説明

画像形成装置

【課題】 トナー画像が転写材に転写される像担持体と搬送部材とのニップ部近傍において、転写材によって中間転写体が跳ね上げられるような場合であっても、トナー画像を不具合なく転写させること。
【解決手段】
制御手段が、転写材の坪量に基づいて、ニップ部の搬送方向の長さであるニップ幅を調整するニップ幅調整部材の動作を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体に当接し、像担持体とのニップ部において像担持体上に形成された画像を転写材に転写させる転写部材を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
感光体ドラムに形成されたトナー像を1次転写部において中間転写ベルトに1次転写し、2次転写部において中間転写ベルト上のトナー像を転写材としての用紙に転写させることで画像を形成する画像形成装置が広く知られている。
このような画像形成装置として、2次転写部において、中間転写ベルトと2次転写部材とのニップ部においてトナー像を用紙に静電的に転写しつつ、用紙を挟持し搬送する構成が知られている。
従来の画像形成装置においては、図9(a)に示すように、2次転写部38の搬送方向上流側に用紙Pを進入させるガイド部材39が設けられ、ガイド部材39により誘導された用紙Pが中間転写ベルト31と2次転写ベルト38bとのニップ部Nに進入していた。
この場合、中間転写ベルト31と2次転写ベルト38bとのニップ部Nに進入する用紙Pの後端がガイド部材39を通過したときに、該用紙Pの後端が跳ね上がる現象が起こり、跳ね上がった用紙Pの後端が中間転写ベルト31に当たることで中間転写ベルト31を突き上げられてしまうことがあった。
上記のような用紙Pの後端が中間転写ベルト31を突きあげる現象は、特に厚紙等の剛度が高い用紙に画像形成をする場合に起こり易い。中間転写ベルト31が突き上げられると、図9(b)に示すように、ニップ部Nの用紙搬送方向の長さであるニップ幅が狭くなり、ニップ部Nの近傍において、中間転写ベルト31と用紙Pとの間に空隙部が形成されてしまう。
【0003】
一般的に、2次転写ローラ38a、或いは中間転写ベルト31を介して2次転写ベルト38bと圧接している対向ローラ37dのうち何れか一方には、中間転写ベルト31上のトナー像を用紙に転写させるために高電圧が印加されている。従って、上記のようにニップ幅が狭くなりニップ部の近傍において空隙部が形成されてしまうと、ニップ部Nの近傍において放電現象が発生し易くなる。
用紙Pへの画像転写中にニップ部Nの近傍において放電現象が発生すると、用紙Pへの画像の転写不良が生じ、画像の品質が低下するという問題が生じていた。
用紙後端の跳ね上げに起因する画質の低下という問題を解決するための技術として、例えば特許文献1には、中間転写体と中間転写体を張架する張架部材とが接触を開始する位置より搬送方向下流側において、2次転写部と中間転写体とが接触するように構成することで、2次転写部に搬送される記録媒体の後端の跳ね上げを防ぐことが可能な画像形成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−64917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の発明においては、2次転写部を従来より搬送方向下流側に設けることで記録媒体後端の跳ね上げが起こらないような構成を採用している。しかしながら、2次転写部を搬送方向下流側に設けることで、画像の2次転写が行われるニップ幅が従来よりも狭くなってしまい、結果として上述した放電現象がニップ幅近傍において発生し、画像の品質が低下してしまうという課題が生じていた。
本発明は上記課題を鑑みてなされたもので、用紙に対する画像の転写の際に生じる不具合を防止することで高画質の画像を形成することが可能な画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、画像が担持されるベルト状の像担持体と、前記像担持体に接し、転写材を前記像担持体と挟持しつつ搬送する搬送部材と、前記像担持体と前記搬送部材とが接する部分であるニップ部において前記像担持体上の画像を転写材に対して静電的に転写する転写手段と、その搬送方向先端部が前記ニップ部に対して前記像担持体とは反対側であって、前記ニップ部より搬送方向上流側に設けられた、転写材を前記ニップ部へ誘導するガイド部材と、前記ニップ部の転写材搬送方向の長さであるニップ幅を調整するニップ幅調整部材と、転写材の坪量を取得する坪量取得手段と、前記坪量取得手段が取得した前記転写材の坪量が、第1の所定値より大きい場合に、前記ニップ幅を広げるよう前記ニップ幅調整部材の動作を制御する制御手段と、を有することを特徴とする画像形成装置である。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、前記ニップ部より搬送方向上流側において転写材を検知する転写材検知手段を有し、前記制御手段は、前記転写材検知手段が、転写材の後端が前記ガイド部材を通過したことを検知した時点で、前記ニップ幅を広げるよう前記ニップ幅調整部材の動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、転写材に対して画像を定着しつつ該転写材を搬送する定着部と、転写材の搬送方向の長さを取得する用紙サイズ取得手段と、を有し、
前記定着部による転写材の搬送速度と、前記搬送部材による転写材の搬送速度とが異なる画像形成装置であって、前記制御手段は、前記用紙サイズ取得手段が取得した前記転写材の搬送方向の長さが、前記定着部と前記ニップ部との間の転写材搬送路の長さより長い場合に、前記坪量取得手段が取得した前記転写材の坪量に基づいて、前記ニップ幅調整部材の動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、前記定着部における転写材の搬送速度が、前記搬送部材による転写材の搬送速度より遅い画像形成装置であって、前記制御手段は、前記坪量取得手段が取得した前記転写材の坪量が第2の所定値より大きい場合に、前記ニップ幅を広げるよう前記ニップ幅調整部材の動作を制御することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置である。
【0010】
また、請求項5に記載の発明は、転写材表面の摩擦係数を取得する摩擦係数取得手段を有し、前記制御手段は、前記摩擦係数取得手段が取得した前記転写材表面の摩擦係数が第3の所定値より小さい場合に、前記ニップ幅を広げるよう前記ニップ幅調整部材の動作を制御することを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置である。
【0011】
また、請求項6に記載の発明は、前記定着部における転写材の搬送速度が、前記搬送部材による転写材の搬送速度より速い画像形成装置であって、転写材表面の摩擦係数を取得する摩擦係数取得手段を有し、前記制御手段は、前記摩擦係数取得手段が取得した前記転写材表面の摩擦係数が第4の所定値より小さい場合に、前記ニップ幅を広げるよう前記ニップ幅調整部材の動作を制御することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置である。
【0012】
また、請求項7に記載の発明は、前記制御手段は、前記転写材の坪量が、前記第1の所定値より小さい第5の所定値より小さい場合に、前記ニップ幅を狭めるよう前記ニップ幅調整部材の動作を制御することを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の画像形成装置である。
【0013】
また、請求項8に記載の発明は、前記ニップ幅調整部材は、ローラ状の部材であり、前記搬送部材に接して前記搬送部材を変位させることで前記ニップ幅を調整することを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の画像形成装置である。
【0014】
また、請求項9に記載の発明は、前記ニップ幅調整部材は、ベルト状の部材であり、前記搬送部材に接して前記搬送部材を変位させることで前記ニップ幅を調整することを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の画像形成装置である。
【0015】
また、請求項10に記載の発明は、前記ニップ幅調整部材は、導電性を有する部材であることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の画像形成装置である。
【0016】
また、請求項11に記載の発明は、前記ニップ幅調整部材は、前記搬送部材よりも体積抵抗率が低い部材であることを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る画像形成装置によれば、用紙に対する画像の転写が行われるニップ幅を適切な大きさに調整することができるので、用紙に対する画像の転写の際の不具合を防止し、高画質の画像を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置全体の構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における2次転写部周辺の構成の一例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における、CPU50によるニップ幅調整部材の動作の制御手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施の形態における2次転写部周辺の構成の他の一例を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態における2次転写部周辺の構成の一例を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態における、CPU50によるニップ幅調整部材の動作の制御手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施の形態における2次転写部周辺の構成の他の一例を示す図である。
【図9】画像形成装置の2次転写部周辺の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の第1の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施の形態における画像形成装置全体の構成を示す断面図である。
画像形成装置20は、スキャナ部22、プリンタ部24、給紙部32、操作表示部23等から構成されている。
スキャナ部22は、自動原稿給紙装置21、光学系22a、CCDイメージセンサ22b等から構成されている。
プリンタ部24は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応したトナー画像を形成する画像形成手段40Y、40M、40C、40Kと、各画像形成手段により形成されたトナー画像が転写される中間転写体としての中間転写ベルト31、中間転写ベルト31上のトナー画像を用紙に転写する2次転写部38、用紙に転写されたトナー像を定着する定着部34等から構成されている。
【0020】
給紙部32は、給紙トレイ32a〜32c等から構成されており、給紙部32より適切な用紙が適切なタイミングにて給紙される。
操作表示部23は、例えばタッチパネル方式のディスプレイを備えており、ユーザは画面上に表示されるアイコン等に触れることで、画像形成の内容に関する設定や、画像形成開始の指示等を行うことができる。
【0021】
以上が画像形成装置20の各部の概要である。続いて、画像形成装置20によって用紙に対してフルカラーの画像を形成する場合を例にとり、その一連の動作について説明する。
操作表示部23において画像形成開始の指示がなされると、自動原稿給紙装置21の原稿台21aに載置された原稿Jは原稿読み取り部へ搬送される。そして、図示しない光源より原稿に照射された光の反射光が、光学系22aを介してCCDイメージセンサ22bにより読み取られる。
CCDイメージセンサ22bにより読み取られた信号に対しては、各種画像処理が施される。そして、画像処理が施された画像信号に基づいて、画像形成手段40Y〜40Kが各色のトナー画像を形成する。
イエロー色のトナー画像を形成する画像形成手段40Yは、像担持体としての感光体ドラム41Y、帯電部42Y、露光部45Y、現像部43Y、クリーニング部44Yから構成されている。画像を形成する場合は、感光体ドラム41Yは図示しない駆動手段により図1の矢印A方向に回転され、その表面が帯電部42Yにより一様に帯電される。一様に帯電された感光体ドラム41Yに対して、露光部45Yが上記画像信号に基づいてレーザー光を照射することで、イエロー色の画像に対応した静電潜像を形成する。
【0022】
次に、現像部43Yによって感光体ドラム41Y上の静電潜像が現像され、感光体ドラム41Y上にイエロー色のトナー画像が形成される。形成されたトナー画像は、図示しない電圧印加手段によって1次転写ローラ46Yに印加される転写電圧によって中間転写ベルト31に静電的に転写される。
中間転写ベルト31に転写され切れずに感光体ドラム41Yの表面に残存したトナーは、クリーニング部44Yにより取り除かれ、次のトナー画像の形成に備える。
マゼンタ色のトナー画像を形成する画像形成手段40M、シアン色の画像を形成する画像形成手段40C及びブラック色の画像を形成する画像形成手段40Kは、何れもイエロー色の画像を形成する画像形成手段40Yと同様の構成を有しているため、その詳細な説明は省略する。
中間転写ベルト31は、支持部材としてのローラ37a〜37eに巻き回された無端状のベルトであり、回転可能に支持されている。中間転写ベルト31としては、ポリイミドに代表される樹脂ベルトや、樹脂素材の上に弾性層を設けたベルトが一般的に用いられている。
【0023】
画像形成を行う際には、中間転写ベルト31は駆動ローラ37aの回転駆動によって図1の矢印B方向に回転される。
フルカラーの画像形成を行う際には、1次転写ローラ46Y、46M、46C及び46Kによって、イエロー色のトナー画像から順に、各色のトナー画像が互いに重なるタイミングにてトナー画像を中間転写ベルト31にそれぞれ転写させることで、原稿画像に対応した適切なフルカラーのトナー画像が中間転写ベルト31上に形成される。
一方、給紙トレイ32a〜32cの何れかより給紙された用紙は、搬送路33aを搬送され、レジストローラ対33cに到達する。レジストローラ対33cにより用紙の搬送方向の斜行が修正され、中間転写ベルト31上のカラートナー画像とタイミングを合わせるように用紙が2次転写部38へと搬送される。
2次転写部38においては、中間転写ベルト31上のフルカラーのトナー画像が静電的に用紙に転写される。ここで、2次転写部38にはニップ幅調整部材38dが設けられている。2次転写部38の構成の詳細及びニップ幅調整部材38dについては後述する。
【0024】
フルカラーのトナー画像が転写された用紙は定着部34に向けて搬送され、トナー画像の定着が行われる。一方、2次転写部38において用紙に転写され切れずに中間転写ベルト31上に残存したトナーは、中間転写ベルトクリーニング部35により取り除かれる。また、2次転写部38において用紙に転写されずに2次転写ベルト38bに転写されたトナーは、2次転写ベルトクリーニング部38eにより取り除かれる。
定着部34は、定着ローラ34a、加圧ローラ34b等から構成されている。定着ローラ34a及び加圧ローラ34bは、それぞれ図示しない加熱手段によりその表面がトナー画像の定着に適した温度となるように加熱されている。ここで、定着ローラ34aの表面温度は、加圧ローラ34bの表面温度より高くなるよう予め設定されている。
トナー画像が転写された用紙に対して、定着ローラ34a及び加圧ローラ34bにより熱と圧力が加えられることにより、カラートナー画像が用紙に定着される。
カラートナー画像が定着された用紙は、搬送路33aを搬送され、画像形成装置20の装置外へ排出される。
【0025】
用紙の両面に画像を形成する場合は、定着部34によって用紙の表面に対してトナー画像が定着されると、用紙は分岐手段36によって反転経路33bに向けて搬送され、搬送方向の先後端が反転される。先後端が反転された用紙は反転経路33bを通りレジストローラ対33cまで搬送され、搬送方向の斜行が修正される。
その後、2次転写部38において用紙の裏面に形成される画像に対応したカラートナー画像が上述の通り転写され、定着部34によって裏面のカラートナー画像が定着され、画像形成装置20の装置外へ排出される。
以上が、画像形成装置20により用紙に対してカラー画像を形成する際の一連の動作の説明である。
【0026】
図2は、本実施の形態における画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。図1で示した構成と同様の構成については、図1に付した符号と同一の符号を付している。図2においては、本発明に関わりの深い構成についてのみ図示し、それ以外の構成については図示を省略している。
【0027】
画像形成装置20は、スキャナ部22、プリンタ部24、給紙部32、操作表示部23、CPU50、ROM51、RAM52、HDD53等から構成されている。
CPU50は、画像形成装置20の各部の動作を制御する制御手段としての役割を果たしている。CPU50は、操作表示部23における入力内容に基づいて、画像形成装置20の各部の動作を制御する。
ROM51には、各種のプログラム或いはデータが格納されており、CPU50はROM51からプログラム或いはデータを読み出して画像形成装置20の各部を制御する。
RAM52は、CPU50が上記各部の動作を制御する際に必要なプログラム或いはデータを一時的に記憶する場所である。
HDD53は、画像データを格納する場所である。スキャナ部22によって読み取られた原稿画像のデータはHDD53に格納される。
【0028】
プリンタ部24には、ニップ幅調整部材38d、転写電源HV、用紙通過を検知するセンサS1等が含まれている。後に説明するように、CPU50は、センサS1による用紙検知信号に基づいて、必要に応じて中間転写ベルト31と2次転写ベルト38bとのニップ幅を調整するようニップ幅調整部材38dの動作を制御する。
また、画像形成装置20には、端末60がI/F部61を介してネットワーク接続されている。端末60においては、画像形成が行われるジョブに関する情報を入力し、その情報を画像形成装置20に送信することができる。さらに、端末60から画像形成開始の指示をすることも可能である。
【0029】
図3は、本実施の形態における、2次転写部38の構成を示す図である。2次転写部38は、2次転写ローラ38aと張架ローラ38cとに巻き回された2次転写ベルト38bと、ローラ37a〜eに巻き回された中間転写ベルト31とを介して、ローラ37dと2次転写ローラ38aとが圧接された状態となっており、中間転写ベルト31と2次転写ベルト38bとが接触するニップ部が形成されている。
2次転写ベルト38bとしては、弾性部材の表面にフッ素コートが施されたベルトが一般的に用いられるが、中間転写ベルト31と同様のベルトを用いても良い。
【0030】
本実施の形態においては、ローラ37dに対して電源HVが接続され、2次転写ローラ38aは電気的に接地されている。電源HVからは、用紙に対してトナー画像を転写するためにトナーと同極性の電圧がローラ37dに対して印加されている。これにより、中間転写ベルト31上のトナー像は、中間転写ベルト31と2次転写ベルト38bとのニップ部に進入する用紙に対して転写される。
尚、電源HVは2次転写ローラ38aに対して接続するようにしても良い。この場合は、電源HVから2次転写ローラ38aに対してトナーと逆極性の電圧を印加し、ローラ37dは電気的に接地する必要がある。
ニップ幅調整部材38dは、ローラ状の導電性部材であり、図2のモータM1の動力が不図示の動力伝達機構によって伝達されることによって、図3の上下方向に移動可能に構成されている。図3(a)に示すニップ幅調整部材38dの位置を待機位置とする。
本実施の形態においては、図3(b)に示すように、ニップ幅調整部材38dを上方に動かすようモータM1を動作させることで、2次転写ベルト38bを持ち上げ、ニップ部Nのニップ幅を広げることが可能となっている。
【0031】
図3を用いてニップ幅調整部材38dの動作を説明する。各色の画像形成手段40Y〜40Mによって中間転写ベルト31上にカラートナー像が転写される一方、給紙トレイ32a〜32cの何れかから給紙された用紙は、レジストローラ対33cによってタイミングを計られ、ガイド部材39に誘導されて2次転写部38に進入してくる。
ここで、図3(a)に示すように、ガイド部材39の用紙搬送方向先端部の近傍には、用紙の通過を検知するセンサS1が設けられている。センサS1の検知情報はCPU50に出力されるようになっている。
2次転写部38に進入してきた用紙は、図3(a)に示すように、中間転写ベルト31と2次転写ベルト38bとが接触するニップ部Nに進入し、ニップ部Nにおいて中間転写ベルト31上のカラートナー像が静電的に用紙に転写される。
【0032】
ここで、トナー像が転写される用紙が、厚紙等の坪量の大きい用紙である場合は、用紙後端がガイド部材39を通過する際に、用紙後端が図3(a)の上方に跳ね上がり、跳ね上がった用紙が中間転写ベルト31と接触する現象が生じることがあった。
上述したように、中間転写ベルト31に跳ね上げられた用紙が接触すると、中間転写ベルト31も用紙に追従して跳ね上げられ、その結果図9(b)に示すようにニップ部Nの用紙搬送方向の幅であるニップ幅が狭くなり、狭くなったニップ部Nの近傍において放電現象が発生し、画質が低下するという問題が生じていた。
そこで、本実施の形態においては、CPU50が、用紙の坪量が所定値より大きい場合に、当該用紙後端の跳ね上げが起こるタイミングにてニップ幅調整部材38dを図3(b)に示すように上方に移動させるようモータM1を制御することで、ニップ部Nのニップ幅を維持するようにしている。
【0033】
本実施の形態においては、用紙の坪量が例えば300g/mより大きい場合に、センサS1の検知情報に基づいて、CPU50がニップ幅調整部材38dの動作を制御するよう構成されている。ここで、基準となる坪量は装置の構造や、用紙の搬送速度等の要素に基づき適宜設定して良い。
【0034】
以下具体的な動作について図1〜4を参照しながら説明する。図4は、CPU50によるニップ幅調整部材38dの動作の制御手順を示すフローチャートである。
画像形成が開始されると、CPU50は、まず画像が形成される用紙の坪量の情報を取得する(ステップS1)。ここで、用紙の坪量の情報は、例えば端末60から送信されたジョブに関する情報より取得する。
【0035】
次に、CPU50は、取得した用紙の坪量が300g/mより大きいか否かを判断する(ステップS2)。
用紙の坪量が300g/m以下である場合は(ステップS2:No)、CPU50はニップ幅調整部材38dの動作制御の処理を終了する。これにより、ニップ部Nのニップ幅は広げられないまま、用紙に対してトナー像の2次転写が行われる。
一方、画像が形成される用紙の坪量が300g/mより大きい場合は(ステップS2:Yes)、用紙が2次転写部38を通過する際に所定のタイミングにおいてニップ部Nのニップ幅を広げる制御が行われる。
具体的には、2次転写部38を通過中の用紙の後端がガイド部材39の先端部を通過したか否かを判断する(ステップS3)。この判断は、センサS1によって用紙後端が通過したとの検知情報、即ちセンサS1によって当該用紙が検知されなくなったとの情報を受けたか否かで行われる。
CPU50は、用紙後端がガイド部材39の先端部を通過するまで待機し、通過したと判断すると(ステップS3:Yes)、ニップ幅調整部材38dを待機位置から図3(b)に示す位置まで移動させるよう制御する(ステップS4)。
そして、用紙後端がニップ部Nを通過するまでの所定期間、ニップ幅調整部材38dを図3(b)に示す位置のまま保持させるよう制御する。CPU50は、上記所定期間が経過したか否かを判断し(ステップS5)、所定時間が経過したと判断すると(ステップS5:Yes)、ニップ幅調整部材38dを待機位置まで移動させるよう制御する(ステップS6)。
【0036】
ここで上記所定期間は、センサS1と広げられたニップ部Nの最も搬送方向下流側の部分との間の用紙搬送路の距離と、2次転写部38における用紙搬送速度とから求められる。上記所定期間として最低限必要な期間は、上記用紙搬送路の距離を用紙搬送速度で割った値であるが、跳ね上げが起こった場合の用紙搬送経路の変化を考慮し、上記最低限必要な期間よりも若干長い期間を上記所定期間として設定しても良い。
また、ニップ幅調整部材38dの待機位置からの移動量は、画像形成装置20の構成や用紙搬送速度、用紙の坪量等の要素を考慮し、用紙後端の跳ね上げが起きたときにニップ部Nの近傍にて放電現象が起こらない程度のニップ幅となるよう、適宜設定すべきである。
【0037】
以上のように制御することで、用紙後端の跳ね上げが起こった場合であっても、ニップ部Nのニップ幅を、放電現象が生じず安定してトナー像が用紙に転写される所望の広さに維持することが可能となる。従って、放電現象による画質の低下を防止することが可能となる。
本実施の形態によれば、後端の跳ね上げが起こり得る厚紙等の坪量の大きい用紙が2次転写部38を通過する場合に、用紙後端の跳ね上げが起こる時点から用紙後端が2次転写部38のニップ部Nを通過するまでの期間だけ、ニップ幅を広げるようにニップ幅調整部材38dを動作させる。
これにより、用紙後端の跳ね上げが起こることでニップ幅が狭くなったとしても、ニップ幅調整部材38dによってニップ幅が広げられているため、トナー像の転写に十分必要なニップ幅を常に確保することができる。従って、ニップ部N近傍における放電現象を防止することができ、常に良好な画像を形成することが可能となる。
【0038】
上記第1の実施の形態においては、画像が形成される用紙の坪量が所定値より大きいか否かの判断は、端末60から送信されたジョブに関する情報より用紙の坪量を取得することでCPU50が行っていた。しかしながらこれに限定されるものではなく、例えば2次転写部38よりも用紙搬送方向上流側の用紙搬送路に対して、用紙の坪量を検知するセンサを設け、当該センサの検知情報に基づいてCPU50が判断するようにしても良い。この場合、用紙の坪量を検知するセンサは、センサS1とは別に設けても良いし、センサS1として坪量検知が可能なセンサを用いて、センサS1により用紙通過の検知と坪量検知を兼ねるようにしても良い。また、操作表示部23における入力内容から、用紙の坪量を取得することでCPU50が上記判断を行っても良い。
また、本実施の形態においては、センサS1を図3に示すように、ガイド部材39の搬送方向先端部近傍に設けているが、これに限られることはなく、図3に示す位置よりも搬送方向上流側であって用紙を検知することが可能な位置であれば何れの場所に設けても良い。
【0039】
また、本実施の形態においては、用紙の坪量が300g/mよりも大きい場合にニップ幅調整部材38dを移動させるよう制御する例を示したが、基準となる坪量の値は、画像形成装置20の構造や用紙搬送速度等の要素を考慮し、適切な値を設定することが好ましい。さらに、上記基準となる坪量は用紙後端の跳ね上がり具合を考慮して複数設定しても良い。基準となる坪量を複数設けて坪量の範囲を細分化し、細分化されたそれぞれの範囲毎にニップ幅調整部材38dの移動量を各々設定することで、ニップ幅に関してより厳密な制御が可能となり、2次転写部38においてより良好な転写が行われるという効果を奏する。
また、本実施の形態においては、ニップ幅調整部材38dとして、図3に示すようなローラ状の部材を用いていた。しかしながら、図5(a)に示すように、2次転写ベルト38bの内側において、ローラ状の部材38dと2次転写ローラ38aとにベルト状の部材38fを掛け回すように構成しても良い。
ローラ状の部材38dは、図3に示すニップ幅調整部材38dと同様に、図の上下方向に移動可能に構成されている。ニップ部Nのニップ幅を広げる際には、図5(b)に示すように、ローラ状の部材38dを図の上方に移動させるようにする。これにより、ベルト状の部材38fによって2次転写ベルト38bが押し上げられ、ニップ部Nのニップ幅が広げられる。図5においては、ローラ状の部材38dとベルト状の部材38fとがニップ幅調整部材として機能する。
【0040】
図5におけるベルト状の部材38fには、導電性を有する材料が用いられる。これにより、ニップ幅を広げる際に、本来のニップ部Nより搬送方向下流側において当該ベルト状の部材38fと2次転写ベルト38bとが連続して接触するので、広げられたニップ部Nにおける電界の均一性が向上し、より良好な転写が行われる。
さらに、ベルト状の部材38fとして、2次転写ベルト38bに用いられる材料よりも体積抵抗率の低い導電性材料を用いるようにすることで、上記電界の均一性がさらに向上する。
【0041】
図3におけるニップ幅調整部材38d或いは図5に示すローラ状の部材38dをそれぞれの図の上方に移動させるタイミングは、上述のように用紙後端の跳ね上げが起こるタイミングとしても良いが、これに限られるものではない。
用紙の坪量が所定値より大きい場合において、ニップ部Nのニップ幅は、少なくとも用紙後端の跳ね上げが起こる時点から、用紙後端がニップ部Nを通過する時点まで広げられていれば良い。従って、例えば用紙後端の跳ね上げが起こる時点よりも前のタイミングにてニップ幅調整部材38d或いはローラ状の部材38dを図の上方へ移動させるようにしても良い。
また、用紙後端がニップ部Nを通過した際には、ニップ幅調整部材38d或いはローラ状の部材38dを図の下方に移動させるようにしても良いし、移動させずにニップ幅を広げたままの状態としても良い。特に、連続して坪量の大きい用紙に対して画像形成を行う場合には、ニップ幅が広げられたままの状態としておく方が、ニップ幅調整部材38dを駆動する駆動手段の耐久性等の観点から好ましい。
【0042】
以上が本発明の第1の実施の形態についての説明である。本実施の形態は、用紙が2次転写部38のニップ部Nを通過している間に、適切なタイミングにてニップ幅の大きさを変化させるようCPU50が制御するものである。
続いて、本発明の第2の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本実施の形態における画像形成装置20の構成は、ニップ幅調整部材38dを動作させるタイミングを除いて第1の実施の形態における画像形成装置20の構成とほぼ同等であるため、重複する部分については説明を省略する。
【0043】
図6は、2次転写部38の周辺部及び定着部34の構成を示す図である。中間転写ベルト31は、駆動ローラ38a(図1参照)の駆動により、その速度v1で図6(a)の矢印R1方向に回転移動している。中間転写ベルト31に圧接している2次転写ローラ38a及び2次転写ベルト38bも、その速度v1で図6(a)の矢印R2方向に移動している。
また、定着ローラ34aは、図示しない駆動手段の駆動により、その速度v2で図6(a)の矢印R3方向に回転している。定着ローラ34aに圧接している加圧ローラ34bも、その速度v2で図6(a)の矢印R4方向に回転している。
即ち、2次転写部38において用紙に対して中間転写ベルト31上のトナー像を転写する際の用紙搬送速度はv1、定着部34において用紙に転写されたトナー像を定着する際の用紙搬送速度はv2となっている。
【0044】
一般的に、定着部34における用紙搬送速度v2は、定着の際に用紙に与えるべき熱量と、定着ローラ34aの表面温度(通常200℃前後)とを考慮し、2次転写部38における用紙搬送速度v1よりも遅く(v1>v2)設定されている。すると、図6(b)に示すように、2次転写部38を通過した用紙Pの先端部が定着部34に進入すると、その時点で用紙Pの後端部が2次転写部38を通過していない場合には、2次転写部38と定着部34との用紙搬送速度の違いにより、2次転写部38と定着部34との間の領域において用紙Pに撓みが生じることがある。
2次転写部38と定着部34との間の領域において用紙Pに撓みが生じると、用紙Pには搬送方向上流側に戻ろうとする力F2が働く。一方、用紙Pには2次転写部38によって搬送方向下流側に搬送する力F1が働いている。
特に用紙が厚紙等のこしの強い用紙である場合は、上記の力F2が力F1を上回る場合がある。力F2が力F1を上回ると、図6(c)に示すように、定着部34よりも上流側において、用紙Pの撓みが解消されるとともに用紙Pが搬送方向上流側に戻される現象が生じる。
この現象が生じると、2次転写部38において用紙Pに対してトナー画像の転写が行われている最中にも拘らず用紙Pが搬送方向と逆方向に移動してしまうため、転写ずれが生じてしまうという課題があった。
上記課題を解決するために、本実施の形態においては、坪量が所定値より大きい用紙に対して画像形成を行う場合に、図6(d)に示すように、2次転写部38のニップ部Nのニップ幅を広げるようニップ幅調整部材38dを図の上方に所定量移動させるようにCPU50が制御する。
【0045】
上記の制御により、厚紙等のこしの強い用紙に対して画像形成を行う場合は、2次転写部38のニップ部Nのニップ幅が広げられ、用紙をしっかりと担持することができるので、2次転写部38によって用紙を定着部側へ搬送する力が大きくなる。これにより、2次転写部38と定着部34との用紙搬送速度の違いにより用紙に撓みが生じたとしても、用紙が搬送方向上流側に戻される現象を防ぐことができ、トナー画像を適切に転写することが可能となる。
【0046】
本実施の形態におけるCPU50によるニップ幅調整部材38dの動作について説明する。図7は、CPU50によるニップ幅調整部材38dの動作の制御手順を示すフローチャートである。
画像形成が開始されると、CPU50は、まず画像が形成される用紙の搬送方向の長さの情報を取得する(ステップS11)。この情報は、例えば端末60から送信されたジョブに関する情報から取得される。
次にCPU50は、取得した用紙の搬送方向の長さが、定着ローラ34aと加圧ローラ34bとのニップ部と、2次転写部38におけるニップ部Nとの間の用紙搬送路の長さLより長いか否かを判断する(ステップS12)。
用紙の搬送方向の長さがLより短い場合は(ステップS12:No)、上述した課題が生じることはないので、CPU50は、図6(a)に示すように、ニップ幅調整部材38dを動作させず、処理を終了する。
【0047】
一方、用紙の搬送方向の長さがLより長い場合は(ステップS12:Yes)、上述した課題が生じ得るため、CPU50は、用紙の坪量に基づきニップ幅調整部材38dの動作を制御する。
この場合CPU50は、用紙の坪量の情報を取得する(ステップS13)。この情報は、例えば端末60から送信されたジョブに関する情報から取得される。
【0048】
次にCPU50は、取得した用紙の坪量が予め設定された所定値より大きいか否かを判断する(ステップS14)。用紙の坪量が所定値より小さい場合は(ステップS14:No)、CPU50は、図6(a)に示すように、ニップ幅調整部材38dを動作させず、処理を終了する。
一方、用紙の坪量が所定値より大きい場合は(ステップS14:Yes)、CPU50は、図6(d)に示すように、ニップ幅調整部材38dが上方に所定量移動するようにモータM1を動作させる(ステップS15)。
上記モータM1を動作させるタイミングは、用紙の先端部が定着部34における定着ローラ34aと加圧ローラ34bとのニップ部に進入する以前のタイミングであればいつでも良い。
また、上記坪量の所定値としては、例えば300g/mが用いられる。また、上記ニップ幅調整部材38dの移動量は、画像が形成される用紙の坪量や、2次転写部38及び定着部34それぞれにおける用紙搬送速度v1及びv2の値に基づき決定される。
2次転写部38においてトナー像が転写された用紙は、ニップ幅が広げられたニップ部Nに挟持されながら定着部34方向へ搬送され、定着部34においてトナー像が定着される。このとき、ニップ部Nのニップ幅が広げられているので、用紙先端が定着部34に進入後も用紙後端が搬送方向上流側に戻されることがなく、用紙後端まで適切にトナー像が転写される。
【0049】
ここで、画像が形成される用紙の坪量が所定値より大きいか否かの判断は、端末60から送信されたジョブに関する情報よりCPU50が取得していた。しかしながらこれに限定されることはなく、2次転写部38より用紙搬送方向上流側に用紙の坪量を検知するセンサを設け、該センサの検知結果に基づき取得することも可能である。また、操作表示部23における入力の情報から取得しても良い。
【0050】
本実施の形態によれば、定着部34における用紙搬送速度が2次転写部38における用紙搬送速度より小さい場合であって、用紙の坪量が所定値より大きい場合に、2次転写部38のニップ部Nのニップ幅を広げるようCPU50が制御するので、用紙が搬送方向上流側に戻されることによる転写ずれを防ぐことが可能となる。
本実施の形態においては、用紙の坪量が300g/mよりも大きい場合にニップ幅調整部材38dを移動させるよう制御する例を示したが、基準となる坪量の値は、画像形成装置20の構造や用紙搬送速度v1及びv2等の要素を考慮し、適切な値を設定することが好ましい。さらに、上記基準となる坪量を複数設定し、それぞれの坪量の範囲毎にニップ幅調整部材38dの移動量を各々設定しても良い。
【0051】
また、本実施の形態においては、用紙の坪量に応じてニップ幅を広くするようCPU50が制御する例を示したが、ニップ幅を広くするか否かの判断基準は用紙の坪量のみとは限らない。
例えば、表面の摩擦係数が小さい用紙に対して画像形成を行う場合は、用紙表面と中間転写ベルト31及び2次転写ベルト38bが接触する際に滑りやすい状態となるため、表面の摩擦係数が大きい用紙の場合と比較して、図6(c)で示した用紙が戻される現象が生じ易い。従って、表面の摩擦係数が所定値より小さい用紙に対して画像形成を行う場合に、CPU50が、ニップ幅調整部材38dを移動させ、ニップ部Nのニップ幅を広げるよう制御するようにしても良い。
用紙表面の摩擦係数が所定値より大きいか否かの判断は、例えば予めROM51に用紙の種類と表面の摩擦係数とが対応付けられた情報を保存しておき、CPU50が、操作表示部32において入力された用紙の種類に関する情報と上記保存されている情報とに基づいて用紙表面の摩擦係数を取得することで行われる。
また、ニップ部Nのニップ幅を広くするか否かは、用紙の坪量及び摩擦係数の両方の値に基づいてCPU50が決定するようにしても良い。
【0052】
本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、基準となる用紙の坪量や摩擦係数は複数段階に分けて設けても良い。
また、本実施の形態においても、図5に示すようにベルト状の部材38fを用いてニップ部Nのニップ幅を調整するようにしても良い。ベルト状の部材38fを用いることで、ニップ幅が広げられた場合に特にその広げられた部分の電界分布がより均一になり、より良好な2次転写が行われる。
また、第1の実施の形態と同様に、ベルト状の部材38fには、2次転写ベルト38bよりも体積抵抗率の低い部材を用いることで、より良好な2次転写が行われる。
【0053】
本実施の形態においては、一般的な例として定着部34における用紙搬送速度が2次転写部38における用紙搬送速度より遅い場合に生じる課題を解決する例を示した。仮に、定着部34における用紙搬送速度が2次転写部38における用紙搬送速度より速い場合は、用紙の先端部が定着部34に進入すると、用紙が搬送方向に引っ張られる現象が生じる。この場合は、例えば用紙の表面の摩擦係数が小さいと、引っ張られている用紙を2次転写部38のニップ部Nにおいて掴み切れずに、転写ずれが生じるという課題が起こり得る。
よって、上記のような場合も本発明を適用し、ニップ部Nのニップ幅を広くするようCPU50が制御することで上記課題を解決することが可能となる。
【0054】
以上が、本発明の第2の実施の形態についての説明である。本実施の形態は、用紙の特性に応じて、用紙が2次転写部と定着部との両方に挟持される際にニップ幅を変化させるよう制御することで転写ずれの発生を防ぐものである。
上記第1及び第2の実施の形態においては、用紙の坪量が所定値より大きい場合に、ニップ部Nのニップ幅を広げるようCPU50が制御する例を示したが、坪量が小さい用紙に対する制御を行っても良い。
用紙の坪量が大きい場合には、上述したように転写ずれが生じる可能性があったが、用紙の坪量が小さい場合は、ニップ部Nにおいて用紙が担持される際に用紙にシワが生じる等の課題が生じる可能性がある。
【0055】
そこで、用紙の坪量が所定値より小さい場合は、ニップ部Nのニップ幅を小さくするようにCPU50が制御することも可能である。
ニップ部Nのニップ幅を小さくするために、例えば図8に示すように、ニップ幅調整部材38dが図の下方に移動すると2次転写ベルト38bが連動して図の下方に引っ張られるような構成としておく。
そして、用紙の坪量が所定値、例えば50g/mより小さい場合は、上述したニップ幅を広げる場合とは反対方向にモータM1を駆動させるようCPU50が制御する。これにより、ニップ幅調整部材38dが図の下方に移動し、それに伴い2次転写ベルト38bが下方に引っ張られることで、ニップ部Nのニップ幅が小さくなる。
【0056】
坪量が小さい用紙に対して画像形成を行う場合にニップ部Nのニップ幅を小さくするよう制御することで、用紙にシワを生じさせることなく画像形成を行うことが可能となる。
ニップ幅調整部材38dを図の下方へ移動させるタイミングは、用紙Pの先端部がニップ部Nに進入する以前のタイミングとすることが好ましい。例えば、用紙Pの先端部がセンサS1によって検知された時点で、モータM1の回転駆動を開始させるようにCPU50が制御する。
また、第1の実施の形態において示したCPU50による制御と、第2の実施の形態において示したCPU50による制御とは、組み合わせて用いることができる。これにより、ニップ部Nの近傍における放電現象及び定着部との搬送速度の違いによる転写ずれを共に防ぎ、良好な画像を形成することが可能となる。
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明を逸脱しない限りにおいて異なる実施の形態を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0057】
20 画像形成装置
22 スキャナ部
23 操作表示部
24 プリンタ部
31 中間転写ベルト
32 給紙部
34 定着部
38 2次転写部
38a 2次転写ローラ
38b 2次転写ベルト
38d ニップ幅調整部材
39 ガイド部材
40Y〜40K 画像形成手段(Y〜K)
50 CPU
60 端末
M1 モータ
HV 転写電源
S1 センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が担持されるベルト状の像担持体と、
前記像担持体に接し、転写材を前記像担持体と挟持しつつ搬送する搬送部材と、
前記像担持体と前記搬送部材とが接する部分であるニップ部において前記像担持体上の画像を転写材に対して静電的に転写する転写手段と、
その搬送方向先端部が前記ニップ部に対して前記像担持体とは反対側であって、前記ニップ部より搬送方向上流側に設けられた、転写材を前記ニップ部へ誘導するガイド部材と、
前記ニップ部の転写材搬送方向の長さであるニップ幅を調整するニップ幅調整部材と、
転写材の坪量を取得する坪量取得手段と、
前記坪量取得手段が取得した前記転写材の坪量が、第1の所定値より大きい場合に、前記ニップ幅を広げるよう前記ニップ幅調整部材の動作を制御する制御手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ニップ部より搬送方向上流側において転写材を検知する転写材検知手段を有し、
前記制御手段は、前記転写材検知手段が、転写材の後端が前記ガイド部材を通過したことを検知した時点で、前記ニップ幅を広げるよう前記ニップ幅調整部材の動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
転写材に対して画像を定着しつつ該転写材を搬送する定着部と、
転写材の搬送方向の長さを取得する用紙サイズ取得手段と、を有し、
前記定着部による転写材の搬送速度と、前記搬送部材による転写材の搬送速度とが異なる画像形成装置であって、
前記制御手段は、前記用紙サイズ取得手段が取得した前記転写材の搬送方向の長さが、前記定着部と前記ニップ部との間の転写材搬送路の長さより長い場合に、前記坪量取得手段が取得した前記転写材の坪量に基づいて、前記ニップ幅調整部材の動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記定着部における転写材の搬送速度が、前記搬送部材による転写材の搬送速度より遅い画像形成装置であって、
前記制御手段は、前記坪量取得手段が取得した前記転写材の坪量が第2の所定値より大きい場合に、前記ニップ幅を広げるよう前記ニップ幅調整部材の動作を制御することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
転写材表面の摩擦係数を取得する摩擦係数取得手段を有し、
前記制御手段は、前記摩擦係数取得手段が取得した前記転写材表面の摩擦係数が第3の所定値より小さい場合に、前記ニップ幅を広げるよう前記ニップ幅調整部材の動作を制御することを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記定着部における転写材の搬送速度が、前記搬送部材による転写材の搬送速度より速い画像形成装置であって、
転写材表面の摩擦係数を取得する摩擦係数取得手段を有し、
前記制御手段は、前記摩擦係数取得手段が取得した前記転写材表面の摩擦係数が第4の所定値より小さい場合に、前記ニップ幅を広げるよう前記ニップ幅調整部材の動作を制御することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記転写材の坪量が、前記第1の所定値より小さい第5の所定値より小さい場合に、前記ニップ幅を狭めるよう前記ニップ幅調整部材の動作を制御することを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記ニップ幅調整部材は、ローラ状の部材であり、前記搬送部材に接して前記搬送部材を変位させることで前記ニップ幅を調整することを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記ニップ幅調整部材は、ベルト状の部材であり、前記搬送部材に接して前記搬送部材を変位させることで前記ニップ幅を調整することを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記ニップ幅調整部材は、導電性を有する部材であることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記ニップ幅調整部材は、前記搬送部材よりも体積抵抗率が低い部材であることを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−109045(P2013−109045A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252162(P2011−252162)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】