説明

画像形成装置

【課題】トナーが飛散して本体側シャッタ又は現像装置が汚れることを効果的に防止した画像形成装置を提供する。
【解決手段】装置本体2に対して着脱可能に構成されたトナーカートリッジ47と、カートリッジ47のトナー排出口を開閉するカートリッジ側シャッタと、装置本体側のトナー受入口441を開閉する本体側シャッタと、カートリッジ側シャッタ10の移動を規制すると共に解除力の入力により移動規制を解除するロック機構90と、ロック機構90に接触することにより、解除力を入力するロック解除部95とを有する。両シャッタ10,60は、カートリッジ47の装着時に互いに接触し合い、カートリッジ47が装着方向へ押される力を利用して開く方向に移動可能に構成されている。ロック解除部95は、カートリッジ47の装着動作を通じて本体側シャッタ60が開いた時点以降に、ロック機構90に接触して解除力を入力するように、ロック機構90との位置関係が設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーを供給するためのトナーカートリッジが装置本体に対して着脱可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ又は複写機などの画像形成装置として、感光体の表面に形成された静電潜像をトナー(現像剤)で現像することによりトナー像を形成し、当該トナー像を記録紙に転写することにより記録紙に画像を形成する構成が知られている。感光体は、感光体ドラムの表面に形成されており、当該感光体ドラムの表面に対向するように設けられた現像装置から、感光体ドラムの表面にトナーを供給することにより、感光ドラムの表面にトナー像を形成する。
【0003】
この種の画像形成装置には、トナーカートリッジを装置本体に対して着脱可能にし、装置本体に装着されたトナーカートリッジ内のトナーを現像装置内に供給可能に構成されたものがある。この場合、トナーカートリッジにはトナー排出口が形成され、現像装置には受入口が形成されており、トナーカートリッジ内のトナーが、トナー排出口及び受入口を介して現像装置内に供給される。
【0004】
上記のような画像形成装置に用いられるトナーカートリッジ又は現像装置を輸送する際などには、内部に収容されているトナーがトナー排出口又は受入口から漏れないようにする必要がある。そこで、例えば、特許文献1には、トナーカートリッジのトナー排出口を開閉するカートリッジ側シャッタと、装置本体側のトナー受入口を開閉する本体側シャッタとを有し、トナーカートリッジが装着された状態において両シャッタを開状態にしてトナー排出口から装置本体側の受入口へトナーを供給することを可能にした画像形成装置が開示されている。この特許文献1では、両シャッタは、トナーカートリッジが装着された後で、装置本体側から駆動力を受けて開閉するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−139110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の画像形成装置は、シャッタを開閉するためにモータ等の駆動力発生部が装置本体に設けられているために、機構が複雑化し且つ装置自体の大型化を招来してしまう。そこで、シャッタを開閉するための機構を簡素化するために、カートリッジの装着時に両シャッタ同士を互いに接触させて、トナーカートリッジが装着方向へ押される力を利用して両シャッタを開くように構成することが一つの有効な手段として考えられる。
【0007】
ところが、この場合、トナーカートリッジが装着方向に押されるに伴い双方のシャッタがそれぞれ開く方向に動くので、本体側シャッタが完全に開く前にカートリッジ側シャッタが開く場合があり、トナーが飛散して本体側シャッタ又は現像装置が汚れてしまうおそれが考えられる。
【0008】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、その目的は、両シャッタの開閉タイミングを的確に制御して、トナーが飛散して本体側シャッタ又は現像装置が汚れることを効果的に防止した画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じている。
【0010】
すなわち、本発明の画像形成装置は、装置本体に対して着脱可能に構成され、前記装置本体に装着された状態で前記装置本体側のトナー受入口に対向するトナー排出口を有するトナーカートリッジと、前記トナー排出口を開放する開放位置又は前記トナー排出口を塞ぐ閉塞位置のいずれかに移動可能に設けられたカートリッジ側シャッタと、前記トナー受入口を開放する開放位置又は前記トナー受入口を塞ぐ閉塞位置のいずれかに移動可能に設けられた本体側シャッタと、前記カートリッジ側シャッタが前記閉塞位置から前記開放位置に移動することを規制すると共に解除力の入力により当該規制を解除するロック機構と、前記トナーカートリッジの装着動作に伴い前記トナーカートリッジと共に移動する前記ロック機構に接触することにより、前記ロック機構に前記解除力を入力するロック解除部とを具備し、前記両シャッタは、前記トナーカートリッジの装着時に互いに接触し合い、前記トナーカートリッジが装着方向へ押される力を利用して前記閉塞位置から前記開放位置に移動可能に構成されており、前記ロック解除部は、前記トナーカートリッジの装着動作を通じて前記本体側シャッタが前記開放位置に移動した時点以降に前記ロック機構に接触して前記解除力を入力するように、前記ロック機構との位置関係が設定されていることを特徴とする。
【0011】
このように構成すれば、トナーカートリッジの装着初期段階では、ロック機構によりカートリッジ側シャッタの移動が規制されているので、トナーカートリッジが装着方向に押される力によってカートリッジ側シャッタが閉塞位置にある状態を維持したまま、本体側シャッタが閉塞位置から開放位置に移動する。本体側シャッタが開放位置に移動した時点以降にロック機構にロック解除部が接触してロック機構に解除力が入力される。すると、ロック機構によるカートリッジ側シャッタの移動規制が解除され、カートリッジ側シャッタが開放位置に向けて移動可能となる。したがって、カートリッジ側シャッタが移動可能になる時点では、本体側シャッタが開放位置にあるので、カートリッジのトナー排出口からトナーが出てもトナー受入口で適切に受け取られ、トナーが飛散して本体側シャッタ又は現像装置が汚れることを効果的に防止できる。
【0012】
簡易な構成でロック機構を実現し、且つ、カートリッジ側シャッタを的確に動作させるためには、前記ロック機構は、前記カートリッジ側シャッタの移動を規制する規制姿勢又は当該規制姿勢から退避した非規制姿勢のいずれかの姿勢に、所定軸回りの回転により姿勢変更可能に構成されており、前記ロック解除部は、前記ロック機構のうち前記所定軸から変位した部位に接触することにより前記ロック機構の姿勢を変更することが好ましい。
【0013】
トナーカートリッジの収容空間を形成する部材を有効利用するためには、前記ロック解除部は、前記トナーカートリッジを収容する収容空間を形成する壁部に設けられていることが望ましい。
【0014】
上記ロック機構によるロック解除のタイミングを精度よく設定するためには、前記トナー受入口が形成される現像装置が前記装置本体に対して着脱可能に構成されており、前記ロック解除部は、前記現像装置に設けられていることが効果的である。
【0015】
トナーの飛散を抑制するためには、前記トナー受入口は、前記トナー排出口よりも大きな開口に設定されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、以上説明した構成であるので、ロック機構によりカートリッジ側シャッタがロックされているカートリッジの装着初期段階では、トナーカートリッジが装着方向に押される力によって本体側シャッタのみが開く。その後、本体側シャッタが開いた時点以降に、ロック解除部によりロック機構が解除され、カートリッジ側シャッタが移動可能となる。したがって、カートリッジ側シャッタが移動可能となる時点では、本体側シャッタが開いた状態でトナー受入口が開放されているので、カートリッジのトナー排出口からトナーが出ても、トナー受入口で適切に受け取られ、トナーが飛散して本体側シャッタ又は現像装置が汚れることを効果的に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構成を模式的に示す概略断面図。
【図2】閉塞位置にあるカートリッジ側シャッタを模式的に示す部分斜視図。
【図3】開放位置にあるカートリッジ側シャッタを模式的に示す部分斜視図。
【図4】閉塞位置にある本体側シャッタを模式的に示す部分平面図。
【図5】開放位置にある本体側シャッタを模式的に示す部分平面図。
【図6】装着途中におけるカートリッジ側シャッタ及び本体側シャッタの位置関係を模式的に示す部分斜視図。
【図7A】トナーカートリッジ装着時の各部の位置関係を模式的に示す図。
【図7B】トナーカートリッジ装着時の各部の位置関係を模式的に示す図。
【図7C】トナーカートリッジ装着時の各部の位置関係を模式的に示す図。
【図7D】トナーカートリッジ装着時の各部の位置関係を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成装置を、図面を参照して説明する。
【0019】
画像形成装置1は、図1に示すように、原稿読取部20で読み取った原稿の画像データに基づいて記録紙に画像形成などを行う複合機であり、その外形が本体ハウジング2により規定されている。本体ハウジング2内には、給紙部3、画像形成部4及び定着部5などが収容されている。
【0020】
給紙部3は、記録紙を収容するための記録紙カセット31を備えており、記録紙カセット31内に設けられた支持板32上に、記録紙を積層した状態で収容することができるようになっている。支持板32は、その一端部に設けられた支軸33を中心に回転可能となっており、支軸33側とは反対側の端部が上方へ付勢されることにより、最上部の記録紙が給紙ローラ34に対して押圧される。この状態で給紙ローラ34が回転駆動されることにより、記録紙カセット31内に収容されている記録紙が、給紙ローラ34と図示しない分離パッドにより分離され、本体ハウジング2の内部に形成された搬送路6に1枚ずつ送り出される。
【0021】
記録紙カセット31から搬送路6に送り出された記録紙は、搬送路6を通って画像形成部4側へ搬送される。そして、搬送路6にある記録紙を厚み方向両側から挟む位置に配置されたレジストローラ7によって、記録紙は画像形成部4の直前で一旦停止され、画像形成部4により記録紙に画像を形成するタイミングに合わせて、画像形成部4に送り出される。
【0022】
画像形成部4は、感光体ドラム41、帯電器42、光書込みユニット43、現像装置44、転写器45及びクリーニング装置46を備え、電子写真方式により記録紙に画像を形成する。円筒状の感光体ドラム41の表面には感光体が形成されており、画像形成時には、回転駆動される感光体ドラム41の表面が帯電器42により一様に帯電される。光書込みユニット43は、外部から入力される画像データや、原稿読取部20で読み取った画像データなどに基づいて、LED(Light-Emitting Diode)又はレーザ光源から光を出力する。帯電器42により一様に帯電された感光体ドラム41の表面には、光書込みユニット43から出力される光で露光されることにより、静電潜像が形成される。
【0023】
現像装置44は、非磁性一成分現像方式を採用しており、トナー貯留室441、トナー貯留室441内に設けられたアジテータ442、供給ローラ443、現像剤担持体としての現像ローラ444を備える。アジテータ442は回転駆動され、これによってトナーをトナー貯留室441内で攪拌させている。また、供給ローラ443も回転駆動されて、現像ローラ444と図示しない規制ブレードとの接触部においてトナーを摩擦帯電させ、現像ローラ444の表面にトナーを吸着させるように構成されている。
【0024】
静電潜像が形成された感光体ドラム41の表面には、現像装置44から供給されるトナーが付着することによりトナー像が形成され、トナー像が転写器45を用いて記録紙に転写される。転写後に感光体ドラム41の表面に残留したトナーは、クリーニング装置46により取り除かれる。転写器45によりトナー像が転写された記録紙は、搬送路6を通って定着部5へ搬送される。
【0025】
定着部5には、所定の温度に加熱される加熱ローラ50と、加熱ローラ50に対して所定の圧力で接する加圧ローラ51とが備えられている。トナー像が転写された記録紙は、加熱ローラ50と加圧ローラ51の間を通過することによりトナーが定着された後、排出ローラ8を介して、本体ハウジング2の外部に形成された排出トレイ9上に排出される。
【0026】
本実施形態では、トナーを内部に収容するトナーカートリッジ47は、本体ハウジング2とも言える装置本体2に対して着脱可能に構成されており、装置本体2に装着された状態でトナーカートリッジ47から現像装置44内にトナーを供給可能にされている。具体的には、現像装置44には上方からトナーを受けるためのトナー受入口441が形成されており、トナーカートリッジ47はトナーを排出するためのトナー排出口471が形成されている。トナーカートリッジ47の装着状態においてトナー排出口471とトナー受入口441が対向するように、両者の位置関係が設定されている。トナー排出口471から落下したトナーは、トナー受入口441を介して現像装置44内に供給される。すなわち、トナーカートリッジ47から現像装置44にトナーが供給される際、トナー排出口471及びトナー受入口441をトナーが通過するようになっている。
【0027】
トナーカートリッジ47は、図1に示すように、装着状態において軸方向が水平方向となる大径円筒部の側面に、大径円筒部よりも径の小さい小径円筒部を合わせた形状をなし、大径円筒部をトナー貯留部472とし、小径円筒部を現像装置44へトナーを供給するトナー供給部473としている。具体的には、トナー貯留部472内に設けられたアジテータ474が、大径筒部の軸回りに回転駆動することにより、トナー貯留部472内のトナーがトナー供給部473へ導かれる。また、円筒状のトナー供給部473の周側面には、下方に向けて開口するトナー排出口471が形成されている。トナー供給部473内に設けられた搬送スクリュー475が回転駆動することにより、トナー供給部473内のトナーがトナー排出口471に導かれて、トナー排出口471から落下する。
【0028】
トナーカートリッジ47は、図1に示すように、トナー貯留部472及びトナー供給部473の軸方向に沿った方向を、装置本体2への着脱方向に設定されている(図1における紙面垂直方向)。本体ハウジング2(すなわち装置本体2)の内部には、トナーカートリッジ47を収容する収容空間21を形成する壁部22が設けられている。この壁部22は、トナーカートリッジ47に接触することにより、トナーカートリッジ47の着脱方向に沿ったスライド移動をガイドするガイド部の役割を担っている。収容空間21の上方には、収容空間21及び帯電器42周囲の空気を装置本体2の外部に排出するための空気流路23aを形成するダクト23が配置してある。ダクト23内部の下流側には、空気を排出するためのファン24が設けられている。ダクト23の下壁は、上記収容空間21を形成する壁部22の一部として用いられている。また、図6に示すように、ダクト23の下壁にはトナーカートリッジ47の装着方向に沿って垂下する垂下壁23bが設けられ、この垂下壁23bがトナーカートリッジ47の側部に当接してスライド移動をガイドするガイド部の役割を担っている。
【0029】
図2及び図3に示すように、トナーカートリッジ47には、トナー排出口471を開閉するためのカートリッジ側シャッタ10が設けられている。カートリッジ側シャッタ10は、一部に開口11aが形成された板状部位11を有し、開口11aを通じてトナー排出口471を開放する開放位置(図3参照)又は板状部位11でトナー排出口471を塞ぐ閉塞位置(図2参照)のいずれかに、カートリッジ47の着脱方向に沿ってスライド移動可能に構成されている。具体的には、カートリッジ側シャッタ10は、円筒状をなすトナー供給部473の下方を覆う位置に配置される下方板状部位11と、トナー供給部473の側方を覆う位置に配置される側方板状部位12とを有し、これら二つの板状部位11,12を突き合わせた横断面L字状に形成されている。側方板状部位12は、トナーカートリッジ47の着脱方向に沿った長穴12aを有し、トナー供給部473から突出して長穴12aを貫通する二つの支持棒13,13に支持されている。下方板状部位11は、その端部がカートリッジ47から突出するスライドガイド部47aに支持される。このように、二つの支持棒13,13及びスライドガイド部47aによってカートリッジ側シャッタ10がスライド方向に沿ってスライド移動可能にされている。
【0030】
また、図2及び図3に示すように、トナーカートリッジ47には、カートリッジ側シャッタ10を開放位置側から閉塞位置へ向けて付勢するバネ等の付勢部材14が設けられている。また、トナー供給部473のトナー排出口471の周縁部には、ゴム等の弾性材料で構成されたシール部材15が、トナー供給部473及びカートリッジ側シャッタ10の間に介在した状態で設けられている。このシール部材15は、圧縮されることにより弾性反発力を蓄積してトナー供給部473とカートリッジ側シャッタ10の間に密閉構造を構成している。言い換えると、カートリッジ側シャッタ10とトナーカートリッジ47との間には、トナーの通過を阻止するシール部材15が介在してあるとも言える。これにより、トナーがトナー供給部473とカートリッジ側シャッタ10の間を通って外部に漏れることを防止している。
【0031】
現像装置44には、図4及び図5に示すように、トナー受入口441を開閉するための本体側シャッタ60が設けられている。本体側シャッタ60は、一部に開口61aが形成された板状部位61を有し、開口61aを通じてトナー受入口441を開放する開放位置(図5参照)又は板状部位61でトナー受入口441を塞ぐ閉塞位置(図4参照)のいずれかに、カートリッジ47の着脱方向に沿ってスライド移動可能に構成されている。具体的には、トナーカートリッジ47の着脱方向に沿って延びたスライド溝62が現像装置44の上部に形成されており、スライド溝62の溝底の一部に上方へ開口するトナー受入口441が形成されている。本体側シャッタ60は、スライド溝62に沿ってスライド動作可能に取り付けてある。現像装置44には、本体側シャッタ60を開放位置側から閉塞位置へ向けて付勢するバネ等の付勢部材63が設けられている。
【0032】
図7Dに示すように、トナー排出口471、カートリッジ側シャッタ10の開口11a、本体側シャッタ60の開口61a、トナー受入口441の順に、開口サイズが大きくなるように設定してある。なお、図7A〜図7Dは、左側に、トナーカートリッジ47のトナー排出口471、カートリッジ側シャッタ10の開口11a、本体側シャッタ60の開口61a及び現像装置44のトナー受入口441の位置関係を示し、右側に、ロック機構90とロック解除部95の位置関係を示している。
【0033】
図6に示すように、カートリッジ側シャッタ10及び本体側シャッタ60は、トナーカートリッジ47の装着時に互いに接触し合い、トナーカートリッジ47が装着方向へ押される力を利用して前記閉塞位置から前記開放位置にスライド移動可能に構成されている。具体的には、本体側シャッタ60には、図6に示すように、トナーカートリッジ47が装着される際に、カートリッジ側シャッタ10の下方板状部位11の端部11bに接触する凸部64が設けられている(図2及び図4参照)。両シャッタ10,60は、図7Aに示すように、カートリッジ側シャッタ10の開口11aと本体側シャッタ60の開口61aとが合わさる状態で当接し合うように、各々の開口(11a,61a)と接触部位(11b,64)の位置関係が規定してある。トナーカートリッジ47が装着方向に押し込まれることにより、本体側シャッタ60が、カートリッジ側シャッタ10を開放位置側から閉塞位置に向けて付勢する付勢部材14の付勢力に抗して押すことになる。同時に、カートリッジ側シャッタ10が、本体側シャッタ60を開放位置側から閉塞位置に向けて付勢する付勢部材63の付勢力に抗して押すことになる。すなわち、両シャッタ10,60は、トナーカートリッジ47が装着方向へ移動するに伴い開放位置へ向かう力を受けるように、両者の位置関係及びシャッタの開き方向が設定されているとも言える。
【0034】
トナーカートリッジ47には、図2及び図3に示すように、カートリッジ側シャッタ10が閉塞位置(図2参照)から開放位置(図3参照)に移動することを規制すると共に解除力の入力により当該移動規制を解除するロック機構90が設けられている。具体的には、ロック機構90は、トナー供給部473に所定軸91回りに回転可能に支持されたもので、所定軸91から変位した一端にカートリッジ側シャッタ10と係り合うための爪状部92が設けられ、所定軸91から変位した他端に解除力を入力するためのレバー部93が設けられている。ロック機構90は、カートリッジ側シャッタ10に形成された穴12bに上記爪状部92を挿入して爪状部92がシャッタ10の移動を規制する規制姿勢(図2参照)又は爪状部92を穴12bから退避させて規制姿勢から退避した非規制姿勢(図3参照)のいずれかの姿勢に、所定軸91回りの回転により姿勢変更する。ロック機構90は、図示しないコイルバネ等の弾性部材によって非規制姿勢(図3参照)から規制姿勢(図2参照)に向かう方向に付勢されている。ロック機構90は、トナーカートリッジ47の装着動作に伴いトナーカートリッジ47と共に移動する。
【0035】
図6に示すように、トナーカートリッジ47の装着に連動してロック機構90によるロック(規制)を適切なタイミングで解除するために、ロック解除部95を設けている。ロック解除部95は、図7B→図7Cに示すように、ロック機構90のレバー部93に接触することにより、ロック機構90に対して解除力を入力し、ロック機構90の姿勢を非規制姿勢に変更する。具体的に、ロック解除部95は、図6に示すように、ダクト23を構成する下壁から垂下する枠体であり、トナーカートリッジ47の装着動作に伴い移動するレバー部93の進路上に配置されている。このロック解除部95は、図7Cに示すように、トナーカートリッジ47の装着動作を通じて本体側シャッタ60が開放位置に移動した時点でロック機構90のレバー部93に接触して解除力を入力するように、ロック機構90との位置関係が設定されている。
【0036】
すなわち、トナーカートリッジ47を取り外している状態では、図2及び図4に示すように、本体側シャッタ60及びカートリッジ側シャッタ10が各付勢部材14,63の付勢力によって閉塞位置にあり、ロック機構90が図示しないコイルバネの付勢力によって規制姿勢に保持されている。
【0037】
トナーカートリッジ47が装置本体2に装着される際には、まず、図7Aに示すように、カートリッジ側シャッタ10及び本体側シャッタ60が、各々の開口11a,61aを一致させた状態で当接し合う。この場合、両シャッタ10,60に対し開放位置へ移動させる方向に力が作用する。しかし、ロック機構90によりカートリッジ側シャッタ10の移動が規制されているので、トナーカートリッジ47が装着方向に押される力によってカートリッジ側シャッタ10が閉塞位置にある状態を維持したまま、図7Bに示すように、本体側シャッタ60が閉塞位置から開放位置に移動する。図7Cに示すように、本体側シャッタ60が開放位置に移動した時点でロック機構90のレバー部93がロック解除部95に接触してレバー部93に解除力が入力され、この解除力によってロック機構90が規制姿勢から非規制姿勢に姿勢変更する。この時、カートリッジ側シャッタ10が開放位置に向けて移動可能となる。この状態では、本体側シャッタ60は開ききった状態にあり、トナーが落下してもトナー受入口441で適切に受け入れられる。
【0038】
さらに、図7Dに示すように、トナーカートリッジ47が装着方向に押されることにより、カートリッジ側シャッタ10が開放位置に相対移動し、トナー排出口471とトナー受入口441とが対面して、適切なトナーの供給が可能となる。すなわち、本実施形態の場合には、ロック解除部95が解除力を入力するタイミングは、本体側シャッタ60が開放位置に移動した時点から、トナー排出口471がトナー受入口441と対面した時点までである。
【0039】
以上のように、本実施形態の画像形成装置1は、装置本体2に対して着脱可能に構成され、装置本体2に装着された状態で装置本体側のトナー受入口441に対向するトナー排出口471を有するトナーカートリッジ47と、トナー排出口471を開放する開放位置又はトナー排出口471を塞ぐ閉塞位置のいずれかに移動可能に設けられたカートリッジ側シャッタ10と、トナー受入口441を開放する開放位置又はトナー受入口441を塞ぐ閉塞位置のいずれかに移動可能に設けられた本体側シャッタ60と、カートリッジ側シャッタ10が閉塞位置から開放位置に移動することを規制すると共に解除力の入力により当該規制を解除するロック機構90と、トナーカートリッジ47の装着動作に伴いトナーカートリッジ47と共に移動するロック機構90に接触することにより、ロック機構90に解除力を入力するロック解除部95とを具備し、両シャッタ10,60は、トナーカートリッジ47の装着時に互いに接触し合い、トナーカートリッジ47が装着方向へ押される力を利用して閉塞位置から開放位置に移動可能に構成されており、ロック解除部95は、トナーカートリッジ47の装着動作を通じて本体側シャッタ60が開放位置に移動した時点でロック機構90に接触して解除力を入力するように、ロック機構90との位置関係が設定されている。
【0040】
このような構成によれば、トナーカートリッジ47の装着初期段階では、ロック機構90によりカートリッジ側シャッタ10の移動が規制されているので、トナーカートリッジ47が装着方向に押される力によってカートリッジ側シャッタ10が閉塞位置にある状態を維持したまま、本体側シャッタ60が閉塞位置から開放位置に移動する。本体側シャッタ60が開放位置に移動した時点でロック機構90にロック解除部95が接触してロック機構90に解除力が入力される。すると、ロック機構90によるカートリッジ側シャッタ10の移動規制が解除され、カートリッジ側シャッタ10が開放位置に向けて移動可能となる。したがって、カートリッジ側シャッタ10が移動可能になる時点では、本体側シャッタ60が開放位置にあるので、カートリッジ47のトナー排出口471からトナーが出てもトナー受入口441で適切に受け取られ、トナーが飛散して本体側シャッタ60又は現像装置44が汚れることを効果的に防止することが可能となる。
【0041】
特に、本実施形態では、ロック機構90は、カートリッジ側シャッタ10の移動を規制する規制姿勢又は規制姿勢から退避した非規制姿勢のいずれかの姿勢に、所定軸91回りの回転により姿勢変更可能に構成されており、ロック解除部95は、ロック機構90のうち所定軸91から変位した部位たるレバー部93に接触することによりロック機構90の姿勢を変更するように構成されているので、ロック又はロック解錠をスライド動作で実現する場合に比べて、簡易な構成でロック機構を実現できると共に、カートリッジ側シャッタ10を的確に動作させることが可能となる。
【0042】
さらに、本実施形態では、トナーカートリッジ47を収容する収容空間21を形成する壁部22(ダクト23等)に、ロック解除部95を設けているので、収容空間21を形成する壁部22を有効利用してロック解除部95を構成することが可能となる。
【0043】
その他、本実施形態では、トナー受入口441はトナー排出口471よりも大きく設定されているので、供給されるトナーを的確にキャッチして、トナーの飛散を抑制することが可能となる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0045】
例えば、本実施形態では、ロック解除部95をダクト23の枠体に設けているが、トナー受入口441が形成される現像装置44が装置本体2に対して着脱可能に構成されている場合には、ロック機構90が現像装置44に設けられていることが好ましい。ロック解除部95は、現像装置44に設けられる本体側シャッタ60の開放位置に応じてその配置位置が定まるので、現像装置44以外の部材にロック解除部95を設ける場合に比べて、ロック解除部95によるロック解除タイミングを精度よく設定することが可能となる。
【0046】
また、本実施形態では、両シャッタ10,60は、スライド移動するように構成されているが、トナーカートリッジ47の装着動作を利用して開閉するのであれば、回転動作で移動するように構成してもよい。さらに、本実施形態では、カートリッジ側シャッタ10とトナーカートリッジ47の間にシール部材15を設けているが、本体側シャッタ60と、トナー受入口441の形成される部材(現像装置44)との間に、トナーの通過を阻止するシール部材を介在させてもよい。
【0047】
さらに、本実施形態では、ロック解除部95は、本体側シャッタ60が開放位置に移動した時点で解除力を入力するように構成されているが、解除力を入力するタイミングは、本体側シャッタが開放位置に移動した時点以降であればよい。本体側シャッタが開放位置に移動した時点よりも後の時点で解除力が入力される一例として次の構成が挙げられる。すなわち、本体側シャッタが開放位置に移動した時点ではロック解除部がロック機構に接触しないで解除力を入力せず、さらに、トナー受入口を開放した状態で本体側シャッタが移動を継続し、所定距離(又は所定時間)移動した時点でロック解除部がロック機構に接触して解除力を入力するように構成することが挙げられる。
【0048】
また、以上の実施形態では、本発明が複合機に適用された場合について説明したが、このような構成に限らず、本発明は、複合機以外に、プリンタ又はファクシミリなどの他の画像形成装置にも適用可能である。
【0049】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0050】
2…装置本体
21…収容空間
22…壁部
44…現像装置
441…トナー受入口
471…トナー排出口
47…トナーカートリッジ
10…カートリッジ側シャッタ
60…本体側シャッタ
90…ロック機構
91…所定軸
95…ロック解除部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に対して着脱可能に構成され、前記装置本体に装着された状態で前記装置本体側のトナー受入口に対向するトナー排出口を有するトナーカートリッジと、
前記トナー排出口を開放する開放位置又は前記トナー排出口を塞ぐ閉塞位置のいずれかに移動可能に設けられたカートリッジ側シャッタと、
前記トナー受入口を開放する開放位置又は前記トナー受入口を塞ぐ閉塞位置のいずれかに移動可能に設けられた本体側シャッタと、
前記カートリッジ側シャッタが前記閉塞位置から前記開放位置に移動することを規制すると共に解除力の入力により当該規制を解除するロック機構と、
前記トナーカートリッジの装着動作に伴い前記トナーカートリッジと共に移動する前記ロック機構に接触することにより、前記ロック機構に前記解除力を入力するロック解除部とを具備し、
前記両シャッタは、前記トナーカートリッジの装着時に互いに接触し合い、前記トナーカートリッジが装着方向へ押される力を利用して前記閉塞位置から前記開放位置に移動可能に構成されており、
前記ロック解除部は、前記トナーカートリッジの装着動作を通じて前記本体側シャッタが前記開放位置に移動した時点以降に前記ロック機構に接触して前記解除力を入力するように、前記ロック機構との位置関係が設定されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ロック機構は、前記カートリッジ側シャッタの移動を規制する規制姿勢又は当該規制姿勢から退避した非規制姿勢のいずれかの姿勢に、所定軸回りの回転により姿勢変更可能に構成されており、
前記ロック解除部は、前記ロック機構のうち前記所定軸から変位した部位に接触することにより前記ロック機構の姿勢を変更する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ロック解除部は、前記トナーカートリッジを収容する収容空間を形成する壁部に設けられている請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記トナー受入口が形成される現像装置が前記装置本体に対して着脱可能に構成されており、前記ロック解除部は、前記現像装置に設けられている請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記トナー受入口は、前記トナー排出口よりも大きな開口に設定されている請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【公開番号】特開2013−109031(P2013−109031A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251769(P2011−251769)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】