説明

画像形成装置

【課題】原稿画像を読取らせる処理を何度もしなくても、原稿画像の出力設定に応じ、各画像領域について適切な画像処理をした良好な画像を出力できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、原稿読取部150により読取られた原稿画像200内の複数個の領域202及び204の各々に関する画像情報と、全体の原稿画像200の画像情報とを判定するプレ画像処理部210と、原稿画像200、および画像領域202と204との全ての画像情報を原稿画像とともに記憶するHDD216と、設定に応じ領域202および204と原稿画像200とのいずれかを出力可能で、領域202および204にはこれらの各々の画像情報を、原稿画像200には原稿画像200の画像情報を適用した画像処理を行ない、画像を出力する表示部222および画像出力部158とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、媒体上に画像データに基づいて画像を形成する画像形成装置に関し、特に、原稿画像の種別情報等の画像情報を判別して後の画像処理に使用する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿画像を読取って画像データを生成し、紙等の媒体上にその画像データに基づく画像を形成するコピー機能を持つ画像形成装置が広く用いられている。こうした画像形成装置の代表として、上記したようなコピー機能に加えて、コンピュータから受信した画像データに基づいて画像を印刷するプリンタ機能、画像データをファクシミリ装置に送信したり、ファクシミリ装置から画像データを受信して画像を印刷したりするファクシミリ機能、生成した画像データを電子メールで所定のメールアドレスに送信するメール機能等、多数の機能を持つ多機能印刷装置(MultiFunction Printer。以下、「MFP」と呼ぶ。)がある。
【0003】
MFPは、これらに加えて画像形成のための多くの機能を持つ。例えば画像形成時に複数の原稿画像を1枚の原稿に集約して形成したり、逆に本のように見開き2ページ分の画像を中央で分割して2枚の画像に分離したりする機能(「1セット2コピー機能」と呼ぶ。)がある。1セット2コピー機能と類似した機能として、ブック分割機能と呼ばれる機能(詳しくは後述する。)もある。さらに、画像を媒体の両面に印刷する機能、複数画像を、製本用にその印刷順序及び印刷方向(画像の天地)を調整して印刷する機能、カラー画像をグレースケールで印刷する機能、フルカラー画像を黒及び任意の色からなる2色で印刷する機能等もある。印刷後の媒体にステープル等の後処理を行なうこともできる。
【0004】
このように多くの機能を持つため、MFPの使用分野は急速に広がりつつある。
【0005】
MFPの使用される分野が広がるにつれ、原稿画像の種類も様々となっている。例えば写真、文字原稿、白黒画像、カラー画像、網点画像等がMFPの処理する対象となる。これらを以下、原稿種別と呼ぶ。
【0006】
これら原稿種別には、画像を形成する際の画像処理としてそれぞれ最適なものがある。例えばテキスト画像を形成するときと同様の画像処理を写真画像に対して行なうと、得られる写真画像の画質が劣化したりする可能性がある。そこで、原稿を読取った後、原稿画像を構成する領域の原稿種別を自動的に判別し、画像の種別に応じて1又は複数個の領域に分割して、各領域についてその領域の原稿種別に応じて最適な画像処理を行なう画像処理装置が特許文献1において提案されている。
【0007】
特許文献1に開示された画像形成装置は、運転免許証等の証明書を作成して発行するものである。この画像形成装置は、予め定められたレイアウトの申請書の画像を読取る。この画像は、写真(顔写真)の領域と、手書き文字が記入される領域と、署名領域とに自動的に分割される。これら領域に分割された画像に対して、それぞれの原稿種別に応じた画像処理等が行なわれて、最終的に所定のレイアウトの証明書が媒体上に形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平3−223987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年、タッチパネルを用いたMFPが普及しつつある。多数の機能を持つMFPにとって、操作の自由度が高いタッチパネルは非常に重要な構成要素である。選択できる操作が一度に多数表示できるように、タッチパネルは大型化する傾向にある。
【0010】
このタッチパネルに、原稿読取後に原稿のサムネイルを表示させたり、設定に応じた仕上がりイメージを表示したりする機能を持つMFPがある。このようなMFPでは、サムネイル又はプレビュー画像の生成部において、原稿画像を原稿種別により分割して得られた領域ごとに、それぞれ最適な処理を行なうことができる。
【0011】
ところで、例えば上記した1セット2コピー機能では、原稿を1度スキャンすると、その原稿画像を中央で分割し、2枚の媒体上に画像を形成する。したがってこの場合、1セット2コピー機能が選択されると、原稿画像を読取る段階で各領域について上記した原稿種別を判別する処理を行なっている。こうすることで、最終的に分離される2つの領域についてそれぞれ最適な画像処理を行なうことができる。
【0012】
しかし、原稿画像を読取った後、直ちに印刷するのではなく、上記したようにプレビュー表示を行なう場合がある。プレビュー表示では、画像形成についての様々な設定を行なうことができる。その過程で、1セット2コピーから通常のコピーに設定が変更されたりすることも考えられる。すると、原稿の読取を再度行なって、全体画像について原稿種別は判別しなおさなければならない。逆の場合も同様である。その結果、プレビュー画像を表示しながら画像形成の設定を変更できる画像形成装置では、1セット2コピー及びブック分割等の設定を変更するときに、ユーザに余計な手間をかけるという問題がある。
【0013】
また、上記した問題は、原稿種別だけでなく、原稿の一部領域が白紙か否か、カラー画像か否か等についても生ずる問題である。
【0014】
それゆえに本発明の目的は、原稿画像を読取らせる処理を何度もしなくても、原稿画像の出力設定に応じ、各画像領域について適切な画像処理をした良好な画像を出力できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の局面に係る画像形成装置は、原稿画像を読取るための原稿読取部とともに用いられる画像形成装置であって、原稿読取部により読取られた原稿画像内の複数個の第1の画像領域の各々に関する画像情報と、原稿画像の領域内であってかつ複数個の第1の画像領域を包含する第2の画像領域の画像情報とを判定するための画像情報判定部と、画像情報判定部により判定された複数の第1の画像領域及び第2の画像領域との双方の画像情報を、原稿画像とともに記憶するための記憶装置と、設定に応じて複数の第1の画像領域及び第2の画像領域のいずれかを出力可能で、複数の第1の画像領域の各々には、記憶装置に記憶された、当該第1の画像領域の画像情報を、第2の画像領域には、記憶装置に記憶された、第2の画像領域の画像情報を、それぞれ適用した画像処理を行ない、画像を出力するための画像処理部とを含む。
【0016】
原稿読取部により読取られた原稿画像のうち、複数個の第1の画像領域と、これら複数個の第1の画像領域を含む第2の画像領域とについて、画像情報判定部がそれぞれ画像情報を判定する。記憶装置は、複数の第1の画像領域及び第2の画像領域の各々について、それらの画像情報を原稿画像とともに記憶する。画像処理部は、これら複数個の第1の画像領域の各々と、第2の画像領域とに対してそれぞれ設定に応じそれらの画像情報に応じた処理をする。これら画像のうち、設定に応じて選択された画像領域の画像が出力される。
【0017】
原稿画像の複数個の第1の画像領域の各々の画像情報と、第2の画像領域の画像情報とが判定され、原稿画像とともに記憶される。設定により複数個の第1の画像領域の出力が選択された場合も、第2の画像領域の出力が選択された場合も、原稿画像を再度読取ることなく、各画像領域に対し、画像情報に応じた適切な画像処理を行なうことができる。その結果、原稿画像を読取らせる処理を何度もしなくても、原稿画像の出力設定に応じ、各画像領域について適切な画像処理をした良好な画像を出力できる。
【0018】
好ましくは、複数個の第1の画像領域は、第2の画像領域内において互いに重ならないように配置された複数個の画像領域である。
【0019】
より好ましくは、複数個の第1の画像領域は、第2の画像領域内において、第2の画像領域を半分に分割する仮想的な線分を中心として線対称に配置されている。
【0020】
さらに好ましくは、画像情報は、関連する画像領域のカラー種別情報、原稿種別情報、若しくは当該画像領域が白のみの白紙領域か否かを示す白紙領域情報、またはこれらの組合せを含む。
【0021】
記憶装置は不揮発性記憶装置を含んでもよい。
【0022】
好ましくは、画像情報はさらに、関連する画像領域の画郭、解像度情報、及び色フォーマット情報の任意の組合せを含む。
【0023】
より好ましくは、原稿読取部は1回のスキャンで原稿の原稿画像を読取ることが可能である。画像情報判定部は、原稿読取部が1回のスキャンで得た原稿画像に対し、複数個の第1の画像領域の各々に関する画像情報と、第2の画像領域の画像情報とを判定する。
【0024】
さらに好ましくは、第2の画像領域は原稿読取部により読取られた原稿画像の全体である。
【発明の効果】
【0025】
以上のように本発明によれば、原稿読取部により読取られた原稿画像のうち、複数個の第1の画像領域と、これら複数個の第1の画像領域を含む第2の画像領域とについての画像情報を、それぞれ原稿画像とともに記憶する。画像処理部は、複数個の第1の画像領域の各々と、第2の画像領域とに対してそれぞれ設定に応じそれらの画像情報に応じた処理をすることができる。したがって、これら画像のうち、設定に応じて選択された画像領域の画像が適切に行なわれ、出力される。その結果、原稿画像を読取らせる処理を何度もしなくても、原稿画像の出力設定に応じ、各画像領域について適切な画像処理をした良好な画像を出力できる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の内部構造を示す一部断面図である。
【図2】画像形成装置に設けられる操作装置の上面の構成を示す平面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る画像形成装置のブロック図である。
【図4】図1〜図3に示す画像形成装置において行なわれる画像読取から画像形成までのデータの流れをフローチャート形式で模式的に示す図である。
【図5】図1〜図3の画像形成装置において実行される、画像読取プログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図6】図1〜図3の画像形成装置において実行される、画像出力プログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面に基づき詳細に説明する。なお、以下の説明および図面では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの機能および名称も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。以下においては、本発明の実施の形態に係る画像形成装置をタンデム形式のフルカラータイプとして説明するが、他の形式(たとえば4サイクル)のフルカラータイプでもよく、モノクロタイプであってもよい。なおモノクロタイプの場合、後述する画像情報としてカラー情報を持つ必要がなくなることは明らかである。
【0028】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置100の内部構造を示す一部断面図である。この画像形成装置100は、後述するように、1セット2コピー、1セット4コピー等における操作を簡略化する点が特徴である。この画像形成装置100は、いわゆる複合機(MFP:Multifunction Peripheral)であって、コピー機能(コピーモード)、ファクシミリ送受信機能(ファクシミリモード)、プリンタ機能(プリンタモード)およびスキャナ機能(スキャナモード)を有する。以下において、図1を参照して、記録用紙に画像を形成する機能(コピーモード、ファクシミリ受信モードおよびプリンタモードにおいて使用)について説明する。
【0029】
[画像形成装置の構造]
この画像形成装置(MFP)100は、情報処理装置(コンピュータ)からネットワーク回線を介して伝達された画像データ(印刷データと記載する場合がある。)に応じて、所定の記録用紙(シートと記載する場合がある。)に対して多色の画像または単色の画像を形成するもので、大略的には、画像形成装置100の本体部110と、自動原稿処理装置120(コピーモードまたはスキャナモードで使用)とにより構成されている。本体部110には、画像形成部が、露光ユニット1、現像器2、感光体ドラム3、クリーナユニット4、帯電器5、中間転写ベルトユニット6、定着ユニット7、給紙カセット81、排紙トレイ91等により構成されている。
【0030】
本体部110の上部には、原稿が載置される透明ガラスからなる原稿載置台92が設けられ、原稿載置台92の上側には自動原稿処理装置120が取り付けられている。自動原稿処理装置120は、原稿載置台92の上に自動で原稿を搬送する。また、自動原稿処理装置120は矢印M方向に回動自在に構成され、原稿載置台92の上を開放することにより原稿を手置きで置くことができるようになっている。原稿載置台92に載置された原稿は、原稿読取部(スキャナ部)150により画像データとして読取られる。
【0031】
この画像形成装置100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に対応するデータである。従って、現像器2、感光体ドラム3、帯電器5、クリーナユニット4は、各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4つの画像ステーションが構成されている。
【0032】
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるために機能する。露光ユニット1には、レーザー出射部および反射ミラー等を備えたレーザースキャニングユニット(LSU:Laser Scannig Unit)として構成される。露光ユニット1は、レーザー光を走査するポリゴンミラーと、ポリゴンミラーによって反射されたレーザー光を感光体ドラム3に導くためのレンズおよびミラー等の光学要素が配置されている。
【0033】
露光ユニット1は、帯電された感光体ドラム3を、入力された画像データに応じて露光することにより、その表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有する。現像器2は、それぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を、4色(Y、M、C、K)のトナーにより顕像化するものである。また、クリーナユニット4は、現像および画像転写後における感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを、除去および回収する。
【0034】
感光体ドラム3の上方に配置されている中間転写ベルトユニット6は、中間転写ベルト61、中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、中間転写ローラ64、および中間転写ベルトクリーニングユニット65を備えている。中間転写ローラ64は、Y、M、C、Kの各色に対応して4本設けられている。中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、および中間転写ローラ64は、中間転写ベルト61を張架して回転駆動させる。中間転写ローラ64は、感光体ドラム3のトナー像を、中間転写ベルト61上に転写するための転写バイアスを与える。
【0035】
中間転写ベルト61は、4つの感光体ドラム3に接触するように設けられている、そして、感光体ドラム3に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト61に順次的に重ねて転写することによって、中間転写ベルト61上にカラーのトナー像(多色トナー像)を形成する機能を有している。中間転写ベルト61は、たとえば厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
【0036】
感光体ドラム3から中間転写ベルト61へのトナー像の転写は、中間転写ベルト61の裏側に接触している中間転写ローラ64によって行なわれる。中間転写ローラ64には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。中間転写ローラ64は、直径8mm〜10mmの金属(たとえばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(たとえばエチレン−プロピレン−ジエンゴム、発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト61に対して均一に高電圧を印加することができる。本実施の形態では転写電極としてローラ形状の電極を使用しているが、それ以外にブラシ形状の電極等を用いることが可能である。
【0037】
上述のように、各感光体ドラム3上で各色に応じて顕像化された静電潜像は中間転写ベルト61で積層される。このように、積層された画像は中間転写ベルト61の回転によって、後述の記録用紙と中間転写ベルト61の接触位置に配置される転写ローラ10によって記録用紙上に転写される。
【0038】
このとき、中間転写ベルト61と転写ローラ10は所定ニップで圧接されると共に、転写ローラ10にはトナーを記録用紙に転写させるための電圧が印加される(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)。さらに、転写ローラ10は上記ニップを定常的に得るために、転写ローラ10または中間転写ベルト駆動ローラ62のいずれか一方を硬質材料(金属等)とし、他方を弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラ、または発泡性樹脂ローラ等々)としたものが用いられる。
【0039】
また、上記のように、感光体ドラム3に接触することにより中間転写ベルト61に付着したトナーまたは転写ローラ10によって記録用紙上に転写が行なわれず中間転写ベルト61上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるために、中間転写ベルトクリーニングユニット65によって除去および回収されるように設定されている。中間転写ベルトクリーニングユニット65には、中間転写ベルト61に接触する、たとえば、クリーニング部材としてクリーニングブレードが備えられており、クリーニングブレードが接触する中間転写ベルト61は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ63で支持されている。
【0040】
給紙カセット81は、画像形成に使用するシートを蓄積しておくためのトレイであり、本体部110の露光ユニット1の下側に設けられている。手差し給紙カセット82にも画像形成に使用するシートを載置することができる。本体部110の上方に設けられている排紙トレイ91は、印刷済みのシートをフェイスダウンで集積するためのトレイである。
【0041】
本体部110には、給紙カセット81および手差し給紙カセット82のシートを転写ローラ10および定着ユニット7を経由させて排紙トレイ91に送出するための、略垂直形状の用紙搬送路Sが設けられている。給紙カセット81または手差し給紙カセット82から排紙トレイ91までの用紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ11a、ピックアップローラ11b、複数の搬送ローラ12a〜搬送ローラ12d、レジストローラ13、転写ローラ10、定着ユニット7等が配されている。
【0042】
搬送ローラ12a〜搬送ローラ12dは、シートの搬送を促進および補助するための小型のローラであり、用紙搬送路Sに沿って複数設けられている。また、ピックアップローラ11aは、給紙カセット81の端部近傍に備えられ、給紙カセット81からシートを1枚ずつピックアップして用紙搬送路Sに供給する。また、同様にして、ピックアップローラ11bは、手差し給紙カセット82の端部近傍に備えられ、手差し給紙カセット82からシートを1枚ずつピックアップして用紙搬送路Sに供給する。
【0043】
レジストローラ13は、用紙搬送路Sを搬送されているシートを一旦保持するものである。そして、感光体ドラム3上のトナー像の先端とシートの先端を合わせるタイミングでシートを転写ローラ10に搬送する機能を有している。
【0044】
定着ユニット7は、ヒートローラ71および加圧ローラ72を備えており、ヒートローラ71および加圧ローラ72は、シートを挟んで回転するようになっている。また、ヒートローラ71は、図示しない温度検出器からの信号に基づいて、画像形成装置100の全体を制御または画像形成部を制御する制御部によって所定の定着温度となるように設定されており、加圧ローラ72とともにトナーをシートに熱圧着することにより、シートに転写された多色トナー像を溶融、混合および圧接し、シートに対して熱定着させる機能を有している。
【0045】
この定着ユニット7には、ヒートローラ71を加熱するためのヒータ(ハロゲンヒータ等)が備えられている。
【0046】
次に、シート搬送経路を詳細に説明する。上述のように、画像形成装置100には予めシートを収納する給紙カセット81および手差し給紙カセット82が設けられている。これらの給紙カセット81または手差し給紙カセット82からシートを給紙するために、ピックアップローラ11aまたはピックアップローラ11bが配置され、シートを1枚ずつ用紙搬送路Sに導くようになっている。
【0047】
給紙カセット81または手差し給紙カセット82から搬送されるシートは、用紙搬送路Sの搬送ローラ12aによってレジストローラ13まで搬送され、シートの先端と中間転写ベルト61上の画像の先端を整合するタイミングで転写ローラ10に搬送され、シート上に画像が書き込まれる。その後、シートは定着ユニット7を通過することによってシート上の未定着トナーが熱で溶融および固着されて、その後に配置された搬送ローラ12bを経て排紙トレイ91上に排出される。
【0048】
上記の搬送経路は、シートに対する片面印字要求のときのものであるが、これに対して両面印字要求の時は、上記のように片面印字が終了し定着ユニット7を通過したシートの後端が最終の搬送ローラ12bで把持されたときに、搬送ローラ12bが逆回転することによってシートを搬送ローラ12c、12dに導く。その後、レジストローラ13を経てシート裏面に印字が行われた後にシートが排紙トレイ91に排出される。
【0049】
通常の用紙搬送路Sに対して、シートの表裏を反転させてシートを搬送させる搬送路を反転搬送路Rとして、図1に示す。上述したように、シートの第1面(表面)に印刷した後にこの反転搬送路Rを通過させるとシートの第2面(裏面)に中間転写ベルト61が対向するので、この第2面に画像を形成できる。さらに、シートの第1面(表面)に印刷した後にこの反転搬送路Rを2回通過させるとシートの第1面(表面)に中間転写ベルト61が対向するので、印刷済みの第1面に画像を重ねて形成できる。また、シートの第1面(表面)に印刷してからシートの第2面(裏面)に印刷した後にこの反転搬送路Rを通過させるとシートの第1面(表面)に中間転写ベルト61が対向するので、印刷済みの第1面に画像を重ねて形成できる。
【0050】
図1及び図2を参照して、画像形成装置100の本体部110の上方に、手前側に突設して操作装置90が設けられている。特に図2を参照して、操作装置90は、操作装置90の表面の右側の領域に配置された、テンキー、およびその他の種々の操作ボタンであるハードウェアキーが備えられている板状の操作パネル16と、操作装置90の中央部から左側の領域に配置された、小型のタッチパネル一体型液晶表示装置から構成されている表示パネル17とを含む。操作パネル16と表示パネル17とは一つの筐体に保持され、操作装置90は全体として一体となるように構成されている。
【0051】
この操作装置90においては、表示パネル17に、この画像形成装置100の動作状態、ユーザが所望の機能を選択するために複数の機能が表示されるメニューおよびサブメニュー(メニューのさらに下位階層のメニュー)等が表示される。表示パネル17の液晶表示装置の表示領域上には選択ボタンが表示され、この選択ボタンの表示されている領域を指で押すと、タッチパネルがその押された位置を検出する。プログラム上で選択ボタンの表示位置とタッチパネルが押された位置とを照合することにより、画像形成装置100の機能設定および動作指示等が行なわれる。以下において、表示パネル17をタッチパネルディスプレイと記載する場合がある。
【0052】
このように、操作装置90は、ユーザにより操作されるハードウェアキーおよびタッチパネルディスプレイで構成されるソフトウェアキーにより構成される操作部と、タッチパネルディスプレイの表示パネル17で構成される表示部とで構成される。
【0053】
[画像形成装置の動作モード]
本実施の形態に係る画像形成装置100は、その動作モードとして、コピーモード、ファクシミリ送受信モード(タッチパネルディスプレイ画面例では「ファクス/イメージ送信」モードと記載)、プリンタモードおよびスキャナモード(タッチパネルディスプレイ画面例では「ドキュメントファイリング」モードと記載)を備える。以下においては、これらの動作モードを説明する。
【0054】
−コピーモード−
以下において、コピーモードの動作説明を行なう。このコピーモードにおいては、主として、本体部110が動作することにより、コピー機能が実現される。なお、原稿を自動送りする場合には、自動原稿処理装置120が動作する。
【0055】
画像形成装置100においては、原稿載置台92に置かれた原稿が画像データとして読取られ、読取られた画像データが制御部へ入力され、ここで画像データに各種の画像処理が施される。上述した構成を備える画像形成部は、この画像データによって示される原稿の画像を記録用紙に印刷する。
【0056】
−ファクシミリモード−
以下において、ファクシミリモードの動作説明を行なう。このファクシミリモードにおいては、主として、送信動作は原稿読取部150およびFAX通信部が動作することにより、受信動作はFAX通信部および画像形成部が動作することにより、ファクシミリ機能が実現される。
【0057】
送信動作については以下の通りである。送信側の画像形成装置100においては、ファクシミリモードを指定して、原稿載置台92に置かれた原稿が原稿読取部150により画像データとして読取られ、読取られた画像データが制御部に入力され、ここで画像データに各種の画像処理が施され、この画像データがFAX通信部へと出力される。FAX通信部は、指定された送信側の回線を指定された送信先に接続して、画像データをファクシミリ通信規格に合致した通信データへ変換して、受信側のファクシミリ装置(たとえばファクシミリ機能を備えた画像形成装置100)へ送信する。回線が接続されると、受信側の画像形成装置100のFAX通信部は、送信側の画像形成装置100のFAX通信部からの通信要求信号を検出して、応答信号を送信する。その後、たとえば、FAX通信部は、送信側および受信側で互いに実装されている能力情報の受渡しを行ない利用可能な最大能力での通信速度および画像データの符号化・符号訂正方式等を決定してモデムの通信方式を設定する。この通信方式にあわせた画像信号形式を用いて、送信側の画像形成装置100のFAX通信部から受信側の画像形成装置100のFAX通信部へデータを送信する。送信が終了すると回線が切断される。
【0058】
受信動作については以下の通りである。受信側の画像形成装置100のFAX通信部は、受信したデータを画像データに変換して、画像形成部へ送る。なお、受信したデータを画像データへ変換するのは画像形成部であっても構わない。画像形成部は、上述したコピーモードにおける動作と同じように、受信したデータから変換された画像データによって示される原稿の画像を記録用紙に印刷する。
【0059】
−プリンタモード−
以下において、プリンタモードの動作説明を行なう。このプリンタモードにおいては、主として、画像形成部が動作することにより、プリント機能が実現される。
【0060】
ネットワークインターフェイスを介してコンピュータからプリントデータを受信すると、受信したプリントデータを画像データに変換して、画像形成部へ送る。なお、プリントデータを画像データへ変換するのは画像形成部であっても構わない。画像形成部は、上述したコピーモードにおける動作と同じように、プリントデータから変換された画像データによって示される原稿の画像を記録用紙に印刷する。
【0061】
−スキャナモード−
以下において、スキャナモードの動作説明を行なう。このスキャナモードにおいては、主として、原稿読取部150が動作することにより、スキャナ機能が実現される。
【0062】
画像形成装置100においては、原稿載置台92に置かれた原稿が原稿読取部150により画像データとして読取られ、読取られた画像データが制御部に入力され、ここで画像データに各種の画像処理が施され、この画像データが画像形成装置100の記憶装置(ハードディスク)に記憶されたり(ドキュメントファイリング)、ネットワークに接続されたコンピュータへネットワークインターフェイスを介して送信されたり(スキャンtoフォルダ)、電子メールの添付ファイルとしてネットワークインターフェイスを介して送信されたり(スキャンtoメール)する。
[ハードウェア構成]
【0063】
本実施の形態に係る画像形成装置100は、画像を読取った時点で、1セット2コピー等の設定がされているか否かにかかわらず、1セット2コピー用に画像を分割し、それぞれの画像情報を判別および取得する。さらに、この画像形成装置100では、これと同時に原稿全体の画像情報の判別および取得も行なう。その結果をともに記憶しておく。こうした構成により、本実施の形態に係る画像形成装置100では、原稿読取後、1セット2コピー等のように原稿画像を分割して画像を印刷する機能と、原稿画像を分割せず印刷する機能とを、原稿の読取を2回行なう必要なく、切換えることができる。
【0064】
本実施の形態では、画像情報は、後述するように、画像領域のカラー種別情報(画像領域がフルカラーか白黒かを示す情報)、原稿種別情報(画像領域が写真画像領域か、文字領域か、地図領域か等を示す情報)、白紙情報(画像領域が白点のみからなる画像、すなわち白紙領域か否かを示す情報)を少なくとも含む。なおこの場合、画像の各点が白点か否かは、その画像の画素値が所定のしきい値以上か否かにより決定すればよい。
【0065】
こうした機能は、画像形成装置100の一部を構成するコンピュータと、そのコンピュータ上で実行されるプログラムとにより、そのほかのハードウェアを制御することで実現される。
【0066】
なお、以下の説明では、このような原稿の分割を伴う機能として、1セット2コピー及びブック分割だけでなく、原稿画像全体をN個に分割し、別々のページに拡大して印刷するN分割コピー処理も設けられているものとする。
【0067】
図3を参照して、画像形成装置100のうち、本実施の形態の機能に関係する部分は、自動原稿処理装置120等を用いて原稿画像を読取る原稿読取部150と、原稿読取部150の読取った原稿画像に対し、上記した機能を含む種々の画像処理を行なうための、実質的にCPU(Central Processing System)を含むコンピュータからなる画像処理部152と、画像処理部152に接続され、画像処理部152が作業領域として使用する記憶領域を提供する揮発性のメモリ154と、画像処理部152に接続され、画像処理部152が処理した画像を記憶するための画像記憶部156と、画像処理部152により生成された画像データに基づく画像を紙等の媒体上に出力するための画像出力部158とを含む。画像記憶部156は不揮発性であり、保存媒体としてハードディスクドライブ(HDD)を含んでいる。
【0068】
これらのうち、画像処理部152が実質的なコンピュータであり、メモリ154を作業領域とし、画像記憶部156に記憶された画像データに対して種々の画像処理を実行する。
【0069】
図4を参照して、画像処理部152が実行する処理について、その順序を説明する。まず原稿読取部150を制御して原稿画像200を読取る。このときの設定は、1セット2コピー等の場合もあるし、そうでない場合もあり得る。ここでは、原稿画像200が2つの画像領域202及び204を包含するものと想定する。読取時、原稿画像200と、画像領域202および204の全てについて、その画像に関連する画像情報が判定される。画像情報は、前述したように、その画像が白紙か否かに関する情報、ACS(自動カラー判別処理:Auto Color Select)によるカラー情報、若しくは原稿の種別、又はこれらの組合せを含む。組合せはどのようなものでもよい。画像情報はさらに、画像領域の画郭(縦のライン数、横のドット数)、解像度(DPI:Dot Per Inch)、若しくはカラーフォーマット(RGBか、単色刷り又は2色刷りか)等に関する情報、またはこれらの組合せを含んでもよい。組合せはどのようなものでもよい。
【0070】
1セット2コピーの場合には、原稿画像200の長辺の中央部を結んで仮想的な線分を考えたとき、この線分を中心として線対称に配置された2つの領域が画像領域202および204となる。1セット4コピーの場合には、同様にして4つの領域が2つずつ、中央の線分を中心に線対称に配置される。一般に、1枚の原稿上に複数の画像(特にページ画像)を配置するときには、このように中央の線を中心に互いに線対称となるように配置される。
【0071】
また、本実施の形態では、画像領域202および204は1セット2コピーの場合であるが、当然に両者は重なっていない。これが1セット4コピーになったりした場合も同様である。一般的に、原稿画像内にN個の画像領域(特にページ画像)が配置される場合、それらは互いに重ならないように配置される。多くの場合、これらページ画像領域の間、および周辺には所定の間隔が設けられる。その結果、これらN個の画像領域を全てあわせても、原稿画像全体にはならないことが多い。
【0072】
原稿読取部150が原稿を読取った後の処理は画像処理部152が実行する。まず、プレ画像処理210により原稿画像200から2つの画像領域202及び204を抽出する。実際には、原稿画像200中でこれら領域の占める座標を特定する。
【0073】
続いて原稿画像200に対して画像前処理212を実行し、画像圧縮処理214を施して、画像記憶部156に保存する。このとき、原稿画像200と、画像領域202および204の領域情報と、原稿画像200ならびに画像領域202及び204の画像情報とが同時に保存される。
【0074】
この後、読取られた原稿画像200を表示パネル17(図2を参照)に表示しながら画像形成の設定が変更される(設定変更処理218)。変更される可能性のある設定の中には、1セット2コピーの設定もある。1セット2コピーの設定が他の設定に変更される場合もあるし、その逆の場合もあり得る。ブック分割についても同様である。
【0075】
設定変更が完了し、画像形成が指示されると、画像記憶部156に記憶された原稿画像200を読出し、伸張する原稿読出220が行なわれる。さらに、設定変更処理218で行なわれた設定に従って、原稿画像200がそのまま、又は画像領域202及び画像領域204に分割され(分割設定による選択処理224)、設定により選択された画像に対し、その原稿画像の画像情報に応じた最適な画像処理(後処理)222を行ない、画像出力部158による画像出力が行なわれる。
【0076】
仮に設定変更処理218の結果、1セット2コピーが選択されたときには、原稿画像200の中から画像領域202及び204が別々の画像として抽出され、各領域の画像情報に応じた画像処理が施され、別々の用紙(用紙A及び用紙B)に印刷される。
【0077】
設定変更処理218の結果、1セット2コピー及びブック分割以外の画像形成処理が選択されたときには、原稿画像200がひとまとまりで、原稿画像200に対して行なわれた画像情報にしたがった処理が実行され、1枚の用紙Cに出力される。
【0078】
[プログラムの制御構造]
上記した処理はコンピュータプログラムを画像処理部152が実行することにより実現される。以下、そうしたコンピュータプログラムの制御構造について説明する。
【0079】
図5を参照して、このプログラムは、原稿読取処理を行なうステップ250と、読取られた各ページの原稿画像200から画像領域202および204と思われる領域を分離し、画像領域202及び204(以下これら領域について(2)および(3)という指標付けをし、原稿画像200については(1)という指標付けを行なう。)の領域の画像情報を領域分離判定(2)および(3)により取得するステップ252と、各ページの原稿画像200の全体の原稿の画像情報を領域分離判定(1)により取得するステップ254とを含む。
【0080】
このプログラムはさらに、ステップ254に続き、ステップ252及び254での領域画像情報の判定結果を画像記憶部156に保存するステップ256と、原稿画像200と、画像領域202および204の原稿画像とをそれぞれの領域分離判定(1)(2)(3)による画像情報と関連付けて画像記憶部156に保存して処理を終了するステップ258とを含む。この後、画像記憶部156に保存された原稿画像に対し、どのように画像形成するかに関する設定が操作装置90を用いて対話的に行なわれる。
【0081】
設定が完了し、印刷ボタンが押されたときに実行される画像処理プログラムは以下のような制御構造を持つ。図6を参照して、このプログラムは、出力対象の原稿緒画像を画像記憶部156から読出すステップ300と、読出した画像からプレビュー画像を生成するステップ302と、操作装置90を用いて設定された機能がどのようなものかを判別するステップ304と、ステップ304で判別された機能の中に、1セット2コピー及びブック分割等、原稿画像を分割する機能が選択されているか否かを判定するステップ306とを含む。ここで、原稿画像を分割する機能としては、上記した1セット2コピー、ブック分割コピー、及びN分割クリッピング処理がある。N分割クリッピング処理は、1セット2コピーと同様の処理であるが、分割する領域数が3個以上の特定の形の領域に分割し、それぞれ別々の媒体上に画像を形成する機能である。
【0082】
このプログラムはさらに、ステップ306の判定が肯定のときに実行され、その機能が1セット2コピー化否かを判定するステップ308と、ステップ308の判定結果が項低の知己に実行され、1セット2コピーの設定に従い、原稿画像200を指定された数及び位置の領域に分割し、不要な領域をクリッピングする処理を行なうステップ310と、ステップ310の後、画像領域202又は画像領域204に対し、それぞれ領域分離判定(2)及び領域分離判定(3)により得られた画像情報を画像記憶部156から読出し、その画像情報に応じた最適な画像処理を行なうステップ312と、ステップ312の後、画像領域202および204の双方に対してともに処理を完了したか否かを判定し、判定が否定であれば制御をステップ310に戻すステップ314と、ここまでの処理により生成された画像データに基づく画像を媒体上に出力して処理を終了するステップ316とを含む。
【0083】
なおここで、ステップ310及びステップ312の処理は、例えば最初の繰返しでは画像領域202を取り出してその領域判別結果にしたがった最適な画像処理を行ない、2度目の繰り返しでは画像領域204を取り出して同様に画像処理を行なう。
【0084】
このプログラムはさらに、ステップ308の判定が否定のときに実行され、選択された機能がブック分割コピーか否かを判定するステップ318と、ステップ318の判定結果が肯定のときに、複数の原稿画像200をそれぞれ半分ずつの領域に分割し、さらにそれらを印刷するときのページ順にしたがってスケジューリングした後、制御をステップ310に進めるステップ320とを含む。
【0085】
ブック分割コピーでは、通常、両面コピーでしかも各面を2面ずつに分割する。さらに、これらは製本後のページにしたがって配列されているため、ページ順に分割してコピーするためには、分割された画像をさらにページ順にスケジューリングしなおす必要がある。ステップ320の処理はそのための処理である。
【0086】
この場合、ステップ310〜ステップ314は、スケジューリングされたページ画像の全てに対して繰返し行なわれる。
【0087】
このプログラムはさらに、ステップ318の判定が否定のときに、実行されるステップ324を含む。ステップ324では、原稿画像200の各々をN分割し、不要な領域をクリッピングする処理が実行される。このプログラムはさらに、ステップ324で分割された領域に対し、原稿画像200についての画像情報に従った画像処理を行なうステップ326と、N分割の画像の全てについてステップ324と326との処理が完了したか否かを判定するステップ328とを含む。ステップ328の判定結果が肯定であれば制御はステップ316に進んで、生成された画像データに基づいて媒体上に画像が形成される。ステップ328の判定が否定であれば制御はステップ324に戻り、次の画像について処理が実行される。
【0088】
一方、ステップ306での判定が否定の場合、制御はステップ330に進む。ステップ330では、原稿画像200に対し、領域分離判定(1)による画像情報にしたがった画像処理が実行される。ステップ330の後、制御はステップ316に進む。
【0089】
前述したとおり、ステップ316では、ここまでの処理で生成された画像データに基づき、各ページの画像を紙等の媒体上に形成する処理が実行され、全てのページについての出力が完了すると、このプログラムの実行は終了する。
【0090】
[動作]
上記した画像形成装置100は以下のように動作する。以下の説明は、1セット2コピーを行なうときを例とするが、ブック分割及びN分割のときの処理も基本的には同一である。また、以下の例では分割を伴わない処理で最初に原稿読取を行なった後、プレビューを伴う設定変更により1セット2コピーを選択した場合の画像形成装置100の動作を説明する。逆の場合も同様である。
【0091】
図1を参照して、ユーザが画像の分割を伴わないが、プレビューによる設定変更が可能な設定で原稿を自動原稿処理装置120の原稿トレイに載せた場合を想定する。ユーザが図示しない「読込開始」ボタンを押すと、自動原稿処理装置120が原稿を1枚ずつ原稿読取部150の読取部に搬送し、原稿読取部150が原稿を1枚ずつ読取って原稿画像データに変換する。読込と同時に各ページの原稿画像200を2つの領域(隣り合う2ページ分の画像領域)、すなわち画像領域202及び204に分割し、それらの画像情報の判別及び取得が行なわれる(図4のプレ画像処理210、図5のステップ252)。同時に、各ページの原稿画像全体(原稿画像200)の画像情報が読取られる(図4のプレ画像処理210、図5のステップ254)。
【0092】
読取られた画像に対しては、前処理及び圧縮処理が施され、処理後の画像は、原稿画像200、画像領域202および204の画像情報とともに画像記憶部156に記憶される(図4の画像前処理212,画像圧縮処理214及び保存処理216、図5のステップ256及び258)。以上で原稿の読取処理は終了である。
【0093】
この後、ユーザは、図2に示す操作装置90を用いて、読込まれた画像のプレビュー画像を用いて印刷時の設定を変更する。ここでは、前述したとおり、分割設定のない出力から、1セット2コピーに設定が変更されたものとする。設定はメモリ154に記憶される。設定変更後、ユーザが図示しない「印刷開始」ボタンを押すと、図6に制御構造を示すプログラムが起動される。
【0094】
図6を参照して、ステップ300で、処理中の画像が画像記憶部156から読出され、伸張される。ステップ302で、読出された画像データのプレビュー画像が生成される。続くステップ304で、このプログラムの呼び出し前にユーザによりどのような設定が行なわれたかに関する情報がメモリ154から読出され、判別される。
【0095】
ステップ306では、設定により原稿画像の分割が必要か否か、すなわち1セット2コピー、ブック分割、又はN分割クリッピング処理が選択されたか否かに関する判定が行なわれる。ここでは、分割の不要な設定から1セット2コピーに設定が変更されたことが家庭されている。したがって、ステップ306の判定は肯定となる。制御はステップ308に進む。
【0096】
ステップ308では、設定が1セット2コピーとなっているか否かが判定される。個々での判定は肯定となる。したがって制御はステップ310に進む。
【0097】
ステップ310では、まず、画像領域202の画像が原稿画像200から分割され、不要な領域がクリッピングされる。続いてステップ312では、画像領域202について図5のステップ252で判別され画像記憶部156に記憶されている画像情報(領域分離判定(2)の結果)を用いた画像処理が画像領域202に対して実行され、処理された画像領域202の画像が画像記憶部156に記憶される。制御はステップ314に進む。全ての画像領域202及び204に対する処理は完了していない。したがってステップ314の判定は否定となる。制御はステップ310に戻る。
【0098】
ステップ310では今度は、原稿画像200から画像領域204を分離し、不要な領域をクリッピングする処理が実行される。続くステップ312では、画像領域204に対して、図5のステップ254で判別され画像記憶部156に記憶されていた画像情報(領域分離判定(3)の結果)を用いた画像処理が画像領域204に対して実行され、処理された画像領域204の画像が画像記憶部156に記憶される。
【0099】
以上の処理が各ページの原稿画像に対して繰返し実行される。全てのページに対しこの処理が終了すると、ステップ314の判定は肯定となり、制御はステップ316に進む。
【0100】
ステップ316では、今までの処理で生成された画像データに基づき、1ページに1つの画像を形成する処理を実行する。全てのページの印刷が終了すると、このプログラムの実行は終了する。
【0101】
次に、設定によりブック分割が選択された場合について説明する。ステップ308までの処理は1セット2コピーが選択されたときと同様である。ブック分割が選択されたときには、制御はステップ308からステップ318に進む。ステップ318の判定は肯定となる。制御はステップ320に進む。
【0102】
ステップ320では、全ての原稿画像200を画像領域202及び204に分割し、さらにそれら分割後の画像を原稿の正しいページ順にスケジューリングする処理が実行される。この後、制御はステップ310に進む。ステップ310より後の処理は、1セット2コピーの場合と同様である。したがってここではその詳細は繰返さない。
【0103】
次に、設定によりN分割クリッピング処理が選択された場合、画像形成装置100は以下のように動作する。この場合、ステップ318まではブック分割が選択されたときの画像形成装置100と同一の動作である。ステップ318の判定は、ここでは否定となり、制御はステップ324に進む。ステップ324では、各ページの原稿画像200を、N個の画像に分割し不要領域をクリッピングし、各々をページ画像に拡大する処理が実行される。続いてステップ326では、このようにして得られた各ページ画像に対し、原稿画像200から得られた画像情報を適用して、そのページの画像情報を生成する。ステップ328では、全ての原稿の全ての分割画像に対して上記した処理が完了したか否かを判定する。この判定が肯定なら制御はステップ316に進む。さもなければ制御はステップ324にもどり、次の原稿画像200に対して同じ処理が繰返される。
【0104】
ステップ326で領域分離判定(1)の結果が使用されるのは、N分割の場合、画像領域202をいくつの領域に分割すべきかが難しいためである。ここではしたがって、N分割の場合には便宜的に原稿画像200の全体に対する画像情報を用いた画像処理を行なうものとした。もちろん、4分割、8分割の場合に、それぞれについて画像情報を判別し、それぞれの画像情報によって決められる画像処理を行なうようにしてもよい。
【0105】
最後に、操作装置90による設定変更で、分割が不要な印刷機能が選択されたものとする。すると、図6のステップ306での判定は肯定となり、制御はステップ330に進む。ステップ330では、原稿画像200に対して得られた画像情報を用いて、各ページの原稿画像200に対する画像処理(後処理)222が行なわれる。全ての原稿画像200に対する画像処理が終了すると、制御はステップ316に進み、これらの画像が媒体上に形成される。
【0106】
以上のように本実施の形態に係る画像形成装置100では、最初に原稿画像を読込む際に、原稿全体の画像に対する画像情報だけではなく、原稿を例えば2分割した部分領域についても画像情報が判別され、取得され、画像とともに記憶される。このため、画像読取りの後、出力のモードが分割不要なモードから分割必要なモードへ、又は分割必要なモードから分割不要なモードで、それぞれ変化された場合でも、再度原稿を読取ることなく、記憶された画像情報を読出して画像を処理することができる。わざわざ原稿を読直す必要がなくなるので作業効率が向上する。
【0107】
上記実施の形態では、画像記憶部156はハードディスクドライブを含むものとした。しかし本発明はそのような実施の形態には限定されない。画像記憶部156が不揮発性の記憶装置として、例えばフラッシュROM(Read−Only Memory)等を含んでも良い。
【0108】
今回開示された実施の形態は単に例示であって、本発明が上記した実施の形態のみに限定されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0109】
100 画像形成装置
150 原稿読取部
152 画像処理部
154 メモリ
156 画像記憶部
158 画像出力部
200 原稿画像
202,204 画像領域
210 プレ画像処理
212 画像前処理
218 設定変更処理
222 画像処理(後処理)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿画像を読取るための原稿読取部とともに用いられる画像形成装置であって、
前記原稿読取部により読取られた原稿画像内の複数個の第1の画像領域の各々に関する画像情報と、前記原稿画像の領域内であってかつ前記複数個の第1の画像領域を包含する第2の画像領域の画像情報とを判定するための画像情報判定部と、
前記画像情報判定部により判定された前記複数の第1の画像領域及び前記第2の画像領域との双方の画像情報を、前記原稿画像とともに記憶するための記憶装置と、
設定に応じて前記複数の第1の画像領域及び前記第2の画像領域のいずれかを出力可能で、前記複数の第1の画像領域の各々には、前記記憶装置に記憶された、当該第1の画像領域の画像情報を、前記第2の画像領域には、前記記憶装置に記憶された、前記第2の画像領域の画像情報を、それぞれ適用した画像処理を行ない、画像を出力するための画像処理部とを含む、画像形成装置。
【請求項2】
前記複数個の第1の画像領域は、前記第2の画像領域内において互いに重ならないように配置された複数個の画像領域である、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数個の第1の画像領域は、前記第2の画像領域内において、前記第2の画像領域を半分に分割する仮想的な線分を中心として線対称に配置されている、請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像情報は、関連する画像領域のカラー種別情報、原稿種別情報、若しくは当該画像領域が白のみの白紙領域か否かを示す白紙領域情報、又はこれらの組合せを含む、請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記記憶装置は不揮発性記憶装置を含む、請求項1から請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像情報はさらに、前記関連する画像領域の画郭、解像度情報、若しくは色フォーマット情報、又はこれらの組合せを含む、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記原稿読取部は1回のスキャンで原稿の原稿画像を読取ることが可能であり、
前記画像情報判定部は、前記原稿読取部が1回のスキャンで得た原稿画像に対し、前記複数個の第1の画像領域の各々に関する画像情報と、前記第2の画像領域の画像情報とを判定する、請求項1から請求項6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第2の画像領域は前記原稿読取部により読取られた前記原稿画像の全体である、請求項1から請求項7のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−60566(P2012−60566A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204239(P2010−204239)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】