説明

画像形成装置

【課題】紙粉が画像形成装置内に飛散し紙粉付着によって記録ヘッドがノズルダウンすることを防止し、インク滲みや裏抜け等の画像品質への影響がなく、用紙シワや破れ等の用紙自体の不具合を抑制した画像形成装置の提供を目的とする。
【解決手段】記録ヘッドからインク液滴を噴射させ、印刷用紙に画像形成する画像形成装置において印刷用紙を積載する給紙台と、給紙台上に積載された印刷用紙の側面に液体を塗布する液体塗布手段と、液体塗布手段と給紙台上に積載された印刷用紙の側面との間の距離を変更することが可能な液体塗布手段移動機構とを備えており、液体塗布手段は、給紙台上に積載された印刷用紙の側面のうち、給紙方向と平行な横側面に液体を塗布する横側面部液体塗布手段および/または給紙台上に積載された印刷用紙の側面のうち、給紙方向の先端面に液体を塗布する先端面液体塗布手段であることを特徴とする画像形成装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録ヘッドからインク液滴を噴射させ、印刷用紙に画像を形成する画像形成装置において、印刷用紙は記録ヘッドを有する画像形成部に供給され、印刷用紙表面に画像が形成された後、排紙トレイに排出される。
【0003】
このように、画像形成装置においては、画像形成部を印刷用紙が通過することになるが、その際に、印刷用紙の裁断面等から紙粉が発生する場合がある。そして、発生した紙粉が画像形成装置内で舞い上がり、記録ヘッドのノズル部分に付着すると、ノズルダウンが起こる恐れがある。ノズルダウンが発生すると画像に白筋が発生し画像品質が悪化してしまう問題があった。
【0004】
係る問題を解決するため、各種方法が検討されてきた。
【0005】
特許文献1には、被噴射媒体収容部に設けられ、被噴射媒体のエッジ部と接して当該エッジの位置を規制するエッジ規制部と、液体噴射手段側の所定部位と、が同電位形成手段により同電位に設定されたインクジェットプリンターが開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、印字前の記録用紙の全面に均一に液体を塗布した後、加熱乾燥してから印字に供するインクジェット記録装置が開示されている。
【0007】
特許文献3には、印刷に先立って、走行する印刷用紙の表面に、均一にむらなく湿った拭き取り用シートを押し付け、印刷用紙の表面から紙粉等を除去する印刷用紙の紙面拭き取り装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1は同電位形成手段を装備する必要があるため、コスト増大や電力消費量増大等の問題があった。
【0009】
特許文献2、3においては、印刷面に水分を塗布するため、印刷用紙に画像形成する際にインクの滲みや、裏抜けが発生する等問題があった。さらに用紙全面に水分を塗布または拭き取りを行う場合、用紙の種類によってはシワや破れが発生する場合があり、用紙種類に応じて塗布や拭き取りのパラメータを設定して制御する必要があるため、コストアップの原因となっていた。
【0010】
本発明は上記の課題に鑑み、紙粉が画像形成装置内に飛散し紙粉付着によって記録ヘッドがノズルダウンすることを防止し、インク滲みや裏抜け等の画像品質への影響がなく、用紙シワや破れ等の用紙自体の不具合を抑制した画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は、記録ヘッドからインク液滴を噴射させ、印刷用紙に画像形成する画像形成装置において、印刷用紙を積載する給紙台と、前記給紙台上に積載された印刷用紙の側面に液体を塗布する液体塗布手段と、前記液体塗布手段と前記給紙台上に積載された印刷用紙の側面との間の距離を変更することが可能な液体塗布手段移動機構とを備えており、前記液体塗布手段は、前記給紙台上に積載された印刷用紙の側面のうち、給紙方向と平行な横側面に液体を塗布する横側面部液体塗布手段および/または前記給紙台上に積載された印刷用紙の側面のうち、給紙方向の先端面に液体を塗布する先端面液体塗布手段であることを特徴とする画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、給紙台上に積載された印刷用紙の側面の一部を湿潤させることにより印刷用紙に付着した紙粉が吸水するため、画像形成装置内での紙粉の飛散を抑制し、記録ヘッドのノズルダウン発生を防止することができる。
【0013】
また、印刷用紙の記録面(印刷面)については紙粉飛散防止用の液体を塗布していないため、インク滲みや裏抜け等の画像品質への影響や、用紙シワや破れ等の印刷用紙自体の不具合を抑制することが可能になる。
【0014】
さらに、印刷用紙の側面の一部を湿潤させることにより低湿度環境での静電気発生を防止できるため、画像形成装置に印刷用紙を給紙する際、複数枚同時に供給すること(重送)を防止することができ、排紙台での紙揃え(排紙揃え)も向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の説明図
【図2】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の制御部の説明図
【図3】本発明の第1の実施形態に係る横側面部液体塗布手段の説明図
【図4】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の制御フロー図
【図5】本発明の第2の実施形態に係る先端面液体塗布手段の説明図
【図6】本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置の制御フロー図
【図7】本発明の第3の実施形態に係る横側面部液体塗布手段および横側面部液体塗布手段の説明図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、発明を実施するための形態について図面を用いて説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
[第1の実施形態]
本実施形態では、本発明の画像形成装置の第1の構成例について説明する。
【0017】
本実施形態の画像形成装置は、記録ヘッドからインク液滴を噴射させ、印刷用紙に画像形成する画像形成装置において次の構成を備えている。
【0018】
印刷用紙を積載する給紙台と、前記給紙台上に積載された印刷用紙の側面に液体を塗布する液体塗布手段と、前記液体塗布手段と前記給紙台上に積載された印刷用紙の側面との間の距離を変更することが可能な、液体塗布手段移動機構とを備えている。そして、前記液体塗布手段は、前記給紙台上に積載された印刷用紙の側面のうち、給紙方向と平行な横側面に液体を塗布する横側面部液体塗布手段であることを特徴とする画像形成装置画像形成装置である。
【0019】
具体的な画像形成装置の全体構成例について、図1を用いて説明する。
【0020】
図1に示すインクジェット方式の画像形成装置は、ライン型の画像形成装置であり、これを例に画像形成装置の全体の構成について説明するが、本発明の画像形成装置は係る形態に限定されるものではない。
【0021】
図1に示す画像形成装置は、画像形成装置本体1と、記録媒体となる印刷用紙10を積載し画像形成装置本体に給紙する給紙台2と、印刷された印刷用紙10を排紙、積載する排紙トレイ3とを備えている。
【0022】
そして、画像形成装置本体1は、印刷用紙10を給紙台2から排紙トレイ3まで搬送する搬送ユニット4と、搬送ユニット4によって搬送される印刷用紙10に画像を形成する画像形成ユニット5と、制御手段500とを備えている。
【0023】
画像形成装置本体1には、図示しない前後側板及びステー等が設けられており、給紙台2上に積載されている印刷用紙10が、給紙コロ21及び給紙ローラー22によって1枚ずつ搬送ユニット4に給紙される。印刷によって印刷用紙が消費され積載量が減少するのに伴い、給紙台は上昇し、常にその最上部が給紙コロ21に接するようにすることができる。この場合、給紙コロ21が積載した印刷用紙の最上部に接した時に、例えば図示しない給紙台上限センサをONとする構成とし、常に給紙位置を一定に保つようにすることができる。
【0024】
搬送ユニット4は、搬送駆動ローラー41Aと搬送従動ローラー41Bと、これらのローラー41A、41B間に掛け回された無端状の搬送ベルト43とを備えている。この搬送ベルト43の表面に複数の図示しない吸引穴を形成し、搬送ベルト43の下部には印刷用紙10を搬送ベルト43の表面に吸着するための吸引ファン44が配置することができる。搬送駆動ローラー41Aと搬送従動ローラー41Bの上部には、それぞれ搬送ガイドローラー42A,42Bが図示しないガイドに保持されて、自重にて搬送ベルト43に当接している。搬送ベルト43の裏面側には、支持部材148が配置されている。搬送ベルト43は、この支持部材148によって搬送駆動ローラー41Aと搬送従動ローラー41Bの間の部分が下方側から支持されている。搬送ベルト43は、搬送駆動ローラー41Aが図示しない搬送ベルト駆動モータにより回転されることで周回移動し、印刷用紙10は搬送ベルト43上に吸引ファン44の作用により吸着され、搬送ベルト43の周回移動によって搬送される。搬送従動ローラー41B、搬送ガイドローラー42A、42Bは搬送ベルト43に従動して回転する。
【0025】
搬送ユニット4の上方には、画像形成ユニット5が配置されている。画像形成ユニット5は、印刷用紙10に印字する液滴となるインキを吐出する各色のヘッドを有している。例えば、黒ヘッドアレイ(以下「黒ヘッド部」と記す)50aとカラーヘッドアレイ(以下「カラーヘッド部」と記す)50bの2つのヘッドモジュールを備えている。
【0026】
黒ヘッド部50aは、搬送ベルト43上に吸着保持されて搬送される印刷用紙10に対して1色分のインク(ブラックK)の液滴を吐出する複数のノズル57、58が用紙幅方向にライン状に配列されたライン型記録ヘッドとして構成されている。カラーヘッド部50bは、例えば、印刷用紙10に対して3色分のインク(イエローY、シアンC、マゼンタM)の液滴を吐出する複数のノズル51〜56が用紙幅方向にライン状に配列されたライン型記録ヘッドを有する構成とすることができる。色の順序は特に限定されるものではなく、例えば図1にあるように、矢印Xで示す記録媒体搬送方向下流側(図1における左側)からイエローY、シアンC、マゼンタM、ブラックKの順に配置することができる。また、その他の二次色やグレーインク等を使用し、その分のノズルの数、あるいはカラーヘッド部50bのライン型記録ヘッドの数を増やす構成とすることもできる。
【0027】
黒ヘッド部50aとカラーヘッド部50bは、互いに隣接配置され、搬送ベルト43上の印刷用紙10にインクを吐出する印刷位置と、図中上方の待機位置とを図示しないヘッド部移動手段によりそれぞれ独立して移動可能に構成することができる。この場合、ヘッド部移動手段としては、特に限定されず、例えば、カム機構で黒ヘッド部50aとカラーヘッド部50bをそれぞれ上下方向に移動可能にしてもよい。また、ベルトとプーリで構成された移動手段を用いて黒ヘッド部50aとカラーヘッド部50bを上下方向にそれぞれ移動可能とすることもできる。
【0028】
さらに、画像形成ユニット5の黒ヘッド部50aとカラーヘッド部50bの維持回復を行う維持回復手段を構成する黒用のキャップ部材(以下「黒キャップ」と記す)6aとカラー用のキャップ部材(以下「カラーキャップ」と記す)6bとを設けることができる。黒キャップ6aとカラーキャップ6bは、各ヘッド部との対向位置を占め、それぞれの対向位置において各記録ヘッドに当接することでノズル51〜58を閉塞するものである。黒キャップ6aとカラーキャップ6bにはそれぞれ連結された周知の流路、吸引手段、圧力室等が、黒キャップ6a及びカラーキャップ6bよりも連結下流側に配置されているとともに、記録ヘッド面に密着してワイピングするためのブレード部材を備えることができる。
【0029】
さらに、黒ヘッド部50aとカラーヘッド部50bにインクを供給する図示しないサブタンクやメインタンク等で構成されるインク供給系等を設けることもできる。
【0030】
搬送ユニット4の下流側には印刷用紙10を収納する排紙トレイ3が設けられている。排紙トレイ3は、印刷用紙10の幅方向を規制する対のサイドフェンス31と用紙10の先端を規制するエンドフェンス32を備えている。
【0031】
制御手段500は本発明の画像形成装置全体の制御を行うものであり、その構成例について図2を用いて説明する。制御手段500は、CPU501と、ROM502、RAM503、不揮発性メモリであるNVRAM504とホストインターフェース(ホストI/F)506等を備えた情報処理装置である。
【0032】
制御手段500はさらに、画像形成装置の各構成部材を制御、駆動するための制御部、駆動部を備えている。例えば、図2に示したように、ヘッド駆動制御部508およびヘッドドライバ509と、ヘッド部移動モータ駆動部511A、511B、液体塗布手段移動機構制御部517、搬送ベルト駆動部513、吸引ファンモータ駆動部514を備えている。
【0033】
ここで、ヘッド駆動制御部508およびヘッドドライバ509は、黒ヘッド部50aとカラーヘッド部50bの記録ヘッドのインク吐出動作を制御するものである。
【0034】
ヘッド部移動モータ駆動制御部511A、511Bは、黒ヘッド部50aとカラーヘッド部50bを移動するヘッド部移動手段の駆動手段となるヘッド部移動モータ512A、512Bを駆動制御するためのものである。
【0035】
液体塗布手段移動機構制御部517は、後述する各液体塗布手段移動機構を制御するものであり、本実施形態の場合であれば、横側面部液体塗布手段を移動させる横側面部液体塗布手段移動機構を制御する横側面部液体塗布手段移動機構制御部となる。また、後述する第2の実施形態においては、先端面液体塗布手段移動機構を制御する先端面液体塗布手段移動機構制御部となり、第3の実施形態においては、横側面部液体塗布手段移動機構制御部および/または先端面液体塗布手段移動機構制御部となる。
【0036】
搬送ベルト駆動部513は、搬送ベルト43の駆動源となる搬送ベルト駆動モータ512を駆動する。また、吸引ファンモータ駆動部514は吸引ファン44を回転する吸引モータ515を駆動するものである。
【0037】
また、これ以外にも、例えばメンテナンス手段である黒キャップ6aの動作及び、各種メンテナンス条件に基づいてメンテナンス実行動作詳細を制御するメンテナンス制御手段等を設けることもできる。
【0038】
さらに、制御手段500は、各種センサからの検知信号を入力するためのI/Oポート516や、この画像形成装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル520が接続されている。
【0039】
I/Oポート516に入力される検知信号の種類については特に限定されるものではない。例えば、印刷枚数をカウントする印刷枚数カウント手段521や、用紙支持部材の位置を検出する位置検出手段522、印刷用紙10のサイズを判別する用紙サイズ判定手段523、環境温度、環境湿度を検出するための環境温度、湿度センサ524等の制御に必要な各種検知信号が挙げられる。
【0040】
ROM502には、検知信号に対する制御動作を予め規定し、格納しておくことができる。例えば、印刷枚数と横側面部液体塗布手段移動機構の制御との関係を設計時にシーケンステーブルとして作成、格納しておくことができる。これは、前記シーケンステーブルに基づき、予め設定しておいた印刷枚数になった時に、横側面部液体塗布手段移動機構により横側面部液体塗布手段を移動させるものであるが、操作パネル520からの入力により設定が変更できるようにしても良い。
【0041】
そして、CPU501は、ホストI/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC505にてデータの並び替え処理等(場合によっては、画像処理の一部の処理)を行ってヘッド駆動制御部508に画像データを転送する。なお、画像出力するための印刷データのビットマップデータ(印刷ラスタデータ)への変換は、ホスト側のプリンタドライバで画像データをビットマップデータに展開し印刷データのビットマップデータ(印刷ラスタデータ)を作成した上で、該印刷ラスタデータをこの装置に転送するようにしている。
【0042】
ヘッド駆動制御部508は、ホストI/F506が印刷ラスタデータを受け取ると、この印刷ラスタデータ(ドットパターンデータ)を、クロック信号に同期して、ヘッドドライバ509にシリアルデータで送出する。また所定のタイミングでラッチ信号をヘッドドライバ509に送出する。
【0043】
このヘッド駆動制御部508は、駆動波形(駆動信号)のパターンデータを格納したROM(ROM502で構成することもできる。)と、このROMから読出される駆動波形のデータをD/A変換するD/A変換器を含む波形生成回路及びアンプ等で構成される駆動波形発生回路を含む。
【0044】
また、ヘッドドライバ509は、ヘッド駆動制御部508からのクロック信号及び画像データであるシリアルデータを入力するシフトレジスタと、シフトレジスタのレジスト値をヘッド駆動制御部508からのラッチ信号でラッチするラッチ回路と、ラッチ回路の出力値をレベル変化するレベル変換回路(レベルシフタ)と、このレベルシフタでオン/オフが制御されるアナログスイッチアレイ(スイッチ手段)等を含む。アナログスイッチアレイのオン/オフを制御することで駆動波形に含まれる所要の駆動波形を選択的に各ヘッド部50a、50bの記録ヘッドのアクチュエータ手段に印加して記録ヘッドを駆動し、画像データを印刷してドットパターンを形成する。
【0045】
ヘッド部移動モータ駆動部511A、511Bは、印刷時やノズル回復動作時に、ヘッド部移動モータ512A、512Bを作動する。
【0046】
次に、図3(a)〜(d)を用いて横側面部液体塗布手段について説明する。
【0047】
図3(a)は、給紙台2部分の上面図であり、図3(b)、図3(c)は、図3(a)のA−A´線での断面図を示している。
【0048】
給紙台2上には印刷用紙10が積載されており、積載された印刷用紙の側面のうち、図中矢印で示した給紙方向と平行な横側面に液体を塗布する横側面部液体塗布装置11(11a、11b)を設けている。
【0049】
積載された印刷用紙の側面のうち、給紙方向と平行な横側面は2面存在しており、いずれか一方にのみ横側面部液体塗布装置を設けることもできるが、図3(a)に示すように一対の横側面それぞれに横側面部液体塗布装置を設けることが好ましい。これは、液体を塗布した部分が多い方が、紙粉の飛散をより防止できるからである。
【0050】
横側面部液体装置を設置する場所としては、特に限定されるものではないが、給紙の際に印刷用紙の横側面部全体に液体を塗布できることから、図3(a)に示すように、印刷用紙の給紙方向の先端の両端部分またはその近傍に設置していることが好ましい。
【0051】
横側面部液体塗布装置は、印刷用紙に液体を塗布する横側面部液体塗布手段(12a、12b)と、横側面部液体塗布手段と印刷用紙との間の距離を変更することが可能な液体塗布手段移動機構(15a、15b)とを備えていることが好ましい。(なお、以下の説明では、横側面部液体塗布手段についての液体塗布手段移動機構は「横側面部液体塗布手段移動機構」、後述する先端面液体塗布手段についての液体塗布手段移動機構は「先端面液体塗布手段移動機構」とする。)
横側面部液体塗布手段移動機構は、所定の位置に横側面部液体塗布手段を移動できるように前記した横側面部液体塗布手段移動機構制御部によって制御されていることが好ましい。
【0052】
横側面部液体塗布手段としては、印刷用紙の側面に液体を塗布することが可能であればよく、その材質、形状等の構成は限定されるものではない。例えば、印刷用紙と接触する面がスポンジや、不織布、布等の一定量の液体をその表面に保持できる材料からなることが好ましい。また、形状としては、例えば、平板状、ローラー形状とすることができる。また、印刷用紙との摩擦を低減するため、印刷用紙と接触する表面を波形状等の凹凸形状とすることもできる。
【0053】
そして、横側面部液体塗布手段は連続的に使用可能なように、液体タンク20(20a、20b)からチューブ、ポンプ等により液体が供給されることが好ましい。
【0054】
用いる液体の種類は特に限定されるものではなく、例えば水や有機物質等を用いることができる。入手が容易であり使用者が吸引しても健康に害を与えず、また、印刷用紙が変色等しないよう、水やエタノールを用いることが好ましい。
【0055】
横側面部液体塗布手段の幅についても限定されるものではなく、接触する印刷用紙の横側面部の一辺と同じ長さであっても良いし、図3(a)に示すように、その一部分が接触するように設けることもできる。
【0056】
横側面部液体塗布手段の高さについても限定されるものではなく、例えば印刷用紙の最大積載時の高さと同じまたはそれ以上の高さでも良い。また、後述のように、高さ方向に複数に分割された横側面部液体塗布手段からなり、あわせた高さが印刷用紙の最大積載時の高さと同じまたはそれ以上の高さになるようにしても良い。
【0057】
そして、横側面部液体塗布手段のうち給紙台上に積載された印刷用紙の側面と接触する部分を、給紙台上の印刷用紙残量に応じて変更できるように構成することが好ましい。
【0058】
これは、横側面部液体塗布手段を印刷用紙の横側面部全体に同時に接触させた場合、積載下部側の印刷用紙は接触時間が長くなるため、液体が過剰に供給されて印刷用紙にシワや破れが生じる恐れがある。しかし、上記構成を有することによって、液体の塗布、供給量を調整することが可能になるため、このような事態を防ぐことができるためである。
【0059】
また、印刷を行うことによって給紙台上の印刷用紙の高さは変動するため、横側面部液体塗布手段の高さ方向について、印刷用紙残量に応じて印刷用紙と接触する部分を変更可能に構成することにより、印刷用紙が無くなるまで液体を塗布することが可能になる。
【0060】
このため、横側面部液体塗布手段のうち印刷用紙と接触する部分は、給紙台に積載した印刷用紙のうち、上部にある印刷用紙に対応する部分であることが好ましく、画像形成装置に給紙される直前の印刷用紙に液体を塗布するように構成することが好ましい。
【0061】
具体的には、例えば図3(b)に示すように、横側面部液体塗布手段を高さ方向に複数に分割して配置し(12a〜14a、12b〜14b)、横側面部液体塗布手段移動機構(15a〜17a、15b〜17b)により、積載された印刷用紙の高さに応じて横側面部液体塗布手段の所望の部分が印刷用紙と接触するようにその距離を調整することができる。図3(b)では、印刷用紙10が最上部まで積載されているため、最上部の横側面部液体塗布手段12a、12bが印刷用紙と接触し、他の横側面部液体塗布手段(13a、14a、13b、14b)は印刷用紙と離隔している。そして、印刷用紙の残量が少なくなるに従い、印刷用紙と接触する横側面部液体塗布手段を、13a、13bに変更し、その後さらに、14a、14bと変更することができる。ここでは、3つに分割した例で説明したが、これに限定されるものではなく、さらに多数に分割することもできる。
【0062】
また、図3(c)に示すように横側面部液体塗布手段は、高さ方向に一つの横側面部液体塗布手段(12a、12b)を設置し、横側面部液体塗布手段のうち所望の高さの部分について裏面から横側面部液体塗布手段移動機構(15a〜17a、15b〜17b)により距離を調整して接触する構成とすることもできる。
【0063】
そして、横側面部液体塗布手段移動機構としては、積載された印刷用紙と、横側面部液体塗布手段とが接触している状態と、離隔している状態とを切り替えられる様に両者の間の距離を調整できるものであればよく、特に限定されるものではない。例えば、図3(a)に示すように偏心カム15a、15bを軸19a、19bで回転させることによりその距離を調整する方法や、ステッピングモータとラック・アンド・ピニオン機構により構成する方法などが挙げられる。
【0064】
また、画像形成装置が稼動している間、横側面部液体塗布手段と印刷用紙とが接触している状態を維持していると、印刷用紙に対する液体の供給量が過剰になる場合がある。このため、横側面部液体塗布手段と積載された印刷用紙とを所定の時間ごとに接触した状態と、離隔した状態とに切り替えることが好ましい。
【0065】
横側面部液体塗布手段と、印刷用紙とが接触している状態と離隔している状態を切り替える基準としては特に限定されるものではなく、画像形成装置の稼働時間や、印刷枚数等に基づいて切り替えを行うことができる。
【0066】
例えば、画像形成装置の稼働時間(印刷時間)を基準として切り替えを行う場合、画像形成装置は、画像形成装置の稼働時間を検出する稼働時間検出手段を備えることとなる。そして、稼働時間検出手段により検出した稼働時間に基づいて、所定時間ごとに横側面部液体塗布手段が前記印刷用紙と接触している状態と、離隔している状態とを変更する(切り替える)ことが好ましい。
【0067】
ここで、横側面部液体塗布手段が前記印刷用紙と接触している状態と、離隔している状態とを変更する方法としては、横側面部液体塗布手段を横側面部液体塗布手段移動機構により移動させ、積載された印刷用紙との間の距離を調整することにより行うことができる。
【0068】
このように横側面部液体塗布手段と、印刷用紙との接離状態を所定時間ごとに切り替えることによって、上記のように印刷用紙に対する液体の供給量を調整することが可能になり、用紙にシワや破れが生じにくくなり好ましい。
【0069】
なお、ここでいう稼働時間とは印刷用紙を給紙台に積載し、ユーザーが印刷命令を出してからの稼働時間(印刷時間)を意味している。
【0070】
また、横側面部液体塗布手段と積載された印刷用紙との接離状態を切り替える所定時間については限定されるものではない。例えば、ユーザーが任意に規定できるようにすることも可能であるし、印刷用紙の種類、環境温度、環境湿度等のパラメータから決定するように構成することもできる。
【0071】
そして、上記のように画像形成装置は横側面部液体塗布手段移動機構を制御する横側面部液体塗布手段移動機構制御部を備えていることが好ましい。さらに、横側面部液体塗布手段移動機構制御部は、給紙台上に積載された印刷用紙の種類および/または環境温度、湿度に応じて、横側面部液体塗布手段と、給紙台上に積載された印刷用紙とが接触している時間を選択するように構成されていることが好ましい。
【0072】
これは、印刷用紙の種類や、環境温湿度(環境温度及び環境湿度)によって、印刷用紙の乾燥度合いや、吸収できる液体の量が変化するためである。
【0073】
具体的には例えば、厚紙などに比べて薄紙やコート紙のように表面処理がなされた印刷用紙は、過剰に液体が塗布されると用紙の波打ちや表面処理剤に不具合が生じる場合がある。
【0074】
このため、これらのパラメータに基づいて横側面部液体塗布手段が積載している印刷用紙と接触している時間を選択することによって、最適な液体塗布量とすることが可能になる。
【0075】
印刷用紙の種類および/または環境温度、湿度に応じた横側面部液体塗布手段と、印刷用紙との接触時間は、予めシーケンステーブルに設定され図2のROM502に格納しておくことができる。そして、印刷用紙の種類および/または環境温湿度について各検出器により検出し、検出器からの検出値により、シーケンステーブルに従って横側面部液体塗布手段と、給紙台上に積載された印刷用紙との間の距離、つまり、横側面部液体塗布手段と印刷用紙との接離状態を制御することができる。
【0076】
また、操作パネルからユーザーが横側面部液体塗布手段と、印刷用紙との接触時間等を設定、変更できるように構成することもできる。
【0077】
制御の内容は、特に限定されず、上記パラメータに応じて適切な液体塗布量となるように制御を行えばよい。例えば横側面部液体塗布手段と積載された印刷用紙とが接触と離隔とを繰り返す方法、つまり、横側面部液体塗布手段と印刷用紙とが一定時間接触した後、吸水過剰を防ぐために離隔した後、印刷用紙が乾燥するのを防止するために再び両者を接触させる等が挙げられる。
【0078】
そして、図3(a)では、横側面部液体塗布手段とは別に、積載した印刷用紙の用紙位置を規制するサイドフェンス7a、7bを設けているが、図3(d)のように液体塗布手段をサイドフェンスと一体とする構成としても良い。
【0079】
サイドフェンスと液体塗布装置を一体とすることで用紙位置規制のための移動機構や制御を共通化し簡易な構成とすることが可能となる。
【0080】
本実施形態に係る画像形成装置を用いて印刷する際の制御フロー例について図4を用いて説明する。
【0081】
まず、ユーザーにより印刷用紙が給紙台にセットされ印刷が指示されると、印刷用紙の種類と環境温湿度(温度、湿度)情報に従ってシーケンステーブルの情報が読み込まれ、横側面部液体塗布手段の接離調整間隔(接触した状態と、離隔した状態の時間間隔)が設定される。
【0082】
次に、液体塗布手段の位置設定を行うイニシャライズ動作を行う。
【0083】
イニシャライズ動作は例えば、一度印刷用紙サイズ幅より大きい幅まで移動し、次に印刷用紙のサイズ幅まで戻す動作を行い、サイドフェンス位置及び横側面部液体塗布手段の位置を設定する。
【0084】
次に給紙台を上昇させ給紙コロに積載した印刷用紙の上端部が押し付けられると横側面部液体塗布手段が当接位置へと変位する。
【0085】
そして、印刷動作が開始される。印刷動作では常に積載された印刷用紙の最上部が給紙コロ部に位置するように積載した印刷用紙の上端が検知され給紙台の位置制御が行われている。
【0086】
横側面部液体塗布手段の給紙台上に積載された印刷用紙と接触している部分を検出し、検出した印刷用紙の上端と対応した部分が接触しているかを判定する。横側面部液体塗布手段の接触する部分が、印刷用紙の上端と対応した部分ではないと判定した場合には、横側面部液体塗布手段の印刷用紙と接触している部分を、検出した印刷用紙の上端と対応した部分に変更する。
【0087】
また、横側面部液体塗布手段の接触または離隔している時間を算出し、印刷中に横側面部液体塗布手段の接離調整間隔、すなわち、横側面部液体塗布手段と印刷用紙が接触または離隔している時間の上限時間に達したかを判定する。接離調整間隔に達していた場合、両者が接触していた場合には離隔させ、離隔した状態であったら接触させる接離動作を実施する。
【0088】
ここで、横側面部液体塗布手段が印刷用紙に接触または離隔している時間を算出する方法は特に限定されず、例えば、印刷枚数に基づいて計算することもできるし、具体的に時間を測定してもよい。
【0089】
指定枚数を印刷終了するまで横側面部液体塗布手段の接触している部分の検出と、印刷用紙の上端に対応した部分への変更動作、および、指定枚数を印刷終了するまで横側面部液体塗布手段の接離動作を繰り返し行う。そして、指定枚数を印刷した時点で動作完了となる。
【0090】
以上に説明してきた本実施形態の画像形成装置によれば、給紙台上に積載された印刷用紙の側面のうち、給紙方向と平行な横側面部を湿潤させることにより印刷用紙に付着した紙粉が液体を吸収する。このため、画像形成装置内での紙粉の飛散を抑制し、記録ヘッドのノズルダウン発生を防止することができる。
【0091】
また、印刷用紙の記録面については紙粉飛散防止用の液体を塗布していないため、インク滲みや裏抜け等の画像品質への影響や、用紙シワや破れ等の印刷用紙自体の不具合を抑制することが可能になる。
【0092】
さらに、印刷用紙の側面を湿潤させることにより低湿度環境での静電気発生を防止できるため、画像形成装置に印刷用紙を給紙する際、複数毎同時に供給すること(重送)を防止することができ、排紙台での紙揃え(排紙揃え)も向上することができる。
[第2の実施形態]
本実施の形態では、画像形成装置の第2の構成例について説明する。
【0093】
本実施形態の画像形成装置は、記録ヘッドからインク液滴を噴射させ、印刷用紙に画像形成する画像形成装置において次の構成を備えている。
【0094】
印刷用紙を積載する給紙台と、前記給紙台上に積載された印刷用紙の側面に液体を塗布する液体塗布手段と、前記液体塗布手段と前記給紙台上に積載された印刷用紙の側面との間の距離を変更することが可能な液体塗布手段移動機構とを備えている。そして、前記液体塗布手段は、前記給紙台上に積載された印刷用紙の側面のうち、給紙方向の先端面に液体を塗布する先端面液体塗布手段であることを特徴とする画像形成装置画像形成装置である。
【0095】
ここでは、第1の実施形態と異なる点について説明する。画像形成装置全体および制御手段の構成例については、第1の実施形態で説明したものと同様であることから、ここでは省略する。
【0096】
図5を用いて、本実施形態の液体塗布手段およびその周辺部の構成について説明する。
【0097】
図5(a)は、給紙台およびその周辺部分の横断面図であり、図5(b)は給紙台およびその周辺の上面図を示している。なお、図5(b)においては、先端面液体塗布手段の配置が分かり易いよう、給紙コロ21、給紙ローラー22、分離パッド23については、記載を省略している。
【0098】
給紙台2上には印刷用紙10を積載し、サイドフェンス7により印刷用紙10の位置を規制している。
【0099】
印刷に伴い印刷用紙10の積載量は減少していくため、積載された印刷用紙の最上部が常に給紙コロ21に押し付けられるように給紙台2が印刷用紙残量に応じて上昇するように制御されている。
【0100】
給紙コロ21により給紙された用紙は分離パッド23と給紙ローラー22により、図5には図示していない、印刷用紙に印字する液滴となるインキを吐出するヘッドを備えた画像形成ユニット下へと搬送される。
【0101】
そして、先端面液体塗布手段24は図5(a)に示すように画像形成装置本体1に設けられ、給紙台2上に積載された印刷用紙10の側面のうち、給紙方向の先端面に接触し、液体を塗布できるように配置されている。
【0102】
先端面液体塗布手段24は印刷用紙の側面のうち給紙方向の先端面に液体を塗布することが可能であればよくその材質、形状等の構成は限定されるものではない。例えば、印刷用紙と接触する面はスポンジや、不織布、布等の一定量の液体をその表面に保持できる材料からなることが好ましい。形状としては、例えば、平板状とすることができる。また、印刷用紙と接触する表面を波形状等の凹凸形状とすることもできる。
【0103】
先端面液体塗布手段24は図示しない液体タンクやチューブ、ポンプなどにより液体が供給され、液体を保持した状態となっている。
【0104】
用いる液体の種類は特に限定されるものではなく、例えば水や有機物質等を用いることができる。特に、入手が容易であり作業者が吸引しても健康に害を与えず、また、印刷用紙が変色等しないよう、水やエタノールを用いることが好ましい。
【0105】
先端面液体塗布手段24のサイズについても限定されるものではなく、図5(b)に示すように、その横幅としては、印刷用紙の先端面全体に液体を塗布できるよう、印刷用紙の(先端面の)一辺と同じまたは、それ以上の長さであることが好ましいが、印刷用紙の一部分に接触するように設けることもできる。
【0106】
先端面液体塗布手段24の高さ、すなわち、印刷用紙の積載高さ方向の長さについても特に限定されるものではなく、画像形成装置本体に給紙する印刷用紙の先端面に液体が塗布できるよう給紙速度や、印刷用紙の積載量に応じて選択することができる。
【0107】
例えば、積載した印刷用紙全てに同時に液体を塗布できるよう、印刷用紙を最大に積載した際の高さと同じまたはそれよりも長くしても良い。また、図5(a)に示すように、積載した印刷用紙の一部と接触できる高さ、すなわち、積載した印刷用紙の少なくとも給紙ローラー近傍の印刷用紙に液体を塗布できる高さとすることもできる。
【0108】
そして、先端面液体塗布手段は先端面液体塗布手段と前記印刷用紙の前記先端面との間の距離を変更できるように、すなわち、印刷用紙の先端面(側面)と接離自在に構成されていることが好ましい。
【0109】
これは、印刷用紙と先端面液体塗布手段とを接触した状態で長い時間保持していると、印刷用紙に対して液体の供給が過剰になり、印刷用紙にシワ、破れ等を生じる恐れがあるためである。
【0110】
具体的な構成は限定されるものではないが、例えば先端面液体塗布手段を水平方向に移動させる先端面液体塗布手段移動機構を備えていることが好ましい。そして、前記先端面液体塗布手段移動機構を制御する先端面液体塗布手段移動機構制御部をさらに備えており、各種制御条件に基づいて、先端面液体塗布手段と積載された印刷用紙との間の距離を調整できることが好ましい。
【0111】
先端面液体塗布手段移動機構は、特に限定されるものではなく、例えば、第1の実施形態で説明したような偏心カムによって両者の距離を変更可能なように構成する方法や、ステッピングモータ26とラック・アンド・ピニオン機構25により構成する方法が挙げられる。印刷用紙先端面に液体を塗布する場合には先端面液体塗布手段24が印刷用紙の当接位置に移動する。
【0112】
その場合、先端面液体塗布手段により用紙が押し出されるのを防止するため、給紙台が上昇し用紙が給紙コロ21に押し付けられている状態で先端面液体塗布手段を当接位置に移動し用紙先端面に接触するように制御されることが好ましい。
【0113】
画像形成装置が稼動している間、先端面液体塗布手段と印刷用紙とが接触している状態を維持していると、印刷用紙に対する液体の供給量が過剰になる場合がある。このため、先端面液体塗布手段と積載された印刷用紙とを所定の時間ごとに接触した状態と、離隔した状態とに切り替えることが好ましい。
【0114】
先端面液体塗布手段と、印刷用紙とが接触している状態と離隔している状態を切り替える基準としては特に限定されるものではなく、画像形成装置の稼働時間や、印刷枚数等に基づいて切り替えを行うことができる。
【0115】
例えば、画像形成装置の稼働時間(印刷時間)を基準として切り替えを行う場合、画像形成装置は、画像形成装置の稼働時間を検出する稼働時間検出手段を備えることとなる。そして、稼働時間検出手段により検出した稼働時間に基づいて、所定時間ごとに先端面液体塗布手段が前記給紙台上に積載された印刷用紙と接触している状態と、離隔している状態とを変更する(切り替える)ことが好ましい。
【0116】
ここで、先端面液体塗布手段が前記印刷用紙と接触している状態と、離隔している状態とを変更する方法としては、先端面液体塗布手段を先端面液体塗布手段移動機構により移動させ、積載された印刷用紙との間の距離を調整することにより行うことができる。
【0117】
このように先端面液体塗布手段と、印刷用紙との接離状態を所定時間ごとに切り替えることによって、上記のように印刷用紙に対する液体の供給量を調整することが可能になり、用紙にシワや破れが生じにくくなり好ましい。
【0118】
なお、ここでいう稼働時間とは印刷用紙を給紙台に積載し、ユーザーが印刷命令を出してからの稼働時間(印刷時間)を意味している。
【0119】
また、先端面液体塗布手段と積載された印刷用紙との接離状態を切り替える所定時間については限定されるものではない。例えば、ユーザーが任意に規定できるようにすることも可能であるし、用紙の種類、環境温度、環境湿度等のパラメータから決定するように構成することもできる。
【0120】
そして、画像形成装置は、先端面液体塗布手段移動機構を制御する先端面液体塗布手段移動機構制御部を備えていることが好ましい。さらに、先端面液体塗布手段移動機構制御部は、給紙台上に積載された印刷用紙の種類および/または環境温度、湿度に応じて、先端面液体塗布手段と、印刷用紙とが接触している時間を選択するように構成されていることが好ましい。
【0121】
印刷用紙の種類や、環境温湿度によって、必要な液体塗布量、液体を吸収する程度は変化する。このため、これらのパラメータに応じた量の液体を塗布することにより、印刷用紙を適切な湿り具合とすることが可能となり印刷用紙にシワや破れが生じることを防止することができる。また、画像形成装置内での紙粉の飛散防止など、本発明の効果をより適切に発揮することが可能になる。
【0122】
例えば、厚紙などに比べて薄紙やコート紙のように表面してある用紙は、過剰に液体が塗布されると用紙の波打ちや表面処理剤に不具合が生じる場合があるため接触時間を短くすることが好ましい。
【0123】
また、環境温度、環境湿度によって印刷用紙の状態は変化するため、これらに応じた液体の塗布量になるように接触時間を選択することが好ましい。
【0124】
印刷用紙の種類および/または環境温湿度に応じて先端面液体塗布手段と、印刷用紙との接触時間は、予めシーケンステーブルに設定され図2のROM502に格納しておくことができる。そして、印刷用紙の種類および/または環境温湿度の検出器からの検出値により、シーケンステーブルに従って先端面液体塗布手段と、給紙台に積載された印刷用紙との間の距離、つまり、先端面液体塗布手段と印刷用紙との接離状態を制御することができる。印刷用紙10の種類等の情報については、自動的に検出できるよう構成することもできるが、操作パネル520によりユーザーが入力するように構成しても良い。
【0125】
また、操作パネル520等からユーザーが先端面液体塗布手段と、印刷用紙との接触時間を選択、設定することができるように構成することもできる。
【0126】
一定時間先端面液体塗布手段が接触し、吸水過剰を防ぐためにシーケンステーブルの設定に従い離隔した後は、用紙が完全に乾燥するのを防止するために、一定時間経過後に再び塗布手段を印刷用紙に接触させることもできる。また、これらの動作を繰り返し行うこともできる。
【0127】
本実施形態に係る画像形成装置を用いて印刷する際の制御フロー例について図6を用いて説明する。
【0128】
まず、ユーザーにより印刷用紙が給紙台にセットされ印刷が指示されると、印刷用紙の種類と環境温湿度(温度、湿度)情報に従ってシーケンステーブルの情報が読み込まれ、先端面液体塗布手段の接離調整間隔(接触した状態と、離隔した状態の時間間隔)が設定される。
【0129】
次に、液体塗布手段の位置設定を行うイニシャライズ動作を行う。
【0130】
イニシャライズ動作は例えば、先端面液体塗布手段について、位置設定をイニシャライズしホームポジションを検知する。
【0131】
次に給紙台を上昇させ給紙コロに積載した印刷用紙の上端部が押し付けられると先端面液体塗布手段が当接位置へと変位する。
【0132】
そして、印刷動作が開始される。印刷動作では常に積載された印刷用紙の最上部が給紙コロ部に位置するように積載した印刷用紙の上端が検知され給紙台の位置制御が行われている。
【0133】
先端面液体塗布手段の接触または離隔している時間を算出し、印刷中に先端面液体塗布手段の接離調整間隔、すなわち、先端面液体塗布手段と印刷用紙が接触または離隔している時間の上限時間に達したかを判定する。接離調整間隔に達していた場合、両者が接触していた場合には離隔させ、離隔した状態であったら接触させる接離動作を実施する。
【0134】
ここで、先端面液体塗布手段が印刷用紙に接触または離隔している時間を算出する方法は特に限定されず、例えば、印刷枚数に基づいて計算することもできるし、具体的に時間を測定してもよい。
【0135】
そして、指定枚数を印刷終了するまで先端面液体塗布手段の接離動作を繰り返し行い、指定枚数を印刷した時点で動作完了となる。
【0136】
以上に説明してきた本実施形態の画像形成装置によれば、給紙台上に積載された印刷用紙の側面のうち、給紙方向の先端面を液体により湿潤させることにより印刷用紙に付着した紙粉が液体を吸収する。このため、画像形成装置内での紙粉の飛散を抑制し、記録ヘッドのノズルダウン発生を防止することができる。
【0137】
また、印刷用紙の記録面については紙粉飛散防止用の液体を塗布していないため、インク滲みや裏抜け等の画像品質への影響や、用紙シワや破れ等の印刷用紙自体の不具合を抑制することが可能になる。
【0138】
さらに、印刷用紙の先端面を湿潤させることにより低湿度環境での静電気発生を防止できるため、画像形成装置に印刷用紙を給紙する際、複数毎同時に供給すること(重送)を防止することができ、排紙台での紙揃え(排紙揃え)も向上することができる。
[第3の実施形態]
本実施の形態では、画像形成装置の第3の構成例について説明する。
【0139】
本実施形態の画像形成装置は、記録ヘッドからインク液滴を噴射させ、印刷用紙に画像形成する画像形成装置において、以下の構成を有するものである。
【0140】
印刷用紙を積載する給紙台と、給紙台上に積載された印刷用紙の側面に液体を塗布する液体塗布手段と、前記液体塗布手段と前記印刷用紙の側面との間の距離を変更することが可能な液体塗布手段移動機構とを備えている。そして、前記液体塗布手段は、前記給紙台上に積載された印刷用紙の側面のうち、給紙方向と平行な横側面に液体を塗布する横側面部液体塗布手段および前記給紙台上に積載された印刷用紙の側面のうち、給紙方向の先端面に液体を塗布する先端面液体塗布手段であることを特徴とする画像形成装置である。
【0141】
本実施形態の画像形成装置は、すなわち、第1の実施形態、第2の実施形態で説明した横側面部液体塗布装置および先端面液体塗布装置を同時に備え、これらの液体塗布装置に付帯する移動機構等を備えたものである。
【0142】
画像形成装置全体および制御手段の構成については、第1の実施形態で説明したものと同様であることから、ここでは省略する。
【0143】
図7を用いて、本実施形態の液体塗布手段およびその周辺部の構成について説明する。
【0144】
図7は、給紙台およびその周辺部分の上面図を示している。なお、図7においては、先端面液体塗布手段の配置が分かり易いよう、給紙コロ21、給紙ローラー22、分離パッド23については、記載を省略している。
【0145】
図7に示すように、本発明の画像形成装置においては、液体塗布手段として横側面部液体塗布手段(12a、12b)および、先端面液体塗布手段24を備えている。なお、図7においては、横側面部液体塗布手段12a、12bとサイドフェンス7は一体のものとして記載しているが、係る形態に限定されるものではなく、第1の実施形態で説明したように、横側面部液体塗布手段と、サイドフェンス7を別に配置しても良い。
【0146】
また、第1の実施形態で説明したように、印刷用紙の側面のうち、給紙方向と平行な横側面は2面あるところ、いずれか一方の面のみでもよいが、図7に示すように両横側面に液体を塗布できるよう、両横側面に横側面部液体塗布手段を有することが好ましい。
【0147】
各液体塗布装置およびこれに付帯する移動機構、場合によっては制御手段の構成については、第1の実施形態、第2の実施形態で説明したとおりであるのでここでは省略する。
【0148】
このように、横側面部液体塗布手段と、先端面液体塗布手段とを同時に備えることによって、印刷用紙の複数の側面に液体を塗布することが可能になる。このため、画像形成装置内での紙粉の飛散をより抑制することが可能になり、記録ヘッドのノズルダウン発生を防止することができる。
【0149】
また、印刷用紙の記録面については紙粉飛散防止用の液体を塗布していないため、インク滲みや裏抜け等の画像品質への影響や、用紙シワや破れ等の印刷用紙自体の不具合を抑制することが可能になる。
【0150】
さらに、印刷用紙の側面を湿潤させることにより低湿度環境での静電気発生を防止できるため、画像形成装置に印刷用紙を給紙する際、複数枚同時に供給すること(重送)を防止することができ、排紙台での紙揃え(排紙揃え)も向上することができる。
【0151】
そして、第1の実施形態でも説明したように、横側面部液体塗布手段のうち給紙台上に積載された印刷用紙の側面と接触する部分を、給紙台上の印刷用紙残量に応じて変更できるように構成されていることが好ましい。
【0152】
これは、第1の実施形態で説明したように、横側面部液体塗布手段を一律に印刷用紙に接触させていると積載下部側の印刷用紙に液体が過剰に供給され、印刷用紙にシワや破れが生じる恐れがある。しかし、上記構成を有することによって、液体の塗布、供給量を調整することが可能になるため、このような事態を防ぐことができる。
【0153】
また、横側面部液体塗布手段の高さ方向について、印刷用紙残量に応じて印刷用紙と接触する部分を変更できるように構成することにより、印刷用紙が無くなるまで用紙端部に液体を塗布することが可能になる。
【0154】
第1、第2の実施形態でも説明したように、画像形成装置は、前記画像形成装置の稼働時間を検出する稼働時間検出手段を備えていることが好ましい。そして、稼働時間検出手段により検出した稼働時間に基づいて、所定時間ごとに液体塗布手段が前記給紙台上に積載された印刷用紙と接触している状態と、離隔している状態とを(接離状態)変更できるように構成されていることが好ましい。
【0155】
なお、ここで稼働時間に基づいて接離状態を変更する液体塗布手段としては横側面部液体塗布手段または先端面液体塗布手段のいずれか一方でも良いが、両方について制御を行う方が、印刷用紙にシワや破れの発生をより抑制できるため好ましい。
【0156】
このように、所定時間ごとに液体塗布手段と印刷用紙との接離状態を切り替えることによって、給紙直前の印刷用紙に適量の液体を供給することが可能になり、印刷用紙にシワや破れが生じにくくなる。なお、接離状態の切り替えは、第1、第2の実施形態でも記載したように、液体塗布手段移動機構により行うことができる。
【0157】
さらに、画像形成装置は、液体塗布手段移動機構制御部、すなわち、横側面部液体塗布手段移動機構を制御する横側面部液体塗布手段移動機構制御部と、先端面液体塗布手段移動機構を制御する先端面液体塗布手段移動機構制御部とを備えていることが好ましい。そして、液体塗布手段移動機構制御部は、給紙台上に積載された印刷用紙の種類および/または環境温度、湿度に応じて、液体塗布手段と、給紙台上に積載された印刷用紙とが接触している時間を選択するように構成されていることが好ましい。
【0158】
なお、液体塗布手段移動機構制御部は、横側面部液体塗布手段または先端面液体塗布手段のいずれか一方のみ印刷用紙との接触時間を制御しても良いが、両方について制御を行うほうが印刷用紙のシワや破れの発生をより防止することができるため好ましい。
【0159】
第1、第2の実施形態で説明したように、印刷用紙の種類や、環境温湿度によって、必要な液体塗布量、液体を吸収する程度は変化する。このため、これらのパラメータに応じた量の液体を塗布することにより、印刷用紙を適切な湿り具合とすることが可能となり印刷用紙にシワや破れが生じることを防止することができる。また、画像形成装置内での紙粉の飛散防止など、本発明の効果をより適切に発揮することが可能になる。
【0160】
本実施形態に係る画像形成装置を用いて印刷する際の制御フローとしては、例えば、第1の実施形態で説明した図4、および、第2の実施形態で説明した図6と同様のフローを同時に行うことによって実施することができる。
【符号の説明】
【0161】
2 給紙台
10 印刷用紙
12a〜14a、12b〜14b 横側面部液体塗布手段
15a〜17a、15b〜17b 横側面部液体塗布手段移動機構
24 先端面液体塗布手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0162】
【特許文献1】特開2011−105476号公報
【特許文献2】特開2003−165203号公報
【特許文献3】特開平11−170484号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録ヘッドからインク液滴を噴射させ、印刷用紙に画像形成する画像形成装置において、
印刷用紙を積載する給紙台と、
前記給紙台上に積載された印刷用紙の側面に液体を塗布する液体塗布手段と、
前記液体塗布手段と前記給紙台上に積載された印刷用紙の側面との間の距離を変更することが可能な液体塗布手段移動機構とを備えており、
前記液体塗布手段は、前記給紙台上に積載された印刷用紙の側面のうち、給紙方向と平行な横側面に液体を塗布する横側面部液体塗布手段および/または前記給紙台上に積載された印刷用紙の側面のうち、給紙方向の先端面に液体を塗布する先端面液体塗布手段であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記横側面部液体塗布手段のうち前記給紙台上に積載された印刷用紙の側面と接触する部分を、前記給紙台上の印刷用紙残量に応じて変更することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置は、前記液体塗布手段移動機構を制御する液体塗布手段移動機構制御部を備えており、
前記液体塗布手段移動機構制御部は、前記給紙台上に積載された印刷用紙の種類および/または環境温度、湿度に応じて、前記液体塗布手段と、前記給紙台上に積載された印刷用紙とが接触している時間を選択することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置は、前記画像形成装置の稼働時間を検出する稼働時間検出手段を備えており、
前記稼働時間検出手段により検出した稼働時間に基づいて、所定時間ごとに前記液体塗布手段が前記給紙台上に積載された印刷用紙と接触している状態と、離隔している状態とを変更することを特徴とする請求項1乃至3いずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−107221(P2013−107221A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251952(P2011−251952)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】