説明

画像形成装置

【課題】 非磁性一成分現像方式における、最も使用頻度の高い黒色現像部におけるトナーの劣化や、最初に現像動作が行われる画像形成部における紙粉等の異物の混入等によって引き起こされる、経時的な画質劣化を、可及的に抑制する。
【解決手段】 ジャンピング現像方式により第一色の現像を他色に先駆けて行う。あるいは、ジャンピング現像方式により黒色の現像を行う。他色の現像は、接触現像方式により行う。他色の現像を行うための現像部は、いわゆる「クリーナレス方式」のものであってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非磁性一成分現像方式により、シート状の記録媒体上に複数色の現像剤(トナー)による画像を形成するように構成された、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、特開平11−249452号公報等に開示されたものが知られている。かかる装置においては、各色の現像部が連続して並列配置されていて、多色画像形成時にはこれら複数の現像部によって順次現像動作が行われる。
【発明の概要】
【0003】
この種の装置において、新品のトナーが補給されてから、あるいは、使用中のトナーカートリッジから新品のトナーカートリッジに交換されてから、使用時間が経過する(画像形成枚数の累計値が大きくなる)ことで、画質が劣化することがある。かかる経時的な画質劣化は、主として、最も使用頻度の高い黒色現像部におけるトナーの劣化や、最初に現像動作が行われる現像部における紙粉等の異物の混入等によって引き起こされる。本発明は、かかる課題に対処するためになされたものである。
【0004】
本発明の画像形成装置の、一側面における特徴は、
ジャンピング現像方式により第一色(例えば黒色)の現像を他色に先駆けて行うように設けられた、第一色現像部と、
前記第一色現像部による前記第一色の現像の後に、接触現像方式により前記他色の現像を行うように設けられた、他色現像部と、
を備えたことにある。
【0005】
本発明の画像形成装置の、他の側面における特徴は、
ジャンピング現像方式により黒色の現像を行うように設けられた、第一色現像部と、
接触現像方式により他色の現像を行うように設けられた、他色現像部と、
を備えたことにある。
【0006】
なお、本発明の画像形成装置においては、典型的には、前記第一色現像部と複数の前記他色現像部とが、並列に設けられている(いわゆる「タンデム」型)。
【0007】
本発明の画像形成装置においては、具体的には、前記他色現像部は、他色現像剤担持部材を備えている。前記他色現像剤担持部材は、前記他色の前記現像剤を担持するための円柱面状の周面である他色現像剤担持面を有している。そして、前記他色現像剤担持部材は、前記他色現像剤担持面が静電潜像担持体と接触することで前記静電潜像担持体上の静電潜像を前記他色の前記現像剤により現像するように、前記静電潜像担持体と対向配置されている。一方、前記第一色現像部は、第一色現像剤担持部材を備えている。前記第一色現像剤担持部材は、前記第一色の前記現像剤を担持するための円柱面状の周面である第一色現像剤担持面を有している。そして、前記第一色現像剤担持部材は、前記第一色現像剤担持面が前記静電潜像担持体と所定のギャップを隔てて対向することで前記静電潜像担持体上の静電潜像を前記第一色の前記現像剤により現像するように、前記静電潜像担持体と対向配置されている。
【0008】
前記他色現像部は、いわゆる「クリーナレス方式」の現像部であってもよい。この場合、前記他色現像部は、前記静電潜像担持体上に残留した前記現像剤である転写残現像剤を、当該静電潜像担持体と接触する前記他色現像剤担持部材(前記他色現像剤担持面)により回収するように構成されている。
【0009】
本発明の画像形成装置は、前記第一色現像部と複数の前記他色現像部とを並列の状態で支持する現像部支持フレームをさらに備えていてもよい。この場合、前記第一色現像部は、第一色静電潜像担持体と、前記第一色現像剤担持部材と、第一色現像部ケースと、第一色現像部ケース押圧部と、ギャップ形成部材と、を備えている。また、前記他色現像部は、他色静電潜像担持体と、前記他色現像剤担持部材と、他色現像部ケースと、他色現像部ケース押圧部と、を備えている。
【0010】
前記第一色静電潜像担持体は、静電潜像が形成される円筒状の部材である。前記第一色現像剤担持部材は、前記第一色現像剤担持面が前記第一色静電潜像担持体と前記ギャップを隔てて対向することで前記第一色静電潜像担持体上の静電潜像を前記第一色の前記現像剤により現像するように、前記第一色静電潜像担持体と対向配置されている。前記第一色現像部ケースは、前記第一色現像剤担持部材を回転可能に支持するとともに、前記第一色の前記現像剤を収容するように構成されている。前記第一色現像部ケース押圧部は、前記第一色現像部ケースを前記第一色静電潜像担持体に向けて押圧するように設けられている。前記ギャップ形成部材は、前記第一色現像剤担持面と前記第一色静電潜像担持体との間の前記ギャップを形成するために、前記第一色現像剤担持部材の軸方向における端部に対応する位置に設けられている。
【0011】
前記他色静電潜像担持体は、静電潜像が形成される円筒状の部材である。前記他色現像剤担持部材は、前記他色現像剤担持面が前記他色静電潜像担持体と接触することで前記他色静電潜像担持体上の静電潜像を前記他色の前記現像剤により現像するように、前記他色静電潜像担持体と対向配置されている。前記他色現像部ケースは、前記他色現像剤担持部材を回転可能に支持するとともに、前記他色の前記現像剤を収容するように構成されている。前記他色現像部ケース押圧部は、前記他色現像部ケースを前記他色静電潜像担持体に向けて押圧するように設けられている。すなわち、前記他色現像部は、前記ギャップ形成部材が設けられていない以外は、前記第一色現像部と同様に構成されている。
【0012】
前記第一色静電潜像担持体及び前記他色静電潜像担持体は、前記現像部支持フレームによって回転可能に支持されている。前記第一色現像部ケース及び前記他色現像部ケースは、前記現像部支持フレームに対して着脱自在に構成されている。前記第一色現像部ケース押圧部及び前記他色現像部ケース押圧部は、前記現像部支持フレームに装着されている。
【0013】
本発明の画像形成装置は、直動カムをさらに備えていてもよい。この直動カムは、前記他色現像部の配列方向に沿って設けられた棒状部材であって、非画像形成時に前記他色現像部ケースを前記他色現像部ケース押圧部による押圧方向と逆方向に移動させることで前記他色静電潜像担持体と前記他色現像剤担持部材とを離間させるとともに、画像形成時に当該離間を解除するように構成されている。
【0014】
本発明の画像形成装置は、前記第一色静電潜像担持体に付着した、前記現像剤以外の異物を回収する、異物回収部をさらに備えていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態であるカラーレーザープリンタの概略的な構成を示す側断面図である。
【図2】図1に示されている現像ユニット(ブラック現像ユニット)の斜視図である。
【図3】図1に示されているドラムユニットフレームに各色の現像ユニットが装着された状態を示す斜視図である。
【図4】図3に示されているドラムユニットフレームの斜視図である。
【図5】図4に示されているドラムユニットフレームを内側から見た側面図である。
【図6】図1に示されている各現像ユニットの感光体ドラムに対する押圧及び離間動作の様子を示す概略的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
<カラーレーザープリンタの全体構成>
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態であるカラーレーザープリンタ1の概略的な構成を示す側断面図である。以下、図1における右側(図中y軸負側)を、当該カラーレーザープリンタ1の「前面」側と称し、図1における左側(図中y軸正側)を、当該カラーレーザープリンタ1の「背面」側と称する。また、図1における上下方向(図中z軸方向)を、当該カラーレーザープリンタ1の「高さ方向」又は「上下方向」と称し、図1における左右方向(図中y軸方向)を、当該カラーレーザープリンタの「前後方向」と称する。さらに、図1の紙面と垂直な方向(図中x軸方向)を、当該カラーレーザープリンタ1の「幅方向」と称する。
【0018】
カラーレーザープリンタ1は、シート状の記録媒体である用紙P上に、複数色の現像剤(非磁性一成分乾式トナー)による画像を形成するように構成されている。具体的には、本実施形態のカラーレーザープリンタ1は、給紙カセット2と、現像ユニット3(ブラック現像ユニット3K,イエロー現像ユニット3Y,マゼンタ現像ユニット3M,及びシアン現像ユニット3C)と、ドラムユニット4と、露光ユニット5と、用紙搬送部6と、転写部7と、定着部8と、排紙部9と、を備えている。
【0019】
カラーレーザープリンタ1における本体部を構成する本体フレーム10は、合成樹脂製の箱状部材である本体ケーシング11によって覆われている。本体ケーシング11の上面11aには、排紙トレイ11bが形成されている。この排紙トレイ11bは、本体ケーシング11の背面側における上部に形成された排紙口11cから排出された用紙Pを受容し得るように設けられている。本体ケーシング11における前面側には、前面開口部11dが形成されている。この前面開口部11dは、前面カバー11eを前面側に開放することで、カラーレーザープリンタ1における内部のメンテナンスを行えるように設けられている。前面カバー11eは、その下端部を中心として、上述の前後方向(図中y軸方向)に沿って開閉可能に構成されている。
【0020】
<<給紙カセット>>
本体フレーム10の底部には、シート状の用紙Pを積層状態で貯留し得るように構成された給紙カセット2が、脱着可能に装着されている。給紙カセット2のケーシングを構成するカセットケース21の内側には、用紙が載置される用紙押圧板22が配置されている。用紙押圧板22は、背面側の端部である押圧板後端部22aを揺動中心とし、前面側の端部である押圧板前端部22bを自由端として、当該押圧板前端部22bが上下方向に沿って揺動するように支持されている。押圧板付勢レバー23は、押圧板前端部22bを上方に付勢し得るように、当該押圧板前端部22bの下方に配置されている。
【0021】
カセットケース21における前面側の端部近傍であって、押圧板前端部22bよりも用紙搬送方向における下流側には、分離パッド25が配置されている。この分離パッド25の上面には、カセットケース21内から用紙搬送方向に送出された用紙Pの前端部(前面側の端部)が当接する分離面25aが形成されている。この分離面25aは、ゴム等の、用紙よりも摩擦係数が高い材質によって構成されている。この分離パッド25は、下方から分離パッド付勢バネ26によって上方に付勢されている。
【0022】
カセットケース21における前面側の上端部であって、分離パッド25よりも用紙搬送方向における下流側には、ピンチローラ28が配置されている。このピンチローラ28は、カセットケース21によって、回転自在に支持されている。
【0023】
<<現像ユニット>>
本体フレーム10の内側であって、給紙カセット2よりも上方には、複数の現像ユニット3(ブラック現像ユニット3K,イエロー現像ユニット3Y,マゼンタ現像ユニット3M,及びシアン現像ユニット3C)が並列に配置されている。具体的には、ブラック現像ユニット3K,イエロー現像ユニット3Y,マゼンタ現像ユニット3M,及びシアン現像ユニット3Cは、この順序で当該カラーレーザープリンタ1の前面側から背面側に向かって配列されている。イエロー現像ユニット3Y,マゼンタ現像ユニット3M,シアン現像ユニット3C,及びブラック現像ユニット3Kには、それぞれ、イエロー,マゼンタ,シアン,及び黒色の粉体トナーが収容されている。各現像ユニット3は、ドラムユニット4に対して斜め上下方向に沿って脱着自在且つ相対移動可能に装着されている(着脱方向及び相対移動方向の詳細については後述する)。
【0024】
図2は、図1に示されている現像ユニット3(ブラック現像ユニット3K)の斜視図である。イエロー現像ユニット3Y,マゼンタ現像ユニット3M,及びシアン現像ユニット3Cは、一部を除き、ほぼブラック現像ユニット3Kと同様の構成を有しているため、以下、図1及び図2を参照しつつ、現像ユニット3の具体的構成について説明する。
【0025】
現像ユニット3の筐体である「現像部ケース」としての現像ユニットケース31は、トナーボックス部31aと、ローラ支持部31bと、位置関係設定突起31cと、を備えている。トナーボックス部31aは、トナーが収容されるトナー収容室を構成する箱状の部分であって、そのローラ支持部31b側の壁面には開口部が設けられている。上述のトナー収容室内には、収容されているトナーを撹拌するためのアジテータ32が、回転可能に収容されている。
【0026】
ローラ支持部31bには、供給ローラ33及び現像ローラ34が、回転可能に支持されている。供給ローラ33は、スポンジローラからなり、トナーボックス部31a内のトナーを現像ローラ34に供給するために、現像ローラ34と接触するように設けられている。現像ローラ34は、金属製の丸棒からなる現像ローラシャフト34aと、その周囲に形成されたゴム層であるローラ本体34bと、からなる、ゴムローラ状部材であって、供給ローラ33と平行に設けられている。現像ローラ34は、供給ローラ33が回転駆動される方向(図1における反時計方向)と同一方向に回転駆動されることで、ローラ本体34bの円柱面状の周面であるトナー担持面34b1上に帯電したトナーを担持するように、構成及び配置されている。
【0027】
ここで、本実施形態においては、ブラック現像ユニット3Kに備えられている現像ローラ34である黒色現像ローラ34Kは、ローラ本体34bの外径が他の現像ローラ34のものよりも僅かに(例えば0.5mm程度)小さくなるように形成されている。また、ブラック現像ユニット3Kには、スペーサ35が設けられている。本発明の「ギャップ形成部材」としてのスペーサ35は、黒色現像ローラ34Kにおけるローラ本体34bの軸方向における両端部の外側にて現像ローラシャフト34aに挿通された、略円盤状の部材であって、他の現像ユニット3(イエロー現像ユニット3Y,マゼンタ現像ユニット3M,及びシアン現像ユニット3C)におけるローラ本体34bと同じ外径に形成されている。すなわち、イエロー現像ユニット3Y,マゼンタ現像ユニット3M,及びシアン現像ユニット3Cは、スペーサ35が設けられていない以外は、ブラック現像ユニット3Kと同様に構成されている。
【0028】
図2に示されているように、現像ローラシャフト34aの両端部であって、ローラ支持部31bによって回転可能に支持されている個所よりも外側には、円筒状のシャフト軸受カバー34cが、現像ローラシャフト34aに対して相対的に回転可能に装着されている。
【0029】
現像ローラ34は、トナー担持面34b1の一部(供給ローラ33と接触している部分と反対側の部分)を現像ユニットケース31の外側に露出するように設けられている。かかるトナー担持面34b1の一部と接触するように、現像ユニットケース31には、層厚規制ブレード36が装着されている。層厚規制ブレード36は、上述のトナー担持面34b1の一部とカウンター方向に当接することで、トナー担持面34b1上のトナーの量を調整するように、構成及び配置されている。
【0030】
上述の通り、各現像ユニット3は、それぞれに対向するようにドラムユニット4に設けられた感光体ドラム41に形成された静電潜像を、非磁性一成分現像方式によって現像するように構成されている。特に、本実施形態においては、最初に画像形成が行われる、用紙Pの搬送方向における最上流に設けられたブラック現像ユニット3Kは、ブラック感光体ドラム41Kに形成された静電潜像を、「ジャンピング現像方式」により、黒色現像ローラ34Kとブラック感光体ドラム41Kとが所定のギャップを隔てて対向する非接触の状態で、黒色トナー担持面34b1K上に担持された黒色トナーによって現像するようになっている。
【0031】
一方、イエロー現像ユニット3Y,マゼンタ現像ユニット3M,及びシアン現像ユニット3Cは、トナー担持面34b1が感光体ドラム41と接触する「接触現像方式」により静電潜像を現像するようになっている。さらに、イエロー現像ユニット3Y,マゼンタ現像ユニット3M,及びシアン現像ユニット3Cは、感光体ドラム41上に残留したトナーをトナー担持面34b1に回収する、「クリーナレス方式」の現像装置として構成されている(特開2000−267537号公報参照)。
【0032】
また、イエロー現像ユニット3Y,マゼンタ現像ユニット3M,及びシアン現像ユニット3Cは、現像動作を行わない場合(すなわち画像形成動作そのものが行われない場合、及び、ブラック現像ユニット3Kのみによる単色の画像形成が行われる場合)に、感光体ドラム41から離間するようになっている。このために、現像ユニットケース31には、図2に示されているように、現像ユニットケース31の幅方向における両端から外側に突出する略円柱状の部材である位置関係設定突起31cが設けられている。
【0033】
<<ドラムユニット>>
図1を参照すると、ドラムユニット4には、複数の(現像ユニット3と同数の)感光体ドラム41が設けられている。複数の感光体ドラム41は、互いに平行で、上述の前後方向(図中y軸方向)に沿って配列されている。感光体ドラム41は、現像ユニット3における現像ローラ34と対向するように配置されている。
【0034】
感光体ドラム41は、丸棒状のドラムシャフト41aと、その周囲の円筒状のドラム本体41bと、からなる、ドラムあるいはローラ状の部材であって、ドラムシャフト41aを中心として回転駆動されるようになっている。ドラム本体41bの周面である静電潜像担持面41b1(ブラック感光体ドラム41Kの場合は黒色現像用静電潜像担持面41b1K)は、形成すべき画像に対応して静電潜像が形成されるとともに、当該静電潜像に対応してトナーが画像状に配列した状態で担持されるようになっている(以下、トナーが配列することで形成される像を、「トナー像」と称する。)。
【0035】
現像ローラ34と感光体ドラム41とが対向している位置よりも、感光体ドラム41の回転方向(図中矢印で示されている方向:以下単に「ドラム回転方向」と称する。)における上流側の、感光体ドラム41の周面と対向するように、帯電器42が設けられている。帯電器42は、静電潜像担持面41b1を一様に帯電させ得るように構成されている。
【0036】
ブラック感光体ドラム41Kにおける、帯電器42とブラック感光体ドラム41Kとが対向している位置よりも、ドラム回転方向におけるさらに上流側の感光体ドラム41の周面と対向するように、ドラムクリーナ43が設けられている。すなわち、ドラムクリーナ43は、イエロー現像ユニット3Y,マゼンタ現像ユニット3M,及びシアン現像ユニット3Cに対応する位置には設けられていない。本発明の「異物回収部」としてのドラムクリーナ43は、帯電器42によって一様に帯電される前の黒色現像用静電潜像担持面41b1Kを、ブラック感光体ドラム41Kの軸方向である幅方向(図中x軸方向)の全体に亘ってクリーニングし得るように構成されている。
【0037】
感光体ドラム41、帯電器42、及びドラムクリーナ43は、ドラムユニットフレーム44に装着されている。すなわち、ドラムユニットフレーム44には、複数の感光体ドラム41が、幅方向(図中x軸方向)と直交する上述の前後方向(図中y軸方向)に沿って並列に配置されるように、回転可能に支持されている。また、ドラムユニットフレーム44は、現像ユニット3を着脱自在に構成されている。すなわち、本発明の「現像部支持フレーム」としてのドラムユニットフレーム44は、ブラック現像ユニット3K,イエロー現像ユニット3Y,マゼンタ現像ユニット3M,及びシアン現像ユニット3Cを並列の状態で支持するように構成されている。
【0038】
ドラムユニットフレーム44は、本体フレーム10に対して、上述の前後方向(図中y軸方向)に沿ってスライド可能に支持されている。すなわち、ドラムユニットフレーム44は、前面カバー11eを解放した状態で、前面開口部11dを介して前面側に引き出し可能に設けられている(このため、ドラムユニットフレーム44は、「スライドフレーム」とも称され得る。)。かかるドラムユニットフレーム44の構成の詳細については後述する。
【0039】
<<露光ユニット>>
再び図1を参照すると、露光ユニット5は、イエロー現像ユニット3Y、マゼンタ現像ユニット3M、シアン現像ユニット3C、及びブラック現像ユニット3Kの上方に設けられている。この露光ユニット5は、図示しないレーザー発光部にて画像データに基づいて生成・変調されたレーザービーム(図中破線で示されている)を、帯電器42によって一様に帯電された静電潜像担持面41b1上に照射することで、静電潜像担持面41b1上に静電潜像を形成するように、構成及び配置されている。
【0040】
<<用紙搬送部>>
本体フレーム10の内側には、現像ユニット3及びドラムユニット4に向けて用紙Pを供給するための用紙搬送部6が備えられている。この用紙搬送部6は、ピックアップローラ61と、分離ローラ62と、用紙搬送ローラ63と、用紙搬送ローラ64と、用紙ガイド65と、から構成されている。
【0041】
ピックアップローラ61は、本体フレーム10内にて回転可能に支持されている。このピックアップローラ61は、本体フレーム10内に備えられた駆動力伝達機構を介して、図中矢印で示されている方向に回動するように構成されている。また、このピックアップローラ61は、画像形成時において、用紙押圧板22における押圧板前端部22b及び押圧板付勢レバー23によって上方に付勢された用紙Pと、所定の圧力をもって接するように配置されている。
【0042】
分離ローラ62は、本体フレーム10内にて回転可能に支持されている。この分離ローラ62は、本体フレーム10内に備えられた駆動力伝達機構を介して、図中矢印で示されている方向に回動するように構成されている。また、この分離ローラ62は、周面が分離パッド25と所定の圧力をもって接するように、当該分離パッド25と対向して配置されている。
【0043】
用紙搬送ローラ63は、本体フレーム10内にて回転可能に支持されている。この用紙搬送ローラ63は、ピンチローラ28と対向するように、分離パッド25よりも用紙Pの搬送先に配置されている。
【0044】
用紙搬送ローラ63と、イエロー画像形成部(イエロー現像ユニット3Y及びこれと対向する感光体ドラム41)との間には、用紙搬送ローラ64及び用紙ガイド65が配置されている。この用紙搬送ローラ64及び用紙ガイド65は、用紙搬送ローラ63を経た用紙Pを、当該イエロー画像形成部と後述する転写部7との間に向けてガイドしつつ搬送し得るように構成されている。
【0045】
<<転写部>>
本体フレーム10の内側であって、画像形成部(現像ユニット3及びこれと対向する感光体ドラム41)の下方には、転写部7が配置されている。転写部7は、用紙搬送ベルト71と、転写ローラ72と、ベルト駆動ローラ73と、ベルト支持ローラ74と、ベルトクリーナ75と、から構成されている。
【0046】
用紙搬送ベルト71は、ポリカーボネートやポリイミド等の合成樹脂にカーボン等の導電性粒子を分散した導電性プラスチックからなり、無端ベルト状に形成されている。この用紙搬送ベルト71は、その外側表面である搬送面71aが、複数のドラムユニット4における感光体ドラム41と対向するように張設されている。
【0047】
転写ローラ72は、複数の感光体ドラム41のそれぞれと、用紙搬送ベルト71を挟んで対向するように、回転可能に支持されている。この転写ローラ72には、高圧電源の出力端子が電気的に接続されていて、感光体ドラム41の周面上のトナーを用紙搬送ベルト71上の用紙P上に転写させるための転写バイアス電圧が感光体ドラム41との間で印加され得るようになっている。
【0048】
ベルト駆動ローラ73は、本体フレーム10に備えられた駆動力伝達機構を介して、図中矢印方向に回動するように構成されている。このベルト駆動ローラ73は、複数の現像ユニット3のうちの最も背面側に位置するシアン現像ユニット3Cと対向する感光体ドラム41よりもさらに背面側に配置されている。
【0049】
ベルト支持ローラ74は、複数の現像ユニット3のうちの最も前面側に位置するブラック現像ユニット3Kと対向する感光体ドラム41よりもさらに前面側に配置されている。このベルト支持ローラ74とベルト駆動ローラ73との間には、上述の用紙搬送ベルト71が、所定の張力で架け渡されるように支持されている。このベルト支持ローラ74は、ベルト駆動ローラ73の図中矢印で示されている方向の回動による、用紙搬送ベルト71の図中矢印で示されている周回移動に伴って、回転可能に支持されている。
【0050】
ベルトクリーナ75は、各転写ローラ72の下方にて架け渡されている用紙搬送ベルト71よりも下方に配置されている。このベルトクリーナ75は、画像形成部と対向していた用紙搬送ベルト71の搬送面71aを、幅方向における全体に亘ってクリーニングし得るように構成されている。
【0051】
<<定着部>>
本体フレーム10の内側であって、転写部7よりも用紙搬送方向における下流側には、定着部8が配置されている。この定着部8は、用紙P上に形成されたトナー像を当該用紙P上に定着させ得るように構成されている。この定着部8は、加熱ローラ81と、加圧ローラ82と、を備えている。
【0052】
加熱ローラ81は、表面が離型処理された金属製の薄肉円筒部材からなるローラ本体と、そのローラ本体の内側に収容されたハロゲンランプと、を備えている。この加熱ローラ81は、本体フレーム10に備えられた駆動力伝達機構を介して、図中矢印で示されている方向に回転駆動するように構成されている。加圧ローラ82は、シリコンゴム製のローラであり、加熱ローラ81に対して所定の圧力をもって押圧されるように配置されている。この加圧ローラ82は、加熱ローラ81との間で用紙Pを挟持した状態で、加熱ローラ81の回転駆動に従動して回転することで、トナー像を用紙P上に定着させつつ当該用紙Pを排紙口11cに向けて送出し得るように構成されている。
【0053】
<<排紙部>>
本体フレーム10の内側における最も背面側であって、定着部8の上方には、排紙部9が設けられている。この排紙部9は、定着部8を経た用紙Pを本体フレーム10の外部に排出し得るように構成されている。具体的には、排紙部9は、定着済用紙搬送ローラ91と、ピンチローラ92と、定着済用紙ガイド93a及び193bと、排紙ローラ94と、排紙従動ローラ95と、を備えている。
【0054】
定着済用紙搬送ローラ91及びピンチローラ92は、加熱ローラ81及び加圧ローラ82による用紙Pの搬送先に配置されている。定着済用紙搬送ローラ91は、図中矢印で示されている方向に回転駆動され得るようになっている。ピンチローラ92は、定着済用紙搬送ローラ91と対向するように配置されていて、定着済用紙搬送ローラ91の図中破線矢印で示されている方向での回転に連れ回るように、回転自在に支持されている。そして、定着済用紙搬送ローラ91及びピンチローラ92は、定着済用紙搬送ローラ91の図中破線矢印で示されている方向での回転駆動により、定着済みの用紙Pを排紙口11cに向けて搬送し得るように構成されている。
【0055】
定着済用紙搬送ローラ91及びピンチローラ92による、定着済みの用紙Pの搬送先には、定着済用紙ガイド93a及び93bが形成されている。この定着済用紙ガイド93a及び93bは、定着済用紙搬送ローラ91及びピンチローラ92によって搬送されている用紙Pを、排紙ローラ94と排紙従動ローラ95との接触部分に向けてガイドし得るように構成されている。
【0056】
排紙ローラ94及び排紙従動ローラ95は、排紙口11cに面するように、当該排紙口11cの近傍に配置されている。排紙ローラ94は、図中矢印で示されている方向に回転駆動され得るように、回転可能に支持されている。排紙従動ローラ95は、排紙ローラ94と対向するように配置されている。この排紙従動ローラ95は、排紙ローラ94の図中矢印で示されている方向での回転に連れ回るように、回転自在に支持されている。そして、排紙ローラ94及び排紙従動ローラ95は、排紙ローラ94の図中矢印で示されている方向での回転駆動により、定着済みの用紙Pを排紙口11cから本体フレーム10の外側に排出し得るように構成されている。
【0057】
<<ドラムユニットフレームの詳細>>
図3は、図1に示されているドラムユニットフレーム44に各色の現像ユニット3が装着された状態を示す斜視図である。図4は、図3に示されているドラムユニットフレーム44の斜視図である。図5は、図4に示されているドラムユニットフレーム44を内側から見た側面図である。以下、図3〜図5を参照しつつ、ドラムユニットフレーム44の構成の詳細について説明する。
【0058】
ドラムユニットフレーム44は、フロントビーム441と、リヤビーム442と、一対のフレーム側板443と、からなり、平面視にて略矩形状に形成されている。フロントビーム441は、ブラック現像ユニット3Kと隣接する位置にて、幅方向(図中x軸方向)と平行に設けられている。リヤビーム442は、シアン現像ユニット3Cと隣接する位置にて、幅方向と平行に設けられている。フレーム側板443は、幅方向と直交するように配置された板状の部材であって、その長手方向が上述の前後方向(図中y軸方向)となるように形成されている。一対のフレーム側板443における下端部には、感光体ドラム41が回転可能に支持されている。
【0059】
図5を参照すると、フレーム側板443における内側面であって、ブラック現像ユニット3K,イエロー現像ユニット3Y,マゼンタ現像ユニット3M,及びシアン現像ユニット3Cに対応する位置には、それぞれ、現像ユニット3におけるシャフト軸受カバー34c(図2参照)を収容可能な案内溝443a及び揺動ガイド溝443bが設けられている。
【0060】
案内溝443aは、幅方向における内側に向かって開口するとともに上方にも開口するように、フレーム側板443における上部に設けられている。この案内溝443aは、現像ユニット3をドラムユニットフレーム44に着脱する際に、上下方向に対して若干前面側に傾斜した現像ユニット着脱方向(図中一点鎖線の矢印参照)に沿って、現像ユニット3におけるシャフト軸受カバー34cを案内するように形成されている。
【0061】
揺動ガイド溝443bは、案内溝443aの下端と接続するように設けられている。この揺動ガイド溝443bは、上下方向に対して上述の現像ユニット着脱方向よりもさらに傾斜した方向であって、図1における(画像形成動作可能状態の)現像ローラ34の回転中心軸と感光体ドラム41の回転中心軸とを側面視にて結んだ方向である、現像ローラ揺動方向(図5における破線の矢印参照)に沿って、現像ユニット3におけるシャフト軸受カバー34cを案内するように形成されている。
【0062】
ドラムユニットフレーム44は、ブラック現像ユニット3K,イエロー現像ユニット3Y,マゼンタ現像ユニット3M,及びシアン現像ユニット3Cを感光体ドラム41に向けて押圧するとともに、イエロー現像ユニット3Y,マゼンタ現像ユニット3M,及びシアン現像ユニット3Cにおける現像動作を行わない場合にこれらを感光体ドラム41から離間させるように構成されている。
【0063】
図6は、図1に示されている各現像ユニット3の感光体ドラム41に対する押圧及び離間動作の様子を示す概略的な側面図である。以下、図5及び図6を用いて、各現像ユニット3の感光体ドラム41に対する押圧及び離間動作のための構成について説明する。
【0064】
ブラック現像ユニット3K,イエロー現像ユニット3Y,マゼンタ現像ユニット3M,及びシアン現像ユニット3Cがドラムユニットフレーム44に装着された状態における、各位置関係設定突起31cの上方に相当する位置には、それぞれ、現像ユニットケース31(図2参照)を感光体ドラム41に向けて押圧するための押圧部材444が設けられている。すなわち、押圧部材444は、ブラック現像ユニット3K,イエロー現像ユニット3Y,マゼンタ現像ユニット3M,及びシアン現像ユニット3Cに対応する位置に設けられている。
【0065】
押圧部材444は、幅方向と平行な回転中心軸(揺動中心軸)である揺動支持軸444aがフレーム側板443によって回動可能に支持されている。すなわち、押圧部材444は、位置関係設定突起31cと対向する当接部444bが上下方向に沿って揺動するように、フレーム側板443に装着されている。また、押圧部材444は、当接部444bが位置関係設定突起31cと当接しつつ当該位置関係設定突起31cを下方に押圧するように、揺動支持軸444aに取り付けられたバネ444cによって下方に常時付勢されている。
【0066】
イエロー現像ユニット3Y,マゼンタ現像ユニット3M,及びシアン現像ユニット3Cがドラムユニットフレーム44に装着された状態における、各位置関係設定突起31cを挟んで各押圧部材444と対向する位置には、それぞれ、離間部材445が設けられている。すなわち、離間部材445は、複数の現像ユニット3のうちのブラック現像ユニット3Kを除く、イエロー現像ユニット3Y,マゼンタ現像ユニット3M,及びシアン現像ユニット3Cに対応する位置に設けられている。
【0067】
離間部材445は、揺動支持軸445aがフレーム側板443によって回動可能に支持されることで、位置関係設定突起31cと対向する当接部445bが斜め上下方向に沿って揺動するように設けられている。揺動支持軸445aを挟んで当接部445bと反対側の位置の操作部445cは、図6に示されている直動カム1001によって操作されることで、離間部材445の揺動状態が変更されるように設けられている。
【0068】
図6に示されているように、直動カム1001は、ブラック現像ユニット3K,イエロー現像ユニット3Y,マゼンタ現像ユニット3M,及びシアン現像ユニット3Cの配列方向である前後方向に沿って設けられた棒状の部材であって、当該方向に沿って移動することで、離間部材445の揺動状態を制御するようになっている。本実施形態においては、直動カム1001は、本体フレーム10にスライド可能に支持されている。直動カム1001の長手方向における一方の端部には、ラックギヤ1001aが形成されている。すなわち、直動カム1001は、ラックギヤ1001aと噛み合うピニオンギヤ1002が回転駆動されることで、前後方向に沿って移動可能に設けられている。
【0069】
<画像形成動作>
以下、本実施形態のカラーレーザープリンタ1による画像形成動作について、本実施形態の構成による作用・効果とともに説明する。
【0070】
ピックアップローラ61が図中矢印で示されている方向に回転駆動されると、カセットケース21内に載置されている用紙Pが、分離ローラ62に向けて繰り出される。その後、当該用紙Pの先端が、分離ローラ62と分離パッド25との間の位置に送られる。分離ローラ62が図中矢印で示されている方向に回転駆動されることで、最上位の用紙Pのみが、用紙搬送ローラ63に向けて送られる。
【0071】
用紙搬送ローラ63を経た用紙Pは、用紙搬送ローラ64及び用紙ガイド65を経て、転写部7とドラムユニット4とが対向する位置である上述の画像形成部に向かって給送される(なお、通常は、転写部7とドラムユニット4とが対向する位置に達する前、具体的には、例えば、用紙搬送ローラ63とピンチローラ28とが対向する位置、あるいは、用紙搬送ローラ64にて、用紙P上に付着している紙粉が適宜除去される。)。
【0072】
用紙Pの先端が用紙搬送ベルト71に達すると、用紙Pは、用紙搬送ベルト71における搬送面71a上に担持されつつ、背面側の定着部8に向かって、略水平に搬送される。用紙Pが感光体ドラム41と対向する位置まで搬送される間に、静電潜像担持面41b1上に、トナー像が担持される。
【0073】
アジテータ32が回転駆動されることで、現像ユニットケース31内のトナーが撹拌されつつ、当該トナーが供給ローラ33に向けて送られる。供給ローラ33に送られたトナーは、当該供給ローラ33の図中矢印で示されている方向への回転により、現像ローラ34に向けて送られる。そして、当該トナーは、現像ローラ34と供給ローラ33とが接触している位置にて摩擦帯電され、現像ローラ34の周面であるトナー担持面34b1上に担持される。トナー担持面34b1上に担持されたトナーは、層厚規制ブレード36によって所定の密度及び帯電量に調整された後、現像ローラ34の図中矢印で示されている方向への回転により、現像ローラ34と感光体ドラム41とが対向する現像位置に給送される。
【0074】
感光体ドラム41の周面である静電潜像担持面41b1は、帯電器42によって一様に帯電された後、露光ユニット5によって、画像情報に応じたレーザー光の照射を受ける。これにより、静電潜像担持面41b1に、画像情報に応じた静電潜像が形成される。この静電潜像が形成された静電潜像担持面41b1と、所定の密度及び帯電量のトナーが付着したトナー担持面34b1とが対向することで、静電潜像担持面41b1の静電潜像がトナーによって現像される。すなわち、静電潜像担持面41b1上に、トナー像が担持される。
【0075】
ここで、用紙搬送方向(ドラムユニット4と対向する位置にて用紙搬送ベルト71における搬送面71aが用紙Pを担持しつつ複数の感光体ドラム41の直下を移動する方向)における最上流側に位置するブラック現像ユニット3Kにおいては、スペーサ35によって、黒色現像ローラ34K(黒色トナー担持面34b1K)とブラック感光体ドラム41K(黒色現像用静電潜像担持面41b1K)との間に、所定のギャップが形成されている。そして、黒色現像ローラ34Kとブラック感光体ドラム41Kとが非接触の状態で、黒色現像用静電潜像担持面41b1K上の静電潜像が黒色トナーによって現像される(ジャンピング現像)。
【0076】
上述のように、本実施形態においては、用紙搬送方向における最上流側に位置し、且つ使用頻度が最も高いブラック現像ユニット3Kにて、非接触のジャンピング現像が行われる。これにより、継続的使用による黒色トナーの劣化(ブラック現像ユニット3K内への紙粉の混入を含む)が、良好に抑制される。
【0077】
一方、ブラック現像ユニット3Kよりも下流側のイエロー現像ユニット3Y,マゼンタ現像ユニット3M,及びシアン現像ユニット3Cにおいては、現像ローラ34(トナー担持面34b1)と感光体ドラム41(静電潜像担持面41b1)とが接触した状態で、静電潜像担持面41b1上の静電潜像が各色トナーによって現像される(接触現像)。
【0078】
感光体ドラム41(静電潜像担持面41b1)と対向する位置にて、転写ローラ72と感光体ドラム41との間の転写バイアス電圧により、静電潜像担持面41b1上のトナー像が用紙P上に転写される。用紙Pへの転写の後に黒色現像用静電潜像担持面41b1K上に残留した黒色トナーと、トナー像の転写の際に用紙Pから黒色現像用静電潜像担持面41b1K側に移行することで黒色現像用静電潜像担持面41b1Kに付着した紙粉等の異物は、ドラムクリーナ43によって除去される。
【0079】
用紙Pへの転写の後に静電潜像担持面41b1上に残留したイエロートナーは、帯電器42による一様帯電作用を受けた後に、イエロー現像ユニット3Yにおける現像ローラ34と感光体ドラム41との接触によりトナー担持面34b1側に移行することで、良好に回収される(クリーナレス回収)。同様に、用紙Pへの転写の後に静電潜像担持面41b1上に残留したマゼンタトナーは、マゼンタ現像ユニット3Mにおける現像ローラ34によって良好に回収され、用紙Pへの転写の後に静電潜像担持面41b1上に残留したシアントナーも、シアン現像ユニット3Cにおける現像ローラ34によって良好に回収される。
【0080】
ここで、ブラック感光体ドラム41Kを経た用紙Pには、紙粉がほとんど付着していない(すなわち、ブラック感光体ドラム41Kと対向する位置まで搬送されてきた用紙P上に紙粉が残留していても、ブラック感光体ドラム41Kと対向する位置にて上述の転写バイアス等の作用で、ほとんどの紙粉がブラック感光体ドラム41K側に移行する。)。このため、イエロー現像ユニット3Y,マゼンタ現像ユニット3M,及びシアン現像ユニット3Cにて、いわゆる「クリーナレス回収」が、紙粉による悪影響なく良好に行われる。
【0081】
転写部7を経て、表面にトナー像が付着した用紙Pは、定着部8に送られる。そして、当該用紙Pが加熱ローラ81と加圧ローラ82との間で挟まれつつ加熱されることで、用紙Pの表面上のトナーが溶融して当該表面上に定着される。その後、用紙Pは、排紙ローラ94によって、排紙トレイ11bに向けて排出される。
【0082】
<離間・押圧動作>
画像形成動作そのものが行われない場合、及び、ブラック現像ユニット3Kのみによる単色の画像形成が行われる場合、図6における(i)に示されているように、当接部445bが斜め上方に揺動するように、離間部材445が直動カム1001によって操作される。すると、イエロー現像ユニット3Y,マゼンタ現像ユニット3M,及びシアン現像ユニット3Cにおける位置関係設定突起31cが、押圧部材444による下方への押圧に抗して、斜め上方に移動する。
【0083】
これにより、イエロー現像ユニット3Y,マゼンタ現像ユニット3M,及びシアン現像ユニット3Cにおける現像ローラ34が、現像ローラ揺動方向(図5における破線の矢印参照)に沿って斜め上方に移動することで、イエロー現像ユニット3Y,マゼンタ現像ユニット3M,及びシアン現像ユニット3Cにおけるトナー担持面34b1が、感光体ドラム41(静電潜像担持面41b1)から離間する。
【0084】
一方、多色画像形成が行われる場合、図6における(ii)に示されているように、当接部445bが斜め下方に揺動するように、離間部材445が直動カム1001によって操作される。すると、イエロー現像ユニット3Y,マゼンタ現像ユニット3M,及びシアン現像ユニット3Cにおける位置関係設定突起31cは、押圧部材444による下方への押圧により、斜め下方に移動する。
【0085】
これにより、イエロー現像ユニット3Y,マゼンタ現像ユニット3M,及びシアン現像ユニット3Cにおける現像ローラ34が、現像ローラ揺動方向(図5における破線の矢印参照)に沿って斜め下方に移動することで、イエロー現像ユニット3Y,マゼンタ現像ユニット3M,及びシアン現像ユニット3Cにおけるトナー担持面34b1が、感光体ドラム41(静電潜像担持面41b1)と接触する。
【0086】
本実施形態の構成においては、イエロー現像ユニット3Y,マゼンタ現像ユニット3M,及びシアン現像ユニット3Cにおける現像ローラ34の、感光体ドラム41に対する所定の押圧力による接触と、ブラック現像ユニット3Kにおける現像ローラ34と感光体ドラム41との所定のギャップの維持とが、同様の構成によって良好に達成される。また、イエロー現像ユニット3Y,マゼンタ現像ユニット3M,及びシアン現像ユニット3Cにおける不使用時の離間動作が、簡略な装置構成によって実現される。
【0087】
<変形例の例示>
なお、上述の実施形態は、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の代表的な実施形態を、単に例示したものにすぎない。よって、本発明はもとより上述の実施形態に何ら限定されるものではない。したがって、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、上述の実施形態に対して種々の変形が施され得ることは、当然である。
【0088】
以下、代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されているものと同様の構成及び機能を有する部材に対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部材の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が援用され得るものとする。
【0089】
もっとも、言うまでもなく、変形例とて、以下に列挙されたものに限定されるものではない。また、実施形態や変形例の、全部又は一部が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、互いに複合的に適用され得る。本発明(特に、本発明の課題を解決するための手段を構成する各構成要素における、作用的・機能的に表現されているもの)は、上述の実施形態や、下記変形例の記載に基づいて限定解釈されてはならない。このような限定解釈は、(先願主義の下で出願を急ぐ)出願人の利益を不当に害する反面、模倣者を不当に利するものであって、許されない。
【0090】
離間部材445は、ブラック現像ユニット3Kに対応する位置にも設けられていてもよい。すなわち、「ジャンピング現像方式」の現像ユニット3が、不使用時に感光体ドラム41から離間するようになっていても、差し支えない。
【0091】
ブラック現像ユニット3Kが最下流に設けられているとともに、イエロー現像ユニット3Yが最上流に設けられている場合、イエロー現像ユニット3Yに、スペーサ35が設けられる。すなわち、イエロー現像ユニット3Yが、「ジャンピング現像方式」のものとして構成される。あるいは、この場合、ブラック現像ユニット3Kにも、スペーサ35が設けられていてもよい。
【0092】
上述の実施形態における用紙搬送ベルト71に代えて、トナー像をその表面に担持可能な、中間転写ベルトあるいは感光体ベルトが用いられていてもよい。この場合、図3に示されているドラムユニットフレーム44は、感光体ドラム41に代えて、転写ローラ72、ベルト駆動ローラ73、及びベルト支持ローラ74を回転可能に支持するとともに、これらのローラに架け渡されるように上述のベルトが設けられる。
【0093】
その他、特段に言及されていない変形例についても、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、本発明の技術的範囲に含まれることは当然である。また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。さらに、本明細書にて引用した他の出願や公報の内容(明細書及び図面を含む)は、本明細書の一部を構成するものとして、必要に応じて且つ技術的に矛盾しない範囲内において援用され得る。
【符号の説明】
【0094】
1 カラーレーザープリンタ 10 本体フレーム
3 現像ユニット
3C シアン現像ユニット 3K ブラック現像ユニット
3M マゼンタ現像ユニット 3Y イエロー現像ユニット
31 現像ユニットケース 31c 位置関係設定突起
34 現像ローラ 34K 黒色現像ローラ
34b1 トナー担持面 34b1K 黒色トナー担持面
35 スペーサ
4 ドラムユニット
41 感光体ドラム 41K ブラック感光体ドラム
41b1 静電潜像担持面 41b1K 黒色現像用静電潜像担持面
42 帯電器 43 ドラムクリーナ
44 ドラムユニットフレーム 443 フレーム側板
443a 案内溝 443b 揺動ガイド溝
444 押圧部材 444a 揺動支持軸
444b 当接部 444c バネ
445 離間部材 445a 揺動支持軸
445b 当接部 445c 操作部
1001 直動カム 1001a ラックギヤ
1002 ピニオンギヤ
P 用紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0095】
【特許文献1】特開平11−249452号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非磁性一成分現像方式により、シート状の記録媒体上に複数色の現像剤による画像を形成するように構成された、画像形成装置において、
ジャンピング現像方式により第一色の現像を他色に先駆けて行うように設けられた、第一色現像部と、
前記第一色現像部による前記第一色の現像の後に、接触現像方式により前記他色の現像を行うように設けられた、他色現像部と、
を備えたことを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の、画像形成装置であって、
前記第一色は、黒色であることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項3】
非磁性一成分現像方式により、シート状の記録媒体上に複数色の現像剤による画像を形成するように構成された、画像形成装置において、
ジャンピング現像方式により黒色の現像を行うように設けられた、第一色現像部と、
接触現像方式により他色の現像を行うように設けられた、他色現像部と、
を備えたことを特徴とする、画像形成装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載の、画像形成装置であって、
前記他色現像部は、
円柱面状の周面であって前記現像剤を担持する他色現像剤担持面を有していて、前記他色現像剤担持面が静電潜像担持体と接触することで前記静電潜像担持体上の静電潜像を前記現像剤により現像するように、前記静電潜像担持体と対向配置された、他色現像剤担持部材を備えていて、
前記静電潜像担持体上に残留した前記現像剤である転写残現像剤を、前記他色現像剤担持部材により回収するように構成されたことを特徴とする、画像形成装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項に記載の、画像形成装置であって、
前記第一色現像部と複数の前記他色現像部とが、並列に設けられていることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の、画像形成装置において、
前記第一色現像部と複数の前記他色現像部とを並列の状態で支持するように構成された、現像部支持フレームをさらに備え、
前記第一色現像部は、
静電潜像が形成される円筒状の部材である、第一色静電潜像担持体と、
円柱面状の周面であって前記第一色の前記現像剤を担持する第一色現像剤担持面を有していて、前記第一色現像剤担持面が前記第一色静電潜像担持体と所定のギャップを隔てて対向することで前記第一色静電潜像担持体上の静電潜像を前記第一色の前記現像剤により現像するように、前記第一色静電潜像担持体と対向配置された、第一色現像剤担持部材と、
前記第一色現像剤担持部材を回転可能に支持するとともに、前記第一色の前記現像剤を収容するように構成された、第一色現像部ケースと、
前記第一色現像部ケースを前記第一色静電潜像担持体に向けて押圧するように設けられた、第一色現像部ケース押圧部と、
前記第一色現像剤担持面と前記第一色静電潜像担持体との間の前記ギャップを形成するために、前記第一色現像剤担持部材の軸方向における端部に対応する位置に設けられた、ギャップ形成部材と、
を備え、
前記他色現像部は、
静電潜像が形成される円筒状の部材である、他色静電潜像担持体と、
円柱面状の周面であって前記他色の前記現像剤を担持する他色現像剤担持面を有していて、前記他色現像剤担持面が前記他色静電潜像担持体と接触することで前記他色静電潜像担持体上の静電潜像を前記他色の前記現像剤により現像するように、前記他色静電潜像担持体と対向配置された、他色現像剤担持部材と、
前記他色現像剤担持部材を回転可能に支持するとともに、前記他色の前記現像剤を収容するように構成された、他色現像部ケースと、
前記他色現像部ケースを前記他色静電潜像担持体に向けて押圧するように設けられた、他色現像部ケース押圧部と、
を備え、
前記第一色静電潜像担持体及び前記他色静電潜像担持体は、前記現像部支持フレームによって回転可能に支持され、
前記第一色現像部ケース及び前記他色現像部ケースは、前記現像部支持フレームに対して着脱自在に構成され、
前記第一色現像部ケース押圧部及び前記他色現像部ケース押圧部は、前記現像部支持フレームに装着された
ことを特徴とする、画像形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載の、画像形成装置において、
前記他色現像部の配列方向に沿って設けられた棒状部材であって、非画像形成時に前記他色現像部ケースを前記他色現像部ケース押圧部による押圧方向と逆方向に移動させることで前記他色静電潜像担持体と前記他色現像剤担持部材とを離間させるとともに、画像形成時に当該離間を解除するように構成された、直動カムをさらに備えたことを特徴とする、画像形成装置。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の、画像形成装置において、
前記第一色静電潜像担持体に付着した、前記現像剤以外の異物を回収する、異物回収部をさらに備えたことを特徴とする、画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−194302(P2012−194302A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57466(P2011−57466)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】