説明

画像形成装置

【課題】 開放された状態の画像読み取り部を開放状態に保持しておく機構によって装置が大型でコストが高かった。
【解決手段】 シートに画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部によって形成された画像をシートに定着する定着装置と、を備えた装置本体と、前記装置本体の上方であって、前記装置本体に開閉自在に設けられ、原稿の画像を読み取る画像読み取り部と、前記画像読み取り部から下方へ延びた突出部と、を有し、前記画像読み取り部を開いたときに前記画像読み取り部を開いた状態で保持するように前記定着装置によって前記突出部の下部が支持されることを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像をシートに形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置を図8に示す。装置本体210においてシートに画像を形成する。装置本体210の上方には、原稿の画像を読み取る原稿読取部211が設けられている。原稿読取部211は回動軸Aを中心として装置本体210に開閉自在に取り付けられている。図8は、原稿読取部211を開いた状態を示したものである。例えば装置本体210でのジャム処理やメンテナンスのときに原稿読取部211は開かれる。開放された原稿読取部211を保持するための保持機構212が配置されている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−189551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図8で示した構成では、開放された状態の原稿読取部211を、保持機構212によって保持している。保持機構212の下端は、装置本体210の上部である支持部250によって支えられる。即ち開放された状態の原稿読取部211は保持機構212を介して装置本体210側の支持部250で支えている。したがって、装置本体210の上部には、保持機構212を支える支持部250のためのスペースや部品が必要なので装置が大型でコストが高かった。
【0005】
そこで本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、小型で低コストな画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、シートに画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部によって形成された画像をシートに定着する定着装置と、を備えた装置本体と、前記装置本体の上方であって、前記装置本体に開閉自在に設けられ、原稿の画像を読み取る画像読み取り部と、前記画像読み取り部から下方へ延びた突出部と、を有し、前記画像読み取り部を開いたときに前記画像読み取り部を開いた状態で保持するように前記定着装置によって前記突出部の下部が支持されることを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、低コストで小型な画像形成装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置において画像読み取り装置を開放した時の斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る画像形成装置において画像読み取り装置の保持部の部分断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る画像形成装置において画像読み取り装置の保持部の後方斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係る画像形成装置において画像読み取り装置の開放途中の保持部の部分断面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る画像形成装置において画像読み取り装置を開放した時の保持部の部分断面図である。
【図8】従来例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を適用した画像形成装置の実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の斜視図である。
【0010】
図1において、1は画像形成装置、1Aは画像形成装置本体であり、この画像形成装置本体(以下、装置本体という)1Aの上部には、画像読み取り部としての画像読み取り装置200が設けられている。
【0011】
図2は画像形成装置1の断面図である。
画像読み取り装置200は、平坦なプラテンガラス892を備え、プラテンガラス892上に載置された原稿の画像を、画像読み取り装置200の内部に配置された読取センサ(読み取り手段)によって読み取る。画像読み取り装置200には、画像形成装置1をユーザーが操作するための操作パネル891が設けられている。なお、操作パネル891を操作するユーザーが立つ側が、画像形成装置1の前側(正面側)である。つまり、図2における右側が画像形成装置1の前側であり、図2の左側が画像形成装置の奥側(背面側)である。
【0012】
装置本体1Aは、画像形成部100と、画像形成部100にシートPを給送するシート給送装置111と、シートPにトナー像を転写する転写部122と、転写されたトナー像を熱によってシートPに定着させる定着装置131を備えている。
【0013】
シート給送装置111はシートPを積載する積載収納部111aと、給紙トレイ上のシートPを1枚ずつ給送する給送ローラ111bを備えている。画像形成部100は、像担持体である感光体ドラム121、現像器(不図示)、感光体ドラム121の表面を露光して感光体ドラム上に静電潜像を形成するレーザスキャナ(不図示)、帯電ローラ(不図示)等を備えている。
【0014】
転写部122は、感光体ドラム121と、感光体ドラム121と圧接して転写ニップを形成すると共に、この転写ニップをシートPが通過する際、感光体ドラム上のトナー画像をシートPに転写する転写ローラ122aにより構成されている。
【0015】
定着装置131は、定着部131aと、定着部131aに圧接された加圧部(加圧ローラ)131bからなり、装置本体1Aの上部に設けられている。定着部131aは、定着フィルム、定着フィルム内部に可動に配置された発熱ユニット77を備える。定着部131aの発熱ユニット77は、加圧部131bの方へ付勢されている。発熱ユニット77は、加圧部131bの方へ付勢されて定着フィルムを介して加圧部131bに圧接される。定着装置131は、通常、定着部131aと加圧部131bとが圧接された圧接状態であり、定着部131aと加圧部131bとの間にシートを通過させることで画像をシートに定着する。
【0016】
給送ローラ111bから転写部122を経て定着装置131までは、上方へシートを搬送する搬送路25が設けられている。搬送路25は装置本体1Aの奥側に設けられている。
【0017】
また、画像形成装置1は、シート両面に画像の形成ができるように、即ち両面コピーができるようになっている。両面コピーのために、装置本体1Aには片面に画像が形成されたシートPを反転させて再度、画像形成部100に搬送する両面搬送路10が設けられている。両面搬送路10は、反転部21、装置本体1Aの一側部に配置され、上下方向に延びた縦搬送路11、反転路31を備えている。
【0018】
なお、図1及び図2において、12は装置本体1Aの一側面に設けられたカバーである両面カバー12であり、両面搬送路10にジャム等が発生した場合には、この両面カバー12を開放してジャム処理を行うようにしている。
【0019】
以上のような構成の画像形成装置1において、画像形成の際には、積載収納部111aに収納されたシートPは給送ローラ111bにより所定のタイミングで送り出される。この後、画像形成部100の感光体ドラム121及び転写ローラ122aにより構成される転写部122に搬送される。そして、この転写部122において、感光体ドラム上に形成されたトナー画像が転写される。なお、画像読み取り装置200によって読み取った原稿の画像に基づいて、記録紙であるシートにトナー像として形成することで画像形成装置1は複写を行うことができる。
【0020】
このようにトナー画像が転写されたシートPは、この後、画像形成装置1の奥側に設けられた定着装置131に搬送され、定着装置131を構成する定着ユニット131aと加圧部131bによりトナー像が定着される。そして、そのまま排紙される場合は、シートPは、排紙ローラ対141a,141bにより、装置前側の方へ向けて搬送されて、装置本体1Aの上面である排出積載部151に排出される。
【0021】
また、両面コピー(両面画像形成)の場合は、排紙ローラ対141a,141bがシートPの後端の所定量を挟持した状態で、不図示の駆動手段により排紙ローラ対141a,141bを逆転させることで、シートPを両面搬送路10へと搬送する。そして、両面搬送路10では、シートPは、排紙ローラ対141a,141bから、反転部21、縦搬送路11、反転路31を経由し、転写部122へと再給紙される。
【0022】
図3に示したように画像読み取り装置200は装置本体1Aに開閉自在に設けられている。そして、排紙ローラ対141a,141bから記録紙先端がある程度排紙された状態でジャムした場合には、図3に示すように、画像読み取り装置200を、所定角度上部へ開放させて、装置前側よりジャム処理を行うようにしている。
【0023】
41、42は画像読み取り装置200を開放した状態で保持するための保持部(突出部)である。保持部41、42は画像読み取り装置200に一体に設けられている。保持部41、42は、装置背面側に配置されていて画像読み取り装置200から下方へ突出している。保持部41、42が、装置背面側に配置されているので、ユーザーが装置正面側からジャム処理する際に、保持部41、42が邪魔にならず、ジャム処理性を向上させることができている。また、従来技術(図8参照)のように、複数の部材を組み合わせた関節を持つような保持機構ではなく、本実施形態では、下方へ延出させた部材で保持部を構成しているので、従来技術と比較して、部品点数の削減、コストダウンを実現できている。
【0024】
次に、本実施形態における画像読み取り装置200を保持するための保持部41、42を構成の詳細ならびに動作について図4〜図7を用いて説明していく。
【0025】
図4は、画像読み取り装置200が閉まった時の保持部41の部分断面図である。図5は後方斜視図、図6は画像読み取り装置200の開放途中の部分断面図、図7は画像読み取り装置200を開放した時の部分断面図である。
【0026】
定着装置131には、発熱ユニット77が取り付けられ、発熱ユニット77を加圧部131bに圧接する圧接板43が設けられている。圧接板43は、下端43aが定着フレーム44に差し込まれており、揺動可能に定着フレーム44に支持されている。一方の端が定着フレーム44に、もう一方の端が圧接板43に取り付けられた付勢バネ(引っ張りバネ)45が定着装置131に設けられている。圧接板43が付勢バネ45により、図4中のM方向に付勢されることにより、発熱ユニット77を加圧部11bに圧接している。圧接板43と付勢バネ45によって、発熱ユニット77を含む定着ユニット131aと加圧部131bとを圧接するための圧接手段が構成されている。
【0027】
圧接板43には、その上部に斜面43bが設けられている。また、保持部41の下部には幅方向に突出した突部41aが形成されている(図5参照)。
【0028】
画像読み取り装置200を、画像形成装置1の奥側に設けられた回転中心部51部回りにユーザーが開放していくと、図6に示すように、保持部41の突部41aが圧接板43の斜面43bに当接し始める。さらに画像読み取り装置200を開放していくと、突部41aが圧接板43を図6でのY方向へ移動させる。ここでの圧接板43の移動は付勢バネ45の付勢力に抗して行われる。
【0029】
圧接板43の図6でのY方向へ移動により、定着ユニット131aの発熱ユニット77が図6でのZ方向に移動し、定着部131aの発熱ユニット77と加圧部131bの圧接が解除される。つまり、発熱ユニット77が加圧部131bから離れる方向に移動して定着部131aと加圧部131bの圧接状態が解除される。
【0030】
さらに、画像読み取り装置200が開放されて、保持部41の突部41aが斜面43bの頂部である角部43cまで到達する所定角度に達すると以下のように動作する。即ち、図7に示すように、画像読み取り装置200が所定角度開放されると、保持部41の突部41aの下面である、凹み形状となった下面部88が、圧接板43の角部43cと係合し、圧接板43が付勢バネ45により、図7でのX方向に付勢された状態になる。これによって、画像読み取り装置200を開放された状態で保持することが可能となる。なお、保持部41と反対側の保持部42も保持部41と同様の構成になっている。
【0031】
図7で示したように画像読み取り装置200を開いた状態で保持させることで、排紙ローラ対141a,141bから一部が突出した状態で留まったシートの取り除き処理(ジャム処理)が簡単に行うようにしている。ここで、取り除かれるシートの後端側が定着装置131にある場合でも、上述のように定着部131aと加圧部131bの圧接が解除されているのでユーザーは容易にシートを装置正面側へと引っ張って取り除くことができる。
【0032】
なお、図7で示したように画像読み取り装置200を開いた状態で保持させることで、排出積載部151に積載されたシートを取り除くことも容易にできる(図3参照)。つまり、シートのサイズが短い場合には画像読み取り装置200によって排出積載部151に積載されたシートの視認性が悪いので積載されたシートを取り除くことが難しい。しかしながら、画像読み取り装置200を開いた状態で保持させることで、排出積載部151に積載された小サイズのシートの取り除きも容易に行うことができる。
【0033】
次に、図7に示した画像読み取り装置200の開放状態から、画像読み取り装置200を閉じるときの動作について説明する。
【0034】
図7に示した開放状態にある画像読み取り装置200をユーザーが閉じる動作を開始すると、まず、突部41aの下面部88によって押されることで、圧接板43が、図7のおける反時計周りの方向に一旦揺動する。なお、開放状態の画像読み取り装置200に、付勢バネ45の力は画像読み取り装置200を開かせる方向に作用している。よって、このような圧接板43の反時計周りの方向への揺動させる操作は、付勢バネ45を伸張させる操作、つまり付勢バネ45の付勢力に抗した操作になる。さらに、画像読み取り装置200を閉じる動作をユーザーが継続することで、突部41aが圧接板43の角部43cを乗り越える。つまり、画像読み取り装置200を閉じる動作に伴って、突部41aの下面部88(係合部)と、圧接板43の角部43cとの係合が解除されるように突部41aや圧接板43の形状が設定されている。
【0035】
突部41aが圧接板43の角部43cを乗り越えてから更に画像読み取り装置200が閉じていくと、付勢バネ45の付勢力によって圧接板43が図7のX方向に揺動する。そして、やがて付勢バネ45の付勢力によって定着部131aの発熱ユニット77と加圧部131bとが圧接した図4の状態になる。
【0036】
以上で説明した画像形成装置1の効果について述べる。
(1)開放された状態の画像読み取り装置200を、定着装置131によって支持させている。したがって、画像読み取り装置200を開放した状態で支えておくための別途の部材(例えば図8の支持部250)が装置本体1Aに必要ないので低コストで小型な装置が提供できる。定着装置131は、装置本体1Aにおける上部に配置されていて画像読み取り装置200に近く且つ強度が強い。したがって、定着装置131は、開放された状態の画像読み取り装置200を支えるのに適している。
【0037】
(2)画像読み取り装置200の保持部41、42を装置奥側に配置しているので、装置正面側から行われるユーザーのジャム処理性がよい。なぜなら画像読み取り装置200を開放してユーザーが装置前側からジャム処理をする際に装置奥側に配置された保持部41、42は邪魔になりづらいからである。
【0038】
(3)(2)のように画像読み取り装置200の保持部41、42を装置奥側に配置した場合には、保持部41、42と画像読み取り装置200の回動中心とが近くなるので画像読み取り装置200を保持するために大きな力が必要となる。ここで、高強度な定着装置131を使って開放された状態の画像読み取り装置200の支持を行わせている。すなわち、高い強度で且つ装置奥側に配置された定着装置131を使って画像読み取り装置200の支持を行わせているので、(1)小型化で低コスト化と(2)ジャム処理性の向上の両立がなされている。
【0039】
(4)定着部131aを加圧部131bさせるための圧接手段の圧接力を、開放状態に画像読み取り装置を保持するために利用している。したがって、大きな画像読み取り装置200の保持力を発生することができるため、装置の大型化を防ぐことができる。
【0040】
(5)画像読み取り装置200の開放によって定着装置131の圧解除が自動で行われるので、ジャム処理性を向上させることが可能になる。
【0041】
(6)開放状態にある画像読み取り装置200を閉じるときに、ユーザーが画像読み取り装置200を閉じ方向への押す力によって、画像読み取り装置200を保持させるような定着装置との係合がなくなるように構成されている。よって画像読み取り装置200を閉じるときの操作が簡単である。
【符号の説明】
【0042】
41、42 保持部
43 圧接板
44 定着フレーム
45 付勢バネ
131a 定着部
131b 加圧部
200 画像読み取り装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部によって形成された画像をシートに定着する定着装置と、を備えた装置本体と、
前記装置本体の上方であって、前記装置本体に開閉自在に設けられ、原稿の画像を読み取る画像読み取り部と、
前記画像読み取り部から下方へ延びた突出部と、を有し、
前記画像読み取り部を開いたときに前記画像読み取り部を開いた状態で保持するように前記定着装置によって前記突出部の下部が支持されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記装置本体における、装置奥側に設けられ、画像が形成されるシートを上方へ向けて搬送する搬送路を備え、
前記搬送路を経たシートは前記装置本体の上面である排紙積載部に積載されるように装置前側へ向かって排出され、
前記画像読み取り部は前記排紙積載部が開放されるように前記装置奥側に設けられた回動中心を中心にして回動され、
前記突出部および前記定着装置は、前記装置奥側にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記定着装置は、発熱する定着部、前記定着部と圧接される加圧部並びに前記定着部と前記加圧部を圧接するための付勢ばねを含んだ圧接手段を備え、
前記画像読み取り部を開く動作に連動して、前記突出部が、前記圧接手段を介して、前記加圧部と前記定着部の圧接状態を解除することを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像読み取り部を開いた状態において前記突出部の下部を介して前記画像読み取り部が開く方向に前記付勢ばねの力が作用し、前記付勢ばねの力に抗する、前記画像読み取り部を開いた状態から前記画像読み取り部を閉じる動作に伴って、前記突出部の下部と前記圧接手段との係合が解除されるように前記突出部の下部と前記圧接手段の形状が設定されていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−109094(P2013−109094A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252926(P2011−252926)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】