説明

画像形成装置

【課題】ヘッド交換を行うときにヘッドを高い精度で容易に位置決めすることができない。
【解決手段】記録ヘッド6を保持するヘッドホルダ51A、51Bと、ヘッドホルダ51A、51Bを保持するキャリッジ5とを備え、キャリッジ5は主走査方向に配設されたガイド部材3に沿って移動可能であり、キャリッジ5にはガイド部材3と同じ方向に配設された基準軸部材71を有し、ヘッドホルダ51A、51Bは基準軸部材71に引っ掛け部53によって着脱可能に引っ掛けられて保持され、更に加圧機構80によってヘッドホルダ51A、51Bは基準軸部材71及びキャリッジ3に押し付けられている

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えば液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)を記録ヘッドとして用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。
【0003】
ところで、液体吐出方式による画像形成装置において画像形成する場合には、ノズルから吐出される液滴の着弾精度が画像品質に大きく影響し、液滴の着弾精度が悪いと画像品質が低下することになるので、記録ヘッド位置を高精度に位置決めする必要がある。
【0004】
一方、記録ヘッドに吐出不良が発生した場合などユーザーの使用環境の下でヘッド交換を容易に行えるようにする必要がある。この場合も高い位置精度の再現性を持たせなければならない。
【0005】
従来、ヘッド交換時の位置決め精度を高めたものとして、複数の液体吐出ヘッドを搭載するヘッドホルダと、ヘッドホルダを着脱可能に保持するキャリッジとを有し、ヘッドホルダは、キャリッジに設けられたキャリッジ走査方向及び用紙搬送方向の位置決め基準に接する位置決め部を有するとともに、位置決め部が液体吐出ヘッドのヘッドホルダへの位置決め基準となっているものが知られている(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−037235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1に開示の構成にあっては、位置決め面と位置決めピンによってヘッドホルダのキャリッジに対する位置決めを行っており、構成が複雑になる。また、複数のヘッドホルダを備える場合、ヘッドホルダごとに位置決め部を必要とし、ヘッドホルダ相互の位置決めが難しく、ヘッド交換を容易に行うことができない。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、ヘッドを高い精度で容易に位置決めでき、ヘッド交換を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出する複数のノズルを有する記録ヘッドと、
1又は2以上の前記記録ヘッドを保持する1又は複数のヘッドホルダと、
前記ヘッドホルダを保持するキャリッジと、を備え、
前記キャリッジは主走査方向に配設されたガイド部材に沿って移動可能であり、
前記キャリッジには前記ガイド部材と同じ方向に配設された基準部材を有し、
前記ヘッドホルダは前記基準部材に回動可能に保持され、
前記ヘッドホルダを前記キャリッジ側に向けて加圧する加圧手段を有し、
前記ヘッドホルダは前記加圧手段による加圧を受けて前記基準部材に押し付けられるとともに、前記キャリッジ側の部材に押し付けられている
構成とした。
【0010】
ここで、前記ヘッドホルダと前記基準部材とは少なくとも2箇所で当接し、前記ヘッドホルダと前記キャリッジ側の部材とは少なくとも1箇所で当接している構成とできる。
【0011】
また、前記ヘッドホルダは、前記基準部材に引っ掛けられる引っ掛け部を有している構成とできる。
【0012】
この場合、前記ヘッドホルダの引っ掛け部は、前記基準部材に当接する2つの面を有している構成とできる。
【0013】
また、前記キャリッジ側の部材は、前記キャリッジと前記ヘッドホルダとの間に介在して、前記キャリッジに保持された中間部材である構成とできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る画像形成装置によれば、1又は2以上の記録ヘッドを保持する1又は複数のヘッドホルダと、ヘッドホルダを保持するキャリッジとを備え、キャリッジは主走査方向に配設されたガイド部材に沿って移動可能であり、キャリッジにはガイド部材と同じ方向に配設された基準部材を有し、ヘッドホルダは基準部材に回動可能に保持され、ヘッドホルダをキャリッジ側に向けて加圧する加圧手段を有し、ヘッドホルダは加圧手段による加圧を受けて基準部材に押し付けられるとともに、キャリッジ側の部材に押し付けられている構成としたので、ヘッドを高い精度で容易に位置決めでき、ヘッド交換を容易に行うことができ、更に加圧手段によってヘッドホルダを加圧していることによってヘッドホルダの姿勢を容易に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置の全体構成を示す外観斜視説明図である。
【図2】同装置のキャリッジ走査機構部の斜視説明図である。
【図3】本発明に第1実施形態におけるヘッドホルダをキャリッジに装着する前の状態を説明するキャリッジ部分の模式的斜視説明図である。
【図4】同じくヘッドホルダをキャリッジに装着した状態を説明するキャリッジ部分の斜視説明図である。
【図5】同じくキャリッジに対する基準軸部材の保持構造の説明に供する斜視説明図である。
【図6】同じく位置調整部材の斜視説明図である。
【図7】同じく位置調整部材に対する基準軸部材の押圧力の説明に供する斜視説明図である。
【図8】本発明の第2実施形態におけるヘッドホルダをキャリッジに装着する前の状態を説明するキャリッジ部分の模式的斜視説明図である。
【図9】同じくヘッドホルダをキャリッジに装着した状態を説明するキャリッジ部分の模式的斜視説明図である。
【図10】同じく加圧構造の説明に供するキャリッジ部分の側面説明図である。
【図11】同じく加圧部材を組み付けた状態の模式的斜視説明図である。
【図12】ヘッドホルダと基準軸部材との引っ掛け部分の構造の異なる例の説明に供する拡大説明図である。
【図13】同じくヘッドホルダと基準軸部材との引っ掛け部分の構造の他の異なる例の説明に供する拡大説明図である。
【図14】加圧機構の他の異なる例の説明に供する要部側面説明図である。
【図15】同じく加圧機構の他の異なる例の説明に供する要部側面説明図である。
【図16】本発明の第3実施形態におけるキャリッジ部分の斜視説明図である。
【図17】本発明の第4実施形態におけるキャリッジ部分の模式的分解斜視説明図である。
【図18】同じく中間部材を組み付けた状態の模式的斜視説明図である。
【図19】同じく中間部材とヘッドホルダ部分の模式的側面説明図である。
【図20】中間部材とヘッドホルダ部分の模式的平面説明図である。
【図21】同じく昇降動作の説明に供する中間部材とヘッドホルダ部分の模式的側面説明図である。
【図22】本発明の第5実施形態における基準軸部材及び中間部材の支持軸部分を示す斜視説明図である。
【図23】本発明の第6実施形態の説明に供するキャリッジ部分の模式的斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同記録装置の全体構成を示す斜視説明図、図2は同じくキャリッジ走査機構部の斜視説明図である。
【0017】
このインクジェット記録装置は、シリアル型インクジェット記録装置であり、装置本体1と、記録装置本体1を支持する支持台2とを備えている。
【0018】
装置本体1の内部には、図示しない両側板にガイド部材であるガイドロッド3及びガイドステー4が掛け渡され、これらのガイドロッド3及びガイドステー4にキャリッジ5が矢示A方向に摺動可能に保持されている。
【0019】
キャリッジ5には、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のインク滴を吐出する液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド6が搭載されている。各記録ヘッド6には図示しないが、各記録ヘッドにインクを供給するヘッドタンクが一体的に備えられている。
【0020】
そして、キャリッジ5を移動走査する主走査機構部10は、主走査方向の一方側に配置される駆動モータ11と、駆動モータ11によって回転駆動される駆動プーリ12と、主走査方向他方側に配置された従動プーリ13と、駆動プーリ12と従動プーリ13との間に掛け回された牽引部材であるタイミングベルト14とを備えている。なお、従動プーリ13は、図示しないテンションスプリングによって外方(駆動プーリ12に対して離れる方向)にテンションが架けられている。
【0021】
このキャリッジ5における主走査領域のうち、記録領域では、用紙20が吸引搬送部7によってキャリッジ5の主走査方向と直交する方向(副走査方向、用紙搬送方向:矢示B方向)に間欠的に搬送される。
【0022】
また、主走査領域のうち一方の端部側領域には、記録ヘッド6の維持回復を行う維持回復機構8が配置されている。さらに、主走査方向のキャリッジ移動領域外又は、上記主走査領域のうち他方の端部側領域には、記録ヘッド6のサブタンクに供給する各色のインクを収容したメインカートリッジ9が装置本体1に対して着脱自在に装着される。
【0023】
また、給紙手段21には、ロール紙(以下「用紙」という。)20がセットされているが、幅方向のサイズが異なるロール紙がセット可能である。給紙手段21から搬送された用紙20は、装置本体1の後方から前方に向けて、搬送手段により記録領域へ搬送される。そして、キャリッジ5を主走査方向に移動し、吸引搬送部7にて用紙20を間欠的に送りながら、記録ヘッド6を画像情報に応じて駆動して液滴を吐出させることによって、用紙20上に所要の画像が形成される。さらに、画像形成後の用紙20は、所定の長さにカットされ、装置本体1の正面側に配置された図示しない排紙トレイへ排出される。
【0024】
次に、このインクジェット記録装置の本発明に第1実施形態について図3及び図4を参照して説明する。なお、図3は同実施形態におけるヘッドホルダをキャリッジに装着する前の状態を説明するおけるキャリッジ部分の模式的斜視説明図、図4はヘッドホルダをキャリッジに装着した状態を説明するキャリッジ部分の斜視説明図である。
【0025】
キャリッジ5には、黒用のヘッドホルダ51Aと、カラー用のヘッドホルダ51Bとが保持されている。
【0026】
ヘッドホルダ51Aには、副走査方向に千鳥状に配置されたブラックの液滴を吐出する2つの記録ヘッド6A、6Bが搭載されている。ヘッドホルダ51Bには、記録ヘッド6Aと副走査方向位置を同じくして、イエロー、マゼンタ、シアンの液滴を吐出する3つの記録ヘッド6C、6D、6Eが搭載されている。なお、前記のとおり、記録ヘッドを区別しないときは「記録ヘッド6」と称している。なお、ヘッドホルダ51A、51Bで保持する記録ヘッド6は1個でもよい。
【0027】
ここで、キャリッジ5には、ガイドロッド3と同じ方向に基準部材としての基準軸部材71が設けられている。そして、ヘッドホルダ51A、51B(以下、区別しないときには、「ヘッドホルダ51」という。)には、基準軸部材71に着脱可能に嵌り込むフック形状の引っ掛け部53が設けられ、ヘッドホルダ51A、51Bは引っ掛け部53を基準軸部材71に引っ掛けることでキャリッジ5に保持されている。なお、基準軸部材71は円柱状、多角形状とすることができる。
【0028】
このように、基準軸部材71をキャリッジ5のガイド部材3と同じ方向に配置することで、副走査方向、高さ方向、あおり方向、主走査方向の傾きの位置精度が向上する。
【0029】
次に、キャリッジに対する基準軸部材の保持構造について図5及び図6も参照して説明する。なお、図5は同保持構造の説明に供する斜視説明図、図6は位置調整部材の正面説明図である。
【0030】
基準軸部材71は、キャリッジ5の主走査方向の両側壁部5a、5bに設けられた貫通穴70(図3)内に、遊びを持って貫通され、キャリッジ5の両側壁部5a、5bの外面側に固定した位置調整部材72、72にて両端部を保持されている。
【0031】
位置調整部材72は、図6に示すように、板状部材であり、基準軸部材71が貫通する矩形状の位置決め用貫通穴73が形成されている。位置決め用貫通穴73の1辺である副走査方向下流側の壁面は、基準軸部材71の副走査方向の位置決め面74となる。位置決め用貫通穴73の他の1辺であり、位置決め面74と直角に交わる高さ方向で下方向の壁面は、基準軸部材71の高さ方向の位置決め面75となる。
【0032】
また、位置調整部材72には、高さ方向で切り欠き部が形成されて、切り欠き部の垂直方向の壁面は、位置決め面74,75に基準軸部材71が当接した状態で位置調整部材72の回転方向の位置を決める、つまり、回転方向を固定する位置決め面76となる。この位置調整部材72の位置決め面76はキャリッジ5の側壁面5a、5bに設けられる回転固定部77に突き当てられる。
【0033】
このように、基準軸部材71の両端に位置調整部材72を配置することにより、調整距離が最も長くなり基準軸部材71を高精度に位置決めできる。また、位置調整部材72に高さ方向と副走査方向を決める2辺を直角に配置することにより、角突き当てによって位置決めできるので高精度に位置を決めることができる。また、位置調整部材72、72を並列に配置することにより、基準軸部材71の両端の高さ、副走査位置、傾きを同じ突き当て形状にて位置出しすることができて、高精度位置決めができるとともにコストダウンを図れる。
【0034】
次に、位置調整部材72に対して基準軸部材71を押圧する方向について図7を参照して説明する。なお、図7は同説明に供する位置調整部材の説明図である。
【0035】
基準軸部材71に対して矢印Fa方向の押圧力を付与することで、基準軸部材71は位置決め面74,75に当接して矢示F1、F2方向の分力が生じて、副走査方向及び高さ方向の位置が定まる。また、基準軸部材71に対して矢印Fb方向の押圧力を付与することで、位置調整部材72の位置決め面76がキャリッジ5の側壁面5a、5bに設けられて回転固定部77に押し当てられて当接して回転方向が固定される。
【0036】
なお、この場合、ばねやゴムなどの弾性部材を用いて、基準軸部材71に直接押圧力を与え、あるいは、ヘッドホルダ51A、51Bを介して基準軸部材71に押圧力を与えることができる。
【0037】
このように、基準軸部材71を位置調整部材72の副走査方向、高さ方向の位置決め面に押圧する(加圧)することによって、確実に同じ面、場所に突き当てを行うことができて、高精度な位置決めが可能になる。
【0038】
本実施形態において、ヘッド交換を行うとき、例えば記録ヘッド6A、6Bの交換を行うときには、ヘッドホルダ51を基準軸部材71から取り外し、交換後のヘッドホルダ51を基準軸部材71に引っ掛けて保持させる。
【0039】
これにより、交換したヘッドホルダ51のヘッド位置精度を再現できるとともに、他方のヘッドホルダ51のヘッド6に対しても高い位置精度を得ることができる。
【0040】
このように、液滴を吐出する複数のノズルを有する記録ヘッドと、1又は2以上の記録ヘッドを保持する1又は複数のヘッドホルダと、ヘッドホルダを保持するキャリッジとを備え、キャリッジは主走査方向に配設されたガイド部材に沿って移動可能であり、キャリッジにはガイド部材と同じ方向に配設された基準部材を有し、ヘッドホルダは基準部材に着脱可能に引っ掛けられて保持されている構成とすることで、ヘッドを高い精度で容易に位置決めでき、ヘッド交換を容易に行うことができる。
【0041】
また、複数のヘッドホルダと記録ヘッド配列方向に沿って配置された基準部材とを備えて、複数のヘッドホルダは基準部材に取り外し可能に保持されている構成とする、つまり、ライン型画像形成装置のように、複数のヘッドホルダを共通の基準部材に保持することで、複数のヘッドの実装精度が向上し、ヘッド相互間で高い精度で容易に位置決めでき、ヘッド交換を容易に行うことができる。
【0042】
なお、基準部材を高精度に位置決めする場合には、ヘッドホルダで保持する記録ヘッドの数は1つでもよい。
【0043】
次に、本発明の第2実施形態について図8ないし図11を参照して説明する。なお、図8は同実施形態におけるヘッドホルダをキャリッジに装着する前の状態を説明するキャリッジ部分の模式的斜視説明図、図9はヘッドホルダをキャリッジに装着した状態を説明するキャリッジ部分の模式的斜視説明図、図10は同じく加圧構造の説明に供するキャリッジ部分の側面説明図、図11は加圧部材を組み付けた状態の模式的斜視説明図である。
【0044】
本実施形態では、前記第1実施形態と同様に、キャリッジ5には、ガイドロッド3と同じ方向に基準部材である基準軸部材71が設けられ、ヘッドホルダ51A、51Bには、基準軸部材71に着脱可能に嵌り込む引っ掛け部53が設けられ、ヘッドホルダ51A、51Bは、引っ掛け部53を基準軸部材71に引っ掛けることで、キャリッジ5に回動可能に保持されている。
【0045】
ヘッドホルダ51A,51Bは、図10に示すように、キャリッジ5に当接する少なくとも一箇所の当接部である突き当て部58を有している。なお、ヘッドホルダ51A、51Bは、主走査方向で1つの引っ掛け部53を有する状態で図示しているが、主走査方向の両端部にそれぞれ引っ掛け部53を形成するなど、複数の引っ掛け部を有する構成とすることもできる。
【0046】
ここで、ヘッドホルダ51Aには、図10に示すように、両端部の上端面に、傾斜面54が形成されている。
【0047】
そして、基準軸部材71を回転中心としてヘッドホルダ51をキャリッジ5側に押し付ける方向に加圧する加圧手段である加圧機構80が設けられている。
【0048】
この加圧機構80は、キャリッジ5に後端部82bが軸81で回転可能に支持された加圧部材82を有している。加圧部材82は、例えば図11に示すように平板状である。この加圧部材82の先端部82aは、ヘッドホルダ51の傾斜面54に上方から当接している。そして、この加圧部材82とキャリッジ5との間には引っ張りコイルばねなどの弾性部材83が設けられ、弾性部材83の付勢力によって、加圧部材82の先端部82aはヘッドホルダ51の傾斜面54を白抜き矢印方向に加圧(押圧)している。
【0049】
これにより、ヘッドホルダ51は加圧部材82によって基準軸部材71を回転中心として図10で時計回り方向(白抜き矢印方向)に回動付勢されて、基準軸部材71とキャリッジ5に押し付けられるので、ヘッドホルダ51A、51Bの姿勢が規定される。つまり、基準軸部材71にヘッドホルダ51を引っ掛け、1箇所に加圧力を掛けるだけでヘッドホルダ51の姿勢を決めることができる。
【0050】
その結果、ヘッド交換をユーザーの下で行う場合であっても、容易にヘッド位置を高い精度で決めることができ、ヘッド交換が容易になる。
【0051】
このように、1又は2以上の記録ヘッドを保持する1又は複数のヘッドホルダと、ヘッドホルダを保持するキャリッジとを備え、キャリッジは主走査方向に配設されたガイド部材に沿って移動可能であり、キャリッジにはガイド部材と同じ方向に配設された基準部材を有し、ヘッドホルダは基準部材に回動可能に保持され、ヘッドホルダをキャリッジ側に向けて加圧する加圧手段を有し、ヘッドホルダは加圧手段による加圧を受けて基準部材に押し付けられるとともに、キャリッジ側の部材に押し付けられている構成とすることで、ヘッドを高い精度で容易に位置決めでき、ヘッド交換を容易に行うことができる。
【0052】
また、上述したように、ヘッドホルダ51の主走査方向両端部に引っ掛け部53を設け、キャリッジ5とヘッドホルダ51とを1箇所の突き当て部58で当接させ、合計3箇所で姿勢を決めることで、記録ヘッド6と用紙20との間のギャップ精度を高い精度で確保することができる。
【0053】
また、ヘッドホルダ51を保持する部分を軸部材(基準軸部材71)とすることで、部品のばらつきを低減できる。
【0054】
また、加圧部材を付勢する手段としてばね部材を使用することで、低コストを実現できる。
【0055】
ここで、ヘッドホルダと基準軸部材との引っ掛け部分の構造の異なる例について図12及び図13を参照して説明する。なお、図12及び図13は同部分の拡大説明図である。
【0056】
図12(a)に示す第1例は、ヘッドホルダ51の引っ掛け部53を矩形状の一辺(下側の辺)を開口した形状とし、基準軸部材71を軸方向と直交する方向の断面で矩形状としたものである。そして、基準軸部材71の2つの角部71a、71bにヘッドホルダ51の引っ掛け部53の2つの辺がそれぞれ当接する関係で配置している。なお、図中にハッチングを施した箇所が当接箇所である(以下同じ)。
【0057】
図12(b)に示す第2例は、ヘッドホルダ51の引っ掛け部53を矩形状の一辺(下側の辺)を開口した形状とし、基準軸部材71を軸方向と直交する方向の断面で円形状としたものである。そして、基準軸部材71の周面の二点にヘッドホルダ51の引っ掛け部53の2つの辺がそれぞれ当接する関係で配置している。
【0058】
図12(c)に示す第3例は、ヘッドホルダ51の引っ掛け部53を円弧状部分53aを有する形状とし、基準軸部材71を軸方向と直交する方向の断面で円形状としたものである。そして、基準軸部材71の周面にヘッドホルダ51の引っ掛け部53の円弧状部分53aが当接する関係で配置している。
【0059】
これらの第1ないし第3例において、第1例のように基準軸部材71を矩形状としたときには、基準軸部材71の取り付け角度によってヘッドホルダ51との接触条件が変わってしまう可能性がある。これに対し、第2例及び第3例のように基準軸部材71を円形状とすることで、基準軸部材71の取り付け角度の影響がなくなり、第1例よりも安定したヘッドホルダ51Aの姿勢を得ることができる。
【0060】
図13(a)に示す第4例は、ヘッドホルダ51の引っ掛け部53を基準軸部材71を軸方向と直交する方向の断面で記録ヘッド6を保持する側が開口した三角形状とし、基準軸部材71を軸方向と直交する方向の断面で円形状としたものである。そして、基準軸部材71の周面にヘッドホルダ51の引っ掛け部53の2つの辺が当接する関係で配置している。
【0061】
図13(b)に示す第5例は、ヘッドホルダ51の引っ掛け部53を基準軸部材71を軸方向と直交する方向の断面で下方側が開口した台形状とし、基準軸部材71を軸方向と直交する方向の断面で円形状としたものである。そして、基準軸部材71の周面にヘッドホルダ51の引っ掛け部53の2つの辺が当接する関係で配置している。
【0062】
これらの第4例及び第5例のように基準軸部材71とヘッドホルダ51の引っ掛け部53とを二点で接触させる構成とすることで、安定したヘッドホルダの姿勢を得ることができる。
【0063】
次に、加圧機構の他の異なる例について図14及び図15を参照して説明する。なお、図14及び図15は加圧機構の要部側面説明図である。
図14に示す第1例では、加圧部材82を付勢する付勢手段として、ねじりスプリング83Aを使用している。
【0064】
図15に示す第2例は、加圧部材82をL字形状とし、付勢手段として圧縮コイルバネ83Bを使用している。
【0065】
これらの構成よっても低コストで加圧力を付与できる。
【0066】
次に、本発明の第3実施形態について図16を参照して説明する。なお、図16は同実施形態におけるキャリッジ部分の斜視説明図である。
本実施形態では、キャリッジ5の側壁5a、5bに基準軸部材71を嵌め込む凹部91を設けて、基準軸部材71を取り外し可能にしたものである。なお、この場合、基準軸部材71の両端部は、前記第1実施形態で説明した位置調整部材72でキャリッジ5に対して支持する。
【0067】
次に、本発明の第4実施形態について図17ないし図20を参照して説明する。なお、図17は同実施形態におけるキャリッジ部分の模式的分解斜視説明図、図18は同じく中間部材を組み付けた状態の模式的斜視説明図、図19は同じく中間部材とヘッドホルダ部分の模式的側面説明図、図20は中間部材とヘッドホルダ部分の模式的平面説明図である。
【0068】
本実施形態においても、基準軸部材71は、キャリッジ5の両側壁5a、5bに設けた貫通穴170aを貫通し、キャリッジ5の両側壁5a、5bの外壁面に取り付けた位置調整部材172にて保持されている。位置調整部材172には、基準軸部材171の位置決め面を形成する位置決め用貫通穴173が形成されている。
【0069】
ここで、位置決め用貫通穴173は基準軸部材71を昇降させるときのガイド穴を兼ねており、基準軸部材71は昇降可能に貫通穴173に保持されている。
【0070】
また、本実施形態では、基準軸部材71とヘッドホルダ51A、51Bとの間に介在する中間部材101を有している。
【0071】
中間部材101は、両端部に基準軸部材71と同じ方向に支持軸部材103が設けられ、キャリッジ5の両側壁5a、5bに設けた貫通穴170bを貫通して、位置調整部材172の支持穴174にて支持されている。なお、中間部材101は、基準軸部材71が嵌り込む凹部106が形成されている。また、位置調整部材172の支持穴174も中間部材101の支持軸部材103が昇降するときのガイド穴を兼ねており、支持軸部材103は昇降可能に支持穴174に保持されている。
【0072】
そして、図19及び図20に示すように、ヘッドホルダ51A、51Bの中間部材101側には、中間部材101の壁面に面当たりで当接する当接部である突き当て部158が設けられている。
【0073】
一方、中間部材101の下側には昇降ロッド111がキャリッジ5に回転可能に保持されている。昇降ロッド111には中間部材101の下面に当接可能な1又は複数の昇降カム112が取り付けられている。図17に示すように、この昇降ロッド111の一端部は装置本体側の側板121に取り付けた昇降モータ122にて回転される。
【0074】
ここで、ヘッドホルダ51A、51Bの昇降動作について図21を参照して説明する。
図21(a)に示すように、昇降カム112が中間部材101と接触していない状態を初期高さ位置とし、この状態から昇降カム112を例えば矢印方向に回転させることにより、図21(b)に示すように、昇降カム112が中間部材101に接触して中間部材101を矢印方向に押し上げることで、中間部材101が上方向に変位(移動)し、ヘッドホルダ51が用紙20の搬送面から離間する方向に移動する。
【0075】
このように、中間部材101を変位させてヘッドホルダ51の高さ位置を調整することができるので、ヘッドホルダ51A、51Bの記録ヘッド6と用紙20との間のギャップを調整することができる。
【0076】
この場合、キャリッジ全体を移動させてヘッドの高さ位置を調整するのではなく、中間部材を変位させることでヘッドの高さ位置の調整を行うので、ギャップ調整が容易になり、構成も簡単になる。
【0077】
次に、本発明の第5実施形態について図22を参照して説明する。なお、図22は同実施形態における基準軸部材及び中間部材の支持軸部分を示す斜視説明図である。
本実施形態では、中間部材101を貫通して支持軸部材103を設けて、中間部材101をキャリッジ5に取り付けた位置調整部材172にて保持している。
【0078】
このとき、基準軸部材71の両端部は位置調整部材172、172の位置決め用貫通穴173の壁面に接触することで位置決めされている。一方、支持軸部材103の一端部側は一方の位置調整部材172に設けた支持穴174の壁面に接触して支持されているが、他端部側は他方の位置調整部材172に設けた貫通穴175を貫通するだけで接触しない構成としている。
【0079】
次に、本発明の第6実施形態について図23を参照して説明する。なお、図23は同実施形態におけるキャリッジ部分の斜視説明図である。
本実施形態では、前記第4実施形態において、基準軸部材71及び支持軸部材103をキャリッジ5にて直接支持した構成としている。
【0080】
なお、本願において、「用紙」とは材質を紙に限定するものではなく、OHP、布、ガラス、基板などを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含む。また、画像形成、記録、印字、印写、印刷はいずれも同義語とする。
【0081】
また、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。
【0082】
また、「インク」とは、特に限定しない限り、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。
【0083】
また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0084】
また、画像形成装置には、特に限定しない限り、シリアル型画像形成装置及びライン型画像形成装置のいずれも含まれる。
【符号の説明】
【0085】
1 装置本体
5 キャリッジ
6、6A〜6D 記録ヘッド
10 キャリッジ走査機構部
51、51A、51B ヘッドホルダ
53 引っ掛け部
71 基準軸部材(基準部材)
72 位置調整部材
80 加圧機構
82 加圧部材
101 中間部材
103 支持軸部材
112 昇降カム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する複数のノズルを有する記録ヘッドと、
1又は2以上の前記記録ヘッドを保持する1又は複数のヘッドホルダと、
前記ヘッドホルダを保持するキャリッジと、を備え、
前記キャリッジは主走査方向に配設されたガイド部材に沿って移動可能であり、
前記キャリッジには前記ガイド部材と同じ方向に配設された基準部材を有し、
前記ヘッドホルダは前記基準部材に回動可能に保持され、
前記ヘッドホルダを前記キャリッジ側に向けて加圧する加圧手段を有し、
前記ヘッドホルダは前記加圧手段による加圧を受けて前記基準部材に押し付けられるとともに、前記キャリッジ側の部材に押し付けられている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ヘッドホルダと前記基準部材とは少なくとも2箇所で当接し、前記ヘッドホルダと前記キャリッジ側の部材とは少なくとも1箇所で当接していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ヘッドホルダは、前記基準部材に引っ掛けられる引っ掛け部を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ヘッドホルダの引っ掛け部は、前記基準部材に当接する2つの面を有していることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記キャリッジ側の部材は、前記キャリッジと前記ヘッドホルダとの間に介在して、前記キャリッジに保持された中間部材であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−250448(P2012−250448A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124980(P2011−124980)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】