説明

画像形成装置

【課題】感光体とグリッド電極とを高精度で位置決めする。
【解決手段】円筒状の感光体62およびその両端に配置されて感光体62を回転自在に支持するハウジング90、91を備えた潜像形成部と、感光体62に電荷を供給するチャージワイヤ102A、102B、および感光体62の電位を制御するグリッド電極104を備え、感光体62の外周面を帯電させる帯電ユニット100と、潜像形成部および帯電ユニット100にそれぞれ形成され、相互に嵌り合って潜像形成部と帯電ユニット100とを接続する挿入孔90A、91Aおよび突起部170、171と、潜像形成部と帯電ユニット100との間に配置され、潜像形成部と帯電ユニット100とを相互に離間する方向に付勢するバネ部材172、173とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
像保持体に潜像を形成し、その潜像にトナーを供給してトナー像を形成する画像形成装置においては、帯電手段によって像保持体の外周面を帯電させている。
【0003】
このような帯電手段は、像保持体に電荷を供給するチャージワイヤ(放電電極の一例)と、像保持体の電位を制御するグリッド電極(制御電極の一例)を備えている。そして、像保持体の帯電速度を向上させるために、グリッド電極を像保持体に沿って湾曲させた湾曲形状のものがある。
【0004】
なお、帯電手段に関する技術としては、例えば特開2008−262114公報に記載されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−262114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、像保持体と制御電極とを高精度で位置決めすることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の画像形成装置は、円筒状の潜像保持体、および当該潜像保持体の両端に配置されて前記潜像保持体を回転自在に支持する支持部材を備えた潜像形成部と、放電によって前記潜像保持体に電荷を供給する放電電極、および前記放電電極と前記潜像保持体との間に配置されて前記潜像保持体の電位を制御する制御電極を備え、前記潜像保持体の外周面を予め設定された電位に帯電させる帯電手段と、前記潜像形成部および前記帯電手段にそれぞれ形成され、相互に嵌り合って前記潜像形成部と前記帯電手段とを接続する潜像形成部側接続部および帯電手段側接続部と、前記潜像形成部と前記帯電手段との間に配置され、前記潜像形成部と前記帯電手段とを相互に離間する方向に付勢する付勢手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の本発明の画像形成装置は、請求項1記載の発明において、前記潜像形成部側接続部および前記帯電手段側接続部ならびに前記付勢手段は、前記帯電手段の長手方向の両端側にそれぞれ設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、本発明を採用しない場合に比較して、像保持体と制御電極とを高精度で位置決めすることができる。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、本発明を採用しない場合に比較して、一方と他方の潜像形成部側接続部と帯電手段側接続部突起部とが嵌り合った部位にバランス良く付勢部材による付勢力が作用する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像形成ユニットの構成図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る感光体周りの構成を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る感光体および帯電ユニットを示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るグリッド電極の形状を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るグリッド電極における長手方向の一方端側の形状を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るグリッド電極における長手方向の他方端側の形状を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る帯電ユニットを示す斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る感光体および帯電ユニットの一方側の要部を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る感光体および帯電ユニットの他方側の要部を示す斜視図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る潜像形成部と帯電ユニットとの関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0013】
図1には、本発明の一実施の形態としての画像形成装置10が示されている。
【0014】
図示する画像形成装置10は、上下方向(矢印V方向)の下側から上側へ向けて、記録用紙Pが収容される用紙収容部12と、用紙収容部12の上に設けられ用紙収容部12から供給される記録用紙Pに画像形成を行う画像形成部14と、画像形成部14の上に設けられ読取原稿Gを読み取る原稿読取部16と、画像形成部14内に設けられ画像形成装置10の各部の動作を制御する制御部20と、を含んで構成されている。なお、以後の説明では、画像形成装置10の装置本体10Aの上下方向を矢印V方向、左右(水平)方向を矢印H方向、奥行き(水平)方向を矢印+D方向と記載する。
【0015】
用紙収容部12は、記録媒体の一例としてのサイズの異なる記録用紙Pが収容される第1収容部22、第2収容部24および第3収容部26が設けられている。第1収容部22、第2収容部24および第3収容部26には、収容された記録用紙Pを画像形成装置10内に設けられた搬送路28に送り出す送り出しロール32が設けられており、搬送路28における送り出しロール32よりも下流側には、記録用紙Pを一枚ずつ搬送するそれぞれ一対の搬送ロール34および搬送ロール36が設けられている。また、搬送路28における記録用紙Pの搬送方向で搬送ロール36よりも下流側には、記録用紙Pを一端停止させるとともに、決められたタイミングで後述する二次転写位置へ送り出す位置合せロール38が設けられている。
【0016】
搬送路28の上流側部分は、画像形成装置10の正面視において、矢印V方向に向けて用紙収容部12の左側から画像形成部14の左側下部まで直線状に設けられている。また、搬送路28の下流側部分は、画像形成部14の左側下部から画像形成部14の右側面に設けられた排紙部15まで設けられている。さらに、搬送路28には、記録用紙Pの両面に画像形成を行うために記録用紙Pが搬送および反転される両面搬送路29が接続されている。
【0017】
両面搬送路29は、画像形成装置10の正面視において、搬送路28と両面搬送路29の切り替えが行われる第1切替部材31と、画像形成部14の右側下部から用紙収容部12の右側まで矢印−V方向(図示の下方向)に直線状に設けられた反転部33と、反転部33に搬送された記録用紙Pの後端が進入するとともに矢印H方向(図示の左方向)に搬送される搬送部37と、反転部33と搬送部37の切り替えが行われる第2切替部材35と、を有している。そして、反転部33には一対の搬送ロール42が間隔をあけて複数箇所に設けられており、搬送部37には一対の搬送ロール44が間隔をあけて複数箇所に設けられている。
【0018】
第1切替部材31は三角柱状の部材であり、図示しない駆動手段によって先端部が搬送路28または両面搬送路29のいずれか一方に移動されることで、記録用紙Pの搬送方向を切り替えるようになっている。同様に、第2切替部材35は正面視で三角柱状の部材であり、図示しない駆動手段によって先端部が反転部33または搬送部37のいずれか一方に移動されることで、記録用紙Pの搬送方向を切り替えるようになっている。なお、搬送部37の下流側端部は、搬送路28の上流側部分にある搬送ロール36の手前側に案内部材(図示省略)により接続されている。また、画像形成部14の左側面には、折り畳み式の手差給紙部46が設けられており、手差給紙部46から搬送路28の位置合せロール38の手前までが接続されている。
【0019】
原稿読取部16は、読取原稿Gを1枚ずつ自動で搬送する原稿搬送装置52と、原稿搬送装置52の下側に配置され1枚の読取原稿Gが載せられるプラテンガラス54と、原稿搬送装置52によって搬送された読取原稿Gまたはプラテンガラス54に載せられた読取原稿Gを読み取る原稿読取装置56とが設けられている。
【0020】
原稿搬送装置52は、一対の搬送ロール53が複数配置された自動搬送路55を有しており、自動搬送路55の一部は、読取原稿Gがプラテンガラス54上を通るように配置されている。また、原稿読取装置56は、プラテンガラス54の左端部に静止した状態で原稿搬送装置52によって搬送された読取原稿Gを読み取り、または矢印H方向に移動しながらプラテンガラス54に載せられた読取原稿Gを読み取るようになっている。
【0021】
一方、画像形成部14は、装置本体10Aの中央に潜像保持体の一例としての円筒状の感光体62が設けられている。感光体62は、図示しない駆動手段によって矢印+R方向(図示の時計回り)に回転するとともに、光照射によって形成される静電潜像を保持するようになっている。また、感光体62の上方で且つ感光体62の外周面と対向する位置には、感光体62の表面を帯電する帯電手段の一例としてのスコロトロン方式の帯電ユニット100が設けられている。なお、帯電ユニット100の詳細については後述する。
【0022】
図2に示すように、感光体62の回転方向における帯電ユニット100よりも下流側で且つ感光体62の外周面と対向する位置には、露光装置66が設けられている。露光装置66は、LED(LightEmittingDiode)で構成されており、帯電ユニット100により帯電した感光体62の外周面に、各トナー色に対応した画像信号に基づき光を照射(露光)して、静電潜像を形成するようになっている。なお、露光装置66はLED方式に限らず、例えば、レーザ光をポリゴンミラーで走査するものであってもよい。
【0023】
感光体62の回転方向で露光装置66の露光光が照射される部位よりも下流側には、感光体62の外周面に形成された静電潜像を決められた色のトナーで現像して可視化させる現像手段の一例としての回転切り替え式の現像装置70が設けられている。
【0024】
感光体62の回転方向で現像装置70よりも下流側であり且つ感光体62の下側には、感光体62の外周面に形成されたトナー画像が転写される中間転写ベルト68が設けられている。中間転写ベルト68は、無端状であり、制御部20により回転駆動される駆動ロール61、中間転写ベルト68に張力を付与するための張力付与ロール63、中間転写ベルト68の裏面に接触して従動回転する複数の搬送ロール65、および後述する二次転写位置において中間転写ベルト68の裏面に接触して従動回転する補助ロール69に巻き掛けられている。そして、中間転写ベルト68は、駆動ロール61が回転することにより、矢印−R方向(図示の反時計回り)に周回移動するようになっている。
【0025】
また、中間転写ベルト68を挟んで感光体62の反対側には、感光体62の外周面に形成されたトナー画像を中間転写ベルト68に一次転写させる一次転写ロール67が設けられている。一次転写ロール67は、感光体62と中間転写ベルト68とが接触する位置から中間転写ベルト68の移動方向下流側に離れた位置で、中間転写ベルト68の裏面に接触している。そして、一次転写ロール67は、図示しない電源から通電されることにより、接地されている感光体62との電位差で感光体62のトナー画像を中間転写ベルト68に一次転写するようになっている。
【0026】
さらに、中間転写ベルト68を挟んで補助ロール69の反対側には、中間転写ベルト68上に一次転写されたトナー画像を記録用紙Pに二次転写させる転写手段の一例としての二次転写ロール71が設けられており、二次転写ロール71と補助ロール69との間が記録用紙Pへトナー画像を転写する二次転写位置(図2の位置Q)とされている。二次転写ロール71は、中間転写ベルト68の表面に接触している。そして、二次転写ロール71は、図示しない電源から通電されることにより、接地されている補助ロール69との電位差で中間転写ベルト68のトナー画像を記録用紙Pに二次転写するようになっている。
【0027】
また、中間転写ベルト68を挟んで駆動ロール61の反対側には、中間転写ベルト68の二次転写後の残留トナーを回収するクリーニング装置85が設けられている。さらに、中間転写ベルト68の周囲で張力付与ロール63と対向する位置には、中間転写ベルト68の表面に付されたマーク(図示省略)を検知することで中間転写ベルト68上の予め定めた基準位置を検出し、画像形成処理の開始タイミングの基準となる位置検出信号を出力する位置検出センサ83が設けられている。
【0028】
感光体62の回転方向で一次転写ロール67よりも下流側には、中間転写ベルト68に一次転写されずに感光体62の表面に残留した残留トナー等を清掃するクリーニング装置73が設けられている。クリーニング装置73は、感光体62の表面に接触するクリーニングブレード87およびブラシロール89(図2参照)により残留トナー等を回収する構成となっている。
【0029】
また、感光体62の回転方向でクリーニング装置73の上流側(一次転写ロール67よりも下流側)には、感光体62の外周面に光を照射して除電を行う除電装置86(図2参照)が設けられている。除電装置86は、クリーニング装置73による残留トナー等の回収前に感光体62の外周面に光を照射して除電することで静電気による付着力を低減し、残留トナー等の回収率を高めるためのものである。さらに、クリーニング装置73の下流側で且つ帯電ユニット100の上流側には、残留トナー等の回収後の除電手段である除電ランプ75が設けられている。
【0030】
二次転写ロール71によるトナー画像の二次転写位置は、前述の搬送路28の途中に設定されており、搬送路28における記録用紙Pの搬送方向(矢印Aで図示)で二次転写ロール71よりも下流側には、二次転写ロール71によってトナー画像が転写された記録用紙Pにトナー画像を定着させる定着装置80が設けられている。
【0031】
定着装置80は、記録用紙Pのトナー画像面側(上側)に配置され、通電により発熱する熱源を有する加熱ロール82と、加熱ロール82の下側に配置され記録用紙Pを加熱ロール82の外周面に向けて加圧する加圧ロール84とを含んで構成されている。なお、搬送路28における記録用紙Pの搬送方向で定着装置80よりも下流側には、排紙部15または反転部33へ向けて記録用紙Pを搬送する搬送ロール39が設けられている。
【0032】
一方、原稿読取装置56の下側で現像装置70よりも上側には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各トナーを収容するトナーカートリッジ78Y、78M、78C、78K、78E、78Fが矢印H方向に並んで交換可能に設けられている。第1特別色Eおよび第2特別色Fは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の特別色(透明を含む)から選択され、または選択されないようになっている。
【0033】
現像装置70では、第1特別色Eおよび第2特別色Fが選択された場合は、Y、M、C、K、E、Fの6色での画像形成を行い、第1特別色Eおよび第2特別色Fが選択されない場合は、Y、M、C、Kの4色での画像形成を行うようになっている。なお、本実施の形態では、一例として、Y、M、C、Kの4色で画像形成を行い、第1特別色Eおよび第2特別色Fを未使用とした場合について説明するが、他の例として、Y、M、C、Kの4色と第1特別色Eまたは第2特別色Fを用いて5色で画像形成を行ってもよい。
【0034】
図2に示すように、現像装置70は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各トナー色にそれぞれ対応する現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fが、周方向に(反時計回りにこの順番で)並んで配置されており、回転手段であるモータ(図示省略)によって中心角で60°ずつ回転することで、現像処理を行う現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fが切り替えられ、感光体62の外周面と対向するようになっている。なお、現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fは同様の構成となっているため、ここでは現像器72Yについて説明し、他の現像器72M、72C、72K、72E、72Fについては説明を省略する。
【0035】
現像器72Yは、本体となるケース部材76を有しており、ケース部材76内にトナーカートリッジ78Y(図1参照)からトナー供給路(図示省略)を経由して供給されるトナーおよびキャリアから成る現像剤(図示省略)が充填されている。また、ケース部材76には、感光体62の外周面と対向して矩形状の開口部76Aが形成されており、開口部76Aには、外周面が感光体62の外周面と対向する現像ロール74が設けられている。さらに、ケース部材76内で開口部76Aに近い部位には、現像剤の層厚を規制するための板状の規制部材79が、開口部76Aの長手方向に沿って設けられている。
【0036】
現像ロール74は、回転可能に設けられた円筒状の現像スリーブ74Aと、現像スリーブ74Aの内側に固定された複数の磁極から成る磁性部材74Bとで構成されており、現像スリーブ74Aが回転することで現像剤(キャリア)の磁気ブラシが形成されるとともに、規制部材79で層厚が規制されることで、現像スリーブ74Aの外周面に現像剤層を形成するようになっている。そして、現像スリーブ74Aの外周面の現像剤層は、感光体62に対向する位置に搬送され、感光体62の外周面に形成された潜像(静電潜像)に応じたトナーを付着させて現像を行う。
【0037】
また、ケース部材76内には、螺旋状に形成された搬送ローラ77が2本回転可能に並列配置されており、この2本の搬送ローラ77が回転することで、ケース部材76内に充填された現像剤が、現像ロール74の軸方向(現像器72Yの長手方向)に循環搬送されるようになっている。なお、各現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fに設けられた6本の現像ロール74は、隣の現像ロール74との間隔が中心角60°となるように周方向に配置されており、現像器72の切り替えにより、次の現像ロール74が感光体62の外周面と対向するようになっている。
【0038】
次に、画像形成装置10における画像形成工程について説明する。
【0039】
図1に示すように、画像形成装置10が作動すると、画像処理装置(図示省略)または外部から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各色の画像データが露光装置66に順次出力される。このとき、一例として、現像装置70は、現像器72Y(図2参照)が感光体62の外周面と対向するように回転し保持されている。
【0040】
続いて、帯電ユニット100において、放電電極の一例としてのチャージワイヤ102A、102B(図3参照)に通電され、接地された感光体62との間に電位差が生じることでコロナ放電が行われ、感光体62が帯電される。このとき、制御電極の一例としてのグリッド電極104(図3参照)にはバイアス電圧が印加されており、感光体62の帯電電位(放電電流)が許容範囲内となるように制御されている。
【0041】
続いて、露光装置66から画像データに応じて出射された光は、帯電ユニット100により帯電された感光体62の外周面(表面)を露光し、感光体62の表面にはイエローの画像データに対応した静電潜像が形成される。さらに、感光体62の表面に形成された静電潜像は、現像器72Yによってイエローのトナー画像として現像される。そして、感光体62の表面のイエローのトナー画像は、一次転写ロール67によって中間転写ベルト68に転写される。
【0042】
続いて、図2に示すように、現像装置70が矢印+R方向に60°回転され、現像器72Mが感光体62の表面と対向する。そして、帯電、露光、現像の各工程が行われ、感光体62の表面のマゼンタのトナー画像は、一次転写ロール67によって中間転写ベルト68のイエローのトナー画像上に転写される。同様にして、シアン(C)、黒(K)、さらに色設定に応じて第1特別色(E)および第2特別色(F)のトナー画像が中間転写ベルト68上に順次多重転写される。
【0043】
一方、図1に示すように、用紙収容部12から送り出され、搬送路28を搬送されてきた記録用紙Pは、位置合せロール38により、中間転写ベルト68への各トナー画像の多重転写とタイミングを合わせて二次転写位置(図2の位置Q)に搬送される。そして、中間転写ベルト68上に多重転写されたトナー画像は、二次転写位置に搬送されてきた記録用紙P上に二次転写ロール71によって二次転写される。
【0044】
続いて、トナー画像が転写された記録用紙Pは、定着装置80に向けて矢印A方向(図示の右方向)に搬送される。そして、定着装置80では、トナー画像が、加熱ロール82および加圧ロール84によって加熱、加圧されることで記録用紙Pに定着される。さらに、トナー画像が定着された記録用紙Pは、一例として、排紙部15に排出される。
【0045】
なお、記録用紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着装置80で表面に画像定着を行った後、記録用紙Pを矢印−V方向に沿って反転部33に送り込むとともに矢印+V方向に沿って送り出すことで、記録用紙Pの先端と後端を入れ替える。そして、記録用紙Pを両面搬送路29によって矢印B方向(図示の左方向)に搬送し、さらに搬送路28に送り込んで、記録用紙Pの裏面の画像形成および定着を行う。
【0046】
次に、帯電ユニット100および帯電ユニット100の取付構造について説明する。
【0047】
図3に示すように、帯電ユニット100は、H−V面(断面)がコ字状のシールド部材105を有している。シールド部材105の内側は、矢印+D方向を長手方向として直立配置された仕切板103によって、小室106Aと小室106Bとに仕切られている。なお、矢印+R方向において、小室106Aは上流側に配置されており、小室106Bは下流側に配置されている。また、シールド部材105の開口部105Aの一例は、感光体62の外周面と対向配置されている。
【0048】
小室106A内には、矢印+D方向を長軸方向として放電電極の一例としてのチャージワイヤ102Aが架設されおり、同様に、小室106B内には、矢印+D方向を長軸方向として放電電極の一例としてのチャージワイヤ102Bが架設されている。また、シールド部材105は、開口部105Aを覆うように制御電極の一例としてのグリッド電極104が取り付けられている。グリッド電極104は、H−V面で見て、チャージワイヤ102A、102Bと感光体62の外周面との間に配置されている。
【0049】
矢印H方向で対向配置されたシールド部材105の1組の側壁105B、105Cの外面には、矢印V方向に直立するカバー部材107、108が取り付けられている。カバー部材107の上端は外側(図示の左側)へ向けて断面L字状に折り曲げられ、平板状の被案内部107Aが形成されている。また、カバー部材108の上端は外側(図示の右側)へ向けて断面L字状に折り曲げられ、平板状の被案内部108Aが形成されている。そして、被案内部107A、108Aがガイドレール109、111により矢印+D方向に案内されるとともに矢印H、V方向に対して保持される(移動が規制される)ことで、帯電ユニット100が、感光体62の外周面と対向して配置されるようになっている。
【0050】
図4に示すように、感光体62の軸方向の両端には、この感光体62を回転自在に支持するハウジング90、91がそれぞれ配置されており、感光体62とハウジング90、91とで潜像形成部が構成されている。
【0051】
図4に示すように、帯電ユニット100は、矢印+D方向におけるシールド部材105の両端部に取付部材142、144が取り付けられている。取付部材142、144は、グリッド電極104を取り付けるための部材であり、取付部材142が矢印+D方向の手前側に配置され、取付部材144が矢印+D方向の奥側に配置されている。
【0052】
図5〜図7に示すように、グリッド電極104は、平面視で矩形状となっており、長手方向の一方端側から他方端側へ向けて、取付部104A、電極部104B、および取付部104Cが一体となった構成となっている。
【0053】
また、グリッド電極104は、帯電ユニット100に取り付けられた状態では、幅方向断面で見て湾曲形状となっている。すなわち、グリッド電極104は、取付部104A、電極部104Bおよび取付部104Cが、チャージワイヤ102A、102B(図3参照)に向けて凸状に湾曲している。なお、取付部104A、電極部104Bおよび取付部104Cの曲率は、感光体62の外周面との間隔dが感光体62の周方向で同様となるように設定されており、すなわち、感光体62の外周面に沿った湾曲形状となっている。
【0054】
グリッド電極104の電極部104Bは、複数の六角形状の孔(図示せず)をあけて構成されたメッシュ状となっており、幅方向の両端部には、剛性を高めるために枠部104Dおよび枠部104Eが設けられている。そして、電極部104Bは、枠部104D、取付部104A、枠部104Eおよび取付部104Cで囲まれている。
【0055】
図5および図6に示すように、グリッド電極104の取付部104Aには、厚み方向に貫通した貫通孔である取付孔145A、145Bが形成されている。取付孔145A、145Bは、グリッド電極104の一端において幅方向に間隔をあけてそれぞれ矩形状に形成されている。
【0056】
また、図5および図7に示すように、取付部104Cには、厚み方向に貫通した貫通孔である取付孔147が、グリッド電極104の他端において略三角形の形状に形成されている。
【0057】
図8に示すように、取付部材142には、グリッド電極104を矢印−D方向に付勢するバネ部材152A、152Bが設けられている。バネ部材152A、152Bは、一例としてねじりバネが用いられており、一端が取付部材142に固定され、他端がグリッド電極104の長手方向の一方の端部に形成された取付孔145A、145Bの縁部に引っ掛けられている。
【0058】
一方、取付部材144の底部に位置する箇所には、グリッド電極104の長手方向の他方の端部を固定するための引掛部156が設けられている。引掛部156は、矢印+D方向に屈曲された形状となっており、グリッド電極104の取付孔147の先端に引っ掛けられている。
【0059】
そして、グリッド電極104の取付孔145A、145Bにバネ部材152A、152Bを引っ掛けるとともにグリッド電極104を矢印+D方向に引っ張り、取付孔147に引掛部156を引っ掛けることで、帯電ユニット100にグリッド電極104が取り付けられる。
【0060】
図8において、帯電ユニット100に取り付けられた取付部材142、144には、グリッド電極104を支持するための支持面160A、161Aが形成されるとともにシールド部材105の内部を覆う機能を備えた支持体160、161が設けられている。支持面160A、161Aは、下方に向けて凹となるようにして湾曲しており、グリッド電極105の長手方向の両側をチャージワイヤ102A、102B側から支持している。したがって、グリッド電極105は、支持面160A、161Aの形状に沿って感光体62と同心円となるように湾曲している。
【0061】
支持体160、161は、当該支持体160、161を幅方向に跨ぐとともにシールド部材105に形成されたロック爪105Aに嵌り込む嵌込孔162A、163Aが形成された固定部材162、163を介してシールド部材105に固定されている。したがって、固定部材162、163により支持体160、161をシールド部材105に押し付ける力が発生し、支持体160、161がシールド部材105に対して隙間なく組み付けられている。
【0062】
支持体160、161には、段差を介して支持面160A、161Aよりもシールド部材105寄りに形成された固定面160B、161Bを有している(つまり、下方から見て支持面160A、161Aよりも固定面160B、161Bの方が上方に凹んでいる)。そして、固定部材162、163が固定面160B、161Bで支持体160、161を固定することにより、固定部材162、163とグリッド電極104との干渉が回避されている。また、前述した引掛部156は、このような固定部材163に形成されて下方に突出しており、支持面161Aと同じ位置または支持面161Aよりもシールド部材105寄りの位置でグリッド電極104の取付孔147の先端に引っ掛けられている。
【0063】
ここで、グリッド電極104に張力を付与するためのねじりバネが用いられるバネ部材152A、152Bは、グリッド電極104の長手方向の一端部を引っ掛けている。そのため、バネ部材152A、152Bのねじり力の作用する方向は、グリッド電極104を介して支持体160をシールド部材105に押し付ける方向となっている。これにより、湾曲したグリッド電極104の長手方向の一方端側は支持体160の支持面160Aに押し付けられるとともに、支持体160はシールド部材105に密着されるようになる。
【0064】
また、固定部材163に形成された引掛部156は、前述のように、支持面161Aと同じ位置または支持面161Aよりもシールド部材105寄りの位置でグリッド電極104の取付孔147の先端に引っ掛けられている。これにより、湾曲したグリッド電極104の長手方向の他方端側は、支持体161の支持面161Aに押し付けられる。また、固定部材163(に形成された引掛部156)がグリッド電極104の一端に引っ掛けられることで、グリッド電極104に付与される張力が支持体161をシールド部材105に押し付ける力へ利用されている。
【0065】
図9〜図11に示すように、帯電ユニット100の長手方向の両端で且つ当該帯電ユニット100の下部には、長手方向(ここでは、矢印+D方向)に延びる突起部170、171(帯電手段側接続部の一例)が相互に同一の方向に向けて形成されている。すなわち、図9および図11に示すように、感光体62を回転自在に支持している一方のハウジング90に対応した位置には突起部170が、図10および図11に示すように、他方のハウジング91に対応した位置には突起部171が、それぞれ形成されている。突起部170、171は何れも矢印S方向に間隔をあけて2つずつ形成されており、その先端は絞り込まれた形状になっている。なお、ハウジング90側の片方の突起部170は、部材に隠れているために図示されていない。
【0066】
一方、ハウジング90、91には、このような突起部170、171が挿入される挿入孔90A、91A(潜像形成部側接続部)が形成されている。
【0067】
したがって、帯電ユニット100を長手方向にスライドさせて突起部170、171を挿入孔90A、91Aに挿入して両者を嵌め合わせることによって、帯電ユニット100と潜像形成部とが接続される。
【0068】
さらに、帯電ユニット100と潜像形成部との間には、帯電ユニット100と潜像形成部とを相互に離間する方向に付勢するバネ部材172、173(付勢手段の一例)が、前述した突起部170、171および挿入孔90A、91Aに対応するようにして配置されている。
【0069】
ここで、図9に示すように、バネ部材172には金属板を屈曲して形成された板バネが用いられており、バネ部材173には金属線をねじって形成されたねじりバネが用いられている。
【0070】
このような構造の画像形成装置10によれば、帯電ユニット100に形成された突起部170、171を潜像形成部のハウジング90、91に形成された挿入孔90A、91Aに挿入して両者が嵌め合わされ、これによって帯電ユニット100と潜像形成部とが接続される。
【0071】
そして、帯電ユニット100と潜像形成部との間に配置されたバネ部材172、173により、接続された帯電ユニット100と潜像形成部とは相互に離間する方向に付勢される。
【0072】
これによって、突起部170、171と挿入孔90A、91Aとが嵌り合うことによって形成される隙間がバネ部材172、173により強制的に片寄せされるので(つまり、突起部170、171が挿入孔90A、91Aの決められた位置に押し付けられて自由な動きが規制されるので)、帯電ユニット100と潜像形成部との距離が安定し、感光体62とグリッド電極104とが間隔dで高精度に位置決めされる。
【0073】
しかも、突起部170、171および挿入孔90A、91Aならびにバネ部材172、173は帯電ユニット100の長手方向の両端の2箇所に設けられているので、突起部170、171と挿入孔90A、91Aとが嵌り合った位置の近傍でバネ部材172、173によって帯電ユニット100と潜像形成部とが相互に離間する方向に付勢されるようになる。したがって、突起部170と挿入孔90Aとが嵌り合った部位と突起部171と挿入孔91Aとが嵌り合った部位とにバランス良くバネ部材172、173による付勢力が作用して、帯電ユニット100と潜像形成部との距離が一層安定する。
【0074】
ここで、グリッド電極が平板の場合には、帯電ユニット100に設けられたグリッド電極を潜像形成部に形成された部材に押し付ければ、グリッド電極の張力で当該グリッド電極と感光体とが高精度で位置決めされる。
【0075】
しかしながら、本願のようにグリッド電極が湾曲形状の場合には、このような構造を採用したならば、グリッド電極を潜像形成部に形成された部材に押し付けることによりグリッド電極の湾曲形状が崩れてしまう。
【0076】
また、帯電ユニット100と潜像形成部とを単に接続しただけでは、画像形成動作中に、接続部に形成された隙間分だけ両者が相対的に動いてしまうので、帯電ユニット100と潜像形成部との距離が安定しない。
【0077】
そこで、上述のような構造を採用することにより突起部170、171と挿入孔90A、91Aとで形成される隙間をバネ部材172、173で片寄せすることにより、感光体62とグリッド電極104とを高精度に位置決めしたものである。
【0078】
また、このような構造では、潜像形成部がグリッド電極104には接触していないので、湾曲形状となったグリッド電極104が変形することもない。
【0079】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0080】
例えば、本実施の形態では、帯電ユニット100に突起部170、171を形成し、これをハウジング90、91に形成された挿入孔90A、91Aして両者を嵌め合わせるようにしているが、逆に、帯電ユニット100に挿入孔を形成し、ハウジング90、91に突起部を形成して両者を嵌め合わせるようにしてもよい。
【0081】
また、本実施の形態では、付勢部材としてのバネ部材172、173には板バネやねじりバネが用いられているが、コイルバネなど他のバネ部材、あるいはゴムのような弾発力を有する弾性部材を用いてもよい。
【0082】
さらに、以上の説明においては、感光体62の帯電速度を向上させるために、グリッド電極104は、より正確にはグリッド電極104の非電極部104B、電極部104Cおよび非電極部104Dは、チャージワイヤ102A、102Bに向けて凸状に湾曲した形状になっているが、湾曲していない形状、つまり平板形状であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の画像形成装置は、記録方式については自由に選定することができ、例えばタンデム方式の画像形成装置等、トナー記録する様々な画像形成装置に適用される。
【符号の説明】
【0084】
10 画像形成装置
62 感光体
70 現像装置
71 二次転写ロール
90、91 ハウジング
90A、91A 挿入孔
100 帯電ユニット
102A チャージワイヤ
102B チャージワイヤ
104 グリッド電極
170、171 突起部
172、173 バネ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の潜像保持体、および当該潜像保持体の両端に配置されて前記潜像保持体を回転自在に支持する支持部材を備えた潜像形成部と、
放電によって前記潜像保持体に電荷を供給する放電電極、および前記放電電極と前記潜像保持体との間に配置されて前記潜像保持体の電位を制御する制御電極を備え、前記潜像保持体の外周面を予め設定された電位に帯電させる帯電手段と、
前記潜像形成部および前記帯電手段にそれぞれ形成され、相互に嵌り合って前記潜像形成部と前記帯電手段とを接続する潜像形成部側接続部および帯電手段側接続部と、
前記潜像形成部と前記帯電手段との間に配置され、前記潜像形成部と前記帯電手段とを相互に離間する方向に付勢する付勢手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記潜像形成部側接続部および前記帯電手段側接続部ならびに前記付勢手段は、前記帯電手段の長手方向の両端側にそれぞれ設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−105091(P2013−105091A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249889(P2011−249889)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】