説明

画像形成装置

【課題】 部品コストを低減させ、製品の小型化に役立ち、簡単な構成で、ユーザを驚かせることなく直感的に操作でき、重心バランスを安定させることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 記録材Sに画像を形成するプリンタ部2と、プリンタ部2の上方に配置され、原稿を載置する原稿台14及び原稿台14に原稿を押圧するる圧板13を有して原稿を読み取り可能なスキャナ部3と、を備え、スキャナ部3は、プリンタ部2に対して回動自在に設けられ、圧板13は、原稿台14に対してスキャナ部3と同一方向に回動自在に設けられた画像形成装置1であって、プリンタ部2に設けられ、圧板13が開放位置にあるときに圧板13の回転を止める回転止め機構を備える画像形成装置1を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧板及び原稿載置台を有する画像読取部を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には、圧板及び原稿載置台を有する画像読取部が、画像形成部の上部に開閉自在に取り付けられた構成のものがある。こうした画像形成装置に関する発明として特許文献1に記載の発明が開示されている。特許文献1に記載の画像形成装置は、原稿載置台及び圧板が連接機構により画像形成部に対して開閉自在に構成され、連接機構は、圧板の画像形成部に対する角度を一定に保つリンクを有する。こうした構成によれば、圧板や原稿載置台を開いた際に、重心が装置本体の後方に過度にズレなくなるから、メンテナンスパーツの交換等が安全かつ確実に行える旨記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−262037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のロック機構は、部品コストが余分にかかる上に、製品にロック機構の部品を配置するための空間が必要となって製品を小型化する際の制約となる。
【0005】
また、特許文献1に記載のロック機構は、圧板を開放した状態でさらに圧板に開く方向に力を加えた場合に、原稿台も開きユーザを驚かせる懸念がある。特に、小型・中型の画像形成装置では原稿台の重量が軽いため、圧板を回動させて上方に開放した状態でさらに圧板に開く方向に力を加えると、その力が圧板からリンク機構を通じて原稿台に伝わり、原稿台も一緒に開いてしまい、ユーザを驚かせる懸念がある。
【0006】
なお、こうした懸念を解消するために、圧板が開いているときは、原稿載置台が画像形成部に対して開かないようにロックし、原稿載置台が開いているときは、圧板が原稿台に対して開かないようにロックする構成も考えられる。ただし、圧板が開放された状態で、ユーザが原稿台を開こうとした場合、ロックを解除するために圧板を一度閉じる必要があり、この操作はユーザが直感的に操作できない虞がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記実情に鑑み、部品コストを低減させ、製品の小型化に役立ち、簡単な構成で、ユーザを驚かせることなく直感的に操作でき、重心バランスを安定させることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、記録材に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部の上方に配置され、原稿を載置する原稿載置台及び前記原稿載置台に原稿を押圧する押圧部材を有して原稿を読み取り可能な画像読取部と、を備え、前記画像読取部は、前記画像形成部に対して回動自在に設けられ、前記押圧部材は、前記原稿載置台に対して前記画像読取部と同一方向に回動自在に設けられた画像形成装置であって、前記画像形成部に設けられ、前記押圧部材が開放位置にあるときに前記押圧部材の回転を止める回転止め機構を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、部品コストが低減され、製品の小型化に役立ち、簡単な構成で、ユーザを驚かせることなく直感的に操作でき、重心バランスが安定する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1に係る画像形成装置の構成を示す斜視図である。
【図2】画像形成装置の内部構造を示す断面図である。
【図3】原稿台が単独で開放(圧板と一体的に開放)されたときの画像形成装置の構成を示す側面図等である。
【図4】圧板及び原稿台の各々が別々の角度で開放されたときの画像形成装置の構成を示す側面図である。
【図5】実施例2に係る画像形成装置の構成を示す側面図である。
【図6】原稿台及び圧板の各々が別々の角度で開放されたときの構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0012】
図1は、実施例1に係る画像形成装置1の構成を示す斜視図である。図2は、画像形成装置1の内部構造を示す断面図である。これらの図1及び図2を参照しつつ、実施例1に係る画像形成装置1について説明する。図1に示すように、画像形成装置1は、プリンタ部2及びスキャナ部3を備える。
【0013】
『画像形成部』であるプリンタ部2は、記録材S(図2参照)に画像を形成するものである。『画像読取部』であるスキャナ部3は、プリンタ部2の上方に配置され、原稿を載置する『原稿載置台』である原稿台14、及び、原稿台14に原稿を押圧する『押圧部材』である圧板13、を有し、原稿を読み取り可能なものである。
【0014】
スキャナ部3は、プリンタ部2に対して回動自在に設けられ、圧板13は、原稿台14に対してスキャナ部3と同一方向に回動自在に設けられている。また、画像形成装置1は回転止め機構を備える。回転止め機構は、プリンタ部2に設けられ、圧板13が開放位置にあるときに圧板13の回転を止める機構である。特に、実施例1では、『回転止め機構』は突当面17である。突当面17は、プリンタ部2の枠体11から延びてスキャナ部3を支持する『支持体』である軸支持部11aに形成され、圧板13が開放位置にあるときに圧板13の裏面が突き当たる。これに関しては後述する。
【0015】
画像形成装置1は、通信可能に接続されたホストコンピュータなどの外部機器からの画像情報、或いはスキャナ部3で読み取った原稿画像情報に応じてプリンタ部2に於いて画像を形成するプリンタ・複写機として機能する。また、画像形成装置1は、スキャナ部3で読み取った原稿画像情報を通信可能に接続された外部機器に送信するスキャナ装置としても機能し得る複合機である。
【0016】
図2に示すように、スキャナ部3は、プリンタ部2の上方に配置されており、スキャナ部3及びプリンタ部2の間に排出積載部4を挟む状態に配置されている。また、スキャナ部3は、プリンタ部2に対して、後方部の回動中心Aを中心として回動可能(開閉可能)に取り付けられている。またその前方部は、プリンタ部2とスキャナ部3の間を連結するリンク部材5(図1参照)が設けられている。
【0017】
次に、プリンタ部2の内部構造について説明する。プリンタ部2は、電子写真方式により記録材Sに画像を記録するレーザビームプリンタである。プリンタ部2は概略次のような構成、作用により画像を形成する。
【0018】
図2に示されるように、給送トレイ6に積載された記録材Sは、ホストコンピュータ(図示せず)からのプリント信号に基づいて、給送ローラ7と分離ローラ8とにより一枚ずつ分離されて給送される。分離された記録材Sは、搬送ローラ対9により、転写部51に搬送される。転写部51は、ユニット化されプリンタ部2すなわち画像形成装置1に着脱自在なプロセスカートリッジ59と、転写ローラ57等を備えている。プロセスカートリッジ59は、感光体ドラム58、感光体ドラム58を帯電させる図示しない帯電器、感光体ドラム58上の潜像をトナーで現像する図示しない現像器、感光体ドラム58上の残留トナーを除去し、収容するクリーナ等から構成されている。
【0019】
レーザスキャナユニット60は、多面体ミラー61、多面体ミラー回転用モータ、レーザユニット等がユニット化されて構成されている。レーザスキャナユニット60から画像情報に基づくレーザ光Lが照射され、感光体ドラム58上に露光し、潜像が電子写真方式で形成される。この潜像は現像手段により現像剤としてのトナーにより現像され、この現像されたトナー像は転写ローラ57により、感光体ドラム58上から搬送される記録材Sに転写される。その後、感光体ドラム58は、クリーナにより残留トナーが清掃される。
【0020】
トナー像の転写を終えた記録材Sは定着フィルム64と、この定着フィルム64に圧接された加圧ローラ65とから構成される定着ユニット62に搬送され、ここで転写されたトナー像が加熱及び定着される。トナー像が定着された記録材Sは、排出ローラ対63により搬送され、プリンタ部2の上方部の排出積載部4に排出される。
【0021】
排出積載部4は、プリンタ部2の筐体の一部として、ドア10の上面に設けられている。また、ドア10は、プリンタ部2の枠体11に、回動中心C周りに回動開閉可能に配置されている。そして、このドア10をプリンタ部2の本体に対して開口することによって、プリンタ部2の内部を開放することができ、プロセスカートリッジ59に対するアクセスや記録材Sのジャム処理などが可能となる。
【0022】
スキャナ部3は、原稿を載置する原稿台14と、原稿台14に置かれた原稿を上から抑える圧板13からなる。原稿台14は、原稿台14に載置された原稿を走査するために移動可能なキャリッジ(図示せず)を有し、プリンタ部2に対する回動中心A周りに回動可能である。圧板13は、原稿台14の上面に配置されており、回動中心Aと同軸上の回動中心周りに、原稿台14に対し回動開閉可能である。そのため原稿台14の回動方向と、圧板13の回動方向は一致している。スキャナ部3が、自動原稿搬送装置(以下、ADF)を備えている場合、ADFは圧板13と一体に取り付けられている。
【0023】
図3(a)は、原稿台14が単独で開放(圧板13と一体的に開放)されたときの画像形成装置1の構成を示す側面図である。図3(b)は、圧板13が単独で開放されたときの画像形成装置1の構成を示す側面図である。図4は、圧板13及び原稿台14の各々が別々の角度で開放されたときの画像形成装置1の構成を示す側面図である。この図3を参照しつつ、スキャナ部3の回動機構(開閉機構)について説明する。
【0024】
ここで、図1及び図2に戻って、スキャナ部3の回動機構の構成及び作用に関して説明する。図1に示すように、プリンタ部2の上部における後方側の部位には、枠体11の軸支持部11aが上方に向かって延びている。この軸支持部11aは、「原稿台回転保持軸」である軸21を保持している。この一方で、原稿台14の背面には、「原稿台回転支持部」である支持部20が設けられている。そして、この支持部20に対して軸21が挿通されている。そのために、原稿台14は、プリンタ部2に対して回動中心A(軸21)を中心として回動可能となっている。また、原稿台14が回動することで、原稿台14の上の圧板13が回動するので、スキャナ部3は全体として回動するようになっている。
【0025】
原稿台14の背面には、軸挿通部25及び支持凸部26が設けられている。軸挿通部25には、「圧板回転保持部」である軸16が挿通され、支持凸部26が軸16を支持している。この一方で、圧板13の背面側には、「圧板回転支持部」である支持部15が設けられている。そして、この支持部15に対しても軸16が挿通されている。そのために、圧板13は、原稿台14に対して回動中心A(軸16)を中心として回動可能となっている。また、プリンタ部2の枠体11の軸支持部11aには、圧板13が開放位置にあるときに、圧板13の裏面が突き当たる突当面17が形成されている。この突当面17については、後述する。
【0026】
図3(a)を参照しつつ、原稿台14及び圧板13が一体的に回動(開閉)する機構及び回動動作(開閉動作)について説明する。ここで、原稿台14における支持部20の側を「原稿台14の基端部」といい、原稿台14における支持部20とは反対側を「原稿台14の先端部」というものとする。
【0027】
図3(a)に示すように、プリンタ部2とスキャナ部3との間は、リンク部材5により連結されている。リンク部材5は、主に、下リンク22、上リンク23、及び、捩りコイルバネ(以下、「バネ30」という)を有している。下リンク22の一端は、プリンタ部2の枠体11の軸支持部11aに回転可能に支持されている。他方、上リンク23の一端は、原稿台14の下部に回転可能に支持されている。これらの下リンク22の他端、及び、上リンク23の他端は、回転可能に接合されている。このように接合されていることにより、それぞれの原稿台14の下面、プリンタ部2の枠体11の軸支持部11a、下リンク22および上リンク23が、回転支持部において回転可能に支持されており、4節リンクが構成されている。
【0028】
バネ30は、下リンク接合部28に設けられた軸を軸中心として下リンク22を矢印Vの方向に付勢し、上リンク接合部29に設けられた軸を軸中心として上リンク23を矢印Vの方向に付勢するように取り付けられている。また、下リンク22に対して上リンク23が所定量以上回転しないようにするための回転止めが、下リンク22に設けられている。
【0029】
定常動作の際においては、図2に示すように、スキャナ部3はプリンタ部2に対し閉じた状態にある。そしてプロセスカートリッジ59に対するアクセスや記録材Sのジャム処理などのために、プリンタ部2の内部を開放する場合には、まず図3(a)に示されるようにスキャナ部3を持ち上げて開放状態で保持させた後、ドア10を持ち上げて開放させる。
【0030】
これより、スキャナ部3を持ち上げて開放状態で保持させる動作を説明する。まず、ユーザがスキャナ部3の原稿台14の先端部を持ち上げる。これにより、図3(a)に示すように、スキャナ部3は回動中心Aを中心として開く方向Wに回転する。この時、スキャナ部3の回転動作に伴って、リンク部材5は所定の軌跡上を回転動作する。
【0031】
そして、下リンク22および上リンク23が所定量回転すると、下リンク22に設けられた突き当て面に上リンク23が突き当たり、4節リンクの運動が止まる。このときのスキャナ部3の位置が開放状態の位置となる。またリンク部材5に取り付けられたバネ30によって、矢印Vの方向に下リンク22と上リンク23を開く力が働き、突っ張ることで、スキャナ部3の開放状態が保持される。
【0032】
次に、スキャナ部3を閉じる動作を説明する。ユーザがスキャナ部3の先端部を押し下げ、リンク部材5に取り付けられたバネ30によるスキャナ部3を保持する力を上回る力をかける。これにより、スキャナ部3は回動中心Aを中心として閉じる方向Xに回転して閉じる。
【0033】
図3(b)を参照しつつ、圧板13が回動(開閉)する機構及び回動動作(開閉動作)について説明する。ここで、圧板13における支持部15の側を「圧板13の基端部」といい、圧板13における支持部15とは反対側を「圧板13の先端部」というものとする。スキャナ部3を使用して、原稿を読み取る操作を行う際、スキャナ部3の圧板13を持ち上げて開放させた後、原稿台14に原稿を載置し、その後に圧板13を閉じて、原稿を押圧する操作を行う。
【0034】
これより、圧板13を持ち上げて開放状態で保持させる動作を説明する。ユーザが圧板13を開く際には、圧板13の先端部を持ち上げる。これにより図3(b)に示すように、圧板13は回動中心Aを中心として開く方向Wに回転する。
【0035】
圧板13が所定量回転すると、プリンタ部2の枠体11の軸支持部11aに設けられた突当面17に圧板13が突き当たり、圧板13がこれ以上回転できなくなる。このときの圧板13の位置が開放状態の位置となる。また、圧板13が開放状態の位置にあるとき、圧板13の重心位置Gaは、圧板13の回動中心Aよりも製品後方にある。そのため圧板13の回動中心A回りのモーメントを考えると、圧板13は、圧板13の自重による力Faによって、開く方向に力がかかることが分かる。これにより、圧板13の開放状態が保持される。
【0036】
ここで、圧板13が開放状態にある位置から、圧板13をさらに開く方向Wに力Fbをかける。この力Fbは圧板13の突当面17に伝わる。突当面17はプリンタ部2の枠体11の軸支持部11aに設けられているため、圧板13に掛けられる力は直接にプリンタ部2に伝わることになる。そのため力Fbは原稿台14に伝わることはない。従って、圧板13が開放状態にある位置から、圧板13をさらに開く方向Wに力Fbをかけた場合にも、原稿台14が開いてしまいユーザを驚かせる懸念のない構成が達成される。
【0037】
次に、圧板13を閉じる動作を説明する。ユーザが圧板13を閉じる際には、圧板13の先端部を押し下げる。これにより図3(b)に示す状態から、圧板13は回動中心Aを中心として閉じる方向Xに回転して閉じる。
【0038】
以上の原稿台14および圧板13の回動開閉動作の説明では、圧板13が閉じた状態で原稿台14の開閉動作を行い、原稿台14が閉じた状態で圧板13の開閉動作を行った。これらの他に、圧板13が開放状態で保持されているときに、原稿台14の開閉動作を行い、原稿台14が開放状態で保持されているときに、圧板13の開閉動作を行うことが考えられる。この2つの動作をする場合について説明する。
【0039】
まず、図3(b)にあるように圧板13が開放状態で保持されているときに、原稿台14の開閉動作を行う場合について述べる。圧板13が開放状態で保持されている場合においても、原稿台14の先端部を持ち上げることで原稿台14を開放して保持することができる。同様に、原稿台14の先端部を押し下げることで閉じることができる。
【0040】
ここで、圧板13に対する突当面17はプリンタ部2の枠体11の軸支持部11aに設けられていることで、圧板13の開放状態での保持は、プリンタ部2から直接なされている。従って、原稿台14が開閉されても、図4に示すように圧板13の開放状態の位置が製品後方側に移動することはない。そのため画像形成装置1の重心バランスは、圧板13や原稿台14の開閉に関わらず安定している。ADFを備えており、ADFと一体に取り付けられた圧板13の重量が大きい場合にも、重心バランスは全く同様に安定している。
【0041】
さらに、圧板13の回動中心(軸16)と、原稿台14の回動中心(軸21)とは、同軸上にある。そのため、圧板13の回動中心(軸16)は、原稿台14の開閉角度に関わらず一定になっている。従って、圧板13の開放状態が保持されたまま原稿台14が開閉動作されても、圧板13の開放状態の位置(姿勢)は、原稿台14の開閉角度によらず一定となる。その結果、開放状態にある圧板13が原稿台14の開閉動作で閉まってきてユーザを驚かせる懸念が無い。
【0042】
次に、図3(a)にあるように原稿台14が開いた状態で圧板13の開閉動作を行う場合について説明する。原稿台14が開放状態で保持されている場合においても、圧板13の先端部を持ち上げることで、圧板13を開放し保持することができる。同様に、圧板13の先端部を押し下げることで閉じることができる。ここで、すでに述べたように、圧板13が開放状態で保持される位置は、原稿台14の開閉に関わらず一定となっている。
【0043】
以上説明したように、原稿台14および圧板13の回動開閉動作は、原稿台14および圧板13の開閉位置に関わらず、自由に行うことができる。そのため、ユーザは直感的に操作が可能である。また、ロック機構などを使用しない簡素な構成のため、製品の小型化・低価格化に有利となる。
【0044】
また、軸16を原稿台14に設ける(圧板13は、原稿台14に設けられた軸16を回動中心として軸支されている)。その結果、スキャナ部3の機能をスキャナ部3内で完結させることができるため、原稿台14に対する圧板13の位置決めも容易になる。そのために、読取精度(特にADFを備えている場合のADFからの読み取り精度)を確保し易い(悪化させる懸念がなくなる)という効果が得られる。なお、軸16が、原稿台14の回動中心である軸21と同軸上にあれば、軸16をプリンタ部2の枠体11の軸支持部11aに設けても、構成可能であり、上で述べたものと同じ効果が得られる。
【実施例2】
【0045】
図5は、実施例2に係る画像形成装置101の構成を示し、図5(a)は原稿台14及び圧板13を閉じたときの構成を示す側面図であり、図5(b)は圧板13を単独で開いたときの構成を示す側面図である。図6は、原稿台14及び圧板13の各々が別々の角度で開放されたときの構成を示す側面図である。ここではその特徴的な部分だけを示し、その他の構成および作用については実施例1と同一なので、その説明は省略する。実施例2では、回転止め機構は、圧板13とプリンタ部2を直接に連結する『連結部材』である紐状部材50である。
【0046】
図5(a)〜図6で示すように、原稿台14の回転中心である軸21(回動中心A)と、圧板13の回転中心である軸16(回動中心B)は同一軸上に無く、2つの回転中心軸がずれている。
【0047】
また、プリンタ部2と圧板13との間は、紐状部材50により連結されている。紐状部材50の一端はプリンタ部2の枠体11の枠体紐保持部52に保持され、紐状部材50の他端は圧板13の下部に設けられた圧板紐保持部53に保持されている。このように保持されていることにより、圧板13が開放されたときの回転止めをプリンタ部2から直接行うことができる。
【0048】
図5(b)を参照しつつ、圧板13が回動(開閉)する機構及び回動動作(開閉動作)について説明する。まず、圧板13を開く際には、圧板13の先端部を持ち上げる。これにより図5(b)に示すように、圧板13は回動中心Bを中心として開く方向Wに回転する。圧板13が所定量回転すると、プリンタ部2と圧板13との間を連結する紐状部材50が突っ張り、圧板13がこれ以上回転できなくなる。このときの圧板13の位置が開放状態の位置となる。
【0049】
ここで、図5(b)で示す圧板13が開放状態にある位置から、圧板13をさらに開く方向Wに力Fbをかける。この力Fbは圧板13の圧板紐保持部53から、紐状部材50を通じ、プリンタ部2の枠体紐保持部52に伝わるため、圧板13に掛けられる力は直接にプリンタ部2に伝わることになる。そのため力Fbは原稿台14に伝わることはない。従って、圧板13が開放状態にある位置から、圧板13をさらに開く方向Wに力Fbをかけた場合にも、原稿台14が開いてしまいユーザを驚かせる懸念のない構成が達成される。なお、圧板13を閉じる際には、圧板13の先端を押し下げる。
【0050】
次に、図5(b)にあるような、圧板13が開放状態で保持されているときに、原稿台14の開閉動作を行う場合について述べる。プリンタ部2と圧板13との間は、紐状部材50により連結されているため、原稿台14が開閉されても、図6に示すように圧板13の開放状態の位置が製品後方側に移動することはない。そのため画像形成装置101の重心バランスは、圧板13や原稿台14の開閉に関わらず安定している。
【0051】
実施例1又は2の構成によれば、部品コストが低減され、製品の小型化に役立ち、簡単な構成で、ユーザを驚かせることなく直感的に操作でき、重心バランスが安定する。効果を詳細に分析すると、以下のようになる。
【0052】
圧板13が開放位置にあるときの回転止めをプリンタ部2に設けている。そのため、開放状態にある圧板13に対して更なる開放方向への力が負荷されても、力はプリンタ部2に伝わるのみで原稿台14に伝わることはなく、原稿台14が開いてしまってユーザを驚かせる懸念がなくなる。また、圧板13の開放状態での保持は、プリンタ部2から直接なされているため、原稿台14が開閉されても、圧板13の開放状態の位置は略一定に保たれる。そのため、画像形成装置1の重心バランスの変動が大きく低減され、重心バランスを崩す懸念がなくなる。
【0053】
さらに、機構などを追加していないため、直感的な操作が可能となる。また、構成が簡素であり、製品の小型化・低価格化に有利である。特に、小型・中型の画像形成装置で軽量化を目指す場合に、上記利点の度合が増す。
【0054】
実施例2の構成によれば、実施例1の場合のように突当面17と圧板13の裏面との配置関係を調節しなくても、実施例1と同様の効果が得られる。
【0055】
なお、実施例1では、突当面17は、4つの軸支持部11aの内側の2つにのみ設けられていたが、この構成に限定されなくても良い。すなわち、4つの軸支持部11aの全てに設けられても良い。また、突当面17の数は、適宜変更可能である。
【0056】
なお、実施例2では、プリンタ部2と圧板13との連結に紐状部材50を使用したが、それに限らず例えば、ピストン運動をするリンク機構を用いても構成可能であり、上で述べたものと同じ効果が得られる。また、回動中心Aと回動中心Bが同軸上にあっても良い。
【符号の説明】
【0057】
1、101 画像形成装置
2 プリンタ部(画像形成部)
3 スキャナ部(画像読取部)
13 圧板(押圧部材)
14 原稿台(原稿載置台)
17 突当面(回転止め機構)
52 紐状部材(回転止め機構)
S 記録材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部の上方に配置され、原稿を載置する原稿載置台及び前記原稿載置台に原稿を押圧する押圧部材を有して原稿を読み取り可能な画像読取部と、を備え、前記画像読取部は、前記画像形成部に対して回動自在に設けられ、前記押圧部材は、前記原稿載置台に対して前記画像読取部と同一方向に回動自在に設けられた画像形成装置であって、
前記画像形成部に設けられ、前記押圧部材が開放位置にあるときに前記押圧部材の回転を止める回転止め機構を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記押圧部材の回動中心と前記画像読取部の回動中心とが同軸上にあることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記押圧部材は、前記原稿載置台に設けられた軸を回動中心として軸支されていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置
【請求項4】
前記回転止め機構は、前記画像形成部から延びて前記画像読取部を支持する支持体に形成されて前記押圧部材が開放位置にあるときに前記押圧部材の裏面が突き当たる突当面を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記回転止め機構は、前記押圧部材と前記画像形成部を直接に連結する連結部材を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−185337(P2012−185337A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48455(P2011−48455)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】