説明

画像形成装置

【課題】後処理装置を設置する際に、ケーブルの断線が発生しにくい画像形成装置を提供すること。
【解決手段】画像形成本体装置2と後処理装置100とを連結する連結装置200は、一方の装置2に組み付けた第1連結部310の連結移動方向X2への相対移動によって装置2,100相互が結合された連結維持状態又は装置相互が離反可能な連結解除可能状態を形成する連結機構部300と、第1連結部310の一端部付近を通って両装置2,100を電気的に接続するケーブル部材400と、第1連結部310の一端部を一方の装置2に固定する第1固定部500と、一方の装置2の一側に外方に向けて開放したケーブル収容空間601にケーブル部材400を収容するケーブル案内部材600と、を備え、ケーブル案内部材600には、第1固定部500を覆い隠すカバー部621を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに画像を形成する画像形成本体装置と、前記画像形成本体装置から排出されたシートに対して後処理を行う後処理装置と、画像形成本体装置と後処理装置とを組み付ける連結装置とを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置の画像形成本体装置は、一般的に、複数の像担持体(感光体ドラム)と、像担持体に形成された静電潜像をトナー画像に変換する現像器と、像担持体に形成されたトナー画像を用紙等のシートに転写する転写部と、シートに転写されたトナー画像をシートに定着させる定着部と、を備える。
また、画像形成装置には、更に、画像形成本体装置から排出された用紙に対して後処理(パンチ処理、ステープル処理、中折処理等)を行う後処理装置を備えるものがある(特許文献1参照)。
【0003】
画像形成装置は、画像形成本体装置に後処理装置を容易に連結できるように、画像形成本体装置と後処理装置とを着脱可能に連結する連結装置を備える。
また、画像形成本体装置と後処理装置とは、着脱可能なコネクタを備えたケーブル部材を介して電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−217182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
後処理装置と画像形成本体装置とが確実に連結されていない状態で、ケーブルが後処理装置に接続していると、後処理装置が画像形成本体装置に対して移動することにより、ケーブルの断線が発生するおそれがある。
【0006】
本発明は、後処理装置を設置する際に、ケーブルの断線が発生しにくい画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、シートに画像を形成する画像形成本体装置と、前記画像形成本体装置から排出されたシートに対して後処理を行う後処理装置と、前記画像形成本体装置と前記後処理装置とを連結する連結装置と、を備える画像形成装置であって、前記連結装置は、前記画像形成本体装置又は前記後処理装置のいずれか一方の装置である第1装置の一側から所定の連結部移動方向に相対移動可能に前記第1装置に組み付けられる第1連結部を有し、前記画像形成本体装置と前記後処理装置との連結状態を、前記第1連結部の相対移動によって、前記画像形成本体装置と前記後処理装置とが離反不可に結合された連結維持状態、又は前記画像形成本体装置と前記後処理装置とが離反可能な連結解除可能状態に切り替え可能な連結機構部と、前記第1装置の一側に位置する前記第1連結部の一端部付近を通って前記画像形成本体装置と前記後処理装置とを電気的に接続し、かつ、前記画像形成本体装置又は前記後処理装置に対して取り外し可能なケーブル部材と、前記第1連結部が前記連結維持状態を形成する位置から前記第1装置に対して前記連結部移動方向に相対移動しないように、前記第1連結部の前記一端部を前記第1装置の一側に着脱可能に固定する第1固定部と、前記ケーブル部材の前記画像形成本体装置又は前記後処理装置への接続操作及び接続解除操作を前記第1装置の一側外方から可能なように、前記第1装置の一側外方に向けて開放したケーブル収容空間に前記ケーブル部材を収容するケーブル案内部材と、を備え、前記ケーブル案内部材には、前記第1固定部を覆い隠すカバー部と、該カバー部が前記第1固定部を覆い隠す状態で前記ケーブル案内部材を前記第1装置に着脱可能に固定する第2固定部と、を備える画像形成装置に関する。
【0008】
また、前記第1連結部は、前記連結部移動方向に沿って延在する前記第1装置上の棒状構造材に対して前記連結部移動方向に摺動自在に係合する第1案内部を有し、前記棒状構造材と前記第1案内部との係合により、前記第1装置に対する前記第1連結部の相対移動方向が所定の方向に規制されることが好ましい。
【0009】
また、前記第1連結部は、前記第1装置の一側に位置する前記一端部に、前記第1連結部の前記連結部移動方向の他側への相対移動の際に前記第1装置上の突き当て用構造部材に当接して、前記連結維持状態を維持する位置に前記第1連結部を位置決めする当接板部を有することが好ましい。
【0010】
また、前記連結部移動方向は、前記画像形成本体装置と前記後処理装置との離反方向と直交する第1方向であり、前記連結機構部は、前記第1連結部と、前記画像形成本体装置又は前記後処理装置のいずれか他方の装置である第2装置に組み付けられた第2連結部と、を備え、前記第2連結部は、前記第2装置から前記離反方向に沿って第1装置側に突出した柱部と、前記柱部に前記連結部移動方向に沿って窪んで形成された係合凹部と、を有し、前記第1連結部は、前記連結部移動方向への相対移動によって前記当接板部が前記突き当て用構造部材に当接したときに、前記係合凹部に差し込まれる差込部を有し、前記連結機構部は、前記係合凹部と前記差込部との係合により前記連結維持状態を形成することが好ましい。
【0011】
また、前記第1装置は、前記係合凹部に前記差込部が差し込まれた状態において、前記柱部が前記第1装置に対して前記連結部移動方向に移動することを規制する柱部移動規制部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、後処理装置を設置する際に、ケーブルの断線が発生しにくい画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態としてのコピー機1における各構成要素の配置を説明するための正面図である。
【図2】図1に示したコピー機1のコピー機本体2と後処理装置100とを分割した状態を示す外観斜視図である。
【図3】図2に示したコピー機1のコピー機本体2を省略した状態を示す外観斜視図である。
【図4】図3に示したコピー機1においてコピー機本体2と後処理装置100との連結を解除する手順を説明するための外観斜視図である。
【図5】図4に示したコピー機本体2と後処理装置100との連結を解除する手順を説明するための別の方向から見た外観斜視図である。
【図6】図4に示した連結装置200の部分外観斜視図である。
【図7】図4に示した連結装置200の部分断面図である。
【図8】図5に続く連結装置200による連結を解除する手順を説明するための外観斜視図である。
【図9】図8に続く連結装置200による連結を解除する手順を説明するための外観斜視図である。
【図10】図9に続く連結装置200による連結を解除する手順を説明するための外観斜視図である。
【図11】他の実施形態における連結機構部の柱部322Aと第1連結部310Aとの係合構造の説明図である。
【図12】更に他の実施形態における連結機構部の柱部322Bと第1連結部310Bとの係合構造の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の画像形成装置の一実施形態に係るコピー機1について説明する。まず、コピー機1の全体構成について説明する。図1は、画像形成装置の一実施形態に係るコピー機1の全体構成を説明するための図である。
【0015】
コピー機1は、画像形成用のシートとしての用紙Tにトナー画像を形成するコピー機本体(画像形成本体装置)2と、コピー機本体2の用紙排出側に配置され、トナー画像が形成された用紙Tに対して穿孔処理、ステープル処理、中折り処理などを行う後処理装置100と、コピー機本体2と後処理装置100とを着脱可能に連結する連結装置200と、を備える。
コピー機本体2は、原稿搬送部10と、原稿読取部20と、第1用紙搬送部30と、画像形成部40と、転写部50と、定着部60とを備える。
【0016】
原稿搬送部10は、ADF(Auto Document Feeder)であり、原稿載置部11と、第1送りローラ12と、ガイド13と、タイミングローラ対14と、原稿排出部15とを備える。第1送りローラ12は、原稿載置部11に載置された原稿Gを1枚ずつ順にタイミングローラ対14に供給する。タイミングローラ対14は、原稿読取部20が原稿Gを読み取るタイミングと、原稿Gが原稿読取部20によって読み取られる位置(ガイド13が配置されている位置)に原稿Gを供給するタイミングとを合わせるために、原稿Gの搬送又は原稿Gの搬送停止を行う。ガイド13は、搬送された原稿Gを後述する第1読取面21aに導く。原稿排出部15は、原稿読取部20によって読み取られた(ガイド13を通過した)原稿Gをコピー機本体2の外部に排出する。
原稿排出部15におけるコピー機本体2の外側には、原稿集積部16が形成される。原稿集積部16には、原稿排出部15から排出された原稿Gが積層して集積される。
【0017】
原稿読取部20は、第1読取面21aと、第2読取面22aとを備える。第1読取面21aは、ガイド13に対向して配置された第1コンタクトガラス21の上面に沿って形成され、原稿Gを読み取る面となる。第2読取面22aは、第1読取面21aに隣接して(図1に示す場合では、第1読取面21aの右側の大部分に亘って)配置される。第2読取面22aは、原稿搬送部10を用いずに原稿Gを読み取る場合に用いられる。第2読取面22aは、原稿Gが載置される第2コンタクトガラス22の上面に沿って形成され、原稿Gを読み取る面となる。
【0018】
また、原稿読取部20は、照明部23と、第1ミラー24と、第2ミラー25と、第3ミラー26と、結像レンズ27と、撮像部28とをコピー機本体2の内部に備える。照明部23と第1ミラー24とは、それぞれ副走査方向Xに移動する。第2ミラー25と第3ミラー26とは、図1において照明部23及び第1ミラー24の左側に配置される。更に、第2ミラー25及び第3ミラー26は、第1ミラー24と、第2ミラー25と、第3ミラー26と、結像レンズ27とを介した第1読取面21a又は第2読取面22aから撮像部28までの距離(光路長)を一定に保ちつつ、それぞれ副走査方向Xに移動する。
【0019】
照明部23は、原稿Gに光を照射する光源である。第1ミラー24、第2ミラー25及び第3ミラー26は、光路長を一定に保ちつつ、原稿Gによって反射された光を結像レンズ27に導くためのミラーである。結像レンズ27は、第3ミラー26から入射した光を撮像部28に結像させる。撮像部28は、主走査方向(副走査方向Xに直交する方向)に沿って並べられた複数の撮像素子を備える。撮像素子は、入射された光を電気信号に変換することにより、結像された光像に基づいて画像データを得るための素子であり、例えば、電荷結合素子(CCD)等である。
【0020】
第1用紙搬送部30は、第2送りローラ31と、第3送りローラ32と、レジストローラ対33と、切換部39と、第1用紙排出部34と、第2用紙排出部38とを備える。第2送りローラ31は、給紙カセット36に収容される用紙Tを転写部50に供給する。第3送りローラ32は、手差しトレイ37に載置される用紙Tを転写部50に供給する。レジストローラ対33は、転写部50にトナー画像が形成されるタイミングと、転写部50に用紙Tを供給するタイミングとを合わせるために、用紙Tの搬送又は用紙Tの搬送停止を行う。また、レジストローラ対33は、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正を行う。切換部39は、第1用紙排出部34及び第2用紙排出部38のいずれか一方に定着部60から搬出された用紙Tを搬送するように、用紙Tの搬送方向を切り換える。第1用紙排出部34及び第2用紙排出部38は、トナー画像が定着された用紙Tをコピー機本体2の外部に排出する。第1用紙排出部34におけるコピー機本体2の外側には、排紙集積部35が形成される。排紙集積部35には、第1用紙排出部34から排出された用紙Tが積層して集積される。
【0021】
画像形成部40は、感光体ドラム41と、帯電部42と、レーザスキャナユニット43と、現像器44と、クリーニング部45と、トナーカートリッジ46と、1次転写ローラ47と、中間転写ベルト48と、対向ローラ49とを備える。
感光体ドラム41(41a,41b,41c,41d)は、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローそれぞれのトナー画像を形成するために、感光体又は像担持体として機能する。各感光体ドラム41a,41b,41c,41dの周囲には、感光体ドラム41の回転方向に沿って上流側から下流側へ順に、帯電部42と、レーザスキャナユニット43と、現像器44と、クリーニング部45とが配置される。帯電部42は、感光体ドラム41の表面を帯電させる。レーザスキャナユニット43は、感光体ドラム41の表面から離れて配置され、原稿読取部20によって読み取られた原稿Gに関する画像データに基づいて感光体ドラム41の表面を走査露光する。これにより、感光体ドラム41の表面には、露光された部分の電荷が除去されて静電潜像が形成される。現像器44は、感光体ドラム41の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー画像を形成する。クリーニング部45は、除電器(図示せず)によって感光体ドラム41の表面が除電された後のその表面に残るトナー等を除去する。
トナーカートリッジ46は、現像器44に供給される各色のトナーを収容する。トナーカートリッジ46と現像器44とは、トナー供給路(図示せず)により接続されている。
【0022】
1次転写ローラ47(47a,47b,47c,47d)は、中間転写ベルト48における各感光体ドラム41a,41b,41c,41dとは反対側にそれぞれ配置される。中間転写ベルト48は、画像形成部40及び転写部50を通過するベルトである。中間転写ベルト48の一部分は、各感光体ドラム41a,41b,41c,41dと各1次転写ローラ47a,47b,47c,47dとの間に挟み込まれ、各感光体ドラム41a,41b,41c,41dの表面に形成されたトナー画像が1次転写される。対向ローラ49は、環状形状の中間転写ベルト48の内側に配置され、中間転写ベルト48を図1に示す矢印A方向に進行させるための駆動ローラである。
【0023】
転写部50は、2次転写ローラ51を備える。2次転写ローラ51は、中間転写ベルト48における対向ローラ49とは反対側に配置され、中間転写ベルト48の一部分を対向ローラ49との間に挟みこむ。更に、2次転写ローラ51は、中間転写ベルト48に1次転写されたトナー画像を用紙Tに2次転写させる。
【0024】
定着部60は、加熱回転体61と、加圧回転体62とを備える。加熱回転体61と加圧回転体62とは、トナー画像が2次転写された用紙Tを挟み込んで、トナーを溶融及び加圧し、そのトナーを用紙Tに定着させる。
【0025】
後処理装置100は、搬送部としての第2用紙搬送部110と、穿孔部120と、ステープル部130と、中折部140とを備える。
第2用紙搬送部110は、搬入部111と、分岐ガイド112と、第1排出部113とを備える。搬入部111は、コピー機本体2の第2用紙排出部38から排出された用紙Tを後処理装置100の内部に搬入して、その用紙Tを穿孔部120に搬送する。分岐ガイド112は、穿孔部120から排出された用紙Tの搬送方向を第1排出部113及びステープル部130のいずれか一方に切り換える。第1排出部113は、穿孔部120から排出された用紙T及びステープル部130から排出された用紙Tを後処理装置100から排出する。第1排出部113における後処理装置100の外側には、メイントレイ114が配置される。メイントレイ114には、第1排出部113から排出された用紙Tが積層して集積される。
穿孔部120は、用紙Tを綴じるために用いられる孔を用紙の所定位置に形成する穿孔処理に関わる一連の処理を行う。
【0026】
ステープル部130は、用紙Tをステープル(綴じ針)により綴じ止めする(ステープル処理)ものであり、用紙受台131と、受止部132と、ステープル処理部133と、搬送ローラ134とを備える。用紙受台131は、分岐ガイド112の切り換えによって穿孔部120から搬入される複数の用紙Tを一時的に貯留する。受止部132は、用紙受台131に搬入された用紙Tの下端部を受け止めて保持する。ステープル処理部133は、用紙受台131に一時的に貯留される用紙Tの端付近又は中央付近に移動して、用紙Tの端付近又は中央付近にステープル処理を行う。搬送ローラ134は、用紙Tの中央付近にステープル処理が行われた(中綴じされた)用紙束を用紙受台131から中折部140に搬送する。
【0027】
中折部140は、中綴じされた用紙束を中央付近から2つ折りにする(中折り処理)ものであり、中折受台141と、押込み部142と、中折ローラ対143と、第2排出部144とを備える。中折受台141は、ステープル部130により中綴じされた用紙束を載置する。押込み部142は、中折受台141に載置された用紙束に対して直交する方向に移動可能に設けられ、用紙束に向けて移動することにより、用紙束に対して押込み部142とは反対側に配置された中折ローラ対143に用紙束の中央付近(ステープル処理が施されている部分)を押込む。中折ローラ対143は、押込み部142によって押込まれた用紙束を折り畳んでブック綴じ状態にすると共に、折り畳まれた用紙束を第2排出部144へ搬送する。第2排出部144は、折り畳まれた用紙Tを後処理装置100から排出する。第1排出部113における後処理装置100の外側には、排出トレイ145が配置される。排出トレイ145には、第2排出部144から排出された用紙束が集積される。
【0028】
次に、本実施形態のコピー機1に装備した連結装置200について、図2〜図10を参照して説明する。図2は、図1に示したコピー機1のコピー機本体2と後処理装置100とを分割した状態を示す外観斜視図である。図3は、図2に示したコピー機1のコピー機本体2を省略した状態を示す外観斜視図である。図4は、図3に示したコピー機1においてコピー機本体2と後処理装置100との連結を解除する手順を説明するための外観斜視図である。図5は、図4に示したコピー機本体2と後処理装置100との連結を解除する手順を説明するための別の方向から見た外観斜視図である。
図6は、図4に示した連結装置200の部分外観斜視図である。図7は、図4に示した連結装置200の部分断面図である。図8は、図5に続く連結装置200による連結を解除する手順を説明するための外観斜視図である。図9は、図8に続く連結装置200による連結を解除する手順を説明するための外観斜視図である。図10は、図9に続く連結装置200による連結を解除する手順を説明するための外観斜視図である。
【0029】
本実施形態の連結装置200は、画像形成本体装置であるコピー機本体2と後処理装置100とを着脱可能に連結する装置である。
図2〜図7に示すように、連結装置200は、連結機構部300と、ケーブル部材400と、第1固定部500と、ケーブル案内部材600と、を備えている。
【0030】
なお、本実施形態の連結装置200は、コピー機本体2及び後処理装置100のそれぞれに組み付ける部品である。そのため、以下の連結装置200の説明では、部品を組み付ける装置が特定機能の一方の装置(例えば、コピー機本体2)に限定されないことを明示する意味で、コピー機本体2及び後処理装置100の2つの装置の内の一方の装置である後処理装置100を第1装置100と呼称し、2つの装置の内の他方の装置であるコピー機本体2を第2装置2と呼称する。
【0031】
連結機構部300は、第1装置100に組み付けられる第1連結部310と、第2装置2に組み付けられる第2連結部320と、を備えている。
【0032】
第1連結部310は、金属板製で、図2、図6及び図7に矢印X1で示す連結部移動方向に沿って帯状に延在する連結用帯板部311と、連結用帯板部311の上端縁に連設された第1案内部312と、当接板部313とを備えている。当接板部313は、第1装置100の一側(図4では、第1装置100の前面102側)に位置する連結用帯板部311の一端部に連設している。
【0033】
本実施形態の場合、連結部移動方向X1は、第1装置100や第2装置2の奥行き方向である。また、連結部移動方向X1は、第1装置100と第2装置2とを分離させる時の装置相互の離反方向(図2及び図7の矢印Y1方向)と直交する方向である第1方向でもある。
【0034】
連結用帯板部311は、第2装置2に突き合される第1装置100の垂直な端面101と平行で、かつ連結部移動方向X1に沿って延在する帯板状の部位である。また、連結用帯板部311は、図2及び図7に示すように、連結部移動方向X1に離間した複数箇所(本実施形態では2箇所)に、後述する第2連結部320の柱部322が貫通する連結用遊嵌孔314を有する。更に、連結用遊嵌孔314の一側の縁には、それぞれ、図7に示すように、複数の差込部315が設けられている。複数の差込部315は、それぞれ、複数の連結用遊嵌孔314に貫通した第2連結部320の柱部322に係合する部位である。この差込部315については、第2連結部320の構造を説明する際に、更に詳しく説明する。
【0035】
第1案内部312は、図6及び図8に示すように、連結用帯板部311の上端縁を折り曲げて、開放部が垂直下方に向いたコ字状に成形して形成されたものである。このコ字状の折り曲げにより溝316が形成される。溝316は、連結部移動方向X1に沿って延在する第1装置100上の棒状構造材105に対して、連結部移動方向X1に摺動自在に係合する。棒状構造材105は、第1装置100の筐体の一部を構成する固定構造部材である。棒状構造材105は、連結部移動方向X1に延びる四角柱形状を有する。
第1連結部310は、連結部移動方向X1に沿って延在する第1装置100上の棒状構造材105と第1案内部312との係合によって、連結部移動方向X1に相対移動可能に、第1装置100に組み付けられる。換言すると、連結部移動方向X1に沿って延在する第1装置100上の棒状構造材105と第1案内部312との係合によって、第1装置100に対する第1連結部310の相対移動方向は、所定の方向(連結部移動方向X1)に規制されている。
【0036】
当接板部313は、第1装置100の一側(図3及び図4では、第1装置100の前面102側)に位置する第1連結部310の一端部に設けられている。更に詳しくは、当接板部313は、第1装置100の一側(図3及び図4では、第1装置100の前面102側)に位置する連結用帯板部311の一端部を、直角に折り曲げることで形成されている。この当接板部313は、第1連結部310の連結部移動方向X1の他側(図7の矢印X2側)への相対移動の際に、第1装置100上の突き当て用構造部材103に当接して、第1連結部310が更に図7の矢印X2側へ移動することを規制する。即ち、当接板部313が突き当て用構造部材103に当接することで、第1連結部310は、第2装置2と第1装置100とが離反不可に結合された連結維持状態を維持する位置に、位置決めされる。
第1装置100の突き当て用構造部材103は、第1装置100の筐体の一部を構成する固定構造部材である。
【0037】
以上に説明した第1連結部310は、第1装置100に取り付けるときは、図10に示すように、当接板部313が突き当て用構造部材103から取り外し方向(第1装置100の外方側で、図10の矢印X3方向)に距離L1だけ引き出された状態で、第1装置100に取り付けられる。第1連結部310は、図10に示すように当接板部313が突き当て用構造部材103から取り外し方向X3に距離L1だけ引き出された状態では、当接板部313を矢印X3とは逆方向に押し込むことで、当接板部313が突き当て用構造部材103に当接するまで、連結部移動方向X1に相対移動可能である。
更に、第1連結部310の第1装置100に対する取り付け状態を補足説明すると、第1連結部310は、図2に示すように、第1装置100の端面101に開口する搬入部111よりも下方となる適宜の高さ位置において、第1装置100の一側(図4に示す第1装置100の前面102側)から連結部移動方向X1に相対移動可能に第1装置100に組み付けられる。
【0038】
次に、第2連結部320について詳述する。
第2連結部320は、図2に示すように、第1装置100の垂直な端面101に突き合される第2装置2の垂直な端面201上で、第1装置100側の第1連結部310と対向する高さ位置に、固定されて装備される。この固定された位置は、図2に示すように、第2装置2の端面201に開口する第2用紙排出部38の下方側で、第1装置100における第1連結部310の取り付け高さに対応した位置である。
第2連結部320は、図2及び図7に示すように、支持基板321と、支持基板321に突出された複数の柱部322と、柱部322に形成される係合凹部323と、を有する。支持基板321は、第2装置2の垂直な端面201に、装置の奥行き方向に沿って固定されて装備されている。
【0039】
柱部322は、第2装置2から装置相互の離反方向(図7の矢印Y1方向)に沿って第1装置100側に突出した円柱状の部位である。また、柱部322の先端には、外径を先細りにする面取り322aが形成されている。複数の柱部322は、それぞれ、第1連結部310における複数の連結用遊嵌孔314が配置する位置に対応して配置されている。
【0040】
図10に示すように、第1連結部310の当接板部313が突き当て用構造部材103から距離L1だけ引き出された状態において、第2連結部320が取り付けられた第2装置2の端面201(図2参照)と、第2連結部320が固定された第1装置100の端面101(図2参照)とが突き合わされた状態にされると、図10に示すように、柱部322は、第1連結部310の連結用遊嵌孔314に貫通する。
【0041】
係合凹部323は、図7に示すように、第1連結部310の当接板部313と対向する柱部322の外周面に形成された窪みである。係合凹部323は、連結部移動方向X1に沿って、第1連結部310の押し込み方向(図7の矢印X2方向)に窪んで形成された溝である。係合凹部323は、図10に矢印Y3で示す垂直方向に貫通している。
【0042】
ここで、連結用遊嵌孔314の一側縁に形成された差込部315について、説明する。
差込部315は、第1連結部310を図10に示した初期の取り付け位置から、当接板部313が突き当て用構造部材103に当接するまで押し込んだときに、図9に示すように、係合凹部323に差し込まれる部位である。換言すると、差込部315は、第1連結部310の連結部移動方向X1への相対移動によって当接板部313が突き当て用構造部材103に当接したときに、係合凹部323に差し込まれて、係合凹部323と係合状態になり、柱部322が装置相互の離反方向(図7の矢印Y1方向)に移動することを規制する。
【0043】
また、差込部315は、図7に示すように、連結用遊嵌孔314の一側縁に延設された舌状部315aを折曲することで、係合凹部323の溝幅に対応する所定の幅寸法w1を確保している。また、差込部315は、舌状部315aの折曲部により剛性が向上しており、差込部315に係合する柱部322の位置を堅固に規制することができる。
【0044】
差込部315と係合凹部323との係合によって装置相互の離反方向への柱部322の移動が規制されると、第2装置2と第1装置100とが離反不可に結合された連結維持状態となる。即ち、連結機構部300は、係合凹部323と差込部315との係合により前記連結維持状態を形成する。また、図10に示したように、差込部315が係合凹部323から離脱している状態では、装置相互の離反方向への柱部322の移動が可能であり、この場合は、第2装置2と第1装置100とが離反可能な連結解除可能状態となる。
【0045】
換言すると、連結機構部300は、第2装置2と第1装置100との連結状態を、第1連結部310の相対移動によって、第2装置2と第1装置100とが離反不可に結合された連結維持状態、又は第2装置2と第1装置100とが離反可能な連結解除可能状態に切り替えることができる機構である。
【0046】
また、本実施形態の場合、図7に示すように、第1装置100は、係合凹部323に差込部315が差し込まれた状態において、柱部322が第1装置100に対して連結部移動方向X1に移動することを規制する柱部移動規制部340を有する。この柱部移動規制部340は、第1装置100の筐体に固定された構造部材で、柱部322が挿通する位置規制孔341によって、柱部322の連結部移動方向X1への移動や撓みを、係合凹部323と差込部315との係合が外れない範囲内に規制する。
【0047】
ケーブル部材400は、図2〜図4に示すように、主に第1装置100の内部に配置される電線束401と、電線束401の端部に接続されたコネクタ402とを備えている。このケーブル部材400の一端は、図4に示すように、第1装置100の一側に位置する第1連結部310の一端部の直近の上部を通って第1装置100内から、第2装置2側に引き出されている。第1装置100内から、第2装置2側に引き出されているケーブル部材400の一端側は、図6及び図7に示すように、連結部移動方向X1に沿う第1装置100内の敷設方向から直角に曲がって、第2装置2側(矢印Y1の方向)に延出するように、配置される。
【0048】
そして、第2装置2側に引き出されたケーブル部材400の一端のコネクタ402は、図2及び図5に示すように、第2装置2の端面201に窪んで形成されたコネクタ接続部204に挿入されて、コネクタ接続部204内に配置されている第2装置2内の不図示のコネクタに接続されて、第2装置2内の回路と電気的な接続を果たす。
【0049】
ケーブル部材400は、図5に示したように、第1装置100の一側に位置する第1連結部310の一端部付近を通って、第2装置2と第1装置100とを電気的に接続する。また、ケーブル部材400は、相手側とのコネクタの着脱によって、第1装置100に対して取り外し可能になっている。
【0050】
第1固定部500は、第1連結部310が連結維持状態を形成する位置(図7に示す位置)から第1装置100に対して連結部移動方向X1に相対移動しないように、第1連結部310の一端部を第1装置100の一側に着脱可能に固定する。本実施形態の場合、第1固定部500は、図7及び図9に示すように、突き当て用構造部材103に当接した第1連結部310の当接板部313を、突き当て用構造部材103に締結するねじ部材である。
【0051】
ケーブル案内部材600は、第1連結部310の一端部側に固定される樹脂製の部材である。ケーブル案内部材600は、図5に示すように、ケーブル部材400を収容するケーブル収容空間601を備える。ケーブル収容空間601は、ケーブル部材400の第2装置2への接続操作及び接続解除操作を第1装置100の一側外方から可能とするための空間である。ケーブル収容空間601は、第1装置100の一側外方に向けて開放した形状を有する。
【0052】
ケーブル収容空間601は、図6及び図7に示すように、ケーブル載置板部611と、ケーブル載置板部611から垂直に立ち上がる衝立板612と、第2装置2側に突出する樋状部613とを備えている。ケーブル載置板部611は、連結部移動方向X1に沿って第1装置100内を第1連結部310の一端部側に向かって配置された電線束401を載せて、ケーブル部材400を第2装置2側に引き出す高さ位置を規制する。
【0053】
衝立板612は、ケーブル載置板部611に載置された電線束401を、連結部移動方向X1に延びた電線束401の中間部位で第2装置2側に直角に曲げたL字状態に規制する。
樋状部613は、第1装置100の一側外方に向けて開放したケーブル収容空間601を形成しており、第2装置2側に引き出された電線束401を収容して保護する。樋状部613は、ケーブル部材400の一端のコネクタ402を第2装置2のコネクタ接続部204に着脱する際の電線束401の変位や撓みを許容する。
樋状部613は、図6に示すように、第2装置2に向かって上下方向(図6の矢印Y5方向)の幅が徐々に狭くなる先細りの形状になっている。このように、ケーブル収容空間601が先細りの形状に設定されたことで、樋状部613により案内されるケーブル部材400の端部の上下方向の振れを小さく抑えることができる。
【0054】
本実施形態のケーブル案内部材600には、図6に示すように、上記のケーブル収容空間601の他に、カバー部621と、第2固定部631と、を備える。
カバー部621は、図7に示すように、当接板部313の上に重なって、当接板部313を突き当て用構造部材103に固定している第1固定部500を覆い隠す。
【0055】
第2固定部631は、カバー部621が第1固定部500を覆い隠す状態で、ケーブル案内部材600を第1装置100に着脱可能に固定する部位である。
本実施形態の場合、第2固定部631は、図7に示すように、カバー部621を突き当て用構造部材103に締結するねじ部材である。第2固定部631の軸部は、当接板部313を貫通している。第2固定部631は、当接板部313とカバー部621とを突き当て用構造部材103に共締めしている。
【0056】
したがって、第2固定部631は、第1連結部310を突き当て用構造部材103に固定する手段としても機能する。これにより、第1連結部310の突き当て用構造部材103への固定強度を強化することができる。
【0057】
以上に説明したケーブル案内部材600及び、第1連結部310の一端部は、図4に示すように、連結操作ピット701内に納められている。連結操作ピット701は、第1装置100において連結部移動方向X1の一側に位置する前面102に窪んで形成されている。
この連結操作ピット701の開放面は、図3に示すように、第1装置100の外側壁部に着脱可能に取り付けられるピットカバー710によって覆われる。
【0058】
図3に示すように、ピットカバー710には、樋部カバー部720が装備されている。樋部カバー部720は、ケーブル案内部材600の樋状部613の開放面を覆って、ケーブル収容空間601に筒状空間形成する。
樋部カバー部720がピットカバー710に装備されることによって、樋部カバー部720は、樋状部613を挿通する電線束401が樋状部613の開放部から第1装置100の一側外方に離脱することを防止する。
【0059】
図5に示すように、第2装置2のコネクタ接続部204も、第2装置2の端面201に窪んで形成された連結操作ピット801内に納められている。そして、この連結操作ピット801の開放面は、図2に示すように、第2装置2の外側壁部に着脱可能に取り付けられるピットカバー810によって覆われる。
【0060】
次に、本実施形態の連結装置200によって第2装置2と第1装置100とを連結する際の手順、第2装置2と第1装置100との連結を解除する手順を簡単に説明する。
【0061】
[第2装置2と第1装置100とを連結する際の手順]
第2装置2と第1装置100とを連結する際の手順は、次の(1A)〜(5A)を順に行う。
【0062】
(1A)予め、図2に示すように、第2装置2の端面201に第2連結部320を固定して装備し、第1装置100の端面101に第1連結部310を連結部移動方向X1に相対移動可能に取り付けておく。また、各装置の連結操作ピット701、801からは、ピットカバー710、810を取り外しておく。
(2A)次いで、図10に示すように、当接板部313が突き当て用構造部材103から取り外し方向X3に距離L1だけ引き出された状態で、第1装置100と第2装置2との端面同士を突き合わせる突合工程を行う。突合工程により、第1連結部310の連結用遊嵌孔314に、第2連結部320の柱部322が貫通した状態になる。
【0063】
(3A)次いで、図9に示すように、当接板部313が突き当て用構造部材103に当接するまで、第1連結部310を連結部移動方向X1に押し込んで、柱部322の係合凹部323に第1連結部310の差込部315が係合した状態にする係合工程を行う。係合工程により、係合凹部323に差込部315が係合することで、第1装置100と第2装置2とが離反不可に結合された連結維持状態になる。そして、当接板部313を第1固定部500により突き当て用構造部材103に締結して固定する締結固定工程を行うことで、連結維持状態がロックされた状態(換言すると、第1装置100と第2装置2とが機械的に連結した状態)になる。
【0064】
(4A)次いで、ケーブル案内部材600を第1連結部310の一端部の上に位置決めし、図8に示すように、第2固定部631によりケーブル案内部材600を突き当て用構造部材103に固定する固定工程を行う。固定工程により、ケーブル案内部材600が突き当て用構造部材103に固定した状態になる。これにより、当接板部313を突き当て用構造部材103に固定している第1固定部500は、カバー部621により覆い隠されて、第1固定部500による固定が解除できなくなる。
【0065】
(5A)次いで、図6に示すように、ケーブル部材400をケーブル案内部材600のケーブル収容空間601に挿通させて、ケーブル部材400の一端のコネクタ402が第2装置2側に引き出された状態にする引出工程を行う。このとき、ケーブル部材400の電線束401は、ケーブル案内部材600のケーブル収容空間601の内部に確実に配置されるようにL字状に曲げられて、ケーブル収容空間601に挿通される。このため、コネクタ402がコネクタ接続部204に接続している状態においては、ケーブル案内部材600を突き当て用構造部材103から取り外すことは、容易でない。
更に、ケーブル案内部材600から第2装置2側に引き出したケーブル部材400のコネクタ402を、図5に示すように、第2装置2側のコネクタ接続部204に接続するコネクタ接続工程を行うことで、第1装置100と第2装置2との間の機械的な連結、及び電気的な連結の双方が完了する。
【0066】
以上の手順から明らかなように、第2装置2と第1装置100とを連結する一連の作業では、ケーブル部材400により第1装置100と第2装置2とを電気的に接続するコネクタ接続工程の作業は、必ず、第1装置100と第2装置2との機械的な連結の状態とする締結固定工程の作業が終了した後になる。
【0067】
[第2装置2と第1装置100との連結を解除する際の手順]
第2装置2と第1装置100との連結を解除する際の手順は、次の(1B)〜(4B)を順に行うもので、連結するときの手順とは略逆になる。
【0068】
(1B)まず、図5に示すように、各装置の連結操作ピット701,801を開いて、ケーブル部材400の接続部を露出させて、ケーブル部材400の一端のコネクタ402をコネクタ接続部204から取り外すコネクタ取外工程を行い、ケーブル部材400による電気的な連結を解除した状態にする。
【0069】
(2B)次いで、図8に示すように、ケーブル案内部材600のケーブル収容空間601からケーブル部材400の一端側を抜き出した状態にした後、第2固定部631による固定を解除して、図9に示すように、ケーブル案内部材600を突き当て用構造部材103から取り外す突当取外工程を行う。
突当取外工程により、ケーブル案内部材600を突き当て用構造部材103から取り外されると、図9に示すように、ケーブル案内部材600のカバー部621で覆い隠されていた第1固定部500が露出する状態になる。この状態で、第1固定部500による固定が解除できるようになる。つまり、ケーブル部材400の接続を解除して、ケーブル案内部材600を取り外す前に、第1固定部500による固定を解除することはできない。
【0070】
(3B)次いで、図10に示すように、第1固定部500による固定を解除する固定解除工程を行い、第1連結部310が矢印X3で示す取り外し方向に移動可能な状態にする。そして、第1連結部310を矢印X3で示す取り外し方向に引き出す引出工程を行うと、第1連結部310の差込部315が柱部322の係合凹部323から抜け出して、柱部322が連結用遊嵌孔314から装置相互の離反方向に移動可能な状態、即ち、連結解除可能状態になる。
【0071】
(4B)図10に示した連結解除可能状態で、第1装置100と第2装置2とを互いの離反方向に移動させる離反移動工程を行うと、第1装置100と第2装置2との機械的な連結も解除された状態になる。
【0072】
以上の手順から明らかなように、第2装置2と第1装置100との連結を解除する一連の作業では、第1装置100と第2装置2との機械的な連結を解除する離反移動工程の作業は、必ず、第1装置100と第2装置2との電気的な連結を解除するコネクタ取外工程の作業の後になる。
【0073】
以上に説明した本実施形態の連結装置200によれば、例えば、次の効果が奏される。
本実施形態の連結装置200においては、ケーブル部材400の第2装置2又は第1装置100への接続操作及び接続解除操作を第1装置100の一側外方から可能なように、第1装置100の一側外方に向けて開放したケーブル収容空間601にケーブル部材400を収容するケーブル案内部材600を備えている。
そして、このケーブル案内部材600は、連結機構部300における第1連結部310を第1装置100と第2装置2とを連結維持状態に固定する第1固定部500を覆い隠すカバー部621と、カバー部621が第1固定部500を覆い隠す状態でケーブル案内部材600を第1装置100に着脱可能に固定する第2固定部631と、を備える。
そのため、第2装置2と第1装置100とを連結する一連の作業では、ケーブル部材400により第1装置100と第2装置2とを電気的に接続するコネクタ接続工程の作業は、必ず、第1装置100と第2装置2との機械的な連結の状態とする締結固定工程の作業が終了した後になる。
【0074】
また、第2装置2と第1装置100との連結を解除する一連の作業では、第1装置100と第2装置2との機械的な連結を解除する離反移動工程の作業は、必ず、第1装置100と第2装置2との電気的な連結を解除するコネクタ取外工程の作業の後になる。
したがって、第1装置100と第2装置2とがケーブル部材400により電気的に接続されている状態では、第1装置100と第2装置2とは離反不可の連結状態に維持されるため、ケーブルを接続したまま、第1装置100が第2装置2に対して相対移動することがない。したがって、第2装置であるコピー機本体2に、第1装置である後処理装置100を設置する際に、ケーブルの断線が発生しにくいコピー機1を提供することができる。
【0075】
また、本実施形態の連結装置200においては、第1連結部310は、第1装置100の一側に位置する一端部に、第1連結部310の連結部移動方向X1の他側への相対移動の際に第1装置100上の突き当て用構造部材103に当接して、連結維持状態を維持する位置に第1連結部310を位置決めする当接板部313を有する。
そのため、第1装置100上における第1連結部310を、連結解除可能状態の位置から連結維持状態の位置に相対移動させる操作は、第1連結部310の一端の第1連結部310を、連結部移動方向X1の他側へ押し込んで、突き当て用構造部材103に当接させるという単純な作業となる。したがって、作業者の熟練度に関係なく、簡単にかつ確実に、第1連結部310を連結維持状態の位置に切り替えることが可能になり、第2装置2と第1装置100との連結作業性を容易にすることができる。
【0076】
また、本実施形態の連結装置200においては、第1連結部310は、連結部移動方向X1に沿って延在する第1装置100上の棒状構造材105に対して連結部移動方向X1に摺動自在に係合する第1案内部312を有し、棒状構造材105と第1案内部312との係合により、第1装置100に対する第1連結部310の相対移動方向が所定の方向に規制されている。
この場合に、第1案内部312は、例えば、第1装置100上の棒状構造材105に嵌合するコ字状断面の折り曲げ部でよく、単純な折り曲げ成形により第1連結部310を第1装置100上に相対移動可能に組み付けることが可能になる。
【0077】
また、本実施形態の連結装置200においては、連結機構部300は、第2装置2から装置相互の離反方向に沿って第1装置100側に突出した柱部322に形成された係合凹部323と、装置相互の離反方向と直交する方向である連結部移動方向X1に沿って相対移動可能な第1連結部310上の差込部315との係合により、第1装置100と第2装置2との連結維持状態を形成する。
したがって、第1連結部310の連結部移動方向X1への相対移動により、簡単に、第1装置100と第2装置2との連結状態を、連結維持状態又は連結解除可能状態に切り替えることができ、第2装置2と第1装置100とを連結又は連結解除する際の作業を簡便にすることができる。
【0078】
また、本実施形態の連結装置200においては、第1装置100は、係合凹部323に差込部315が差し込まれた状態において、柱部322が前記第1装置100に対して連結部移動方向X1に移動することを規制する柱部移動規制部340を有する。
そのため、連結維持状態で、第1装置100又は第2装置2に連結部移動方向X1方向の外力が作用しても、その外力の影響によって係合凹部323と差込部315の係合が外れることがなく、連結装置200による連結維持性能の信頼性を向上させることができる。
【0079】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。
例えば、本実施形態において、画像形成装置としてカラーのコピー機1について説明しているが、これに限定されず、モノクロのコピー機、プリンタ、ファクシミリ又はこれらの複合機等であってもよい。
【0080】
また、本実施形態では、第1装置が後処理装置100であり、第2装置が画像形成本体装置であるコピー機本体2であるとして説明したが、第1装置が画像形成本体装置であるコピー機本体2であり、第2装置が後処理装置100であってもよい。
【0081】
また、本実施形態では、ケーブル案内部材600は、ねじ部材である第2固定部631により、直接、第1装置100に固定した。しかし、例えば、第2固定部631は、ケーブル案内部材600を第1連結部310の当接板部313にねじ止めするもので、ケーブル案内部材600は、第1連結部310を介して間接的に、第1装置100に固定される構成としても良い。
【0082】
また、連結機構部を構成している第1連結部と柱部322との係合構造も、上記実施形態に限定するものではない。例えば、図11に示す係合構造、又は図12に示す係合構造にすることもできる。図11は、他の実施形態における連結機構部の柱部322Aと第1連結部310Aとの係合構造の説明図である。図12は、更に他の実施形態における連結機構部の柱部322Bと第1連結部310Bとの係合構造の説明図である。
図11に示すように、連結装置200Aの係合構造では、第2連結部の柱部322Aに、第1連結部310Aの連結部移動方向X1に貫通する溝323Aを、係合凹部として設けている。また、連結部移動方向X1に相対移動可能に支持される第1連結部310Aには、上記実施形態の差込部の代わりに、連結部移動方向X1への相対移動によって溝323A内に配置して柱部322Aの軸方向の移動を規制する突出縁部315Aを設けている。
図11に示す連結装置200Aの係合構造の状態は、突出縁部315Aが溝323A内に配置されていない状態、換言すると、突出縁部315Aが溝323Aから離脱している状態なので、装置相互の離反方向への柱部322Aの移動が可能である。すなわち、図11に示す連結装置200Aの係合構造の状態は、第2装置2と第1装置100とが離反可能な連結解除可能状態となる。
図11に示す連結装置200Aの係合構造の状態において、第1連結部310Aが、第2連結部の柱部322Aに対して連結移動方向X1に移動すると、突出縁部315Aが溝323A内に配置される。そのような突出縁部315Aが溝323A内に配置された連結装置200Aの係合構造の状態は、第1装置100と第2装置2とが離反不可能な連結維持状態となる。
したがって、図11に示す連結装置200Aの係合構造は、第1連結部310Aの連結部移動方向X1への相対移動により、簡単に、第1装置100と第2装置2との連結状態を、連結維持状態又は連結解除可能状態に切り替えることができ、第2装置2と第1装置100とを連結又は連結解除する際の作業を簡便にすることができる。
【0083】
図12に示す連結装置200Bの係合構造では、第2連結部の柱部322Bに、第1連結部310Bの連結部移動方向X1に貫通する貫通穴323Bを、係合凹部として設けている。また、第1連結部310Bは、連結部移動方向X1への相対移動によって貫通穴323B内に侵入して柱部322Bの軸方向の移動を規制する丸棒状に成形している。
図12に示す連結装置200Bの係合構造の状態は、第1連結部310Bが貫通穴323B内に挿通されていない状態、換言すると、第1連結部310Bが貫通穴323Bから離脱している状態なので、装置相互の離反方向への柱部322Bの移動が可能である。すなわち、図12に示す連結装置200Bの係合構造の状態は、第2装置2と第1装置100とが離反可能な連結解除可能状態となる。
図12に示す連結装置200Bの係合構造の状態において、第1連結部310Bが、第2連結部の柱部322Bに対して連結移動方向X1に移動すると、第1連結部310Bが貫通穴323Bに挿通される。そのような第1連結部310Bが貫通穴323Bに挿通された連結装置200Bの係合構造の状態は、第1装置100と第2装置2とが離反不可能な連結維持状態となる。
したがって、図12に示す連結装置200Bの係合構造は、第1連結部310Bの連結部移動方向X1への相対移動により、簡単に、第1装置100と第2装置2との連結状態を、連結維持状態又は連結解除可能状態に切り替えることができ、第2装置2と第1装置100とを連結又は連結解除する際の作業を簡便にすることができる。
【0084】
また、本発明に係る連結装置において使用される第1固定部500や第2固定部631は、ねじ以外の締結手段も利用可能である。
【符号の説明】
【0085】
1……コピー機(画像形成装置)、2……コピー機本体(画像形成本体装置、又は第2装置)、100……後処理装置(第1装置)、103……突き当て用構造部材、105……棒状構造材、200、200A、200B……連結装置、300……連結機構部、310……第1連結部、312……第1案内部、313……当接板部、314……連結用遊嵌孔、315……差込部、320……第2連結部、322……柱部、323……係合凹部、340……柱部移動規制部、400……ケーブル部材、401……電線束、402……コネクタ、500……第1固定部(ねじ部材)、600……ケーブル案内部材、601……ケーブル収容空間、612……衝立板、613……樋状部、621……カバー部、631……第2固定部(ねじ部材)、T…用紙(シート)、X1……連結部移動方向(第1方向)、Y1……離反方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成本体装置と、前記画像形成本体装置から排出されたシートに対して後処理を行う後処理装置と、前記画像形成本体装置と前記後処理装置とを連結する連結装置と、を備える画像形成装置であって、
前記連結装置は、前記画像形成本体装置又は前記後処理装置のいずれか一方の装置である第1装置の一側から所定の連結部移動方向に相対移動可能に前記第1装置に組み付けられる第1連結部を有し、前記画像形成本体装置と前記後処理装置との連結状態を、前記第1連結部の相対移動によって、前記画像形成本体装置と前記後処理装置とが離反不可に結合された連結維持状態、又は前記画像形成本体装置と前記後処理装置とが離反可能な連結解除可能状態に切り替え可能な連結機構部と、
前記第1装置の一側に位置する前記第1連結部の一端部付近を通って前記画像形成本体装置と前記後処理装置とを電気的に接続し、かつ、前記画像形成本体装置又は前記後処理装置に対して取り外し可能なケーブル部材と、
前記第1連結部が前記連結維持状態を形成する位置から前記第1装置に対して前記連結部移動方向に相対移動しないように、前記第1連結部の前記一端部を前記第1装置の一側に着脱可能に固定する第1固定部と、
前記ケーブル部材の前記画像形成本体装置又は前記後処理装置への接続操作及び接続解除操作を前記第1装置の一側外方から可能なように、前記第1装置の一側外方に向けて開放したケーブル収容空間に前記ケーブル部材を収容するケーブル案内部材と、
を備え、
前記ケーブル案内部材には、前記第1固定部を覆い隠すカバー部と、該カバー部が前記第1固定部を覆い隠す状態で前記ケーブル案内部材を前記第1装置に着脱可能に固定する第2固定部と、を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記第1連結部は、前記連結部移動方向に沿って延在する前記第1装置上の棒状構造材に対して前記連結部移動方向に摺動自在に係合する第1案内部を有し、前記棒状構造材と前記第1案内部との係合により、前記第1装置に対する前記第1連結部の相対移動方向が所定の方向に規制される請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1連結部は、前記第1装置の一側に位置する前記一端部に、前記第1連結部の前記連結部移動方向の他側への相対移動の際に前記第1装置上の突き当て用構造部材に当接して、前記連結維持状態を維持する位置に前記第1連結部を位置決めする当接板部を有する、請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記連結部移動方向は、前記画像形成本体装置と前記後処理装置との離反方向と直交する第1方向であり、
前記連結機構部は、前記第1連結部と、前記画像形成本体装置又は前記後処理装置のいずれか他方の装置である第2装置に組み付けられた第2連結部と、を備え、
前記第2連結部は、前記第2装置から前記離反方向に沿って第1装置側に突出した柱部と、前記柱部に前記連結部移動方向に沿って窪んで形成された係合凹部と、を有し、
前記第1連結部は、前記連結部移動方向への相対移動によって前記当接板部が前記突き当て用構造部材に当接したときに、前記係合凹部に差し込まれる差込部を有し、
前記連結機構部は、前記係合凹部と前記差込部との係合により前記連結維持状態を形成する、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1装置は、前記係合凹部に前記差込部が差し込まれた状態において、前記柱部が前記第1装置に対して前記連結部移動方向に移動することを規制する柱部移動規制部を有する、請求項4に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−8460(P2012−8460A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146260(P2010−146260)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】