説明

画像形成装置

【課題】生産性を低下させることなく、クリーニングブレード10aと中間転写ベルト5との当接部に蓄積される紙粉などの異物を除去すると共に、クリーニングブレード10aの中間転写ベルト5に対する摺動性を確保できる構造を実現する。
【解決手段】トナーの凝集度及び帯電量が異なるトナー帯をそれぞれ当接部に供給する。第1トナー供給モードでは、上流側のイエローのステーションでトナー帯を形成すると共に一次転写電流を大きくする。これにより、トナーの凝集度が高く、帯電量が大きいトナー帯を当接部に供給でき、異物を除去できる。一方、第2トナー供給モードでは、下流側のブラックのステーションでトナー帯を形成すると共に一次転写電流を小さくする。これにより、トナーの凝集度が低く、帯電量が小さいトナー帯を当接部に供給でき、摺動性を確保できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタなどの画像形成装置に係り、特に、感光ドラムなどの像担持体、又は、中間転写体や記録材搬送体などの回転体に当接してクリーニングするクリーニングブレードを有する構成に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、感光ドラム上に形成したトナー像を、中間転写体を介して記録材に転写、或いは、記録材搬送体により搬送される記録材に直接転写し、転写後に感光ドラム、中間転写体又は記録材搬送体に付着したトナーなどをクリーニングする。このクリーニングは、クリーニングブレードを感光ドラムなどに当接させて行う。
【0003】
最近ではさらなるメディア対応性の広範囲化に伴い、例えば11×13インチなどのラージサイズ紙に対応した画像形成装置が増えてきている。そして、このような画像形成装置のラージサイズ対応に伴い、画像形成装置内の感光ドラムや中間転写体などの像担持体、転写部材、クリーニングブレードなどの長尺化が行われている。
【0004】
また、クリーニングブレードは、感光ドラムや中間転写体、記録材搬送体などの回転体に対する摺動性を適切にするために、ブレードと相手部材との当接部にトナーを供給する必要がある。特にクリーニングブレードの長手方向が長尺化すると、クリーニングブレード端部の歪み量が中央部に比べて大きくなるため、ブレードの姿勢を維持するこが難しく、クリーニングブレードには適切にトナーを供給する必要がより求められる。
【0005】
また、画像形成装置の生産性を高めるために、このようにクリーニングブレードと回転体との当接部へのトナー供給モードの制御時間の短縮と低頻度化が求められている。そうした中、さまざまなメディアへの対応とプリントボリュームの増大化で、紙の填料などの紙粉が画像形成装置本体に蓄積することによる搬送性への影響や不良画像への対応が必要になってきている。
【0006】
特に多量の画像形成によって紙粉などがクリーニングブレードと回転体との当接部に蓄積することにより発生するトナーのすり抜けが問題になっている。即ち、連続画像形成を行うと、記録媒体から紙粉や填料等が記録媒体から遊離して中間転写体などの回転体に転移し、クリーニングブレードと回転体との当接部に突入する。クリーニングブレードと回転体の当接部に突入した紙粉や填料は、連続画像出力でブレードのエッジ先端に蓄積する場合があり、エッジ先端に蓄積し始めるとブレード先端が蓄積箇所を起点にニップが不安定になってトナーのすり抜けが発生する。
【0007】
このような問題を解消すべく、クリーニングブレードと当接する回転体の駆動を逆回転させることにより、紙粉などを除去する構成が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10―10939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載されたように、回転体の駆動を逆回転させると、生産性が大幅に低下するばかりか、回転体を駆動するための駆動ギアなどの部材の摩耗に対して不利である。
【0010】
一方で、上述したように、クリーニングブレードの回転体に対する摺動性を確保しなければ、ブレードの姿勢が維持できず、ブレード捲れが生じる可能性がある。したがって、このようなブレード捲れを回避することと、異物によるトナーのすり抜けを抑制することとを両立させることが求められる。
【0011】
本発明は、生産性を低下させることなく、クリーニングブレードと回転体との当接部に蓄積される紙粉などの異物を除去すると共に、クリーニングブレードの回転体に対する摺動性を確保できる構造を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体にトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記像担持体に隣接して配置され、回転する回転体と、前記像担持体との間で前記回転体を挟持するように配置され、前記像担持体に形成されたトナー像を前記回転体又は前記回転体により搬送される記録材に転写する転写部材と、前記転写部材の前記回転体の回転方向下流に配置され、前記回転体に当接して表面をクリーニングするクリーニングブレードと、を備えた画像形成装置において、前記像担持体に所定のトナー像を形成し、前記所定のトナー像をトナーの凝集度を異ならせた状態で、それぞれ前記クリーニングブレードと前記回転体との当接部に供給する、第1トナー供給モード及び第2トナー供給モードを実行可能な制御手段を有し、前記第1トナー供給モードでは、前記第2トナー供給モードよりも前記当接部に供給する前記所定のトナー像のトナーの凝集度が高い、ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1トナー供給モードでトナーの凝集度が高いトナー像をクリーニングブレードと回転体との当接部に供給することにより、この当接部に蓄積される紙粉などの異物を除去でき、トナーのすり抜けを抑制できる。また、第2トナー供給モードでトナーの凝集度が低いトナー像を当接部に供給することにより、クリーニングブレードの回転体に対する摺動性を確保でき、ブレード捲れを回避できる。更に、異物を除去するために回転体の駆動を逆回転させる必要がないため、生産性が低下することはない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図2】クリーニングブレードと回転体との当接部に異物が挟まった状態を示す模式図。
【図3】連続通紙枚数と異物の成長との関係を示す図。
【図4】回転体が駆動状態(a)から停止状態(b)になった場合のクリーニングブレードと回転体との当接部の状況を示す図。
【図5】中間転写ベルトに非静電的に転写されたトナーと、静電的に転写されたトナーとの、それぞれのトナー電荷量の分布を示す図。
【図6】連続通紙枚数とクリーニングブレードの幅方向中央及び端部の変形量との関係を示す図。
【図7】連続通紙を行った状態でのクリーニングブレードの、幅方向中央と端部との歪の関係を示す模式図。
【図8】本実施形態のトナー供給モードの制御の流れの1例を示すフローチャート。
【図9】一次転写ローラの支持構成の1例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について、図1ないし図9を用いて説明する。但し、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、以下の説明で一度説明した部材についての材質、形状などは、特に改めて記載しない限り初めの説明と同様のものである。また、各図面において同一の符号を付したものは、同一の構成又は作用をなすものであり、これらについての重複説明は適宜省略した。まず、本実施形態の画像形成装置の概略構成について説明する。
【0016】
[画像形成装置]
図1に示す画像形成装置は、電子写真方式の4色フルカラーの画像形成装置である。このため、本実施形態の画像形成装置は、4個(4色)の画像形成ステーション、即ち、それぞれイエロー,マゼンダ,シアン,ブラックのトナー像を形成する画像形成ステーションY,M,C,Kを備えている。また、本実施形態の場合、中間転写方式としている。即ち、これら画像形成ステーションY,M,C,Kで形成された各色のトナー像を、順次に中間転写体である中間転写ベルト5上に一次転写して重ねあわせ、一括で紙等の記録材Pに二次転写する。そして、二次転写された4色のトナー像を定着装置9で定着することで4色フルカラー画像を得るようにしている。
【0017】
各画像形成ステーションY,M,C,Kは、それぞれ像担持体(感光体)としてドラム型の感光ドラム1Y,1M,1C,1Kを複数配置している。これら複数の感光ドラム1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト5の回転方向に並べて配置されている。また、各感光ドラム1Y,1M,1C,1Kは、例えば外径30mmのアルミニウム製シリンダの外周面に、感光層としてOPC(有機光半導体)を塗布して構成され、不図示のモータなどの駆動手段により図中矢印方向にそれぞれ回転駆動される。各感光ドラム1Y,1M,1C,1Kは、その表面が帯電ローラ(帯電手段)3Y,3M,3C,3Kによって一様に帯電された後、露光装置2Y,2M,2C,2Kからレーザ光の照射を受け、それぞれの色に対応する静電潜像が形成される。
【0018】
帯電ローラ3Y、3M、3C、3Kには帯電バイアス印加電源から、電気接触子、これを接触させた芯金を介して所定の帯電バイアス電圧、本実施形態では交流と負極性の直流の重畳電圧が印加される。これにより、回転する感光ドラム1Y、1M、1C、1Kの周面が負極性の所定電位に一様帯電される。
【0019】
各感光ドラム1Y,1M,1C,1K上に形成された静電潜像は、それぞれイエロー,マゼンタ,シアン,ブラックのトナーを収容した現像装置4Y,4M,4C,4Kによってそれぞれの色のトナーが付着され、トナー像として現像される。本実施形態の場合、帯電ローラ3Y,3M,3C,3K、露光装置2Y,2M,2C,2K、現像装置4Y,4M,4C,4Kがトナー像形成手段を構成する。また、各ステーションのトナー像形成手段は、それぞれ制御手段である制御部100により制御される。
【0020】
本実施形態において、感光ドラム1Y、1M、1C、1Kとしては、通常使用される有機感光体等を用いることができる。好ましくは、感光体上にその抵抗値が10〜1014Ωcmの表面層を持つものや、アモルファスシリコン感光体などを用いると、電荷注入帯電を実現でき、オゾン発生の防止、および消費電力の低減に効果がある。また帯電性についても向上させることが可能となる。
【0021】
そこで、本実施形態では、負帯電性の有機感光体で、直径30mmのアルミニウム製のドラム基体上につぎの第1〜第5の5層を下から順に設けた感光ドラムを用いた。第1層は下引き層であり、アルミニウム基体の欠陥等を均すために設けられた層で、厚さ20μmの導電層からなる。
【0022】
第2層は正電荷注入防止層であり、基体から注入された正電荷が感光体表面に帯電された負電荷を打ち消すのを防止する役割を果たす。このため、アラミン樹脂とメトキシメチル化ナイロンによって10×10Ωcm程度に抵抗調整した厚さ1μmの中抵抗層からなる。第3層は電荷発生層であり、ジアゾ系の顔料を樹脂に分散した厚さ約0.3μmの層であり、露光を受けることによって正負の電荷対を発生する。
【0023】
第4層は電荷輸送層であり、ポリカーボネート樹脂にヒドラゾンを分散したものであり、P型半導体である。したがって、感光体表面に帯電された負電荷はこの層を移動することができず、電荷発生層で発生した正電荷のみを感光体表面に輸送することができる。第5層は電荷注入層であり、絶縁性樹脂のバインダーにSnO超微粒子を分散した材料の塗工層である。具体的には、絶縁性樹脂に光透過性の絶縁フィラーであるアンチモンをドーピングして低抵抗化(導電化)し、この樹脂に対して粒径0.03μmのSnO粒子を70重量パーセント分散した材料の塗工層である。このように調合してと交易をディッピング法、スプレー塗工法、ロール塗工法、ビーム塗工法等の適当な塗工法で厚さ約3μmに塗工して、電荷注入層を形成することができる。
【0024】
上述の4個の画像形成ステーションY,M,C,Kの各感光ドラム1Y,1M,1C,1Kに隣接した位置には、回転する回転体である中間転写ベルト5が配置されている。中間転写ベルト5は、張架ローラである駆動ローラ22と、テンションローラ21と、二次転写内ローラ23とに掛け渡されており、駆動ローラ21の同図中の時計回りの回転により、矢印R5方向に回転駆動(移動)される。駆動ローラ21は金属芯金上に導電ゴム層を有し、1×10〜1×10Ωのローラで、芯金は接地されている。
【0025】
また、中間転写ベルト5の内側における、各感光ドラム1Y,1M,1C,1Kに対応する位置には、転写部材である一次転写ローラ6Y,6M,6C,6Kが配置されている。即ち、一次転写ローラ6Y,6M,6C,6Kは、各感光ドラム1Y,1M,1C,1Kとの間で中間転写ベルト5を挟持するように配置されている。そして、それぞれ電気的な作用及び押圧力によって、各感光ドラム1Y,1M,1C,1Kに形成されたトナー像を中間転写ベルト5に転写する。このため、一次転写ローラ6Y,6M,6C,6Kは、バネなどの押圧機構によって支持され、それぞれ各感光ドラム1Y,1M,1C,1Kに向けて付勢されている。
【0026】
このような一次転写ローラ6Y、6M、6C、6Kは、例えば、導電性金属からなる直径8mm円柱型の部材を、抵抗値5.0×10[Ω/cm]で1.0mmの厚さを有した導電性発泡体で覆ったものである。一次転写ローラ6Y、6M、6C、6Kの重量は例えば300gである。また、中間転写ベルト5の裏面から各感光ドラム1Y,1M,1C,1Kに接触させるために、各一次転写ローラ6Y、6M、6C、6Kの両端部のバネなどの押圧機構によって鉛直方向上方に加圧され(例えば1.5kgf)ている。また、各一次転写ローラ6Y、6M、6C、6Kの位置は、その中心が感光ドラム1Y,1M,1C,1Kの中心の鉛直方向下方位置よりも中間転写ベルト5の回転方向下流に、それぞれ例えば2.5mmシフトするようにしている。
【0027】
また、各一次転写ローラ6Y、6M、6C、6Kには、それぞれ電源60Y,60M,60C,60Kから一次転写バイアスが印加される。そして、各ローラに一次転写バイアスをそれぞれ印加することにより、各感光ドラム1Y,1M,1C,1Kに形成されたトナー像を中間転写ベルト5にそれぞれ一次転写する。感光ドラム1Y,1M,1C,1K上のトナー像を中間転写ベルト5上に転写する通常作像時の転写電流は各画像形成ステーションとも例えば30μAとする。なお、電源60Y,60M,60C,60Kは制御部100により制御される。
【0028】
また、中間転写ベルト5は、これら一次転写ローラ6Y,6M,6C,6Kによって感光ドラム1Y,1M,1C,1K表面に押圧されている。そして、感光ドラム1Y,1M,1C,1Kと中間転写ベルト5との間には、一次転写部(一次転写ニップ部)T1がそれぞれ形成されている。また、中間転写ベルト5を挟んで二次転写内ローラ23に対向する位置には、二次転写外ローラ24が配設されている。中間転写ベルト5は、二次転写内ローラ23によって二次転写外ローラ24に押圧されることにより、二次転写外ローラ24との間に二次転写部(二次転写ニップ部)T2を形成している。
【0029】
二次転写内ローラ23と二次転写外ローラ24との間には、電源230により二次転写バイアスを印加する。二次転写バイアスを印加することにより、中間転写ベルト5上のトナー像を記録材に転写する。また、二次転写外ローラ24を中間転写ベルト5に対して接離可能な接離機構240を設け、第1、第2トナー供給モードで二次転写外ローラ24を中間転写ベルト5から離間させるようにしている。そして、このトナー帯が二次転写外ローラ24に付着せずに、クリーニングブレード10aと中間転写ベルト5との当接部に供給されるようにしている。
【0030】
この接離機構240としては、例えば、二次転写外ローラ24の回転軸の両端部を支持する軸受をそれぞれ付勢手段であるバネにより二次転写内ローラ23に向けて付勢する構造で、この二次転写外ローラ24の支持部分をカムにより移動させる構造が考えられる。即ち、モータなどの駆動手段によりカムを回転させることにより、軸受とバネとを含めて二次転写内ローラ23に遠近動する方向に移動させ、二次転写外ローラ24を中間転写ベルト5に対して接離可能とする。電源230及び接離機構240は、制御部100により制御される。なお、トナー帯を二次転写外ローラ24に付着せずに、クリーニングブレード10aと中間転写ベルト5との当接部に供給するために、電源230に通常の画像形成時とは逆方向のバイアスを印加するようにしても良い。
【0031】
このような中間転写ベルト5は、例えば厚さ85μmのポリイミド樹脂フィルムを基材としており、カーボンブラックを分散させて、表面抵抗率で1×1012Ω/□、体積抵抗率で1×10Ω・cmとなるように抵抗調整してある。中間転写ベルト5の駆動速度(プロセススピード)は、例えば200mm/sec、感光ドラム1Y、1M、1C、1Kの駆動速度は、例えば200mm/secである。
【0032】
上述の各感光ドラム1Y,1M,1C,1K上に形成された各色のトナー像は、一次転写ローラ6Y,6M,6C,6Kに転写バイアスが印加されることで、中間転写ベルト5上にそれぞれの一次転写部T1において順次に一次転写されていく。これにより、中間転写ベルト5上で4色のトナー像が重ね合わされる。トナー像転写後の各感光ドラム1Y,1M,1C,1Kは、表面に残ったトナー(転写残トナー)がドラムクリーニング装置7Y,7M,7C,7Kによって除去され、次のトナー像の形成に供される。
【0033】
上述の中間転写ベルト5上で重ねられた4色のトナー像は、中間転写ベルト5の矢印R5方向の回転に伴って二次転写部T2に搬送される。一方、給紙カセット12又は給紙カセット16に収納されていた記録材P(例えば、紙、透明フィルム)は、給紙ローラ13又は給紙ローラ14によって給紙され、搬送ローラによってレジストローラ15に搬送される。この記録材Pは、上述の中間転写ベルト5上の4色トナー像にタイミングを合わせるようにして、レジストローラ15により二次転写部T2に供給され、二次転写部T2位置で記録材Pに転写される。なお、同図中の符合8Y,8M,8C,8Kは、各色の現像装置4Y,4M,4C,4Kに補給するためのトナーが収納されたトナー補給容器である
トナー像転写後の中間転写ベルト5は、表面に残ったトナー(転写残トナー)がベルトクリーニング装置10によって除去され、次のトナー像の形成に供される。上述のドラムクリーニング装置7Y,7M,7C,7K及びベルトクリーニング装置10は、それぞれクリーニングブレード7a又は10aを有する。即ち、ドラムクリーニング装置7Y,7M,7C,7Kのクリーニングブレード7aは、それぞれ一次転写ローラ6Y,6M,6C,6Kの感光ドラム1Y,1M,1C,1Kの回転方向下流に配置されている。そして、感光ドラム1Y,1M,1C,1Kに当接して表面をクリーニングする。具体的には、ドラム表面に存在するトナーなどを掻き落とす。掻き落とされたトナーなどはすくいシートにより捕集され、図示しないスクリューによって搬送され、本体手前側に位置する廃トナー収容部に蓄えられる。
【0034】
また、ベルトクリーニング装置10のクリーニングブレード10aは、一次転写ローラ6Y,6M,6C,6K及び二次転写内ローラ23の中間転写ベルト5の回転方向下流に配置されている。そして、中間転写ベルト5に当接して表面をクリーニングする。具体的には、ベルト表面に存在するトナーや、紙粉、紙の填料などの異物を掻き落とす。掻き落とされたトナーや異物はすくいシートにより捕集され、図示しないスクリューによって搬送され、本体手前側に位置する廃トナー収容部に蓄えられる。
【0035】
また、各クリーニングブレード7a、10aは、それぞれ感光ドラム1Y,1M,1C,1K又は中間転写ベルト5の駆動方向に対してカウンターに、かつ当接角が20度になるようにバネ加圧されている。また、各クリーニングブレード7a、10aは、例えば厚さ1〜2mmのウレタンゴム製により構成される。また、すくいシートは、例えば厚さ20〜50μmのポリエチレンテレフタレート製により構成される。このすくいシートは、クリーニングブレード7a又は10aの先端に一旦蓄積し落下するトナーなどをすくうように回収する。このため、すくいシートの先端は感光ドラム1Y,1M,1C,1K又は中間転写ベルト5と接触し、かつ感光ドラム1Y,1M,1C,1K又は中間転写ベルト5の回転方向に対し順方向にならうよう配置する。
【0036】
このように構成される画像形成装置にて、例えばMulti Paper Economy(アスクル社製)坪量80g紙A4サイズに連続して画像形成を行った(連続通紙した)。すると、1000枚の連続通紙で、クリーニングブレード10aと中間転写ベルト5との当接部でトナーのすり抜けが発生した。トナーすり抜け箇所のブレードエッジの顕微鏡観察を行うと、図2に示す様に、1000枚以上の連続通紙によりブレードエッジに異物が蓄積した。
【0037】
更に、5000枚、10000枚と連続通紙枚数を増やすとトナーすり抜けが悪化し、図3に示す様に、異物の大きさが200μm以上の外径のものに成長した。蛍光X線測定により、これらの異物は、主として紙の填料である重炭酸カルシウム等により構成されているものであることがわかった。即ち、紙が二次転写部を通過する際に紙から中間転写ベルト5上に填料が遊離してクリーニングブレード10aとの当接部へと移動する。そして、クリーニングブレード10aのエッジで、この填料がクリーニングされるもののエッジに滞留したものが起点となって蓄積したものであることがわかった。一度ブレードエッジに異物が留まりはじめると、通常作像動作でクリーニングブレードに来る転写残トナーでは除去されることはない。
【0038】
ここで、通紙枚数が500枚以下の場合には、ブレードエッジに成長しかけた異物は、図4に示す様に、中間転写ベルト5が駆動状態から停止した場合に除去される場合がある。即ち、この状態でのブレードの姿勢を観察すると、駆動状態から停止状態となる際に、駆動により歪んだクリーニングブレードの歪が解放される方向に変形するために異物が脱落し易い。したがって、通紙枚数が500枚以下で駆動を停止すれば、上述のような異物の除去ができると考えられる。但し、500枚以下と言う短い間隔でベルト駆動を停止しなければならず、生産性が大幅に低下してしまう。
【0039】
[第1トナー供給モード]
そこで、本実施形態では、このような異物を除去するために所定のトナー像であるトナー帯tを形成し、以下のような条件でクリーニングブレード10aと中間転写ベルト5との当接部に供給する第1トナー供給モードを実行可能としている。
【0040】
第1トナー供給モードでは、制御部100により各ステーションのトナー像形成手段などを制御して、例えば200〜1000枚毎にクリーニングブレードに送る異物除去用のトナー帯tを作像する。異物除去用のトナー帯とは、トナーの凝集度が高い、或いは、中間転写ベルト5に対する静電吸着力の高い、更にはこれら両方を備えたトナー帯のことである。本実施形態では、両方を備えたトナー帯とする。具体的には、トナーの電荷を帯びて静電吸着力が高く、かつ一次転写部をより多く通過することでトナーが一次転写圧を多く受けているトナー帯である。
【0041】
例えば、本実施形態のように画像形成ステーションがイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順番に並んでいる場合にはイエローステーションで作像されるトナー帯が好ましい。このトナー帯は、マゼンタ、シアン、ブラックの三つのステーションを通過するため、中間転写ベルトに対する非静電的な吸着力も高く、トナーの凝集度が高いため、異物を除去するのに適している。
【0042】
ここで、異物除去用のトナー帯として4つの条件の異なるトナー帯を形成し、異物除去のし易さを確認した。具体的には、5000枚連続通紙中に200枚ごとにクリーニングブレードへトナー帯を送り、トナーすり抜け発生の有無と5000枚後のクリーニングブレードエッジの観察を行い、異物の有無を確認した。各条件及び結果を表1に示す。
【0043】
【表1】

【0044】
表1から明らかなように、条件Aでは、中間転写ベルト5の回転方向最下流に配置されたブラックのステーションでトナー帯を形成した。一方、条件B,C,Dでは、中間転写ベルト5の回転方向最上流に配置されたイエローのステーションでトナー帯を形成した。また、条件A,Bでは、一次転写部で一次転写電流を印加せずに、一次転写部の加圧力で感光ドラムに形成したトナー帯を中間転写ベルト5に転写するようにした。一方、条件Cでは30μA、条件でDでは60μAの一次転写電流を一次転写部に印加して、感光ドラムに形成したトナー帯を中間転写ベルト5に転写するようにした。
【0045】
一次転写電流を印加しなかった条件A,Bと一次転写電流を30μA以上とした条件C,Dと比較すると、条件C,Dでは、通紙枚数に拘らず、クリーニングブレード10aと中間転写ベルト5との当接部に異物がなかった。また、この当接部でトナーすり抜けが発生しなかった。これに対して、条件Aでは、何れの通紙枚数でも異物が当接部に存在し、トナーのすり抜けも発生した。また、条件Bでは、何れの通紙枚数でも異物が当接部に存在したが、1000枚通紙の場合にはトナーのすり抜けが発生しなかった。
【0046】
このように、条件A,Bで異物が除去できなかったのは、次のように考えられる。即ち、図5に示す様に、中間転写ベルトに非静電的に転写されたトナーは、静電的に転写されたトナーに比べて、トナーの電荷量(帯電量)が小さいため、中間転写ベルトに対する静電鏡映力(静電吸着力)が弱い。特に、条件Aの場合、最下流のブラックのステーションで形成されたトナー帯を供給するようにしているため、このトナー帯のトナー凝集度も低い。このように中間転写ベルトに対する静電吸着力が弱く、トナー凝集度が低いトナー帯では、クリーニングブレード10aと中間転写ベルト5との当接部に蓄積された異物を除去するには至らない。
【0047】
クリーニングブレード10aと中間転写ベルト5との当接部に蓄積された異物を除去するメカニズムとしては、次のようなことが考えられる。即ち、紙の填料などの異物は、中間転写ベルトの表面に刺さるように付着する。このため、クリーニングブレード10aを単に当接させるだけでは、除去されにくい場合がある。これに対して、トナーの凝集度が高い、又は、中間転写ベルトに対する静電吸着量が高いトナー帯を供給すると、この異物の周りをかためるようにして、異物を含むトナーのかたまりが形成される。このかたまりはクリーニングブレード10aにより除去される易いため、異物も除去されると考えられる。また、トナーの凝集度が高い、又は、中間転写ベルトに対する静電吸着量が高いトナー帯を供給すると、クリーニングブレード10aと中間転写ベルト5との当接部に衝撃を与えられ、この衝撃によっても異物が除去されると考えられる。
【0048】
したがって、トナー帯を作成する画像形成ステーションを比較した条件A,Bとでは、共に一次転写電流を流さないためにトナーは非静電的に転写されたトナーが多く中間転写ベルトに対する静電鏡映力は弱い。但し、イエローステーションで作像された条件Bのトナー帯は、一次転写部を3度(マゼンタ、シアン、ブラック)通過するため、中間転写ベルト上で凝集度が高くなる。このため、条件Aに比べて異物除去し易い。
【0049】
また、条件A,Bは、中間転写ベルトに対する静電鏡映力が負荷された条件C,Dと比べると異物除去能力は低くなるため、より長い通紙枚数では異物が挟まってしまう。このため、異物を除去するためのトナー帯としては、次のようなものが好ましい。即ち、中間転写ベルトに対する静電吸着力(鏡映力)を高めるように一次転写電流を流し、合わせてトナーの凝集状態を高めるために一次転写圧を受ける回数が多くなる上流側のステーションでトナー帯を形成することが好ましい。
【0050】
したがって、本実施形態の第1トナー供給モードでは、複数の像担持体である感光ドラム1Y,1M,1C,1Kのうち、回転体である中間転写ベルト5の回転方向上流の第1像担持体であるイエローの感光ドラム1Yにトナー帯tを形成する。また、一次転写電流は、通常の画像形成時よりも絶対値を大きくする。そして、このトナー帯tをクリーニングブレード10aと中間転写ベルト5との当接部に供給するようにしている。
【0051】
[第2トナー供給モード]
一方で、異物除去用のトナー帯はクリーニングブレードに突入するとトナー間付着力が高いためにトナー帯がブレードエッジに侵入してもトナー個々としては潤滑剤として機能しにくい特徴がある。このため、異物除去用のトナー帯のみを、例えば200枚間隔でクリーニングブレードへ供給して1000枚連続通紙すると、クリーニングブレードと中間転写ベルトとの摩擦力が増加してブレードが駆動方向に引き込まれ気味になる。更に連続通紙を15000枚まで行うとブレード捲れが発生した。
【0052】
連続画像形成させたときのブレードエッジの挙動を歪センサー計測器にて観察した結果を図6に示す。図6は、通紙枚数に対するクリーニングブレードの変形量を示している。この変形量とは、クリーニングブレードの歪み量に応じた信号を測定した値である。クリーニングブレードの歪みを検知する歪み測定ゲージをクリーニングブレードのエッジ先端から1.5mm付近に、クリーニングブレードの当接面側に取り付けた。また、クリーニングブレードの幅方向(中間転写ベルト5の回転方向に直交する方向)位置(長手位置)に関しては、端部と中央部の3箇所に取り付けた。そして、クリーニングブレードの歪み量に応じた信号を測定し、中間転写ベルトの停止時の値を0とし、そこからの歪み量をクリーニングブレードの変形量としている。図6から、ブレードの端部では中央に比べて大きく変形していることがわかる。
【0053】
図7は、このようなブレードの端部と中央との関係を模式的に示したものである。図の+の値は、クリーニングブレードが中間転写ベルトの移動方向に引っ張られた状態で、クリーニングブレードが歪んでいることを示している。また、逆に、−の値は、クリーニングブレードが伸びた状態で、クリーニングブレードが中間転写ベルトより浮いたようになっていることを示している。図7から明らかなように、連続通紙をしつづけることでブレード端部に応力集中し、中央部に比べて端部のブレード引き込まれ量が増加した。したがって、この状態でさらに駆動を続けるとブレードが捲れてしまう。
【0054】
ブレード捲れを回避するために潤滑剤としてトナーを供給する必要があるわけだが、異物除去と違いブレードエッジに流動性の高いトナーが望ましい。流動性の高いトナーとは、異物除去時に用いたトナー帯とは逆の、静電吸着力(中間転写ベルトに対する鏡映力)が弱く、トナーの凝集性が低いものである。本実施形態では、このようなトナー帯を供給する第2トナー供給モードが実行可能である。
【0055】
この第2トナー供給モードでは、制御部100により各ステーションのトナー像形成手段などを制御して、例えば50〜300枚毎にクリーニングブレードに送る所定のトナー像であるトナー帯tを作像する。そして、このトナー帯tを次のような条件で、クリーニングブレード10aと中間転写ベルト5との当接部に供給するようにしている。即ち、最下流の画像形成ステーションにてトナー帯tを作像し、一次転写バイアスを印加せずにこのトナー帯tを中間転写ベルト5に転写させ、クリーニングブレード10aに供給する。
【0056】
ここで、ブレード捲れを回避するためのトナー帯として6つの条件の異なるトナー帯を形成し、ブレード捲れを確認した。具体的には、50000枚連続通紙中に100枚ごとにクリーニングブレードへトナー帯を送り、ブレード捲れを確認した。各条件及び結果を表2に示す。
【0057】
【表2】

【0058】
表2から明らかなように、条件a,dでは、最下流のブラックのステーションでトナー帯を形成した。また、条件bでは、4つの画像形成ステーションのうち、下流側のシアンのステーションでトナー帯を形成した。また、条件c,e,fでは、最上流のイエローのステーションでトナー帯を形成した。一方、条件a,b,cでは、一次転写部で一次転写電流を印加せずに、一次転写部の加圧力で感光ドラムに形成したトナー帯を中間転写ベルト5に転写するようにした。一方、条件dでは15μA、条件でeでは30μA、条件fでは60μAの一次転写電流を一次転写部に印加して、感光ドラムに形成したトナー帯を中間転写ベルト5に転写するようにした。
【0059】
下流側のステーションでトナー帯を形成した条件a、b、dでは、通紙枚数に拘らずブレード捲れが発生しなかった。最上流のイエローのステーションでトナー帯を形成し、一次転写電流を印加しなかった条件cでは、50000枚でブレード捲れが発生した。一方、最上流のイエローのステーションでトナー帯を形成し、一次転写電流を印加した条件e、fでは、何れの通紙枚数でもブレード捲れが発生した。
【0060】
この実験結果から明らかなように、下流側のステーションでトナー帯を形成することにより、トナーの凝集度が低いトナー帯を供給することができ、ブレード捲れを防止できた。また、一次転写電流を印加しないことにより、トナー帯の中間転写ベルト5に対する静電吸着力を低くでき、ブレード捲れに対しては有利であった。
【0061】
したがって、本実施形態の第2トナー供給モードでは、第1像担持体であるイエローの感光ドラム1Yよりも回転方向下流の第2像担持体であるブラック又はシアンの感光ドラム1K,1Cにトナー帯tを形成する。また、一次転写電流は、印加しないか、或いは、通常の画像形成時又は第1トナー供給モードよりも絶対値を低くする。そして、このトナー帯tをクリーニングブレード10aと中間転写ベルト5との当接部に供給するようにしている。
【0062】
上述のように、本実施形態では、制御部100は、第1トナー供給モード及び第2トナー供給モードを実行可能である。第1、第2のトナー供給モードでは、クリーニングブレード10aと中間転写ベルト5との当接部に供給するトナー帯tの、トナーの凝集度或いはトナーの帯電量、更には両方が異なる。異物を除去するための第1トナー供給モードでは、ブレード捲れを回避するための第2トナー供給モードよりも当接部に供給するトナー帯tのトナーの凝集度が高い、或いは、トナーの帯電量の絶対値が大きい、更にはこの両方である。
【0063】
このために、第1トナー供給モードでは、上流側のステーションでトナー帯tを形成し、第2のトナー供給モードでは、このステーションよりも下流側のステーションでトナー帯tを形成するようにしている。また、第1トナー供給モードでは、第2トナー供給モードよりも、トナー帯tを転写するための一次転写電流の絶対値を大きくしている。
【0064】
なお、トナー帯tは、例えば、クリーニングブレード10a(及び7a)の幅方向の長さと同じで、回転方向に所定の長さを有する画像とする。また、トナー帯は、第1、第2のトナー供給モードでその長さ及び濃度を同じとしても良いし、異ならせても良い。本実施形態では、同じ長さでそれぞれベタ画像としている。更に、トナー帯は、帯状の形状でなくてもその他の任意の形状とすることもできる。
【0065】
このような本実施形態は、具体的には、図8に示すような流れでトナー供給モードを実行する。なお、異物除去は、連続通紙枚数がN(例えば500枚)以上で行う必要がある。したがって、連続通紙枚数がN枚未満の場合は、ブレードの姿勢を安定させるためにトナー帯BをX枚(X<N)間隔毎にクリーニングブレードに送る。また、画像形成が終了し、後回転動作に入ったら異物除去のためのトナー帯Aを形成してクリーニングブレードに蓄積した異物を除去する。
【0066】
一方、N枚以上の連続通紙枚数の場合には、ブレードの姿勢を安定させる流動性の高いトナー帯の形成に加えて、所定枚数間隔で異物除去のためのトナー帯Aを転写クリーニングブレードへ送り紙の填料などの異物を除去しなければならない。このため、トナー帯形成の順番としてはN枚以上の画像形成が開始した場合には、X枚毎にトナー帯Aにて異物を除去したのち、すぐにクリーニングブレードの潤滑剤としてトナー帯Bを形成し、X+1枚目の画像形成を再開することが望ましい。即ち、第1トナー供給モードを実行した後に第2トナー供給モードを実行することが好ましい。この順番が逆転しても異物除去と潤滑剤としてのトナー帯の目的と果たせないものではないが、まず異物を除去することが、その後のトナー帯Bの潤滑剤としての効果は有効である。
【0067】
以上、トナー帯の動作に関するフローについて図8を用いて説明する。画像形成装置の操作部にてユーザがスタートボタンを押したとき(S1)に出力枚数を確認し、出力枚数がN枚以上であるか否かを判定する(S2)。出力枚数がN枚未満の場合は、X(X<N)枚毎にトナー帯Bのみを形成する動作を行う(S3)。一方、S2にて確認された出力枚数がN枚以上の場合には、トナー帯Aとトナー帯BをX枚毎に形成する(S4)。ユーザが指定した枚数がすべて出力し終わると後回転動作を行う(S5)。ここで、何れの場合もトナー帯Aが形成され(S6)、トナー帯Aが中間転写クリーニングブレードへ到達すると本体の駆動が停止し動作終了となる。
【0068】
このような本実施形態の場合、第1トナー供給モードでトナーの凝集度が高く、中間転写ベルト5に対する静電吸着力が高いトナー像をクリーニングブレード10aと中間転写ベルト5との当接部に供給することができる。そして、この当接部に蓄積される紙粉などの異物を除去できる。この結果、トナーのすり抜けを抑制できる。また、第2トナー供給モードでトナーの凝集度が低く、中間転写ベルト5に対する静電吸着力が低いトナー像を当接部に供給することができる。そして、クリーニングブレードの中間転写ベルト5に対する摺動性を確保でき、ブレード捲れを回避できる。更に、異物を除去するために中間転写ベルト5の駆動を逆回転させる必要がないため、生産性が低下することはない。
【0069】
<他の実施形態>
以上、第1、第2のトナー供給モードとして、一次転写バイアス印加のONとOFFや電流値の変更、トナー帯作成を行う画像形成ステーションの選択による一次転写圧の回数を変える例を示した。
【0070】
但し、代替手段として、一次転写圧の可変機構を有する画像形成装置であれば、トナー帯形成時に一次転写圧を高める手段を用いることは有効である。即ち、一次転写ローラを感光ドラムに押し付ける力を可変に制御可能な可変機構を有し、第1トナー供給モードで、第2トナー供給モードよりも可変機構により一次転写ローラを感光ドラムに押し付ける力が大きくする。
【0071】
例えば、図9に示す様に、一次転写ローラ6の両端部を支持する軸受61をそれぞれ付勢手段であるバネ62により感光ドラムに向けて付勢する構造で、カム63によりバネ62の付勢力を可変にする構造が考えられる。即ち、第1トナー供給モードでは、カム63によりバネ62を支持する部分と軸受61との間隔が小さくなるように操作し、バネ62による付勢力を高める。一方、第2トナー供給モードでは、カム63によりバネ62を支持する部分と軸受61との間隔が大きくなるように操作し、バネ62による付勢力を小さくする。なお、このような可変機構を用いれば、上述のタンデム型の構成以外に1ドラム型の構成や単色の画像形成装置にも本発明を適用可能である。
【0072】
また、トナー帯に電荷を付与する手段(コロナ帯電器など)を画像形成ステーション上、あるいは中間転写ベルト上に有する画像形成装置であれば、トナー電荷をコントロールして使用することは十分有効である。即ち、感光ドラム又は中間転写ベルトに担持されたトナー像に電荷を付与する電荷付与手段を有し、第1トナー供給モードで、第2トナー供給モードよりもトナー帯の帯電量の絶対値が大きくなるように、電荷付与手段により付与する電荷を制御する。
【0073】
例えば、図1に示す様に、各画像形成ステーションの下流で、中間転写ベルト5の表面に対向する位置に電荷付与手段であるコロナ帯電器200を配置する。そして、第1トナー供給モードでは、コロナ帯電器200によりトナー帯に電荷を付与し、トナー帯の帯電量の絶対値を上昇させ、中間転写ベルト5に対する静電吸着力を大きくする。一方、第2トナー供給モードでは、コロナ帯電器200により除電してトナー帯の帯電量の絶対値を低下させ、中間転写ベルト5対する静電吸着力を弱くする。なお、これらの何れか一方のみを実施するようにしても良いし、一次転写電流の変更や一次転写バイアス印加のON、OFFと組み合わせて行うようにしても良い。
【0074】
またトナー帯作像時の一次転写電流の電流値に関しては、ブレード潤滑剤としてトナー帯を一次転写させる際には、静電吸着力を下げるため作像中の転写電流よりも小さくすることでも静電吸着力を下げることができ、同様の効果を得ることができる。なぜなら通常作像時の転写電流よりも小さい転写電流であれば、電荷量の大きなトナーは転写しづらくなるため、通常作像時よりも中間転写ベルト上に転写されたトナーの電荷量は小さくなるからである。以上、中間転写ベルト上に形成されるトナーの帯電量とトナーに中間転写ベルト体上で加えられる圧をコントロールし使い分けることで長期にわたり安定したクリーニング性を確保できる。
【0075】
更に、上述の説明では、中間転写方式について説明したが、本発明は、直接転写方式にも適用可能である。即ち、中間転写ベルトを、記録材を担持して搬送する記録材担持体(例えば記録材搬送ベルト)に置き換えても良い。この構成の場合、二次転写部がないため、一次転写ローラの部分が、感光ドラムに形成されたトナー像を記録材に転写する転写ローラとなる。この場合も、記録材搬送ベルトの表面に当接してクリーニングするクリーニングブレードに、上述した場合と同様に、第1、第2のトナー供給モードで形成したトナー帯をそれぞれ供給する。
【0076】
また、直接転写方式の場合には、感光ドラムに記録材が接触するため、この感光ドラムとクリーニングブレードとの当接部にも、上述したような第1、第2のトナー供給モードで形成したトナー帯をそれぞれ供給するようにしても良い。具体的には、感光ドラムとの間で転写バイアスを印加することにより、感光ドラムに形成されたトナー像を別の像担持体である記録材に転写する転写部材である転写ローラを備える。クリーニングブレードは、転写ローラの感光ドラムの回転方向下流に配置され、感光ドラムに当接して表面をクリーニングする。
【0077】
そして、転写ローラを、前述の図9と同様に、可変機構により転写圧を変えられるように構成する。そして、第1トナー供給モードでは、第2トナー供給モードよりも転写ローラを感光ドラムに押し付ける力が大きくなるように可変機構を制御する。
【0078】
また、この構成と合わせて、或いは、別に、トナー帯の帯電量を異ならせても良い。例えば、トナー帯が転写部を通過する際に、転写ローラに印加するバイアスを通常の画像形成時とは逆方向にする。これにより、このトナー帯が転写ローラに転写されずにクリーニングブレードに供給される。そして、この構成を前提とした場合、この逆方向のバイアスを変更して、第1トナー供給モードで、第2トナー供給モードよりも当接部に供給するトナー帯のトナーの帯電量の絶対値を大きくする。
【0079】
また、クリーニングブレードと感光ドラム上に形成された静電潜像を現像する現像装置との間に、感光ドラムに形成されたトナー像に電荷を付与する電荷付与手段(例えばコロナ帯電器)を配置する。そして、第1、第2トナー供給モードを、電荷付与手段により付与する電荷が異なる状態で、感光ドラムにトナー帯をそれぞれ形成することにより実行するようにしても良い。具体的な動作は、上述の中間転写方式と同様である。この構成の場合、転写ローラは、前述の二次転写外ローラ24と同様に、感光ドラムに対して接離可能とする。言い換えれば、図9の構造で、カムの位相として、転写ローラが感光ドラムから離間する位置を設けたものとする。
【0080】
なお、このような感光ドラムとクリーニングブレードとの当接部にトナー帯を供給する構成は、上述の中間転写方式にも適用しても良い。この場合、別の像担持体が中間転写ベルトに相当する。
【符号の説明】
【0081】
1Y,1M,1C,1K・・・感光ドラム(像担持体)、2Y,2M,2C,2K・・・露光装置、3Y,3M,3C,3K・・・帯電ローラ、4Y,4M,4C,4K・・・現像装置、5・・・中間転写ベルト(回転体)、6Y,6M,6C,6K・・・一次転写ローラ(転写部材)、10・・・クリーニング装置、10a・・・クリーニングブレード、63・・・カム(可変機構)、100・・・制御部(制御手段)、200・・・コロナ帯電器(電荷付与手段)、P・・・記録材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記像担持体に隣接して配置され、回転する回転体と、
前記像担持体との間で前記回転体を挟持するように配置され、前記像担持体に形成されたトナー像を前記回転体又は前記回転体により搬送される記録材に転写する転写部材と、
前記転写部材の前記回転体の回転方向下流に配置され、前記回転体に当接して表面をクリーニングするクリーニングブレードと、を備えた画像形成装置において、
前記像担持体に所定のトナー像を形成し、前記所定のトナー像をトナーの凝集度を異ならせた状態で、それぞれ前記クリーニングブレードと前記回転体との当接部に供給する、第1トナー供給モード及び第2トナー供給モードを実行可能な制御手段を有し、
前記第1トナー供給モードでは、前記第2トナー供給モードよりも前記当接部に供給する前記所定のトナー像のトナーの凝集度が高い、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記像担持体は、前記回転体の回転方向に複数並べて配置され、
前記転写部材は、前記複数の像担持体との間でそれぞれ前記回転体を挟持するように複数配置され、
前記第1トナー供給モードでは、前記複数の像担持体のうち、前記回転体の回転方向上流に位置する第1像担持体に前記所定のトナー像を形成し、
前記第2トナー供給モードでは、前記複数の像担持体のうち、前記第1像担持体よりも前記回転方向下流の第2像担持体に前記所定のトナー像を形成する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記転写部材を前記像担持体に押し付ける力を可変に制御可能な可変機構を有し、
前記第1トナー供給モードでは、前記第2トナー供給モードよりも前記可変機構により前記転写部材を前記像担持体に押し付ける力が大きい、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
トナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記像担持体に隣接して配置され、回転する回転体と、
前記像担持体との間で転写バイアスを印加することにより、前記像担持体に形成されたトナー像を前記回転体又は前記回転体により搬送される記録材に転写する転写部材と、
前記転写部材の前記回転体の回転方向下流に配置され、前記回転体に当接して表面をクリーニングするクリーニングブレードと、を備えた画像形成装置において、
前記像担持体に所定のトナー像を形成し、前記所定のトナー像をトナーの帯電量を異ならせた状態で、それぞれ前記クリーニングブレードと前記回転体との当接部に供給する、第1トナー供給モード及び第2トナー供給モードを実行可能な制御手段を有し、
前記第1トナー供給モードでは、前記第2トナー供給モードよりも前記当接部に供給する前記所定のトナー像のトナーの帯電量の絶対値が大きい、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記第1トナー供給モードでは、前記第2トナー供給モードよりも前記像担持体と前記回転体との間に流れる転写電流の絶対値が大きい、
ことを特徴とする、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記像担持体又は前記回転体に担持されたトナー像に電荷を付与する電荷付与手段を有し、
前記第1トナー供給モードでは、前記第2トナー供給モードよりも前記所定のトナー像の帯電量の絶対値が大きくなるように、前記電荷付与手段により付与する電荷を制御する、
ことを特徴とする、請求項4又は5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第2トナー供給モードでは、前記電荷付与手段により除電して前記所定のトナー像の帯電量の絶対値を低下させる、
ことを特徴とする、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
トナー像を担持し、回転する像担持体と、
前記像担持体にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記像担持体との間で転写バイアスを印加することにより、前記像担持体に形成されたトナー像を別の像担持体に転写する転写部材と、
前記転写部材の前記像担持体の回転方向下流に配置され、前記像担持体に当接して表面をクリーニングするクリーニングブレードと、を備えた画像形成装置において、
前記転写部材を前記像担持体に押し付ける力を可変に制御可能な可変機構と、
前記可変機構により押し付ける力が異なる状態で、前記像担持体に所定のトナー像を形成し、前記クリーニングブレードと前記像担持体との当接部に前記所定のトナー像を供給する、第1トナー供給モード及び第2トナー供給モードを実行可能な制御手段と、を有し、
前記第1トナー供給モードでは、前記第2トナー供給モードよりも前記転写部材を前記像担持体に押し付ける力が大きくなるように、前記可変機構を制御する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
トナー像を担持し、回転する像担持体と、
前記像担持体にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記像担持体との間で転写バイアスを印加することにより、前記像担持体に形成されたトナー像を別の像担持体に転写する転写部材と、
前記転写部材の前記像担持体の回転方向下流に配置され、前記像担持体に当接して表面をクリーニングするクリーニングブレードと、を備えた画像形成装置において、
前記像担持体に所定のトナー像を形成し、前記所定のトナー像をトナーの帯電量を異ならせた状態で、それぞれ前記クリーニングブレードと前記像担持体との当接部に供給する、第1トナー供給モード及び第2トナー供給モードを実行可能な制御手段を有し、
前記第1トナー供給モードでは、前記第2トナー供給モードよりも前記当接部に供給する前記所定のトナー像のトナーの帯電量の絶対値が大きい、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記第1トナー供給モードを実行した後に前記第2トナー供給モードを実行する、
ことを特徴とする、請求項1ないし9のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−101169(P2013−101169A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243447(P2011−243447)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】