説明

画像形成装置

【課題】複数個の現像手段を容易に交換できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1において、転写ベルト50は、搬送経路P1の途中に設けられ、転写面50Aを有して循環する。複数個の感光体40は、転写面50Aに対して下方から対向するように設けられ、転写面50Aと平行、かつ長手方向に並んでいる。複数個の現像手段31は、各感光体40に対応して設けられ、各感光体40に形成される潜像に現像剤を供給して現像剤像とする。ハウジング10は、各現像手段31を着脱可能に収容する第1機体11と、第1機体11の上方に設けられ、転写ベルト50及び各感光体40を収容する第2機体12とを有する。第2機体12は、第1機体11の一端部側に位置する回動軸心X1周りに回動して第1機体11に対して上方に離間することにより、各現像手段31を第1機体11から露出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の画像形成装置の例が開示されている。この画像形成装置は、シートを搬送する搬送経路が設けられたハウジングと、ハウジング内において搬送経路の途中に設けられ、転写面を有して循環する転写ベルトとを備える。転写面は、搬送されるシートの幅方向に延在し、かつ水平方向に対して僅かに傾斜する平面である。特許文献1の図1等において、転写ベルトは符号16として図示されている。
【0003】
また、この画像形成装置は、ハウジング内において転写面に対して下方から対向するように設けられ、転写面の長手方向に並ぶ4個の感光体と、ハウジング内において各感光体に対応して設けられた4個の現像手段とを備える。特許文献1の図1等において、感光体は符号28として図示され、現像手段は符号12として図示されている。
【0004】
上記構成である従来の画像形成装置では、各感光体に形成される潜像に対して、各現像手段が現像剤を供給して現像剤像とする。そして、その現像剤像が各感光体から転写面に転写される。さらに、搬送経路の途中で、搬送されるシートに対して転写面上の現像剤像が転写される。こうして、この画像形成装置は、シートに画像を形成するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−231087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来の画像形成装置において、各現像手段が交換可能であるか否かは不明である。仮に、各現像手段が交換可能であるとしても、周囲に配置された転写ベルトや感光体等の他部材と干渉し易いので、各現像手段の交換作業を容易に行えないと考えられる。そして、このような構成である上記従来の画像形成装置に対して、保守性向上のため、各現像手段を容易に交換可能とすることが求められている。
【0007】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、複数個の現像手段を容易に交換できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、シートを搬送する搬送経路が設けられたハウジングと、
前記ハウジング内において前記搬送経路の途中に設けられ、搬送される前記シートの幅方向に延在する平面である転写面を有して循環する転写ベルトと、
前記ハウジング内において前記転写面に対して下方から対向するように設けられ、前記転写面と平行であり、かつ前記幅方向と直交する長手方向に並ぶ複数個の感光体と、
前記ハウジング内において各前記感光体に対応して設けられ、各前記感光体に形成される潜像に現像剤を供給して現像剤像とする複数個の現像手段とを備える画像形成装置であって、
前記ハウジングは、各前記現像手段を着脱可能に収容する第1機体と、
前記第1機体の上方に設けられ、前記転写ベルト及び各前記感光体を収容する第2機体とを有し、
前記第2機体は、前記第1機体の一端部側に位置する回動軸心周りに回動して前記第1機体に対して上方に離間することにより、各前記現像手段を前記第1機体から露出させるように構成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の画像形成装置では、第2機体が第1機体に対して上方に回動することにより、各現像手段が第1機体から露出するとともに、各現像手段の上方に空きスペースが確保される。これにより、その空きスペースを介して、各現像手段を第1機体に対して容易に着脱できる。また、第2機体に収容された転写ベルト及び各感光体は、回動する第2機体と一体的に変位して、各現像手段に対して上方に離間する。これにより、各現像手段の着脱時に、転写ベルト及び各感光体が邪魔にならない。
【0010】
したがって、本発明の画像形成装置は、複数個の現像手段を容易に交換できる。
【0011】
本発明の画像形成装置において、各現像手段は、現像剤を収容する現像剤収容器と、現像剤収容器に収容された現像剤を感光体に移送する現像ローラとを有することが望ましい。一般的に、高速化等に対応して消耗する現像ローラは、画像形成品質を維持するために定期的に交換することが求められる。この点、上記構成によれば、現像剤収容器を着脱して現像剤を補充する際、同時に現像ローラを交換できるので、画像形成品質を維持し易い。
【0012】
本発明の画像形成装置において、第2機体には、感光体に潜像を形成する露光用LEDが設けられていることが望ましい。一般的に、露光用LEDの寿命は、現像手段の寿命より長い。この点、上記構成によれば、露光用LEDを第2機体に設けて現像手段の着脱とは無関係とすることにより、露光用LEDを第1機体に設けて現像手段とともに交換する場合と比較して、露光用LEDを長く使用でき、コストを低減し易い。
【0013】
本発明の画像形成装置において、回動軸心は、シートの幅方向に直交する略水平な方向に延びていることが望ましい。この構成によれば、第2機体が回動軸心周りに回動することにより、複数個の現像手段の全てについて、それらの上方に同じように空きスペースを確保できるので、全ての現像手段を同じように容易に着脱できる。
【0014】
本発明の画像形成装置は、上記の場合において、第2機体が回動軸心周りに回動するのに連動して、各現像手段の回動軸心から離れた端部を第1機体に対して上方に離間させるリンク機構を備えることが望ましい。この構成によれば、第2機体が回動軸心周りに回動することにより、各現像手段の回動軸心に近い端部よりも回動軸心から離れた端部の上方により大きな空きスペースが確保され、リンク機構により、各現像手段の回動軸心から離れた端部をその大きな空きスペースに変位させることができる。その結果、各現像手段を回動軸心から離れる方向に斜めに引き出すだけで、各現像手段を第1機体から容易に取り外すことができる。また、その逆の動作により、現像手段を第1機体に容易に装着することができる。その結果、この画像形成装置は、各現像手段を一層容易に交換できる。
【0015】
本発明の画像形成装置において、回動軸心はシートの幅方向に延びており、画像が形成されたシートは、一端部側から第1機体の他端部側に向かって搬送され、第2機体の上面に設けられた排出トレイに排出されることが望ましい。回動軸心とシートの排出方向とが上記構成とは異なる場合、具体的には、画像が形成されたシートが第1機体の他端部側から一端部側に向かって搬送される場合、シートが排出トレイに排出された状態で第2機体が回動すると、シートが落下し易い。この点、上記構成によれば、排出されたシートが排出トレイから落下し難い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1の画像形成装置の概略断面図である。
【図2】実施例1の画像形成装置に係り、第2機体が回動した状態を示す概略断面図である。
【図3】実施例2の画像形成装置に係り、第2機体が回動した状態を示す概略断面図である。
【図4】実施例3の画像形成装置の概略断面図である。
【図5】実施例3の画像形成装置に係り、第2機体が回動した状態を示す概略断面図である。
【図6】実施例3の画像形成装置に係り、図5の矢視A方向から見た後面図である。
【図7】実施例4の画像形成装置の概略断面図である。
【図8】実施例4の画像形成装置に係り、第2機体が回動した状態を示す概略断面図である。
【図9】実施例5の画像形成装置の概略断面図である。
【図10】実施例6の画像形成装置の概略断面図である。
【図11】実施例7の画像形成装置に係り、第2機体が回動していない状態で図5の矢視A方向と同様の方向から見た場合において、現像手段、プロセスカートリッジ支持体及びリンク機構等を抜き出して示す模式図である。
【図12】実施例7の画像形成装置に係り、第2機体が回動した状態で図5の矢視A方向と同様の方向から見た場合において、現像手段、プロセスカートリッジ支持体及びリンク機構等を抜き出して示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した実施例1〜7を図面を参照しつつ説明する。
【0018】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の画像形成装置1は、電子写真方式により、用紙やOHPシート等であるシート99に複数色の画像を形成するカラーレーザプリンタである。図1では、紙面左側を装置の前側と規定し、装置を前側から見た場合に右手に来る側である紙面手前側を右側と規定して、前後、左右及び上下の各方向を表示する。そして、図2以降の各図に示す各方向は、全て図1に示す各方向に対応させて表示する。以下、図1等に基づいて、画像形成装置1が備える各構成要素について説明する。
【0019】
<全体構成>
図1に示すように、画像形成装置1は、第1機体11と、第1機体11の上方に設けられた第2機体12とを有するハウジング10を備える。
【0020】
第1機体11は、上面側のほぼ全面が開放されてなる第1開口部11Aを有する略箱状体である。第1機体11の前端部11F側の下方には、前後方向に開口するシートカセット用開口10Bが形成されている。
【0021】
第2機体12は、下面側のほぼ全面が開放されてなる第2開口部12Aを有する略箱状体である。第2機体12の上面には、後方に向かって下り傾斜するように凹む排出トレイ10Cが設けられている。
【0022】
図1及び図2に示すように、第2機体12は、第1機体11の後端部11B側に位置する回動軸心X1周りに回動可能に第1機体11に支持されている。回動軸心X1は、第1機体11の後端部11B側の上端縁と、第2機体12の後端部12Bの下端縁との間に位置して左右方向に延びている。第1機体11の後端部11Bは、本発明の「回動軸心が位置する第1機体の一端部」の一例である。
【0023】
図1に示すように、第2機体12は、回動軸心X1周りに回動していない略水平状態では、第1機体11に対して上方から覆い被さっている。この状態では、第1開口部11Aと第2開口部12Aとが上下に重なって、ハウジング10の内部空間が形成されている。ハウジング10内には、図示しないフレーム部材が設けられている。
【0024】
その一方、図2に示すように、第2機体12は、回動軸心X1周りに回動し、その前端部12Fが第1機体11に対して上方に離間する傾斜状態となることにより、第1開口部11Aを開放する。その結果、後述する各プロセスカートリッジ31が第1機体11から第1開口部11Aを介して外部に露出することとなる。
【0025】
図2に示す第2機体12の回動姿勢は一例である。図示は省略するが、第2機体12は、図2に示す回動姿勢からさらに大きく回動可能となっている。この場合、第2機体12は、第1開口部11Aを図2に示す状態よりもさらに大きく開放できる。
【0026】
図1に示すように、第1機体11内の下方には、シートカセット21が着脱可能に設けられている。シートカセット21は、上方が開放されて、その内部に複数枚のシート99を積層状態で収容する略箱状体である。シートカセット21は、第1機体11の前端部11F側からシートカセット用開口10Bを介して略水平に挿入されることにより、ハウジング10内に装着され、その逆の動作により、ハウジング10から取り外される。
【0027】
ハウジング10内には、シートカセット21に収容されたシート99を搬送する搬送経路P1が設けられている。搬送経路P1は、シートカセット21の後端部から第1機体11の後端部11Bに向かって進んだ後、上方に向きを変える。そして、搬送経路P1は、第1機体11の後端部11B及び第2機体12の後端部12Bに沿って略垂直に進む。さらに、搬送経路P1は、第2機体12の後端部12B側の上方で、前方に向きを変えて排出トレイ10Cに至る。なお、本実施例では、搬送されるシート99の幅方向は、左右方向である。
【0028】
ハウジング10内において、シートカセット21の上方には、給紙部20、画像形成部30及び排出ローラ対29A、29B等が設けられている。
【0029】
給紙部20は、シートカセット21の後端部側に位置している。給紙部20は、第1機体11内に設けられた図示しないフレーム部材に組み付けられている。給紙部20は、シートカセット21に収容されたシート99を給紙ローラ22、分離ローラ23及び分離パッド23Aにより1枚ずつ搬送経路P1に送り出す。そして、搬送経路P1の略垂直に延びる部分の下方に配設された搬送ローラ対24A、24Bにより、シート99を上方に向けて搬送する。
【0030】
画像形成部30は、いわゆる中間転写方式のものであり、転写ベルト50と、4組の感光ドラム40、露光用LED39及びプロセスカートリッジ31と、2次転写ローラ54と、定着器55等とを有する。感光ドラム40は、本発明の「感光体」の一例である。プロセスカートリッジ31は、本発明の「現像手段」の一例である。
【0031】
転写ベルト50は、第2機体12内に収容されている。転写ベルト50は、駆動ローラ51及び従動ローラ52に巻き掛けられて循環する無限ベルトである。駆動ローラ51及び従動ローラ52は、第2機体12内に設けられた図示しないフレーム部材に軸支されている。駆動ローラ51は、図示しない駆動源から駆動力が伝達されて、第2機体12の後端部12B側において左右方向を向く回転軸周りに回転する。従動ローラ52は、第2機体12の前端部12F側において駆動ローラ51と平行な回転軸周りに従動回転する。従動ローラ52の上方かつ斜め前方には、転写ベルト50を挟んで対向するクリーニングローラ53が設けられている。
【0032】
駆動ローラ51及び従動ローラ52の回転方向、及び転写ベルト50の循環方向は、図1の紙面に向かって反時計方向である。転写ベルト50において、駆動ローラ51と従動ローラ52との間で左右方向及び前後方向に延在し、かつ下方を向く略水平な面は、転写面50Aとされている。図2に示すように、第2機体12が回動軸心X1周りに回動した場合、転写ベルト50、駆動ローラ51及び従動ローラ52は、第2機体12と一体的に変位する。
【0033】
ここで、「一体的に変位」とは、第2機体12に対して、転写ベルト50、駆動ローラ51及び従動ローラ52が単純に組み付けられている場合だけでなく、第2機体12の回動時、第2機体12に対して転写ベルト50、駆動ローラ51及び従動ローラ52が相対変位しながら、第2機体12とともに変位する場合を含むことを意味している。本実施例では、図2に示すように、第2機体12の回動時、第2機体12に対する転写ベルト50、駆動ローラ51及び従動ローラ52の相対変位が生じない組み付け構成となっている。
【0034】
図1に示すように、4組の感光ドラム40、露光用LED39及びプロセスカートリッジ31は、ブラック、イエロー、マゼンダ、シアンの4色のトナーにそれぞれ対応している。トナーは、本発明の「現像剤」の一例である。
【0035】
各感光ドラム40は、左右方向に延びる円筒体であり、第2機体12内に収容されている。各感光ドラム40は、第2機体12内に設けられた図示しないフレーム部材に組み付けられた支持体49に回転可能に支持されている。各感光ドラム40は、転写面50Aに対して下方から対向するように設けられている。各支持体49にはそれぞれ、帯電器48が組み付けられている。各帯電器48は、各感光ドラム40の表面に対して後方から対向している。
【0036】
各感光ドラム40及び支持体49は、転写面50Aに沿って前後方向に並んでいる。各感光ドラム40が並ぶ前後方向は、本発明の「転写面と平行であり、かつシートの幅方向と直交する長手方向」の一例である。各感光ドラム40及び支持体49の下方の一部は、第1機体11内にせり出している。
【0037】
各露光用LED39はそれぞれ、対応する各感光ドラム40の下方かつ斜め後方に位置するように支持体49に組み付けられている。各露光用LED39は、左右方向に一列に並ぶ多数のLED素子を各感光ドラム40の表面に対向させている。露光用LED39は、画像データに基づく露光パターンを有するライン状の光を感光ドラム40の表面に照射する。
【0038】
図2に示すように、第2機体12が回動軸心X1周りに回動した場合、各感光ドラム40、各支持体49、各帯電器48及び各露光用LED39も、転写ベルト50、駆動ローラ51及び従動ローラ52と同様に、第2機体12と一体的に変位する。ここで、「一体的に変位」とは、転写ベルト50、駆動ローラ51及び従動ローラ52に関して述べた意味と同様である。
【0039】
図1に示すように、各プロセスカートリッジ31は、第1機体11内に収容されている。各プロセスカートリッジ31は、各感光ドラム40及び支持体49の下方に位置して、転写面50Aに沿って前後方向に並んでいる。各プロセスカートリッジ31は、左右方向に延びる略箱状体であり、その内部に現像ローラ31A及びトナー収容器31B等を有する。現像ローラ31Aは、対応する感光ドラム40に対して下方かつ斜め前方に位置して、感光ドラム40の表面に当接している。トナー収容器31Bは、「現像剤収容器」の一例である。
【0040】
トナー収容器31B内のトナーは、画像形成動作の度に減少し、最終的には空になる。このため、トナー収容器31Bを定期的に交換する必要がある。また、現像ローラ31Aは、画像形成動作の度に感光ドラム40と当接したまま回転することにより消耗し易い。特に、現像ローラ31Aは、画像形成速度の高速化等に対応して消耗の度合いが大きくなる。このため、現像ローラ31Aも、画像形成品質を維持するために定期的に交換することが求められる。これに対して、露光用LED39は、各感光ドラム40に対して非接触であり、また、低電力で発光することにより、消耗が少ない。このため、露光用LED39の寿命は、プロセスカートリッジ31の寿命より長い。
【0041】
図2に示すように、各プロセスカートリッジ31は、第1機体11に対して着脱可能とされている。具体的には、第1機体11内には、プロセスカートリッジ支持体32が設けられている。図示は簡略するが、プロセスカートリッジ支持体32は、各プロセスカートリッジ31を左右方向から挟むように対向する左右一対の板状体である。プロセスカートリッジ支持体32は、第1機体11内に設けられた図示しないフレーム部材に組み付けられている。プロセスカートリッジ支持体32の上端縁には、下方に向けて溝状に切り欠かれた4個の位置決め凹部32Aが形成されている。各位置決め凹部32Aの前後方向の間隔は、各プロセスカートリッジ31の前後方向の間隔と等しくされている。各位置決め凹部32Aに対して、各現像ローラ31Aの回転軸31Cが上下方向に挿入又は離間することにより、各プロセスカートリッジ31が第1機体11に対して着脱される。
【0042】
図1に示すように、2次転写ローラ54は、駆動ローラ51に対して、転写ベルト50を挟んで後方から対向するように設けられている。2次転写ローラ54は、第2機体12内に設けられた図示しないフレーム部材に回転可能に支持されている。
【0043】
定着器55は、搬送経路P1の略垂直に延びる部分において、2次転写ローラ54より上方に設けられている。定着器55は、搬送経路P1を挟んで互いに対向する加熱ローラ55A及び加圧ローラ55Bを有する
【0044】
排出ローラ対29A、29Bは、搬送経路P1の前方に向きを変えた部分に設けられている。排出ローラ対29A、29Bは、搬送経路P1を挟んで互いに対向する状態で、排出トレイ10Cに臨んでいる。排出ローラ対29A、29Bは、第2機体12内に設けられた図示しないフレーム部材に回転可能に支持されている。
【0045】
<画像形成動作>
上記構成である画像形成装置1では、以下に述べるように、図示しない制御部からの指令により、給紙部20、画像形成部30及び排出ローラ対29A、29Bが連携動作して、シート99に画像を形成する。
【0046】
すなわち、画像形成装置1が画像形成動作を開始すると、給紙部20がシートカセット21内のシート99を1枚ずつ搬送経路P1に沿って搬送する。
【0047】
また、画像形成部30において、各感光ドラム40の表面は、その回転に伴って、帯電器48により一様に正帯電された後、各露光用LED39が照射するライン状の光により露光される。これにより、各露光用LED39は、各感光ドラム40の表面に、シート99に形成すべき画像に対応した静電潜像を形成する。
【0048】
次に、各プロセスカートリッジ31の現像ローラ31Aにより、トナー収容器31Bから各感光ドラム40の表面の静電潜像に対応する色のトナーを供給して、4色のトナー像を形成する。そして、各トナー像は、転写面50Aに各感光ドラム40が当接しつつ回転し、転写面50Aに印加された負の電圧が作用することにより、転写面50Aに転写される。
【0049】
次に、転写面50A上の各トナー像は、搬送経路P1の途中で転写ベルト50の駆動ローラ51に巻き掛けられた部分と2次転写ローラ54とにニップされながら上方に搬送されるシート99の表面に転写される。
【0050】
そして、定着器55は、各トナー像が転写されたシート99を加熱ローラ55A及び加圧ローラ55Bにより加熱加圧して、シート99に各トナー像を定着させる。その後、シート99は、排出ローラ対29A、29Bにより前方に向けて搬送されて、排出トレイ10Cに排出される。こうして、画像形成装置1は、シート99に対する画像形成動作を終了する。
【0051】
<プロセスカートリッジの交換>
この画像形成装置1では、以下のようにして、各プロセスカートリッジ31を交換することができる。すなわち、図1に示す状態の第2機体12の前端部12を上方に持ち上げて、図2に示すように、第2機体12を回動軸心X1周りに回動させる。そうすると、第2機体12が第1機体11に対して上方に離間する傾斜状態となり、第1開口部11Aを開放する。また、転写ベルト50、駆動ローラ51、従動ローラ52、各感光ドラム40、各支持体49、各帯電器48及び各露光用LED39も、第2機体12と一体的に変位して、第1機体11の第1開口部11Aに対して上方に離間する。その結果、各プロセスカートリッジ31が第1機体11から第1開口部11Aを介して外部に露出する。また、各プロセスカートリッジ31の上方に、大きな空きスペースS1が確保される。
【0052】
次に、各プロセスカートリッジ31を上方に引き上げる。これにより、現像ローラ31Aの回転軸31Cが各位置決め凹部32Aから離間し、各プロセスカートリッジ31が第1開口部11Aを介して空きスペースS1に移動する。こうして、各プロセスカートリッジ31を第1機体11から取り外すことができる。
【0053】
また、上記取り外し動作とは逆の動作により、新しいプロセスカートリッジ31を第1機体11に対して装着することができる。こうして、この画像形成装置1は、各プロセスカートリッジ31を交換できる。
【0054】
なお、図2におけるプロセスカートリッジ31は、上下方向の矢印に沿って外部に露出可能となっているが、例えば前方上側に斜めに移動させるような構成でも良い。プロセスカートリッジ31を斜めに移動させる構成においては、第2機体12を大きな角度(例えば90度)に開くことなくプロセスカートリッジ31を移動させることができる。
【0055】
<作用効果>
実施例1の画像形成装置1では、第2機体12が第1機体11に対して上方に回動することにより、各プロセスカートリッジ31が第1機体11から露出するとともに、各プロセスカートリッジ31の上方に空きスペースS1が確保される。これにより、その空きスペースS1を介して、各プロセスカートリッジ31を第1機体11に対して容易に着脱できる。また、第2機体12に収容された転写ベルト50及び各感光ドラム40等は、回動する第2機体12と一体的に変位して、各プロセスカートリッジ31に対して上方に離間する。これにより、各プロセスカートリッジ31の着脱時に、転写ベルト50及び各感光ドラム40等が邪魔にならない。
【0056】
したがって、実施例1の画像形成装置1は、4個のプロセスカートリッジ31を容易に交換できる。
【0057】
また、この画像形成装置1において、高速化等に対応して消耗する現像ローラ31Aは、画像形成品質を維持するために定期的に交換することが求められる。この点、この画像形成装置1によれば、各プロセスカートリッジ31がトナー収容器31Bと現像ローラ31Aとを有することにより、各プロセスカートリッジ31を着脱して各トナー収容器31Bにトナーを補充する際、同時に各現像ローラ31Aを交換できるので、画像形成品質を維持し易い。
【0058】
さらに、この画像形成装置1において、露光用LED39の寿命は、プロセスカートリッジ31の寿命より長い。この点、この画像形成装置1によれば、第2機体12側の支持体49に露光用LED39を設けたことにより、露光用LED39がプロセスカートリッジ31の着脱とは無関係となっているので、露光用LED39を第1機体11に設けてプロセスカートリッジ31とともに交換する場合と比較して、露光用LED39を長く使用でき、コストを低減し易い。
【0059】
また、この画像形成装置1において、回動軸心X1は、搬送されるシート99の幅方向である左右方向に延びている。そして、画像が形成されたシート99は、第1機体11の後端部(一端部)11B側から第1機体11の前端部11F(他端部)側、すなわち、後方から前方に向かって搬送される。そして、そのシート99は、第2機体12の上面において、後方に向かって下り傾斜するように凹む排出トレイ10Cに排出される。この構成により、図2に示すように、シート99が排出トレイ10Cに排出された状態で第2機体12が回動する場合でも、シート99が落下し難い。
【0060】
(実施例2)
図3に示すように、実施例2の画像形成装置2は、実施例1の画像形成装置1における回動軸心X1の位置を変更した回動軸心X2を採用している。実施例2の画像形成装置2のその他の構成は、実施例1の画像形成装置1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0061】
実施例2の画像形成装置2において、第2機体12は、第1機体11の前端部11F側に位置する回動軸心X2周りに回動可能に第1機体11に支持されている。回動軸心X2は、第1機体11の前端部11F側の上端縁と、第2機体12の前端部12Fの下端縁との間に位置して左右方向に延びている。
【0062】
図示は省略するが、第2機体12は、回動軸心X2周りに回動していない略水平状態では、第1機体11に対して上方から覆い被さっている。この略水平状態は、図1に示す実施例1の画像形成装置1における第2機体12の略水平状態と同じである。
【0063】
その一方、図3に示すように、第2機体12は、回動軸心X2周りに回動し、その後端部12Bが第1機体11に対して上方に離間する傾斜状態となることにより、第1開口部11Aを開放する。その結果、各プロセスカートリッジ31が第1機体11から第1開口部11Aを介して外部に露出する。また、各プロセスカートリッジ31の上方に、大きな空きスペースS2が確保される。これにより、空きスペースS2を介して、各プロセスカートリッジ31を第1機体11に対して容易に着脱できる。また、各プロセスカートリッジ31の着脱時に、第2機体12とともに上方に離間した転写ベルト50及び各感光ドラム40等が邪魔にならない。
【0064】
したがって、実施例2の画像形成装置2も、実施例1の画像形成装置1と同様の作用効果を奏することができる。
【0065】
また、実施例2におけるプロセスカートリッジ31は、上下方向の矢印に沿って外部に露出可能となっているが、例えば後方上側に斜めに移動させるような構成でも良い。
【0066】
(実施例3)
図4〜図6に示すように、実施例3の画像形成装置3は、実施例1の画像形成装置1における転写面50Aを後方に向かって下り傾斜するように変更している。また、実施例3の画像形成装置3は、実施例1の画像形成装置1における回動軸心X1の位置を変更した回動軸心X3を採用している。実施例3の画像形成装置3のその他の構成は、実施例1の画像形成装置1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0067】
図4に示すように、実施例3の画像形成装置3において、従動ローラ52は、駆動ローラ51に対して上方に位置している。これにより、転写面50Aは前方から後方に向かって下り傾斜している。本発明の「転写面と平行であり、かつシートの幅方向と直交する長手方向」は、実施例3では、図4に示す方向D3である。転写面50Aの傾斜に伴い、実施例3では、各感光ドラム40、各支持体49、各帯電器48、各露光用LED39、各プロセスカートリッジ31及びプロセスカートリッジ支持体32も、長手方向D1に沿うように傾斜している。
【0068】
図5及び図6に示すように、第2機体12は、第1機体11の左端部11L側に位置する回動軸心X3周りに回動可能に第1機体11に支持されている。回動軸心X3は、第1機体11の左端部11L側の上端縁と、第2機体12の左端部12Lの下端縁との間に位置して前後方向に略水平に延びている。回動軸心X3が延びる前後方向は、本発明の「シートの幅方向に直交する略水平な方向」の一例である。
【0069】
図4に示すように、第2機体12は、回動軸心X3周りに回動していない略水平状態では、第1機体11に対して上方から覆い被さっている。
【0070】
その一方、図5及び図6に示すように、第2機体12は、回動軸心X3周りに回動し、その右端部12Rが第1機体11に対して上方に離間する傾斜状態となることにより、第1開口部11Aを開放する。その結果、各プロセスカートリッジ31が第1機体11から第1開口部11Aを介して外部に露出する。また、各プロセスカートリッジ31の上方に、大きな空きスペースS3が確保される。これにより、空きスペースS3を介して、各プロセスカートリッジ31を第1機体11に対して容易に着脱できる。また、各プロセスカートリッジ31の着脱時に、第2機体12とともに上方に離間した転写ベルト50及び各感光ドラム40等が邪魔にならない。
【0071】
したがって、実施例3の画像形成装置3も、実施例1、2の画像形成装置1、2と同様の作用効果を奏することができる。
【0072】
また、この画像形成装置3において、回動軸心X3は、シート99の幅方向に直交する略水平な方向、すなわち、前後方向に延びている。この構成により、長手方向D1に沿って並ぶ4個のプロセスカートリッジ31の全てについて、それらの上方に同じように空きスペースS3を確保できる。このため、図6に矢印A1で示すように、全てのプロセスカートリッジ31について、右端側を先に持ち上げた後、さらに右方かつ斜め上方に引き出すことにより、第1機体11から同じように容易に取り外すことができる。また、上記取り外し動作とは逆の装着動作により、全てのプロセスカートリッジ31について、第1機体11に対して同じように容易に装着することができる。
【0073】
(実施例4)
図7及び図8に示すように、実施例4の画像形成装置4は、実施例1の画像形成装置1における露光用LED39の代わりに、スキャナ部439を採用し、それに伴って、実施例1の画像形成装置1における支持体49及びトナー収容部31Bの形状を変更した支持体449及びトナー収容部431Bを採用している。実施例4の画像形成装置4のその他の構成は、実施例1の画像形成装置1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0074】
図7に示すように、実施例4の画像形成装置4において、スキャナ部439は、第1機体11内に収容されている。スキャナ部439は、各プロセスカートリッジ31の下方、かつ、シートカセット21の上方に位置している。スキャナ部439は、第1機体11内に設けられた図示しないフレーム部材に組み付けられている。
【0075】
スキャナ部39は、レーザ光源、ポリゴンミラー、fθレンズ及び反射鏡等から構成されており、下方からレーザビームを各感光ドラム40に照射する。
【0076】
支持体449は、露光用LED39を無くしたことにより、実施例1の支持体49において感光体40に対して後方かつ斜め下方に位置していた部分が取り除かれており、スキャナ部39が各感光ドラム40に照射するレーザビームを遮らないようになっている。支持体449のその他の構成は、実施例1の支持体49と同一である。
【0077】
トナー収容部431Bは、実施例1のトナー収容部31Bと比較して、前方にずれており、スキャナ部39が各感光ドラム40に照射するレーザビームを遮らないようになっている。トナー収容部431Bのその他の構成は、実施例1のトナー収容部31Bと同一である。
【0078】
この画像形成装置4では、図8に示すように、第2機体12が回動軸心X1周りに回動して、第1機体11に対して上方に離間する傾斜状態となると、転写ベルト50、駆動ローラ51、従動ローラ52、各感光ドラム40、各支持体449及び各帯電器48も、第2機体12と一体的に変位して、第1機体11の第1開口部11Aに対して上方に離間する。これにより、空きスペースS4を介して、各プロセスカートリッジ31を第1機体11に対して容易に着脱できる。また、各プロセスカートリッジ31の着脱時に、第1機体11内において各プロセスカートリッジ31の下方に位置するスキャナ部439や、第2機体12とともに上方に離間した転写ベルト50及び各感光ドラム40及び各支持体449等が邪魔にならない。
【0079】
したがって、実施例4の画像形成装置4も、実施例1〜3の画像形成装置1〜3と同様の作用効果を奏することができる。
【0080】
また、実施例4におけるプロセスカートリッジ31は、上下方向の矢印に沿って外部に露出可能となっているが、例えば前方上側に斜めに移動させるような構成でも良い。
【0081】
(実施例5)
実施例1〜4の画像形成装置1〜4は、中間転写方式により画像形成を行うものであるのに対して、図9に示すように、実施例5の画像形成装置5は、直接転写方式により画像形成を行うものである。実施例5の画像形成装置5は、実施例1の画像形成装置1における搬送経路P1の代わりに、搬送経路P5を採用し、それに伴って、実施例1の画像形成装置1における給紙部20の位置を変更し、また、実施例1の画像形成装置1における2次転写ローラ54を取り除いている。実施例5の画像形成装置5のその他の構成は、実施例1の画像形成装置1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0082】
実施例5の画像形成装置5において、搬送経路P5は、シートカセット21の前端部から第1機体11の前端部11Fに向かって進んだ後、上方に向きを変える。そして、搬送経路P5は、第1機体11の前端部11F及び第2機体12の前端部12Fに沿って略垂直に進む。さらに、搬送経路P5は、転写面50Aの直下で後方に向きを変え、略水平な転写面50Aと各感光ドラム40とに挟まれながら、後方に進む。その後、搬送経路P5は、第2機体12の後端部12B側の上方で、前方に向きを変えて排出トレイ10Cに至る。
【0083】
実施例5では、給紙部20は、シートカセット21の前端部側に位置が変更されている。そして、給紙ローラ22、分離ローラ23、分離パッド23A及び搬送ローラ対24A、24Bは、搬送経路P5に沿うように位置が変更されている。
【0084】
給紙部20は、シートカセット21に収容されたシート99を1枚ずつ搬送経路P5に沿って、転写面50Aまで搬送する。転写面50Aまで搬送されたシートは、転写面50Aに吸着されながら搬送経路P5の略水平部分に沿って後方に搬送される。この際、各感光ドラム40がシート99に当接しつつ回転し、各感光ドラム40の表面に形成されたトナー像をシート99に転写する。そして、そのシート99は、定着器55によりトナー像が定着された後、排出ローラ29A、29Bにより排出トレイ10Cに排出される。こうして、画像形成装置5は、直接転写方式により、シート99に画像を形成することができる。
【0085】
図示は省略するが、この画像形成装置5では、図2に示す実施例1の画像形成装置1と同様に、第2機体12が回動軸心X1周りに回動して第1開口部11Aを開放する。これに伴って、第2機体12に収容された転写ベルト50及び各感光ドラム40等は、回動する第2機体12と一体的に変位して、各プロセスカートリッジ31に対して上方に離間する。その後の各プロセスカートリッジ31の着脱作業も、実施施例1の画像形成装置1と同様に実施できる。
【0086】
したがって、実施例5の画像形成装置5も、実施例1〜4の画像形成装置1〜4と同様の作用効果を奏することができる。
【0087】
(実施例6)
図10に示すように、実施例6の画像形成装置6は、実施例5の画像形成装置5と同様に、直接転写方式により画像形成を行うものである。実施例6の画像形成装置6は、実施例1の画像形成装置1における搬送経路P1及び第2機体12の代わりに、搬送経路P6及び第2機体612を採用し、それに伴って、実施例1の画像形成装置1における2次転写ローラ54を取り除き、また、定着器55及び排出ローラ対29A、29Bの位置と、転写ベルト50の循環方向とを変更している。実施例6の画像形成装置6のその他の構成は、実施例1の画像形成装置1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0088】
実施例6の画像形成装置6において、第2機体612は、実施例1の第2機体12から排出トレイ10Cを無くし、その代わりに、前端部612Fに、開閉式の排出トレイ610Cを設けている。図10に示すように、排出トレイ610Cが前端部612Fから前方に略水平に延びる状態では、その上方を向く面に排出されるシート99が載置される。
【0089】
第2機体612は、第1機体11の後端部11B側に位置する回動軸心X6周りに回動可能に第1機体11に支持されている。回動軸心X6は、第1機体11の後端部11B側の上端縁と、第2機体612の後端部612Bの下端縁との間に位置して左右方向に延びている。
【0090】
搬送経路P6は、シートカセット21の後端部から第1機体11の後端部11Bに向かって進んだ後、上方に向きを変える。そして、搬送経路P6は、第1機体11の後端部11B及び第2機体612の後端部612Bに沿って略垂直に進む。さらに、搬送経路P6は、転写面50Aの直下で前方に向きを変え、略水平な転写面50Aと各感光ドラム40とに挟まれながら、前方に略水平に進んで、排出トレイ610Cに至る。
【0091】
定着器55は、搬送経路P6の略水平部分において、転写面50より下流側に位置が変更されている。排出ローラ対29A、29Bは、搬送経路P6の略水平部分において、定着器55より下流側に位置が変更されて、排出トレイ610Cに臨んでいる。
【0092】
実施例6では、駆動ローラ51の位置が第2機体612の前端部612F側に変更され、従動ローラ52の位置が第2機体612の後端部612B側に変更されている。そして、駆動ローラ51及び従動ローラ52の回転方向及び転写ベルト50の循環方向は、図10の紙面に向かって時計方向に変更されている。
【0093】
給紙部20は、シートカセット21に収容されたシート99を1枚ずつ搬送経路P6に沿って、転写面50Aまで搬送する。転写面50Aまで搬送されたシートは、転写面50Aに吸着されながら搬送経路P6の略水平部分に沿って前方に搬送される。この際、各感光ドラム40がシート99に当接しつつ回転し、各感光ドラム40の表面に形成されたトナー像をシート99に転写する。そして、そのシート99は、定着器55によりトナー像が定着された後、排出ローラ29A、29Bにより排出トレイ610Cに排出される。こうして、画像形成装置6は、直接転写方式により、シート99に画像を形成することができる。
【0094】
第2機体612は、回動軸心X6周りに回動していない略水平状態では、第1機体11に対して上方から覆い被さっている。この状態では、第1開口部11Aと第2開口部612Aとが上下に重なっている。
【0095】
図示は省略するが、この画像形成装置6では、図2に示す実施例1の画像形成装置1と同様に、第2機体612が回動軸心X6周りに回動して第1開口部11Aを開放する。これに伴って、第2機体612に収容された転写ベルト50及び各感光ドラム40等は、回動する第2機体612と一体的に変位して、各プロセスカートリッジ31に対して上方に離間する。その後の各プロセスカートリッジ31の着脱作業も、実施施例1の画像形成装置1と同様に実施できる。
【0096】
したがって、実施例6の画像形成装置6も、実施例1〜5の画像形成装置1〜5と同様の作用効果を奏することができる。
【0097】
(実施例7)
図11及び図12に示すように、実施例7の画像形成装置7は、実施例3の画像形成装置3に、リンク機構700を追加したものである。実施例7の画像形成装置7のその他の構成は、実施例3の画像形成装置3と同様である。このため、実施例3と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。特に、図11及び図12では、各プロセスカートリッジ31、プロセスカートリッジ支持体32及びリンク機構700以外の構成要素について、できる限り図示を省略している。
【0098】
図11に示すように、実施例7の画像形成装置7において、リンク機構700は、第2機体12内に設けられた入力部701と、第1機体11内に設けられたリフトアップ部702と、入力部701及びリフトアップ部702を連結する伝達部703とを有する。
【0099】
入力部701は、前後方向、すなわち、図11の紙面手前側から紙面奥側に向かう方向に短く延びる円柱軸体であり、第2機体12内に設けられた図示しないフレーム部材に固定されている。
【0100】
リフトアップ部702は、各プロセスカートリッジ31の下方に位置して、前後方向、すなわち、図11の紙面手前側から紙面奥側に向かう方向に略平板状に延びている。また、リフトアップ部702は、プロセスカートリッジ支持体32によって左右から挟まれている。
【0101】
リフトアップ部702の前端縁及び後端縁において、回動軸心X3に近い角部には、回動軸心X3に接近するように左斜め上方に突出する前後一対のアーム部702Aが形成されている。図11では、前方、すなわち、紙面手前側に位置する一方のアーム部702Aのみを図示しているが、後方、すなわち、紙面奥側に位置する他方のアーム部702Aも同一形状である。
【0102】
リフトアップ部702は、前後一対のアーム部702Aが第1機体11内に設けられた図示しないフレーム部材に回動可能に支持されることにより、回動軸心X3と平行な回動軸心X77周りに回動可能となっている。
【0103】
伝達部703は、上下方向に延びる棒状体である。伝達部703の下端側は、リフトアップ部702に連結されている。伝達部703の上端側には、上下方向に延びる長穴703Aが形成させている。長穴703Aの下方には、入力部701が挿入されている。
【0104】
このような構成である実施例7の画像形成装置1では、図12に示すように、第2機体12が回動軸心X3周りに回動することにより、各プロセスカートリッジ31の上方に、大きな空きスペースS3が確保される。この際、各プロセスカートリッジ31の回動軸心X3に近い左端部よりも回動軸心X3から離れた右端部の上方により大きな空きスペースが確保される。
【0105】
また、リンク機構700は、以下のように、第2機体12の回動に連動する。すなわち、入力部701は、図11に示す位置から第2機体12とともに回動軸心X3周りに回動して、図12に示すように上方かつ左方に変位する。この際、入力部701は、伝達部703の長穴703A内を下方から上方に摺動した後、長穴703Aの上端部に当接して、伝達部703を引き上げる。そうすると、伝達部703の変位がリフトアップ部702に伝達され、リフトアップ部702が回動軸心X77周りに上方に回動する。これにより、リフトアップ部702は、右方に向かって上り傾斜する状態となって、各プロセスカートリッジ31の回動軸心X3から離れた右端部を第1機体11に対して上方に離間させる。こうして、リンク機構700は、各プロセスカートリッジ31の回動軸心X3から離れた右端部をその大きな空きスペースS3に変位させることができる。その結果、傾斜した状態の各プロセスカートリッジ31を回動軸心X3から離れるように前方かつ斜め上方に引き出すだけで、各プロセスカートリッジ31を第1機体11から容易に取り外すことができる。また、その逆の動作により、各プロセスカートリッジ31を第1機体11に容易に装着することができる。その結果、この画像形成装置7は、4個のプロセスカートリッジ31を一層容易に交換できる。
【0106】
以上において、本発明を実施例1〜7に即して説明したが、本発明は上記実施例1〜7に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0107】
例えば、実施例1等において、帯電器48及び露光用LED39は支持体49に組み付けられていたが、この構成には限定されない。具体的には、帯電器48及び露光用LED39の少なくとも一方がプロセスカートリッジ31に組み付けられていてもよい。
【0108】
実施例1等において、プロセスカートリッジ31は、上下方向の矢印に沿って外部に露出可能となっているが、この構成に限定されない。例えば、プロセスカートリッジ31を斜め上方向に傾斜するように移動させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、画像形成装置及び複合機等に利用可能である。
【符号の説明】
【0110】
1、2、3、4、5、6、7…画像形成装置
99…シート、P1、P5、P6…搬送経路、10C、610C…排出トレイ
10…ハウジング、11…第1機体、12、612…第2機体
X1、X2、X3、X6…回動軸心、50…転写ベルト、50A…転写面
40…感光体(感光ドラム)、39…露光用LED
31…現像手段(プロセスカートリッジ)
31A…現像ローラ、31B、431B…現像剤収容器(トナー収容器)
700…リンク機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する搬送経路が設けられたハウジングと、
前記ハウジング内において前記搬送経路の途中に設けられ、搬送される前記シートの幅方向に延在する平面である転写面を有して循環する転写ベルトと、
前記ハウジング内において前記転写面に対して下方から対向するように設けられ、前記転写面と平行であり、かつ前記幅方向と直交する長手方向に並ぶ複数個の感光体と、
前記ハウジング内において各前記感光体に対応して設けられ、各前記感光体に形成される潜像に現像剤を供給して現像剤像とする複数個の現像手段とを備える画像形成装置であって、
前記ハウジングは、各前記現像手段を着脱可能に収容する第1機体と、
前記第1機体の上方に設けられ、前記転写ベルト及び各前記感光体を収容する第2機体とを有し、
前記第2機体は、前記第1機体の一端部側に位置する回動軸心周りに回動して前記第1機体に対して上方に離間することにより、各前記現像手段を前記第1機体から露出させるように構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
各前記現像手段は、前記現像剤を収容する現像剤収容器と、前記現像剤収容器に収容された前記現像剤を前記感光体に移送する現像ローラとを有する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2機体には、前記感光体に前記潜像を形成する露光用LEDが設けられている請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記回動軸心は、前記シートの幅方向に直交する略水平な方向に延びている請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2機体が前記回動軸心周りに回動するのに連動して、各前記現像手段の前記回動軸心から離れた端部を前記第1機体に対して上方に離間させるリンク機構を備える請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記回動軸心は前記シートの幅方向に延びており、
画像が形成された前記シートは、前記一端部側から前記第1機体の他端部側に向かって搬送され、前記第2機体の上面に設けられた排出トレイに排出される請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−105039(P2013−105039A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248960(P2011−248960)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】