本発明の好ましい実施形態では、前記線材保持板は樹脂製である。この構成によれば、画像形成装置の軽量化を一層図ることができる。また、線材を板金製の連結片から絶縁することができる。
【0010】
本発明の他の好ましい実施形態では、前記線材保持板は、前記線材が配索された配索面と、前記配索面に突設されて前記線材保持板を補強するリブとを有する。この構成によれば、線材保持板の配索面にリブを設けているので、線材保持板の剛性、ひいては筐体の剛性を一層図ることができる。
【0011】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、前記線材は、第1線材と、前記第1線材に沿って配索された第2線材とを含み、前記リブは、前記第1線材と前記第2線材との間で該第1線材および第2線材に沿って延びる。
【0012】
この構成によれば、第1線材と第2線材とはリブによって互いに隔離されているので、第1線材および第2線材間の絶縁性を良好にすることができる。
【0013】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、前記連結片は、前記第1板金フレームおよび前記第2板金フレームの一縁部の上部同士を連結する第1連結片と、前記第1連結片と所定の距離だけ離間して該第1連結片の下方に位置し前記一縁部の中間部同士を連結する第2連結片と、を含み、前記線材保持板は、前記第1連結片から前記第2連結片に跨がる上下方向の寸法を有し、前記第1連結片及び前記第2連結片に取り付けられている。
【0014】
この構成によれば、連結片を上下方向に離間した第1連結片及び第2連結片で形成することで、板金フレームの使用量を一層抑制し、さらなる画像形成装置の軽量化を図ることができる。
【0015】
特に、前記線材保持板を、矩形板状の部材とし、前記第1連結片と前記第2連結片との間の空間を塞ぐ態様とすることが望ましい。この構成によれば、連結片を上下方向に離間させる態様としても、十分な剛性を確保することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る画像形成装置によれば、線材を保持する線材保持板を利用することで、剛性を確保しつつ軽量化を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の本実施形態に係る画像形成装置の外観斜視図である。
【図2】前記画像形成装置の内部構造を示す側断面図である。
【図3】筐体のフレーム構造を示す斜視図であり、筐体から外装カバーや周辺部品を取り外した状態を示す。
【図4】筐体の斜視図であり、筐体のフレーム部材に周辺部品が取り付けられた状態を示す。
【図5】線材保持板を正面側から見た線材保持板の斜視図である。
【図6】線材保持板の正面図である。
【図7】線材保持板を裏面側から見た線材保持板の斜視図である。
【図8】中間転写ユニットの外観斜視図である。
【図9】中間転写ユニットの平面図である。
【図10】中間転写ユニットの側面図である。
【図11】線材保持板および高電圧基板の斜視図であり、線材と高電圧基板とが電気的に接続された状態を示す。
【図12】高電圧基板を裏面側から見た高電圧基板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置10の外観斜視図である。画像形成装置10は、例えばタンデム式のカラープリンターであり、箱形を呈する筐体11を含む。筐体11は、正面を覆う正面カバー12、背面を覆う背面カバー13、右側面を覆う右側面カバー15、および左側面を覆う左側面カバー14を含み、これらのカバー12,13,14,15が画像形成装置の外観デザインを定める外装カバーを構成している。
【0019】
筐体11の上部には、用紙が排出される用紙排出部16が設けられている。用紙排出部16には、画像が形成された用紙が排出される用紙排紙面161が形成されている。また、左側面カバー14には、手差しトレイ6Aが開閉自在に設けられている。手差しトレイ6Aは画像形成装置の外観デザインを決める外装カバーの一部としても用いられている。なお、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」や「後」などの方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、何ら本発明を限定するものではない。
【0020】
図2は、画像形成装置10の内部構造を示す側断面図である。筐体11は、用紙に対して画像形成処理を行う複数の処理ユニットを内部に含む。本実施形態では、処理ユニットとして、コンピューター等の外部機器から伝送された画像情報に基づき各色のトナー像を感光体ドラム101上に形成する画像形成ユニット1、感光体ドラム101の周面上に静電潜像を形成する光走査ユニット2、感光体ドラム101上に形成されたトナー像を一次転写させる中間転写ユニット3、中間転写ユニット3のトナー画像を用紙上に転写する二次転写ユニット4、用紙に転写されたトナー像に定着処理を施す定着ユニット5を含む。また、筐体11の内部には、トナー像が転写される用紙を積層して収納する給紙カセット6、給紙カセット6や前述した手差しトレイ6Aから用紙を搬送する搬送路7が備えられている。
【0021】
画像形成ユニット1は、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの各色のトナー像を形成するために、水平方向に所定の間隔で4個が配置されている。各画像形成ユニット1は、静電潜像を担持する感光体ドラム101、感光体ドラム101の周面を帯電させる帯電器102、静電潜像に現像剤を付着させてトナー像を形成する現像器103、この現像器103に所定の色のトナーを供給するブラック、マゼンタ、シアン、イエローの各トナーコンテナ104、及び感光体ドラム101の周面の残留トナーを除去するクリーニング装置105を含む。
【0022】
中間転写ユニット3は、各感光体ドラム101の周面に接触しつつ周回する転写ベルト110と、転写ベルト110が架け渡される駆動ローラー111および従動ローラー112と、転写ベルト110を各感光体ドラム101に押し付ける一次転写ローラー113とを含む。感光体ドラム101上のトナー像は転写ベルト110上に一次転写され、転写ベルト110上のトナー像は、駆動ローラー111に対向して配置された二次転写ユニット4の二次転写ローラー106によって用紙上に二次転写される。用紙上に転写されずに転写ベルト110周面に残留したトナーは、従動ローラー112に対向して配置されたベルトクリーニング装置121によって回収される。
【0023】
定着ユニット5は、一対の定着ローラー107、108を含み、その定着ローラー107、108間に、トナー像が転写された用紙を通過させつつ、加熱によりトナー像を用紙上に定着させる。定着処理された用紙は用紙排紙面161上に排出される。
【0024】
図3は、筐体11のフレーム構造を示す斜視図であり、筐体11から外装カバーや周辺部品を取り外した状態を示す。筐体11は、上記のような処理ユニットを収容するための収容空間Sを画定するフレーム部材を含む。フレーム部材は、板金製であって、筐体11の正面に対応する第1板金フレーム21と、筐体11の背面に対応する第2板金フレーム22とを有する。第1板金フレーム21と第2板金フレーム22とは、筐体11の前後方向において対をなして互いに対向しており、第1、第2板金フレーム21、22間の収容空間S内において前記処理ユニットを支持する。
【0025】
フレーム部材は、さらに、第1板金フレーム21と第2板金フレーム22とを筐体11の前後方向に連結する板金製の複数の連結片を有する。本実施形態では、連結片として、上側連結片24(第1連結片)、下側連結片25(第2連結片)及び底部連結片29を含む。上側連結片24は、第1板金フレーム21の左縁部(一縁部)における上部と第2板金フレーム22の左縁部における上部との間で延びて、第1板金フレーム21と第2板金フレーム22とを連結する。下側連結片25は、上側連結片24と所定の距離だけ離間して該上側連結片24の下方に位置し、第1板金フレーム21の左縁部の略中間部と第2板金フレーム22の左縁部の略中間部との間で延びて、第1板金フレーム21と第2板金フレーム22とを連結する。底部連結片29は、筐体11の左側部側において第1板金フレーム21の下縁部と第2板金フレーム22の下縁部との間で延びて、第1板金フレーム21と第2板金フレーム22とを連結する。
【0026】
上側連結片24と下側連結片25とは所定の距離だけ離間しているため、それらの間には空間が形成されている。また、上側連結片24および下側連結片25は第1板金フレーム21の延びる方向に対して90°の角度で固定されていると共に、上側連結片24および下側連結片25は第2板金フレーム22の延びる方向に対しても90°の角度で固定されている。また、底部連結片29は、下側連結片25とは所定の距離だけ離間して下側連結片25の下方に位置しており、下側連結片25との間で空間を形成している。
【0027】
また、連結片として、さらに本実施形態では、筐体11の右側部側において第1板金フレーム21の上縁部と第2板金フレーム22の上縁部とを連結する連結片26と、該連結片26の下方位置において第1板金フレーム21と第2板金フレーム22とを連結する連結片27とを含む。
【0028】
図4は、筐体11の斜視図であり、筐体11のフレーム部材に周辺部品が取り付けられた状態を示す。フレーム部材には種々の周辺部品が取り付けられている。例えば、第1板金フレーム21の外面には、筐体11内に収容される処理ユニットに高電圧を供給するための高電圧基板28が固定されている。また、上側連結片24の外面および下側連結片25の外面には、線材保持板30が固定されている。
【0029】
図5は、線材保持板30を正面側から見た線材保持板30の斜視図であり、図6は、線材保持板30の正面図であり、図7は、線材保持板30を裏面側から見た線材保持板30の斜視図である。線材保持板30は、高電圧基板28と処理ユニットとを電気的に接続して処理ユニットに高電圧を供給する線材31、32、33、34、35を保持する。線材保持板30は絶縁性を有する樹脂により成型されており、従って板金フレームよりも軽量な部材である。
【0030】
線材保持板30は、矩形状を呈する板状の部材であって、上側連結片24および下側連結片25の延在方向(前後方向)における寸法の略全体にわたって延びている。つまり、線材保持板30の長手方向寸法と、上側連結片24および下側連結片25の各長手方向寸法とは略等しい。また、線材保持板30の上下方向の寸法は、線材保持板30が上側連結片24から下側連結片25に跨る程度に設定されている。したがって、上側連結片24および下側連結片25間の空間は線材保持板30によって閉塞される態様で、線材保持板30は上側連結片24および下側連結片25に取り付けられている。
【0031】
線材保持板30は、上側連結片24および下側連結片25に固定された状態で外方に向く面を有し、その面が線材31〜35を配索するための配索面30aとされている。線材31〜35は図5および図6に示す例では5本用いられており、各線材31〜35は配索面30a上で所定の方向に延在している。各線材31〜35は、可撓性を有する金属線から構成されており、一端部に第1接点36、37、38、39、40を有すると共に、他端部に第2接点51、52、53、54、55を有する。つまり、線材31は第1接点36および第2接点51を有し、線材32は第1接点37および第2接点52を有し、線材33は第1接点38および第2接点53を有し、線材34は第1接点39および第2接点54を有し、線材35は第1接点40および第2接点55を有する。各線材31〜35は線材保持板30の配索面30aによって、第1板金フレーム21及び第2板金フレーム22などに対して絶縁状態で保持されている。また、各線材31〜35は配索面30a上において、互い離隔して配索されることで、互いに絶縁されている。
【0032】
第1接点36〜40は、高電圧基板28に備えられた各端子と接触可能な接点であって、線材31〜35の一端部をコイル状に形成したものである。線材保持板30は、第1板金フレーム21側の端部において第1接点36〜40を保持するための接点保持部41を有する。接点保持部41は、上下方向に並ぶ5つのボス42、43、44、45、46を有している。線材31〜35の第1接点36〜40は、対応するボス42〜46内に嵌入されることで所定の位置に保持される。
【0033】
第2接点51〜55のそれぞれは、中間転写ユニット3に備えられた各端子130、131、132、133、134(図8)と接触可能な接点であって、「く」の字状に湾曲された湾曲接点部61とを有する。線材保持板30は、所定の位置に形成された窓部56、57、58、59、60を有している。前記コイル部は、線材保持板30における窓部56〜60の近傍部位に設けられた接点保持部62に保持されている。湾曲接点部61は、前記コイル部が接点保持部62に保持された状態では線材保持板30の裏面30b側に突出している。湾曲接点部61は、後述するように中間転写ユニット3が筐体11内に装着されたとき、中間転写ユニット3の各端子130〜134の接点に、弾性変位しつつ接触する。
【0034】
次に、中間転写ユニット3の構成について図8〜10を用いて説明する。図8、9、10はそれぞれ、中間転写ユニット3の外観斜視図、平面図、および側面図である。中間転写ユニット3は、絶縁性を有する樹脂材料で形成され、底面が開口された空洞状のベルトハウジング120を含む。ベルトハウジング120は、駆動ローラー111、従動ローラー112、および一次転写ローラー113を回転可能に保持している。ベルトハウジング120の上面には、複数のコンテナ載置部120aが設けられており、各コンテナ載置部120aに各色のトナーコンテナ104(図2)が載置される。
【0035】
駆動ローラー111及び従動ローラー112には、無端状の転写ベルト110が架け渡されている。転写ベルト110の裏面には、一次転写ローラー113が下方に付勢された状態で接触している。すなわち、一次転写ローラー113を軸回りに回転させる軸部材113aの両端部が、導電性を備えた軸受部材114により回転可能に保持されている。軸受部材114は、ベルトハウジング120に上下方向に移動可能に支持されると共に、圧縮コイルバネ115により下方に付勢されている。一次転写ローラー113には、各感光体ドラム101上に形成された各色のトナー画像を転写ベルト110上に転写するために、トナーの帯電極性と逆極性の転写バイアスが軸受部材114を通して印加される。
【0036】
転写ベルト110の表面側であって従動ローラー112に対向する位置に、ベルトクリーニング装置121がベルトハウジング120に取り付けられている。ベルトクリーニング装置121は、絶縁性を有する樹脂材料で形成され、従動ローラー112に対向する側が開口されたクリーニングハウジング122を含む。クリーニングハウジング122は、ブラシローラー123、回収ローラー124及び搬送スパイラル125を回転可能に支持している。ブラシローラー123は回転軸の周面にブラシ毛が植設された構造であり、このブラシ毛が回転しながら転写ベルト110の表面に摺接して残留トナーを静電気的に吸着または掻きとって回収する。回収ローラー124は金属製のローラーであり、ブラシローラー123の表面に接触して回転するように設けられている。回収ローラー124にはトナーの帯電特性と逆極性のクリーニングバイアスが印加されており、その周面にブラシローラー123のブラシ毛に付着しているトナーを静電気的に吸着して回収する。回収ローラー124の周面にはブレード126が当接して設けられており、回収ローラー124の表面に付着している回収トナーはブレード126により掻き落とされる。搬送スパイラル125は軸方向に渡ってスパイラル形状を有しており、ブレード126によって掻き落とされた回収トナーを軸方向に搬送して軸方向の一端側に設けられた図示しない回収タンクに送出する。
【0037】
次に、一次転写ローラー113及び回収ローラー124へのバイアス電圧の供給について説明する。図8〜10に示すように、クリーニングハウジング122の外壁122aには、金属の板状部材で形成された5つの端子130、131、132、133、134が取り付けられている。端子130からは回収ローラー124へクリーニングバイアスが供給され、端子131〜134からは一次転写ローラー113にそれぞれ転写バイアスが供給される。外壁122aには各端子130〜134に対応して収納空間122bがそれぞれ形成されており、各端子130〜134は各収納空間122bに互いに絶縁されて収納されている。各端子130〜134は、各収納空間122b収納された状態で上下方向に延びる帯形状の平面部130a〜134aを有する。この平面部130a〜134aの上方部は、クリーニングハウジング122の開口部側に向けて折り曲げられ、その端部はさらに上方に折り曲げられて接触面130b〜134bとされている。
【0038】
一方、ベルトハウジング120には、各端子130〜134に対応して中継線材140、141、142、143、144が設けられている。中継線材140〜144は弾性を有する金属線から形成されており、ベルトハウジング120にリブにより区画して形成された配線溝に沿って収納されている。中継線材140〜144の一端側にはコイル形状部Cが形成されており、各コイル形状部Cがそれぞれ端子130〜134の接触面130b〜134bに接触して導通している。中継線材140の他端側は、回収ローラー124の一端側の図示しない軸受部材まで延設されて当接して導通している。また、中継線材141〜144の他端側は、それぞれ対応する一次転写ローラー113の一端側の軸受部材114を付勢している圧縮コイルバネ115まで延設され、各圧縮コイルバネ115と導通している。
【0039】
次に、中間転写ユニット3の筐体11への着脱構成、および第2接点51〜55と端子130〜134との導通について説明する。図2に示すように、中間転写ユニット3は筐体11内の収容空間Sにおいて、駆動ローラー111、従動ローラー112の軸が前後方向に延びて水平状態で収納されている。中間転写ユニット3の上面のコンテナ載置部120aには、トナーコンテナ104がそれぞれ載置されている。筐体11の上面に設けられた用紙排紙面161は、右側面カバー15側の端部を支点として上方に開閉可能に支持されている。用紙排紙面161を上方に開くと、筐体11の内部の収容空間Sの上方が開口される。その開口から各トナーコンテナ104を着脱することができる。更に、各トナーコンテナ104を開口から取り出した状態において、中間転写ユニット3をその開口から着脱することができる。
【0040】
筐体11の第1板金フレーム21及び第2板金フレーム22には、中間転写ユニット3に支持された駆動ローラー111の回転軸111aの両端部を位置決め支持する図示しない位置決め部が各々形成されている。中間転写ユニット3は、従動ローラー112が設けられた側を上方に持ち上げて傾けられた状態で、用紙排紙面161を開いた開口から挿入され、駆動ローラー111の回転軸111aの両端部を第1板金フレーム21及び第2板金フレーム22の前記位置決め部に挿入して位置決めされる。そして、中間転写ユニット3は、回転軸111aを支点として、従動ローラー112側が水平位置まで至るよう回動される。第1板金フレーム21及び第2板金フレーム22にはそれぞれ、中間転写ユニット3の従動ローラー112側が水平位置から更に下方へ移動するのを規制する図示しない規制部が設けられている。これにより中間転写ユニット3は、筐体11に対して自重により水平状態に位置決めされる。
【0041】
また、上述の中間転写ユニット3の装着動作において、中間転写ユニット3を駆動ローラー111の回転軸111aを支点に水平状態に回動させる際に、各端子130〜134の平面部130a〜134aと、第2接点51〜55の湾曲接点部61とが摺擦する。この際、湾曲接点部61は弾性変位する。そして、中間転写ユニット3の水平状態に至った状態において、各端子130〜134の平面部130a〜134aと第2接点51〜55の湾曲接点部61との接触が維持される。
【0042】
また、中間転写ユニット3を筐体11から取り出す場合は、上記の逆の手順にて行われる。すなわち、従動ローラー112側を上方に回動させて傾けた状態で、中間転写ユニット3は収容空間Sの上方の開口から取り出される。
【0043】
図11は、線材保持板30および高電圧基板28の斜視図であり、線材31〜35と高電圧基板28とが電気的に接続された状態を示し、図12は、高電圧基板28を裏面側から見た高電圧基板28の平面図である。
【0044】
高電圧基板28は、種々の電子素子等が実装された実装面28aを有する。実装面28aは、高電圧基板28が第1板金フレーム21に固定された状態で第1板金フレーム21と向き合う面である。なお、図11では、第1板金フレーム21を省略している。実装面28aには、該実装面28aに半田付けされたジャンパー線からなる基板側接点63、64、65、66、67が線材31〜35の第1接点36〜40に対応して設けられている。第1接点36〜40は弾性的に圧縮された状態で基板側接点63〜67に接触する。
【0045】
次に、図5を再び参照して、線材保持板30の配索面30aに突設されたリブ70について説明する。リブ70は、線材保持板30の長手方向寸法の略全体にわたって形成されており、図5において上下方向および前後方向に延びる多数のリブ片からなる。
【0046】
リブ片の一部は、線材31〜35の延在方向に沿って延びている。例えば、リブ片71は、隣り合う線材33(第1線材)および線材34(第2線材)間で線材33の延在方向に沿って延びている。線材33は、リブ片71における配索面30aと略直交する面と配索面30aと間に配索されている。リブ片72は、隣り合う線材34,35間で線材34の延在方向に沿って延びており、線材34は、リブ片72における配索面30aと略直交する面と配索面30aとの間に配索されている。このように、リブ片71は、線材33を線材34から隔離するように延在している。同様に、リブ片72は、線材34を線材35から隔離するように延在している。
【0047】
以上説明した本実施形態に係る画像形成装置10によれば、上側連結片24および下側連結片25に、その延在方向における寸法の略全体にわたって線材保持板30が固定されている。このため、上側連結片24および下側連結片25によって連結されている一対の第1板金フレーム21および第2板金フレーム22が、処理ユニットを支持することで発生する負荷に起因してねじれることを抑制することができる。これにより、筐体11の剛性を確保することができる。
【0048】
そして、線材保持板30を用いて筐体11の剛性を確保している分、連結片として使用する板金の使用量を削減することができる。特に上記実施形態では、第1板金フレーム21および第2板金フレーム22の左縁部に取り付ける連結片として、互いに離間した上側連結片24および下側連結片25を適用し、線材保持板30が両者間の空間を塞ぐ態様でこれらに取り付けられている。これにより、画像形成装置10の軽量化を図ることができる。このように、本実施形態に係る画像形成装置10は、線材保持板30を利用して、筐体11の剛性の確保および画像形成装置10の軽量化を図るものである。
【0049】
特に、本実施形態では、線材31〜35のそれぞれを、互いに独立した線材保持部材、例えば線材31〜35の配索方向に沿って延びる樹脂製ケースに支持させるのではなく、線材31〜35の全てを、上側連結片24および下側連結片25の延在方向における寸法の略全体にわたって延在するように設定された単一の樹脂製の板状部材(線材保持板30)に支持させている。従って、筐体11の剛性を確保し易いと共に、部品点数の増加も抑止することができる。
【0050】
また、本実施形態に係る画像形成装置10では、線材保持板30は樹脂製であるため、画像形成装置10の軽量化を一層図ることができる。また、線材31〜35を板金製の上側連結片24および下側連結片25から絶縁することができる。
【0051】
さらに、本実施形態に係る画像形成装置10では、線材保持板30は配索面30aに突設されたリブ70を有するので、線材保持板30の剛性、ひいては筐体11の剛性を一層図ることができる。
【0052】
さらに、本実施形態に係る画像形成装置10では、例えば線材33はリブ片71によって線材34から隔離されているので、線材33および線材34間の絶縁性を良好にすることができる。
【符号の説明】
【0053】
10 画像形成装置
11 筐体
21 第1板金フレーム
22 第2板金フレーム
24 上側連結片
25 下側連結片
28 高電圧基板
30 線材保持板
30a 配索面
31〜35 線材
70 リブ
71,72 リブ片
S 収容空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に対して画像形成処理を行う処理ユニットと、
前記処理ユニットが収容される収容空間を画定する筐体であって、互いに対向する一対の第1板金フレームおよび第2板金フレームと、前記第1板金フレームと前記第2板金フレームとの間で延びて前記第1板金フレームと前記第2板金フレームとを連結する板金製の連結片とを含み、前記第1板金フレームおよび前記第2板金フレームは、それらの間で前記処理ユニットを支持する筐体と、
前記処理ユニットに与える高電圧を発生する高電圧基板と、
前記高電圧基板と前記処理ユニットとを電気的に接続して前記高電圧を前記処理ユニットに供給する線材と、
前記線材を保持する線材保持板と、を備え、
前記線材保持板は、前記連結片の延在方向における寸法の略全体にわたって延び、前記連結片に固定されている、画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記線材保持板は樹脂製である、画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記線材保持板は、前記線材が配索された配索面と、前記配索面に突設されて前記線材保持板を補強するリブとを有する、画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置において、
前記線材は、第1線材と、前記第1線材に沿って配索された第2線材とを含み、
前記リブは、前記第1線材と前記第2線材との間で該第1線材および第2線材に沿って延びている、画像形成装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記連結片は、前記第1板金フレームおよび前記第2板金フレームの一縁部の上部同士を連結する第1連結片と、前記第1連結片と所定の距離だけ離間して該第1連結片の下方に位置し前記一縁部の中間部同士を連結する第2連結片と、を含み、
前記線材保持板は、前記第1連結片から前記第2連結片に跨がる上下方向の寸法を有し、前記第1連結片及び前記第2連結片に取り付けられている、画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記線材保持板は、矩形板状の部材であり、前記第1連結片と前記第2連結片との間の空間を塞いでいる、画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−18393(P2012−18393A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124241(P2011−124241)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】