説明

画像形成装置

【課題】 記録媒体の厚みに応じて記録液吐出手段と記録媒体の記録面との間の距離を調整し、記録媒体に記録液吐出手段から記録液を吐出させて画像を形成する画像形成装置において、使用者が記録液吐出手段の洗浄のメンテナンスをいつ行ったらよいかを容易に判断できるようにする。
【解決手段】 主制御部80は、所定のタイミングのときに予め設定された判定基準に基づいて記録ヘッド24のメンテナンスの要否を判定するとき、記録ヘッド24と用紙の記録面との間の距離が予め設定された通常距離か否かを検出し、記録ヘッド24と用紙の記録面との間の距離が予め設定された通常距離の場合と通常距離以外の場合とで上記判定基準をそれぞれ異ならせ、上記判定によってメンテナンスの要と判定されたときに通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ファクシミリ装置、インクジェットプリンタ、複写機、並びにそれらの機能を備えた複合機を含むインクジェット方式で画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式の画像形成装置では、画質の向上のため、インクの吐出口の洗浄等のメンテナンスが必要になる。
従来、プリンタの稼働日数Xを検出すると共に、キャリッジのキャリッジパス数Aを検出し、そのキャリッジパス数Aを上記稼働日数Xで除算し、その除算値がキャリッジパス数閾値AKよりも大きい場合には診断基準値CPKを第1のキャリッジパス用診断基準値Hに設定し、上記除算値がキャリッジパス数閾値AKよりも小さい場合には診断基準値CPKを第2のキャリッジパス用診断基準値Iに設定する。そして、キャリッジパス数Aが診断基準値CPK以上になった場合にキャリッジ、インク供給路及びリニアエンコーダについてはメンテナンス必要時期になったと診断する装置があった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、インクジェット方式の画像形成装置では、インクの着弾位置向上のため、記録ヘッド(「記録液吐出手段」に相当する)のインク(「記録液」に相当する)のノズル(吐出口)から記録媒体である用紙までの間の距離(「記録ヘッド−記録媒体間距離」という)をできるだけ短くすることが必要となる。
しかし、用紙毎に厚みが異なるため、記録ヘッド−記録媒体間距離を固定することはできない。そこで、厚みの違う用紙に対して適切な印字を行うため、用紙の厚みに応じて記録ヘッド−記録媒体間距離を調整するインクジェット方式の画像形成装置があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の記録ヘッド−記録媒体間距離を調整できるインクジェット方式の画像形成装置では、記録ヘッド−記録媒体間距離を広げた場合には、記録ヘッドのノズルからミスト上のインクが発生してヘッド面のノズル口を汚してしまう。
そして、ノズル口のインクが乾いて固着すると、ノズルからインク滴が吐出できなくなり、記録媒体への画像形成を正常にできなくなってしまう。
したがって、使用者は記録ヘッドの洗浄のメンテナンスをいつ行ったらよいかを容易に判断することができないという問題があった。
この発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、記録媒体の厚みに応じて記録液吐出手段と記録媒体の記録面との間の距離を調整し、記録媒体に記録液吐出手段から記録液を吐出させて画像を形成する画像形成装置において、使用者が記録液吐出手段の洗浄のメンテナンスをいつ行ったらよいかを容易に判断できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上記の目的を達成するため、記録媒体に対して記録液吐出手段から記録液を吐出させて上記記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、上記記録媒体の厚みに応じて上記記録液吐出手段と上記記録媒体の記録面との間の距離を調整する調整手段と、所定のタイミングのときに予め設定された判定基準に基づいて上記記録液吐出手段のメンテナンスの要否を判定する判定手段と、上記判定手段によって上記記録液吐出手段のメンテナンスの要と判定されたときに通知する通知手段と、上記判定手段によって上記記録液吐出手段のメンテナンスの要否を判定するとき、上記記録液吐出手段と上記記録媒体の記録面との間の距離が予め設定された通常距離か否かを検出する検出手段と、その検出手段によって検出された上記記録媒体の記録面との間の距離が予め設定された通常距離の場合と通常距離以外の場合とで上記判定基準をそれぞれ異ならせる手段とを備えた画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
この発明による画像形成装置は、記録媒体の厚みに応じて記録液吐出手段と記録媒体の記録面との間の距離を調整し、記録媒体に記録液吐出手段から記録液を吐出させて画像を形成する画像形成装置において、使用者が記録液吐出手段の洗浄のメンテナンスをいつ行ったらよいかを容易に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図2に示したインクジェットプリンタの制御部の機能部をその各部と関連する各部と共に示すブロック図である。
【図2】発明の一実施形態であるインクジェットプリンタを前方側から見た外観斜視図である。
【図3】図2に示したインクジェットプリンタの機構部を示す概略構成図である。
【図4】図2に示したインクジェットプリンタの機構部の要部を示す平面図である。
【図5】図2に示したインクジェットプリンタにおける記録媒体の厚みに応じて記録ヘッドと用紙の記録面との間の距離を調整する機構の構成例を示す図である。
【図6】図2に示したインクジェットプリンタにおけるメンテナンス実施要求通知の処理を示すフローチャート図である。
【0008】
【図7】図2に示したインクジェットプリンタにおけるメンテナンス実施要求通知の他の処理例を示すフローチャート図である。
【図8】図2に示したインクジェットプリンタにおけるメンテナンス実施要求通知のまた他の処理例を示すフローチャート図である。
【図9】図2に示したインクジェットプリンタにおけるメンテナンス実施要求通知の一例を示す図である。
【図10】図2に示したインクジェットプリンタにおけるメンテナンス実施要求通知の他の例を示す図である。
【図11】オフィスフロアでのインクジェット方式のインクジェットプリンタと複合機とを含むネットワークシステムの構成例を示す図である。
【図12】図11に示した複合機の構成を示すブロック図である。
【図13】図11に示した複合機におけるメンテナンス実施要求通知の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図2は、発明の一実施形態であるインクジェットプリンタ(インクジェット記録装置とも称す)を前方側から見た外観斜視図である。
このインクジェットプリンタ(以下単に「プリンタ」という)は、用紙等の記録媒体(以下「用紙」という)にインク等の記録液(以下「インク」という)を吐出して、用紙に画像を描画する画像形成装置である。
【0010】
このプリンタは、装置本体1と、その装置本体1に着脱自在に装着される給紙トレイ2と排紙トレイ3とを備えている。
上記給紙トレイ2は、用紙を装填して格納するためのものであり、上記排紙トレイ3はインクによって画像が描画(形成)された用紙を蓄積(ストック)するためのものである。
また、装置本体1には、上部に内部の機構部を覆う上カバー4を開閉可能に設けている。
【0011】
この装置本体1の上面を形成する上カバー4の表面は略平坦な面に形成し、さらに、上カバー4の中央部には、内部の機構部を外部から視認することができるように透明又は半透明の部材からなる窓部材5を取り付けている。
また、装置本体1の前カバーで形成される前面6は上カバー4の前端部から斜め下後方に向かって傾斜している形状にしている。
したがって、装置本体1の上面を広く活用することができる。
【0012】
さらに、装置本体1の前面6の一端部側(給紙トレイ2及び排紙トレイ3の側方側)には、前面6から装置本体1の前方側に突き出し、上カバー4よりも低くなったカートリッジ装填部7を有する。
このカートリッジ装填部7の上面は操作ボタンやディスプレイ等の表示器18などを設ける操作表示部8を備えている。
【0013】
また、カートリッジ装填部7には、色の異なる記録液(インク)、例えば、黒(K)インク、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクをそれぞれ収容した複数の記録液カートリッジであるインクカートリッジ9k、9c、9m、9y(以下、色を区別しないときは総称して「インクカートリッジ9」という。)を、装置本体1の前面側から後方側に向って挿入して装填可能にしている。
このインクカートリッジ9k、9c、9m、9yには、それぞれのインクに係る各種の情報であるインク情報を格納するIDチップ(図示を省略)を備えている。
【0014】
さらに、このカートリッジ装填部7の前面側には、インクカートリッジ9を着脱するときに開く前カバー10を開閉可能に設けている。
そして、インクカートリッジ9k、9c、9m、9yは縦置き状態で横方向に並べて装填する構成にしている。
この前カバー10は、閉じた状態で、カートリッジ装填部7内に装填されている複数のインクカートリッジ9k、9c、9m、9yを外部から視認することができるように、全体が透明又は半透明の部材で形成されている。
【0015】
なお、インクカートリッジ9k、9c、9m、9yを外部から視認することができれば、前カバー10の一部が透明又は半透明の部材で形成されている構成にすることもできる。
また、操作表示部8には、各色のインクカートリッジ9k、9c、9m、9yの装着位置(配置位置)に対応する配置位置で、各色のインクカートリッジ9k、9c、9m、9yの残量がニアーエンド及びエンドになったことを表示するための各色(黒、シアン、マゼンタ、及びイエロー)の残量表示部11k、11c、11m、11y(以下、色を区別しないときは「残量表示部11」と総称する。)を配置している。
【0016】
この残量表示部11は、例えば、対応するインクカートリッジ9に収容されたインクの色と同じ色で発光する発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)等の半導体素子で構成し、例えば、灯りを点滅させることによってインクニアーエンドを表示し、灯りを点灯状態にすることによってインクエンドを表示する。
上記インクニアーエンドとは、インク残量が少なくなり、インクエンドが近い状態を示し、上記インクエンドとは、用紙に正常な画像を描画できなくなるほどのインク残量の状態を示すものである。
【0017】
また、残量表示部11の平面形状は液滴形状(涙形状)として、インクに関係する表示であることを使用者がイメージで認識できるようにするとよい。
このようにすれば、インクに関係する表示であることを使用者がイメージで認識できるようにすると使い勝手を良くすることができる。
なお、例えば、各色の発光をする残量表示部11に対応して更に各色の指標を付設するようにしてもよい。
【0018】
また、操作表示部8には、電源ボタン12、用紙送り/印刷再開ボタン13、キャンセルボタン14も配置している。
さらに、上記残量表示部11、電源ボタン12、用紙送り/印刷再開ボタン13、及びキャンセルボタン14の近傍には、使用者が認識できるようにそれぞれ「インク残量表示」、「電源」、「用紙送り/印刷再開」「キャンセル」の各文字も付記するとよい。
【0019】
給紙トレイ2は、用紙を収納する(スタックする)トレイ本体と、このトレイ本体の上部を覆う透明又は半透明の部材からなるトレイカバーとを備えている。
そして、給紙トレイ2のトレイ本体の前面側壁部にはスタックされた用紙を視認することができるための覗き窓15を形成している。この覗き窓15は切り欠き部で形成するとよい。このようにすれば、別途窓部を作成して取り付けるよりもプリンタの製造コストを低減することができる。
【0020】
また、給紙トレイ2のトレイカバーの横方向(図中では用紙送り方向と直交する左右方向)の中央部前面側には排紙トレイ3を下側から支えるトレイ支え部16を立ち上げて設けている。
このトレイ支え部16の立ち上げによって、大きなサイズの用紙、例えば、A3サイズの用紙を使用できるようにした場合の排紙スタック性を向上することができる。
さらに、給紙トレイ2のトレイカバーの横方向(図中では用紙送り方向と直交する左右方向)の両端部には用紙送り方向に沿って、リブ中央部前面側にリブ17を形成している。
【0021】
このように、排紙トレイ3の下側に位置する給紙トレイ2のトレイカバー上にリブ17を設けることによって、排紙トレイ3に排紙される用紙の両端部が下方向に撓んだ場合でも、リブ17によって横方向へのズレを規制することができる。
したがって、排紙トレイ3に排紙された用紙がバラけることなく略まとまって積載されることになり、使用者が用紙束を手に取るときにまとめる作業をせずに済み、印刷後の用紙束を手間無く取上げることができる。
【0022】
次に、このプリンタの機構部の一例を説明する。
図3は、図2に示したインクジェットプリンタの機構部を示す概略構成図であり、図4は、図2に示したインクジェットプリンタの機構部の要部を示す平面図である。
このプリンタの機構部は、図4に示すフレーム20を構成する左右の側板20a、20bに架け渡した(これを「横架した」という)ガイド部材であるガイドロッド21と図3に示すステー22とで、キャリッジ23を主走査方向に移動自在に図2に示した装置本体1に保持している。そのキャリッジ23を図示を省略した主走査モータとベルト機構等によって、図4の矢示X方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0023】
このキャリッジ23には、前述したように黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のインク滴を吐出するインク吐出口(ノズル)をそれぞれ副走査方向(図4の矢示Y方向)に沿って所定数列設した4個のインクジェットヘッドからなる記録ヘッド24を主走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
その記録ヘッド24は、例えば、図4に示すように、黒(B)のインク滴を吐出する記録ヘッド24kと、シアン(C)のインク滴を吐出する記録ヘッド24cと、マゼンタ(M)のインク滴を吐出する記録ヘッド24mと、イエロー(Y)のインク滴を吐出する記録ヘッド24yとで構成されている。以下、色を区別しないときは総称して「記録ヘッド24」という。
【0024】
この記録ヘッド24が、記録媒体に対して記録液吐出手段から記録液を吐出させて上記記録媒体に画像を形成する画像形成手段の機能を果たす。
記録ヘッド24を構成するインクジェットヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどをインクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものを使用できる。
【0025】
また、記録ヘッド24の構成は上述した例に限られるものではなく、1つまたは複数の色のインク滴を吐出する1つまたは複数のノズル列を有する記録ヘッドを1つまたは複数用いて構成することができる。
この記録ヘッド24にはドライバICを搭載しており、図2乃至図4では図示を省略した制御部との間で、図4のハーネス(フレキシブルプリントケーブル)25を介してデータのやり取りが可能に接続されている。
また、キャリッジ23には、記録ヘッド24に各色のインクを供給するための各色のヘッドタンク26を搭載している。
【0026】
ヘッドタンク26は、例えば、図4に示すように、黒(B)のインクのヘッドタンク26kと、シアン(C)のインクのヘッドタンク26cと、マゼンタ(M)のインクのヘッドタンク26mと、イエロー(Y)のインクのヘッドタンク26yとの4つから構成されている。以下、色を区別しないときは総称して「ヘッドタンク26」という。
この各色のヘッドタンク26にはそれぞれ、図4に示すように、各色のインク供給チューブ27を介して、前述したカートリッジ装填部7に装着されたインクカートリッジ9(9k、9c、9m、9y)から各色のインクが補充供給される。
【0027】
なお、このカートリッジ装填部7にはインクカートリッジ9内のインクを送液するための供給ポンプユニット28が設けられている。
また、インク供給チューブ27は這い回しの途中で、フレーム20を構成する後板20cにホルダ29を用いて固定保持されている。
さらに、そのインク供給チューブ27はキャリッジ23上でも、固定リブ30を用いて固定されている。
【0028】
一方、図3に示すように、給紙トレイ2の用紙積載部(昇降板)31上に積載した用紙Pを給紙するための給紙部として、矢示方向に回転して用紙積載部31から用紙Pを1枚ずつ給送する給紙コロ(半月コロ)32と、その給紙コロ32に対向する摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド33とを備え、その分離パッド33は給紙コロ32側に押付けられている。
【0029】
そして、この給紙部から1枚ずつ分離されて給紙される用紙Pを記録ヘッド24の下方側へ送り込むための搬送部として、用紙Pを静電吸着して記録ヘッド24に対向する位置で搬送するための搬送ベルト34と、給紙部からガイド35を介して送られる用紙Pを搬送ベルト34との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ36と、図3において略鉛直上方に送られる用紙Pを略90°方向転換させて、搬送ベルト34上に倣わせるための搬送ガイド37と、押さえ部材38で搬送ベルト34側に押付けられた先端加圧コロ39とを備えている。
【0030】
また、搬送ベルト34の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ40を備えている。
ここで、搬送ベルト34は、無端状ベルトであり、搬送ローラ41とテンションローラ42との間に掛け渡されて、図示を省略した副走査モータ等によって、搬送ローラ41を矢示方向に回転させることにより、図4に矢示Yで示すベルト搬送方向(副走査方向)に周回移動(以下「回動」と云う)するように構成している。
【0031】
この搬送ベルト34は、例えば、抵抗制御を行っていない純粋な厚さ40μm程度の樹脂材、例えば、熱可塑性フッ素樹脂(例えば、ETFEピュア材)で形成した用紙吸着面となる表層と、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層(例えば、中抵抗層、又はアース層)とを有している。
一方、図3に示す帯電ローラ40は、搬送ベルト34の表面を帯電させるための帯電手段であり、その搬送ベルト34の表層に接触して、搬送ベルト34の回動に従って連れ回り(従動回転)するように配置されており、搬送ベルト34に対する加圧力として軸の両端に所定の押圧力をかけている。
【0032】
また、搬送ローラ41はアースローラの役目も担っており、搬送ベルト34の中抵抗層(裏層)と接触しており、それを接地する。
さらに、搬送ベルト34の裏側には、記録ヘッド24による印刷領域に対応してガイド部材43を配置している。
このガイド部材43は、上面が搬送ベルト34を支持する2つのローラ(搬送ローラ41とテンションローラ42)に共通の外接線よりも記録ヘッド24側に突出している。
【0033】
これにより、搬送ベルト34は印刷領域ではガイド部材43の上面によって押し上げられてガイドされるので、高精度な平面性を維持される。
さらに、記録ヘッド24で記録された用紙Pを排紙するための排紙部として、搬送ベルト34から用紙Pを分離するための分離爪60と、排紙ローラ61及び排紙コロ62とを備え、排紙ローラ61の下方に排紙トレイ3を備えている。
【0034】
ここで、排紙ローラ61と排紙コロ62との間から排紙トレイ3までの高さは排紙トレイ3にストックできる量を多くするためにある程度高くしている。
また、装置本体1の背面部には、両面給紙ユニット44が着脱自在に装着されている。
この両面給紙ユニット44は、両面印刷時に、搬送ベルト34の逆方向回転で戻される用紙を取り込んで反転させ、再度先端加圧コロ39と搬送ベルト34との間に給紙する機能を有する。
【0035】
また、この両面給紙ユニット44の上面には、手差しの用紙を給紙するための手差し給紙部45が設けられている。
一方、図4に示すように、キャリッジ23の走査方向の一方側(右側)の非印字領域には、記録ヘッド24のノズルの状態を維持し、回復するための図4の維持回復機構部46を配置している。
【0036】
この維持回復機構部46には、記録ヘッド24の各ノズル面をキャッピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)47a〜47d(区別しないときは「キャップ47」と総称する)と、そのノズル面を拭取る(ワイピングする)ためのブレード部材であるワイパーブレード48と、増粘したインクを排出するために、記録に寄与しないインク滴を吐出させる空吐出を行うときのインク滴を受ける空吐出受け49などを備えている。
【0037】
ここでは、キャップ47aを吸引及び保湿用キャップにし、他のキャップ47b〜47dは保湿用キャップのみにしている。
また、キャリッジ23の走査方向の他方側(図4では左側)の非印刷領域には、記録中などに増粘したインクを排出するために、記録に寄与しないインク滴を吐出させる空吐出を行うときのインク滴を受ける空吐出受け50を配置し、この空吐出受け50には記録ヘッド24のノズル配列方向に沿った開口部51を設けている。
【0038】
このように構成した実施形態のプリンタにおいては、図3に示した給紙トレイ2から用紙Pが1枚ずつ分離給紙され、同図中で略鉛直上方に給紙された用紙Pはガイド35で案内され、搬送ベルト34とカウンタローラ36との間に挟まれて搬送される。さらに、先端を搬送ガイド37で案内されて、先端加圧コロ39で搬送ベルト34に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0039】
このとき、図1によって後述する制御部によって、ACバイアス供給部から帯電ローラ40に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返す交番電圧が印加され、搬送ベルト34が交番する帯電電圧パターン、すなわち、回動方向である副走査方向に、プラスとマイナスの電荷が所定の幅で帯状に交互に生じたものとなる。
【0040】
このプラスとマイナスに交互に帯電した搬送ベルト34上に用紙Pが給紙されると、その用紙Pにも静電誘導によって、搬送ベルト34の帯電極性と反対極性のプラスとマイナスに交互に帯電が生じる。そのため、用紙Pが搬送ベルト34に静電引力によって吸着されると共に、相対的な位置ずれが生じることなく、その搬送ベルト34の回動によって用紙Pが副走査方向に正確に搬送される。
そこで、キャリッジ23を主走査方向へ移動させながら、画像信号に応じて記録ヘッド24を駆動することにより、停止している用紙Pにインク滴を吐出して所定ライン(例えば、100〜200ライン)分を記録し、その用紙Pを所定量搬送後、次の所定ライン分の記録を行う。
【0041】
そして、記録終了信号又は用紙Pの後端が記録領域の副走査端に達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙Pを排紙トレイ3に排紙する。
また、印刷(記録)待機中はキャリッジ23は維持回復機構部46側に移動されて、キャップ47で記録ヘッド24がキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことによりインクの乾燥によるインクの吐出不良を防止する。
【0042】
さらに、キャップ47で記録ヘッド24をキャッピングした状態で図示を省略した吸引ポンプによってノズルからインクを吸引(これを「ノズル吸引」又は「ヘッド吸引」という。)し、増粘したインクや気泡を排出する回復動作を行う。
また、記録開始前、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する空吐出動作を行う。これによって、記録ヘッド24の安定した吐出性能を維持する。
【0043】
次に、このプリンタにおける用紙の厚みに応じて記録ヘッド24と用紙の記録面との間の距離を調整する機構について説明する。
図5は、図2に示したインクジェットプリンタにおける記録媒体の厚みに応じて記録ヘッド24と用紙の記録面との間の距離を調整する機構の構成例を示す図である。
図5の(a)と(c)に示すように、ガイドロッド21は左端をガイドロッド左固定板20dに、右端をガイドロッド右固定板20eにそれぞれ固定されており、そのガイドロッド左固定板20dとガイドロッド右固定板20eはそれぞれ図4に示したフレームの左側板20aとフレームの右側板20bに対して上昇方向(図5の(b)の矢示D方向)又は下降方向(図5の(d)の矢示H方向)に移動可能に取り付けられている。
【0044】
プリンタのガイドロッド21の左端側にはギャップ上昇レバー52が配置され、そのギャップ上昇レバー52は、その一方の端部をキャリッジ23に沿って図5の(a)中矢示A方向(及びA方向の反対方向)に移動するように設けられている。
また、ギャップ上昇レバー52のもう一方の端部は、ナット部が形成されており、そのナット部にボルト53が挿入されている。
ボルト53の頭部はギア53aであり、そのねじ山がガイドロッド左固定板20dに設けられたねじ山部54と噛み合うように設けられている。
【0045】
また、ボルト53のねじ部53bは、ギャップ上昇レバー52のナット部に挿入されている。
そして、ギャップ上昇レバー52を図5の(a)中矢示B方向に移動させることにより、ナット部に挿入されたボルト53のねじ部53bが回転し、その回転により、図5の(b)に示すように、ギア53aを矢示C方向に回転させる。
また、ギア53aが矢示C方向に回転することにより、ガイドロッド左固定板20dのねじ山部54を介してガイドロッド左固定板20dを同図中矢示D方向に上昇させる。
【0046】
これらの動作は、図1に示す主制御部80が、印刷時の用紙の種類の設定内容に基づいて記録ヘッド24と用紙の記録面との間の距離を通常の位置よりも広げると判断すると、キャリッジ駆動モータ駆動部84を介してキャリッジ駆動モータ96を駆動させ、図5の(a)に示すように、キャリッジ23を矢示A方向に所定距離移動させてギャップ上昇レバー52を所定距離移動させることによって実行される。
【0047】
したがって、ガイドロッド左固定板20dに取り付けられたガイドロッド21と共に図4の記録ヘッド24を含むキャリッジ23が通常の位置から上昇する。この通常の位置とは、標準的な厚みの用紙を印刷する際の記録ヘッド24と用紙の記録面との間の距離を持つ位置である。
この上昇により、封筒などの用紙に厚みがある場合には、記録ヘッド24と用紙の記録面との間の距離を広げるように(記録ヘッド24と用紙の記録面とのギャップを大きくするように)調整し、記録ヘッド24のノズルが用紙に触れないようにして印刷することができる。
【0048】
一方、図5の(c)に示すように、プリンタのガイドロッド21の右端側には、ギャップ下降レバー55が配置され、そのギャップ下降レバー55は、その一方の端部をキャリッジ23に沿って矢示E方向(及びE方向の反対方向)に移動するように設けられている。
また、ギャップ下降レバー55のもう一方の端部は、ナット部が形成されており、そのナット部にボルト56が挿入されている。
【0049】
ボルト56の頭部はギア56aであり、そのねじ山がガイドロッド右固定板20eに設けられたねじ山部57と噛み合うように設けられている。
また、ボルト56のねじ部56bは、ギャップ下降レバー55のナット部に挿入されている。
そして、ギャップ下降レバー55を図中矢示F方向に移動させることにより、ナット部に挿入されたボルト56のねじ部56bが回転し、その回転により、図5の(d)に示すように、ギア56aを矢示G方向に回転させる。
【0050】
また、ギア56aが矢示G方向に回転することにより、ガイドロッド右固定板20eのねじ山部57を介してガイドロッド右固定板20eを矢示H方向に下降させる。
これらの動作も、図1に示す主制御部80が、印刷時の用紙の種類の設定内容に基づいて記録ヘッド24と用紙の記録面との間の距離を通常の位置に戻すと判断すると、キャリッジ駆動モータ駆動部84を介してキャリッジ駆動モータ96を駆動させ、図5の(c)に示すように、キャリッジ23を矢示E方向に所定距離移動させてギャップ下降レバー55を所定距離移動させることによって実行される。
したがって、ガイドロッド右固定板20eに取り付けられたガイドロッド21と共に図4の記録ヘッド24を含むキャリッジ23が下降し、記録ヘッド24と用紙の記録面との間のギャップを小さくして通常の位置に戻す。
【0051】
次に、このプリンタの制御部の機能構成を図1によって説明する。
図1は、図2に示したインクジェットプリンタの制御部の機能部をその各部と関連する各部と共に示すブロック図である。
【0052】
このプリンタの制御部は、CPU、ROMおよびRAMを含むマイクロコンピュータによって実現され、主制御部80、操作表示制御部81、通信部82、印刷制御部83、キャリッジ駆動モータ駆動部84、搬送モータ駆動部85、給紙コロ駆動部86、維持回復機構駆動用モータ駆動部87、インク供給モータ駆動部88、メモリ部89、カートリッジ通信部90、Kカートリッジメモリ部91、Cカートリッジメモリ部92、Mカートリッジメモリ部93、Yカートリッジメモリ部94、キャリッジ駆動モータ駆動部102、搬送モータ駆動部103、及びリアルタイムクロック(RTC)106を備えている。これらは全てバスによって接続され、相互にデータ及び信号のやり取りが可能である。
【0053】
主制御部80は、81〜90、102の各部を制御してプリンタの全体の制御を司り、この実施形態に係る各種の制御処理をする。
この主制御部80が、後述する判定手段と検出手段と通知手段と異常通知手段の各機能を果たす。
操作表示制御部81は、操作表示部8から入力される操作情報を主制御部80に送り、主制御部80からの指示に基づいて操作表示部8に各種の通知及び情報を表示させる制御を司る。
【0054】
通信部82は、このプリンタと通信線で直接に接続又はローカルエリアネットワーク、インターネット等のネットワークを介して接続した図示を省略したホストコンピュータと主制御部80との間の各種の情報のやり取りを制御する。
【0055】
例えば、ホストコンピュータからプリンタに印刷をさせる場合、ホストコンピュータの制御部で実行されるアプリケーション105を通して使用者より印刷命令があると、同じくホストコンピュータの制御部で実行されるオペレーティングシステム(OS)106はプリンタで出力する画像データをプリンタドライバ107に伝達する。
そして、ホストコンピュータの制御部で実行されるプリンタドライバ107は、アプリケーション105から伝達された画像データを、プリンタが処理できる形式の画像データに変換して、プリンタの通信部82に出力する。
【0056】
上記OS106は、例えば、ウインドウズXP(Windows XP)等のWindows OSに実装されているGDI(Graphic Device Interface)を利用してもよい。上記ウインドウズXP、Windows XP等はいずれも登録商標である。
印刷制御部83は、主制御部80からの指示に基づいてヘッド駆動部95介して記録ヘッド24を駆動させる印刷に係る各部の制御を司る。
【0057】
主制御部80は、通信部82から入力される印刷処理の情報に基づいて前述したように用紙に画像を形成するために、キャリッジ駆動モータ駆動部84を介してキャリッジ駆動モータ96を、搬送モータ駆動部85を介して搬送モータ97をそれぞれ駆動制御すると共に、印刷制御部83に対して印刷用データを送出するなどの制御をする。
また、主制御部80には、図3と図4に示したキャリッジ23の位置を検出するキャリッジ位置検出部98からの検出信号が入力され、主制御部80はこの検出信号に基づいてキャリッジ23の移動位置及び移動速度を制御する。
【0058】
キャリッジ位置検出部98は、例えば、キャリッジ23に搭載されたフォトセンサであり、キャリッジ23の走査方向に配置されたエンコーダシートのスリット数を光学的に読み取って計数し、その計数データを主制御部80へ出力する。こうして、キャリッジ23の位置を検出することができる。
キャリッジ駆動モータ駆動部84は、主制御部80から入力されるキャリッジ移動量に応じてを回転駆動させて、キャリッジ23を所定の位置に所定の速度で移動させる。
【0059】
主制御部80には、図3と図4に示した搬送ベルト34の移動量を検出する搬送量検出部99からの検出信号が入力され、主制御部80はこの検出信号に基づいて搬送ベルト34の移動量及び移動速度を制御する。
搬送量検出部99は、例えば、フォトセンサであり、搬送ローラ41の回転軸に取り付けられた回転エンコーダシートのスリット数を光学的に読み取って計数し、その計数データを主制御部80へ出力する。こうして、搬送量を検出することができる。
【0060】
搬送モータ駆動部85は、主制御部80から入力される搬送量に応じて搬送モータ97を回転駆動させて、図3と図4に示した搬送ローラ41を回転駆動して搬送ベルト34を所定の位置に所定の速度で移動させる。
主制御部80は、給紙コロ駆動部86に給紙コロ駆動指令を与えることによって図3に示した給紙コロ32を一回転させる。
【0061】
そして、主制御部80は、維持回復機構駆動用モータ駆動部87を介してモータ100を回転駆動することにより、図4に示したキャップ47とワイパーブレード48のそれぞれの昇降を行わせる。
また、主制御部80は、インク供給モータ駆動部88を介して図4に示した供給ポンプユニットの供給ポンプ(いずれも図示を省略)を駆動するための同じく図示を省略した駆動モータ(「インク供給モータ」ともいう)を駆動制御し、カートリッジ装填部7に装填されたインクカートリッジ9からヘッドタンク26に対してインクを補充供給する。
【0062】
主制御部80には、ヘッドタンク26がインクで満タン状態にあることを検知するヘッドタンク満タン検出部63からの検知信号、図2に示したカートリッジ装填部7の前カバー10の開閉を検知するカートリッジカバー開閉検出部101からの検知信号などが入力される。
【0063】
また、主制御部80は、カートリッジ通信部90を通じて、図2及び図4に示したカートリッジ装填部7に装着された各インクカートリッジ9k〜9yに、それぞれ設けられる記憶手段である不揮発性メモリのKカートリッジメモリ部91、Cカートリッジメモリ部92、Mカートリッジメモリ部93、Yカートリッジメモリ部94に記憶されている情報を取り込んで、所要の処理を行って、プリンタの本体の記憶手段であるメモリ部89(例えば、不揮発性であり書き換え可能なEEPROM)に格納して保持する。
このメモリ部89には、後述する前回使用時間、各種の閾値、印刷した総枚数、所定枚数、インクの規格情報も主制御部80が参照可能に記憶する。
【0064】
印刷制御部83は、主制御部80からの信号とキャリッジ位置検出部98からのキャリッジ位置及び搬送量検出部99からの搬送量等に基づいて、図3乃至図4に示した記録ヘッド24のインク滴を吐出させるための圧力を発生させる圧力発生手段を駆動するヘッド駆動部95の駆動データを生成し、その駆動データをヘッド駆動部95に与える。
ヘッド駆動部95は、印刷制御部83からの印刷データに基づいて記録ヘッド24の圧力発生手段(ピエゾ型ヘッドであれば圧電素子)を駆動して、所要のノズルからインク滴を吐出させる。
【0065】
RTC102は、主制御部80が参照する日付(年月日)と時刻(時分秒)をカウントする。
紙サイズ検出部103は印刷する用紙のサイズを検出するセンサであり、紙位置検出部104は印刷の際の用紙の位置を検出するセンサである。
上記主制御部80、キャリッジ駆動モータ駆動部84、キャリッジ駆動モータ96、及び図5に示した52〜57の各部が、記録媒体の厚みに応じて記録液吐出手段と記録媒体の記録面との間の距離を調整する調整手段の機能を果たす。
【0066】
次に、このプリンタにおけるメンテナンス実施要求通知の処理について図6によって説明する。
図6は、図2に示したインクジェットプリンタにおけるメンテナンス実施要求通知の処理を示すフローチャート図である。
この処理について、図1に示した主制御部80が、所定のタイミングのときに予め設定された判定基準に基づいて記録液吐出手段のメンテナンスの要否を判定する判定手段と、その判定手段によって上記記録液吐出手段のメンテナンスの要と判定されたときに通知する通知手段と、上記判定手段によって上記記録液吐出手段のメンテナンスの要否を判定するとき、上記記録液吐出手段と記録媒体の記録面との間の距離が予め設定された通常距離か否かを検出する検出手段と、その検出手段によって検出された上記記録媒体の記録面との間の距離が予め設定された通常距離の場合と通常距離以外の場合とで前記判定基準をそれぞれ異ならせる手段の機能を果たす。
【0067】
図1に示した主制御部80は、まず、メンテナンス通知実施可否判定処理を実行する。
メンテナンス通知実施可否判定処理では、プリンタが所定のタイミングになったか否かを判断し、所定のタイミングになったと判断したら、図6に示すメンテナンス実施要求通知処理の実行要と判定する。
上記所定のタイミングとしては、プリンタの起動時、プリンタの印刷開始前、プリンタの印刷中、プリンタの印刷開始後、プリンタのキャッピング前、又はプリンタの電源オフの操作がされたときにオフ前の動作可能時間中などのタイミングがある。
【0068】
主制御部80は、メンテナンス通知実施可否判定処理で実行要と判定すると、図6のステップ(図中「S」で示す)1でキャリッジの位置は通常位置か否かを判断する。
このキャリッジの位置は通常位置か否かを判断するには、例えば、印刷の際に上述した記録ヘッド24と用紙の記録面との距離を広げるように調整する制御をした場合、メモリにそれを示すフラグを記録し、通常位置に戻したときにフラグを消去するようにして、そのフラグの有無で判断するとよい。
【0069】
ステップ1の判断で、キャリッジの位置は通常位置であると判断された場合(「Y」の場合)は、ステップ2でメンテナンス条件は、キャリッジが通常位置の場合の条件を満たしているか否かを判断する。
このメンテナンス条件は判定基準であり、例えば、図4のキャリッジ23が通常位置の場合の印刷枚数、インクの吐出量、キャッピングが外れている経過時間などの計測値が予め設定した閾値を超えた場合を実施条件に定めている。
【0070】
そこで、主制御部80は、図4のキャリッジ23が通常位置の場合の印刷枚数、インクの吐出量、キャッピングが外れている経過時間などの計測値を上記所定のタイミングまで計測して、例えば、図1のメモリ部89に記憶する。
なお、上記経過時間は、上記所定のタイミングまでに計測された用紙の記録面との間の距離が予め設定された通常距離以外の累積時間である。
【0071】
また、上記印刷枚数、吐出量、および経過時間の閾値は、図4のキャリッジ23が通常位置で、それらの枚数、吐出量、経過時間を超えている場合にはインク吐出不良を起こす恐れがあるパラメータを予め試験によって求めておき、図1の主制御部80が上記判断の際に参照可能な記憶部、例えば、メモリ部89に記憶させておく。
そして、主制御部80は、図4のキャリッジ23が通常位置の場合の印刷枚数、インクの吐出量、キャッピングが外れている経過時間などの計測値がそれぞれの閾値を超えている場合は、メンテナンス条件は通常位置の条件を満たしていると判断する。
【0072】
ステップ2でメンテナンス条件は、キャリッジが通常位置の場合の条件を満たしていないと判断した場合(「N」の場合)、この処理を終了する。
また、ステップ2でメンテナンス条件は、キャリッジが通常位置の場合の条件を満たしていると判断した場合(「Y」の場合)、ステップ4でメンテナンス実施要求通知処理を実行し、この処理を終了する。
【0073】
一方、ステップ1でキャリッジの位置は通常位置ではないと判断した場合(「N」の場合)は、ステップ3でメンテナンス条件は、キャリッジが通常位置以外の場合の条件を満たしているか否かを判断する。
このキャリッジが通常位置以外の場合とは、上述したように図4の記録ヘッド24と用紙の記録面との距離を広げた場合を指す。
また、この場合のメンテナンス条件としては、図4のキャリッジ23が通常位置以外の場合の印刷枚数、インクの吐出量、キャッピングが外れている経過時間などの計測値が予め設定した閾値を超えた場合を実施条件に定めている。
【0074】
そこで、主制御部80は、キャリッジ23が通常位置以外の場合の印刷枚数、インクの吐出量、キャッピングが外れている経過時間などの計測値を計測して、例えば、図1のメモリ部89に記憶する。
また、上記印刷枚数、吐出量、および経過時間の閾値は、キャリッジ23が通常位置以外で、それらの枚数、吐出量、経過時間を超えている場合にはインク吐出不良を起こす恐れがあるパラメータを予め試験によって求めておき、図1の主制御部80が上記判断の際に参照可能な記憶部、例えば、メモリ部89に記憶させておく。
【0075】
図4のキャリッジ23が通常位置以外の場合、記録ヘッド24のノズルからミスト状のインクが発生してヘッド面のノズル口を汚し易くなる。すると、ノズル口のインクが乾いて固着し易くなり、ノズルからインク滴が吐出できなくなる。
そこで、上述のキャリッジ23が通常位置の場合の印刷枚数、インクの吐出量、キャッピングが外れている経過時間などの計測値の閾値よりも、図4のキャリッジ23が通常位置以外の場合の印刷枚数、インクの吐出量、キャッピングが外れている経過時間などの計測値の閾値は少ない値になる。
【0076】
そして、主制御部80は、キャリッジ23が通常位置以外の場合の印刷枚数、インクの吐出量、キャッピングが外れている経過時間などの計測値がそれぞれの閾値を超えている場合は、メンテナンス条件はキャリッジが通常位置以外の条件を満たしていると判断する。
ステップ3の判断で、メンテナンス条件は、キャリッジが通常位置以外の場合の条件を満たしていると判断された場合(「Y」の場合)は、ステップ4でメンテナンス実施要求通知処理を実行し、この処理を終了する。
【0077】
このメンテナンス実施要求通知処理では、使用者に記録ヘッド24の洗浄等のメンテナンスを勧めるメッセージを通知する。その通知先としては、図1に示した操作表示制御部81を介して操作表示部8の表示器18に表示しても良いし、このプリンタに印刷を指示してきた情報処理装置へネットワークを介して通知しても良い。
一方、ステップ3の判断で、メンテナンス条件は、キャリッジが通常位置以外の場合の条件を満たしていないと判断された場合(「N」の場合)は、この処理を終了する。
【0078】
次に、このプリンタにおけるメンテナンス実施要求通知の他の処理例について図7によって説明する。
図7は、図2に示したインクジェットプリンタにおけるメンテナンス実施要求通知の他の処理例を示すフローチャート図である。
この処理では、図1の主制御部80は上述の処理に加えて、予め設定した異常通知の条件を満たしているか否かを判断し、その判断結果で処理を分岐させる処理を実行する。
主制御部80が、当該プリンタの状態が予め設定された異常通知条件を満たすか否かを判断し、上記異常通知条件を満たすと判断された場合は通知する異常通知手段の機能も果たす。
【0079】
主制御部80は、まず、メンテナンス通知実施可否判定処理を実行する。
メンテナンス通知実施可否判定処理では、プリンタが所定のタイミングになったか否かを判断し、所定のタイミングになったと判断したら、図7に示すメンテナンス実施要求通知処理の実行要と判定する。
上記所定のタイミングとしては、プリンタの起動時、プリンタの印刷開始前、プリンタの印刷中、プリンタの印刷開始後、プリンタのキャッピング前、又はプリンタの電源オフの操作がされたときにオフ前の動作可能時間中などのタイミングがある。
【0080】
主制御部80は、メンテナンス通知実施可否判定処理で実行要と判定すると、図7のステップ(図中「S」で示す)11でキャリッジの位置は通常位置か否かを判断する。
このキャリッジの位置は通常位置か否かを判断するには、例えば、印刷の際に上述した記録ヘッド24と用紙の記録面との距離を広げるように調整する制御をした場合、メモリにそれを示すフラグを記録し、通常位置に戻したときにフラグを消去するようにして、そのフラグの有無で判断するとよい。
【0081】
ステップ11の判断で、キャリッジの位置は通常位置であると判断された場合(「Y」の場合)は、ステップ12でメンテナンス条件は、キャリッジが通常位置の場合の条件を満たしているか否かを判断する。
このメンテナンス条件は判定基準であり、例えば、図4のキャリッジ23が通常位置の場合の印刷枚数、インクの吐出量、キャッピングが外れている経過時間などの計測値が予め設定した閾値を超えた場合を実施条件に定めている。
【0082】
そこで、主制御部80は、キャリッジ23が通常位置の場合の印刷枚数、インクの吐出量、キャッピングが外れている経過時間などの計測値を上記所定のタイミングまで計測して、例えば、図1のメモリ部89に記憶する。
なお、上記経過時間は、上記所定のタイミングまでに計測された用紙の記録面との間の距離が予め設定された通常距離以外の累積時間である。
【0083】
また、上記印刷枚数、吐出量、および経過時間の閾値は、図4のキャリッジ23が通常位置で、それらの枚数、吐出量、経過時間を超えている場合にはインク吐出不良を起こす恐れがあるパラメータを予め試験によって求めておき、図1の主制御部80が上記判断の際に参照可能な記憶部、例えば、メモリ部89に記憶させておく。
そして、主制御部80は、キャリッジ23が通常位置の場合の印刷枚数、インクの吐出量、キャッピングが外れている経過時間などの計測値がそれぞれの閾値を超えている場合は、メンテナンス条件は通常位置の条件を満たしていると判断する。
【0084】
ステップ12でメンテナンス条件は、キャリッジが通常位置の場合の条件を満たしていないと判断した場合(「N」の場合)、この処理を終了する。
また、ステップ12でメンテナンス条件は、キャリッジが通常位置の場合の条件を満たしていると判断した場合(「Y」の場合)、ステップ15でメンテナンス実施要求通知処理を実行し、この処理を終了する。
【0085】
一方、ステップ11でキャリッジの位置は通常位置ではないと判断した場合(「N」の場合)は、ステップ13で、メンテナンス条件は、異常通知の条件を満たしているか否かを判断する。
ここで、異常通知の条件とは、例えば、所定タイミングまでに計測された総印刷枚数(この場合、長時間経過しているにもかかわらず印刷枚数がとても少ない場合がある)、キャッピングが外れている時間の総時間(この総時間がインクの固着を招く恐れのある経過時間)等がある。
ステップ13の判断で、メンテナンス条件は、異常通知の条件を満たしている場合(「Y」の場合)、ステップ15でメンテナンス実施要求通知処理を実行し、この処理を終了する。
【0086】
また、ステップ13の判断で、メンテナンス条件は、異常通知の条件を満たしていない場合(「N」の場合)、ステップ14へ進む。
ステップ14でメンテナンス条件は、キャリッジが通常位置以外の場合の条件を満たしているか否かを判断する。
このキャリッジが通常位置以外の場合とは、上述したように図4の記録ヘッド24と用紙の記録面との距離を広げた場合を指す。
【0087】
また、この場合のメンテナンス条件としては、図4のキャリッジ23が通常位置以外の場合の印刷枚数、インクの吐出量、キャッピングが外れている経過時間などの計測値が予め設定した閾値を超えた場合を実施条件に定めている。
そこで、主制御部80は、キャリッジ23が通常位置以外の場合の印刷枚数、インクの吐出量、キャッピングが外れている経過時間などの計測値を計測して、例えば、図1のメモリ部89に記憶する。
【0088】
また、上記印刷枚数、吐出量、および経過時間の閾値は、キャリッジ23が通常位置以外で、それらの枚数、吐出量、経過時間を超えている場合にはインク吐出不良を起こす恐れがあるパラメータを予め試験によって求めておき、図1の主制御部80が上記判断の際に参照可能な記憶部、例えば、メモリ部89に記憶させておく。
図4のキャリッジ23が通常位置以外の場合、記録ヘッド24のノズルからミスト上のインクが発生してヘッド面のノズル口を汚し易くなる。すると、ノズル口のインクが乾いて固着し易くなり、ノズルからインク滴が吐出できなくなる。
【0089】
そこで、上述のキャリッジ23が通常位置の場合の印刷枚数、インクの吐出量、キャッピングが外れている経過時間などの計測値の閾値よりも、図4のキャリッジ23が通常位置以外の場合の印刷枚数、インクの吐出量、キャッピングが外れている経過時間などの計測値の閾値は少ない値になる。
そして、主制御部80は、キャリッジ23が通常位置以外の場合の印刷枚数、インクの吐出量、キャッピングが外れている経過時間などの計測値がそれぞれの閾値を超えている場合は、メンテナンス条件はキャリッジが通常位置以外の条件を満たしていると判断する。
【0090】
ステップ14の判断で、メンテナンス条件は、キャリッジが通常位置以外の場合の条件を満たしていると判断された場合(「Y」の場合)は、ステップ15でメンテナンス実施要求通知処理を実行し、この処理を終了する。
このメンテナンス実施要求通知処理では、使用者に記録ヘッド24の洗浄等のメンテナンスを勧めるメッセージを通知する。その通知先としては、図1に示した操作表示制御部81を介して操作表示部8の表示器18に表示しても良いし、このプリンタに印刷を指示してきた情報処理装置へネットワークを介して通知しても良い。
一方、ステップ14の判断で、メンテナンス条件は、キャリッジが通常位置以外の場合の条件を満たしていないと判断された場合(「N」の場合)は、この処理を終了する。
【0091】
次に、このプリンタにおけるメンテナンス実施要求通知のまた他の処理例について図8によって説明する。
図8は、図2に示したインクジェットプリンタにおけるメンテナンス実施要求通知のまた他の処理例を示すフローチャート図である。
図1に示した主制御部80は、まず、上述の処理と同様にして、メンテナンス通知実施可否判定処理で、プリンタが所定のタイミングになったか否かを判断し、所定のタイミングになったと判断したら、図8に示すメンテナンス実施要求通知処理の実行要と判定する。
【0092】
主制御部80は、メンテナンス通知実施可否判定処理で実行要と判定すると、ステップ(図8中「S」で示す)21でキャリッジの位置は通常位置か否かを判断する。
ステップ21の判断で、キャリッジの位置は通常位置であると判断された場合(「Y」の場合)は、ステップ22で第1メンテナンス通知処理を実行し、この処理を終了する。
一方、ステップ21の判断で、キャリッジの位置は通常位置ではないと判断された場合(「N」の場合)は、ステップ23でキャリッジを通常位置に変更する(戻す)処理を実行し、ステップ24で第2メンテナンス通知処理を実行し、この処理を終了する。
【0093】
上記第1メンテナンス通知処理と第2メンテナンス通知処理の内容は同じでもかまわないが、図4のキャリッジ23が通常位置以外の場合の方が、よりノズル面の汚れが懸念されるため、第2メンテナンス通知処理の方では、第1メンテナンス通知処理よりもより強力なメンテナンス(例えば、フルオート洗浄など)を勧める通知内容にすると良い。
【0094】
次に、上記メンテナンス実施要求通知処理における通知例を図9及び図10によって説明する。
図9と図10は、それぞれ図2に示したインクジェットプリンタにおけるメンテナンス実施要求通知の一例を示す図である。
図9は、図2の表示器18での表示例であり、例えば、図中のように「メンテナンスヲジッシシテクダサイ」のメッセージを表示し、使用者に記録ヘッド24の洗浄を勧める。
また、上記第2メンテナンス処理の場合、メッセージ中にメンテナンスの実行を強く勧める文言を含めると良い。
【0095】
図10は、プリンタに印刷を指示してきた情報処理装置への通知例であり、例えば、印刷のプロパティ画面に「メンテナンス実施要」のメッセージ(図中矢示300)を表示し、使用者にプリンタの記録ヘッド24の洗浄を勧める。
また、上記第2メンテナンス処理の場合、このメッセージ中にメンテナンスの実行を強く勧める文言を含めると良い。
【0096】
次に、上述したプリンタとインクジェット方式で画像を形成する複合機を含むネットワークシステムにおいて、そのプリンタと複合機にメンテナンスが必要であることを通知する実施例について図11及び図12によって説明する。
図11は、オフィスフロアでのインクジェット方式のプリンタと複合機とを含むネットワークシステムの構成例を示す図である。
図12は、図11に示した複合機111の構成を示すブロック図である。
【0097】
このネットワークシステムは、図11に示すように、上述したプリンタに相当するプリンタ110と、複合機111と、ノート型パソコンなどの情報処理装置112と、サーバ113がハブ114を介してローカルエリアネットワーク(LAN)により相互接続されている。
なお、図中には、2台のプリンタ110と、1台の複合機111と、2台の情報処理装置112と、1台のサーバ113を図示したが、さらに多くのプリンタ、複合機、及び情報処理装置が接続されており、それらについては図示を省略している。また、サーバを複数台設けても良い。
【0098】
プリンタ110、複合機111、情報処理装置112、及びサーバ113は、ハブ114を介して媒体アクセス制御(MAC)アドレス及びIPアドレスを使用した相互通信を行っている。
このハブ114は、さらにルータ115に接続され、そのルータ115は、プリンタ110、複合機111、情報処理装置112、及びサーバ113をインターネット、ワイドエリアネットワーク(WAN)などのネットワーク116に接続している。
【0099】
ネットワーク116には、POPサーバ117が接続されており、プリンタ110、複合機111、情報処理装置112、及びサーバ113との間でSMTPプロトコルを使用した電子メールの伝送を可能としている。
なお、ネットワーク116には、ウェブサーバなどが接続されていても良い。
また、POPサーバ117は、ISPなどが提供するメールサーバであっても良く、また、社内に設置された専用メールサーバとして実装することもできる。
【0100】
複合機111は、ファクシミリ、コピー、プリンタ、ARDF(Auto Reverse Document Feeder)などの複合的な機能を提供しており、使用者からの直接指令または情報処理装置112などのジョブ要求、電話回線等の通信網から受信したファクシミリデータを処理し、画像形成を行う。
【0101】
複合機111は、プリンタ、コピー、ファクシミリなどの機能を提供するための各種機能を含み、インクジェット方式で画像を形成する画像形成装置である。
複合機111は、図12に示すように、ドキュメントを読み込んで、光学読み取りを行うための自動原稿給送装置(ARDF)201と、使用者に対して各種設定を可能とする、LCDパネルを含む操作パネル202とを含む。
ARDF201は、原稿台上にセットされた原稿(ドキュメント)を、モータ203を起動してドキュメントの光学読み取りを行うスキャナ204に送り、照射光学系、駆動モータ、CCDなどを駆動してドキュメントをデジタルデータに変換する。
【0102】
また、複合機111は、コントローラ205と、画像形成を担当するプリンタエンジン206とを備えている。
コントローラ205は、UNIX(登録商標)、LINUX(登録商標)、Windows(登録商標)200Xサーバなどのオペレーティングシステム(OS)を動作するCPU(図示省略)を含んでいる。
【0103】
さらに、コントローラ205は、上述したOSの下で、C、C++、JAVA(登録商標)、Perlなどのプログラミング言語で記述されたアプリケーションプログラムやApache、サーブレットなどのサーバプログラムを実行し、ウェブサーバの一部機能も提供する。
また、このコントローラ205が、上述の複合機111と同様に、メンテナンスの要否の判断と、メンテナンスの必要を通知するための各手段の機能を果たす。
さらに、コントローラ205は、ストレージ管理部207と、通信処理部208と、イメージ変換部209と、USB制御部214と、メーラ217を備えている。
【0104】
ストレージ管理部207は、SDRAM、ハードディスク装置などの記憶部210の入出力管理を実行する。
また、通信処理部208は、56Kbpsまたは126Kbps程度の通信レートのFAXモデム211から受信したITU−T勧告T.6などのプロトコルでデータを、ランレングス符号化、MR、MMRなどの符号化方法を使用して復号化し、また、この複合機111からのファクシミリ送信のためにデジタルデータをコードする。
また、通信処理部208は、IPプロトコル・スイートおよびTCP/IPまたはUDP/IPを使用するデータ伝送も管理する。
【0105】
通信処理部208は、コントローラ205が含むアプリケーションプログラムからのデータ伝送要求を受け付け、IPパケットまたはフレームを作成し、ネットワークインタフェースカード(NIC)212からワイヤレスLANへとデータを伝送し、また入力データをアプリケーションプログラムへと伝送する。
なお、通信処理部208は、上述した処理を実行するため、PPP(Point to Point Protocol)およびPPPoE(PPP on Ethernet)などのデータ接続プロトコルをサポートする。Ethernetは登録商標。
【0106】
イメージ変換部209は、複合機111が取得したデータを、GIF、BMP、JPEG、JPEG2000、TIFF、PNGなどのイメージデータに変換し、その変換したイメージデータを使用してPDL(Page Description Language)を作成し、作成したPDLをプリンタエンジン206に渡し、画像形成させる。
コントローラ205は、フラッシュROM213を実装し、複合機111の起動時のセットアップデータや画像形成に使用する色変換データなどを管理している。
【0107】
また、コントローラ205は、USB制御部214も含んでいて、USBコネクタ215を介してUSBホスト(図示省略)やプリンタエンジン206との間のバス接続を管理する。
なお、USB制御部214は、IEEE802.15などにより規定されるUWBプロトコルをサポートしていても良い。
さらに、複合機111は、PSU216も実装しており、その電源ユニット(Power Supply Unit:PSU)216は、その複合機111の電源管理を行っている。
【0108】
プリンタエンジン206は、プリンタ110と同様の画像形成部としての構成を備えており、インクジェット法を使用した画像形成を行っている。
また、プリンタエンジン206は、PJL(Printer Job Language)をサポートしており、外部からのプリント要求に対応した印刷を実行することができる。
【0109】
記憶部210は、複数のデータセットを管理する。そのデータセットには、例えば、送信元登録データ(SUC_ADDR:source_Address)、通知先登録データ(ACK_ADDR:Acknowledge_Address)、およびMIB(Management Information Base)がある。
送信元登録データは、使用者が予め設定し、受信したファクシミリデータの通知を受けるか否かを指定するデータであり、ファクシミリ番号のフォーマットで登録する。
また、通知先登録データは、当該使用者の通知先アドレスを登録する。
【0110】
この通知先登録データは、種々のフォーマットで登録することができ、例えば、メーラ217を使用して電子メールとして通知メッセージを送信するための電子メールアドレス、MACアドレス、IPアドレス(プライベートアドレス/サブネットマスクで規定されるローカルドメイン)、または端末名称を使用することができる。
また、通知先登録データとしてMACアドレス、IPアドレスを使用する場合、端末名称または使用者識別値と、MACアドレスまたはIPアドレスとの対応テーブルを実装することが、使用者入力の手間を省くためには好ましい。
【0111】
また、ネットワーク基盤がTCP/IPではなく、NETBIOSを使用している場合には、端末名称を使用して、端末名称とIPアドレスとMACアドレスなどを対応させて登録したルックアップテーブルなどを通知先登録データとすることができる。
MIBは、RFC1156として規定されているMIB1またはRFC1213で規定されているMIB2を使用して構成される、ネットワーク管理情報を登録するデータセットであり、図11に示したサーバ113が、管理するべき複合機111に状態をオブジェクト識別値(OID)およびそのステータスデータとして対応づけて管理する。
【0112】
なお、図11に示した情報処理装置112およびサーバ113は、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、ブレードサーバやシンサーバなどのサーバ専用の情報処理装置である。
また、その情報処理装置112は、アプリケーションソフトによる処理結果を、プリンタドライバを介してプリンタ110又は複合機111に伝送し、プリンタ110又は複合機111に対して処理結果を出力させている。
【0113】
また、サーバ113がプリンタサーバとして提供されている場合には、サーバ113は、情報処理装置112からのプリント要求を受付け、適切なプリンタ110又は複合機111にプリントジョブを指令している。
このような、ネットワークシステムにおいて、プリンタ110又は複合機111において、それぞれメンテナンスの必要があると判断した場合、例えば、印刷を要求した相手先の情報処理装置112に通知する。
【0114】
図13は、複合機111に印刷を指示してきた情報処理装置112への通知例であり、例えば、情報処理装置112へ図13に示した内容の電子メールを送信して通知する。
電子メール中には、図中矢示301で示すように「メンテナンス実施要」のメッセージを含め、使用者にプリンタの記録ヘッド24の洗浄を勧める。
また、上記第2メンテナンス処理の場合、このメッセージ中にメンテナンスの実行を強く勧める文言を含めると良い。
【0115】
このようにして、用紙の厚みに応じて記録ヘッドと用紙の記録面との間の距離を調整し、用紙に記録ヘッドからインクを吐出させて画像を形成するインクジェットプリンタ、インクジェット方式の複合機を含む画像形成装置において、そのインクジェットプリンタ又は画像形成装置が記録ヘッドにインクの付着の恐れがある条件を満たしている場合には、使用者に記録ヘッドの洗浄等のメンテナンスを勧める通知をするので、使用者が記録液吐出手段の洗浄のメンテナンスをいつ行ったらよいかを容易に判断することができ、印刷時に記録ヘッドにインクが付着することによる吐出不良を起こして印刷された画像の品質が低下すること、また、印刷のし直しによって用紙を無駄に浪費してしまうことを防止することができる。
【0116】
以上で実施形態の説明を終了するが、この発明において、各部の具体的な構成、処理の内容、データの形式等は、実施形態で説明したものに限るものではない。
また、上述の実施形態では、この発明をプリンタに適用した例について説明した。
しかし、この発明は、記録媒体に対して記録液吐出手段から記録液を吐出させて記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、記録媒体の厚みに応じて記録液吐出手段と記録媒体の記録面との間の距離を調整する調整手段の各機能を備えたものならば、ファクシミリ装置、複写機、複合機等の任意の画像形成装置に適用可能である。
また、以上説明してきた実施形態の構成は、相互に矛盾しない限り任意に組み合わせて実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0117】
1:プリンタの装置本体 2:給紙トレイ 3:排紙トレイ 4:上カバー
5:窓部材 6:装置本体の前面 7:カートリッジ装填部 8:操作表示部
9:インクカートリッジ 9k:黒のインクカートリッジ
9c:シアンのインクカートリッジ 9m:マゼンタのインクカートリッジ
9y:イエローのインクカートリッジ 10:カートリッジ装填部の前カバー
11:残量表示部 11k:黒の残量表示部 11c:シアンの残量表示部
11m:マゼンタの残量表示部 11y:イエローの残量表示部
12:電源ボタン 13:用紙送り/印刷再開ボタン 14:キャンセルボタン
15:覗き窓 16:トレイ支え部 17:リブ 18:表示器
20:フレーム 20a:フレームの左側板 20b:フレームの右側板
20c:フレームの後板 20d:ガイドロッド左固定板
20e:ガイドロッド右固定板 21:ガイドロッド 22:ステー
23:キャリッジ 24:記録ヘッド
24k:黒のインク滴を吐出する記録ヘッド
24c:シアンのインク滴を吐出する記録ヘッド
24m:マゼンタのインク滴を吐出する記録ヘッド
24y:イエローのインク滴を吐出する記録ヘッド
【0118】
25:ハーネス 26:ヘッドタンク 26k:黒のインクのヘッドタンク
26c:シアンのインクのヘッドタンク 26m:マゼンタのインクのヘッドタンク
26y:イエローのインクのヘッドタンク 27:インク供給チューブ
28:供給ポンプユニット 29:ホルダ 30:固定リブ 31:用紙積載部
32:給紙コロ 33:分離パッド 34:搬送ベルト 35:ガイド
36:カウンタローラ 37:搬送ガイド 38:押さえ部材
39:先端加圧コロ 40:帯電ローラ 41:搬送ローラ
42:テンションローラ 43:ガイド部材 44:両面給紙ユニット
45:手差し給紙部 46:維持回復機構部 47:キャップ
47a〜47d:キャップ部材 48:ワイパーブレード 49、50:空吐出受け
51:空吐出受けの開口部 52:ギャップ上昇レバー 53,56:ボルト
53a,56a:ギア 53b,56b:ねじ部 54,57:ねじ山部
55:ギャップ下降レバー 60:分離爪 61:排紙ローラ 62:排紙コロ
63:ヘッドタンク満タン検出部 80:主制御部 81:操作表示制御部
82:通信部 83:印刷制御部 84:キャリッジ駆動モータ駆動部
85:搬送モータ駆動部 86:給紙コロ駆動部
【0119】
87:維持回復機構駆動用モータ駆動部 88:インク供給モータ駆動部
89:メモリ部 90:カートリッジ通信部 91:Kカートリッジメモリ部
92:Cカートリッジメモリ部 93:Mカートリッジメモリ部
94:Yカートリッジメモリ部 95:ヘッド駆動部 96:キャリッジ駆動モータ
97:搬送モータ 98:キャリッジ位置検出部 99:搬送量検出部
100:モータ 101:カートリッジカバー開閉検出部 102:RTC
103:紙サイズ検出部 104:紙位置検出部 105:アプリケーション
106:OS 107:プリンタドライバ 110:プリンタ 111:複合機
112:情報処理装置 113:サーバ 114:ハブ 115:ルータ
116:ネットワーク 117:POPサーバ
201:自動原稿給送装置(ARDF) 202:操作パネル 203:モータ
204:スキャナ 205:コントローラ 206:プリンタエンジン
207:ストレージ管理部 208:通信処理部 209:イメージ変換部
210:記憶部 211:FAXモデム
212:ネットワークインタフェースカード(NIC) 213:フラッシュROM
214:USB制御部 215:USBコネクタ 216:電源ユニット(PSU)
217:メーラ P:用紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0120】
【特許文献1】特開2008−023730号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に対して記録液吐出手段から記録液を吐出させて前記記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記記録媒体の厚みに応じて前記記録液吐出手段と前記記録媒体の記録面との間の距離を調整する調整手段と、
所定のタイミングのときに予め設定された判定基準に基づいて前記記録液吐出手段のメンテナンスの要否を判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記記録液吐出手段のメンテナンスの要と判定されたときに通知する通知手段と、
前記判定手段によって前記記録液吐出手段のメンテナンスの要否を判定するとき、前記記録液吐出手段と前記記録媒体の記録面との間の距離が予め設定された通常距離か否かを検出する検出手段と、該検出手段によって検出された前記記録媒体の記録面との間の距離が予め設定された通常距離の場合と通常距離以外の場合とで前記判定基準をそれぞれ異ならせる手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記判定基準は、前記所定のタイミングまでに計測された印刷枚数を含むことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記判定基準は、前記所定のタイミングまでに計測された前記記録媒体の記録面との間の距離が予め設定された通常距離以外の累積時間を含むことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
当該画像形成装置の状態が予め設定された異常通知条件を満たすか否かを判断し、前記異常通知条件を満たすと判断された場合は通知する異常通知手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−103442(P2013−103442A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249787(P2011−249787)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】