画像形成装置
【課題】トナー容器が装置本体に対して着脱自在の画像形成装置において、装置本体に設けられた接続端子がトナー等の付着により接続不良となることがなく、また、トナー容器の着脱動作等によって損傷することのないようにする。
【解決手段】トナー容器30がトナー補給可能位置とトナー補給不能位置とに移動可能であり、接続端子41は、装置本体20の補給トナーの受入れ口25を閉鎖するシャッター部材23によって通常は覆われている。そして、トナー容器30がトナー補給可能位置になるとシャッター部材23が開放位置となり接続端子41が露出して、トナー容器30の記憶回路基板37と接続する。
【解決手段】トナー容器30がトナー補給可能位置とトナー補給不能位置とに移動可能であり、接続端子41は、装置本体20の補給トナーの受入れ口25を閉鎖するシャッター部材23によって通常は覆われている。そして、トナー容器30がトナー補給可能位置になるとシャッター部材23が開放位置となり接続端子41が露出して、トナー容器30の記憶回路基板37と接続する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体に対して着脱自在なトナー容器を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トナー容器を交換することによってトナーを補給する方式の画像形成装置では、トナー容器に収納されているトナーの色や適合機種、初期充填量、現在の残量、トナー切れが近いかどうか等の固有情報を記憶させた不揮発性の記憶回路基板をトナー容器に設けて、トナー容器を装置本体に装着すると、当該固有情報が記憶回路基板から装置本体に送られ、装着されたトナー容器が当該装置に適合するものかどうか等を判断すると共に、トナー容器を装置本体から脱着する際に、トナー容器の使用履歴を記憶回路基板に上書きするものがある。トナー容器と装置本体との間の情報伝達は、トナー容器が装置本体に装着される際に、トナー容器に設けられた記憶回路基板と装置本体の接続端子とが接触することにより行われる(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
このような画像形成装置では、トナー容器が装着されていないときは装置本体の接続端子が露出しているため、トナー等が接続端子に付着し接点不良が生じるおそれがある。
【0004】
特許文献2では、接続端子をカバー部材で覆い、プロセスカートリッジの着脱動作に連動させてカバー部材を開閉させる技術が提案されている。そこで、かかる提案技術を、トナー容器を着脱可能な画像形成装置における接続端子の保護に適用することも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4412421号公報((0037)段落、図13,図15など)
【特許文献2】特開平7-77921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2の提案技術では、プロセスカートリッジの着脱方向と、カバー部材の開閉方向が同じ方向である。また、トナー容器の着脱は一般的には使用者が行うことが多く、着脱する際の力加減を調整することは難しいため、例えば、トナー容器が装置本体に勢いよく装着された場合には、トナーが噴煙となり接続端子に付着するおそれがある。また、トナー容器の装着途中からカバー部材が開くので、装着中のトナー容器が接続端子に接触して接続端子が変形するおそれもある。
【0007】
そこで本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、トナー容器を着脱自在に備えた画像形成装置において、装置本体に設けられた接続端子がトナー等の付着により接続不良となることがなく、また、トナー容器の着脱動作によって接続端子が損傷することのないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成する本発明に係る画像形成装置は、装置本体と、装置本体に対して着脱自在で、装置本体に装着された状態でトナー補給可能位置とトナー補給不能位置とに移動可能なトナー容器とを備え、前記トナー容器は、容器内のトナーを排出するための排出口を有すると共に、外周面に記憶回路基板を有し、前記装置本体は、前記トナー容器から排出されるトナーを受け入れる受入れ口と、前記受入れ口を閉鎖する閉鎖位置と開放する開放位置とに移動可能なシャッター部材と、前記記憶回路基板と接続する接続端子とを備え、前記接続端子は、前記シャッター部材が閉鎖位置のときは前記シャッター部材で覆われ、前記シャッター部材が開放位置になると露出して前記記憶回路基板と接続可能となることを特徴とする。
【0009】
ここで、前記シャッター部材は、前記トナー容器がトナー補給不能位置からトナー補給可能位置に移動するのに連動して閉鎖位置から開放位置に移動するようにするのが好ましい。
【0010】
また、前記トナー容器を円筒形状とし、前記トナー容器が回動することによってトナー補給可能位置とトナー補給不能位置とに移動するようにするのが好ましい。
【0011】
前記接続端子は、前記トナー容器の方向に常に付勢されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の画像形成装置では、装置本体の接続端子は、通常は、トナー容器から装置本体にトナーを受け入れる受入れ口を閉鎖・開放するシャッター部材で覆われ、シャッター部材が開放位置になったときに初めて露出してトナーボトルの記憶回路基板と接続するので、接続端子へのトナー付着等が従来に比べ格段に抑制される。また、トナー容器が装着されていないときやトナー容器の着脱時に、接続端子に対して外力が加わり接続端子が損傷することもない。
【0013】
また、本発明の画像形成装置では、装置本体に対するトナー容器の装着動作と、装置本体へのトナー補給可能動作とを別動作とし、力加減を調整しやすいトナー補給可能動作に連動してシャッター部材を閉鎖位置から開放位置にするので、トナー容器の装着動作に連動してシャッター部材を開放位置としていた従来の構成に比べてトナー噴煙の発生量を抑制することができ、接続端子へのトナー付着を抑えることができる。
【0014】
さらに、本発明の画像形成装置では、装置本体のトナーの受入れ口を閉鎖・開放するシャッター部材で接続端子を覆うので、部品点数の増加が抑えられ構造の複雑化が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例を示す概説図。
【図2】トナー容器の一例を示す斜視図。
【図3】トナー容器の操作部の一例を示す部分斜視図。
【図4】トナー容器を装置本体に装着する際の状態を示す部分斜視図。
【図5】シャッター部材が閉鎖位置にあるときの状態図。
【図6】シャッター部材が開放位置にあるときの状態図。
【図7】トナー容器がトナー補給不能位置にあるときの、排出口部分での要部断面図。
【図8】図7の状態からトナー容器がトナー補給可能位置の方向に移動したときの要部断面図。
【図9】トナー容器がトナー補給可能位置にあるときの、排出口部分での要部断面図。
【図10】図9の状態からトナー容器がトナー補給不能位置の方向に移動したときの要部断面図。
【図11】トナー容器がトナー補給不能位置にあるときの、記憶回路基板部分での要部断面図。
【図12】トナー容器がトナー補給可能位置にあるときの、記憶回路基板部分での要部断面図。
【図13】図12における接続端子付近の部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の画像形成装置について図に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
【0017】
図1は、本発明に係る画像形成装置の一例を示す概説図で、モノクロの画像形成装置の場合の構成要素を示しているが、本発明はフルカラーの画像形成装置にも適用され得る。
【0018】
図1に示す画像形成装置100は、トナー像を担持し時計回り方向に回転駆動する円筒状の感光体11と、感光体11の周囲に設けられた、感光体11の表面を一様に帯電させる帯電チャージャ12と、感光体11の表面に光を照射して静電潜像を形成する露光装置13と、感光体11の表面に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像装置14と、現像装置14によって形成されたトナー像を不図示の記録紙に転写する転写・分離チャージャ15と、記録紙に転写されずに感光体11上に残留したトナーを除去するクリーニング装置16と、感光体11の表面に残存する残留電位を除電する除電装置17とを備える。
【0019】
現像装置14は、感光体11に対して離隔対向するように設けられた、回転可能の現像ローラ18と、現像ローラ18にトナーを撹拌搬送する撹拌搬送ローラ19とを備える。現像装置14内のトナーは、撹拌搬送ローラ19により撹拌されて所定の帯電量に摩擦帯電され現像ローラ18に供給される。そして、現像ローラ18の回転によってトナーは感光体と対向する領域(現像領域)に搬送される。現像ローラ18には現像バイアス電圧が印加され、現像バイアス電圧と感光体11の静電潜像との電位差に基づいて、現像ローラ18から感光体11にトナーが移動し、感光体11上の静電潜像がトナーによって可視像化される。
【0020】
現像装置14にはサブホッパ21が接続されている。サブホッパ21は、現像装置14内のトナー量が減少すると制御部51からの信号で現像装置14内にトナーを補給する。トナーエンプティセンサ53によって、サブホッパ21内のトナー量が所定量よりも少なくなったことが検知されると、サブホッパ21に対して着脱自在に装着されるトナー容器30からサブホッパ21にトナーが補給される。トナー容器30は、トナーを収納したボトル部31と使用者が着脱時に操作する操作部32とから構成されている。ボトル部31がモータ54で回転駆動されることによって、ボトル部31に内蔵されるトナーが操作部32に形成された排出口36からサブホッパ21に供給される。
【0021】
図2に、トナー容器30の斜視図を示す。トナー容器30は円筒形状を有し、トナーを収納したボトル部31と、取手33や扉34、記憶回路基板37などが設けられた操作部32とから構成されている。ボトル部31は操作部32に対して回転自在に取り付けられていて、ボトル部31の周壁には螺旋状溝が形成されている。トナー容器30が装置本体に装着され、装置本体側のモータ54(図1に図示)によってボトル部31が回転すると、螺旋状溝によってボトル部31内のトナーは操作部32の方向へ搬送され排出口36(図3に図示)からサブホッパ21に排出される。
【0022】
図3に、トナー容器30の操作部32の拡大斜視図を示す。操作部32の外周部には、トナーを排出するための排出口36が形成されている。排出口36の両側には一対のガイド部材35が設けられていて、このガイド部材35に、排出口36を開閉する扉34(図2に図示)がスライド自在に設けられている。ただし、この図では、排出口36を図示するために、扉34(図2に図示)は取り外した状態としている。そして、排出口36の周囲にはトナー漏れを防止するためのシール部材38が貼着されている。また、排出口36から軸方向にずれた位置に記憶回路基板37が設けられている。記憶回路基板37の表面の平坦な部分が、後述する接触端子41(図6に図示)との接続部である。記憶回路基板37には、トナーの品種、適用可能な画像形成装置の機種、色、トナーの充填量、製造年月、ロット番号、使用履歴、現在までの消費量と保有トナー量などのデータが記憶されている。記憶回路基板37の取付位置としては特に限定はないが、トナー補給の際にトナーが付着するのを抑制する観点からは、排出口36よりも、トナー容器30の回転方向上流側で、且つトナー補給可能状態において排出口36よりも上下方向上方に位置する所が望ましい。
【0023】
図4に、トナー容器30を装置本体20に装着する際の状態図を示す。トナー容器30は、装置本体20のサブホッパー21の上方に設けた装着開口部22に、ボトル部31側から矢印Aの方向に挿入される。なお、図4に示す画像形成装置はフルカラー画像形成装置、すなわちトナー色ごとにトナー容器を装置本体20に装着する装置である。
【0024】
図5及び図6に、装置本体20のトナー容器30が装着される部分を水平に切り欠いた断面を斜め方向から見た部分断面斜視図を示す。図5は、シャッター部材23によって、サブホッパ21に連通する受入れ口25が閉鎖された状態図であり、図6は、シャッター部材23が、円周方向にスライドして受入れ口25が開放された状態図である。図6から理解されるように、受入れ口の周囲にはシール部材24が取り付けられており、トナー容器30からトナーが補給される際、トナーが周囲に漏れ出さないようにしている。
【0025】
ここで重要なことは、受入れ口25から軸方向にずれた位置に設けられた接続端子41をも覆うように、シャッター部材23を軸方向に拡幅し周方向に延出させたことにある。これにより、シャッター部材23が閉鎖位置のときは、接続端子41はシャッター部材23で覆われ、シャッター部材23が開放位置のときは、接続端子41は露出するようになる。接続端子41の構造等については後述する。
【0026】
図7から図10に、トナー容器30を装置本体20に装着した状態における、扉34の部分での垂直断面図を示す。トナー容器30が装置本体20に装着される際、トナー容器30の外周に設けられた扉34と装置本体20側の凹部26との係合によって、トナー容器30は、図7に示す状態に位置決めされる(トナー補給不能位置)。トナー容器30がトナー補給不能位置にあるときは、トナー容器30の排出口36は扉34で閉じられ、装置本体20の受入れ口25はシャッター部材23で閉じられている。
【0027】
図8に、トナー容器30の取手33(図4に図示)を摘んで操作部32を時計回りに少し回転させた状態を示す。このとき、扉34は装置本体20の凹部26に係合しているので操作部32と共には回転しない。従って、操作部32が回転するに従って排出口36は次第に開くことになる。一方、装置本体20の受入れ口25を閉鎖しているシャッター部材23は、操作部32の第1突起32aが当接して時計回りに回転し、受入れ口25も次第に開くことになる。
【0028】
そして、操作部32の第2突起32bが装置本体20の突起27に当接するまで操作部32を回転させて、トナー容器30をトナー補給可能位置とする。このときの状態図を図9に示す。シャッター部材23は受入れ口25を開放する位置まで移動し、操作部32の排出口36は受入れ口25と完全に重なる位置となる。
【0029】
図9に示す状態で、モータ54(図1に図示)が回転駆動し、ボトル部31が回転すると、トナー容器30に収納されているトナーが操作部32側に順次搬送され、排出口36及び装置本体20の受入れ口25を通ってサブホッパ21に補給される。
【0030】
一方、トナー容器30を装置本体20から取り外す場合には、取手33(図4に図示)を摘んで、図9に示すトナー補給可能位置から操作部32を反時計回りに回転させる。すると、図10に示すように、操作部32の第2突起32bがシャッター部材23に当接し、シャッター部材23は受入れ口25の方向に移動する。同時に、トナー容器30の排出口36は扉34の方向に移動する。そして、トナー容器30をトナー補給不能位置、すなわち、トナー容器30の排出口36が扉34で閉鎖され、装置本体20の受入れ口25がシャッター部材23で閉鎖された位置とした後(図7を参照)、トナー容器30を装置本体20に対して手前方向に引き出し取り外す。
【0031】
次に、図11及び図12に、トナー容器30を装置本体20に装着した状態における、記憶回路基板37の部分での垂直断面図を示す。図11は、装置本体20に装着されたトナー容器30がトナー補給不能位置にあるときの垂直断面図であり、図12はトナー容器30がトナー補給可能状態にあるのときの垂直断面図である。すなわち、図7と図9に示したトナー容器の状態に対応する図である。なお、トナー容器30の排出口36と装置本体20の受入れ口25は、この図において紙面の手前側に位置にしているので、これらの図では現れていない。
【0032】
装置本体20には、接続端子41が、「U」字状の支持部45で挟持された軸43を中心として回動可能に設けられており、ねじりコイルバネ44(図13に図示)によってトナー容器30の操作部32の方向に常に付勢されている。接続端子41の表面には、弾性を有する線材からなる接続部42が外方に突出するように設けられている。
【0033】
図11に示すトナー容器30がトナー補給不能位置にある状態(又はトナー容器30が装着されていない状態)では、接続端子41は、装置本体20に設けられたシャッター部材23によって覆われている。これにより、接続端子41がトナー等の付着が確実に抑制される。
【0034】
次ぎに、トナー容器30の操作部32が時計回りに回転されて、トナー容器30がトナー補給不能位置からトナー補給可能位置に移動すると、前述のように、シャッター部材23は閉鎖位置から開放位置に移動する(図7〜図9を参照)。このシャッター部材23の移動によって、図12に示すように、接続端子41が露出する。同時に、トナー容器30の記憶回路基板37の表面と接触して電気回路が形成される。これにより、記憶回路基板37に記憶されているトナーの品種、適用可能な画像形成装置の機種、色、トナーの充填量、製造年月、ロット番号、使用履歴、現在までの消費量と保有トナー量などのデータが装置本体20の制御部51(図1に図示)に送られる。
【0035】
前述のように、トナー容器30が取り外されるときは、トナー容器30がトナー補給可能位置からトナー補給可能位置に回転される。このトナー容器の回転に連動して、シャッター部材23が開放位置から閉鎖位置に移動する。シャッター部材23が閉鎖位置に移動することによって、接続端子41はシャッター部材23で再び覆われ保護される。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明に係る画像形成装置では、接続端子41は、装置本体20の補給トナーの受入れ口25を閉鎖するシャッター部材23によって通常は覆われ、トナー容器30がトナー補給可能位置になったときに初めて露出して、トナー容器30の記憶回路基板37と接続するので、トナー等の付着によって接触不良が生じることがない。また、トナー容器30が装着されていないときやトナー容器30の着脱時に接続端子に対して外力が加わり接続端子が損傷することもなく有用である。
【符号の説明】
【0037】
20 装置本体
23 シャッター部材
25 受入れ口
30 トナー容器
36 排出口
37 記憶回路基板
41 接続端子
100 画像形成装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体に対して着脱自在なトナー容器を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トナー容器を交換することによってトナーを補給する方式の画像形成装置では、トナー容器に収納されているトナーの色や適合機種、初期充填量、現在の残量、トナー切れが近いかどうか等の固有情報を記憶させた不揮発性の記憶回路基板をトナー容器に設けて、トナー容器を装置本体に装着すると、当該固有情報が記憶回路基板から装置本体に送られ、装着されたトナー容器が当該装置に適合するものかどうか等を判断すると共に、トナー容器を装置本体から脱着する際に、トナー容器の使用履歴を記憶回路基板に上書きするものがある。トナー容器と装置本体との間の情報伝達は、トナー容器が装置本体に装着される際に、トナー容器に設けられた記憶回路基板と装置本体の接続端子とが接触することにより行われる(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
このような画像形成装置では、トナー容器が装着されていないときは装置本体の接続端子が露出しているため、トナー等が接続端子に付着し接点不良が生じるおそれがある。
【0004】
特許文献2では、接続端子をカバー部材で覆い、プロセスカートリッジの着脱動作に連動させてカバー部材を開閉させる技術が提案されている。そこで、かかる提案技術を、トナー容器を着脱可能な画像形成装置における接続端子の保護に適用することも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4412421号公報((0037)段落、図13,図15など)
【特許文献2】特開平7-77921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2の提案技術では、プロセスカートリッジの着脱方向と、カバー部材の開閉方向が同じ方向である。また、トナー容器の着脱は一般的には使用者が行うことが多く、着脱する際の力加減を調整することは難しいため、例えば、トナー容器が装置本体に勢いよく装着された場合には、トナーが噴煙となり接続端子に付着するおそれがある。また、トナー容器の装着途中からカバー部材が開くので、装着中のトナー容器が接続端子に接触して接続端子が変形するおそれもある。
【0007】
そこで本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、トナー容器を着脱自在に備えた画像形成装置において、装置本体に設けられた接続端子がトナー等の付着により接続不良となることがなく、また、トナー容器の着脱動作によって接続端子が損傷することのないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成する本発明に係る画像形成装置は、装置本体と、装置本体に対して着脱自在で、装置本体に装着された状態でトナー補給可能位置とトナー補給不能位置とに移動可能なトナー容器とを備え、前記トナー容器は、容器内のトナーを排出するための排出口を有すると共に、外周面に記憶回路基板を有し、前記装置本体は、前記トナー容器から排出されるトナーを受け入れる受入れ口と、前記受入れ口を閉鎖する閉鎖位置と開放する開放位置とに移動可能なシャッター部材と、前記記憶回路基板と接続する接続端子とを備え、前記接続端子は、前記シャッター部材が閉鎖位置のときは前記シャッター部材で覆われ、前記シャッター部材が開放位置になると露出して前記記憶回路基板と接続可能となることを特徴とする。
【0009】
ここで、前記シャッター部材は、前記トナー容器がトナー補給不能位置からトナー補給可能位置に移動するのに連動して閉鎖位置から開放位置に移動するようにするのが好ましい。
【0010】
また、前記トナー容器を円筒形状とし、前記トナー容器が回動することによってトナー補給可能位置とトナー補給不能位置とに移動するようにするのが好ましい。
【0011】
前記接続端子は、前記トナー容器の方向に常に付勢されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の画像形成装置では、装置本体の接続端子は、通常は、トナー容器から装置本体にトナーを受け入れる受入れ口を閉鎖・開放するシャッター部材で覆われ、シャッター部材が開放位置になったときに初めて露出してトナーボトルの記憶回路基板と接続するので、接続端子へのトナー付着等が従来に比べ格段に抑制される。また、トナー容器が装着されていないときやトナー容器の着脱時に、接続端子に対して外力が加わり接続端子が損傷することもない。
【0013】
また、本発明の画像形成装置では、装置本体に対するトナー容器の装着動作と、装置本体へのトナー補給可能動作とを別動作とし、力加減を調整しやすいトナー補給可能動作に連動してシャッター部材を閉鎖位置から開放位置にするので、トナー容器の装着動作に連動してシャッター部材を開放位置としていた従来の構成に比べてトナー噴煙の発生量を抑制することができ、接続端子へのトナー付着を抑えることができる。
【0014】
さらに、本発明の画像形成装置では、装置本体のトナーの受入れ口を閉鎖・開放するシャッター部材で接続端子を覆うので、部品点数の増加が抑えられ構造の複雑化が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例を示す概説図。
【図2】トナー容器の一例を示す斜視図。
【図3】トナー容器の操作部の一例を示す部分斜視図。
【図4】トナー容器を装置本体に装着する際の状態を示す部分斜視図。
【図5】シャッター部材が閉鎖位置にあるときの状態図。
【図6】シャッター部材が開放位置にあるときの状態図。
【図7】トナー容器がトナー補給不能位置にあるときの、排出口部分での要部断面図。
【図8】図7の状態からトナー容器がトナー補給可能位置の方向に移動したときの要部断面図。
【図9】トナー容器がトナー補給可能位置にあるときの、排出口部分での要部断面図。
【図10】図9の状態からトナー容器がトナー補給不能位置の方向に移動したときの要部断面図。
【図11】トナー容器がトナー補給不能位置にあるときの、記憶回路基板部分での要部断面図。
【図12】トナー容器がトナー補給可能位置にあるときの、記憶回路基板部分での要部断面図。
【図13】図12における接続端子付近の部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の画像形成装置について図に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
【0017】
図1は、本発明に係る画像形成装置の一例を示す概説図で、モノクロの画像形成装置の場合の構成要素を示しているが、本発明はフルカラーの画像形成装置にも適用され得る。
【0018】
図1に示す画像形成装置100は、トナー像を担持し時計回り方向に回転駆動する円筒状の感光体11と、感光体11の周囲に設けられた、感光体11の表面を一様に帯電させる帯電チャージャ12と、感光体11の表面に光を照射して静電潜像を形成する露光装置13と、感光体11の表面に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像装置14と、現像装置14によって形成されたトナー像を不図示の記録紙に転写する転写・分離チャージャ15と、記録紙に転写されずに感光体11上に残留したトナーを除去するクリーニング装置16と、感光体11の表面に残存する残留電位を除電する除電装置17とを備える。
【0019】
現像装置14は、感光体11に対して離隔対向するように設けられた、回転可能の現像ローラ18と、現像ローラ18にトナーを撹拌搬送する撹拌搬送ローラ19とを備える。現像装置14内のトナーは、撹拌搬送ローラ19により撹拌されて所定の帯電量に摩擦帯電され現像ローラ18に供給される。そして、現像ローラ18の回転によってトナーは感光体と対向する領域(現像領域)に搬送される。現像ローラ18には現像バイアス電圧が印加され、現像バイアス電圧と感光体11の静電潜像との電位差に基づいて、現像ローラ18から感光体11にトナーが移動し、感光体11上の静電潜像がトナーによって可視像化される。
【0020】
現像装置14にはサブホッパ21が接続されている。サブホッパ21は、現像装置14内のトナー量が減少すると制御部51からの信号で現像装置14内にトナーを補給する。トナーエンプティセンサ53によって、サブホッパ21内のトナー量が所定量よりも少なくなったことが検知されると、サブホッパ21に対して着脱自在に装着されるトナー容器30からサブホッパ21にトナーが補給される。トナー容器30は、トナーを収納したボトル部31と使用者が着脱時に操作する操作部32とから構成されている。ボトル部31がモータ54で回転駆動されることによって、ボトル部31に内蔵されるトナーが操作部32に形成された排出口36からサブホッパ21に供給される。
【0021】
図2に、トナー容器30の斜視図を示す。トナー容器30は円筒形状を有し、トナーを収納したボトル部31と、取手33や扉34、記憶回路基板37などが設けられた操作部32とから構成されている。ボトル部31は操作部32に対して回転自在に取り付けられていて、ボトル部31の周壁には螺旋状溝が形成されている。トナー容器30が装置本体に装着され、装置本体側のモータ54(図1に図示)によってボトル部31が回転すると、螺旋状溝によってボトル部31内のトナーは操作部32の方向へ搬送され排出口36(図3に図示)からサブホッパ21に排出される。
【0022】
図3に、トナー容器30の操作部32の拡大斜視図を示す。操作部32の外周部には、トナーを排出するための排出口36が形成されている。排出口36の両側には一対のガイド部材35が設けられていて、このガイド部材35に、排出口36を開閉する扉34(図2に図示)がスライド自在に設けられている。ただし、この図では、排出口36を図示するために、扉34(図2に図示)は取り外した状態としている。そして、排出口36の周囲にはトナー漏れを防止するためのシール部材38が貼着されている。また、排出口36から軸方向にずれた位置に記憶回路基板37が設けられている。記憶回路基板37の表面の平坦な部分が、後述する接触端子41(図6に図示)との接続部である。記憶回路基板37には、トナーの品種、適用可能な画像形成装置の機種、色、トナーの充填量、製造年月、ロット番号、使用履歴、現在までの消費量と保有トナー量などのデータが記憶されている。記憶回路基板37の取付位置としては特に限定はないが、トナー補給の際にトナーが付着するのを抑制する観点からは、排出口36よりも、トナー容器30の回転方向上流側で、且つトナー補給可能状態において排出口36よりも上下方向上方に位置する所が望ましい。
【0023】
図4に、トナー容器30を装置本体20に装着する際の状態図を示す。トナー容器30は、装置本体20のサブホッパー21の上方に設けた装着開口部22に、ボトル部31側から矢印Aの方向に挿入される。なお、図4に示す画像形成装置はフルカラー画像形成装置、すなわちトナー色ごとにトナー容器を装置本体20に装着する装置である。
【0024】
図5及び図6に、装置本体20のトナー容器30が装着される部分を水平に切り欠いた断面を斜め方向から見た部分断面斜視図を示す。図5は、シャッター部材23によって、サブホッパ21に連通する受入れ口25が閉鎖された状態図であり、図6は、シャッター部材23が、円周方向にスライドして受入れ口25が開放された状態図である。図6から理解されるように、受入れ口の周囲にはシール部材24が取り付けられており、トナー容器30からトナーが補給される際、トナーが周囲に漏れ出さないようにしている。
【0025】
ここで重要なことは、受入れ口25から軸方向にずれた位置に設けられた接続端子41をも覆うように、シャッター部材23を軸方向に拡幅し周方向に延出させたことにある。これにより、シャッター部材23が閉鎖位置のときは、接続端子41はシャッター部材23で覆われ、シャッター部材23が開放位置のときは、接続端子41は露出するようになる。接続端子41の構造等については後述する。
【0026】
図7から図10に、トナー容器30を装置本体20に装着した状態における、扉34の部分での垂直断面図を示す。トナー容器30が装置本体20に装着される際、トナー容器30の外周に設けられた扉34と装置本体20側の凹部26との係合によって、トナー容器30は、図7に示す状態に位置決めされる(トナー補給不能位置)。トナー容器30がトナー補給不能位置にあるときは、トナー容器30の排出口36は扉34で閉じられ、装置本体20の受入れ口25はシャッター部材23で閉じられている。
【0027】
図8に、トナー容器30の取手33(図4に図示)を摘んで操作部32を時計回りに少し回転させた状態を示す。このとき、扉34は装置本体20の凹部26に係合しているので操作部32と共には回転しない。従って、操作部32が回転するに従って排出口36は次第に開くことになる。一方、装置本体20の受入れ口25を閉鎖しているシャッター部材23は、操作部32の第1突起32aが当接して時計回りに回転し、受入れ口25も次第に開くことになる。
【0028】
そして、操作部32の第2突起32bが装置本体20の突起27に当接するまで操作部32を回転させて、トナー容器30をトナー補給可能位置とする。このときの状態図を図9に示す。シャッター部材23は受入れ口25を開放する位置まで移動し、操作部32の排出口36は受入れ口25と完全に重なる位置となる。
【0029】
図9に示す状態で、モータ54(図1に図示)が回転駆動し、ボトル部31が回転すると、トナー容器30に収納されているトナーが操作部32側に順次搬送され、排出口36及び装置本体20の受入れ口25を通ってサブホッパ21に補給される。
【0030】
一方、トナー容器30を装置本体20から取り外す場合には、取手33(図4に図示)を摘んで、図9に示すトナー補給可能位置から操作部32を反時計回りに回転させる。すると、図10に示すように、操作部32の第2突起32bがシャッター部材23に当接し、シャッター部材23は受入れ口25の方向に移動する。同時に、トナー容器30の排出口36は扉34の方向に移動する。そして、トナー容器30をトナー補給不能位置、すなわち、トナー容器30の排出口36が扉34で閉鎖され、装置本体20の受入れ口25がシャッター部材23で閉鎖された位置とした後(図7を参照)、トナー容器30を装置本体20に対して手前方向に引き出し取り外す。
【0031】
次に、図11及び図12に、トナー容器30を装置本体20に装着した状態における、記憶回路基板37の部分での垂直断面図を示す。図11は、装置本体20に装着されたトナー容器30がトナー補給不能位置にあるときの垂直断面図であり、図12はトナー容器30がトナー補給可能状態にあるのときの垂直断面図である。すなわち、図7と図9に示したトナー容器の状態に対応する図である。なお、トナー容器30の排出口36と装置本体20の受入れ口25は、この図において紙面の手前側に位置にしているので、これらの図では現れていない。
【0032】
装置本体20には、接続端子41が、「U」字状の支持部45で挟持された軸43を中心として回動可能に設けられており、ねじりコイルバネ44(図13に図示)によってトナー容器30の操作部32の方向に常に付勢されている。接続端子41の表面には、弾性を有する線材からなる接続部42が外方に突出するように設けられている。
【0033】
図11に示すトナー容器30がトナー補給不能位置にある状態(又はトナー容器30が装着されていない状態)では、接続端子41は、装置本体20に設けられたシャッター部材23によって覆われている。これにより、接続端子41がトナー等の付着が確実に抑制される。
【0034】
次ぎに、トナー容器30の操作部32が時計回りに回転されて、トナー容器30がトナー補給不能位置からトナー補給可能位置に移動すると、前述のように、シャッター部材23は閉鎖位置から開放位置に移動する(図7〜図9を参照)。このシャッター部材23の移動によって、図12に示すように、接続端子41が露出する。同時に、トナー容器30の記憶回路基板37の表面と接触して電気回路が形成される。これにより、記憶回路基板37に記憶されているトナーの品種、適用可能な画像形成装置の機種、色、トナーの充填量、製造年月、ロット番号、使用履歴、現在までの消費量と保有トナー量などのデータが装置本体20の制御部51(図1に図示)に送られる。
【0035】
前述のように、トナー容器30が取り外されるときは、トナー容器30がトナー補給可能位置からトナー補給可能位置に回転される。このトナー容器の回転に連動して、シャッター部材23が開放位置から閉鎖位置に移動する。シャッター部材23が閉鎖位置に移動することによって、接続端子41はシャッター部材23で再び覆われ保護される。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明に係る画像形成装置では、接続端子41は、装置本体20の補給トナーの受入れ口25を閉鎖するシャッター部材23によって通常は覆われ、トナー容器30がトナー補給可能位置になったときに初めて露出して、トナー容器30の記憶回路基板37と接続するので、トナー等の付着によって接触不良が生じることがない。また、トナー容器30が装着されていないときやトナー容器30の着脱時に接続端子に対して外力が加わり接続端子が損傷することもなく有用である。
【符号の説明】
【0037】
20 装置本体
23 シャッター部材
25 受入れ口
30 トナー容器
36 排出口
37 記憶回路基板
41 接続端子
100 画像形成装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、装置本体に対して着脱自在で、装置本体に装着された状態でトナー補給可能位置とトナー補給不能位置とに移動可能なトナー容器とを備え、
前記トナー容器は、容器内のトナーを排出するための排出口を有すると共に、外周面に記憶回路基板を有し、
前記装置本体は、前記トナー容器から排出されるトナーを受け入れる受入れ口と、前記受入れ口を閉鎖する閉鎖位置と開放する開放位置とに移動可能なシャッター部材と、前記記憶回路基板と接続する接続端子とを備え、
前記接続端子は、前記シャッター部材が閉鎖位置のときは前記シャッター部材で覆われ、前記シャッター部材が開放位置になると露出して前記記憶回路基板と接続可能となることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記シャッター部材は、前記トナー容器がトナー補給不能位置からトナー補給可能位置に移動するのに連動して閉鎖位置から開放位置に移動する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記トナー容器が円筒形状で、回動することによってトナー補給可能位置とトナー補給不能位置とに移動する請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記接続端子は、前記トナー容器の方向に常に付勢されている請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項1】
装置本体と、装置本体に対して着脱自在で、装置本体に装着された状態でトナー補給可能位置とトナー補給不能位置とに移動可能なトナー容器とを備え、
前記トナー容器は、容器内のトナーを排出するための排出口を有すると共に、外周面に記憶回路基板を有し、
前記装置本体は、前記トナー容器から排出されるトナーを受け入れる受入れ口と、前記受入れ口を閉鎖する閉鎖位置と開放する開放位置とに移動可能なシャッター部材と、前記記憶回路基板と接続する接続端子とを備え、
前記接続端子は、前記シャッター部材が閉鎖位置のときは前記シャッター部材で覆われ、前記シャッター部材が開放位置になると露出して前記記憶回路基板と接続可能となることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記シャッター部材は、前記トナー容器がトナー補給不能位置からトナー補給可能位置に移動するのに連動して閉鎖位置から開放位置に移動する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記トナー容器が円筒形状で、回動することによってトナー補給可能位置とトナー補給不能位置とに移動する請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記接続端子は、前記トナー容器の方向に常に付勢されている請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−230221(P2012−230221A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97895(P2011−97895)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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