説明

画像形成装置

【課題】記録媒体に情報記録と画像形成の複数の処理を施す際に、複数のカードに並行処理することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】記録媒体の搬送方向を偏向する反転部から異なる方向に記録媒体を搬送する第1第2搬送パスを設け、第2の搬送パスに配置した情報記録部で記録媒体に情報記録し、第1の搬送パスに配置した転写部で転写フィルム上に形成した画像を記録媒体に転写形成する。このとき第1搬送パスに、反転部と転写部との間に記録媒体を一時的に待機させる待機部を配置し、この待機部の占めるスペースに転写フィルムに画像を形成する画像形成部を配列する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックカード、厚紙カードなどの記録媒体に情報記録と画像を形成する画像形成装置に係わり、情報記録機構、画像形成機構などの機構部のレイアウト構成の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の画像形成装置は、各種証明用カード、決済用カードなどに使用されるカード類に情報記録する装置として広く知られている。そしてカードの表裏面に磁気記録情報、IC記録情報と共に顔写真、氏名、名称などの画像データを形成する装置として、カード発行システムの端末装置として用いられている。
【0003】
例えば特許文献1には、カードの供給スタッカと、このカードを情報記録部と画像形成部に案内する搬送パスを備えた装置が開示されている。同文献には供給スタッカと平行する方向に搬送パスを設け、スタッカと搬送パスとの間にカード反転ユニットを配置し、スタッカから繰り出されたカードを直交方向に反転させて搬送パスに導き、この搬送パスにその上流側に磁気情報記録ユニットを、下流側に画像転写プラテンを配置している。
【0004】
そしてスタッカから繰り出したカードに、搬送パスで磁気情報を記録し、次いで転写プラテンで画像転写し、片面に画像転写したカードを反転ユニットにスイッチバックさせて表裏反転した後に再び転写プラテンで裏面に画像転写している。
【0005】
また、特許文献2には、同様に供給スタッカから搬送パスに繰り出したカードに磁気情報を記録する記録部と、その下流側に画像転写する転写プラテンを配置した装置が開示されている。同文献にはカード供給スタッカから直線方向にカード搬送パスを設け、このパスに記録部と転写プラテンを配置し、搬送パスの下方にインクリボンカセットと転写フィルムカセットを配置している。
【0006】
更に、特許文献3には、カード供給スタッカの下流側に反転ユニットを設け、このユニットでカードを情報の記録部と画像転写部の2方向にカード搬送パスを設け、情報記録部に送ったカードを反転ユニットにスイッチバックさせて方向変換させ、その後に画像転写部にカードを送っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3625206号公報
【特許文献2】米国特許公開2008−216688号明細書
【特許文献3】特許第3737037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のようにカードなどの記録媒体に磁気情報記録、IC情報記録、画像形成する画像形成装置は、特許文献1、2などのようにカードの搬送パスに、情報記録部、画像転写部を配置する装置構成と、特許文献3のように搬送方向を偏向する反転ユニットでカードを第1第2複数の方向に送って情報記録および画像転写する装置構成が知られている。
【0009】
この場合カード搬送パスはカードを湾曲変形させることが難しいため直線的な経路で構成し、カードの表裏面に画像転写する場合にはカード搬送パスの端部(プラテンの上流側又は下流側)に反転ユニットを設けて画像転写部に再送するようにしている。
【0010】
一方、記録媒体への情報記録と画像形成を、装置内に複数のカードを供給して並行処理することも知られているが、特許文献1、2の装置構成では情報記録部の処理時間と画像形成部の処理時間が等しいときには連続した並行処理が可能であるが、一方が他方に対して処理時間が長い場合には、短い処理時間の処理部にカードを待機させなければならない。
【0011】
このような不具合と共に、情報記録部で記録ミスが生じたときにはこのカードを経路外にリジェクトさせなければならず、結局特許文献1、2の装置構成では先のカードを処理して収納スタッカに収容した後に次の後続カードを装置内に供給している。
【0012】
そこで特許文献3の装置のように給紙部の下流側に反転ユニットを設け、このユニットから第1第2複数の方向に搬送パスを設け、各搬送パスに情報記録・画像形成の処理部を配置する構成が提案されている。この装置構成の場合には、第1の搬送パスで先行するカードを、第2の搬送パスで後続するカードに同時処理することが出来る。
【0013】
ところが、複数のカードを並行処理する場合には処理時間が多様に異なる。例えばカードの両面に画像処理(画像形成処理;以下同様)する場合と片面に画像処理する場合、画像形成するエリアが異なる場合、情報記録に記録ミスが生じた場合のリジェクト処理など多様な処理時間に差が生ずる。このため搬送パス中にカードの待機エリア(バッファエリア)を設け、連続するカードの流れを時間調整する必要が生ずる。
【0014】
このような搬送パス中のカードの待機エリアを数多く形成すると、装置が大型化する。これは待機エリアにはカードの搬送方向長さ分のスペースが必要となるため、このエリアを数多く形成することは装置の大型化を招く。
【0015】
そこで本発明者は、記録媒体であるカードに磁気・IC情報を記録する情報記録部と、画像(文字・写真・模様など)形成する画像転写部を反転部で異なる方向に移送し、この反転部と転写部の間に待機エリアを配置する。そしてこの待機エリアに転写フィルムに画像を形成する画像形成部を配置することによって装置の集密化が可能であるとの着想に至った。
【0016】
本発明は、記録媒体に情報記録と画像形成の複数の処理を施す際に、複数のカードに並行処理することが可能であると共に、記録媒体の搬送パスと情報記録機構および画像形成機構を小型コンパクトに構成することが可能な画像形成装置の提供をその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を達成するため本発明は、記録媒体の搬送方向を偏向する反転部から異なる方向に記録媒体を搬送する第1第2搬送パスを設け、第2の搬送パスに配置した情報記録部で記録媒体に情報記録し、第1の搬送パスに配置した転写部で転写フィルム上に形成した画像を記録媒体に転写形成する。このとき第1搬送パスに、反転部と転写部との間に記録媒体を一時的に待機させる待機部を配置し、この待機部の占めるスペースに転写フィルムに画像を形成する画像形成部を配列することを特徴としている。
【0018】
更にその構成を詳述すると、画像形成部で転写フィルム上に形成した画像を転写部2で記録媒体上に転写する装置であって、記録媒体を供給する給紙部と、給紙部から送られた記録媒体の搬送方向を偏向する反転部と、反転部から第1の方向に記録媒体を移送する第1搬送パスと、反転部から第2の方向に記録媒体を移送する第2搬送パスと、第1搬送パスに配置され、記録媒体に画像を転写する転写部と、第2搬送パスに配置され、記録媒体に情報を記録する情報記録部とを備える。
そして第1搬送パスと第2搬送パスとは、互いに角度が異なる方向に記録媒体を移送すると共に、この第1搬送パスには、反転部と転写部との間に記録媒体を一時的に待機させる待機部を設ける。また転写フィルムに画像を形成する画像形成部は、転写部に向けて反転部から記録媒体を移送する第1搬送パスの記録媒体移送方向に画像形成部、転写部の順に配置する。
【0019】
前記給紙部と反転部とは、装置ハウジングに、上方から下方に給紙部、反転部の順に配置し、前記第1搬送パスは、反転部から略水平方向に、第2反転パスは、反転部から略鉛直方向に配置する。そして前記画像形成部と転写部は、第1搬送パスの下方に水平方向に画像形成部、転写部の順に配置する。
【0020】
前記転写部には、記録媒体に画像を転写する転写フィルムが走行可能に配置され、この転写フィルムに画像を形成する前記画像形成部には、画像形成プラテンと、インクリボンと、サーマルヘッドを配置する。この画像形成部は、前記第1搬送パスに沿って移動する記録媒体の移送方向に対し前記転写部の上流側であって前記待機部と対向する位置に配置する。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、記録媒体の反転部から異なる方向に第1第2搬送パスを設け、第1の搬送パスに配置した転写部で転写フィルム上に形成した画像を記録媒体に転写形成する際に、この第1搬送パスに、反転部と転写部との間に記録媒体を一時的に待機させる待機部を配置し、この待機部の占めるスペースに転写フィルムに画像を形成する画像形成部を配列したものであるから以下の効果を奏する。
【0022】
記録媒体に画像を形成する第1搬送パスに、その反転部と転写部の間に待機部が設けられ、この待機部の占めるスペースに転写フィルムに画像を形成する画像形成部を並列配置しているから、装置を小型コンパクトに構成することが出来る。
【0023】
また、待機部は第1搬送パスの反転部と転写部の間に配置されているから、このパスの上流側に位置している第2の搬送パスでは先行する記録媒体を待機部に送った後、後続する記録媒体に情報を記録することができる。
【0024】
これと共に、第2搬送パスの記録処理と第1搬送パスの画像形成処理は、処理する経路(場所)とタイミングを個別にジョブ設定することが可能となる。従って例えばインクリボン、転写フィルムに不具合(ジャムなど)が発生した場合に先行する記録媒体を待機位置に待機させた状態で後続する記録媒体に第2搬送パスで情報記録した後に装置を停止することが可能となり、装置内の全ての記録媒体を取り出してエラー処理する必要がない。また不具合の処理後(ジャム処理後)には、記録媒体は所定の待機位置に待機しているから処理後の装置再開が容易である。
【0025】
なお本発明は、待機部を転写部ではなく、反転部と転写部との間に配置してある。仮に記録媒体を転写部で待機させた場合は、転写部の熱源によって記録媒体の先端部分が温められてしまう。記録媒体の先端部のみが温められてしまうと、一枚の記録媒体の中で温度差が生じ、画像にムラができてしまう恐れがある。
そこで本発明は、反転部と転写部との間に待機部を設けてあるため、待機中の記録媒体の一部が温められてしまうことがない。また、待機部を反転部又は情報記録部に設けてしまうと、先行する記録媒体に対する画像形成処理と後続の記録媒体に対する情報記録処理との並列処理ができないため、待機部は第1搬送パスの反転部と転写部との間に設けることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係わる画像形成装置の全体構成を示す説明図。
【図2】(a)は図1の装置のレイアウト構成を示す概念図であり、(b)は給紙カセットの断面図。
【図3】図1の装置に於ける待機部の詳細説明図。
【図4】給紙カセットの全体斜視図。
【図5】フィルムカセットの斜視構成図。
【図6】(a)乃至(c)はカードの動作状態説明図。
【図7】(d)乃至(e)はカードの動作状態説明図。
【図8】(a)(b)は複数のカードを同時並行処理するタイミングチャート。
【図9】図1の装置に於ける制御構成図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下図示の好適な実施の形態に基づいて本発明を詳述する。図1は本発明に係わる画像形成装置1の全体構成の説明図である。この装置は各種証明用のIDカード、商取引用のクレジットカードなどに磁気情報、IC情報などの「情報記録」と文字、写真、マークなどの「画像形成(印刷)」を行う。このため図1に示す装置ハウジング2には、情報記録部Aと画像転写部Bと給紙部Cが備えられる。この他、装置ハウジング2には画像転写部Bに転写フィルム46が走行可能に装備され、この転写フィルム46に画像を形成する画像形成部Dが備えられる。
【0028】
図2は図1の装置のレイアウト構成を示す概念図であり、これに従って各構成のレイアウトを説明する。
【0029】
装置ハウジング2には、給紙部Cと、この給紙部Cから送られた記録媒体(以下「カード」という)の方向を変換する反転部Fが配置される。反転部Fの下流側には第1の方向にカードを移送する第1搬送パスP1と、第2の方向にカードを移送する第2搬送パスP2が配置される。図1の装置は、第2の搬送パスP2とは別に第3の方向にカードを移送する第3搬送パスP3が配置されている。
【0030】
このようなレイアウト構成で、給紙部Cは複数のカードを立位姿勢(図3参照)で前後に整列収納する給紙カセット3で構成され、カードを繰り出す方向(図2矢印X方向)と、第1搬送パスP1のカード搬送方向(図2矢印Y方向)は、互いに反対方向で略々平行する方向に配置足されている。つまり図2上方に位置する給紙カセット3と第1搬送パスP1は上下に平行に配置されているため、カードの収容エリアと画像転写機構(後述する転写プラテン31、待機部E)が上下平行にレイアウトされ装置の集密化を図っている。
【0031】
上記反転部F(後述の反転ユニット)は、給紙部Cの下方に隣設して設けられ、装置ハウジング2の一端側(図2右端)に配置されている。そしてこの反転部Fの下流に第1搬送パスP1が略々水平方向に配置され、第2搬送パスP2が略々鉛直方向に配置されている。この第1第2搬送パスP1,P2は、角度が異なる方向に配置され図示のように90度乃至180度の角度範囲に配置されることが好ましいが経路の集密性を考慮して適宜の角度範囲に設定する。
【0032】
上記第1搬送パスP1には、待機部Eと転写部Bとが配置され、待機部Eは反転部Fと転写部Bとの間に配置されている。待機部Eは、図3に示すようにカードの搬送長さLcより短い間隔Ldの第1ローラ対29と第2ローラ対30で構成されている。転写部Bは、転写プラテン(図示のものはプラテンローラ31)で構成されカードをバックアップ支持して表面(図3下面)に画像転写する。このプラテンには転写ローラ33がカードから離間した待機位置とカードに接する作動位置との間で昇降するように配置されている。
【0033】
この転写プラテン31と転写ローラ33との間には転写フィルム46が巻装されている。図示のものは後述するフィルムカセット50で構成され、このフィルムカセット50は後述するリボンカセット42と共に第1搬送パスP1の下方に配置されている。
【0034】
フィルムカセット50に収容された転写フィルム46は、上記転写プラテン31と画像形成部Dとの間で走行するようにフィルムパスP4が構成されている。画像形成部Dは第1搬送パスP1の待機部Eの配置スペースでこの搬送パスの下方に配置されている。そして画像形成部Dは画像形成プラテン45と、このプラテンに対向配置されたサーマルヘッド40で構成され、両者の間にインクリボン41が走行するように配置されている。このインクリボンの構成は後述するリボンカセットで説明する。
【0035】
このように構成された画像形成部Dは、上方に第1搬送パスP1の反転部Fと待機部Eが位置し、側方に第2搬送パスP2とその情報記録部A(後述する磁気記録機構)が位置する。そして第1搬送パスP1の反転部Fと画像転写部Bとの間にリボンカセット42とフィルムカセット50がこの順に配置されている。
【0036】
上述のように第1搬送パスP1と第2搬送パスP2を反転部Fを介して角度の異なる方向に配置し、この両パスで囲まれるエリア内にリボンカセット42とフィルムカセット50を配置して中間転写エリアを形成する。そして、反転部Fと画像転写部Bの間の第1搬送パスP1に待機部Eを配置し、その下方に画像形成部Dを配置する。このようなレイアウト構成によって装置の集密化が可能となりコンパクト化が達成される。
【0037】
[給紙部の構成]
上記給紙部Cは、複数枚のカードを収納するホッパ機構で構成する。図示のホッパ機構は装置ハウジング2に着脱可能に装着する給紙カセット3で構成されている。給紙カセット3は、図4に示すようにボックス形状のカセット筐体3a(以下「筐体」という)と、この筐体内に設けられたカード収容部4で構成される。このカード収納部4は、複数のカードを立位姿勢で整列して収納可能なカード寸法に適合する収容スペースで構成されている。このカード収納部4には図示上方にカードを出し入れする開口部4aが設けられ、この開口部を開閉する開閉カバー3bがヒンジ連結されている。
【0038】
上記カード収納部4は、図2(b)に示すように一端(図示左端)から他端(右端)にカードを前後に整列して立位姿勢で収納するスペース形状に構成されている。このスペースにはカードを立位姿勢で載置するカード載置面5と、最前列のカードを係止するカード係止面6が設けられている。
【0039】
上記カード載置面5とカード係止面6はカードを前傾姿勢で保持する。このためカード載置面5は操出方向(矢示X方向)に高低差Δdを有する傾斜面か、若しくは段差面で構成されている。また、カード係止面6はカードを前傾姿勢で係止する傾斜面で形成されている。この場合カード繰出方向とは、カードを前後に積載する方向で開口部4aにカードを繰り上げる方向を云う。
【0040】
上記カード収納部4には、給紙開口7が操出方向先端部に設けてある。この給紙開口7は最前列のカードを筐体外部に搬出可能な開口で構成されている。そして図2(b)に示すようにカード係止面6に前傾姿勢で係止された最前列のカードを筐体3aの底部から外部に搬出するスリット形状に形成されている。この給紙開口7はカード厚さに適合するスリット厚さと幅で構成され、最前列のカードのみが通過可能なスリット形状に形成されている。この給紙開口7でカードを一枚ずつ分離する分離手段を構成している。
【0041】
上記カード収納部4には、図1に示すように最前列のカード表面に後述するピックアップローラ19を係合させるピッカー開口11が設けられている。このピッカー開口11は、最前列のカードを給紙開口7から繰り出すため、後述するピックアップローラ19を最前列のカードに係合させる開口として形成されている。
【0042】
[反転部の構成]
給紙部Cの下流側に配置される反転部(反転ユニット:以下同様)Fについて説明する。図1に示すように給紙カセット3の給紙開口7の下流側に搬入ローラ22が配置されている。そして給紙カセット3から繰り出されたカードは搬入ローラ22で反転ユニットFに送られる。反転ユニットFは装置フレーム(不図示)に旋回動可能に軸受け支持されたユニットフレームと、このフレームに支持された一対、或いは複数のローラ対で構成される。
【0043】
図示のものは距離を隔てて前後に配置された2つのローラ対20、21をユニットフレームに回転自在に軸支持されている。そしてユニットフレームは旋回モータ(パルスモータなど)で所定角度方向に旋回動し、これに取付けられているローラ対は搬送モータで正逆転方向に回転するように構成されている。この駆動機構は図示しないが、例えば1つのパルスモータでユニットフレームの旋回動と、ローラ対の回転をクラッチで切り換えるように構成する。
【0044】
従って給紙カセット3に準備されたカードはピックアップローラ19によって繰出され、給紙開口7の分離ギャップで1枚ずつ分離され下流側の反転ユニットFに送られる。そして反転ユニットFはカードをローラ対20、21でユニット内に搬入し、ローラ対でニップした状態で所定角度方向に姿勢偏向することとなる。
【0045】
上記反転ユニットFの下流側には後述する第1搬送パスP1と第2搬送パスP2と第3搬送パスP3が、それぞれの角度方向に配置されている。そして第2搬送パスP2には磁気記録ユニット24が内蔵され、反転部Fから送られたカードの磁気ストライプに磁気情報を記録する。図示の磁気記録ユニット24はリードライトヘッドで構成され、磁気情報の記録と同時に、記録した情報を読み取って正誤判別するように構成されている。
【0046】
また、第3搬送パスP3には非接触式IC記録ユニット23が内蔵され、予め記録媒体に内蔵されているICに情報記録する。また反転ユニットFの旋回方向外周には、リジェクトスタッカ25と、バーコードリーダが配置されている。このバーコードリーダは例えば後述する画像形成部Dで印刷したバーコードを読み取って正誤判別(エラー判別)するためのユニットである。
【0047】
従って反転ユニットFで所定の角度方向に姿勢偏向されたカードをローラ対20、21で記録ユニットに移送すると、カード上に磁気的若しくは電気的にデータ入力することが可能となる。またこれらのデータ入力ユニットで記録ミスが生じた場合にはリジェクトスタッカ25に搬出する。
【0048】
[第1搬送パスの構成]
上記反転ユニットFの下流側には第1搬送パスP1が配置されている。この第1搬送パスP1には画像転写部Bが配置され、反転ユニットFから送られたカードに画像を形成する。この第1搬送パスP1には画像転写部Bの上流側にローラ対(ベルトでも良い)29、30が配置され、図示しない搬送モータに連結されている。この第1第2ローラ対29、30は正逆転切り換え可能に構成され、反転ユニットFから画像転写部Bにカードを搬送するのと同時に画像転写部Bからカードを反転ユニットFに搬送することが可能なようになっている。
【0049】
[待機部の構成]
第1搬送パスP1には、転写部Bの上流側に待機部Eが配置されている。この待機部Eは、図3に示すようにカードの搬送方向長さLcより短い間隔Ldで第1ローラ対29と第2ローラ対30が配置されている。この前後に距離を隔てて配置されたローラ対29、30にカードを保持した状態で一時的に待機させる。このため第1第2ローラ対29、30と駆動モータとの間には伝動クラッチ(不図示)が設けられ、クラッチをOFF状態にするとカードを停止待機させることが可能になっている。この第1第2ローラ対29、30は反転ユニットFと後述する転写部Bとの間に配置されている。また、反転ユニットFに対するカードの搬入出を検知するセンサSe5が反転ユニットFと第1ローラ対29との間に配置され、反転ユニットF内のカードの有無を検出することができる。
【0050】
なお、カードを待機させた状態において、カード先端は後述する転写ローラ33よりも上流側にある。これにより、待機中のカード先端部分が転写ローラ33によって加熱されることがないため、カードに転写される画像にムラが発生する恐れがない。また、カード先端が屈曲している場合、カードを転写ローラ33上に待機させてしまうと、後述する転写フィルム46にカードが擦れて転写フィルム46を傷つけてしまう恐れがあるが、本実施形態では待機部Eを転写部Bの上流側に配置しているため、転写フィルム46を傷つけることもない。また、カードを待機させた状態において、カード後端は第1ローラ対29とセンサSe5との間にある(センサSe5を通過した状態)。よって、カード待機中に反転ユニットFが旋回してもカードに接触することがない。
【0051】
このように待機部Eを反転ユニットFと転写部Bとの間の第1搬送パスP1に配置することによって上流側に位置する第2搬送パスP2で磁気情報を記録するジョブ及び第3搬送パスP3でIC情報を記録するジョブと、下流側に位置する第1搬送パスP1で画像形成するジョブを分離して制御することが出来る。
【0052】
従って下流側の第1搬送パスP1における画像形成ジョブで例えば転写フィルム46にジャムなどの不具合が発生したとき、或いはインクリボン41に不具合が発生したときには、装置を停止することなく、上流側の第2搬送パスP2における情報記録のジョブ終了後に装置を停止する制御が可能となる。
【0053】
[画像転写部の構成]
第1搬送パスP1には、待機部Eの下流側に画像転写部Bが配置されている。この画像転写部Bは図3に示すようにカードをバックアップ支持する転写プラテン31(以下プラテン31と云う)で構成され、このプラテン31に対向して転写ローラ33が配置されている。この転写ローラ33はプラテン31から離間した待機位置(図3実線状態)からプラテン31との間にカードを挟圧する作動位置(図3破線状態)との間で昇降する。この昇降機構は図示しないが、例えばシフトカムとこれを回転する駆動モータで構成する。
【0054】
そしてプラテン31と転写ローラ33との間に転写フィルム46が走行可能に巻装されている。転写ローラ33はヒートローラで構成され、転写フィルム46に形成された画像インクをカードに加熱溶着する。このためプラテン31と転写ローラ33とは少なくとも一方(図示のものは転写ローラ)が回転駆動され、その速度はカードの搬送速度と、フィルムの走向速度と一致するように設定されている。また、転写ローラ33は第2ローラ対30で繰り出されるカード先端がプラテン31に達するタイミングで待機状態から作動状態にシフトする。
【0055】
またヒートローラ33には、第1搬送パスP1に配置されているプラテン31に転写フィルム46を介して圧接離間するように昇降機構(不図示)が設けられている。このヒートローラ33は加熱ローラで構成され、内部に配置されている加熱手段で転写フィルム46上の画像をカード表面に転写する。尚図示Se10はインクリボン41の位置検出センサであり、図示Se9は転写フィルム46の有無検出センサである。尚、画像転写部Bには装置内に発生した熱を外に出す為のファンf2が設けられている。
【0056】
[搬出パス]
上記転写部Bの下流側には収容スタッカ60にカードを移送する搬出パスP5が設けられている。搬出パスP5にはカードを搬送する搬送ローラ(ベルトでも良い)37、38が配置され、図示しない搬送モータに連結されている。尚、搬送ローラ37と搬送ローラ38の間にはディカールローラ36が配置され、搬送ローラ37、38間に保持されたカード中央部を押圧することによってカール矯正する。このためディカール機構36は図示しない昇降機構で図1上下方向に位置移動可能に構成されている。
【0057】
「画像形成部の構成]
画像形成部Dは、カードの表裏面に顔写真、文字データなど画像を形成する。図示の装置は昇華型インクリボンで画像形成する場合を示している。画像形成部Dにはサーマルヘッド40とインクリボン41が配置されている。インクリボン41はリボンカセット42に収納され、このリボンカセット42に供給スプール43と巻取スプール44が収容され、巻取スプール44には図示しないワインドモータMr1が連結されている。
【0058】
そして画像形成プラテン45に対向する位置にサーマルヘッド40が配置されている。このサーマルヘッド40にはヘッドコントロール用IC74x(図9参照)が連結され、サーマルヘッド40を熱制御するようになっている。このヘッドコントロール用IC74xは画像データに従ってサーマルヘッド40を加熱制御することによってインクリボン41を後述する転写フィルム46に画像形成する。このためサーマルヘッド40の熱制御と同期して巻取スプール44が回転し、インクリボン41を所定速度で巻き取るように構成されている。図示f1はサーマルヘッド40を冷やす為の冷却ファンである。
【0059】
上記転写フィルム46は供給スプール47と巻取スプール48に巻回され、この転写フィルム46はプラテンローラ31と転写ローラ(ヒートローラ)33に転写画像を移送するように巻装されている。図示49は転写フィルム46の移送ローラであり、その周面にピンチローラ32aと32bが配置され、この移送ローラ49には図示しない駆動モータに連結されている。そして転写フィルム46は、インクリボン41と同一速度で図1反時計方向に移動する。
【0060】
「収容部」
収容部Gは図1に示すように画像転写部Bから送られたカードを収容スタッカ60に収容するように構成されている。この収容スタッカ60は図示しない昇降機構61とレベルセンサで、最上カードを検出し、昇降機構61で図1下側に下降移動するように構成されている。
【0061】
「フィルムカセットの構成」
上述の転写フィルム46を装填するフィルムカセット50について説明する。このフィルムカセット50は図5に示すように装置ハウジング2とは分離したユニットで構成され、装置ハウジング2に着脱可能に取付けられている。図示しないが図1前面側にフロントカバーが開閉自在に配置され、このフロントカバーを開けた状態で装置フレームにフィルムカセット50を図4矢印方向に装着するようになっている。
【0062】
このフィルムカセット50には、供給スプール47と巻取スプール48が着脱可能に装着される。図示52はスプールの一端を支持する軸受部であり、図示56はスプールの他端側を支持するカップリング部材である。このカセット側に配置された軸受部52とカップリング部材56でスプール端部を支持している。そして供給スプール47から剥離コロ34b、を経てガイドコロ34a、35b、35a、次いで巻取スプール48に転写フィルム46が架け渡される。
【0063】
なお、上記ガイドコロ35a、35b、34a及び剥離コロ34bは、図示のものはフィルムカセット50に取付けたピン部材(従動コロ)で構成してあるが、これは固定ピン(不回転)であっても良い。本装置では、カードに転写フィルム46上の画像を転写する際は供給スプール47で転写フィルム46を巻き取りながら転写を行う。よって、剥離コロ34bは転写フィルム46の転写時におけるフィルム搬送方向下流側(転写ローラ33よりも供給スプール47側)に設けられている。
【0064】
このように架け渡された転写フィルム46には装置側に配置された移送ローラ49とピンチローラ32a、32bが係合される。そして供給スプール47と巻取スプール48に連結される駆動回転軸(不図示)と、上記移送ローラ49は同一速度でフィルムを走行するように駆動回転する。
【0065】
フィルムカセット50に収容された転写フィルム46は、上記転写プラテン31と画像形成部Dとの間で走行するようにフィルム走行パスP4が構成されている。画像形成部Dは第1搬送パスP1の待機部Eの配置スペースでこの搬送パスの下方に配置されている。そして画像形成部Dは画像形成プラテン45と、このプラテンに対向配置されたサーマルヘッド40で構成され、両者の間にインクリボンが走行するように配置されている。このインクリボンの構成は後述するリボンカセットで説明する。
【0066】
「リボンカセットの構成」
図1の装置におけるリボンカセット42について説明する。図1に示すようにプラスチックケース42aに、供給スプール43と、巻取りスプール44が回転可能に組み込まれている。この両スプール43、44間にはフィルム状のインクリボン41が巻装されている。インクリボン41は、例えば昇華型リボンでY(イエロー)M(マジェンダ)C(シアン)B(ブラック)のリボンが面順位に帯状に形成されている。そしてこのインクリボン41が供給スプール43にロール状に巻回されている。
【0067】
リボンカセット42は、図1紙面表裏方向に装置ハウジング2に着脱可能に装着され、インクリボン41は装置ハウジング2側に装備してある画像形成プラテン(プラテンローラ)45とサーマルヘッド40との間に挿入される。また巻取りスプール44はカップリング(不図示)で装置ハウジング2側に装備してあるワインドモータMr1と係合する。なお、このリボンカセットの装着時にはサーマルヘッド40はプラテンローラ45から離間した待機位置に待機するようにヘッド昇降機構(不図示)が設けてある。
【0068】
このリボンカセットは図1に示すように第2搬送パスP2の経路方向(鉛直方向)にスプール43、44が配置されている。一方前述したフィルムカセット50も供給スプール48と巻取りスプール47が同方向(鉛直方向)に配置されている。このように第2搬送パスP2の経路方向と、略々同一の方向にリボンカセット42のスプール43、44及びフィルムカセット50のスプール47、48を配列することによって装置の集密化が図られる。
【0069】
[動作状態説明]
本発明は上述したように、反転部Fから画像転写部Bに移送するカードを第1搬送パスP1の待機部Eで一時的に待機させることを特徴としている。その待機動作について図6に従って説明する。同図(a)は給紙部Cから第2搬送パスP2にカードが送られた状態を示す。制御手段70は給紙指示信号でピックアップローラ19を回転駆動して給紙カセット3からカードを繰り出す。このカードは搬入ローラ22で反転ユニットFに送られる。反転ユニットFは第2搬送パスP2にカードを案内する位置に角度設定されている。
【0070】
従って給紙カセット3から最前列のカードが第2搬送パスP2に送られる。この第2搬送パスP2には、磁気記録ユニット(不図示)が内蔵され例えばカードに形成されている磁気ストライプに磁気情報を記録する。なお、この場合に第2搬送パスP2で情報記録する記録ユニットは磁気記録ユニットに限らずIC記録ユニット、バーコードライターであつても良い。また、図示しないが制御手段70は第2搬送パスP2で情報記録した後、反転部Fを方向変換して第3搬送パス(図示のものは非接触IC情報記録)P3で情報記録する。
【0071】
同図(b)は第1搬送パス(及び第3搬送パス)P1(P3)で情報記録されたカードを第1搬送パスP1の方向(第1の方向)に方向変換した状態を示す。この第1の方向は装置ハウジング2に略々水平方向に配置されている。そして制御手段70は反転ユニットFのローラ対20、21を駆動回転して反転ユニットFからカードを第1の方向に繰り出す。
【0072】
同図(c)は反転ユニットFから繰り出されたカードを待機部Eに待機した状態を示す。反転ユニットFの下流側には待機部Eを構成する第1ローラ対29が配置され、センサSe5がカード先端を検出した信号で回転起動し、カード後端を検出した信号(又はその直後)で回転停止する。この状態でカードは第2搬送パスP2における情報記録を終えたカードは、そのジョブ終了後に速やか(第1搬送パスの処理状況に関係なく)に第1搬送パスP1に送られ、このパスの搬入口に位置する待機部Eに待機する。このとき、カード後端は確実にセンサSe5を通過している。
【0073】
よって、カード待機中に反転ユニットFが駆動してもカードに接触することがない。なお、カードが待機している状態で、カード先端はセンサSe8を通過している。このとき制御手段70はカード先端がセンサSe8を通過してから何パルス搬送しているかを記憶しておき、後述する画像転写時におけるカード頭出しに利用する。なお、反転ユニットFから待機部Eにカードを搬送する際は、一旦カードを転写部Bよりも下流側まで搬送してスイッチバック搬送をさせてから待機部Eに送ってもよい。こうすることで不図示のカードスキュー取り機構によりカードのスキューを除去することができる。このとき、転写部Bにおいて転写フィルム46は第1搬送パスP1よりも若干下方に設けられているため、カードと転写フィルム46が接触することはない。
【0074】
一方、制御手段70は第1搬送パスP1における画像転写に備え、転写フィルム46に画像を形成する。この転写フィルム46への画像形成は、第2搬送パスP2における情報記録のジョブ終了後か、その以前に開始する。後述する処理タイミング(図8参照)では、給紙カセット3からカードを繰り出す給紙指示信号で画像形成を開始している。従ってカードへの情報記録と同時に転写フィルム46への画像形成を開始すると最大の処理効率が得られる。また、第2搬送パスP2における情報記録のジョブ終了後に転写フィルム46への画像形成を開始すると情報記録ミスが発生したときに転写フィルム46に不要画像を形成することがない。
【0075】
図7(d)は、画像形成部Dにおける転写フィルム46への画像形成が終了した直後の状態を示す。このときカードは待機部Eから画像転写部Bに向けて繰り出され、転写フィルム46は画像形成面(画像コマ)が画像転写部Bに送られる。このとき制御手段70はカード先端が画像転写部Bに到達するタイミングと転写フィルム46の画像コマの先端が転写部Bに到達するタイミングが合致するように、カードの搬送速度と転写フィルムの移送速度と、カード操出タイミングを設定する。
【0076】
同図(e)は画像転写部Bでカードに画像転写する初期状態を示す。このとき転写ローラ33は待機位置(カードから離間した位置)から作動位置(カードに接する位置)に移動し、転写フィルム上の画像を加熱してカード上に転写する。
【0077】
同図(f)はカード後端が画像転写部Bから搬出される状態を示す。このとき剥離部材(ピン)34bは作動位置から待機位置に移動する。
【0078】
次に図8に従って複数のカードを同時並行処理するタイミングについて説明する。同図(a)はカードへの情報記録時間dtより転写フィルムへの画像形成時間gtの方が長い(gt>dt)場合を、同図(b)はdt>gtの場合を示す。
【0079】
制御手段70から給紙指示信号が発せられると1枚目のカードc1が給紙カセット3から装置内に搬入され、第2搬送パスP2で情報記録される(R/W)。これと共に給紙指示信号を受けて画像形成部Dでは転写フィルム46に画像の形成を開始する(c1印刷)。第2搬送パスP2で情報記録が終了するとカードc1は待機部Eに送られ、その位置に待機する(c1待機)。この待機の後、転写フィルム46への画像形成が終了するとカードc1は待機部Eから画像転写部Bに向かって繰り出される(c1頭出し)。そして画像転写部Bでカード上に画像が転写される(c1転写)。画像転写後のカードc1は収容スタッカ60に向けて搬出される(c1排出)。
【0080】
次に2枚目のカードc2は1枚目のカードc1が待機部Eに待機された後に給紙指示信号を受けて給紙カセット3から搬入される(c2搬入)。このカードc2は第2搬送パスP2で情報記録される(R/W)。これと共に給紙指示信号を受けて画像形成部Dでは転写フィルム46に画像の形成を開始する(c2印刷)。次いで先と同様に第2搬送パスP2で情報記録が終了するとカードc2は待機部Eに送られ、その位置に待機する(c2待機)。なお、このときには1枚目のカードは第1搬送パスP1から外部に搬出されている。以下同様に3枚目のカードが同図に示すタイミングで搬入・R/W・印刷・待機・頭出し・転写・搬出が実行される。
【0081】
図8(b)の処理タイミング(gt>dt)のときには、下流側の画像形成時間が上流側の情報記録時間より短いときには、カードを待機位置に待機させることなく図示のタイミングで複数のカードをそれぞれ「搬入・R/W・印刷・転写・搬出」処理する。
【0082】
[制御構成]
図9に本発明に係わる制御構成について説明する。制御部Hは、例えば制御CPU70で構成し、このCPU70にはROM71とRAM72が備えられている。そして制御CPU70には、データ入力制御部73と、画像形成制御部74と、処理時間演算部75と、カード搬送制御部76が構成されている。そしてカード搬送制御部76は第1搬送パスP1と搬出パスP5に配置されているカード搬送手段(第1第2ローラ対29,30)を制御するように図示しない駆動モータのドライブ回路にコマンド信号を送信する。このカード搬送制御部76は反転ユニットFの旋回モータのドライブ回路にコマンド信号を送信する。
【0083】
上記カード搬送制御部76には、センサSe1〜Se12の状態信号を受信するようにそれぞれのセンサと電気的に接続されている。これと共にデータ入力制御部73からジョブ信号を受信するように接続されている。
【0084】
上記データ入力制御部73は、磁気記録部A1に内蔵されているデータR/W用のIC73xに入力データの送受信を制御するコマンド信号を送信し、同様にIC記録部A2のデータR/W用のIC73yにコマンド信号を送信するように構成されている。上記画像形成制御部74は、画像形成部Bでカードの表裏面への画像形成を制御する。
【0085】
そして上記RAM72には、データ入力部(磁気・IC記録部)でカード上にデータ入力する処理時間が、例えばデータテーブルに記憶されている。
【0086】
そして、カード搬送制御部76には監視手段と判断手段が設けられ、いずれも制御CPU70の制御プログラムに組み込まれている。この監視手段は、各センサの状態信号と、データ入力制御部73のジョブ信号を受信して、装置内に存在するカードの搬送状態を監視するように構成されている。
【0087】
上記処理時間演算部75には、第2搬送パスP2における情報記録の終了時を演算する情報処理演算手段75xと、画像形成部Dにおける画像形成の終了時を演算する画像処理演算手段75yと、この各演算手段で算出された処理時間を比較する比較手段75zが設けられている。上記情報処理演算手段75xは、例えば給紙指示信号を基準に「カードを第2搬送パスに搬送セットする時間」と「カードに情報記録する時間」から算出する。このとき情報記録する時間は予め設定された磁気ヘッドの走査時間から算出する。
【0088】
また画像処理演算手段75yは、例えばカード上に画像形成する画像エリアのカード移動方向長さから算出する。この場合、カードの搬送方向前面に画像形成する場合が、最大の処理時間となる。
【0089】
そして制御CPU70は、比較手段75zで画像形成の終了時が情報記録の終了時より遅いとき、反転部Fから送られた記録媒体を待機部Eに待機させるように構成されている。これと共に、制御CPU70は比較手段75zで情報記録の終了時が画像形成の終了時より遅いとき、反転部Fから送られた記録媒体を待機部Eに待機させることなく画像転写部Bに移送するように構成されている。
【符号の説明】
【0090】
A 情報記録部
B 画像転写部
C 給紙部
D 画像形成部
E 待機部
F 反転部(反転ユニット)
P1 第1搬送パス
P2 第2搬送パス
P3 第3搬送パス
P4 フィルム走行パス
P5 搬出パス
1 画像形成装置
2 装置ハウジング
19 ピックアップローラ
20 ローラ対
21 ローラ対
22 搬入ローラ
23 非接触式IC記録ユニット
24 磁気記録ユニット
29 第1ローラ対
30 第2ローラ対
31 転写プラテン(プラテンローラ)
32a ピンチローラ
32b ピンチローラ
33 転写ローラ(ヒートローラ)
40 サーマルヘッド
41 インクリボン
42 リボンカセット
50 フィルムカセット
60 収容スタッカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成部で転写フィルム上に形成した画像を転写部で記録媒体上に転写する装置であって、
記録媒体を供給する給紙部と、
前記給紙部から送られた記録媒体の搬送方向を偏向する反転部と、
前記反転部から第1の方向に記録媒体を移送する第1搬送パスと、
前記反転部から第2の方向に記録媒体を移送する第2搬送パスと、
前記第1搬送パスに配置され、記録媒体に画像を転写する転写部と、
前記第2搬送パスに配置され、記録媒体に情報を記録する情報記録部と、
を備え、
前記第1搬送パスと第2搬送パスとは、互いに角度が異なる方向に記録媒体を移送すると共に、この第1搬送パスには、前記反転部と前記転写部との間に記録媒体を一時的に待機させる待機部が設けられ、
前記画像形成部と前記転写部は、前記転写部に向けて前記反転部から記録媒体を移送する前記第1搬送パスの記録媒体移送方向に画像形成部、転写部の順に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
更に装置ハウジングを備え、
前記給紙部と反転部とは、前記装置ハウジングに、上方から下方に給紙部、反転部の順に配置され、
前記第1搬送パスは、前記反転部から略水平方向に配置され、
前記第2反転パスは、前記反転部から略鉛直方向に配置され、
前記画像形成部と転写部は、前記第1搬送パスの下方に水平方向に画像形成部、転写部の順に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記反転部は、
装置フレームに旋回動可能に軸支された回転フレームと、
この回転フレームに配置された前記記録媒体を保持する少なくとも一対のロール対と、
前記回転フレームを旋回動するユニット駆動手段と、
前記ロール対を回転するロール駆動手段と、
を備え、
前記ロール駆動手段は、記録媒体を前記回転フレームに搬入及び搬出するように前記ロール対を正逆転することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記給紙部は、
カード状記録媒体を立位姿勢で前後に整列して収納可能な収容ケースと、
この収容ケースに配置され、カード媒体を給送する供給口と、
で構成され、
前記供給口にカード状記録媒体を繰り出す方向は、前記第1搬送パスに前記反転部から前記転写部に記録媒体を移送する方向と反対方向に設定されていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の搬送パスには、前記反転部から送られた記録媒体を前記転写部に移送する搬送ローラが配置され、
この搬送ローラは、前記待機部に配置され停止状態で記録媒体を保持するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記転写部には、記録媒体に画像を転写する転写フィルムが走行可能に配置され、
この転写フィルムに画像を形成する前記画像形成部には、画像形成プラテンと、インクリボンと、サーマルヘッドが配置され、
この画像形成部は、
前記第1搬送パスに沿って移動する記録媒体の移送方向に対し前記転写部の上流側で、
前記待機部と対向する位置に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記転写フィルムは、
装置フレームに着脱可能に装着された転写フィルムカセットと、
この転写フィルムカセットに配置された供給スプールと巻取りスプールと、
この供給スプールと巻取りスプールとの間に巻装された転写フィルムと、
で構成され、
前記インクリボンは、
装置フレームに着脱可能に装着されたリボンカセットと、
このリボンカセットに配置された供給スプールと巻取りスプールと、
この供給スプールと巻取りスプールとの間に巻装されたインクリボンと、
で構成され、
前記転写フィルムカセットとリボンカセットとは、
前記反転部から前記転写部に記録媒体を移送する前記第1搬送パスに沿って上流側にリボンカセットが、下流側に転写フィルムカセットが配置されていることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1の搬送パスには、記録媒体を移送する搬送ローラと、
この搬送ローラを駆動する駆動手段と、
前記駆動手段を制御する制御手段が設けられ、
前記制御手段は、
前記第2搬送パスにおける情報記録の終了時の演算と、前記画像形成部における画像形成の終了時の演算と、画像形成の終了時と情報記録の終了時を比較する比較手段と、
を備え、
前記比較手段で画像形成の終了時が情報記録の終了時より遅いとき、前記反転部から送られた記録媒体を前記待機部に待機させると共に、
前記比較手段で情報記録の終了時が画像形成の終了時より遅いとき、前記反転部から送られた記録媒体を前記待機部に待機させることなく前記転写部に移送することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−48453(P2012−48453A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189353(P2010−189353)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000231589)ニスカ株式会社 (568)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】