説明

画像形成装置

【課題】共通の転写電圧を適用しても、画像のトナー像と静電像指標とが共に好適に転写され、画像品質を犠牲にすることなく静電像指標によるトナー像の精密な重ね合わせを実現できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】露光装置16aにより感光ドラム12aに静電像目盛り31aを形成し、一次転写ローラ51に転写電圧Vtを印加して中間転写ベルト24へ転写させる。転写された静電像目盛り31aをベルト目盛り読み取りセンサ33bにより検出して、トナー像の重ね合わせを制御する。目盛り消去ローラ52は、一次転写ローラ51を通過する静電像転写領域25に静電像目盛り31aの転写に最適な転写電圧Vt0が形成されるように、転写前の中間転写ベルト24を帯電させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体に形成した位置決め用の静電像をベルト部材に転写して画像のトナー像の位置合わせ制御に用いる画像形成装置、詳しくは位置決め用の静電像を中間転写体等へ適正に転写して検出精度を高めるための構成に関する。
【背景技術】
【0002】
像担持体に形成した静電像をトナーで現像した画像のトナー像を、ベルト部材(中間転写ベルト又は記録材搬送ベルト)を用いて位置決め制御する画像形成装置が広く用いられている。ベルト部材を用いて上流側の像担持体で形成された画像のトナー像と下流側の別の像担持体で形成された別の画像のトナー像とを重ね合わせる画像形成装置では、ベルト部材の画像転写領域の外側に各種の指標や目盛りを形成している(特許文献1、2)。
【0003】
特許文献1では、複数の像担持体でそれぞれ画像の静電像を形成するタイミングを調整するために、画像形成に先立たせて、位置決め用の静電像指標を、複数の像担持体に形成して記録材搬送ベルトに転写している。
【0004】
特許文献2では、中間転写ベルトに転写された画像のトナー像に対して像担持体上のトナー像をリアルタイムに位置決めるために、中間転写ベルトの磁気記録トラックに目盛りパタ−ンを磁気記録している。
【0005】
特許文献3には、像担持体(感光ドラム)に形成された静電像目盛りを検出可能なアンテナ型電位センサが記載されている。アンテナ型電位センサは、図5に示すように、検出面と所定の間隔を隔てて配置された静電像目盛りと平行な導線を有する。アンテナ型の電位センサは、極めて小型であることに加えて、静電像目盛りを通過する際に検出面の電位分布の微分波形の検出信号を出力するため、静電像目盛りを精密に検出できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−39571号公報
【特許文献2】特開2004−145077号公報
【特許文献3】特開2010−60761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図1に示すように、上流側の像担持体で形成した位置決め用の静電像指標(31a)をベルト部材(24)に転写し、アンテナ型電位センサ(33b)により検出して、下流側の像担持体の画像のトナー像をリアルタイムに位置決める制御が提案された。
【0008】
この場合、上流側の像担持体(12a)では、トナー像をベルト部材(24)へ転写する位置で同時に 静電像指標(31a)をベルト部材(24)へ転写することが望ましい。像担持体上(12a)のトナー像と静電像指標(31a)との位相関係を走査線レベルでベルト部材(24)上に等しく再現して、下流側の像担持体(12b)におけるトナー像の重ね合わせ誤差を減らせるからである。
【0009】
しかし、検討の結果、画像のトナー像を最高の転写効率で転写できる転写電圧と静電像指標を高精度に転写できる転写電圧とは異なることが判明した(図11参照)。また、画像のトナー像を最高の転写効率で転写できる転写電圧と静電像指標を高精度に転写できる転写電圧との電位差は、画像形成の累積枚数や環境の温度湿度によって大きく変化することが判明した。
【0010】
このため、静電像指標を高精度に転写できる転写電圧を設定すると、画像のトナー像の転写効率が低下して画像品質が低下した。また、画像のトナー像の転写効率が高い転写電圧を設定すると、ベルト部材に転写された静電像指標が損なわれて、トナー像の重ね合わせ誤差が大きくなった。
【0011】
そこで、図8に示すように、トナー像を転写するための転写ローラ4aと同軸上に、静電像目盛り31aを転写するための独立した転写ローラ47を配置して、それぞれに最適な転写電圧を印加することが提案された。しかし、この場合、転写部Taの構造が複雑になる。転写ローラ4aと転写ローラ47の間に放電を回避するためのスペースが必要になって、中間転写ベルト24の幅が広くなり、中間転写ユニット(ひいては画像形成装置)が大型化する。
【0012】
本発明は、共通の転写電圧(転写電流)を適用しても、画像のトナー像と静電像指標とが共に好適に転写され、ベルト部材を含むユニット(あるいは画像形成装置)を小型化できる画像形成装置を提供することを目的としている。画像のトナー像と静電像指標とを共に好適に転写して、画像品質を犠牲にすることなく静電像指標によるトナー像の精密な重ね合わせを実現できる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の画像形成装置は、像担持体と、画像のトナー像の転写部で前記像担持体に当接するベルト部材と、画像の静電像を前記像担持体に形成する静電像形成手段と、前記画像のトナー像の転写に適合した電気的条件を用いて前記転写部で前記画像のトナー像を転写させる転写部材とを備え、前記静電像形成手段を用いて前記像担持体に静電像指標を形成し、前記画像のトナー像の転写に適合した電気的条件を用いて前記転写部で前記静電像指標を前記ベルト部材に転写し、前記ベルト部材に転写された前記静電像指標を検出して前記ベルト部材に転写される複数の前記画像のトナー像の重ね合わせを制御するものである。そして、前記画像のトナー像の転写に適合した電気的条件の下でも、少なくとも前記静電像指標が転写される領域では前記静電像指標の転写に適合した別の電気的条件が形成されるように、前記静電像指標の転写前の前記ベルト部材を帯電させるベルト部材帯電手段を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明の画像形成装置では、画像のトナー像の転写に好適な転写電圧と静電像指標の転写に好適な転写電圧との差分を、ベルト部材帯電手段によって帯電されたベルト部材の帯電電位によって埋め合わせる。
【0015】
したがって、画像のトナー像の転写に適合させた電気的条件を用いても、少なくとも静電像指標が転写される領域については、像担持体とベルト部材との間では静電像指標の転写に適合した転写電界が確保されるので、静電像指標を精度高く好適に転写できる。ベルト部材を含む交換ユニットを小型化しつつ、画像のトナー像の転写と静電像指標とを共に好適に転写して、画像品質を犠牲にすることなく静電像指標によるトナー像の精密な位置合わせを実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】画像形成装置の全体構成の説明図である。
【図2】静電像転写領域と電位センサの配置の説明図である。
【図3】中間転写ベルトに転写された静電像目盛りの検出の説明図である。
【図4】アンテナ型電位センサの説明図である。
【図5】アンテナ型電位センサによる静電像目盛りの検出の説明図である。
【図6】静電像目盛りを用いたトナー像の位置合わせ制御の説明図である。
【図7】マゼンタの画像形成部の一次転写部の拡大図である。
【図8】比較例におけるイエロー画像形成部の転写部の構成の説明図である。
【図9】イエロー画像形成部の転写部の構成の説明図である。
【図10】静電像目盛りの転写に適合した転写電圧を求める制御の説明図である。
【図11】中間転写ベルトへ転写された静電像パターンの静電像コントラストと転写電圧の関係の説明図である。
【図12】プレ帯電の効果の説明図である。
【図13】静電像の転写に最適なプレ帯電の電圧と転写電圧の関係の説明図である。
【図14】プレ帯電を伴った静電像の転写における転写部の等価回路である。
【図15】実施例2のプレ帯電制御のフローチャートである。
【図16】実施例3のプレ帯電制御のフローチャートである。
【図17】中間転写ベルトに転写された静電像目盛りの評価の説明図である。
【図18】アンテナ型電位センサの検出信号の変化の説明図である。
【図19】実施例4のプレ帯電制御のフローチャートである。
【図20】実施例5のプレ帯電制御のフローチャートである。
【図21】実施例6のプレ帯電制御のフローチャートである。
【図22】実施例7のプレ帯電制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明は、ベルト部材の静電像転写領域がトナー像転写領域とは異なる電位に帯電される限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
【0018】
したがって、複数のトナー像を重ね合わせる画像形成装置であれば、像担持体の数、中間転写方式/記録材搬送方式の違い、像担持体の帯電方式、静電像の形成方式、現像剤及び現像方式、転写方式等の区別無く実施できる。また、本実施形態では、トナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途の画像形成装置で実施できる。
【0019】
なお、特許文献1、2、3に示される画像形成装置及びアンテナ型の電位センサに関する一般的な事項については、図示を省略して重複する説明を省略する。
【0020】
<画像形成装置>
図1は画像形成装置の全体構成の説明図である。図2は静電像転写領域と電位センサの配置の説明図である。
【0021】
図1に示すように、画像形成装置100は、中間転写ベルト24に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成部43a、43b、43c、43dを配列したタンデム型中間転写方式のフルカラープリンタである。
【0022】
画像形成部43aでは、感光ドラム12aにイエロートナー像が形成されて中間転写ベルト24に転写される。画像形成部43bでは、感光ドラム12bにマゼンタトナー像が形成されて中間転写ベルト24に転写される。画像形成部43c、43dでは、それぞれ感光ドラム12c、12dにシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて中間転写ベルト24に転写される。中間転写ベルト24に転写された四色のトナー像は、二次転写部T2へ搬送されて記録材Pへ二次転写される。
【0023】
記録材カセット80から引き出された記録材Pは、分離ローラ82によって1枚ずつに分離されて、レジストローラ83へ給送され、レジストローラ83によって二次転写部T2へ送り込まれる。
【0024】
そして、記録材Pが二次転写部T2を搬送される過程で、二次転写ローラ44に正極性の電圧が印加されることにより、中間転写ベルト24から記録材Pへトナー像が二次転写される。トナー像が二次転写された記録材Pは、定着装置84へ搬送され、定着装置84で加熱加圧を受けてトナー像を定着された後に、排出ローラ85によって機体外へ排出される。
【0025】
画像形成部43a、43b、43c、43dは、現像装置18a、18b、18c、18dで用いるトナーの色が異なる以外は、同一に構成される。以下では、画像形成部43aについて説明し、画像形成部43b、43c、43dについては、画像形成部43aの構成部材に付した符号末尾のaをb、c、dに読み替えて説明されるものとする。画像形成部43aは、感光ドラム12aの周囲に、帯電ローラ14a、露光装置16a、現像装置18a、一次転写ローラ4a、ドラムクリーニング装置22aを配置している。
【0026】
感光ドラム12aは、アルミニウムシリンダの外周面に帯電極性が負極性のOPC感光体層が形成され、所定のプロセススピ−ドで矢印R1方向に回転する。帯電ローラ14aは、直流電圧に交流電圧を重畳した帯電電圧を印加されて、感光ドラム12aの表面を一様な負極性の暗部電位VDに帯電させる。
【0027】
露光装置16aは、レーザービームを回転ミラーで走査露光して、感光ドラム12aの表面電位を明部電位VLに低下させて画像の静電像を書き込む。現像装置18aは、トナーとキャリアを含む二成分現像剤を用いて静電像を現像して、感光ドラム12aの表面にトナー像を形成する。露光された明部電位VLの部分にイエロートナーが付着して、イエロートナー像が反転現像される。
【0028】
一次転写ローラ4aは、中間転写ベルト24の内側面を押圧して、感光ドラム12aと中間転写ベルト24との間に一次転写部を形成する。一次転写ローラ4aに正極性の直流電圧を印加することで、感光ドラム12aのトナー像が中間転写ベルト24へ一次転写される。
【0029】
ドラムクリーニング装置22aは、感光ドラム12aにクリーニングブレードを摺擦させて、中間転写ベルト12aへ転写されないで感光ドラム12aに残った転写残トナーを回収する。ベルトクリーニング装置45は、駆動ローラ36に内側面を支持された中間転写ベルト24にクリーニングブレードを摺擦させて、二次転写部T2を通過した中間転写ベルト24から転写残トナーを回収する。
【0030】
図2に示すように、中間転写ベルト24は、テンションローラ37、駆動ローラ36、及び対向ローラ38に張架され、テンションローラ37によって所定の張力が与えられる。駆動ローラ36は、不図示の駆動モータによって回転駆動されて、中間転写ベルト24を矢印R2方向に所定のプロセススピ−ドで回転させる。
【0031】
中間転写ベルト24は、カーボン粒子を含有させて体積低効率1×1010Ω・cmに調整されたポリイミドの樹脂ベルトであって、幅方向の中央にトナー像転写領域を配置している。
【0032】
静電像転写領域25は、体積低効率1×1015Ω・cm以上のPET、PTFE、ポリイミド等の樹脂フィルムを、中間転写ベルト24の幅方向の両端の表面に積層して形成される。ただし、中間転写ベルト24に形成できる高抵抗材料であれば、これらに限定するものではない。
【0033】
<位置決め用の静電像>
ところで、中間転写ベルトに沿って複数の画像形成部を配置したタンデム型の画像形成装置の問題点としては、複数の感光ドラムや中間転写ベルトに速度変動が生じることである。複数の感光ドラムの転写部で、感光ドラムの外周面と中間転写ベルトの相対速度の変動がバラバラに発生して、各色のトナー像を重ね合わせたときに、100〜150μmの色ずれを生じることがある。
【0034】
特許文献1に記載された画像形成装置では、上流側の感光ドラムに形成した静電像パッチを記録材搬送ベルトに転写し、下流側の感光ドラムの転写部で記録材搬送ベルト上の静電像パッチを検出している。ここでは、静電像パッチは、画像形成前、または画像形成を中断して、記録材搬送ベルトに転写され、下流側の感光ドラムにおける画像の静電像の書き込みタイミングの調整に利用される。
【0035】
このため、画像形成中に、リアルタイムに位置ずれ補正用のデ−タを取得することはできず、一枚の画像形成中にリアルタイムに各色トナー像の位置ずれ補正を完了することはできない。感光ドラムやベルト駆動ローラの周速度変動、あるいは中間転写ベルトの伸縮に起因して発生する短い周期の周期的な各色の位置ずれに関しては、補正の目的とされず、補正効果も期待できなかった。
【0036】
特許文献2に記載された画像形成装置では、1枚の画像形成を行いながらリアルタイムに画像位置の補正を行うため、感光ドラムや中間転写ベルトの短い周期の周期的な速度変動を補正できる。ここでは、最も上流側の感光ドラムから転記された目盛り情報を、下流側の感光ドラムの転写部で読み取って、下流側の感光ドラムの刻々の回転速度をリアルタイムに変化させている。
【0037】
しかし、中間転写ベルトへの目盛り情報の書き込みは、磁気記録方式を用いているため、中間転写ベルトに転写された画像のトナー像と転記された目盛り情報との間に同期のずれが発生する。露光位置に対する露光装置の露光位置決め精度、温度による部品の膨張や収縮などの影響により、露光位置自体の変動が数10μm生じる。感光ドラム上の目盛り情報を読み取って中間転写ベルトに転記する際の読み取り誤差と書き込み誤差もそれぞれ数10μm発生する。さらに、複数の感光ドラムの相対位置決め誤差が数10μmある。このため、これらの誤差に起因して各色画像のトナー像の位置ずれを100μm以下に抑えることは困難であった。
【0038】
そこで、図2に示すように、画像形成装置100では、各色画像の位置ずれを100μm以下に抑えるため、画像の静電像に同期させて感光ドラム12aに形成した静電像目盛り31aを中間転写ベルト24へそのまま転写している。静電像転写領域25に対する静電像目盛り31aの転写を、中間転写ベルト24に対する画像のトナー像の一次転写と同時に行っている。
【0039】
そして、下流側の画像形成部43bでは、静電像転写領域25に転写された静電像目盛り31aをベルト目盛り読み取りセンサ33bで読み取って、上述した周期的な各色の画像のトナー像の位置ずれをリアルタイムかつ高精度に補正している。
【0040】
上流側の感光ドラム12aには、イエロートナー像の走査線と同期させて静電像目盛り31aが形成される。イエロートナー像は、中間転写ベルト24の中央のトナー像転写領域90に一次転写され、静電像目盛り31aは、中間転写ベルト24の幅方向の両端に積層された静電像転写領域25に転写される。静電像転写領域25は、中間転写ベルト24のトナー像転写領域90よりも高抵抗であるため、静電像転写領域25に転写された静電像目盛り31aは、減衰することなく画像形成部43b、43c、43dに到達して精度高く検出可能である。
【0041】
感光ドラム12aから静電像転写領域25へ転写された静電像目盛り31aは、下流側の感光ドラム12bにおいて検出されて、トナー像の搬送方向の位置合わせに用いられる。中間転写ベルト24の外側面に転写された静電像目盛り31aは、一次転写ローラ4bの長手方向の外側で、中間転写ベルト24の内側面から、ベルト目盛り読み取りセンサ33bにより検出される。
【0042】
感光ドラム12bには、マゼンタ画像の静電像の走査線と同期させて静電像目盛り31bが形成される。マゼンタ画像のトナー像は、中間転写ベルト24のトナー像転写領域90のイエロー画像のトナー像に重ね合わせて一次転写される。このとき、同時に、感光ドラム12bの静電像目盛り31bは、中間転写ベルト24の幅方向の外側でドラム目盛り読み取りセンサ34bによって検出される。
【0043】
<アンテナ型電位センサ>
図3は中間転写ベルトに転写された静電像目盛りの検出の説明図である。図4はアンテナ型電位センサの説明図である。図5はアンテナ型電位センサによる静電像目盛りの検出の説明図である。図6は静電像目盛りを用いたトナー像の位置合わせ制御の説明図である。図7はマゼンタの画像形成部の一次転写部の拡大図である。
【0044】
図1に示すように、感光ドラム12aは、奥側のドラム駆動モ−タ6aから駆動力が伝達され、手前側には、刻々の回転速度を検出するためのドラムエンコ−ダ8aが連結されている。ドラムエンコ−ダ8aの出力信号に基づいてドラム駆動モ−タ6aを制御することで、感光ドラム12aは、ドラム駆動モ−タ6aに駆動されて等角速度で回転する。
【0045】
図3に示すように、モータ駆動部106は、ベルト目盛り読み取りセンサ33bの出力信号とドラム目盛り読み取りセンサ34bの出力信号の位相を一致させるように、ドラム駆動モ−タ6bの回転速度をリアルタイムに制御する。これにより、中間転写ベルト24に最初に転写されたイエロートナー像に対して、感光ドラム12bに担持されたマゼンタトナー像が走査線レベルで位置合わせされる。
【0046】
感光ドラム12c、12dにおいても、感光ドラム12bと同様に、ドラム駆動モ−タ6c、6dを制御して、シアントナー像、ブラックトナー像の位置合わせが同様に実行される。
【0047】
なお、図3では、図示の都合上、ベルト目盛り読み取りセンサ33bとドラム目盛り読み取りセンサ34bの位相位置をずらせているが、上述したように、両者は、感光ドラム12bの一次転写部Tbに対応する位置に重なって配置されている。
【0048】
ドラム目盛り読み取りセンサ34b、34c、34dおよびベルト目盛り読み取りセンサ33b、33c、33dは、いずれも図4に示すアンテナ型電位センサ330を用いている。
【0049】
図4に示すように、アンテナ型電位センサ(静電像検知プローブ)330を製造した。図4中、(a)は平面図、(b)は(a)のY−Y’面の断面図である。
【0050】
図4の(a)に示すように、アンテナ型電位センサ330の水平部分333が静電像目盛り31bを検出する役割を果たしている。アンテナ型電位センサ330の垂直部分334は、水平部分333が検知した電流を引き出す役割を果たしている。アンテナ型電位センサ330の製造方法は、以下による。
(1)図4の(b)に示すように、一般に電気製品の内部配線に使われている厚み15μmのポリイミド製フレキシブルプリント基板336に電極層を形成する。
(2)図4の(a)に示すように、電極層から、ウェットエッチングにより、垂直部分334と水平部分333のパタ−ンをL字型に形成する。
(3)図4の(b)に示すように、磨耗防止用に接着層345(厚み15μm)を介してカバ−ポリイミドフィルム346(厚み15μm)を貼付する。
(4)図4の(c)に示すように、アンテナ型電位センサ330の端部は、不図示のコネクタを介して増幅回路5へ接続した。
【0051】
図5の(a)に示すように、静電像目盛り31bは、感光ドラム12bの表面に電位差パターンとして存在する。アンテナ型電位センサ330は、時間的に(a)→(b)→(c)→(d)のように、静電像目盛り31bに対して相対移動している。
【0052】
アンテナ型電位センサ330は、紙面と垂直な方向へ感光ドラム12bの表面から僅かに(数μm〜数10μm)離れた位置に設置されて、相対移動時、感光ドラム12bの表面からの距離を一定に保ったまま移動する。静電像目盛り31bは、アンテナ型電位センサ330との相対移動の方向に目盛り状に配列しているが、ここでは、一本のみ図示している。また、静電像目盛り31bの電位をプラス表記しているが、これは周囲がマイナス500Vの暗部電位VDで静電像目盛り31bがマイナス100Vの明部電位VLに帯電している場合を想定しているためである。
【0053】
アンテナ型電位センサ330は、出力線を増幅回路5へ接続されている。アンテナ型電位センサ330は、静電像目盛り31bの中心線に接近する過程と、中心線から遠ざかる過程とで、逆方向の誘導電流を出力して1本の静電像目盛り31bを検出する。
【0054】
図5の(a)に示すように、アンテナ型電位センサ330が静電像目盛り31bに近づいてくると、静電像目盛り31bのプラス電位に、アンテナ型電位センサ330と増幅回路5の自由電子が、ほんの少し引きつけられる。
【0055】
図5の(b)に示すように、さらにアンテナ型電位センサ330が静電像目盛り31bに近づき、引きつけられる自由電子が増える。
【0056】
図5の(c)に示すように、アンテナ型電位センサ330が静電像目盛り31bに最も近づき、最も自由電子の引きつけられる量が増大する。
【0057】
図5の(d)に示すように、最後に、アンテナ型電位センサ330が静電像目盛り31bから離れ始めると、引きつけられていた自由電子が戻り始める。
【0058】
図5の(e)に示すように、(a)〜(d)のような自由電子の流れ(誘導電流)を増幅電気回路5で検出して増幅することにより、静電像目盛り31bの位置を電気信号として取り出すことが可能となる。アンテナ型電位センサ330が静電像目盛り31bに近づくにつれて出力が増え、アンテナ型電位センサ330と静電像目盛り31bが重なった(最も近づいた)時に誘導電流は一瞬ゼロになる。そして、アンテナ型電位センサ330が静電像目盛り31bから離れるにつれてマイナスの出力となり、距離が離れていくにつれ出力信号もゼロになる。以上が、静電像目盛り31bを検知する原理である。
【0059】
図6の(a)に示すように、感光ドラム12bには、露光装置16bを用いて静電像目盛り31bと画像の静電像が同時に形成される。画像の静電像の外側で、走査線n本を連続して露光した後に走査線n本の露光を停止することを繰り返す。
【0060】
静電像目盛り31bの周期は、露光装置16bの解像度、感光ドラム12bの回転速度により種々のサイズを取り得る。例えば解像度600dpiであれば、走査線の幅は約42μmなので、4ライン分の露光部と4ラインの未露光部とを繰り返す4ライン/4スペースの静電像目盛り31bを考えた場合、42μmの8倍となる336μm周期となる。
【0061】
図6の(b)に示すように、デューティ50%の暗部電位VD(未露光)と明部電位VL(露光)のインクリメンタルパターンが感光ドラム12bに形成される。感光ドラム12bの表面電位は、画像領域27と同様の電位で、静電像目盛り31bにおいて、例えば−500Vの未露光部341と−100Vの露光部342の方形波となる。
【0062】
そして、方形波の表面電位パターンをアンテナ型電位センサ330で検知すると、図6の(c)に示すように、ゼロボルト中心の振幅を持つ正弦波形が得られる。インクリメンタルパターンの周期、回路インピーダンス、回転速度等の組み合わせを調整することで、図5の(e)に示す微分波形を正弦波出力に整形することができる。
【0063】
感光ドラム12aに形成されて中間転写ベルト24に転写された静電像目盛り31aについても、同様に、正弦波の出力波形の検出信号を取り出すことで、トナー像の位置合わせを2つの正弦波の位相調整で実現できる。簡単な回路構成で精密な位相合わせ制御が可能となる。例えば、正弦波形を時間微分してその傾きを取り、傾きが最大となる点が2つの正弦波で一致するように制御を行うことができる。
【0064】
図7に示すように、マゼンタの画像形成部43bでは、ドラム目盛り読み取りセンサ34bとベルト目盛り読み取りセンサ33bとが一次転写部Tbの直線上に配置されている。ベルト目盛り読み取りセンサ33bとドラム目盛り読み取りセンサ34bとは、感光ドラム12bの一次転写ニップに対応する同一の位相位置に配置されている。
【0065】
このため、イエロートナー像とマゼンタトナー像とが正確に重なり合う場合には、感光ドラム12bの静電像目盛り31bが検出されると同時に、中間転写ベルト24の静電像目盛り31aが検出される。
【0066】
そして、同時に検出されない場合には、ドラム目盛り読み取りセンサ34bによって検出された静電像目盛り31bと、ベルト目盛り読み取りセンサ33bによって検出された静電像目盛り31bの位相を一致させるように制御がされる。イエロートナー像と対応した静電像目盛り31aをベルト目盛り読み取りセンサ33bで読み取って、感光ドラム12bの対応する静電像目盛り31bを位置合わせするように、感光ドラム12bを位置決める。
【0067】
中間転写ベルト24の静電像転写領域25に転写された静電像目盛り31aに追従させて感光ドラム12bの回転速度を変化させることで、中間転写ベルト24上のイエローとマゼンタのトナー像の位置ズレが高精度に補正される。
【0068】
以下、図2に示す画像形成部43c、43dにおいても同様に、中間転写ベルト24上の静電像目盛り31aの検出と、感光ドラム12c、12dの回転速度(位相)を調整する制御が行われる。これにより、各色トナー像の色ずれが少ない高品質な画像を出力できる。
【0069】
なお、中間転写ベルト24に転写された静電像目盛り31aは、中間転写ベルト24の厚みを隔てた内側面に配置したベルト目盛り読み取りセンサ33b、33c、33dによって読み取られる。
【0070】
ただし、ベルト目盛り読み取りセンサ33b、33c、33dを配置して静電像目盛り31aを検出する側を、中間転写ベルト24の表面側にするか裏面側にするかは、中間転写ベルトの材料特性、プロセス設計、製品仕様等に応じて選択できる。
【0071】
<転写ローラの問題>
図8は比較例におけるイエロー画像形成部の転写部の構成の説明図である。
【0072】
図8に示すように、比較例では、中間転写ベルト24の幅方向の両端部に設けられた静電像転写領域25に対して、専用の静電像転写ローラ47が配置されている。静電像転写ローラ47は、導電性のスポンジローラで一次転写ローラ4aと同様に構成され、一次転写ローラ4aと同軸上で回転する。しかし、静電像転写ローラ47は、一次転写ローラ4aとは電気的に独立しており、一次転写ローラ4aとは別の電源から一次転写ローラ4aとは異なる専用の電圧を印加可能である。
【0073】
画像形成部43aでは、感光ドラム12aにトナー像を形成する際に、感光ドラム12aの画像形成領域90の外側に、レーザービーム露光により静電像目盛り31aを形成する。感光ドラム12aの長手方向の両端部において、画像を書き込む前後のレーザービームの走査部分を用いて、線状の静電像目盛り31aが、所定走査線本数の幅と間隔を持たせて形成される。図8では、感光ドラム12aの両端に静電像目盛り31aが形成されているが、感光ドラム12aの片端だけに静電像目盛り31aが形成される場合もある。
【0074】
一次転写ローラ4aは、電源D12から正極性の転写電圧を印加されて、感光ドラム12a上のトナー像を中間転写ベルト24の表面に静電気力で吸引して転写させる。これに対して、静電像転写ローラ47は、電源D47から一次転写ローラ4aに印加される電圧とは値が異なる正極性の転写電圧を印加されて、感光ドラム12aの静電像目盛り31aを中間転写ベルト24の静電像転写領域25に転写する。静電像転写ローラ47は、静電像目盛り31aを形成している電荷を、トナー像の転写条件とは異なる最適な転写条件により静電像転写領域25に転写させる。
【0075】
しかし、この場合、画像のトナー像の転写用の一次転写ローラ4aとは別に静電像転写ローラ47が必要であり、近接した領域に、電位の異なる転写ローラを新たに追加しなければならない。
【0076】
また、静電像転写ローラ47には、トナー像の転写電圧とは異なる転写電圧を印加する必要があり、追加された転写ローラに接続されるバイアス電源が画像形成部ごとにもう一つずつ必要になる。
【0077】
また、静電像目盛り31aは、画像形成領域90のできるだけ近くに転写されることが望ましい。しかし、例えば、画像のトナー像の転写電位が1500V、静電像目盛り31aの転写電位が1000Vの場合、近接した場所に500V電位の異なる2つの転写ローラを連動して回転することになる。その場合、異なる電位の転写ローラの間で放電を回避するため、一定以上の間隔を設けなければならず、中間転写ベルト24の端部付近の機構系において、余分なスペースが必要になる。
【0078】
そこで、以下の実施例では、図9に示すように、画像形成領域90と静電像転写領域25とに対して共通の一次転写ローラ51を設け、画像形成領域90と静電像転写領域25とに対して同一の転写電圧を印加している。
【0079】
<一体型の一次転写ローラ>
図9はイエロー画像形成部の転写部の構成の説明図である。
【0080】
図9に示すように、画像形成部43aでは、中間転写ベルト24の両端部に設けられた静電像転写領域25に対し、画像のトナー像の転写用を兼ねた一次転写ローラ51によって転写電圧が印加される。図8に示す一次転写ローラ4aをそのまま静電像目盛り31aが転写される領域まで延長して、実施例1の一次転写ローラ51としている。これにより、感光ドラム12aから中間転写ベルト24へ画像のトナー像と静電像目盛り31aを同時に転写することを可能にしている。
【0081】
一次転写ローラ51は、画像形成領域90から静電像転写領域25までの中間転写ベルト24に連続的に当接し、電源D51によって、トナー像の転写に最適化した転写電圧Vtが印加される。これにより、画像形成領域90から画像のトナー像が転写されると同時に、静電像目盛り31aを形成している電荷パターンが中間転写ベルト24へ移転して、静電像転写領域25に静電像目盛り31aが形成される。
【0082】
<目盛り消去ローラ>
図2に示すように、中間転写ベルト24の静電像転写領域25に対応させて、目盛り消去ローラ52と目盛り消去対向ローラ53が配置されている。目盛り消去ローラ52と目盛り消去対向ローラ53は、中間転写ベルト24の静電像転写領域25に形成された前回の静電像目盛り31aを消去して、静電像転写領域25の帯電電位を初期化するために設置されている。
【0083】
図3はイエロー画像形成部43aとマゼンタ画像形成部43bと制御部54との関係を示しており、シアン画像形成部43cおよびブラック画像形成部43dは省略してある。制御部54は、中間転写ベルト24のプレ帯電を司る制御部分のみを拡大しており、電圧制御部103は、AC電圧制御部101とDC電圧制御部104を制御する。AC電圧制御部101のAC電圧をDC電圧制御部104のDC電圧に重畳し、重畳した振動電圧は、電圧印加部102を介して目盛り消去ローラ52に印加する。
【0084】
静電像転写領域25と接触する目盛り消去ローラ52には、目盛り消去電源D52から交流電圧に直流電圧を重畳した振動電圧が印加され、目盛り消去対向ローラ53は接地電位に接続されている。振動電圧の交流電圧は、前回の画像形成で転写された静電像目盛りの消去、つまり、中間転写ベルト24上の電位の凹凸をならして平滑化するために用いられ、正弦波、矩形波、パルス波などを使用できる。
【0085】
一方、振動電圧の直流電位は、上述したように、画像形成領域90と静電像転写領域25に共通の一次転写ローラ51を設けてトナー像の転写に最適化した転写電圧で静電像目盛り31aを転写する弊害を除くためのプレ帯電に必要な電圧である。プレ帯電に必要な直流電圧の大きさと設定方法は後述する。
【0086】
中間転写ベルト24の静電像転写領域25を一様にあるDC電位にプレ帯電することが、静電像目盛り31aの消去用の部材を用いて、静電像目盛り31aの消去工程と一括して行われる。
【0087】
なお、目盛り消去ローラ52および目盛り消去対向ローラ53は、画像形成部43dよりも下流側で画像形成部43aに達するまでの間、どこに配置してもよい。しかし、二次転写、外来ノイズ等の影響で、静電像転写領域25の帯電状態が変化する可能性があるため、画像形成部43aの直前が望ましい。静電像目盛り31aの消去には、コロナ帯電器など他の帯電手段を用いることも可能である。
【0088】
<実施例1>
図10は静電像目盛りの転写に適合した転写電圧を求める制御の説明図である。図11は中間転写ベルトへ転写された静電像パターンの静電像コントラストと転写電圧の関係の説明図である。
【0089】
図2に示すように、像担持体の一例である感光ドラム12aは、画像のトナー像の転写部でベルト部材の一例である中間転写ベルト24に当接する。静電像形成手段の一例である露光装置16aは、画像の静電像を感光ドラム12aに形成する。転写部材の一例である一次転写ローラ51は、画像のトナー像の転写に適合した電気的条件の一例である転写電圧Vtを用いて転写部Taで画像のトナー像を転写させる。
【0090】
静電像目盛り31aは、感光ドラム12aから中間転写ベルト24へ転写されて、中間転写ベルト24の回転方向の下流側に配置された別の像担持体の一例である感光ドラム12bに形成された画像のトナー像との重ね合わせの制御に用いられる。
【0091】
静電像目盛り31aが転写される静電像転写領域25は、感光ドラム12aの画像のトナー像を担持する領域に対応させたトナー像転写領域90よりも抵抗値を高めて、中間転写ベルト24の幅方向の外側に配置される。静電像目盛り31aは、感光ドラム12aの回転方向に直角な輪郭を持たせて露光装置16aによる所定走査線本数間隔で配列した目盛り状に形成される。
【0092】
中間転写ベルト24に転写された静電像目盛り31aは、感光ドラム12bに形成された別の画像のトナー像の転写位置で、アンテナ型電位センサの一例であるベルト目盛り読み取りセンサ33bによって、移動に伴う誘導電流を検出される。
【0093】
感光ドラム12aの静電像目盛り31aを中間転写ベルト24の静電像転写領域25へ好適に転写できる電圧は、感光ドラム12aのトナー像を中間転写ベルト24へ好適に転写できる電圧とは一般に異なる場合が多い。
【0094】
図10に示すように、中間転写ベルト24の静電像転写領域25がプレ帯電されていない場合の静電像の帯電状態を評価した。感光ドラム12aに600dpiの走査線露光を行って、1000ドット(42.6mm)1000スペース(42.6mm)の静電像パターンを形成し、転写電圧Vtを複数段階に異ならせて中間転写ベルト24の静電像転写領域25に転写した。従来の静電容量型の電位センサEMを用いて、静電像転写領域25に転写した静電像パターンを評価した。電位センサEMで検知するため、実際の静電像目盛り(31a)よりも大きな静電像指標を静電像転写領域25へ転写して、転写後の静電像指標の低電位部の電圧Vlight(V)と高電位部の電圧Vdark(V)を測定した。転写電圧Vt(V)と静電像コントラスト(Vdark−Vlight)(V)の関係を図11に示す。図11および以下の記述では、VlightをVl、VdarkをVd、静電像コントラスト(Vdark−Vlight)を(Vd−Vl)とする。
【0095】
図11に示すように、転写電圧Vtが上がるにつれ、感光ドラム12aと静電像転写領域25の間の電界が増加し、Vdが400Vあたりから、続いてVlも800Vあたりから転写(放電)が始まる。それにつれて静電像コントラスト(Vd−Vl)も増加する。
【0096】
しかし、転写電圧を上げ続けると、あるところをピ−クに静電像コントラスト(Vd−Vl)は減少に転じる。これは、感光ドラム12aと静電像転写領域25の間で、異常放電が起こり易くなった結果、静電像パッチの転写効率が低下したためと考えられる。
【0097】
図11における静電像コントラスト(Vd−Vl)曲線のピ−ク付近は、実際の静電像目盛り31aでも、静電像コントラスト(Vd−Vl)が最も高いと考えられ、アンテナ型電位センサ330による検出でも最もSN比の高い信号が取れる。したがって、静電像コントラスト(Vd−Vl)の最大値を与える電圧付近の転写電圧(Vt0)が、静電像目盛り31aの転写に最も適している。
【0098】
<好適なプレ帯電電圧>
図12はプレ帯電の効果の説明図である。図13は静電像の転写に最適なプレ帯電の電圧と転写電圧の関係の説明図である。図14はプレ帯電を伴った静電像の転写における転写部の等価回路である。
【0099】
図10に示す静電像パッチの転写において、中間転写ベルト24の静電像転写領域25を予めプレ帯電させた場合について、静電像コントラスト(Vd−Vl)と転写電圧の関係を測定した。その結果を図12に示す。
【0100】
図10に示すように、目盛り消去ローラ52に印加する振動電圧の直流電圧を+341Vと−244Vとに切り替えて、静電像転写領域25のプレ帯電+341Vと−244Vを設定し、電位センサEMにより図11と同様に電圧Vd、Vlを測定した。
【0101】
図12に示すように、静電像転写領域25に転写された静電像の静電像コントラスト(Vd−Vl)曲線はプレ帯電の電圧に応じてほぼ平行移動する。静電像コントラスト(Vd−Vl)曲線のピークを与える転写電圧をプレ帯電+341Vと−244Vとにおける静電像を転写するための最適な転写電圧と定めた。そして、プレ帯電+341Vと−244Vの間に定めた他の二点のプレ帯電電位でも同様に曲線を求めてピークとなる転写電圧を求めた。プレ帯電電圧と静電像の転写に最適な転写電圧の関係を求めたところ、図13に示すような直線関係が得られた。
【0102】
図13に示すように、プレ帯電の電圧を+341Vから−244Vまでの間で異ならせることで、一次転写ローラ51に印加する転写電圧を600Vから1200Vまでの任意の値に選択できることが判明した。すなわち、トナー像の転写効率が最高になるように転写電圧を600Vから1200Vまでの間の1つの電圧に設定したとき、プレ帯電の電圧を調整することで、静電像転写領域25に静電像目盛り31aを最適に転写できる転写電圧を確保できる。これにより、静電像目盛り31aを精度高く転写して、中間転写ベルト24上のトナー像の位置ズレを、高精度に補正することが可能となり、色ずれの少ない画像形成装置を提供することができる。
【0103】
このことは、図14に示す等価回路で説明できる。ここで、感光ドラム12aの表面の静電容量をCdとし、感光ドラム12aと静電像転写領域25の間の空気層の静電容量をCairとする。
【0104】
中間転写ベルトの静電容量Cbのとき、静電像転写領域25の表面電位Vbは、プレ帯電の電荷による電位差Vpreと、一次転写ローラ51に印加された転写電位Vtとの和である。そして、静電像転写領域25の表面の電位Vbにとって、ニップの外では、転写電圧がゼロ、感光ドラム12aとの間で放電が起こるニップ領域付近では、転写電圧Vtがかかる。
【0105】
図10に示すように、静電像の転写効率は、感光ドラム12aに形成された静電像の高電位部(Vd)および低電位部(Vl)の電位と、静電像転写領域25の電位Vb(=Vt+Vpre)との差で決まる。このとき、静電像転写領域25の電位Vbは、転写電圧Vtとプレ帯電電圧Vpreがどのような組み合わせであるかは問わない。静電像の転写に最適な転写電圧Vtは、感光ドラム12aや中間転写ベルト24を含む静電像転写プロセス特有の定数になる。このことは、図13に示すように、静電像コントラスト(Vd−Vl)曲線のピークを与える転写電圧Vtとプレ帯電の電圧Vpreの関係が、ほぼ傾き「−1」の直線になることからも明らかである。
【0106】
ここで、Vt:トナー像の転写効率が最高となる転写電圧、Vpre:静電像転写領域25のプレ帯電の電位、Vt0:静電像コントラスト(Vd−Vl)曲線のピークを与える静電像転写領域25の表面電位Vbとする。これらの関係を式で表現すると、次式となり、静電像の転写に最適な静電像転写領域25の表面電位Vt0を得るために、VtとVpreの多様な組み合わせが可能になる。
Vt + Vpre=Vt0 ・・・(1)
【0107】
図10に示すように、一次転写ローラ51に印加される転写電圧Vtは、画像のトナー像の転写に最適化されているため、同じ転写電圧Vtで静電像目盛り31aを転写しても、通常、静電像目盛り31aの転写は最適化されない。そこで、制御部54は、転写前、中間転写ベルト24の静電像転写領域25に予め、(1)式から導き出される電位Vpreを与えておく。予め与えておく電位Vpreは、製品設計時に、測定結果に基づいて導かれたVt0とVtを用いて、次式から算出することができる。
Vpre=Vt0−Vt ・・・(2)
【0108】
なお、静電像目盛り31aの転写に最適な静電像転写領域25の表面電位について、ここでは、(Vd−Vl)曲線の最大値を与える電圧で定めた。しかし、静電像目盛り31aの転写に最適な静電像転写領域25の表面電位の定め方はこの方法に限定されるものではない。トナー像の位置ずれ補正を行うのに十分な精度が確保できる範囲内であれば、最適な表面電位は、(Vd−Vl)曲線の最大値を与えるピンポイントの電圧値の付近の電圧範囲から定めることも可能である。
【0109】
また、毎回実験を行って(2)式を求めるのではなく、製品出荷前に図12と図13の数値デ−タを取得してVpre/Vt変換テーブルを制御部54のメモリに保存しておいてもよい。画像のトナー像の転写に最適化した転写電圧Vtが求められるたびに、Vpre/Vt変換テーブルに基づいて印字環境に応じた最適なプレ帯電の電位Vpreを決めることも可能である。
【0110】
<実施例2>
図15は実施例2のプレ帯電制御のフローチャートである。実施例2では、製品出荷前の中間転写ベルト24について実施例1の実験を自動的に行って、プレ帯電の初期設定の電位を求めている。
【0111】
図10を参照して図15に示すように、中間転写ベルト24は、体積低効率1×1010Ω・cmの全面ポリイミドで形成され、その表面の両端部に静電像転写領域25としてさらに1×1015Ω・cmの絶縁層ポリイミドが厚さ30μmで積層されている。目盛り消去ローラ52は、周波数2kHz、振幅3kVの正弦波に直流電圧を重畳した振動電圧が印加される。
【0112】
図10の制御部54は、i=1として制御を開始する(S01)。制御部54は、目盛り消去ローラ52に直流電圧Vpi(i=1、2、3)に交流電圧を重畳した振動電圧を印加して中間転写ベルト24の静電像転写領域25を電位Vp1に帯電させる(S02)。そして、転写電圧Vtを振って図12の(Vl−Vd)曲線を描き、最大値を与える一次転写バイアスをVt1とする(S03)。
【0113】
制御部54は、i=3かどうかを判断し(S04)、3でなければ(S04のno)、i=i+1にして(S05)、S01〜S04の操作を繰り返す。iは、図13の直線近似が精度よく行える回数であればよい。
【0114】
制御部54は、i=3だった場合(S04のyes)、測定を終了してプレ帯電と転写電圧の関係を求める(S06)。前のステップで得られたVp1、Vp2、Vp3に対するVt1、Vt2、Vt3について、図13に示すように、(Vt1、Vp1)、(Vt2、Vp2)、(Vt3、Vp3)をプロットする(S06)。3点を結ぶ直線の近似式から、静電像転写に最適なベルト表面電位Vt0を求める。
【0115】
制御部54は、式Vpre=Vt0−Vtより、中間転写ベルトへのプレ帯電の電位を算出する(S07)。
【0116】
図13に示すように、具体的に、静電像転写に最適なベルト表面電位Vt0は930V、また今回用いられるトナーの転写バイアスが1170Vと与えられた場合、次式のようにプレ帯電が決定できる。中間転写ベルト24の製品出荷前に、静電像指標の転写に最適なベルト表面電位Vt0に930Vを導き出し、画像のトナー像の転写バイアスVtに応じたプレ帯電の電位Vpreを(2)式から算出する。
Vpre=Vt0−Vt =930−1170=−240V
【0117】
したがって、中間転写ベルト24の初期設定としては、プラス240VDCのプレ帯電の直流電圧に上述の交流電圧を重畳した振動電圧が設定される。
【0118】
製品出荷後、図に示す画像形成部43b、43c、43dにおいては、ベルト目盛り読み取りセンサ33b、33c、33dで中間転写ベルト24の静電像目盛り31aを検出された信号に従って、画像のトナー像の位置合わせが行われる。そのとき、実施例2で求めた条件でプレ帯電を行うことで、プレ帯電を行わない場合に比較して良好に静電像目盛り31aが転写されるため、最終的に記録材における各色画像の色ずれ量を軽減することが可能になる。
【0119】
目盛り消去ローラ52に印加する振動電圧の直流電圧を初期設定−240Vに設定した。このとき、目盛り消去ローラ52通過後、感光ドラム12aに至る前の位置に電位計EMを設置して、静電像転写領域25の表面電位を測定したところ、およそ(−240V)であった。
【0120】
実測定結果を示す。−240Vにプレ帯電された静電像転写領域25には、感光ドラム12aから1000ドット(42.6mm)1000スペース(42.6mm)の静電像指標が転写される。感光ドラム12aの下流に電位センサEMを設置して静電像転写領域25に転写された静電像指標の表面電位を測定したところ、図10に示すように、転写前後の各個所の電位が測定された。
【0121】
感光ドラム12a表面における静電像指標の高電圧部は−500V、低電圧部は−100Vである。感光ドラム12aの感光体層と中間転写ベルト24の静電像転写領域25の比誘電率はほぼ同じであり、厚さは、それぞれ30μm、120μmであって、両者の静電容量の比は4対1である。
【0122】
中間転写ベルト24が感光ドラム12aを通過する際、感光ドラム12a上の静電像指標との電位差で放電が生じる。静電像転写領域25の電位は上述したように−240V、感光ドラム12a上の静電像指標の高電圧部の電位は−500V、低電圧部の電位は−100Vであった。このとき、放電時の各部の電位差は、次のようになる。
(1)低電圧部と静電像転写領域25との間:(1170−240)−(−100)=1030V
(2)高電圧部と静電像転写領域25との間;(1170−240)−(−500)=1430V
【0123】
そして、感光ドラム12aで放電した結果、静電像転写領域25に転写された静電像指標は、以下のように測定された。
(3)静電像転写領域25の低電圧部が転写された領域:−310V
(4)静電像転写領域25の高電圧部が転写された領域:−500V
【0124】
このとき、静電像指標が転写された時に感光ドラム12a上と中間転写ベルト24上で移動する電荷量は等しいので、感光体層と中間転写ベルトの容量比が4対1であることを考慮して電圧の変化に換算すると以下のようになる。すなわち、静電像指標の高電圧部、低電圧部とも、感光ドラム12aと静電像転写領域25上の電位変化量の比は容量比の逆で1対4となる。
(5)感光ドラム12a上の静電像指標の高電圧部:転写前後で−100Vから−82Vへ18V変化する。
(6)静電像転写領域25:−240Vから−310Vへ70V変化する。
(7)感光ドラム12a上の静電像指標の低高電圧部:転写前後で−500Vから−435Vへ65V変化する。
(8)静電像転写領域25:−240Vから−500Vへ260V変化する。
【0125】
<静電像目盛り以外の静電像指標>
ところで、静電像指標を中間転写ベルト又は記録材搬送ベルトに転写して各色トナー像の位置合わせを行う方法は、静電像目盛り31aを用いてリアルタイムに位置修正をかける方法以外にも存在する。
【0126】
連続画像形成中に、中間転写ベルト24に転写した静電像指標の検出デ−タに基づいて、感光ドラム12b、12c、12dにおける露光開始タイミングを調整して画像のトナー像の位置ずれ補正を行うことが可能である。このような制御においても、本発明を適用することは可能である。
【0127】
また、非画像形成時に各色感光ドラムから位置決め用トナー像を中間転写ベルトに転写し、中間転写ベルト上の位置決め用トナー像を検出して感光ドラム12b、12c、12dにおける露光開始タイミングを調整する従来の技術にも応用できる。感光ドラム12a、12b、12c、12dから位置決め用トナー像の代わりに静電像指標を中間転写ベルトに転写し、感光ドラム12dの下流で静電像指標を検出して各色画像の露光開始タイミングを調整すればよい。
【0128】
また、図1に示す画像形成部43a、43b、43c、43dにおいて、静電像指標としてそれぞれ30mm角程度の静電像パッチを形成して中間転写ベルトに転写することができる。そして、画像形成部43dの下流に設置された静電容量型の電位センサで、画像形成部43a、43b、43c、43dに対応した静電像パッチを読み取る。そして、静電像パッチの読み取り時刻の差分に基づいて、画像形成部43aの静電像パッチに対する画像形成部43b、43c、43dごとの位置ずれ量を算出する。その後、次回の画像形成の際、この算出した結果に基づいて感光ドラム12b、12c、12dにおける画像の書き込みタイミングを修正する。あるいは、感光ドラムを中間転写ベルトの回転方向に移動させて感光ドラムの位置補正を行う。
【0129】
<実施例3>
図16は実施例3のプレ帯電制御のフローチャートである。実施例3では、実施例2の初期設定で使用開始された中間転写ベルトのプレ帯電電位を、環境条件や経時変化に応じて調整する。
【0130】
製品出荷後の画像形成装置100は、温度、湿度など周囲の環境条件や、また中間転写ベルト24を始めとするプロセス部材の経時変化の影響を受けて、画像のトナー像の最適な転写電圧が変更される。このとき、上述の(2)式に示すように、画像のトナー像の転写電圧の変化に伴ってプレ帯電の電位も変更する必要がある。さらに、実験によると、画像のトナー像と同様に、静電像目盛り31aの転写に最適な転写電圧も温度特性、湿度特性を持つことが分かっている。そのため、静電像転写領域25のプレ帯電の電位Vpreについても、周囲の温度、湿度に対応して調整する必要がある。
【0131】
図3を参照して図16に示すように、画像形成装置100の中間転写ベルト24の近傍には、不図示の温度湿度センサが設置されている。また、制御部54のメモリには、画像のトナー像の転写に最適な転写電圧の温度湿度特性のテーブルと静電像目盛りの転写に最適な転写電圧の温度湿度特性のテーブルとを予め準備している。制御部54は、連続で稼動中の画像形成装置100において、常時温度、湿度を監視しており、周囲の温度、湿度が変化した場合に、温度湿度特性テーブルを参照して最適なプレ帯電の電位を設定する。
【0132】
制御部54は、画像形成中、温度湿度センサの出力を取り込んで環境の温度と湿度を測定する(S11)。そして、検出した温度湿度でテーブルを参照して、そのときの温度湿度下において中間転写ベルト24のプレ帯電の電位がゼロのときに静電像目盛り31aを最適に転写できる転写電圧Vt0を求める(S12)。また、検出した温度湿度でテーブルを参照して、画像のトナー像を最適に転写できる転写電圧Vtを求める。
【0133】
Vt:使用される温度湿度下での画像のトナー像の最適な転写電圧、Vpre:ベルトのプレ帯電の電位、Vt0:静電像目盛りの転写に最適なベルト表面電位Vbとして上述した(2)式を適用する。
【0134】
制御部54は、(2)式:Vpre=Vt−Vt0 により、動作中の環境下で最適なベルトのプレ帯電の電位を決定する(S14)。そして、前回の画像形成時の静電像目盛り31aの消去と同時に、電位Vpreが振動電圧の直流電圧として目盛り消去ローラ52に印加され(S15)、画像形成(S16)へと続く。稼動中の画像形成装置100において以上のプロセスを繰り返す。
【0135】
実施例3の制御を搭載した画像形成装置100を室温27℃、湿度60%の環境下に設置したところ、機体内の空間は、連続稼動中に、温度32℃、湿度40%へ変化した。実施例3の制御の結果、連続画像形成の開始直後、および、開始後6時間経過時において、画像のトナー像の最適な転写電圧が自動的に変更され、併せて静電像転写領域25のプレ帯電の電位も自動的に調整された。
【0136】
これにより、連続画像形成の開始後10分、30分、1時間、2時間、3時間、6時間の経過時点での記録材上の各色画像の色ずれは、開始直後に比べて遜色ない結果が得られた。
【0137】
<実施例4>
図17は中間転写ベルトに転写された静電像目盛りの評価の説明図である。図18はアンテナ型電位センサの検出信号の変化の説明図である。図19は実施例4のプレ帯電制御のフローチャートである。図17では、静電像目盛り31aとの関係を説明するために、ベルト目盛り読み取りセンサ33b、33b’はフレキシブルプリント基板やア−ス部を省略してある。実施例4では、図4に示すアンテナ型電位センサ(静電像検知プローブ)330を用いて、静電像転写領域25に転写された実際の静電像目盛り31aの転写品質を評価して最適なプレ帯電の電位Vpreを設定する。
【0138】
図3に示すように、制御部54は、露光装置16aを用いて感光ドラム12aに静電像目盛り31aを形成し、一次転写ローラ51に転写電圧Vtを印加して、静電像目盛り31aを中間転写ベルト24へ転写させる。そして、中間転写ベルト24に転写された静電像目盛り31aをベルト目盛り読み取りセンサ33bにより検出して中間転写ベルト24に転写される複数の画像のトナー像の重ね合わせを制御する。
【0139】
ベルト部材帯電手段の一例である目盛り消去ローラ52は、転写前の中間転写ベルト24にDC電位を帯電させる。トナー転写のために設定された電圧Vtで静電像転写領域25に静電像目盛り31aの転写も最適に行うためである。
【0140】
目盛り消去ローラ52は、静電像転写領域25に当接して、交流電圧に直流電圧を重畳した振動電圧が印加されることにより、静電像転写領域25を直流電圧の電位に帯電させる。目盛り消去ローラ52は、静電像転写領域25に転写された前回の静電像目盛り31aを消去する手段を兼ねている。
【0141】
制御手段の一例である制御部54は、転写電圧Vt、Vt0の変動に合わせて目盛り消去ローラ52に印加する振動電圧の直流電圧を調整する。制御部54は、一次転写ローラ51に印加する転写電圧Viを100V刻みで複数段階に変更して、静電像目盛り31aを静電像転写領域25に転写させる。そして、静電像転写領域25に転写された静電像目盛り31aのアンテナ型電位センサ330による検出結果に基づいて、画像形成時に用いる振動電圧の直流電圧を決定する。
【0142】
制御部54は、アンテナ型電位センサ330による静電像目盛り31aの検出信号の波形のばらつきが小さくなるように振動電圧の直流電圧を決定する。
【0143】
図10に示すように、プレ帯電の電位Vpreを設定するためには、静電容量型の電位センサEMを用いる必要があるが、実際の画像形成装置100には、大型の電位センサEMを取り付けるスペースを確保することが難しい。大型の電位センサEMを取り付けられないから、図4に示すアンテナ型電位センサ330を搭載しているという事情もある。
【0144】
また、電位センサEMを用いて静電像指標の電位を検出するためには、電位センサEMの電極面を一様な電位の面に対向させるために、1000ドット1000スペースの巨大な静電像指標が必要となる。したがって、電位センサEMを用いてプレ帯電の電位Vpreを設定している間は、画像のトナー像の位置合わせ用の静電像目盛り31aを静電像転写領域25に形成できない。大きなサイズの静電目盛りを用いると、スペースの問題に加えて位置合わせの精度が低下する問題もある。
【0145】
そこで、実施例4では、電位センサEMによる電位測定を行うことなく、静電像目盛り31aの転写に最適な転写電圧をプレ帯電の電位Vpreを設定している。図4に示すアンテナ型電位センサ330(ベルト目盛り読み取りセンサ33b、33b’)を用いて静電像転写領域25の静電像目盛り31aを検出し、その出力信号を評価して最適なプレ帯電電位Vpreを設定している。プレ帯電の電位Vpreを0Vに設定した状態で、一次転写ローラ51に印加する転写電圧Vtを複数段階に変更して、その他は同条件に保って、静電像転写領域25に静電像目盛り31aを転写している。
【0146】
そして、静電像転写領域25に転写された静電像目盛り31aをベルト目盛り読み取りセンサ33b、33b’により検出し、出力信号の乱れが最も少ない転写電圧Vtを静電像目盛り31aの転写に最適な転写電圧Vt0としている。
【0147】
図17の(a)に示すように、実施例4では、中間転写ベルト24の静電像転写領域25に摺擦させて、2個の独立したベルト目盛り読み取りセンサ33b、33b’(アンテナ型電位センサ330:図4)を配置している。ベルト目盛り読み取りセンサ33b、33b’は、水平部分333が静電像転写領域25の静電像目盛り31aと平行になるようにして、極力近接した位置に並べて配置される。2つのベルト目盛り読み取りセンサ33b、33b’が、ほぼ同じ個所の静電像目盛り31aを同時に読んで、図18の(a)、(b)に示すような波形の信号を出力する。
【0148】
図17の(a)に示すように、プレ帯電の電位Vpreを0Vに設定した状態での静電像目盛り31aの転写時、転写電圧Vtが適切であれば、正常な放電によって静電像目盛り31aが規則正しく静電像転写領域25に転写される。この場合、図18の(a)に示すように、ベルト目盛り読み取りセンサ33b、33b’の出力信号は、位相が揃った規則正しいものとなり、複数の信号波形の周期の標準偏差σが小さくなる。
【0149】
図17の(b)に示すように、プレ帯電の電位Vpreを0Vに設定した状態での静電像目盛り31aの転写時、転写電圧Vtが不適切であれば、異常な放電によって静電像目盛り31aが不規則に静電像転写領域25に転写される。この場合、図18の(b)に示すように、ベルト目盛り読み取りセンサ33b、33b’の出力信号は、位相が乱れた不規則なものとなり、複数の信号波形の周期の標準偏差σが大きくなる。
【0150】
したがって、ベルト目盛り読み取りセンサ33b、33b’の出力信号の立ち上がり時間差を複数ポイント測定し、その標準偏差σを求めて、相互に比較することで、転写電圧Vtが異なる静電像目盛り31aの転写品質を評価できる。
【0151】
具体的には、出力波形の立ち上り領域が電位ゼロを通過する時間を測定する。2つのベルト目盛り読み取りセンサ33b、33b’における一つ目のポイントの通過時間をt1、t1’とし、二つ目のポイントの通過時間をt2、t2’とする。以下、1000個のポイントを測定して、t1〜t1000、t1’〜t1000’を得る。
【0152】
次に、各ポイントに対して2つのベルト目盛り読み取りセンサ33b、33b’の通過時間の差(t1−t1’)、(t2−t2’)・・・(t1000−t1000’)を求める。通過時間の差(t1−t1’)、(t2−t2’)・・・(t1000−t1000’)の分散から標準偏差σを算出する。
【0153】
このとき、転写電圧Vtが適切で、正常な放電によって静電像目盛り31aが規則正しく転写されている場合、静電像目盛り31aの転写および読み取りの精度が高くなって標準偏差σはゼロに近づく。これに対して、転写電圧Vtが不適切で、異常な放電によって静電像目盛りが不規則に転写されている場合は標準偏差σが大きくなる。
【0154】
図3に示すように、稼動累積時間が200時間を超えた画像形成装置100においては、帯電、露光、消去等の電子写真プロセスの繰り返しを経て、感光ドラム12aおよび中間転写ベルト24の表面性状と物性値が製品出荷時と比較して変化している。このため、画像形成装置100は、連続稼動200時間後、印字出力前の待機状態のタイミングで、プレ帯電の電位を設定し直す。
【0155】
図3を参照して図19に示すように、制御部54は、一次転写ローラ51に印加する転写電圧Viを、500Vから1400Vまで100Vおきに10段階に設定してS22〜S26のフローを繰り返す。
【0156】
制御部54は、i=1としてプレ帯電制御を開始し(S21)、目盛り消去ローラ52に印加する振動電圧の直流電圧を0Vに設定して、静電像転写領域25のプレ帯電の電位Vpre=0Vとする。
【0157】
制御部54は、感光ドラム12aに600dpiの解像度で4ライン4スペースの静電像目盛り31aを形成し、転写電圧V1=500Vにて中間転写ベルト24の静電像転写領域25に転写する(S23)。
【0158】
制御部54は、感光ドラム12bの転写位置に並べて配置したベルト目盛り読み取りセンサ33b、33b’(33b’は図示略)により静電像目盛り31aの誘導電流を検出して電圧値に換算する(S24)。そして、上述したように標準偏差σ1を演算してメモリに記憶する。
【0159】
制御部54は、i=10になるまで(S25のNo)、iを1ずつ加算して(S26)、V1=500V、V2=600V、・・・V10=1400Vと変化させて静電像転写領域25へ静電像目盛り31aを転写する(S23)。そして、ベルト目盛り読み取りセンサ33b、33b’により静電像目盛り31aを検出して、標準偏差σ1を演算してメモリに記憶する(S24)。
【0160】
制御部54は、i=10になると(S25のYes)、標準偏差σ1〜σ10の内、σの最小値を選択する(S27)。そして、σの最小値を与えるViをもって、静電像目盛り31aの転写に最適なベルト表面電位Vt0とする(S28)。
【0161】
制御部54は、上述した(2)式に、今回求めたVt0と、別途求めた画像のトナー像の転写に最適な転写電圧Vtを代入してプレ電位の電位Vpreを求める。
Vpre=Vt0−Vt ・・・(2)
【0162】
なお、画像のトナー像の転写に最適な転写電圧Vtは、直前の画像形成の前回転時に求められている。一次転写ローラ51に3段階の転写電圧を印加してそれぞれ電流値を測定し、3つの転写電圧−電流データを補間演算して所定の電流値(20μA)が得られる転写電圧を画像のトナー像の転写に最適な転写電圧Vtとしている。
【0163】
以上により静電像転写領域25のプレ帯電の電位Vpreが決定される(S29)。
【0164】
制御部54は、このようにして求めたプレ帯電の電位Vpreを用いて静電像目盛り31aを静電像転写領域25に転写して画像形成を実行する。
【0165】
実施例3の制御を搭載した画像形成装置100では、稼働累積時間200時間を超えても、各色画像の色ずれは、製品出荷時の場合と比べて遜色ない結果が得られた。
【0166】
なお、実際には、プレ帯電の電位Vpreが適切で正常な放電で静電像目盛り31aが転写されていても、中間転写ベルト24の寄りや回転速度のムラ、アンテナ型電位センサによる読み取り誤差などの要因によって標準偏差σはゼロにはならない。しかし、こうした共通の要因の影響を受けながらも、標準偏差σの最小値を与える転写電圧がプレ帯電の電位Vpreを0Vとしたときの静電像目盛り31aの転写に最適な転写電圧になると言える。
【0167】
また、一次転写ローラ51に印加する転写電圧Viの刻み幅、刻み数は任意に選択できる。プレ帯電の電位Vpreの設定精度を高めるためには、刻み幅を10Vとして、刻み数を100段階とする選択も可能である。しかし、100V刻み10段階で実用上十分な設定が可能である。
【0168】
また、プレ帯電の電位Vpreの設定タイミングについても、新品での使用開始から200時間経過後には限らない。画像形成装置のプロセス条件の変更時、1日の最初の電源投入時、所定の稼働累積時間ごと、製品出荷前等、任意に設定可能である。
【0169】
実施例4では、静電像転写領域25に転写された静電像目盛り31aの品質精度を評価するために、2個のベルト目盛り読み取りセンサ33b、33b’が対応する一周期の静電像目盛り31aを通過する通過時間の差の標準偏差を用いた。
【0170】
しかし、2個のベルト目盛り読み取りセンサ33b、33b’が対応する一周期の静電像目盛り31aを検出した際の振幅差の標準偏差を用いても同様な制御が可能である。静電像目盛り31aの品質精度が高いほど、2個のベルト目盛り読み取りセンサ33b、33b’の出力振幅のばらつきは小さくなるからである。
【0171】
実施例4のプレ帯電制御によれば、各色画像の位置ずれが少ない高品位な画像を出力できる。画像のトナー像の転写電圧と同一の電源、同一の一次転写ローラ51を用いて、静電像目盛り31aの高感度な転写が可能となる。
【0172】
<実施例5>
図20は実施例5のプレ帯電制御のフローチャートである。実施例5は、アンテナ型電位センサの出力波形の評価方法以外は実施例4と同一であるため、図中、実施例4と同一の制御については共通のステップ番号を付して重複する説明を省略する。
【0173】
図3を参照して図20に示すように、制御部54は、画像形成部43aにおいて転写電圧V1=500Vにて転写された静電像目盛り31aを画像形成部43bにおいて検出する。そして、ベルト目盛り読み取りセンサ33bの出力誘導電流を電圧値に換算して積分し、電圧振幅の平均値を、転写電圧V1の時の出力振幅Vout1としてメモリに記憶する(S24B)。この操作を実施例4と同様に繰り返して転写電圧V1=500V〜V10=1400Vの時の出力振幅Vout1〜Vout10を取得する(S21〜S26)。
【0174】
その後、制御部54は、出力振幅Vout1〜Vout10の内、最大の出力振幅VoutMAXを選択する(S27B)。そして、最大の出力振幅VoutMAXのときの転写電圧Viを静電像メモリ31aの転写に最適なベルト表面電位Vt0とする(S28B)。転写電圧が適正で静電像目盛り31aの品質精度が高いほど、アンテナ型電位センサで検出した際の出力振幅が大きいからである。
【0175】
実施例5のプレ帯電制御によっても、新品での使用開始から200時間経過後の出力画像の各色画像の位置ずれは、新品当時と遜色ない結果が得られた。
【0176】
<実施例6>
図21は実施例6のプレ帯電制御のフローチャートである。実施例6は、アンテナ型電位センサの出力波形の評価方法以外は実施例5と同一であるため、図中、実施例と同一の制御については共通のステップ番号を付して重複する説明を省略する。
【0177】
図3を参照して図21に示すように、制御部54は、画像形成部43aにおいて転写電圧V1=500Vにて転写された静電像目盛り31aを画像形成部43bにおいて検出する。そして、ベルト目盛り読み取りセンサ33bの出力誘導電流を電圧値に換算して、その出力波形の微分dv/dt波形を求め、dv/dt波形の振幅の平均値を求め、転写電圧V1の時の微分振幅Δdv/dt1としてメモリに記憶する(S24C)。この操作を繰り返して転写電圧V1=500V〜V10=1400Vの時の微分振幅Δdv/dt1〜Δdv/dt10を取得する(S21〜S26)。
【0178】
その後、制御部54は、微分振幅Δdv/dt1〜Δdv/dt10の内、最大の微分振幅Δdv/dtMAXを選択する(S27C)。そして、最大の微分振幅Δdv/dtMAXのときの転写電圧Viを静電像メモリ31aの転写に最適なベルト表面電位Vt0とする(S28C)。転写電圧が適正で静電像目盛り31aの品質精度が高いほど、アンテナ型電位センサで検出した際の微分振幅が大きいからである。
【0179】
実施例6のプレ帯電制御によっても、新品での使用開始から200時間経過後の出力画像の各色画像の位置ずれは、新品当時と遜色ない結果が得られた。
【0180】
<実施例7>
図22は実施例7のプレ帯電制御のフローチャートである。実施例7では、実施例4〜6によってプレ帯電の電位Vpreを決定した後、静電像メモリ31aの転写に最適なプレ帯電の電位Vpreをさらに精度を上げて抽出する。
【0181】
実施例4〜6では、プレ帯電の電位Vpreを求める際、500Vから100Vおきの10段階の転写電圧Viで静電像目盛り31aの転写を行って、転写後の静電像目盛り31aの品質精度を評価して、転写電圧Viの最適値を選択した。このため、決定された最適なプレ帯電の電位Vpreは100Vおきであった。実施例7では、その後、プレ帯電の電位Vpreを10Vおきの10段階に変化させて静電像目盛り31aの転写を行って、転写後の静電像目盛り31aの品質精度を評価して、プレ帯電の電位Vpreの最適値を選択する。このため、決定された最適なプレ帯電の電位Vpreは10Vおきとなる。
【0182】
制御手段の一例である制御部54は、振動電圧の直流電圧を10V刻みで複数段階に変更して、静電像目盛り31aを静電像転写領域25に転写させる。そして、静電像転写領域25に転写された静電像目盛り31aのアンテナ型電位センサ330による検出結果に基づいて、画像形成時に用いる振動電圧の直流電圧を決定する。
【0183】
制御部54は、アンテナ型電位センサ330による静電像目盛り31aの検出信号の波形のばらつきが小さくなるように振動電圧の直流電圧を決定する。
【0184】
図17に示すように、実施例7では、実施例4と同様に、ベルト目盛り読み取りセンサ33b、33b’を用いて静電像目盛り31aを検出し、その出力信号を評価して最適なプレ帯電電位Vpreを設定する。プレ帯電の電位Vpreを10段階に変更して、その他は同条件に保って、静電像転写領域25に静電像目盛り31aを転写し、ベルト目盛り読み取りセンサ33b、33b’により検出した際の出力信号の乱れが最も少ないプレ帯電の電位Vpreを選択する。
【0185】
図17の(a)に示すように、静電像目盛り31aの転写時、静電像転写領域25のプレ帯電の電位Vpreが適切であれば、正常な放電によって静電像目盛り31aが規則正しく静電像転写領域25に転写される。この場合、図18の(a)に示すように、ベルト目盛り読み取りセンサ33b、33b’の出力信号は、位相が揃った規則正しいものとなり、複数の信号波形の周期の標準偏差が小さくなる。
【0186】
図17の(b)に示すように、静電像目盛り31aの転写時、静電像転写領域25のプレ帯電の電位Vpreが不適切であれば、異常な放電によって静電像目盛り31aが不規則に静電像転写領域25に転写される。この場合、図18の(b)に示すように、ベルト目盛り読み取りセンサ33b、33b’の出力信号は、位相が乱れた不規則なものとなり、複数の信号波形の周期の標準偏差が大きくなる。
【0187】
したがって、複数の信号波形の周期の標準偏差σを求めて相互に比較することで、プレ帯電の電位Vpreが異なる静電像目盛り31aの転写品質を評価できる。具体的な評価方法については実施例4で説明したとおりなので、重複する説明を省略する。
【0188】
図3を参照して図22に示すように、実施例4のプロセスを経て、静電像目盛り31aの転写に最適なベルトの表面電位Vt0が900V、画像のトナー像の最適な転写電圧が1170V、プレ帯電の電位Vpreが−270Vに設定されたとする。ここで、実施例4のプロセスは、実施例5又は実施例6のプロセスに置き換えてもよい。
【0189】
続いて、制御部54は、Vjは−50Vから+40Vまで10V刻みに10段階変化する変数V1、V2、V3〜V10によりプレ帯電の電位Vprejを次式のように設定する。ここで、Vjの範囲と10V刻みの幅は、任意に選択することができ、電子写真プロセスの経時変化の進行具合や、印字速度との兼ね合いで変更してもよい。
Vprej=−240V+Vj
【0190】
制御部54は、はじめにj=1として(S31)、目盛り消去ローラ52に印加する振動電圧の直流電圧をプレ帯電の電位Vpre1に設定する(S32)。
【0191】
制御部54は、画像形成部43aにおいて、感光ドラム12a上で600dpiの解像度により4ライン4スペース間隔の静電像目盛り31aを形成し、転写電圧Vt=1170Vを一次転写ローラ51に印加して、中間転写ベルト24に転写する(S33)。
【0192】
制御部54は、画像形成部43bにおいて、2個のベルト目盛り読み取りセンサ33b、33b‘により静電像目盛り31aの誘導電流を検出する。そして、信号波形の対応する立ち上がりの時間差を求め、その標準偏差σjを、プレ帯電の電位がVpre1の時の読み取り精度としてメモリに記憶する(S34)。
【0193】
制御部54は、jが10でない場合(S35のNo)、j=j+1として(S36)、同様の操作を繰り返し、Vpre1からVpre10までの信号波形について立ち上がりの標準偏差σj=σ1〜σ10を求める(S31〜S36)。
【0194】
その後、制御部54は、σ1〜σ10の中から最小値σminを選択して(S37)、最小値σminを与えるVprejを決定し、これを次回からのプレ帯電の電位Vpreとして使用する。
【0195】
実施例7のプレ帯電制御では、プレ帯電の電位Vpreの最適値は10V刻みで設定するので、100V刻みの実施例4よりも適正にプレ帯電の電位Vpreを設定できる。動作中の周囲の温度湿度に応じて変化する、画像のトナー像の転写電圧の変更に対応して、中間転写ベルト24の静電像転写領域25のプレ帯電の電位を連動させるので、環境が変化しても常に最適な色ずれ補正が可能である。連続画像形成と同時又は並行してにプレ帯電の電位Vpreを最適値に調整できるので、環境条件の急変や電子写真プロセスの機構、物性値の短時間の経時変化にも対応可能である。その結果、新品での使用開始から300時間経過後まで、出力画像の各色画像の位置ずれは、新品当時と遜色ない結果が得られた。
【符号の説明】
【0196】
4a、4b、4c、4d、51 一次転写ローラ
5a、5b、5c、5d ドラム回転軸
6a、6b、6c、6d ドラム駆動モ−タ
12a、12b、12c、12d 感光ドラム
14a、14b、14c、14d 帯電ローラ
16a、16b、16c、16d 露光装置
18a、18b、18c、18d 現像装置
22a、22b、22c、22d ドラムクリーニング装置
24 中間転写ベルト、25 静電像転写領域
31a、31b、31c、31d 静電像目盛り
33b、33c、33d ベルト目盛り読み取りセンサ
34b、33c、33d ドラム目盛り読み取りセンサ
36 ベルト駆動ローラ、37 テンションローラ
38 二次転写対向ローラ、44二次転写ローラ
43a、43b、43c、43d 画像形成部
45 ベルトクリーニング装置、54 制御部
52 目盛り消去ローラ、53 目盛り消去対向ローラ
54 制御部
90 トナー像転写領域
101 AC電圧制御部、102 電圧印加部、103 電圧制御部
104 DC電圧制御部、330 アンテナ型電位センサ
332 フレキシブルプリント基板、333 検出部、334 出力導線部
345 接着層、346 カバ−フィルム、341 高電位部
342 低電位部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、画像のトナー像の転写部で前記像担持体に当接するベルト部材と、画像の静電像を前記像担持体に形成する静電像形成手段と、前記画像のトナー像の転写に適合した電気的条件を用いて前記転写部で前記画像のトナー像を転写させる転写部材と、を備え、
前記静電像形成手段を用いて前記像担持体に静電像指標を形成し、前記画像のトナー像の転写に適合した電気的条件を用いて前記転写部で前記静電像指標を前記ベルト部材に転写し、前記ベルト部材に転写された前記静電像指標を検出して前記ベルト部材に転写される複数の前記画像のトナー像の重ね合わせを制御する画像形成装置において、
前記画像のトナー像の転写に適合した電気的条件の下でも、少なくとも前記静電像指標が転写される領域では前記静電像指標の転写に適合した別の電気的条件が形成されるように、前記静電像指標の転写前の前記ベルト部材を帯電させるベルト部材帯電手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ベルト部材は、前記像担持体の前記画像のトナー像を担持する領域に対応させたトナー像転写領域と、前記トナー像転写領域よりも抵抗値を高めて前記トナー像転写領域よりも幅方向の外側に配置されて前記静電像指標が転写される静電像転写領域とを有し、
前記像担持体から前記ベルト部材へ転写された前記静電像指標は、前記ベルト部材の回転方向の下流側に配置された別の像担持体に形成された画像のトナー像との重ね合わせの制御に用いられることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記静電像指標は、前記像担持体の回転方向に直角な輪郭を持たせて前記静電像形成手段による所定走査線本数間隔で配列した目盛り状に形成され、
前記ベルト部材に転写された前記静電像指標は、前記別の像担持体に形成された前記別の画像のトナー像の転写位置で、前記ベルト部材の移動に伴って前記静電像指標の誘導電流を検出するアンテナ型電位センサを用いて検出されることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ベルト部材帯電手段は、前記静電像転写領域に当接して、交流電圧に直流電圧を重畳した振動電圧が印加されることにより、前記静電像転写領域を前記直流電圧の電位に帯電させることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ベルト部材帯電手段は、前記静電像転写領域に転写された前回の静電像指標を消去する手段を兼ねていることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記静電像指標を形成して、前記転写部に印加する電圧を複数段階に変更して前記静電像転写領域に転写させ、前記静電像転写領域に転写された前記静電像指標の前記アンテナ型電位センサによる検出結果に基づいて、画像形成時に用いる前記振動電圧の直流電圧を決定する制御手段を備えたことを特徴とする請求項4又は5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記静電像指標を形成して、前記振動電圧の直流電圧を複数段階に変更して前記静電像転写領域に転写させ、前記静電像転写領域に転写された前記静電像指標の前記アンテナ型電位センサによる検出結果に基づいて、画像形成時に用いる前記振動電圧の直流電圧を決定する制御手段を備えたことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記アンテナ型電位センサによる前記静電像指標の検出信号の波形のばらつきが小さくなるように前記振動電圧の直流電圧を決定することを特徴とする請求項6又は7に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−98417(P2012−98417A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244590(P2010−244590)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】