説明

画像形成装置

【課題】感光体ベルトを用いて現像を行う画像形成装置において、感光体ベルトの蛇行を防止することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】無端ベルト状の感光体ベルト1と、駆動ローラ2と、従動ローラ3と、感光体ベルト1に形成される静電潜像を現像する色毎に対応する複数の現像装置9と、帯電手段7と、露光手段8とを備えて、電子写真方式により画像形成を行う画像形成装置において、感光体ベルト1を介して現像装置9を構成する現像ローラ91と対向する位置に感光体ベルト1の幅方向に沿って長い裏当て部材10を備え、裏当て部材10の長手方向両端には現像ローラ91と感光体ベルト1との離間距離を決定する位置決め部材11を備え、位置決め部材11は、感光体ベルト1の幅方向端部を裏当て部材10とで挟み込むように配置されることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を採用する画像形成装置に係り、詳しくは非磁性1成分現像装置、特に非接触現像を行うための金属等の剛体からなる現像剤担持体を用いる現像装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を採用する画像形成装置においては、感光体の表面に形成される静電潜像に対して、現像装置から現像剤の成分であるトナーを供給して現像することによって可視像であるトナー像を形成し、さらにトナー像を転写媒体である記録紙などに転写し、記録紙上に転写されたトナー像を定着して堅牢な記録画像を形成する。
【0003】
近年、カラーインクジェット方式の画像形成装置の普及により、電子写真方式を利用した画像形成装置においても、小型化・低価格化が求められている。このような状況から、電子写真の現像装置としては、構造が簡単で小型化が可能な、非磁性一成分現像方式が有用であり、現在も改良技術の開発が進められている。
【0004】
非磁性一成分現像方式には、潜像担持体に接触させて現像を行う接触現像方式と、潜像担持体と所定の間隙を隔てて現像を行う非接触現像方式がある。両者とも現像装置自身の構造は類似しており、コンパクトな特徴を有するが、現像ローラの材質が異なる場合がある。
【0005】
接触現像方式では、現像領域での均一な接触を得る為に、導電性を有するゴムなどの弾性部材から現像ローラは構成される。特に、静電潜像担持体として感光体ドラムなどの剛体を用いる構成では、接触状態の不具合による傷つけを防止する観点からも有効である。
【0006】
また、現像ローラがゴムローラの場合、現像ローラ上のトナー層形成を行うドクターブレードとしては、ゴムブレードや金属シャフトからなるローラ型ブレード、金属板単体のブレードなどを用いる。中でも、金属板からなるブレードは低コストに提供できる為、広く用いられている。
【0007】
一方、非接触現像方式の場合は、静電潜像担持体との間隙を精密に保持する必要があるため、現像ローラとして金属等の剛体から成るローラやスリーブが用いられることが多い。これはゴムローラに比べ、表面の研磨精度向上や、駆動軸と表面の偏心の抑制に効果的なためである。また非接触ゆえに接触による傷つけの懸念が無いことも挙げられる。
【0008】
また、非接触現像方式の場合、無端ベルト状の1つの感光体(以下、「感光体ベルト」と称する。)上に色を重ねたカラー画像を形成し、1stepで用紙に転写する現像方式、所謂、Image-On-Imageプロセスを採用することができる。Image-On-Imageプロセスは、1つの感光体ベルトで済むため、シンプルでコンパクトなシステムを提供することがきる。また、1つ感光体ベルト上で異なる色の画像を重ね合わせていくため、色ずれを抑制することができ、高速のフルカラーマシンに適したシステムである。
【0009】
感光体ベルトを用いた現像プロセスにおいては、従来技術として、例えば、駆動ローラと従動ローラとテンションローラと、裏当て部材から構成されたものが提案されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−6620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1の画像形成装置では、駆動ローラを回転させた場合、感光体ベルトの蛇行を避けることはできない。そこで、感光体ベルトの蛇行を抑制するために、駆動ローラ等にクラウンを設ける方法があるが、精度をだすためにコストがかかる。
【0012】
また、駆動ローラ等の両サイドにフランジまたはカラーを設けて、そこへ感光体ベルトの端部を当接させて感光体ベルトの移動を止める方法もあるが、感光体ベルトのフランジまたはカラーに接触している部分が摩擦によって磨耗し、破損の原因となる。
【0013】
その他の対策として、感光体ベルトの内側にビードを設ける方法もあるが、コストがかかる上に、ビード部分が駆動ローラ等に乗り上げてしまうと、感光体ベルトと現像ローラとの隙間が所定の数値からずれてしまい、画像を形成することができなくなってしまうという問題が生じる。
【0014】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、感光体ベルトを用いて現像を行う画像形成装置において、感光体ベルトの蛇行を防止することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決するための本発明に係る画像形成装置は、次の通りである。
【0016】
本発明は、静電潜像が形成される無端ベルト状の感光体と、前記感光体を回転させるための駆動ローラと、前記感光体に張力を付与するための架橋ローラと、前記感光体に現像剤を供給して前記感光体に形成される静電潜像を現像する色毎に対応する複数の現像装置と、前記感光体に所定の電位を与えるための帯電手段と、前記感光体に静電潜像を形成するための露光手段とを備えて、電子写真方式により画像形成を行う画像形成装置において、前記感光体を介して前記現像装置を構成する現像ローラと対向する位置に前記感光体の幅方向(感光体の回転方向(搬送方向)に対して垂直方向)に沿って長い裏当て部材を備え、前記裏当て部材の長手方向両端には、前記現像ローラと前記感光体との離間距離を決定する位置決め部材を備え、前記位置決め部材を、前記感光体の幅方向端部を前記裏当て部材とで挟み込むように配置することを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明は、静電潜像が形成される無端ベルト状の感光体と、前記感光体を回転させるための駆動ローラと、前記感光体に張力を付与するための架橋ローラと、前記感光体に現像剤を供給して前記感光体に形成される静電潜像を現像する色毎に対応する複数の現像装置と、前記感光体に所定の電位を与えるための帯電手段と、前記感光体に静電潜像を形成するための露光手段とを備えて、電子写真方式により画像形成を行う画像形成装置において、前記露光手段を、前記複数の現像装置に対応して複数個設け、前記感光体を介して前記露光手段と対向する位置に前記感光体の幅方向に沿って長い裏当て部材を備え、前記裏当て部材の長手方向両端には、前記露光手段と前記感光体との離間距離を決定する位置決め部材を備え、前記位置決め部材を、前記感光体の幅方向端部を前記裏当て部材とで挟み込むように配置することを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明は、静電潜像が形成される無端ベルト状の感光体と、前記感光体を回転させるための駆動ローラと、前記感光体に張力を付与するための架橋ローラと、前記感光体に現像剤を供給して前記感光体に形成される静電潜像を現像する色毎に対応する複数の現像装置と、前記感光体に所定の電位を与えるための帯電手段と、前記感光体に静電潜像を形成するための露光手段とを備えて、電子写真方式により画像形成を行う画像形成装置において、前記帯電手段を、前記複数の現像装置に対応して複数個設け、前記感光体を介して前記帯電手段と対向する位置に前記感光体の幅方向に沿って長い裏当て部材を備え、前記裏当て部材の長手方向両端には、前記帯電手段と前記感光体との離間距離を決定する位置決め部材を備え、前記位置決め部材を、前記感光体の幅方向端部を前記裏当て部材とで挟み込むように配置することを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明は、前記位置決め部材を前記裏当て部材の方向に押圧する押圧部材を備え、前記位置決め部材の押圧力を、前記駆動ローラに近いほど強くすることが好ましい。
【0020】
また、本発明は、前記位置決め部材の押圧力を、前記現像ローラ、前記露光手段、または前記帯電手段を前記位置決め部材に当接する力によって調節することが好ましい。
【0021】
また、本発明は、前記位置決め部材と前記感光体との間に摺動部材を配置することが好ましい。
【0022】
また、本発明は、前記位置決め部材を、前記感光体の幅方向に沿った長さが、前記駆動ローラに近いものほど長くなるように形成することが好ましい。
詳しくは、前記現像ローラに近づくほど前記感光体の中央部側が狭くなるように形成してもよい。
【0023】
また、本発明は、前記位置決め部材を、前記感光体の幅方向に沿って対向する位置決め部材の面が、前記駆動ローラ側に向かうに連れて対向する位置決め部材の間隔が狭くなる傾斜面で形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明の画像形成装置によれば、静電潜像が形成される無端ベルト状の感光体と、前記感光体を回転させるための駆動ローラと、前記感光体に張力を付与するための架橋ローラと、前記感光体に現像剤を供給して前記感光体に形成される静電潜像を現像する色毎に対応する複数の現像装置と、前記感光体に所定の電位を与えるための帯電手段と、前記感光体に静電潜像を形成するための露光手段とを備えて、電子写真方式により画像形成を行う画像形成装置において、前記感光体を介して前記現像装置を構成する現像ローラと対向する位置に前記感光体の幅方向に沿って長い裏当て部材を備え、前記裏当て部材の長手方向両端には、前記現像ローラと前記感光体との離間距離を決定する位置決め部材を備え、前記位置決め部材を、前記感光体の幅方向端部を前記裏当て部材とで挟み込むように配置することで、前記感光体の両端を挟み込むことにより感光体の搬送を安定させて、前記感光体の蛇行を防止することができる。
【0025】
また、本発明の画像形成装置によれば、静電潜像が形成される無端ベルト状の感光体と、前記感光体を回転させるための駆動ローラと、前記感光体に張力を付与するための架橋ローラと、前記感光体に現像剤を供給して前記感光体に形成される静電潜像を現像する色毎に対応する複数の現像装置と、前記感光体に所定の電位を与えるための帯電手段と、前記感光体に静電潜像を形成するための露光手段とを備えて、電子写真方式により画像形成を行う画像形成装置において、前記露光手段を、前記複数の現像装置に対応して複数個設け、前記感光体を介して前記露光手段と対向する位置に前記感光体の幅方向に沿って長い裏当て部材を備え、前記裏当て部材の長手方向両端には、前記露光手段と前記感光体との離間距離を決定する位置決め部材を備え、前記位置決め部材を、前記感光体の幅方向端部を前記裏当て部材とで挟み込むように配置することで、前記感光体の両端を挟み込むことにより感光体の搬送を安定させて、前記感光体の蛇行を防止することができる。
【0026】
また、本発明の画像形成装置によれば、静電潜像が形成される無端ベルト状の感光体と、前記感光体を回転させるための駆動ローラと、前記感光体に張力を付与するための架橋ローラと、前記感光体に現像剤を供給して前記感光体に形成される静電潜像を現像する色毎に対応する複数の現像装置と、前記感光体に所定の電位を与えるための帯電手段と、前記感光体に静電潜像を形成するための露光手段とを備えて、電子写真方式により画像形成を行う画像形成装置において、前記帯電手段を、前記複数の現像装置に対応して複数個設け、前記感光体を介して前記帯電手段と対向する位置に前記感光体の幅方向に沿って長い裏当て部材を備え、前記裏当て部材の長手方向両端には、前記帯電手段と前記感光体との離間距離を決定する位置決め部材を備え、前記位置決め部材を、前記感光体の幅方向端部を前記裏当て部材とで挟み込むように配置することで、前記感光体の両端を挟み込むことにより感光体の搬送を安定させて、前記感光体の蛇行を防止することができる。
【0027】
また、本発明によれば、前記位置決め部材を前記裏当て部材の方向に押圧する押圧部材を備え、前記位置決め部材の押圧力を、前記駆動ローラに近いほど強くすることで、より前記感光体の蛇行防止の効果がある。
【0028】
また、本発明によれば、前記位置決め部材の押圧力を、前記現像ローラ、前記露光手段、または前記帯電手段を前記位置決め部材に当接する力によって調節することで、前記感光体の蛇行を防止しつつ、前記露光手段と前記感光体との位置関係の精度を向上させることができる。
【0029】
また、本発明によれば、前記位置決め部材と前記感光体との間に摺動部材を配置することで、前記感光体の膜減りを緩和することができる。
【0030】
また、本発明によれば、前記位置決め部材を、前記感光体の幅方向に沿った長さが、前記駆動ローラに近いものほど長くなるように形成することで、前記位置決め部材の長さが長いほど前記感光体を挟み込み保持する力が強くなるので、蛇行防止に効果をより発揮する。
【0031】
また、本発明によれば、前記位置決め部材を、前記感光体の幅方向に沿って対向する位置決め部材の面が、前記駆動ローラ側に向かうに連れて対向する位置決め部材の間隔が狭くなる傾斜面で形成することで、すなわち、前記位置決め部材の面にテーパをつけることで、前記感光体を中央側へ寄せようとする力が働き、蛇行を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の要部の構成の一例を示す概略説明図である。
【図2】前記画像形成装置を構成する裏当て部材と位置決め部材の構成を示す説明図である。
【図3】前記裏当て部と前記位置決め部材と露光手段との位置関係を示す側面視による説明図である。
【図4】前記裏当て部と前記位置決め部材とにより感光体ベルトを挟み込む押圧力を示す説明図である。
【図5】前記位置決め部材をばね部材により押圧する構成の一例を示す説明図である。
【図6】第1実施形態の裏当て部材と位置決め部材とで感光体ベルトを挟み込む構成の変形例1を示す説明図である。
【図7】第1実施形態の裏当て部材と位置決め部材とで感光体ベルトを挟み込むという構成の変形例2を示す説明図である。
【図8】第1実施形態の裏当て部材と位置決め部材とで感光体ベルトを挟み込むという構成の変形例3を示す説明図である。
【図9】(a)は本発明の第2実施形態に係る画像形成装置を構成する裏当て部と位置決め部材と帯電手段の構成を示す説明図、(b)は(a)のA−A断面矢視図である。
【図10】(a)は本発明の第3実施形態に係る画像形成装置を構成する裏当て部と位置決め部材と現像ローラの構成を示す説明図、(b)は(a)のB−B断面矢視図である。
【図11】本発明に係る画像形成装置の構成における現像工程を行うその他の構成を示す概略説明図である。
【図12】本発明に係る画像形成装置の構成における現像工程を行うその他の構成の変形例を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(第1実施形態)
以下、本発明の画像形成装置を実施するための形態について図面を参照して説明する。
図1は発明を実施する形態の一例であって、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の要部の構成の一例を示す概略説明図である。
【0034】
第1実施形態に係る画像形成装置100は、図1に示すように、静電潜像が形成される無端ベルト状の感光体ベルト(感光体)1と、感光体ベルト1を回転させるための駆動ローラ2と、感光体ベルト1に張力を付与するための架橋ローラとしての従動ローラ3と、感光体ベルト1に現像剤を供給して感光体ベルト1に形成される静電潜像を現像する色毎に対応する複数の現像装置9と、感光体ベルト1に所定の電位を与えるための帯電手段7と、感光体ベルト1に静電潜像を形成するための露光手段8とを備えて、電子写真方式により画像形成を行う画像形成装置の構成として、本発明に係る画像形成装置の構成を採用したものである。
【0035】
まず、第1実施形態に係る画像形成装置100の概略構成について説明する。
【0036】
画像形成装置100は、図1に示すように、感光体ベルト1と、その内側に駆動ローラ2と、感光体ベルト1を架橋し感光体ベルト1の回転に従動する従動ローラ3と、感光体ベルト1を所定の張力で引っ張るためのテンションローラ(架橋ローラ)4を備えている。また、駆動ローラ2と対向する位置に転写ユニット6が配置されるとともに、感光体ベルト1に近接して、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)の色毎に、感光体ベルト1の搬送方向に沿って上流側より帯電手段7、露光手段8、現像装置9が並設されている。
【0037】
そして、画像形成装置100は、画像データ入力信号が入力されると、所定のタイミングで駆動ローラ2を回転させ、感光体ベルト1を搬送して現像のプロセスを開始する。
【0038】
帯電手段7によって、感光体ベルト1の一部が架橋ローラの軸方向(感光体ベルト1の幅方向)全体に渡って所定帯電量に帯電される帯電された感光体ベルト表面は、次工程に移動する。
【0039】
次に、露光手段8によって、入力された画像データに基づいて、光が前工程によって帯電された感光体ベルト表面上を走査することにより、感光体ベルト1上に静電潜像が形成される。
【0040】
その後、現像装置9が備える負の直流電位に印加された現像ローラ(現像手段)91により、現像槽92内のトナー(現像剤の一例)が回転する感光体ベルト表面上に供給され、静電潜像はこのトナーによって感光体ドラム1上の電位ギャップに応じて顕像化(現像)される。
【0041】
また、作像される用紙(記録紙)は、タイミングを合わせて感光体ベルト1の矢印P方向へ搬送され、転写ユニット6(コロナチャージャ(転写手段))により感光体ベルト1上のトナーが用紙に転写される。感光体ベルト1上の残留したトナーはクリーニングブレード5によって掻き取られ、図示しないクリーナーユニットにより回収される。
【0042】
クリーニングブレード5により残留したトナーが掻き取られた感光体ベルト1の表面は、帯電手段7へ移動する途中で図示しない除電装置(除電手段)により必要に応じて除電される。
【0043】
他方、トナーの転写が終了した用紙は、熱と圧力が加えられて用紙上の未定着トナーが用紙に溶融・固着される定着工程を経る。その後、図示しない排紙トレイに排出され、用紙上に所定の定着画像を得ることができる。
【0044】
次に、第1実施形態に係る特徴的な画像形成装置100の構成について図面を参照して説明する。
図2は第1実施形態に係る画像形成装置を構成する裏当て部材と位置決め部材の構成を示す説明図、図3は前記裏当て部と前記位置決め部材と露光手段との位置関係を示す側面視による説明図、図4は前記裏当て部と前記位置決め部材とにより感光体ベルトを挟み込む押圧力を示す説明図、図5は前記位置決め部材をばね部材により押圧する構成の一例を示す説明図である。
【0045】
第1実施形態の画像形成装置100は、図1,図2に示すように、感光体ベルト1を介して露光手段8と対向する位置に感光体ベルトの幅方向に沿って長い裏当て部材10を備え、裏当て部材10の長手方向両端には、露光手段8と感光体ベルト1との離間距離を決定する位置決め部材11を備えている。
【0046】
位置決め部材11は、感光体ベルト1の幅方向端部を裏当て部材10とで挟み込むように配置される。
【0047】
裏当て部材10は、図2に示すように、感光体ベルト1の両端部に位置決め部材11が取り付けられている。この裏当て部材10と位置決め部材11は、露光手段8と対向する位置に設けられている。
【0048】
露光手段8には、図3に示すように、位置決め用のボス12が設けられている。このボス12と位置決め部材11を当接することで、裏当て部材10と露光手段8の距離、すなわち感光体ベルト1と露光手段8の距離が決定する。
【0049】
位置決め部材11は、図3に示すように、裏当て部材10とで感光体ベルト1を挟みこむように取り付けられている。裏当て部材10と位置決め部材11により感光体ベルト1を挟むことによって、感光体ベルト1の蛇行や片寄りを抑えることができる。
【0050】
第1実施形態では、色毎に対応して設けられた露光手段の位置決め部材11と裏当て部材10とによって感光体ベルト1を挟み込むようにしているが、駆動ローラ2に近い位置でより強く挟み込むように制御するとより効果的である。
【0051】
また、感光体ベルト1を挟み込んだ状態で搬送するため、感光体ベルト1の挟み込んだ位置において摩擦による磨耗は避けられない。そこで、その摩擦の影響を低減するために、色毎に対応して設けられた露光手段8の位置決め部材11が各々同じ力で挟みこむよりも、駆動ローラ2に近い位置決め部材11ほど強い押圧力Fで挟み込むようにすることが好ましい(図4を参照)。すなわち、イエロー位置での押圧力をFy、マゼンタ位置での押圧力をFm、以下シアンとブラックをFc、Fkとすると、Fk≧Fc≧Fm≧Fyとすればよい。
【0052】
押圧力Fの調整の方法の一例として、図示しない位置決め部材11の取り付けビスによるボス12を位置決め部材11に押しつける締め付けトルクの強弱で調整するとよい。
【0053】
また、図5に示すように、露光手段8を当接すために荷重ばね13を取り付けて、色毎の露光手段8に対応して荷重ばね13のばね定数、またはたわみ量を調整することで挟み込む力(押圧力F)を調整することも可能である。
【0054】
以上のように構成したので、第1実施形態によれば、画像形成装置100の構成として、感光体ベルト1を介して露光手段8と対向する位置に感光体ベルト1の幅方向に沿って長い裏当て部材10を備え、裏当て部材10の長手方向両端には、露光手段8と感光体ベルト1との離間距離を決定する位置決め部材11を備え、位置決め部材11を、感光体ベルト1の幅方向端部を裏当て部材10とで挟み込むように配置することで、感光体ベルト1と露光手段8との距離を精度よく位置決めするとともに、感光体ベルト1の両端を挟み込むことにより感光体ベルト1の搬送を安定させて、感光体ベルト1の蛇行を防止することができる。
【0055】
(変形例1)
次に、第1実施形態の変形例1について図面を参照して説明する。
図6は第1実施形態の裏当て部材と位置決め部材とで感光体ベルトを挟み込む構成の変形例1を示す説明図である。
【0056】
第1実施形態の裏当て部材10と位置決め部材11とで感光体ベルト1を挟み込む構成の変形例として、変形例1は、図6に示すように、位置決め部材11と感光体ベルト1との間に耐磨耗性の摺動部材14を配置したものである。
【0057】
このように構成したので、変形例1によれば、感光体ベルト1の摩擦による影響を低減することができる。
【0058】
また、摺動部材14の厚さtを色毎に変えることで感光体ベルト1を挟み込む力を調整することも可能である。
【0059】
(変形例2)
次に、第1実施形態の変形例2について図面を参照して説明する。
図7は第1実施形態の裏当て部材と位置決め部材とで感光体ベルトを挟み込むという構成の変形例2を示す説明図である。
【0060】
変形例2は、図7に示すように、色毎に設けられた位置決め部材111Y,111M,111C,111Kにおいて、感光体ベルト1の搬送方向に対して垂直方向(感光体ベルト1の幅方向)に沿った長さを、駆動ローラ2に近いものほど長く形成するようにしたものである。
すなわち、位置決め部材111Y,111M,111C,111Kの順に感光体ベルト1の搬送方向で上流側から下流側に向かうほど段々長くなるように形成されている。
【0061】
このように構成したので、変形例2によれば、位置決め部材111の長さが長いほど感光体ベルト1を挟み込み保持する力が強くなるので、感光体ベルト1の蛇行防止に効果的である。
【0062】
(変形例3)
次に、第1実施形態の変形例3について図面を参照して説明する。
図8は第1実施形態の裏当て部材と位置決め部材とで感光体ベルトを挟み込むという構成の変形例3を示す説明図である。
【0063】
変形例3は、図8に示すように、上述した変形例2の構成に加えて、さらに、色毎に設けられた位置決め部材211(211Y,211M,211C,211K)において、感光体ベルト1の幅方向に沿って対向する面が、駆動ローラ2側に向かうに連れて対向する位置決め部材同士の間隔が狭くなるように傾斜面211Ya,211Ma,211Ca,211Kaを形成したものである。
【0064】
詳しくは、例えば、位置決め部材211Kの傾斜面211Kaにおいて、駆動ローラ2に近い端部Ka1が先細りのテーパ形状となるように形成されている。
【0065】
このように構成したので、変形例3によれば、位置決め部材211Y,211M,211C,211Kの傾斜面211Ya,211Ma,211Ca,211Kaの形状により、感光体ベルト1が駆動ローラ2側に搬送されるに連れて感光体ベルト1を中央へ寄せようとする力が作用するため、感光体ベルト1の蛇行を防止することができる。
【0066】
(第2実施形態)
次に、本発明の画像形成装置の第2実施形態について図面を参照して説明する。
図9(a)は本発明の第2実施形態に係る画像形成装置を構成する裏当て部と位置決め部材と帯電手段の構成を示す説明図、(b)は(a)のA−A断面矢視図である。
【0067】
第2実施形態は、図9(a),(b)に示すように、第1実施形態の画像形成装置100における裏当て部材10と位置決め部材11とにより感光体ベルト1を挟み込む構成における露光手段8に換わり、帯電手段7を位置決めするようにしたものである。
【0068】
具体的には、第2実施形態は、図9(a)に示すように、感光体ベルト1を介して帯電手段7と対向する位置に感光体ベルト1の幅方向に沿って長い裏当て部材10を備え、裏当て部材10の長手方向両端には、帯電手段7と感光体ベルト1との離間距離を決定する位置決め部材311を備えている。また、帯電手段7を感光体ベルト1の幅方向に沿った長手方向両端7a,7bで保持する保持部材15,15を備え、保持部材15に設けられた位置決め用のボス15aを位置決め部材311により位置決め保持するようにしたものである。
【0069】
以上のように構成したので、第2実施形態によれば、保持部材15を位置決め部材311に当接することで位置決め部材311と裏当て部材10とにより感光体ベルト1を挟むことによって感光体ベルト1の搬送を安定させて、感光体ベルト1の蛇行や片寄りを抑えることができ、かつ、感光体ベルト1と帯電手段7との距離を精度よく位置決めすることができる。
【0070】
(第3実施形態)
次に、本発明の画像形成装置の第3実施形態について図面を参照して説明する。
図10(a)は本発明の第3実施形態に係る画像形成装置を構成する裏当て部と位置決め部材と現像ローラの構成を示す説明図、(b)は(a)のB−B断面矢視図である。
【0071】
第3実施形態は、図10(a),(b)に示すように、第1実施形態の画像形成装置100における裏当て部材10と位置決め部材11とにより感光体ベルト1を挟み込む構成における露光手段8に換わり、現像ローラ91を位置決めするようにしたものである。
【0072】
画像形成装置100において、非接触によって現像を行う場合、感光体ベルト1と現像ローラ91とのギャップの管理が重要となる。そのため、感光体ベルト1に緩みがあると、ギャップが安定しないため、裏当て部材10を感光体ベルト1の内側から当接させて、擦動させることによって感光体ベルト1と裏当て部材10の位置関係は常に安定する。
すなわち、現像ローラ91と裏当て部材10の位置関係を決めれば、感光体ベルト1と現像ローラ91とのギャップは安定する。
【0073】
具体的には、第3実施形態は、図10(a)に示すように、感光体ベルト1を介して現像ローラ91と対向する位置に感光体ベルト1の幅方向に沿って長い裏当て部材10を備え、裏当て部材10の長手方向両端には、現像ローラ91と感光体ベルト1との離間距離を決定する位置決め部材411を備えている。また、現像ローラ91を感光体ベルト1の幅方向に沿った長手方向両端91a,91bで保持する位置決めコロ16,16を備え、位置決めコロ16を位置決め部材411に当接させて現像ローラ91を位置決めするようにしたものである。
【0074】
以上のように構成したので、第3実施形態によれば、位置決めコロ16を位置決め部材311に当接することで位置決め部材411と裏当て部材10とにより感光体ベルト1を挟むことによって感光体ベルト1の搬送を安定させて、感光体ベルト1の蛇行や片寄りを抑えることができ、かつ、感光体ベルト1と現像ローラ91との距離を精度よく位置決めすることができる。
【0075】
なお、上述した実施形態及び変形例における画像形成装置100は、1パス、即ち各色に帯電手段7と露光手段8を備えていたが、本発明はその他の画像形成装置にも展開が可能である。
【0076】
図11は本発明に係る画像形成装置の構成における現像工程を行うその他の構成を示す概略説明図、図12は本発明に係る画像形成装置の構成における現像工程を行うその他の構成の変形例を示す概略説明図である。
【0077】
具体的には、本発明は、例えば、図11に示すように、4パス、即ち帯電手段7と露光手段8をそれぞれ1つずつ搭載して、4回転で現像工程を行う画像形成装置200にも適応できる。
【0078】
また、変形例として、より小型の現像工程を行う装置を提供するために、図12に示すように、露光手段8を感光体ベルト1の内部(裏側)に搭載して、静電潜像を作成するいわゆる背面露光方式を採用する画像形成装置300にも適応できる。
【0079】
以上のように、本発明は、上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
1 感光体ベルト
2 駆動ローラ
3 従動ローラ
7 帯電手段
7a,7b 長手方向両端
8 露光手段
9 現像装置
10 裏当て部材
11,111,111Y,111M,111C,111K,
211Y,211M,211C,211K,311,411 位置決め部材
14 摺動部材
15 保持部材
16 位置決めコロ
91 現像ローラ
100,200,300 画像形成装置
211Ya,211Ma,211Ca,211Ka 傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成される無端ベルト状の感光体と、前記感光体を回転させるための駆動ローラと、前記感光体に張力を付与するための架橋ローラと、前記感光体に現像剤を供給して前記感光体に形成される静電潜像を現像する色毎に対応する複数の現像装置と、前記感光体に所定の電位を与えるための帯電手段と、前記感光体に静電潜像を形成するための露光手段とを備えて、電子写真方式により画像形成を行う画像形成装置において、
前記感光体を介して前記現像装置を構成する現像ローラと対向する位置に前記感光体の幅方向に沿って長い裏当て部材を備え、
前記裏当て部材の長手方向両端には、前記現像ローラと前記感光体との離間距離を決定する位置決め部材を備え、
前記位置決め部材は、前記感光体の幅方向端部を前記裏当て部材とで挟み込むように配置されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
静電潜像が形成される無端ベルト状の感光体と、前記感光体を回転させるための駆動ローラと、前記感光体に張力を付与するための架橋ローラと、前記感光体に現像剤を供給して前記感光体に形成される静電潜像を現像する色毎に対応する複数の現像装置と、前記感光体に所定の電位を与えるための帯電手段と、前記感光体に静電潜像を形成するための露光手段とを備えて、電子写真方式により画像形成を行う画像形成装置において、
前記露光手段は、前記複数の現像装置に対応して複数個設けられ、
前記感光体を介して前記露光手段と対向する位置に前記感光体の幅方向に沿って長い裏当て部材を備え、
前記裏当て部材の長手方向両端には、前記露光手段と前記感光体との離間距離を決定する位置決め部材を備え、
前記位置決め部材は、前記感光体の幅方向端部を前記裏当て部材とで挟み込むように配置されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
静電潜像が形成される無端ベルト状の感光体と、前記感光体を回転させるための駆動ローラと、前記感光体に張力を付与するための架橋ローラと、前記感光体に現像剤を供給して前記感光体に形成される静電潜像を現像する色毎に対応する複数の現像装置と、前記感光体に所定の電位を与えるための帯電手段と、前記感光体に静電潜像を形成するための露光手段とを備えて、電子写真方式により画像形成を行う画像形成装置において、
前記帯電手段は、前記複数の現像装置に対応して複数個設けられ、
前記感光体を介して前記帯電手段と対向する位置に前記感光体の幅方向に沿って長い裏当て部材を備え、
前記裏当て部材の長手方向両端には、前記帯電手段と前記感光体との離間距離を決定する位置決め部材を備え、
前記位置決め部材は、前記感光体の幅方向端部を前記裏当て部材とで挟み込むように配置されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記位置決め部材を前記裏当て部材の方向に押圧する押圧部材を備え、
前記位置決め部材の押圧力は、前記駆動ローラに近いほど強くすることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記位置決め部材の押圧力は、前記現像ローラ、前記露光手段、または前記帯電手段を前記位置決め部材に当接する力によって調節することを特徴とする請求項1から4のうちの何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記位置決め部材と前記感光体との間に摺動部材を配置することを特徴とする請求項1から5のうちの何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記位置決め部材は、前記感光体の幅方向に沿った長さが、前記駆動ローラに近いものほど長くなるように形成されていることを特徴とする請求項1から6のうちの何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記位置決め部材は、前記感光体の幅方向に沿って対向する位置決め部材の面が、前記駆動ローラ側に向かうに連れて対向する位置決め部材の間隔が狭くなる傾斜面で形成されていることを特徴とする請求項1から7のうちの何れか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−101176(P2013−101176A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243500(P2011−243500)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】