説明

画像形成装置

【課題】転写バイアスを制御しない簡単な制御により、用紙に濃淡むらなどの不良を生じていない画像を形成することができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】プリンタ1は、静電潜像が形成される感光ドラム14と、感光ドラム14が寿命であるか否かを判定するCPU24と、CPU24が感光ドラム14の寿命であると判定したら、前の用紙P1の後端部と次の用紙P2の先端部との間隔が感光ドラム14の周長以上になるタイミングで用紙を供給する用紙供給手段25と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザプリンタなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用したプリンタでは、感光ドラムの周囲に、帯電器、露光器、現像器および転写ローラなどが配置されている。
【0003】
画像形成動作が開始されると、感光ドラムの回転が開始されるとともに、感光ドラムの表面に対して帯電器の放電が開始される。これにより、感光ドラムの表面は、帯電器と対向した部分から正極性に帯電されていく。そして、帯電された感光ドラムの表面に露光器により選択的に露光され、その露光された部分の電荷が抜けることにより、感光ドラムの表面に静電潜像が形成される。
【0004】
感光ドラムの回転に伴って、静電潜像が現像器に対向すると、現像バイアスが印加された現像器と静電潜像との間の電位差により、現像器から静電潜像にトナーが供給される。これにより、静電潜像がトナー像に現像されて、感光ドラムの表面にトナー像が担持される。
【0005】
感光ドラムの回転に伴って、トナー像が転写ローラに対向する位置まで移動すると、そのタイミングに合わせて、感光ドラムと転写ローラとの対向部分に向けて用紙が送られる。そして、転写ローラに感光ドラムの表面の帯電極性と逆極性(負極性)の転写バイアスが印加されることにより、感光ドラムの表面から用紙にトナー像が転写され、用紙への画像の形成が達成される。(特許文献1参照。)
このような構成のプリンタにおいて、感光ドラムが寿命になると、用紙の後端部が感光ドラムと転写ローラとの対向部分(転写位置)から抜けるときに、用紙の後端部と感光ドラムとの間で剥離放電が発生する場合がある。剥離放電が発生すると、感光ドラムの表面電位が安定しないため、次に送られてくる用紙に形成される画像に濃淡むらを生じるおそれがある。
【0006】
この問題を解決するために、特許文献2では、用紙の後端部が、感光ドラムと転写ローラとの対向部分(転写位置)に到達する前に、転写バイアスを0Vにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−256799号公報
【特許文献2】特開2004−170968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2のような制御では、用紙の後端部が転写位置を通過する直前に転写バイアスの印加を停止する必要があるため、転写バイアスの印加タイミングを高精度で制御しなければならない。
【0009】
本発明の目的は、用紙に濃淡むらなどの不良を抑制した画像を形成することができる、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)前記した目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、静電潜像が形成される感光ドラムと、感光ドラム寿命判定手段と、用紙供給手段とを備える。
【0011】
感光ドラム寿命判定手段は、感光ドラムが寿命であるか否かを判定する。
【0012】
用紙供給手段は、感光ドラム寿命判定手段が感光ドラムの寿命であると判定したら、前の用紙の後端部と次の用紙の画像形成領域の先端部との間隔が感光ドラムの周長以上開くタイミングで用紙を供給する。
【0013】
(2)また、用紙供給手段は、感光ドラム寿命判定手段が感光ドラムの寿命であると判定したら、前の用紙の後端部と次の用紙の先端部の間隔が感光ドラムの周長以上となるタイミングで用紙を供給することが好ましい。
【0014】
(3)また、画像形成装置は、累積印字枚数を検出する印字枚数検出部を備えていることが好ましい。
【0015】
また、感光ドラム寿命判定手段は、印字枚数検出部が検出した印字枚数が所定の枚数に達している場合に、感光ドラムの寿命であると判定することが好ましい。
【0016】
(4)また、画像形成装置は、印字された画像の濃淡むらの有無を検出する濃淡むら検出部を備えていることが好ましい。
【0017】
また、感光ドラム寿命判定手段は、濃淡むら検出部が濃淡むらを検出した場合に、感光ドラムの寿命であると判定することが好ましい。
【0018】
(5)また、画像形成装置は、外部装置から濃淡むら抑制についての設定情報を受け取る設定情報受取部を備えていることが好ましい。
【0019】
また、感光ドラム寿命判定手段は、設定情報受取部が濃淡むら抑制についての設定情報を受け取った場合に、感光ドラムの寿命であると判定することが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
(1)このように構成された画像形成装置によれば、感光ドラム寿命判定手段は、感光ドラムが寿命であるか否かを判定し、用紙供給手段は、感光ドラム寿命判定手段が感光ドラムの寿命であると判定したら、前の用紙の後端部と次の用紙の画像形成領域の先端部との間隔が感光ドラムの周長以上開くタイミングで用紙を供給する。よって、感光ドラムの表面電位が不安定な時に、次の用紙の画像形成領域が、感光ドラムと転写ローラとの対向部分(転写位置)に到達することがない。その結果、用紙の搬送途中に、転写バイアスの値を変える等の高精度な制御が必要でなく、用紙の供給タイミングを変更するだけの簡単な制御によって、濃淡むらなどの画像不良を抑制することが出来る。
【0021】
(2)また、用紙供給手段は、感光ドラム寿命判定手段が感光ドラムの寿命であると判定したら、前の用紙の後端部と次の用紙の先端部の間隔が感光ドラムの周長以上となるタイミングで用紙を供給する場合、印字される画像の位置によらず、次の用紙の先端部の位置の給紙タイミングを制御するだけで、濃淡むらなどの画像不良を防止することが出来る。
【0022】
(3)また、画像形成装置は、累積印字枚数を検出する印字枚数検出部を備え、感光ドラム寿命判定手段は、印字枚数検出部が検出した印字枚数が所定の枚数に達している場合に、感光ドラムの寿命であると判定する場合、各紙毎に濃淡むらを検出する必要がないために、簡単に感光ドラムの寿命を判定できる。
【0023】
(4)また、画像形成装置は、印字された画像の濃淡むらの有無を検出する濃淡むら検出部を備え、感光ドラム寿命判定手段は、濃淡むら検出部が濃淡むらを検出した場合に、感光ドラムの寿命であると判定する場合、濃淡むらを直接検出するため、より確実に濃淡むら等を防止することが出来る。
【0024】
(5)また、画像形成装置は、外部装置から濃淡むら抑制についての設定情報を受け取る設定情報受取部を備え、感光ドラム寿命判定手段は、設定情報受取部が濃淡むら抑制についての設定情報を受け取った場合に、感光ドラムの寿命であると判定する場合、ユーザの判断で用紙供給のタイミングを変更することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】画像形成装置の一例としてのプリンタの一実施例を示す側断面図である。
【図2】プリンタのブロック図である。
【図3】実施例1における給紙制御のフローチャートである。
【図4】(a)実施例1における前の用紙と次の用紙の関係を概略的に表す図である。(b)実施例2における前の用紙と次の用紙の関係を概略的に表す図である。
【図5】実施例2における給紙制御のフローチャートである。
【図6】実施例3における給紙制御のフローチャートである。
【図7】印刷品質の設定画面を示す図である。
【図8】実施例4における給紙制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
1.カラープリンタの全体構成
本発明について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の画像形成装置の一例としてのプリンタ1の一実施例を示す側断面図である。尚、紙面左側をプリンタ1における前側、紙面右側をプリンタ1における後側として、プリンタ1を前側から見たときをプリンタ1における左右の基準とする。
【0027】
図1に示すように、プリンタ1は、本体ケーシング2内に、用紙Pを給紙するための給紙部3と、給紙された用紙Pに画像を形成するための画像形成部4と、用紙Pを本体ケーシング2外へ排出するための排紙部5とを備えている。
【0028】
給紙部3は、プリンタ1の最下部に設けられており、用紙Pを収容する給紙トレイ6と、用紙Pを送り出す給紙ローラ7とを備えている。そして、給紙トレイ6に収容された用紙Pは、給紙ローラ7により、給紙トレイ6から1枚ずつ取り出され、搬送ローラ8等を介して画像形成部4に送られる。
【0029】
画像形成部4は、4つのプロセスカートリッジ9と、4つのLEDユニット10と、用紙搬送部11と、定着部12と、を備えている。
【0030】
各プロセスカートリッジ9は、本体ケーシング2の上面に設けられたトップカバー13を開放した状態で、本体ケーシング2内に対して上方から装着することができる。
【0031】
4つのプロセスカートリッジ9は、前側から後側に向かって、ブラックプロセスカートリッジ9K、イエロープロセスカートリッジ9Y、マゼンダプロセスカートリッジ9M、シアンプロセスカートリッジ9Cが順次配置されている。また、各プロセスカートリッジ9は、内部にブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の各色のトナーを収容している。また、各プロセスカートリッジ9は、感光ドラム14と、現像ローラ15と、スコロトロン型帯電器16と、クリーニングローラ17とを備えている。
【0032】
各感光ドラム14は、各プロセスカートリッジ9において、回転可能に支持され、略円筒形状の部材で構成されている。各現像ローラ15は、各プロセスカートリッジ9において、回転可能に支持され、各感光ドラム14に対して上側から対向し、接触している。スコロトロン帯電器16は、感光ドラム14の表面に対して放電する。クリーニングローラ17は、感光ドラム14の周面上に付着している残留トナーや用紙Pの紙粉などの付着物を感光ドラム14の回転に伴って、回収する。
【0033】
4つのLEDユニット10は、各プロセスカートリッジ9に対応して設けられている。各LEDユニット10の先端部は、感光ドラム14の周面に対向配置されている。
【0034】
用紙搬送部11は、用紙搬送ベルト18と、転写ローラ19とを備えている。用紙搬送ベルト18は、4つの感光ドラム14に下方から対向して配置されている。転写ローラ19は、各感光ドラム14に対して用紙搬送ベルト18の上側部分を挟んで対向する各位置に配置されている。
【0035】
感光ドラム14の回転に伴って、感光ドラム14の表面は、スコロトロン型帯電器16からの放電により正極性に帯電され、その帯電した部分がLEDユニット10の先端部に設けられたLEDによって露光される。これにより、感光ドラム14の表面には、画像データに基づく静電潜像が形成される。そして、感光ドラム14の回転に伴って、静電潜像が現像ローラ15に対向すると、静電潜像にトナーが供給され、感光ドラム14の表面にトナー像が形成される。
そして、感光ドラム14の表面上のトナー像は、用紙搬送ベルト18上に搬送された用紙Pと対向したときに、転写ローラ19に印加された感光ドラム14の表面の帯電極性と逆極性(負極性)の転写バイアスによって、用紙Pに転写される。トナー像が転写された用紙Pは定着部12に送られる。
【0036】
定着部12は、加熱ローラ20と、加圧ローラ21とを備えている。定着部12は、4色のトナー像を担持した用紙Pを、加熱ローラ20及び加圧ローラ21によって狭持搬送しながら加熱及び加圧することにより、トナー像を用紙Pに定着させる。トナー像が定着された用紙Pは、排紙部5へと送られる。
【0037】
排紙部5は、排出ローラ22と、排紙トレイ23とを備えている。排紙トレイ23はプリンタ1の上面に設けられている。排出ローラ22は、用紙Pを定着部12から排紙トレイへ23と搬送する。
【0038】
このような印字過程において、感光ドラム14が寿命になると、印字された用紙に濃淡むらが発生する。具体的には、次の用紙P2は、前の用紙P1の後端が感光ドラム14と転写ローラ19の対向位置を通過してからドラム1周後(例えば、94mm)の位置に濃淡むらが発生する。尚、本発明における「感光ドラム14の寿命である」とは、感光ドラム14が劣化した状態のことを言う。
【0039】
2.用紙を送り出すタイミングの制御
次に、図2を用いて、給紙トレイ6から用紙を送り出すタイミングを制御するための構成と、用紙を送り出すタイミングの制御について説明する。
【0040】
プリンタ1は、感光ドラム寿命判定手段の一例としてのCPU24と、給紙ローラ7の動作を制御する用紙供給手段25と、スコロトロン帯電器16に帯電バイアスを印加する帯電バイアス印加手段26と、転写ローラ19に転写バイアスを印加する転写バイアス印加手段27と、印字枚数検出部の一例としてのページカウンタ28と、濃淡むら検出部の一例としての濃淡むら検出センサ29とを備えている。
【0041】
CPU24は、本体ケーシング2内の適宜な位置に設けられており、プリンタ1の各動作を制御する。また、CPU24内には、印刷品質についての設定情報を受け取る設定情報受取部30が備えられている。用紙供給手段25は、CPU24の制御に基づいて、給紙ローラ7の回転動作を制御する。帯電バイアス印加手段26は、CPU24の制御に基づいて、スコロトロン帯電器16に帯電バイアスを印加する。このとき、帯電バイアスは、例えば、750Vに設定され、印字中は、750Vのまま一定である。転写バイアス印加手段27は、CPU24の制御に基づいて、転写ローラ19に転写バイアスを印加する。このとき、転写バイアスは、例えば、−10μAに設定され、印字中は、−10μAのまま一定である。ページカウンタ28は、印字を行った用紙の枚数を数えている。濃淡むら検出センサ29は、各プロセスカートリッジ9に対応して4つ設けられており、印字された用紙に濃淡むらがあるかどうかを検出する。また、プリンタ1は、外部装置の一例としてのパソコンPCとネットワークを介して接続している。
【0042】
次に、本発明の給紙制御について4つの実施例を説明する。尚、各実施例におけるプリンタ1の基本構成は上記したものと同様なので、詳細な説明は省略するものとする。
【0043】
<実施例1>
実施例1では、CPU24は、ページカウンタ28の値により、感光ドラム14が寿命であるかどうかを判断する。その判断結果に基づいて、CPU24が、用紙供給手段25によって給紙トレイ6に収容された用紙を送り出すタイミングを決める。用紙供給手段25は、CPU24の制御に基づいて、給紙ローラ7を回転させる。
【0044】
図3を用いて、具体的な制御方法について説明する。プリンタ1は、パソコンから印字データを受信する(S101)と、1枚目の用紙の印字を開始する(S102)。次に、CPU24は次のページがあるか判断する(S103)。そして、次ページがある場合(S103、Yes)、ページカウンタ28によってカウントされた累計印字枚数があらかじめ設定された所定枚数、たとえば、20000枚よりも多いか否かを判定する(S104)。そして、ページカウンタ28がカウントした累計印字枚数が所定枚数よりも大きい場合(S104、Yes)、感光ドラム14が寿命であると判断して、図4(a)に示すように、用紙供給手段25が、前の用紙P1の後端部と次の用紙P2の先端部との間隔D1が感光ドラム14の周長、例えば94mm、となるような第2のタイミングで、給紙ローラ7を制御して次の用紙P2を送り出す(S105)。言い換えると、前の用紙P1の後端部が、転写ローラ19と感光ドラム14の対向部分を通過し、感光ドラム14が1回転したときに、次の用紙P2の前端部が、転写ローラ19と感光ドラム14の対向部分に到達するように、用紙供給手段25が次の用紙P2を送るタイミングを制御している。
【0045】
図3に戻り、ページカウンタ28がカウントした累計印字枚数が所定枚数、たとえば、20000枚よりも少ない場合(S104、No)、用紙供給手段25は、前の用紙P1の後端部と次の用紙P2の前端部の間隔が、感光ドラム14の周長よりも短くなる第1のタイミングで、例えば、間隔が60mmとなるように、給紙ローラ7を制御して次の用紙P2を送り出す(S106)。
【0046】
そして、S105およびS106において決められたタイミングでピックアップされた用紙に印字する(S107)。その後、CPU24は、ページカウンタ28の値を1増やし(S108)、再び、次のページがあるか判断する(S103)。そして、次ページがない場合(S103、No)、印字動作は終了する。
【0047】
<実施例2>
次に、実施例2における給紙制御について説明する。
実施例2では、CPU24は、ページカウンタ28の値により、感光ドラム14が寿命であるかどうかを判断する。実施例1とは、用紙供給手段25の制御方法が異なる。
【0048】
図5を用いて、具体的な制御方法について説明する。プリンタ1は、パソコンから印字データを受信する(S201)と、1枚目の用紙の印字を開始する(S202)。次に、CPU24は次のページがあるか判断する(S203)。そして、次ページがある場合(S203、Yes)、ページカウンタ28によってカウントされた累計印字枚数があらかじめ設定された所定枚数、たとえば、20000枚よりも多いか否かを判定する(S204)。そして、ページカウンタ28がカウントした累計印字枚数が所定枚数よりも大きい場合(S204、Yes)、感光ドラム14が寿命であると判断して、図4(b)に示すように、用紙供給手段25が、前の用紙P1の後端部と次の用紙P2の画像形成領域の先端部との間隔D2が感光ドラム14の周長、例えば94mm、となるような第3のタイミングで、給紙ローラ7を制御して次の用紙P2を送り出す(S205)。図5に戻り、ページカウンタ28がカウントした累計印字枚数が所定枚数、たとえば、20000枚よりも少ない場合(S204、No)、用紙供給手段25は、前の用紙P1の後端部と次の用紙P2の前端部の間隔が、感光ドラム14の周長よりも短くなる第1のタイミングで、例えば、間隔が60mmとなるように、給紙ローラ7を制御して次の用紙P2を送り出す(S206)。
【0049】
そして、S205およびS206において決められたタイミングでピックアップされた用紙に印字する(S207)。その後、CPU24は、ページカウンタ28の値を1増やし(S208)、再び、次のページがあるか判断する(S203)。そして、次ページがない場合(S203、No)、印字動作は終了する。
【0050】
以上のような制御では、前の用紙P1の後端部と次の用紙P2の画像形成領域の先端部との間隔D2が感光ドラム14の周長となるように用紙を供給するので、前の用紙P1と次の用紙P2の紙間を必要以上に広げることなく、濃淡むらなどの画像不良を防止することが出来る。
【0051】
<実施例3>
次に、実施例3における給紙制御について説明する。
【0052】
実施例3では、CPU24は、濃淡むら検出センサ29によって、濃淡むらが検出されたか否かによって、感光ドラム14が寿命であるかどうかを判断する。尚、濃淡むら検出センサ29は、各プロセスカートリッジ9に対応して4つ設けられているが、いずれか1つの濃淡むら検出センサ29が濃淡むらを検出したら、感光ドラム14が寿命であると判断する。その判断結果に基づいて、CPU24が、用紙供給手段25によって給紙トレイ6に収容された用紙を送り出すタイミングを決める。
【0053】
図6を用いて、具体的な制御方法について説明する。プリンタ1は、パソコンから印字データを受信する(S301)と、1枚目の用紙の印字を開始する(S302)。次に、CPU24は次のページがあるか判断する(S303)。そして、次ページがある場合(S303、Yes)、濃淡むら検出センサ29が濃淡むらを検出したか否かを判断する(S304)。そして、濃淡むらがあると判断された場合(S304、Yes)、感光ドラム14が寿命であると判断して、用紙供給手段25が、前の用紙P1の後端部と次の用紙P2の先端部との間隔D1が感光ドラム14の周長、例えば94mm、となるような第2のタイミングで、給紙ローラ7を制御して次の用紙P2を送り出す(S305)。また、濃淡むら検出センサ29により、濃淡むらが検出されなかった場合(S304、No)、用紙供給手段25は、前の用紙P1の後端部と次の用紙P2の前端部の間隔が、感光ドラム14の周長よりも短くなる第1のタイミングで、例えば、間隔が60mmとなるように、給紙ローラ7を制御して次の用紙P2を送り出す(S306)。
【0054】
そして、S305およびS306において決められたタイミングでピックアップされた用紙に印字する(S307)。その後、再び、次のページがあるか判断する(S303)。そして、次ページがない場合(S303、No)、印字動作は終了する。
【0055】
<実施例4>
次に、実施例4における給紙制御について説明する。
【0056】
実施例4では、印字された用紙に濃淡むらがあった場合、ユーザが、次の用紙の供給タイミングを決定することが出来る。
【0057】
具体的には、ユーザが印字された用紙に濃淡むらがあると判断し、濃淡むらをなくしたい場合、図7に示すようなパソコンPCの印刷設定画面において、印刷品質の項目から「濃淡むら抑制」を選択する。そして、CPU24内の設定情報受取部30が、ユーザが「濃淡むら抑制」を選択したという情報を受け取る。その後、CPU24は、感光ドラム14が寿命であると判断する。その判断結果に基づいて、CPU24は、用紙供給手段25が給紙トレイ6に収容された用紙を送り出すタイミングを決める。
【0058】
図7を用いて、具体的な制御方法について説明する。プリンタ1は、パソコンから印字データを受信する(S401)と、1枚目の用紙の印字を開始する(S402)。次に、CPU24は次のページがあるか判断する(S403)。そして、次ページがある場合(S303、Yes)、ユーザが「濃淡むら抑制」を選択したかを判断する(S404)。そして、そして、印刷設定画面上で「濃淡むら抑制」が選択された場合(S404、Yes)、感光ドラム14が寿命であると判断して、用紙供給手段25が、前の用紙P1の後端部と次の用紙P2の先端部との間隔D1が感光ドラム14の周長、例えば94mm、となるような第2のタイミングで、給紙ローラ7を制御して次の用紙P2を送り出す(S405)。また、ユーザにより、「濃淡むら抑制」が選択されなかった場合(S404、No)、用紙供給手段25は、前の用紙P1の後端部と次の用紙P2の前端部の間隔が、感光ドラム14の周長よりも短くなる第1のタイミングで、例えば、間隔が60mmとなるように、給紙ローラ7を制御して次の用紙P2を送り出す(S406)。
【0059】
そして、S405およびS406において決められたタイミングでピックアップされた用紙に印字する(S407)。その後、再び、次のページがあるか判断する(S403)。そして、次ページがない場合(S403、No)、印字動作は終了する。
【0060】
<変形例>
感光ドラム14の寿命を判定する方法は、上述したものに限らず、感光ドラム14の回転数、例えば、1000回転以上回転したら感光ドラム14が寿命であると判定してもよい。
【0061】
実施例1では、ページカウンタ28によってカウントされた累計印字枚数があらかじめ設定された所定枚数より多い場合、用紙供給手段25が、前の用紙P1の後端部と次の用紙P2の先端部との間隔D1が感光ドラム14の周長となるような第2のタイミングで、給紙ローラ7を制御して次の用紙を送り出している。しかし、前の用紙P1の後端部と次の用紙P2の先端部との間隔は、感光ドラム14の1周長以上2周長以下であればよい。
【0062】
3.作用効果
(1)以上のように、プリンタ1は、静電潜像が形成される感光ドラム14と、感光ドラム14が寿命であるか否かを判定するCPU24と、CPU24が感光ドラム14の寿命であると判定したら、前の用紙P1の後端部と次の用紙P2の先端部との間隔が感光ドラム14の周長以上になるタイミングで用紙を供給する用紙供給手段25と、を備えている。
【0063】
よって、感光ドラム14の表面電位が不安定な時に、次の用紙P2の画像形成領域が、感光ドラム14と転写ローラ19との対向部分(転写位置)に到達することがない。その結果、用紙の搬送途中に、転写バイアスの値を変える等の高精度な制御が必要でなく、用紙の供給タイミングを変更するだけの簡単な制御によって、濃淡むらなどの画像不良を防止することが出来る。
【0064】
(2)用紙供給手段25は、CPU24が感光ドラム14の寿命であると判定したら、前の用紙P1の後端部と次の用紙P2の先端部の間隔が感光ドラム14の周長以上となるタイミングで用紙を供給する。
【0065】
その結果、印字される画像の位置によらず、次の用紙P2の先端部の位置の給紙タイミングを制御するだけで、濃淡むらなどの画像不良を防止することが出来る。
【0066】
(3)プリンタ1は、累積印字枚数を検出するページカウンタ28を備え、ページカウンタ28が検出した印字枚数が所定の枚数に達している場合に、CPU24が感光ドラム14の寿命であると判定する。
【0067】
その結果、各紙毎に濃淡むらを検出する必要がないために、簡単に感光ドラム14の寿命を判定できる。
【0068】
(4)プリンタ1は、印字された画像の濃淡むらの有無を検出する濃淡むら検出センサ29を備え、濃淡むら検出センサ29が濃淡むらを検出した場合に、CPU24が感光ドラム14の寿命であると判定する。
【0069】
その結果、濃淡むらを直接検出するため、より確実に濃淡むら等を防止することが出来る。
【0070】
(5)プリンタ1は、パソコンから濃淡むら抑制についての設定情報を受け取る設定情報受取部30を備え、設定情報受取部30が濃淡むら抑制についての設定情報を受け取った場合に、感光ドラム14の寿命であると判定する。
【0071】
その結果、ユーザの判断で用紙供給のタイミングを変更することが出来る。
【符号の説明】
【0072】
1 プリンタ
3 給紙部
4 画像形成部
5 排紙部
7 給紙ローラ
14 感光ドラム
16 スコロトロン型帯電器
19 転写ローラ
24 CPU
25 用紙供給手段
26 帯電バイアス印加手段
27 転写バイアス印加手段
28 ページカウンタ
29 濃淡むら検出センサ
30 設定情報受取部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成される感光ドラムと、
前記感光ドラムが寿命であるか否かを判定する感光ドラム寿命判定手段と、
前記感光ドラム寿命判定手段が前記感光ドラムの寿命であると判定したら、前の用紙の後端部と次の用紙の画像形成領域の先端部との間隔が前記感光ドラムの周長以上開くタイミングで用紙を供給する用紙供給手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記用紙供給手段は、前記感光ドラム寿命判定手段が前記感光ドラムの寿命であると判定したら、前の用紙の後端部と次の用紙の先端部の間隔が前記感光ドラムの周長以上となるタイミングで用紙を供給することを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置は、累積印字枚数を検出する印字枚数検出部を備え、
前記感光ドラム寿命判定手段は、前記印字枚数検出部が検出した印字枚数が所定の枚数に達している場合に、前記感光ドラムの寿命であると判定することを特徴とする、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置は、印字された画像の濃淡むらの有無を検出する濃淡むら検出部を備え、
前記感光ドラム寿命判定手段は、前記濃淡むら検出部が濃淡むらを検出した場合に、前記感光ドラムの寿命であると判定することを特徴とする、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置は、外部装置から濃淡むら抑制についての設定情報を受け取る設定情報受取部を備え、
前記感光ドラム寿命判定手段は、前記設定情報受取部が濃淡むら抑制についての設定情報を受け取った場合に、前記感光ドラムの寿命であると判定することを特徴とする、請求項1または2に記載の画像形成装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図1】
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【公開番号】特開2012−226193(P2012−226193A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94736(P2011−94736)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】