説明

画像形成装置

【課題】 カバーとフレームとの間に電気基板が配設されている画像形成装置において、電気基板の損傷を抑制する。
【解決手段】 複数の弾性部材42〜44を少なくとも2つの規制部材46間に配設し、かつ、弾性部材42〜45のうち規制部間中央側に近い弾性部材ほど、初期荷重を小さくする。これにより、筐体カバー25に外力が作用して筐体カバー25が大きく撓み変形し、筐体カバー25が電気基板41と接触してしまった場合であっても、その外力を弾性部材42〜45で受けることとなる。そして、外力を弾性部材42〜45で受けながら、電気基板41の自然な撓み形状に沿うように電気基板41を緩やかに懸垂曲線状に変形させることができる。したがって、電気基板41に作用する当該外力を電気基板41に全体に分散させることができるので、電気基板41の損傷を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の画像形成装置では、板状のフレームとカバーとの間に電気基板が配設されている。なお、フレームは、画像形成部等を直接又は間接的に支持する部材である。カバーは、フレームを覆って画像形成装置の外観意匠面を構成する部材である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−53255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、カバーは、外観意匠面を構成する部材であるため、一般的に、フレーム等の強度部材に比べて剛性が小さく、外力に対して撓み変形し易い。したがって、大きな外力がカバーに作用すると、カバーが大きく撓み変形し、カバーが電気基板と接触してしまう可能性がある。
【0005】
そして、カバーが電気基板と接触してしまうと、電気基板に外力が伝達されてしまうので、電気基板が損傷してしまうおそれがある。
本発明は、上記点に鑑み、カバーとフレームとの間に電気基板が配設されている画像形成装置において、電気基板の損傷を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、シートに画像を形成する画像形成部(2)と、画像形成部(2)を支持するフレーム(20A)と、フレーム(20A)を覆うカバー(25)と、フレーム(20A)とカバー(25)と間に配設され、電子部品(41A)が実装された電気基板(41)と、フレーム(20A)と電気基板(41)との間に配設され、電気基板(41)の板面(41B)をカバー(25)側に向けて押圧する弾性変形可能な第1弾性部材(43)及び第2弾性部材(44)と、カバー(25)側から電気基板(41)に接触し、電気基板(41)がカバー(25)側に移動することを規制する少なくとも2つの規制部材(46)とを備え、2つの規制部材(46)間の中央を規制部間中央と呼ぶとき、第1弾性部材(43)及び第2弾性部材(44)は、2つの規制部材(46)間に配設され、かつ、第1弾性部材(43)は、第2弾性部材(44)より規制部間中央側に位置しており、さらに、カバー(25)に外力が作用していない場合においては、第1弾性部材(43)は、第2弾性部材(44)より小さい押圧力を電気基板(41)に作用させていることを特徴とする。
【0007】
これにより、本発明では、カバー(25)に外力が作用してカバー(25)が大きく撓み変形し、カバー(25)が電気基板(41)と接触してしまった場合であっても、その外力を複数の弾性部材(43、44)で受けることとなる。
【0008】
また、外力が電気基板(41)に作用すると、電気基板(41)のうち2つの規制部材(46)間に位置する部位は、通常、規制部間中央が最も大きく撓むように弓なりに変形する。
【0009】
これに対して、本発明では、カバー(25)に外力が作用していない場合においては、第1弾性部材(43)は、第2弾性部材(44)より小さい押圧力を電気基板(41)に作用させている。以下、この第1弾性部材(43)及び第2弾性部材(44)による押圧状態を初期荷重設定状態という。
【0010】
このため、本発明では、当該外力を複数の弾性部材(43、44)で受けながら、電気基板(41)の自然な撓み形状に沿うように電気基板(41)を緩やかに弓なりに変形させることができる。したがって、電気基板(41)に作用する当該外力を電気基板(41)に全体に分散させることができるので、電気基板(41)の損傷を抑制することができる。
【0011】
一方、仮に、カバー(25)に外力が作用していない場合において、第1弾性部材(43)と第2弾性部材(44)とが同一の押圧力を電気基板(41)に作用させていた場合には、電気基板(41)を、電気基板(41)の自然な撓み形状に沿うように緩やかに弓なりに変形させることが難しい。
【0012】
このため、第1弾性部材(43)と第2弾性部材(44)とが同一の押圧力を電気基板(41)に作用させていた場合には、電気基板(41)のうちいずれかの部位が突出して大きく変形してしまう可能性が高くなり、当該部位に曲げ応力が集中するので、電気基板(41)の損傷を抑制することが難しい。
【0013】
なお、本発明においては、画像形成部(2)を支持するフレーム(20A)は、画像形成部(2)を直接的に支持する構成、及び画像形成部(2)を間接的に支持する構成のいずれのであってもよい。
【0014】
因みに、上記各手段等の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記各手段等の括弧内の符号に示された具体的手段等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の中央断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置のフレーム20等の配置構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置における電気基板41の支持構造を示す図である。
【図4】(a)本発明の実施形態に係る画像形成装置における各弾性部材42〜45の配置位置を示す図であり、(b)は外力が作用したときの電気基板41の撓み分布状態を示す図である。
【図5】外力が作用したときの電気基板41等の断面図である。
【図6】(a)本発明の第2実施形態に係る画像形成装置における電気基板41の支持構造を示す図であり、(b)は外力が作用したときの電気基板41等の断面図である。
【図7】(a)本発明の第3実施形態に係る画像形成装置における電気基板41の支持構造を示す図であり、(b)は外力が作用したときの電気基板41等の断面図である。
【図8】(a)は、本発明の第4実施形態に係る画像形成装置において、外力が作用したときの電気基板41の撓み分布状態を示す図であり、(b)は本発明の第4実施形態に係る画像形成装置における各弾性部材42〜45の配置位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に説明する「発明の実施形態」は実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的手段や構造等に限定されるものではない。
【0017】
そして、本実施形態は、モノクロ方式のレーザプリンタに本発明に係る画像形成装置を適用したものである。以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(第1実施形態)
1.画像形成装置の構造
画像形成装置1内には、図1に示すように、画像形成部2及び給紙装置10等が収納されている。そして、画像形成部2及び給紙装置10等は、図2に示すように、画像形成部2を挟んで水平方向両側に配設された一対のフレーム20により、直接的又は間接的に支持されている。なお、図2においては、画像形成部2は省略され、給紙装置10は図示されていない。
【0018】
また、一対のフレーム20は、略矩形板状に形成されたフレーム本体20A、及びフレーム本体20Aの外周部に一体成形された壁状の補強リブ20B等からなる樹脂製の強度部材である。そして、一対のフレーム20は、図3に示すように、画像形成部2と反対側から筐体カバー25により覆われている。なお、本実施形態に係る筐体カバー25は、画像形成装置1の外観意匠面を構成する。
【0019】
因みに、筐体カバー25及びフレーム20はポリスチレン等の樹脂製であり、フレーム本体20A、つまりフレーム20の機械的強度は、筐体カバー25に比べて大きい強度に設定されている。
【0020】
画像形成部2はシートに画像を形成する電子写真方式の画像形成手段である。すなわち、画像形成部2は、図1に示すように、プロセスカートリッジ3、露光器4及び転写ローラ8等からなる現像部、並びに定着器5を有して構成されている。
【0021】
プロセスカートリッジ3には、現像剤像が担持される感光ドラム3A、及び感光ドラム3Aを帯電させる帯電器3B等が収納されている。転写ローラ8は、感光ドラム3Aに担持されている現像剤像を用紙等のシートに転写させる。
【0022】
定着器5は、シートを加熱する加熱ローラ5A、及びシートを加熱ローラ5Aに押し付ける加圧ローラ5Bを有して構成されている。そして、定着器5から排出されたシートは、一対の排紙ローラ9より画像形成装置1の上面に設定された排紙トレイ1Aに排出される。
【0023】
給紙装置10は、給紙トレイ30に載置されている1枚以上のシートのうち少なくとも1枚のシートを画像形成部2に送り出す給紙手段である。そして、給紙装置10は、ピックアップローラ11及び分離機構12等から構成されている。
【0024】
ピックアップローラ11は、給紙トレイ30に載置された1枚以上のシートのうち、積層方向上端に位置するシートに接触して少なくとも1枚のシートを画像形成部2側に送出する。
【0025】
分離機構12は、分離パッド12A及び分離ローラ12B等からなる構成されている。そして、分離機構12は、ピックアップローラ11から送出された1枚以上のシートを1枚ずつ分離して画像形成部2に送り出す。
【0026】
なお、一対のレジストローラ6は、当該1枚のシートの姿勢を矯正した後、予め設定された所定のタイミングで当該1枚のシートを、感光ドラム3Aの転写位置、つまり感光ドラム3Aのうち転写ローラ8と対向する部位に突入させる。
【0027】
給紙トレイ30は、トレイ本体31及び押圧板32を有して構成されている。つまり、トレイ本体31及び押圧板32は、シートの搬送経路に沿って直列に配設されている。そして、給紙トレイ30に載置される1枚以上のシートは、トレイ本体31と押圧板32とに跨るように載置される。
【0028】
また、トレイ本体31は、補充口25Aを閉塞する位置と補充口25Aを開放する位置との間で揺動することができる。押圧板32は、上方側に揺動することにより、押圧板32、つまり給紙トレイ30に載置された1枚以上のシートをピックアップローラ11に押圧させる。
【0029】
2.電気基板の支持構造
一対のフレーム20のうち少なくとも一方のフレーム本体20Aには、図4(a)に示すように、略矩形状の電気基板41が組み付けられている。このため、電気基板41は、図3に示すように、フレーム20と筐体カバー25との間に配設された状態となる。なお、電気基板41には、例えば定着器5等の電気機器に電力や制御信号を供給するため電子部品41Aが実装されている。
【0030】
そして、フレーム本体20Aと電気基板41との間には、電気基板41の板面41Bを筐体カバー25側に向けて押圧する複数の弾性部材42〜45が配設されている。なお、弾性部材42〜44は、コイル状に巻かれた線形特性を有する圧縮バネにて構成されている。
【0031】
また、電気基板41の端部側には、筐体カバー25側から電気基板41に接触して電気基板41が筐体カバー25側に移動することを規制する少なくとも2つの規制部材46が設けられている。
【0032】
なお、本実施形形態に係る規制部材46は、図4(a)に示すように、電気基板41のうち弾性部材42〜44が配設された領域の外側に設けられている。具体的には、少なくとも2つの規制部材46それぞれは、電気基板41の4つの角部のうち対角に位置する2つの角部それぞれに設けられている。
【0033】
また、本実施形態に係る規制部材46は、図3に示すように、筐体カバー25側から電気基板41に接触して電気基板41と係合する半球状の頭部46A、及びフレーム本体20Aに挿入固定される軸部46B等からなるナベネジ状の部材である。そして、複数の弾性部材45のうち規制部材46に対応する位置に配設された2つの弾性部材45は、電気基板41を頭部46Aに押圧している。
【0034】
また、弾性部材42〜45は、弾性係数及び自然長を同一とした同一のバネ特性を有する圧縮バネである。そして、弾性部材42〜45のうち、板面41Bの図心Goに近い部位に位置する弾性部材ほど、初期状態において、当該弾性部材が電気基板41に作用させる弾性力が小さくなるように設定されている。
【0035】
なお、「初期状態」とは、筐体カバー25に外力が作用しておらず、電気基板41が変形していない状態をいう。そして、初期状態において、各弾性部材42〜45が電気基板41に作用させる押圧弾性力を初期荷重という。因みに「図心」とは、文献によっては「面心」とも呼ばれ、具体的には、板面41Bにおいて面積モーメントが釣り合う点をいう。
【0036】
そして、本実施形態では、以下の手法により各弾性部材42〜45の初期荷重を設定している。すなわち、弾性部材43〜45を圧縮するスペーサ47A〜47Cをフレーム本体20Aに設けるとともに、これらスペーサ47A〜47Cのうち図心Goに近い部位に設けられたスペーサほど、突出寸法が小さくなるように設定している。
【0037】
なお、本実施形態に係るスペーサ47A〜47Cは、フレーム本体20Aから電気基板41側に突出した突起部であって、フレーム本体20Aに一体成形されたものである。
また、図3に示された弾性部材45は、規制部材46が設けられた固定部に配設された弾性部材45であるが、弾性部材45は、図4(a)に示すように、固定部以外にも設けられている。そして、本実施形態では、固定部以外の部位に配設された弾性部材45も、スペーサ47Cより圧縮されて所定の初期荷重を電気基板41に作用させている。
【0038】
一方、図心Goに最も近い位置に配設された弾性部材42は、スペーサ47A〜47Cを介することなく、直接的又は間接的にフレーム本体20Aに組み付け固定されている。一方、弾性部材43〜45それぞれは、各スペーサ47A〜47Cに直接的又は間接的に組み付け固定されている。
【0039】
なお、弾性部材43用のスペーサ47Aは、弾性部材44、45用のスペーサ47B、47Cより突出寸法の小さいスペーサであり、かつ、弾性部材44用のスペーサ47Bは、弾性部材45用のスペーサ47Cより突出寸法の小さいスペーサである。このため、各弾性部材42〜45の初期荷重の大小は、「弾性部材42の初期荷重<弾性部材43の初期荷重<弾性部材44の初期荷重<弾性部材45の初期荷重」となる。
【0040】
因みに、本実施形態では、2つの規制部材46は、矩形状に形成された電気基板41のうち、対角の位置にある2つの角部それぞれに設けられている。このため、板面41Bの図心Goは、2つの規制部材46間の中央に一致する。そこで、以下、図心Goを規制部間中央ともいう。
【0041】
このため、板面41Bと直交する断面であって、2つの規制部材46が設けられた対角線と平行な断面においては、図3に示すように、これらの規制部材46間に弾性部材42〜45が位置し、かつ、各弾性部材42〜45は、規制部間中央側から電気基板41の端部側に向かって、弾性部材42、弾性部材43、弾性部材44、弾性部材45の順に並んだ状態となる。
【0042】
ところで、フレーム本体20Aと電気基板41との間には、電気基板41の撓み変形を規制する一対のストッパ部材48が設けられている。これらのストッパ部材48は、フレーム本体20Aのうち電気基板41の端部より図心Go側に対応する部位に位置するとともに、当該位置から電気基板41側に突出したボス状の突起部である。なお、本実施形態に係るストッパ部材48はフレーム本体20Aに一体形成されている。
【0043】
そして、電気基板41がフレーム本体20A側に撓み変形したときに、ストッパ部材48の先端側が電気基板41に接触することにより、電気基板41がフレーム本体20A側に過度に撓み変形するが規制される。なお、本実施形態に係るストッパ部材48それぞれの先端部には、電気基板41に設けられた貫通穴41Cを貫通するパイロット突起48Aが設けられている。
【0044】
3.本実施形態に係る画像形成装置(特に、電気基板の支持構造)の特徴
本実施形態では、複数の弾性部材42〜44が、少なくとも2つの規制部材46間に配設され、かつ、弾性部材42〜45のうち規制部間中央側に近い弾性部材ほど、初期荷重が小さいことを特徴としている。
【0045】
これにより、本実施形態では、筐体カバー25に外力が作用して筐体カバー25が大きく撓み変形し、筐体カバー25が電気基板41と接触してしまった場合であっても、その外力を弾性部材42〜45で受けることとなる。
【0046】
また、外力が電気基板41に作用すると、電気基板41のうち2つの規制部材46間に位置する部位は、通常、図5及び図4(b)に示すように、規制部間中央、つまり図心Goが最も大きく撓むように、図心Goを通る断面形状が懸垂曲線状に変形する。
【0047】
これに対して、本実施形態では、筐体カバー25に外力が作用していない場合においては、弾性部材42〜45のうち規制部間中央側に近い弾性部材ほど、初期荷重が小さくなるような初期荷重設定状態に設定されている。
【0048】
このため、本実施形態では、当該外力を弾性部材42〜45で受けながら、電気基板41の自然な撓み形状に沿うように電気基板41を緩やかに懸垂曲線状に変形させることができる。したがって、電気基板41に作用する当該外力を電気基板41に全体に分散させることができるので、紙フェノール樹脂等からなる剛性の低い電気基板41であっても、その損傷を抑制することができる。
【0049】
なお、仮に、筐体カバー25に外力が作用していない場合において、各弾性部材42〜45の初期荷重が同一の場合には、電気基板41を、電気基板41の自然な撓み形状に沿うように変形させることが難しい。このため、電気基板41のうちいずれかの部位が突出して大きく変形してしまう可能性が高くなり、当該部位に曲げ応力が集中するので、電気基板41の損傷を抑制することが難しい。
【0050】
また、本実施形態では、初期状態において、各弾性部材43〜45圧縮変形した状態とする初期荷重設定部をなすスペーサ47A〜47Cを備えることを特徴としている。
これにより、本実施形態では、同一特性を有する弾性部材43〜45を用いて、容易に初期荷重設定状態を得ることができる。したがって、画像形成装置1の製造原価上昇を抑制できる。
【0051】
また、本実施形態では、フレーム本体20Aと電気基板41との間には、電気基板41がフレーム本体20A側に撓み変形したときに電気基板41に接触することにより、電気基板41の撓み変形を規制するストッパ部材48が設けられていることを特徴としている。
【0052】
これにより、本実施形態では、各弾性部材42〜45が過度に弾性変形することを防止できる。したがって、電気基板41が撓み変形した際に、各弾性部材42〜45が電気基板41に作用させる弾性力が過度に大きくなってしまうことを防止できるので、電気基板41の損傷を抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態ではストッパ部材48の先端部に、電気基板41に設けられた貫通穴41Cを貫通するパイロット突起48Aが設けられていることを特徴としている。
これにより、電気基板41に作用する外力が板面41Bに対して直交しておらず、かつ、当該外力において、板面41Bと平行なスラスト方向の成分が大きい場合であっても、電気基板41がスラスト方向に大きく変位してしまうことを抑制できる。したがって、各弾性部材42〜45に効果的に機能させて電気基板41の損傷を抑制することができる。
【0054】
(第2実施形態)
本実施形態は、図6(a)に示すように、スペーサ47A〜47Cを廃止するとともに、弾性部材42〜45のうち規制部間中央側、つまり図心Goに近い弾性部材ほど、小さい弾性係数を有する圧縮バネとしている。このため、各弾性部材42〜45の弾性計数の大小は、「弾性部材42の弾性係数<弾性部材43の弾性係数<弾性部材44の弾性係数<弾性部材45の弾性係数」となる。
【0055】
なお、規制部材46が設けられた固定部については、第1実施形態と同一な構成となっている。つまり、複数の弾性部材45のうち固定部以外の部位に配設された弾性部材についてのみ、スペーサ47Cを廃止するとともに、その弾性係数を弾性部材44の弾性係数より大きくしている。
【0056】
因みに、本実施形態では、複数の弾性部材45全ては、第1実施形態に係る弾性部材45と同一特性を有する圧縮バネを採用している。つまり、本実施形態は、第1実施形態に対して、(a)図心Goに近い弾性部材ほど弾性係数が小さくなるように、弾性部材42〜44の弾性係数を弾性部材45より小さくするとともに、(b)弾性部材42〜45のうち固定部以外のスペーサ47A〜47Cを廃止した構成となる。
【0057】
これにより、本実施形態では、筐体カバー25に外力が作用し、当該外力により電気基板41が撓み変形し始めると、第1実施形態における初期荷重設定状態と同様な状態となる。
【0058】
したがって、本実施形態においても、図6(b)に示すように、当該外力を弾性部材42〜45で受けながら、電気基板41の自然な撓み形状に沿うように電気基板41を緩やかに変形させることができる。このため、電気基板41に作用する当該外力を電気基板41に全体に分散させることができるので、電気基板41の損傷を抑制することができる。
【0059】
なお、本実施形態に係る各弾性部材42〜44は、初期状態において電気基板41に弾性力を殆ど作用させていないが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、初期状態において第1実施形態と同様な初期荷重設定状態となるように各弾性部材42〜44を設定してもよい。
【0060】
(第3実施形態)
本実施形態は、図7(a)に示すように、筐体カバー25と電気基板41との間に、筐体カバー25に作用する外力を吸収する緩衝材をなす圧縮バネ50を設けたものである。
【0061】
これにより、本実施形態では、図7(b)に示すように、筐体カバー25が大きく変形することを抑制できるので、筐体カバー25の変形に伴って電気基板41に作用する外力を大幅に低減することができる。したがって、電気基板41の損傷を効果的に抑制することができる。
【0062】
なお、図7(a)は、第2実施形態に係る画像形成装置1に本実施形態を適用した例を示す図であるが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、第1実施形態に係る画像形成装置1にも適用することができる。
【0063】
また、図7(a)では、ストッパ部材48の直上部に圧縮バネ50を配設した例であるが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、その他の部位に配設してもよい。但し、電気基板41や筐体カバー25の撓みは、通常、図心Go近傍が最も大きくなるので、圧縮バネ50、つまり緩衝材は、電気基板41の端部より図心Go側に配設することが望ましい。
【0064】
また、図7(a)では、圧縮バネにて緩衝材を構成したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、ゴム等の弾性部材にて緩衝材を構成してもよい。
(第4実施形態)
上述の実施形態では、電気基板41が単純な矩形状であったので、図心Goが最も大きく撓み変形すると仮定して、各弾性部材42〜45を配設した。
【0065】
このため、図8(a)に示すように、電気基板41の形状が非対称であって、かつ、規制部材46が設けられた位置も図心Goに対して非対称である場合には、最も大きく撓み変形する位置は、必ずしも図心Goに一致しない場合がある。
【0066】
しかし、上記のごとく非対称な場合であっても、2つの規制部材46を通る仮想線Lの垂直二等分線と平行であって、かつ、電気基板41の板面41Bと平行な方向Aから観察すると、規制部間中央又はその近傍において電気基板41が最も大きく撓み変形する可能性が高い。
【0067】
そこで、本実施形態では、図8(b)に示すように、規制部間中央又はその近傍において電気基板41が最も大きく撓み変形するものとして、各弾性部材42〜45を配設している。なお、本実施形態は、各弾性部材42〜45の配設位置及び規制部材46の位置を除き、第1実施形態〜第3実施形態のいずれかと同様な構成である。
【0068】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、モノクロ方式のレーザプリンタに適用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばダイレクトタンデム電子写真方式の画像形成装置やインクジェット方式の画像形成装置等に適用できる。
【0069】
また、上述の実施形態では、各弾性部材42〜45を圧縮コイルバネにて構成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ゴムやその他の弾性材料にて弾性部材42〜45を構成してもよい。
【0070】
また、第1実施形態では、同一特性の圧縮バネを用いて各弾性部材42〜45を構成したが、例えば、バネの巻数(弾性係数)を同一とし、弾性部材42〜45のうち規制部間中央又は図心Goに近い弾性部材ほど、その自然長を小さくするとともに、スペーサ47A〜47Cを廃止してもよい。
【0071】
また、第1実施形態では、各弾性部材42〜45をコイルバネにて構成したため、材質、巻数、線径及びコイル平均径等を同一とすることにより、各弾性部材42〜45の特性を同一特性としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、同一材料のゴム等にて各弾性部材42〜45を構成してもよい。
【0072】
また、上述の実施形態では、ストッパ部材48を設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、ストッパ部材48を廃止してもよい。
また、上述の実施形態では、ストッパ部材48にパイロット突起48Aを設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、パイロット突起48Aを廃止してもよい。
【0073】
また、上述の実施形態では、ストッパ部材48及びスペーサ47A〜47Cをフレーム本体20Aに一体成形したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ストッパ部材48及びスペーサ47A〜47Cを別部品として成形後、フレーム本体20Aに組付固定してもよい。
【0074】
また、上述の実施形態では、各弾性部材42〜45を線形特性を有するバネにて構成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、不等ピッチバネや円錐バネ等の非線形特性を有するバネにて各弾性部材42〜45を構成してもよい。
【0075】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0076】
1… 画像形成装置 1A… 排紙トレイ 2… 画像形成部
3… プロセスカートリッジ 3A… 感光ドラム 4… 露光器 5… 定着器
5A… 加熱ローラ 5B… 加圧ローラ 6… レジストローラ
8… 転写ローラ 9… 排紙ローラ 10… 給紙装置 11… ピックアップローラ
12… 分離機構 12A… 分離パッド 20… フレーム
20A… フレーム本体 25… 筐体カバー 25A… 補充口
30… 給紙トレイ 31… トレイ本体 32… 押圧板 41… 電気基板
41A… 電子部品 41B… 板面 41C… 貫通穴
42〜45… 弾性部材 46… 規制部材 46A… 頭部
47A〜47C… スペーサ 48… ストッパ部材 48A… パイロット突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部を支持するフレームと、
前記フレームを覆うカバーと、
前記フレームと前記カバーと間に配設され、電子部品が実装された電気基板と、
前記フレームと前記電気基板との間に配設され、前記電気基板の板面を前記カバー側に向けて押圧する弾性変形可能な第1弾性部材及び第2弾性部材と、
前記カバー側から前記電気基板に接触し、前記電気基板が前記カバー側に移動することを規制する少なくとも2つの規制部材とを備え、
前記2つの規制部材間の中央を規制部間中央と呼ぶとき、
前記第1弾性部材及び前記第2弾性部材は、前記2つの規制部材間に配設され、かつ、前記第1弾性部材は、前記第2弾性部材より前記規制部間中央側に位置しており、
さらに、前記カバーに外力が作用していない場合においては、前記第1弾性部材は、前記第2弾性部材より小さい押圧力を前記電気基板に作用させていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1弾性部材及び前記第2弾性部材は、同一特性を有する弾性部材であり、
さらに、前記カバーに外力が作用していない場合において、前記第2弾性部材を前記第1弾性部材より大きく圧縮変形した状態とする初期荷重設定部を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記初期荷重設定部は、前記フレームに一体形成されていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
シートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部を支持するフレームと、
前記フレームを覆うカバーと、
前記フレームと前記カバーと間に配設され、電子部品が実装された電気基板と、
前記フレームと前記電気基板との間に配設され、前記電気基板の板面を前記カバー側に向けて押圧する弾性変形可能な第1弾性部材及び第2弾性部材と、
前記カバー側から前記電気基板に接触し、前記電気基板が前記カバー側に移動することを規制する少なくとも2つの規制部材とを備え、
前記2つの規制部材間の中央を規制部間中央と呼ぶとき、
前記第1弾性部材及び前記第2弾性部材は、前記2つの規制部材間に配設され、かつ、前記第1弾性部材は、前記第2弾性部材より前記規制部間中央側に位置しており、
さらに、前記第1弾性部材の弾性係数は、前記第2弾性部材の弾性係数より小さいことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記第1弾性部材は、前記第2弾性部材より前記板面の図心側に位置していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記フレームと前記電気基板との間には、前記電気基板が前記フレーム側に撓み変形したときに前記電気基板に接触することにより、前記電気基板の撓み変形を規制するストッパ部材が設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記電気基板を前記2つの規制部材に押圧する第3弾性部材を備えており、
さらに、前記カバーに外力が作用していない場合においては、前記第3弾性部材は、前記第1弾性部材及び前記第2弾性部材より大きい押圧力を前記電気基板に作用させていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記電気基板を前記2つの規制部材に押圧する第3弾性部材を備えており、
前記第3弾性部材の弾性係数は、前記第1弾性部材及び前記第2弾性部材の弾性係数より大きいことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1弾性部材及び前記第2弾性部材は、コイル状のバネにて構成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図4】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−105107(P2013−105107A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250063(P2011−250063)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】