説明

画像形成装置

【課題】 画像形成装置の再起動を行った後、設定された省電力状態移行までの経過時間が経過せずとも画像形成装置を省電力状態に移行させる。
【解決手段】 画像形成装置を再起動開始前に計時されていた経過時間から継続して再起動後に経過時間を計時し、所定の時間が経過した場合に省電力状態に移行させるように画像形成装置を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再起動に係る画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の情報機器は機能追加や脆弱性修正などのために、組み込まれたソフトウェアを例えばネットワークなどを通じて自動的にアップデートする仕組みを持つものが多くなっている。画像形成装置に組み込まれるソフトウェアも例外でない。この時、情報機器に組み込まれたソフトウェアを書き換えてアップデートし、アップデートされたソフトウェアが情報機器によって実行される状態にするためには、しばしば情報機器を再起動させる必要がある。
【0003】
また、ソフトウェアのアップデート以外でも常時稼動している情報機器等においては、安定性向上のためのリフレッシュを目的として定期的に再起動を行う場合もある。
【0004】
一方、近年の情報機器では一定時間以上ユーザによって操作されていないときは機器を通常状態から省電力状態に移行させて消費電力を節減する省電力機能を備えることが一般的となっている。このような情報機器では、より高い消費電力節減効果を得るため、通常状態にある時間をできるだけ短くし、省電力状態にある時間を長くするようにすることが重要となっている。
【0005】
このような省電力機能を備えた情報機器においては、ソフトウェアのアップデートなどを目的として再起動した場合であっても、可能な限り省電力状態にある時間を長くすることが必要である。
【0006】
このことから、例えば特許文献1では、情報機器が省電力状態となっている時に再起動する手法が提案されている。特許文献1の手法は、情報機器が長い間省電力状態のままとなる時間帯であって、かつ実際に省電力状態となっている場合に自動的に再起動するようにしたものである。これにより再起動を開始する時点で既に省電力状態であることを保証し、再起動後も継続して省電力状態を取るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−229509
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術では消費電力節減の効果を得るには情報機器が省電力状態となっている時しか再起動できなかった。つまり、ソフトウェアのアップデートを実施する場合には、省電力状態に移行するまで待つ必要がある。その際、どの程度の時間ユーザの操作がなかった場合に省電力状態に移行するかは、ユーザが設定できるような手段が備えることが一般的である。このため、ユーザの設定によっては省電力状態に移行するまで長い時間がかかることもあり得る。
【0009】
しかしながら、ソフトウェアのアップデートでは、例えば脆弱性のようなユーザに大きな不利益をもたらす問題の修正を行う場合がある。このため、アップデートのための再起動はアップデートを行うべきであることが判明してからできるだけ早いタイミングで行うことが望ましい。これは何らかのネットワークに接続して動作することの多い近年の情報機器では特に重要である。
【0010】
一方、再起動すると一般的に再起動前の情報機器の内部状態が失われる。この際、ユーザによる操作が無い時間がどれだけ継続したかを示す情報も失われていた。つまり、従来技術では再起動すると、ユーザが設定した時間が経過するまでの間通常状態のまま省電力状態に移行しなかった。
【0011】
このためユーザが設定した省電力状態移行までの時間が長いと、再起動前と再起動後を合計すると省電力状態にならないでいる時間が長くなり、消費電力を十分に節減できないという問題があった。
【0012】
そこで本発明は情報機器が省電力状態に移行するまで待たずに情報機器を再起動した場合であっても、機器の再起動をはさんで消費電力を十分に節減できる再起動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係わる画像形成装置の代表的な構成は、消費電力を節減する省電力状態を持つ画像形成装置(1)であって、前記画像形成装置は処理動作を行わないまま経過した経過時間を計時し、経過時間が第1の所定時間に達すると画像形成装置を省電力状態に移行するように構成されたコントローラ(102)を備え、さらに前記コントローラは、画像形成装置が再起動を行った後も、再起動前から引き続いて前記経過時間を計時するように構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の画像形成装置によれば、コントローラを再起動した場合も画像形成装置がジョブ実行せずに経過した経過時間が再起動前後で保持されるようになり、再起動後に画像形成装置が省電力状態へ移行するまでに不要に時間を要することが無い。これにより、再起動前後での消費電力を節減することができる。
【0015】
また、画像形成装置が省電力状態などの特定の状態になることを待たずとも、速やかにコントローラを再起動できるので、画像形成装置に組み込まれたソフトウェアを、常に最新に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は制御ソフトウェアアップデート処理のフローチャート、(b)はコントローラ部の再起動処理のフローチャートである。
【図2】本発明の実施の形態としての画像形成装置のブロック図である。
【図3】画像形成装置の操作部を示す図である。
【図4】画像形成装置のコントローラ部を示すブロック図である。
【図5】不揮発性記憶装置の領域分割の様子を示す概念図である。
【図6】コントローラ部の省電力制御処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
図2は本発明による再起動制御手法を適用した画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0018】
上記画像形成装置1は、リーダ部101、プリンタ部103、操作部104、画像記憶部105と、これら各構成要素に接続されて該構成要素を制御する単一の電子部品からなる制御装置(コントローラ部)102で構成されている。リーダ部101は画像データの読取処理を行う装置であり、プリンタ部103は画像データの出力処理を行うプリンタ装置である。操作部104は画像データの入出力操作を行うキーボード、及び画像データや各種機能の表示/設定などを行う液晶パネルを備えている。また、画像記憶部105はリーダ装置101を制御して読み込んだ画像データや、電話回線108を介して受信したFAX文書データ、LAN109を介してホストコンピュータ106より受信した画像データを格納/保存する装置である。
【0019】
上記コントローラ部102は、リーダ部101を制御して原稿の画像データを読込み、プリンタ部103を制御して画像データを記録用紙に出力してコピー機能を提供する。さらに、コピー機能に加えて以下のような機能を有する。まず、リーダ部101から読み取った画像データをコードデータに変換し、ネットワーク109を介してホストコンピュータ106,107へ送信するスキャナ機能を有する。次に、ホストコンピュータからネットワーク109を介して受信したコードデータを画像データに変換し、プリンタ部103に出力するプリンタ機能を有する。そして、電話回線108を介して文書データを送受信するFAX機能、その他の機能ブロックを有する。
【0020】
また、上記コントローラ部102は上述のような機能を提供することに加えて、画像形成装置1における消費電力を節減するための省電力制御を行う。コントローラ部102は後述のように所定の条件により、リーダ部101、プリンタ部103、操作部104などの各部に消費電力を低減させる省電力状態への移行指示を行う。あるいは、後述の操作部に設けられたボタンなど、省電力状態を解除するための指示手段からの入力を受け付けた場合には、各部に対して省電力状態の解除指示を行う。
【0021】
加えてコントローラ部102はコントローラ部102自身に組み込まれた制御ソフトウェアを自動的に最新のものにアップデートする機能を有する。コントローラ部102は定期的にLAN109を通じてサーバ107にアクセスし、サーバ107上に新しい制御ソフトウェアが存在していれば、自身に組み込まれたソフトウェアを更新する。
【0022】
図3は、操作部104の例を示す図である。上記操作部104は、画像形成装置1によって実行されるコピー機能やプリント機能、FAX機能などの選択を指示することや、これらの機能の動作開始を指示することが可能である。また、これら機能の動作の詳細、例えばコピー機能の場合、種々のコピーモード(例えば、両面設定、グループ、ソート、ステイプル出力等)を設定することが可能である。なお、これらの指示手段はハードキーであっても、タッチパネルに表示されるソフトキーであっても良い。
【0023】
また、この実施の形態では、上記操作部104には、画像形成装置が省電力状態に移行している場合に、省電力状態の解除を指示する操作ボタン(202)などが設けられている。
【0024】
図4はコントローラ部102の詳細を示すブロック図である。このコントローラ部102は、画像形成装置1の動作を制御するCPU301と、このCPU301とバスブリッジ302を介して接続されたROM303,RAM304、および復帰要因レジスタ305とを備える。加えて上記CPU301はバスコントローラ302を介して不揮発性記憶装置311と接続されている。この不揮発性記憶装置311はハードディスク駆動装置(HDD)でもよいし、フラッシュメモリなどでもよい。
【0025】
RAM304は、CPU301で実行すべき画像形成装置制御ソフトウェアのコンピュータプログラムのコードや処理すべき画像データなどを保持するための主記憶メモリである。RAM304は揮発性の記憶素子、一般的にはDRAMで構成される。ROM303には電源投入時にハードウェアのチェックや初期化を行うBIOS(Basic Input Output System)と呼ばれる初期プログラムが記憶されている。このBIOSはコントローラ部102の起動時、後述する不揮発性記憶装置311からプログラムコードをRAM304に読み込み、CPU301で実行を開始させる役割を果たす。
【0026】
また、上記CPU301は、バスコントローラ302を介して、操作部インターフェース306、リーダ部インターフェース307、プリンタ部インターフェース308、FAX制御部309、ネットワーク制御部310と接続されている。上記操作部インターフェース306には操作部104が、リーダ部インターフェース307にはリーダ部101が、プリンタ部インターフェース308にはプリンタ部103がそれぞれ接続されている。リーダ部インターフェース307はリーダ部101とコントローラ102との間のコマンドを制御するインターフェースであり、リーダ部101はCCDなどを用いた画像読取装置である。一方、プリンタ部インターフェース308は、プリンタ部103とコントローラ102間のコマンドを制御するインターフェースである。プリンタ部103は、電子写真方式などによるカラーや白黒のプリントが可能なように構成されている。
【0027】
尚、FAX制御部309は、図示しない電話回線を介して送られてくる画像データを展開したり、画像データを圧縮して電話回線を介して送信したりするためのものである。ネットワーク制御部310は、ネットワークのインターフェースを制御するコントローラであり、ネットワークとしては一般的にイーサネット(登録商標)があげられる。
【0028】
さらに、上記CPU301は、バスコントローラ102及びネットワーク制御部310あるいはFAX制御部309を介して、LANや電話回線などからなるネットワークによって図示しないパーソナルコンピュータなどと接続可能となっている。
【0029】
図5はこの実施形態における不揮発性記憶装置の記憶内容を図示したものである。不揮発性記憶装置311は、ハードディスク駆動装置(HDD)に代表されるような電源を遮断してもデータを保持しつづける、不揮発性の記憶媒体である。こうした不揮発性記憶装置は内部をいくつかの区画に区切って利用することができる。図5はその区画分割の例である。本発明の実施の形態における不揮発性記憶装置311は、画像領域401およびシステム領域402、状態保存領域403の3つの区画から構成される。
【0030】
画像領域401は画像形成装置1における画像記憶部105として利用する。システム領域402はCPUで実行されるプログラムコードを記憶している。状態保存領域403は画像形成装置1の動作に関する設定などの画像形成装置1の電源が切られている間も保持しておくべき状態情報を記憶しておくための領域である。
【0031】
図6はコントローラ部102による画像形成装置1の省電力制御動作を説明したフローチャートである。画像形成装置1が起動し通常状態となると、CPU301はまずステップ301において、画像形成装置1がコピーあるいはプリントなどのジョブを実行せずに待機している時間をカウントする経過時間Tを0に初期化する。続いてステップ302において、CPU301は画像形成装置1がジョブを実行中であるかどうかを判断する。ジョブを実行中である場合にはステップ301に戻り経過時間Tを0に戻す。ジョブを実行していない場合にはステップ303に進む。
【0032】
ステップ303においてCPU301は経過時間Tを増加させ、ジョブ実行していない状態で経過した時間を計時する。
【0033】
次のステップ304においてCPU301は画像形成装置1の再起動が必要な状態であることを示す再起動必要フラグが立っているかどうかを確認する。フラグが立っている場合にはCPU301はステップ306の処理に進む。フラグが立っていない場合にはステップ305の処理に進む。再起動が必要な状態、およびステップ306での動作については後述する。
【0034】
ステップ305においてCPU301は省電力移行時間Sと経過時間Tを比較する。省電力移行時間Sは、どれだけの長さの時間ジョブを実行せずに待機が続いた場合に画像形成装置を省電力状態に移行すべきかを示す設定値である。省電力移行時間Sの値はユーザが操作部104を通じて任意の値に設定することができる。経過時間Tが省電力移行時間Sを超過していない場合にはCPU301はステップ302に戻り、経過時間の計時を継続する。一方、経過時間Tが省電力移行時間Sを超過している場合、CPU301は画像形成装置1を省電力状態へ移行させる。
【0035】
CPU301はリーダ部101、プリンタ部103、操作部104、画像記憶部105の各部を制御して省電力状態に移行させ、最後にコントローラ部102を省電力状態に移行する。省電力状態ではCPU301への電源供給を停止するように構成されており、コントローラ部102の消費電力を最小限に抑えることができる。しかしコントローラ部102が省電力状態にある場合であってもRAM304には電力供給がなされるよう構成されており、RAM304記憶された内容が保持されるようになっている。
【0036】
画像形成装置1が省電力状態にある時、ユーザによる操作部の操作、ネットワークからの印刷データ受信、FAX着信などの要因のいずれかが発生すると、コントローラ部102は省電力状態を解除し、通常状態に復帰する。
【0037】
コントローラ部102の復帰においては、まずCPU301に電源供給を再開し、CPU301がRAM304に保持されていた内容に基づいて動作を再開する。CPU301はコントローラ部102が通常状態に戻るとリーダ部101、プリンタ部103、操作部104、画像記憶部105の各部を制御して各部の省電力状態を解除し、画像形成装置1を通常状態に復帰させる。その時点でネットワークからの印刷データ受信やFAX着信などのジョブ実行が要求されている状態であれば、CPU301は当該ジョブの実行を開始する。開始したジョブが完了するか、あるいはジョブの実行が要求されていない場合にはCPU301は図6の処理を再度開始し、画像形成装置1の省電力制御を行う。
【0038】
次に、以上のように構成された複合機における処理動作例、すなわち本発明に係る画像形成装置の再起動方法について説明する。図1(a)および図1(b)は本実施の形態におけるコントローラ部102に組み込まれた画像形成装置の制御ソフトウェアをアップデートする際の処理を説明したフローチャートである。
【0039】
CPU301はネットワーク制御部301を通じて定期的にサーバ107にアクセスし、新しい制御ソフトウェアが存在しているかどうか調べる(ステップ101)。サーバ107は常に最新の制御ソフトウェアが保管されているサーバである。CPU301がサーバ107にアクセスして確認する頻度は、例えば1週間に1回程度、決まった時刻に行うことが望ましい。この確認頻度はユーザが設定できるようにしても良い。また、サーバ107は画像形成装置1と同一のローカルネットワーク内に存在していても良いし、インターネットなどの外部のネットワークを通じてアクセスする構成でもよい。
【0040】
CPU301は例えばHTTP(HyperText Transfer Protocol)のような通信プロトコルを用いてサーバ107と通信し、サーバ上に置かれた制御ソフトウェアのタイムスタンプを確認する。
【0041】
ステップ102において、CPU301はサーバ上の制御ソフトウェアのタイムスタンプとシステム領域402に記録されている現在の制御ソフトウェアのタイムスタンプ比較する。もしも、システム領域402に記録されている制御ソフトウェアと同じか古い日付であるならば、CPU301は何もせずに処理を終了する。一方、サーバ上の制御ソフトウェアのほうが新しい日付であるならばCPU301はサーバ107から最新の制御ソフトウェアをダウンロードする(ステップ103)。CPU301はステップ104において、ダウンロードされた新しい制御ソフトウェアを不揮発性記憶装置311のシステム領域402に書き込む。これによりシステム領域402には、それまで格納されていた制御ソフトウェアに代わって新しい制御ソフトウェアが格納された状態となる。
【0042】
この時、新しくシステム領域402に格納された制御ソフトウェアがCPU301において実行されるためには、画像形成装置1を再起動する必要がある。しかし、システム領域402への新しいソフトウェアの格納が完了しても、CPU301はすぐには画像形成装置の再起動を開始しない。
【0043】
CPU301はステップ105において、再起動が必要な状態であることを示す再起動必要フラグをセットする。そしてCPU301は図6のフローチャートの処理に移り、再起動開始の条件が満たされるのを待つ。
【0044】
これは、例えばユーザが複数の文書をコピーしようとしている場合のように、1つのジョブが完了した直後に次のジョブの実行が始まる場合があるからである。そのような、すぐに次のジョブが実行されるような場面で再起動を開始してしまうと、ユーザは再起動完了まで待たされることになり、好ましくない。そこで本実施の形態における画像形成装置は、ジョブを実行していない状態が少なくとも所定の時間継続している場合に再起動するよう構成される。
【0045】
CPU301は画像形成装置1がジョブを実行しないまま少なくとも再起動待機時間Rが経過している場合に直ちに画像形成装置1の再起動を開始し、未だ経過していない場合は再起動待機時間Rが経過するまで再起動を開始せずに待機する。この時、再起動待機時間Rは省電力移行時間Sよりも十分短い時間に設定する。一例としては、省電力移行時間Sが30分である時、再起動待機時間Rは10分とするように構成する。
【0046】
このように構成することで、ユーザが画像形成装置を使用する際に再起動を開始してしまうことを避けつつ、速やかに画像形成装置を再起動することができる。また、この再起動待機時間Rは固定された時間の長さでもよいし、ユーザが設定できるようにしても良い。
【0047】
図6のステップ304以降の処理が、上記のように制御ソフトウェアのアップデートのため再起動が必要となった場合の処理である。ステップ304においてCPU301は前述の再起動が必要な状態であることを示す再起動必要フラグが立っているかどうかを確認する。フラグが立っている場合にはCPU301はステップ306の処理に進む。
【0048】
CPU301はステップ306において再起動待機時間Rと経過時間Tを比較することにより再起動開始の可否を判断する。経過時間Tが再起動待機時間Rを超過していない場合にはCPU301はステップ302に戻り、経過時間の計時を継続する。一方、経過時間Tが再起動待機時間Rを超過している場合、CPU301は直ちに画像形成装置1の再起動を開始する。
【0049】
図1(b)は上記のように再起動開始と判断された場合におけるCPU301の動作の一例を示したフローチャートである。まず、ステップ201においてCPU301は画像形成装置1がジョブを実行しないまま経過した経過時間Tの現在の値を不揮発性記憶装置311の状態保存領域403に保存する。そしてCPU301はステップ202において再起動が必要な状態であることを示す再起動必要フラグをクリアする。
【0050】
ステップ203においてCPU301はコントローラ部102のハードウェアリセットを行う。これによりコントローラ部102を含めた画像形成装置1全体が再起動される。
【0051】
再起動により、CPU301の状態およびRAM304の内容が初期化され、CPU301はROM303に格納された初期プログラムの実行を開始する。CPU301はこの初期プログラムを実行することにより不揮発性記憶装置311のシステム領域402から制御ソフトウェアを主記憶であるRAM304にロードする(ステップ204)。これにより、アップデート処理でシステム領域402に格納された新しい制御ソフトウェアがCPU301で実行を開始される。
【0052】
ステップ205において画像形成装置1が起動し通常状態となった際、CPU301は状態保存領域403の内容を確認する。CPU301は状態保存領域403に再起動前の経過時間Tの値が保存されていた場合、これを読み出して経過時間Tを保存されていた値で上書きする。また、状態保存領域403に保存されている経過時間Tの値はクリアする。これにより、再起動前の経過時間Tの値が復帰され、再起動前の状態から引き続いて経過時間Tの値をカウントすることが可能となる。
【0053】
上記の再起動処理が完了すると、CPU301は図6のフローチャートの処理に移り、ジョブ実行せずに経過した時間を計時し始める。
【0054】
以上のように、本実施の形態で説明した画像形成装置によれば、画像形成装置がジョブを実行しない状態で経過した経過時間を画像形成装置の再起動前後で保持することにより、再起動後に再起動前から引き続いて経過時間を計時することができる。このため、画像形成装置が省電力状態へ移行するまでに不要に時間を要することが無く、再起動を行った後に画像形成装置が通常状態でいる時間が長くなることがない。これにより、再起動前後での消費電力を節減することができる。
【0055】
また、画像形成装置が省電力状態などの特定の状態になることを待たずとも、速やかにコントローラを再起動できるので、画像形成装置に組み込まれたソフトウェアを、常に最新に保つことができる。すなわち、不都合の修正を含むような画像形成装置の制御ソフトウェアのアップデートを速やかに行うことができ、画像形成装置を良好に保つことができる。
【0056】
また、本実施形態では画像形成装置に組み込まれたソフトウェアのアップデートに際して画像形成装置を再起動する構成について述べたが、これは一例であって本発明はこれに限定されるものではない。所定の時間処理を行わなかった場合に省電力状態に移行する画像形成装置であって、必要時に再起動を行うものであれば同様に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0057】
102・・コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消費電力を節減する省電力状態を持つ画像形成装置(1)であって、
前記画像形成装置は処理動作を行わないまま経過した経過時間を計時し、経過時間が第1の所定時間に達すると画像形成装置を省電力状態に移行するように構成されたコントローラ(102)を備え、
さらに前記コントローラは、画像形成装置が再起動を行った後も、再起動前から引き続いて前記経過時間を計時するように構成されることを特徴とする画像形成装置
【請求項2】
前記請求項1の画像形成装置(1)であって、
前記コントローラ(102)は消費電力を節減する省電力状態をもち、
画像形成装置が省電力状態に移行する際は前記コントローラも省電力状態へ移行することを特徴とする画像形成装置
【請求項3】
前記請求項1の画像形成装置(1)であって、再起動が必要な状態であり、かつ前記コントローラ(102)が処理動作を行わないまま経過した経過時間が第2の所定時間に達すると再起動を行うよう構成され、
前記第2の所定時間は前記第1の所定時間よりも短いことを特徴とする画像形成装置


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−81718(P2012−81718A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232108(P2010−232108)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】