説明

画像形成装置

【課題】帯電部材へのトナーや外添剤などの付着を抑制して、帯電部材の寿命の長期化を図ることのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、ローラ状の帯電部材3とベルト状の帯電部材4により感光体1を帯電させる際に、第1の通電部位Paにおいて、ローラ状の帯電部材3とベルト状の帯電部材4のうち感光体1の回転方向において下流側の帯電部材から上流側の帯電部材に、現像手段11が静電像に供給するトナーとは逆極性のトナーを移動させる方向の電流を流すように、第1、第2、第3の通電部位Pa、Pb、Pcにおける通電を制御する制御手段400を有する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を用いた複写機、プリンタなどの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式の画像形成装置における電子写真感光体(感光体)の帯電方式として、コロナ帯電方式よりも放電時のオゾンの発生が少ない帯電ローラ方式が広く利用されている。帯電ローラ方式では、一般に、ローラ状の帯電部材である帯電ローラを被帯電体である感光体の表面に接触させて、この帯電ローラに電圧(帯電電圧)を印加することで、帯電ローラと感光体との間の微小な空隙で発生する放電により感光体を帯電させる。
【0003】
尚、上記帯電ローラなどの帯電部材は、被帯電体である感光体の表面に必ずしも接触している必要はない。帯電部材と感光体との間に、ギャップ間電圧と補正パッシェンカーブで決まる放電可能領域さえ確実に保証されれば、例えば数10μmの空隙(間隙)を有して非接触に近接配置されていてもよい。ここでは、帯電部材を被帯電体に接触又は近接させて、微小な空隙で発生する放電により被帯電体を帯電させる方式を接触又は近接帯電方式又は単に接触帯電方式と呼ぶ。
【0004】
帯電ローラ方式は、感光体の帯電に際して印加する電圧が比較的低くてよいので経済的であるという利点を有している。又、帯電ローラ方式は、外径の小さなローラで帯電動作ができるため、高速化する際に、コロナ帯電装置と比べて帯電装置の小型化に適している利点がある。
【0005】
しかし、帯電ローラ方式は、感光体の表面の近傍で放電動作を行うため、感光体に付着したトナーや外添剤で、帯電ローラの表面が汚れ易い。
【0006】
一方、帯電ローラに代えて、ベルト状の帯電部材である帯電ベルトを使用することが提案されている(特許文献1)。帯電ベルトは、一対の支持ローラに掛け渡されており、感光体と対向する支持ローラに帯電電圧を印加して、帯電ベルトを介して感光体を帯電させる。帯電ベルト方式は、感光体と接触する表面積を大きくできるため、帯電ローラと比較して汚れの蓄積などによる寿命を長くし易いが、より長寿命化を図るためには、帯電ベルトへのトナーや外添加剤の付着を防止することが望まれる。
【0007】
このような帯電ローラや帯電ベルトの表面の汚れは、画像形成装置がクリーナレス方式を採用している場合にはより顕著となり易い。クリーナレス方式は、従来一般に用いられているクリーニングブレードなどを用いて転写工程後に感光体上に残留したトナー(転写残トナー)を廃トナー容器に回収することなく、現像装置に回収して再利用するものである。
【0008】
特許文献2は、クリーナレス方式を採用した画像形成装置の帯電ローラの汚れを防止するために、感光体の表面の移動方向において帯電ローラの上流側に複数のデッキブラシを配置し、転写残トナーを再帯電させて現像装置に回収する方法を開示する。
【0009】
又、特許文献3は、クリーナレス方式を採用した画像形成装置における転写残トナーを再帯電させるブラシの汚れやトナーの目詰まりを防止するために、複数のブラシローラを用いた構成を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平9−138542号公報
【特許文献2】特開2008−9149号公報
【特許文献3】特開平10−97117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献2に記載の構成は、複数の帯電手段や電圧印加手段が感光体の周囲に離散的に配置されており、帯電手段の数も多いため、装置構成が比較的複雑で大型化し易い構成である。又、特許文献2に記載の構成は、転写残トナーの再帯電を行うブラシが目詰まりすると、帯電ローラが逆帯電トナーで汚れ、帯電均一性が低下し易い構成である。そのため、定期的にブラシの清掃動作を実施することが必要となり、画像の生産性が低下することが懸念される。
【0012】
又、特許文献3に記載の構成は、転写残トナーを再帯電させるブラシローラの目詰まりを防止するために、2本のブラシローラを接触させて回転させている。しかし、特許文献3に記載の構成では、2本のブラシローラを同電位に設定し、接触部するブラシローラ間で物理的にトナーを感光体の表面に落下させている。そのため、感光体の表面の移動方向において最下流の帯電ローラがトナーで汚れ易い。
【0013】
従って、本発明の目的は、帯電部材へのトナーや外添剤などの付着を抑制して、帯電部材の寿命の長期化を図ることのできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、回転可能な感光体と、前記感光体上の静電像にトナーを供給する現像手段と、回転して前記感光体を帯電させるローラ状の帯電部材と、少なくとも第1、第2の支持ローラに掛け渡されて回転し前記感光体を帯電させるベルト状の帯電部材と、を有し、前記第2の支持ローラに巻き付けられた位置の前記ベルト状の帯電部材が前記ローラ状の帯電部材に接触して前記第2の支持ローラと前記ローラ状の帯電部材との間で通電が可能とされた第1の通電部と、前記第1の支持ローラに巻き付けられた位置の前記ベルト状の帯電部材が前記感光体に接触又は近接して前記第1の支持ローラと前記感光体との間で通電が可能とされた第2の通電部位と、前記ローラ状の帯電部材が前記感光体に接触又は近接して前記ローラ状の帯電部材と前記感光体との間で通電が可能とされた第3の通電部位と、が形成されている画像形成装置であって、前記ローラ状の帯電部材と前記ベルト状の帯電部材により前記感光体を帯電させる際に、前記第1の通電部位において、前記ローラ状の帯電部材と前記ベルト状の帯電部材のうち前記感光体の回転方向において下流側の帯電部材から上流側の帯電部材に、前記現像手段が前記静電像に供給するトナーとは逆極性のトナーを移動させる方向の電流を流すように、前記第1、第2、第3の通電部位における通電を制御する制御手段を有することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、帯電部材へのトナーや外添剤などの付着を抑制して、帯電部材の寿命の長期化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例に係る画像形成装置の模式的な断面図である。
【図2】DC放電特性の一例を示すグラフ図である。
【図3】帯電AC電圧のVppとVD電位の関係の一例を示すグラフ図である。
【図4】本発明の一実施例における帯電装置によるトナーの再帯電動作を説明するための模式図である。
【図5】本発明の一実施例に係る概略制御ブロック図である。
【図6】第1の通電部位の配置を説明するための模式図である。
【図7】本発明の一実施例に係る制御のフローチャート図である。
【図8】Vdc−I特性の一例を示すグラフ図である。
【図9】本発明の一実施例に係る画像形成動作のタイミングチャート図である。
【図10】本発明の他の実施例に係る画像形成装置の模式的な断面図である。
【図11】本発明の更に他の実施例に係る画像形成装置の模式的な断面図である。
【図12】本発明の他の実施例に係る概略制御ブロック図である。
【図13】本発明の他の実施例における帯電装置によるトナーの再帯電動作を説明するための模式図である。
【図14】本発明の一実施例に係る制御のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。但し、以下の実施例に記載されている構成部品の寸法、形状、材質、その配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0018】
実施例1
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本発明の一実施例に係る画像形成装置100の概略構成を示す。本実施例では、画像形成装置100は、電子写真方式を採用したレーザービームプリンタである。
【0019】
本実施例の画像形成装置100は、感光体1上の転写残トナーを回収するために従来一般に用いられているクリーニングブレードなどクリーニング手段を持たないクリーナレス方式を採用している。しかし、本発明は、クリーナレス方式の画像形成装置に限定されるものではなく、クリーニング手段を備えた画像形成装置にも等しく適用できるものである。但し、本発明は、帯電部材にトナーや外添剤などが付着し易いクリーナレス方式の画像形成装置において、より有効に作用するものである。
【0020】
1−1.感光体
画像形成装置100は、像担持体としての回転可能なドラム型の電子写真感光体(感光体)1を有する。
【0021】
本実施例では、感光体1は、負帯電性のアモルファスシリコン感光ドラムである。又、感光体1の外径は30mmであり、中心支軸を中心に300mm/secの周速度(プロセススピード)で図中矢印方向(反時計回り)に回転駆動される。又、感光体1は、アルミニウム製シリンダ(導電性ドラム基体)1aの表面に感光層1bを備えて構成されている。この感光層1bの膜厚は、30μm程度である。
【0022】
尚、感光体1としては、OPC感光体(有機感光体)などの利用可能な任意のものを用いてもよい。
【0023】
1−2.帯電装置
(a)概要
画像形成装置100は、感光体1の周面を一様に帯電処理する帯電手段として、ローラ状の帯電部材とベルト状の帯電部材とを用いた帯電装置2を有する。
【0024】
帯電装置2は、第1の帯電部材としてローラ状の帯電部材である帯電ローラ3を有する。又、帯電装置2は、第2の帯電部材としてベルト状の帯電部材である帯電ベルト4を有する。帯電ベルト4は、第1の支持ローラ5と第2の支持ローラ6とに掛け渡されている。本実施例では、感光体1の回転方向(表面の移動方向)において上流側に帯電ローラ3、下流側に帯電ベルト4が配置されている。ここで、支持ローラは少なくとも2つ設けられていればよいが、より多くてもよい。
【0025】
本実施例では、帯電装置2は、第2の支持ローラ6に巻き付けられた帯電ベルト4と帯電ローラ3とが接触する第1の通電部位Paを有する。又、帯電装置2は、帯電ベルト4を用いて感光体1を帯電させるために第1の支持ローラ5に巻き付けられた帯電ベルト4と感光体1とが接触又は近接する第2の通電部位Pbを有する。又、帯電装置2は、帯電ローラ3を用いて感光体1を帯電させるために帯電ローラ3と感光体1とが接触又は近接する第3の通電部位Pcを有する。
【0026】
本実施例では、第2の通電部位Pbにおいて、帯電ベルト4と感光体1とは、それぞれの表面の移動方向が順方向になるように移動する。又、第3の通電部位Pcにおいて、帯電ローラ3と感光体1とは、それぞれの表面の移動方向が順方向になるように移動する。又、第1の通電部位Paにおいて、帯電ローラ3と帯電ベルト4とは、それぞれの表面の移動方向が逆方向になるように移動する(カウンター接触)。
【0027】
尚、本実施例では、第2の通電位置Pb、第3の通電位置Pcにおける帯電ベルト4、帯電ローラ3のそれぞれと感光体1との表面の移動方向が順方向になるようにしているが、これに限定されるものではない。例えば帯電ベルト4、帯電ローラ3と感光体1とが非接触の場合などには、第2の通電位置Pb、第3の通電位置Pcにおける帯電ベルト4、帯電ローラ3のそれぞれと感光体1との表面の移動方向が逆方向になるようにしてもよい。
【0028】
但し、本実施例のように、帯電ローラ3、帯電ベルト4と感光体1とを接触させる場合には、帯電ローラ3、帯電ベルト4を感光体1の回転に従って従動回転させることで、これらの駆動源を省略できることから、順方向の方が好ましい。
【0029】
又、本実施例では、第1の通電部位Paにおける帯電ローラ3と帯電ベルト4との表面の移動方向が逆方向になるようにしているが、これに限定されるものではなく、順方向になるようにしてもよい。
【0030】
但し、本実施例のように、感光体1の回転方向において上流側に帯電ローラ3を配置する場合には、詳しくは後述するように、下流側に配置した帯電ベルト4の汚れの低減効果を得易いことから、逆方向の方が好ましい。
【0031】
(b)帯電ローラ
本実施例では、帯電ローラ3は、金属製の芯金部3bの表面に、繊維でローラ状に形成されたブラシ(ブラシ状抵抗体)3aを備えて構成されている。本実施例では、帯電ローラ(ブラシローラ)3の外径は10mm、芯金3bの直径は6mmである。
【0032】
本実施例では、帯電ローラ3は、図示しない支持部材によって回転可能に固定されており、これにより帯電ローラ3は感光体1の表面に安定して接触している。又、本実施例では、帯電ローラ3の、帯電ベルト4、感光体1のそれぞれの表面に対する侵入量は、0.5mm以下となるように設定されている。帯電ローラ3は、この侵入量により設定される押圧力により、感光体1の回転に従って、図中矢印方向(時計回り)に従動回転する。そして、帯電ローラ3と感光体1との接触部(帯電ニップ部)におけるブラシ3aと感光体1との間における放電により感光体1が帯電処理される。
【0033】
本実施例では、ブラシ3aの厚さ(長さ)方向の抵抗は、104〜107Ω程度とされる。ブラシ3aの材質としては、ナイロンなどの樹脂材料が用いられ、その繊維径は4〜6d、密度は50〜200KF/inch2程度が望ましい。
【0034】
尚、帯電ローラ3の繊維の形状や材質、及びその電気抵抗値などは、特に限定されるものではない。又、本実施例のようなブラシローラ以外の帯電部材を用いてもよく、例えば、導電性を付与した弾性ローラなどの、一般的に用いられる帯電部材を適宜用いることができる。
【0035】
但し、本実施例のように、クリーナレス方式を用いる場合には、転写残トナーによる画像履歴を消去することが望まれるため、トナー像の分散効果が得られるブラシローラの方が好ましい。
【0036】
又、帯電ローラ3の芯金部3bは、第1の帯電電圧印加手段としての第1の帯電電源(高圧電源)S1に接続されている。本実施例では、帯電ローラ3には、第1の帯電電源S1から、DC電圧を印加可能である。又、本実施例では、第1の電流検知部A1により、第1の帯電電源S1と帯電ローラ3との間に流れるDC電流を検知可能である。
【0037】
(c)帯電ベルト
帯電ベルト4は、無端状のベルトであり、複数の支持ローラ(懸架ローラ)としての第1の支持ローラ5と第2の支持ローラ6とに掛け渡されることにより、回転可能に支持されている。本実施例では、第1の支持ローラ5、第2の支持ローラ6は、図示しない支持部材によって回転可能に固定され、帯電ベルト4の回転動作ができる程度の張力が付与されている。
【0038】
尚、帯電ベルト4は回転可能に保持されていればよく、安定して回転できる支持方法であれば他の支持方法用いてもよい。
【0039】
本実施例では、帯電ベルト4は、半導電性の樹脂材料で作製されている。帯電ベルト4の厚さは、100μm〜300μm程度とされる。又、本実施例では、帯電ベルト4として、外径が16mmのチューブ状部材を用いた。本実施例では、第1、第2の支持ローラ5、6に張架された状態で、帯電ベルト4の周長は約50mmである。特に、本実施例では、帯電ベルト4の材料として、ポリイミド樹脂を用いた。
【0040】
帯電ベルト4の体積抵抗率は、108〜1010Ωcm程度とされる。又、帯電ベルト4の厚さ方向の抵抗は、105〜107Ω程度とされる。
【0041】
尚、帯電ベルト4は、その電気抵抗値が、感光体1を安定して帯電させることが可能な範囲に設定されていればよく、導電性の樹脂材料や導電性の樹脂材料などを用いてもよい。
【0042】
本実施例では、第1の支持ローラ5と第2の支持ローラ6との間で帯電ベルト4を通して電流が殆ど流れないようにする。そのため、本実施例では、帯電ベルト4の移動方向における第1の支持ローラ5と第2の支持ローラ6との間の帯電ベルト4が両ローラに接触しない距離が約10mmに設定されている。これにより、第1の支持ローラ5と第2の支持ローラ6との間のベルトの抵抗が108〜1010Ωになるように設定されている。このように、帯電ベルト4の厚さよりも、帯電ベルト4の移動方向における上記第1の支持ローラ5と第2の支持ローラ6との間の帯電ベルト4が両ローラに接触しない距離の方が長い。
【0043】
尚、帯電ベルト4の厚さや体積抵抗率、第1、第2の支持ローラ5、6間の距離などは、本実施例のものに限定されるものではない。感光体1の長手方向の帯電幅を考慮して、第1、第2の支持ローラ5、6間における通電を十分に抑制するように適宜調整することができる。
【0044】
(d)第1の支持ローラ
本実施例では、第1の支持ローラ5としては、外径10mm、厚さ1.0mmの中空の導電性の金属ローラを用いている。
【0045】
本実施例では、第1の支持ローラ5は、付勢手段(加圧手段)としてのバネによって感光体1に向けて付勢され、帯電ベルト4を感光体1に押し付けている。これにより、帯電ベルト4は、感光体1の回転に従って、図中矢印方向(時計回り)に従動回転する。そして、感光体1の回転方向(表面の移動方向)において帯電ベルト4と感光体1との接触部(帯電ニップ部)の上流側及び下流側に形成される帯電ベルト4と感光体1との微小な空隙(ギャップ)における放電により、感光体1が帯電処理される。
【0046】
又、第1の支持ローラ5は、第2の帯電電圧印加手段としての第2の帯電電源S2に接続されている。本実施例では、第1の支持ローラ5には、第2の帯電電源S2から、DC電圧(帯電DC電圧)とAC電圧(帯電AC電圧)とを重畳した振動電圧を印加可能である。又、本実施例では、第2の電流検知部A2により、第2の帯電電源S2と第1の支持ローラ5との間に流れるAC電流及びDC電流を検知可能である。帯電DC電圧、帯電AC電圧の値は、画像形成装置100に用いる感光体1の種類や特性に応じて適宜調整される。
【0047】
尚、帯電ベルト4は、感光体1に接触させて従動回転させることに限定されるものではない。例えば、第2の支持ローラ6を駆動手段としてのモータにより駆動することにより帯電ベルト4を回転駆動してもよい。又、第1の支持ローラ5と感光体1とが対向する位置において帯電ベルト4と感光体1との間に微小な空隙を設け、上述のように第2の支持ローラ6により帯電ベルト4を回転駆動すると共に、この微小な空隙における放電により感光体1を帯電処理してもよい。
【0048】
(e)第2の支持ローラ
本実施例では、第2の支持ローラ6としては、外径6mm、厚さ1.0mmの中空の導電性の金属ローラを用いている。
【0049】
本実施例では、第2の支持ローラ6は、支持部材に支持され、帯電ローラ3と所定の接触ニップが形成できる位置に保持されている。
【0050】
又、第2の支持ローラ6は、抵抗素子Rを介して電気的に接地されている。又、本実施例では、第3の電流検知部A3により、抵抗素子Rと第2の支持ローラ6との間に流れるDC電流を検知可能である。
【0051】
ここで、抵抗素子Rの抵抗値は、108〜109Ω程度とされている。このような大きな抵抗値とするのは、帯電ローラ3側から第1の通電部位Paを通して、第2の支持ローラ6側に電流が流れ込まないようにするためである。
【0052】
1−3.露光装置
画像形成装置100は、帯電処理された感光体1の周面に静電潜像(静電像)を形成する露光手段(情報書き込み手段)としての露光装置13を有する。本実施例では、露光装置13は、半導体レーザーを使用したレーザービームスキャナである。
【0053】
露光装置13は、図示しない画像読み取り装置などのホスト装置から画像形成装置100に送られた画像信号に対応して変調されたレーザー光を出力して、回転する感光体1の一様に帯電処理された周面を、露光位置において走査露光する。このレーザー光が照射された部分の電位の絶対値が低下することで、回転する感光体1の表面に、画像情報に対応した静電潜像が順次に形成されていく。
【0054】
尚、本実施例では、イメージ露光と反転現像の組み合わせにより、画像を形成する。即ち、一様に帯電された感光体1上のイメージ部(画像部)を露光装置13により露光する。そして、この露光により電位の絶対値が低下した露光部に、後述する現像装置11によって感光体1の帯電極性(本実施例では負極性)と同極性に帯電したトナーを付着させる。
【0055】
1−4.現像装置
画像形成装置100は、感光体1上の静電潜像に現像剤(トナー)を供給し静電潜像を可視化する現像手段としての現像装置11を有する。本実施例では、現像装置11は、現像剤としてトナー(非磁性トナー粒子)とキャリア(磁性キャリア粒子)とを備えた2成分現像剤を用いる2成分現像方式を採用している。
【0056】
現像装置11内に収容された現像剤中のトナーは、キャリアとの摩擦により所定の極性(本実施例では負極性)に帯電する。トナーが付着したキャリアは、現像剤担持体としての現像スリーブ11aに担持されて、感光体1との対向部である現像位置へと搬送される。そして、感光体1の周面に形成された静電潜像のイメージ部分に現像剤中のトナーが転移することで、静電潜像はトナー像として現像される。現像スリーブ11aは、その外周面の一部を現像装置11の外部に露呈させて、現像装置11内に回転可能に配設されている。現像スリ−ブ11aに担持される、現像装置11内に収容された2成分現像剤の量は、図示しない規制ブレードによって規制される。これにより、現像スリ−ブ11a上に所定の層厚の現像剤層が形成される。又、現像スリーブ11aには、図示しない現像電圧印加手段としての現像電源(高圧電源)より、所定の現像電圧(現像バイアス)が印加される。これにより、現像スリーブ11aと感光体1との間に形成される電界の作用で、感光体1上に形成された静電潜像がトナー像として現像される。
【0057】
尚、現像方式は2成分現像方式に限定されるものではなく、現像剤としてキャリアを含まない1成分現像剤を用いる1成分現像方式など、他の利用可能な現像方式を任意に用いることができる。又、本実施例では、トナーの正規の帯電極性(現像装置が静電潜像を現像する際に意図されているトナーの帯電極性)は負極性であるが、トナーの正規の帯電極性は負帯電極性に限定されるものではなく、正極性であってもよい。
【0058】
1−5.転写装置
画像形成装置100は、感光体1上に形成されたトナー像を、被転写体としての記録材12に転写する転写手段として、ローラ状の転写部材である転写ローラ16を有する。転写ローラ16は、感光体1に向けて押圧されており、感光体1と転写ローラ16とが接触する転写部Nを形成している。
【0059】
感光体1上に形成されたトナー像は、転写部Nに搬送される。このとき、転写ローラ16には、図示しない転写電圧印加手段としての転写電源(高圧電源)より、トナーの帯電極性とは逆極性の転写電圧(転写バイアス)が印加される。これにより、転写ローラ16と感光体1との間に形成される電界の作用で、感光体1上のトナー像は、転写部Nにおいて感光体1と転写ローラ16とに挟持されて搬送される記録材12上へ静電的に転写される。
【0060】
1−6.定着装置
画像形成装置100は、記録材12に転写された未定着のトナー像を転写材12に定着させる定着手段として定着装置17を有する。
【0061】
転写部Nにおいてトナー像が転写された記録材12は、定着装置17へ搬送されて、ここで所定の熱量と圧力とを付与されて、その上へのトナー像の定着処理を受ける。その後、記録材12は、印刷物として画像形成装置100の外部へと出力される。
【0062】
1−7.クリーニング手段及び光除装置
転写工程後の感光体1の周面は、除電手段としての光除電装置15により露光される。これにより、感光体1の静電潜像履歴が消去される。又、転写部Nにおいて転写されずに感光体1上に残留したトナー(転写残トナー)は、詳しくは後述するようにして、帯電装置2によって再帯電された後、現像装置11により回収される。こうして、感光体1は、以上のような画像形成動作に繰り返し供される。
【0063】
2.帯電動作
次に、本実施例の帯電装置2による帯電動作について説明する。
【0064】
2−1.概要
本実施例の画像形成装置100では、帯電装置2は、感光体1の回転方向において上流側の帯電ローラ3と下流側の帯電ベルト4とで感光体1を帯電させる。この際、下流側の帯電ベルト4は、最終的に感光体1の帯電電位を均一にすることが望まれるため、その表面へのトナーや外添剤の付着をより抑制することが望まれる。そこで、本実施例では、帯電ベルト4に付着した正規の帯電極性とは逆極性に帯電したトナーなどを、帯電ローラ3に戻して再度正規の帯電極性に帯電させることができるような構成とする。即ち、概略、帯電ローラ3と帯電ベルト4との接触部を設けると共に、この接触部において帯電ベルト4から帯電ローラ3へと正規の帯電極性とは逆極性に帯電したトナーなどを転移させる方向の電流を流す。以下、更に詳しく説明する。
【0065】
2−2.制御態様
図4は、第1の通電部位Pa、第2の通電部位Pb、第3の通電部位Pcにおける電流の方向及び転写残トナーの移動態様を示す。又、図5は、第1の帯電電源S1、第2の帯電電源S2の制御態様を示す。
【0066】
図5に示すように、画像形成装置100の動作は、画像形成装置100に設けられたコントロール部(制御部)110が統括的に制御する。本実施例との関係では、コントロール部110には、出力制御部(高圧出力制御部)200、電流検知制御部300、制御手段としてのCPU400、記憶手段としての記憶部(メモリ)などを有する。出力制御部200は、CPU400からの指示により、第1の帯電電源S1、第2の帯電電源S2の出力を制御する。電流検知制御部300は、第1の帯電電源S1に接続された第1の電流検知部(電流計)A1の検知結果を処理してCPU400に入力する。又、電流検知制御部300は、第2の帯電電源S2に接続された第2の電流検知部(電流計)A2の検知結果を処理してCPU400に入力する。又、電流検知制御部300は、抵抗素子Rと第2の支持ローラ6に接続された第3の電流検知部(電流計)A3の検知結果を処理してCPU400に入力する。CPU400は、記憶部500に記憶されたプログラム、データに従って画像形成装置100の各部を制御する。又、記憶部500には、CPU400が用いるプログラムやデータが格納されている他、後述するように電流検知結果が記憶される。
【0067】
2−3.第1の通電部位
本実施例では、帯電装置2は、第2の支持ローラ6に巻き付けられた帯電ベルト4と帯電ローラ3とが接触する第1の通電部位Paを有する。
【0068】
図4に示すように、第2の支持ローラ6には、抵抗素子Rが接続され、GNDに接地されている。より具体的には、本実施例では、抵抗素子Rの抵抗値は、200〜300MΩに設定されている。本実施例では、抵抗素子Rとして、固定抵抗を用いているが、可変抵抗素子を用いて、適宜抵抗素子に流れる電流を調整してもよい。
【0069】
抵抗素子Rに流れるDC電流I3は、第3の電流検知部A3で測定される。第3の電流検知部A3で測定された電流I3の電流値は、電流検知制御部300で信号変換されてCPU400に送信され、CPU400によって記憶部500に記憶される。本実施例では、帯電ベルト4の体積抵抗率を大きく設定しているため、第2の支持ローラ6から第1の支持ローラ5に向かう方向には、殆ど電流は流れない。従って、電流I3の電流値は、第2の支持ローラ6側から帯電ローラ3側に流れる電流Iaの電流値と略同一となる。
【0070】
このように、第1の通電部位Paにおいて、図4中の矢印で示すように、第2の支持ローラ6側から帯電ローラ3側に電流Iaを流す。これにより、帯電ベルト4に付着している正規の帯電極性(本実施例では負極性)とは逆極性(本実施例では正極性)に帯電したトナーを、帯電ベルト4上から帯電ローラ3側に移動させる。
【0071】
尚、ここでは、正規の帯電極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーを「正規トナー」又は「ネガトナー」と呼び、正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)に帯電したトナーを「逆極性トナー」又は「ポジトナー」と呼ぶことがある。
【0072】
2−4.第1の通電部位の配置構成
図6(A)〜(D)は、第1の通電部位Paの配置に関して4つの構成例を示したものである。又、図6(E)は、図6(C)の配置構成における第1の通電部位Paを拡大して示したものである。
【0073】
図6中の符号R1は、感光体1の回転軸線方向と直交する平面上における、感光体1の回転中心を中心とした、帯電ローラ3の回転中心を通る円の半径を示している。又、符号R2は、感光体1の回転軸線方向と直交する平面上における、感光体1の回転中心を中心とした、帯電ローラ3の外周を通る円の半径を示している。又、符号Rは、感光体1の回転軸線方向と直交する平面上における、帯電ローラ3の半径を示している。そして、感光体1の回転軸線方向と直交する平面上における、帯電ローラ3の回転中心を中心として形成される帯電ローラ3に対する帯電ベルト4の巻き付け角度を、θ[単位:rad]として示している。
【0074】
尚、感光体1、帯電ローラ3、第1の支持ローラ5、第2の支持ローラ6の回転軸線方向は平行である。
【0075】
図6(A)〜(D)に示すように、第1の通電部位Paは様々な配置とすることが可能であり、画像形成装置100の断面レイアウトなどにより適宜最適化することができる。しかし、第1の通電部位Paの配置は、巻き付け角度θが、π/36≦θ≦π/2の範囲になるように設定されることが好ましい。以下にその理由について説明する。
【0076】
図6(A)に示す配置では、第1の通電部位Paは、半径R1の円周上に配置されている。このように、第1の通電部位Paを半径R1の円周付近に配置すると、巻き付け角度θが小さくなり易い。第1の通電部位Paの接触ニップを安定的に確保するためには、機械設計上の公差を考慮し、θがπ/36以上確保できるようにすることが好ましい。又、第1の通電部位Paが半径R1の円周より内側に配置されると、第1の支持ローラ5と帯電ローラ3との距離が大きくなり、帯電装置2が大型化する方向である。そのため、θがπ/36以上となる図6(A)に示す配置も可能であるが、帯電装置2の幅の小型化の面では、図6(B)、(C)、(D)に示す配置がより好ましい。
【0077】
一方、図6(D)に示す配置では、第1の通電部位Paが、半径R2の円周上に配置されている。図6(D)の配置では、図6(A)、(B)、(C)に示す配置と比較して、第1の通電部位Paの接触ニップが増加していることが分かる。巻き付け角度θが大きくなると、帯電ベルト4の周長が大きくなり、帯電装置2が大型化する。又、本実施例のように、帯電ローラ3としてブラシローラを用いる場合には、ブラシ繊維の毛倒れなどの不具合が発生し易くなる。第1の通電部位Paにおいては、安定した接触ニップが形成できればよく、過剰な接触ニップは必要ない。巻き付け角度θと帯電ローラ3の半径Rで決定される接触ニップの周長をL=Rθとするとき、2〜10mm程度の周長Lが確保できれば十分であることが分かった。従って、巻き付け角度θは、第1の通電部位Paに安定した接触ニップを形成すると共に、帯電装置2の小型化の面を考慮すれば、θがπ/2以下であることが好ましい。
【0078】
以上の理由より、第1の通電部位Paは、図6(A)(B)、(C)に示すように、π/36≦θ≦π/2(即ち、5°≦θ≦90°)となるように配置することが、安定した接触ニップの形成、帯電装置の小型化の面で好ましい。より好ましくは、図6(B)、(C)に示すように、第1の通電部位Paの接触ニップが、半径R1の円より外側、且つ、半径R2の円より内側に配置されるような配置とする。
【0079】
尚、感光体1の外周円上の角度配置には制約はないが、帯電装置2の高さ方向(感光体の半径方向)の小型化を考慮すると、感光体1の回転中心を中心とした角度θ’[単位:rad]が、π/36≦θ’≦π/2の範囲となるように配置することがより好ましい。
【0080】
このように、ローラ状の帯電部材3の半径をR、ローラ状の帯電部材3の外周面上のベルト状の帯電部材4が接触する周方向の長さをLとする。又、ローラ状の帯電部材3の回転中心を中心として形成される、ローラ状の帯電部材3に対するベルト状の帯電部材4の巻き付け角度をθ=L/Rとする。このとき、巻きつけ角度θが、π/36≦θ≦π/2の関係を満たすように、ローラ状の帯電部材3の外周面上にベルト状の帯電部材4が接触することが好ましい。或いは、感光体1の回転中心を中心としたローラ状の帯電部材3の回転中心を通る円の半径をR1、感光体1の回転中心を中心としたローラ状の帯電部材3の外周を通る円の半径をR2とする。このとき、ローラ状の帯電部材3の外周面上のベルト状の帯電部材4が接触する位置が、半径R1の円より外側、且つ、半径R2の円より内側に配置されるように、ローラ状の帯電部材3の外周面上にベルト状の帯電部材4が接触することが好ましい。
【0081】
2−5.第2の通電部位
本実施例では、帯電装置2は、帯電ベルト4を用いて感光体1を帯電させるために第1の支持ローラ5に巻き付けられた帯電ベルト4と感光体1とが接触又は近接する第2の通電部位Pbを有する。
【0082】
第2の通電部位Pbでは、第1の支持ローラ5に巻き付けられた帯電ベルト4と感光体1との接触部(帯電ニップ部)の近傍の微小な空隙に発生する放電を用いて、感光体1を帯電させる。
【0083】
図4、図5に示すように、第1の支持ローラ5には、第2の帯電電源S2が接続されている。第2の帯電電源S2は、任意のDC電圧を第1の支持ローラ5に印加可能である。又、本実施例では、第2の帯電電源S2は、上記DC電圧に所定のAC電圧を重畳させて第1の支持ローラ5に印加可能である。第2の帯電電源S2は、出力制御部200に接続されている。出力制御部200は、CPU400からの信号を受け取り、第2の帯電電源S2の出力を制御する。又、第2の帯電電源S2と第1の支持ローラ5との間に流れるDC電流I2は、第2の電流検知部A2で測定される。第2の電流検知部A2で測定された電流I2の電流値は、電流検知制御部300で信号変換されてCPU400に送信され、CPU400によって記憶部500に記憶される。CPU400は、詳しくは後述するように、電流I2の電流値の測定結果に基づき、第2の帯電電源S2から第1の支持ローラ5に印加する電圧を制御する。
【0084】
ここで、電流I2の方向は、図4の矢印で示すように、第1の支持ローラ5から第2の帯電電源S2に向かう方向である。本実施例では、帯電ベルト4の体積抵抗率を大きく設定しているため、第1の支持ローラ5から第2の支持ローラ6に向かう方向には、殆ど電流は流れない。従って、電流I2の電流値は、感光体1側から第1の支持ローラ5側に流れる電流Ibの電流値と略同一となる。又、本実施例では、第3の通電部位Pcにおいて帯電された感光体1の表面電位(以下「PreVD」ともいう。)に対し、第2の帯電電源S2から第1の支持ローラ5に印加されるDC電圧Vdc2が、Vdc2≧PreVD(或いは|Vdc2|≧|PreVD|)の関係となるように設定される。これにより、電流I2の絶対値が0μA以上となるように制御されている。尚、本実施例では、Vdc2、PreVDの極性は負である。
【0085】
電流I2の方向を、第1の支持ローラ5から第2の帯電電源S2に向かう方向になるように設定しているのは、次の理由による。即ち、図4に示すように、帯電ベルト4側に逆極性トナー(ポジトナー)を引き付け(図4中の符号E)、感光体1側に正規トナー(ネガトナー)を付着させるためである(図4中の符号C)。
【0086】
2−6.第2の通電部位における帯電動作
次に、帯電ベルト4による帯電動作について説明する。
【0087】
本実施例では、帯電ベルト4による感光体1の帯電は、第2の帯電電源S2から第1の支持ローラ5を介して帯電ベルト4にDC電圧とAC電圧とを重畳した振動電圧を印加することによって行っている。
【0088】
図3は、帯電ローラ3を用いて感光体1を帯電させない条件で、帯電ベルト4のみを用いて感光体1を帯電させた場合の感光体1の帯電電位VDを測定した結果である。又、図3は、第2の帯電電源S2によって、第1の支持ローラ5に−700VのDC電圧Vdc2を印加すると共に、第2の帯電電源S2が印加するAC電圧のピーク間電圧Vppを可変調整し、現像位置で測定した感光体1の帯電電位VDを測定した結果を示す。この時のAC電圧の周波数fは2.3KHzである。
【0089】
図3より、Vpp=1000Vで、帯電電位VDが収束していることが分かる。本実施例では、第1の支持ローラ5に印加するACのピーク間電圧Vppを1110Vに設定した。これは、感光体1の帯電電位が収束するポイント(Vpp=1000V)に対し、帯電電位VD電位の安定領域に余裕を持たせるためである。
【0090】
このピーク間電圧Vppの値は、用いる感光体1の静電容量などから決定されるパッシェン側に従うDC放電開始電圧Vthの2倍以上の電圧に設定されることが望ましい。AC電圧のピーク間電圧Vppとしては、一般的なAC電圧を重畳した場合に、感光体1の帯電電位VDが安定領域となるVppを用いればよい。
【0091】
2−7.第3の通電部位
本実施例では、帯電装置2は、帯電ローラ3を用いて感光体1を帯電させるために帯電ローラ3と感光体1とが接触又は近接する第3の通電部位Pcを有する。
【0092】
図4、図5に示すように、帯電ローラ3には、第1の帯電電源S1が接続されている。第1の帯電電源S1は、任意のDC電圧を帯電ローラ3に印加可能である。第1の帯電電源S1は、出力制御部200に接続されている。出力制御部200は、CPU400からの信号を受け取り、第1の帯電電源S1の出力を制御する。又、第1の帯電電源S1と帯電ローラ3との間に流れるDC電流I1は、第1の電流検知部A1で測定される。第1の電流検知部A1で測定された電流I1の電流値は、電流検知制御部300で信号変換されてCPU400に送信され、CPU400によって記憶部500に記憶される。CPU400は、詳しくは後述するように、電流I1の電流値の測定結果に基づき、第1の帯電電源S1から帯電ローラ3に印加する電圧を制御する。
【0093】
ここで、電流I1の方向は、図4の矢印で示すように、帯電ローラ3から第1の帯電電源S1に向かう方向である。そして、帯電ローラ3には、感光体1側から帯電ローラ3側に電流Icが流れる。
【0094】
次に、この感光体1側から帯電ローラ3側に流れる電流Icの電流値について説明する。
【0095】
感光体1から帯電ローラ3に流れる電流Icは、第2の支持ローラ6から帯電ローラ3に流れるIaで決定されるものであり、I1=Ia+Icの関係となっている。従って、電流Icの電流値は、上記式より、Ic=I1−Iaとして求めることができる。
【0096】
ここで、第2の支持ローラ6側から帯電ローラ3側に流れる電流Iaの電流値は、前述のように、電流I3の電流値と略同一である。そのため、電流Iaの電流値は、第3の電流検知部A3によって測定した電流I3の電流値となる。従って、CPU400は、記憶部500に記憶している電流I1と電流I3の電流値を用いて、次式、
Ic=I1−I3
から電流Icの電流値を算出することができる。
【0097】
2−8.第3の通電部位における帯電動作
次に、帯電ローラ3による帯電動作について説明する。
【0098】
本実施例では、帯電ローラ3による感光体1の帯電は、第1の帯電電源S1より供給されるDC電圧を帯電ローラ3に印加し、図2に示すDC放電特性を用いて行っている。
【0099】
感光体1の目標とする帯電電位をVDとする場合、第1の帯電電源S1から帯電ローラ3に印加するDC電圧Vdc1は、次式、
Vdc1=Vth+VD
で決定される。
【0100】
ここで、上記式中のVthは、図2に示されるDC放電開始電圧である。図2に示すように、放電開始電圧Vth以上の領域では、DC電圧と感光体1の帯電電位VDとの関係は、傾きα=1である。そのため、上記式により計算されるDC電圧Vdc1を第1の帯電電源S1から帯電ローラ3に印加することによって、目標とする帯電電位VDを感光体1に形成することが可能である。
【0101】
但し、より具体的には、第3の通電部位Pcから第2の通電部位Pbまで移動するまでの間の感光体1の帯電電位の減衰を考慮して、次のようにして第1の帯電電源S1から帯電ローラ3に印加する電圧を計算する。即ち、本実施例の画像形成装置100では、放電開始電圧Vthは−480V、第2の通電部位Pbに対して供給するPreVDの目標値は−650Vである。そして、第3の通電部位Pcから第2の通電部位Pbまでの帯電電位VDの減衰量(暗減衰)は50Vである。従って、この帯電電位VDの減衰量を考慮したDC電圧を第1の帯電電源S1から帯電ローラ3に印加する。即ち、本実施例では、第3の通電部位Pcにおける感光体1の帯電電位VDは、次式、
VD=目標VD+暗減衰V
となる。従って、本実施例では、
Vdc1=−480V−650V−50V
=−1180V
となる。このDC電圧が、第1の帯電電源S2より帯電ローラ3へと供給される。
【0102】
この時、本実施例では、電流Icとしては、図8のVdc−I特性に示すように、220μA程度の電流が流れている。図8は、本実施例における、第3の通電部位Pcにおける、帯電ローラ3のDC放電特性(Vdc−I特性)を示している。
【0103】
2−9.転写残トナーの再帯電等
次に、図1及び図4を参照して、帯電ローラ3と帯電ベルト4による転写残トナーの再帯電、帯電装置2の汚れ低減、各通電部位Pa、Pb、Pcにおける電流の方向と電流値の関係などについて説明する。
【0104】
尚、本実施例では、感光体1上の付着物として、トナーと同様に外添剤も、再帯電させることで感光体1上から除去することができ、又下流側の帯電部材へのその付着量を抑制することができる。ここでは、トナーを例として説明する。
【0105】
図1及び図4に示すように、転写部Nで転写されなかった感光体1上の転写残トナーは、光除電装置15による光照射位置を通過した後、第3の通電部位Pcに搬送される。この時、第3の通電部位Pcに搬送されてくる転写残トナーの大半は、逆極性化(ポジ化)されている(図4中符号A)。
【0106】
第3の通電部位Pcの帯電ニップ部に進入してきた転写残トナーは、帯電ローラ3による感光体1の帯電動作におけるDC放電の作用により再帯電され、その大半が正規極性化(ネガ化)される。
【0107】
第3の通電部位Pcにおいてネガ化されたトナーは、感光体1の回転によって、第2の通電部位Pbに搬送される(図4中の符号B)。一方、第3の通電部位Pcでネガ化されなかったポジトナーは、感光体1側から帯電ローラ3側に流れる電流Icに沿って帯電ローラ3側に移動し、その後第1の通電部位Paに搬送される(図4中の符号D)。
【0108】
その後、第2の通電部位Pbに搬送されたネガトナーは、帯電ベルト4による感光体1の帯電動作におけるDC電圧とAC電圧とが重畳された振動電圧(以下「DC+AC電圧」ともいう。)による放電の作用を受ける。そして、第2の通電部位Pbにおいて、ネガ化したトナーは、感光体1の表面に付着したまま、現像装置11に搬送される(図4中の符号C)。一方、第2の通電部位Pbでもネガ化されなかったポジトナー、又はAC電圧の正負放電の影響でポジ化したトナーは、帯電ベルト4に付着する(図4中の符号E)。
【0109】
その後、帯電ベルト4に付着したポジトナーは、帯電ベルト4の回転動作により、第1の通電部位Paに搬送される。
【0110】
図4中の符号D、Eで示される位置のポジトナーは、第1の通電部位Paに搬送され、第1の支持ローラ6側から帯電ローラ3側に流れる電流Iaに沿って帯電ローラ3側に移動する。
【0111】
その後、帯電ローラ3に付着したポジトナーは、再度、第3の通電部位Pcに搬送され、DC放電の作用によるネガ化が、帯電装置2内で繰り返し実行される。
【0112】
以上のように、本実施例では、下流側の帯電ベルト4に付着したポジトナーを、繰り返し上流側の帯電ローラ3に循環させる。これにより、ポジトナーに対して、DC放電の作用によるネガ化を繰り返して実施することが可能である。又、ポジトナーを、画像形成動作中に、上流側の帯電ローラ3に繰り返し循環させることで、帯電ベルト4上のポジトナーの付着量が低減でき、帯電ベルト4の汚れによる帯電不良を長期にわたり抑制することができる。
【0113】
尚、図4に示すように、帯電ベルト4に流れる電流が、第1の通電部位Paと、第2の通電部位Pbにおいて、帯電ベルト4の表裏方向(厚さ方向)で逆方向となっている。そのため、一方向のDC電流が流れることによる帯電ベルト4の抵抗変動も低減することが可能である。又、帯電ローラ3に流れる電流についても、図4に示すように、電流Iaと電流Icとでその方向が、帯電ローラ3の表面側と芯金側に対して逆方向になっている。そのため、一方向のDC電流が流れることによる帯電ローラ3の抵抗変動も低減することが可能である。
【0114】
3.制御フロー
次に、図7のフローチャートを参照して、本実施例の制御フローについて説明する。
【0115】
尚、本実施例では、帯電装置2への印加電圧の調整制御を、非画像形成時として、画像形成信号が画像形成装置100に入力されてから実際に画像形成を開始するまでの間の準備動作時である前回転動作時に行う。但し、本発明はこれに限定されるものではなく、非画像形成時としては、例えば、前回転動作時の他、次のものが挙げられる。画像形成装置100の主電源の投入後の準備動作時である前多回転動作時、画像形成終了後の整理(準備)動作時である後回転動作時、或いは連続画像形成時の一の記録材とその次の記録材との間に相当する紙間時である。これらのいずれのタイミングで上記調整制御を行ってもよい。
【0116】
本実施例では、画像形成信号の入力に伴い、制御手段としてのCPU400は、画像形成装置100を、以下の手順で制御する。
【0117】
先ず、S101において、CPU400は、画像形成信号が入力されると、感光体1の回転駆動を開始させると共に、光除電装置15による感光体1の露光を開始させる。
【0118】
次に、S102において、CPU400は、感光体1が定常回転に到達したことを検知したタイミングで、第1の帯電電源S1から、第2の通電部位Pbにおける目標帯電電位PreVDを形成するためのDC電圧Vdc1を出力させる。ここで、例えば、Vdc1=−1180Vである。又、CPU400は、第1の帯電電源S1からの電圧の出力を開始させた後、第1の電流検知部A1、第3の電流検知部A3による電流I1、電流I3のそれぞれの測定を開始させ、測定値を記憶部500に記憶させる。
【0119】
次に、S103において、CPU400は、第2の帯電電源S2から、感光体1を最終的に均一に帯電させるためのDC電圧Vdc2と所定のAC電圧とを重畳した振動電圧を出力させる。又、CPU400は、第2の帯電電源S2からの電圧の出力を開始させた後、第2の電流検知部A2による電流I2の測定を開始させ、測定値を記憶部500に記憶させる。
【0120】
その後、S104において、CPU400は、記憶部500に格納されている、第1、第3の電流検知部A1、A3で検知した電流I1と電流I3とから、Ic=I1−I3として電流Icの値を計算する。
【0121】
その後、S105において、CPU400は、予め設定されている目標電流値It=220μAと、電流Icの電流値との差分の絶対値(ABS(Ic−It))が5μA以下になっているか否かを判定する。ここで、目標電流値Itは、Vdc2≧PreVD(或いは|Vdc2|≧|PreVD|)の関係となるように予め設定されているものであり、詳細は後述する。尚、本実施例では、Vdc2、PreVDの極性は負である。
【0122】
尚、S105において、I2>0を満たすか否かを判断し、満たす場合はS106、満たさない場合はS109に進むようにしてもよい。或いは、S105において、上記IcとItとの差分の絶対値が所定値以下であるか否かの判断と、I2>0を満たすか否かの判断との両方を行ってもよい。
【0123】
S105において条件を満たした場合、S106において、CPU400は、露光装置13を制御して、画像形成を開始する。その後、CPU400は、S107において画像形成終了命令を出すまで、画像形成動作を継続させる。そして、所定の枚数の画像形成を実施して画像形成終了命令を出した後(S107)、S108において、CPU400は、帯電電圧などの高圧出力、光除電装置15、感光体1の回転駆動を順次に停止させ、一連の画像形成動作を終了する。
【0124】
S105において条件を満たさなかった場合、S109において、CPU400は、電流Icと目標電流Itとの電流値の大小関係を判定する。
【0125】
本実施例では、帯電ローラ3の芯金3bから第1の帯電電源S1の方向に流れる電流の方向を正方向として説明する。
【0126】
S109においてIc>Itと判断した場合、S110において、CPU400は、第1の帯電電源S1が出力するDC電圧Vdc1の絶対値を小さくする方向に補正し、電流Icの絶対値を小さくするように補正する。本実施例では、Vdc1の極性は負であるため、CPU400は、Vdc1=Vdc1+ΔVの計算により、Vdc1は、その絶対値が小さくなる方向に補正される。
【0127】
一方、S109において、Ic<Itと判断した場合、S111において、CPU400は、S110の場合とは逆に、Vdc1の絶対値を大きくする方向に補正し、電流I1の絶対値を大きくするように補正する。この場合、CPU400は、Vdc1=Vdc1−ΔVの計算により、Vdc1を補正する。
【0128】
そして、S112において、CPU400は、S110又はS111で更新されたVdc1を出力させる。
【0129】
その後、処理はS105に戻り、S105の条件が満たされるまで、S109〜S112の一連の動作フローが繰り返される。
【0130】
ここで、S110、S111における補正量ΔVについて説明する。
【0131】
本実施例では、1回の補正量ΔVは10Vと設定している。この1回の補正量は、図8に示す帯電ローラ3のDC放電特性(Vdc−I特性)を考慮して決定している。即ち、図8に示すVdc−I特性の傾きαは、α=ΔI/ΔV≒0.28μA/V程度である。従って、ΔVを10Vに設定することで、1回の補正で約2.8μAの電流調整が可能である。
【0132】
尚、ΔVの値は、主に用いる感光体1の静電容量により変化するので、Vdc−I特性を考慮して、ΔVの値を適宜設定することができる。
【0133】
次に、S105における電流差の判定基準の決定方法について説明する。
【0134】
本実施例では、電流Icと目標電流Itとの電流値の差分の絶対値が5μA以下になるようにする。これは、第2の通電部位Pbに供給する帯電電位PreVDと第2の帯電電源が印加するDC電圧Vdc2との関係を、PreVD−Vdc2≦0(或いは|PreVD|−|Vdc2|≦0)とするためである。尚、本実施例では、Vdc、PreVDの極性は負である。
【0135】
この関係を維持することで、第2の通電部位Pbにおいて、感光体1側から第1の支持ローラ5側に向かう方向に電流が流れる。即ち、この電位関係に設定することで、感光体1に付着した逆極性トナー(ポジトナー)は、帯電ベルト4側に付着させることが可能とされている。
【0136】
尚、上述のようにPreVD−Vdc2≦0(或いは|PreVD|−|Vdc2|≦0)の関係とする。これにより、第2の通電部位Pbにおいて帯電ベルト4に流れる電流の方向と、第1の通電部位Paにおいて帯電ベルト4に流れる電流の方向を、帯電ベルト4の表裏に対して逆方向の関係にすることができる。即ち、この電位関係に設定することにより、帯電ベルト4の抵抗変動を低減させることが可能とされている。
【0137】
上述の電位関係を維持することで、帯電ベルト4の汚れの低減、更には抵抗変動を低減でき、例えば、使用時間(寿命)が100時間以上(約500K枚/A4サイズ紙)という、高い耐久性を確保することが可能となる。
【0138】
ここで、電流Icの電流値、及び電流Icと目標電流Itの電流差は、例えば感光体1の種類や回転周速、使用する帯電ベルト4や帯電ローラ3の構成に応じて適宜決定することができる。
【0139】
尚、本実施例では、第1の帯電電源S1の出力の制御方法として定電圧方式を用いている。しかし、第1の帯電電源S1の出力を定電流制御してもよい。その場合、Ic≒Itに制御すればよい。当然、上記同様、所定の電流差の範囲内となるようにしてもよい。但し、定電流制御を用いる場合は、第1の帯電電源S1、第2の帯電電源S2の電圧負荷に上限リミッタを設け、感光体1へのリークなどが発生しないようにすることが望ましい。
【0140】
以上の制御フローにより、画像形成動作中に、帯電ローラ3に、逆極性トナー(ポジトナー)を循環させて、転写残トナーを再帯電させることが可能となる。又、帯電装置2が逆極性トナー(ポジトナー)で汚れることを長期にわたり抑制することができ、帯電装置2の長寿命化を図ることができる。
【0141】
4.制御タイミング
次に、図9のタイミングチャートを参照して、画像形成時の各部の制御タイミングについて説明する。
【0142】
図9に示すように、感光体1の回転動作が安定した後、タイミングt1(約500ms後)に、第1の帯電電源S1から帯電ローラ3に対し、−1180VのDC電圧Vdc1を出力する。これは、第2の通電部位Pbにおける目標帯電電位PreVD=−650Vを得るためのDC電圧Vdc1である。これとほぼ同時に、第1、第3の電流検知部A1、A3による電流I1、I3の測定を開始する。
【0143】
その後、タイミングt2において、第2の帯電電源S2から、第1の支持ローラ5に対し、感光体1を最終的に均一に帯電させるための、DC電圧Vdc2とAC電圧とを重畳させた振動電圧を出力する。これとほぼ同時に、第2の電流検知部A2による電流I2の測定を開始する。
【0144】
その後、電流11と電流I3の電流値の検知結果に基づいて、第3の通電部位Pcに流れる電流Icと目標電流Itとの差分の絶対値が5μA以下となるように、図8に示すフローチャートに従ってVdc1が補正される。
【0145】
その後、画像形成が終了したタイミングt3において、高圧電源、光除電装置15及び電流検知部A1、A2、A3などが同時にoffされ、最後に感光体1の駆動が停止されて、一連の画像形成動作が終了する。
【0146】
このように、本実施例では、画像形成装置100は、回転可能な感光体1と、感光体上の静電像にトナーを供給する現像手段4と、を有する。又、画像形成装置100は、回転して感光体1を帯電させるローラ状の帯電部材3と、少なくとも第1、第2の支持ローラ5、6に掛け渡されて回転し感光体1を帯電させるベルト状の帯電部材4と、を有する。又、この画像形成装置100では、第2の支持ローラ5に巻き付けられた位置のベルト状の帯電部材4がローラ状の帯電部材3に接触して第2の支持ローラ6とローラ状の帯電部材3との間で通電が可能とされた第1の通電部Paが形成されている。又、この画像形成装置100では、第1の支持ローラ5に巻き付けられた位置のベルト状の帯電部材4が感光体1に接触又は近接して第1の支持ローラ5と感光体1との間で通電が可能とされた第2の通電部位P2が形成されている。又、ローラ状の帯電部材3が感光体1に接触又は近接してローラ状の帯電部材3と感光体1との間で通電が可能とされた第3の通電部位Pcが形成されている。そして、画像形成装置100は、ローラ状の帯電部材3とベルト状の帯電部材4により感光体1を帯電させる際に、次のような制御を行う制御手段400を有する。即ち、制御手段400は、第1の通電部位Paにおいて、ローラ状の帯電部材3とベルト状の帯電部材4のうち感光体1の回転方向において下流側の帯電部材から上流側の帯電部材に、現像手段4が静電像に供給するトナーとは逆極性のトナーを移動させる方向の電流を流すように、第1、第2、第3の通電部位Pa、Pb、Pcにおける通電を制御する。特に、本実施例では、感光体1の回転方向において、第2の通電部位Pbが下流側、第3の通電部位Pcが上流側に配置され、ローラ状の帯電部材3が、ブラシローラである。
【0147】
以上、本実施例によれば、帯電装置2の長寿命化を図ることができる。又、特許文献2に記載の構成などと比べて帯電手段や電圧印加手段の削減が可能であり、転写残トナーの再帯電システムを含めた帯電装置2の小型化が達成できる。
【0148】
実施例2
次に、本発明の他の実施例について説明する。図10は、本実施例に係る画像形成装置100の概略構成を示す。本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0149】
本実施例では、画像形成装置100は、感光体1上の転写残トナーをクリーニングするクリーニング手段を有する。又、本実施例では、実施例1における帯電ローラの材質を、ブラシローラから導電性の弾性ローラに変更した。
【0150】
更に説明すると、本実施例では、図10に示すように、クリーニング手段として、感光体1から転写残トナーを掻き取るクリーニングブレード14と、クリーニングブレード14によって回収したトナーを搬送する回収搬送部18と、を備えている。
【0151】
そして、本実施例では、クリーニング手段を配置したことにより、転写残トナーの画像履歴を消去する必要がないため、帯電ローラ3として、導電性の弾性体ローラを使用している。
【0152】
このように、クリーニング手段を配置することで、通常、大量の転写残トナーが帯電ローラに搬送されてくることはない。しかし、定常的に、微粉末トナーや外添剤がクリーニング手段をすり抜けてくることがある。従って、クリーニング手段を有する画像形成装置においても、本発明を適用することにより、帯電装置の汚れを低減することができる。又、帯電部材の抵抗変動を低減することも可能となる。従って、帯電装置の長寿命化を図ることができる。
【0153】
ここで、本実施例で用いた帯電ローラ7について説明する。本実施例では、帯電ローラ7は、金属製の芯金部7bの表面に、弾性体で形成された単層の抵抗層7aを備えて構成されている。本実施例では、帯電ローラ7の外径は10mm、芯金7bの直径は6mmである。又、帯電ローラ7の抵抗層7aの体積抵抗率は、104〜108Ωcm程度とされる。
【0154】
本実施例では、帯電ローラ7は、付勢手段(加圧手段)としてのバネにより感光体1に向けて付勢され、感光体1に押し付けられている。これにより、帯電ローラ7は、感光体1の表面に安定して接触している。尚、バネ加圧以外の方法を用いて帯電ローラ7を感光体1に押圧させてもよい。帯電ローラ7は、感光体1の回転に従って従動回転する。
【0155】
尚、帯電ローラ7の構成及びその電気抵抗値は、特に限定されるものではなく、一般的に用いられる帯電ローラを適宜用いることができる。
【0156】
又、帯電ローラ7は、感光体1に接触させて従動回転させる構成に限定されるものではない。例えば、駆動手段としてのモータにより駆動することにより帯電ローラ7を回転駆動してもよい。又、帯電ローラ7と感光体1との間に微小な空隙を設け、上述のように帯電ローラ7を回転駆動すると共に、この微小な空隙における放電により感光体1を帯電処理してもよい。
【0157】
帯電ローラ7の芯金7bは、導電性の金属であり、第1の帯電電源S1が接続されている。これにより感光体1を帯電処理するために必要な所定のDC電圧を、帯電ローラ7に印加可能である。
【0158】
そして、本実施例では、第1の帯電電源S1から帯電ローラ7にDC電圧を印加することで、帯電ローラ7と感光体1との接触部(帯電ニップ部)の近傍の微小な空隙に発生する放電を用いて、感光体1を帯電させる。
【0159】
以上、本実施例のようにクリーニング手段を有する画像形成装置においても、本発明を適用することで、実施例1と同様に、帯電装置2の長寿命化を図ることが可能である。
【0160】
実施例3
次に、本発明の他の実施例について説明する。図11は、本実施例に係る画像形成装置100の概略構成を示す。本実施例の画像形成装置において、実施例1、2の画像形成装置のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0161】
本実施例では、実施例2の画像形成装置100と同様に、帯電装置2は、帯電部材として実施例1と同様の帯電ベルト4と、導電性の弾性ローラとされる帯電ローラ7とを有している。但し、本実施例では、感光体1の回転方向における帯電ローラ7と帯電ベルト4との位置が、実施例2とは逆になっている。即ち、本実施例では、感光体1の回転方向において上流側に帯電ベルト4、下流側に帯電ローラ7が配置される。
【0162】
このように、本発明は、感光体1の回転方向において上流側に帯電ベルト4を配置し、下流側に帯電ローラ7を配置しても実施可能である。
【0163】
又、本実施例では、感光体1の回転方向において上流側に帯電ベルト4を配置し、帯電ローラ7に対する電圧印加を、その表面側から行う外部給電方式とする。これにより、実施例2の構成から、抵抗素子Rを省くことができ、低コスト化を図ることができる。
【0164】
尚、本実施例では、クリーニング手段を設けた場合について説明するが、クリーニング手段を省いてクリーナレス方式として実施してもよい。
【0165】
1.帯電装置の構成
本実施例では、帯電装置2は、帯電ローラ7と第2の支持ローラ6に巻き付けられた帯電ベルト4とが接触する第1の通電部位Paを有する。
【0166】
又、本実施例では、帯電装置2は、帯電ベルト4を用いて感光体1を帯電させるために第1の支持部材5に巻き付けられた帯電ベルト4と感光体1とが接触又は近接する第2の通電部位Pbを有する。
【0167】
更に、本実施例では、帯電ローラ7を用いて感光体1を帯電させるために帯電ローラ7と感光体1とが接触又は近接する第3の通電部位Pcを有する。
【0168】
本実施例では、帯電ベルト4と帯電ローラ7とは、第2、第3の通電部位Pb、Pcにおけるそれぞれの表面の移動方向が感光体1の表面の移動方向と順方向になるように回転する。又、第1の通電部位Paにおいて帯電ベルト4と帯電ローラ7との表面の移動方向は逆方向である。
【0169】
尚、実施例1で説明したのと同様、第1の通電部位Paにおける帯電ベルト4と帯電ローラ7との表面の移動方向は逆方向に限定されるものではない。又、実施例1で説明したのと同様、第2、第3の通電部位Pb、Pcにおける感光体1の帯電動作に関しても、帯電ベルト4、帯電ローラ3と感光体1の間に空隙を形成し、非接触で感光体1を帯電させてもよい。
【0170】
2.帯電動作
本実施例における帯電動作について、実施例1、2と異なる部分について説明する。
【0171】
本実施例では、図13に示すように、第1の支持ローラ5に第1の帯電電源S1が接続されている。そして、第2の通電部位Pbでは、帯電ベルト4と感光体1との接触ニップ部の近傍の空隙で発生するDC放電を用いて、第1の帯電電源S1からDC電圧を印加することで、感光体1を帯電させる。
【0172】
第1の帯電電源S1は、図12に示すように、出力制御部200に接続されている。出力制御部200は、CPU400からの信号を受け取り、第1の帯電電源S1の出力を制御する。又、第1の帯電電源S1と第1の支持ローラ5との間に流れるDC電流I1は、第1の電流検知部A1で測定される。そして、測定された電流I1の電流値は、電流検知制御部300で信号変換されて、CPU400に送信され、CPU400によって記憶部500に記憶される。CPU400は、電流I1の測定結果に基づき、第1の帯電電源S1の出力を制御する。電流I1の方向は、図13に示すように第1の支持ローラ5から第1の帯電電源S1に向かう方向である。
【0173】
一方、本実施例では、図13で示すように、帯電ローラ7への電圧の供給は、帯電ベルト4を介して帯電ローラ3の表面側より行われる。即ち、第2の支持ローラ6に接続された第2の帯電電源S2から、第2の支持ローラ6に電圧が印加されることによって、帯電ベルト4を介して帯電ローラ3の表面に給電される。又、本実施例では、帯電ローラ7の芯金7bに、高圧電源は接続されていない。そして、第3の通電部位Pcでは、帯電ローラ7と感光体1との接触ニップ部の近傍の空隙で発生する放電を用いて、第2の帯電電源S2からDC+AC電圧を印加することで、感光体1を帯電させる。
【0174】
第2の帯電電源S2は、図12に示すように、出力制御部200に接続されている。出力制御部200は、CPU400からの信号を受け取り、第2の帯電電源S2の出力を制御する。又、第2の帯電電源S2と第2の支持ローラ6との間に流れるDC電流I2は、第2の電流検知部A2で測定される。そして、測定された電流I2の電流値は、電流検知制御部300で信号変換されて、CPU400に送信され、CPU400によって記憶部500に記憶される。CPU400は、電流I2の測定結果に基づき、第2の帯電電源S2の出力を制御する。電流I2の方向は、図13に示すように感光体1から、帯電ローラ3、帯電ベルト4、第2の支持ローラ6を介して、第2の電源S2に向かう方向である。
【0175】
又、本実施例では、帯電ベルト4によって第2の通電部位Pbで帯電された感光体1の表面電位PreVDに対し、第2の支持ローラ6に印加されるDC電圧Vdc2が、次の関係となるように設定されている。即ち、PreVD−Vdc2≦0(或いは|PreVD|−|Vdc2|≦0)の関係となるように設定されている。このような、PreVDとVdc2との電位関係にすることにより、電流I2の値が、I2≧0μA(電源S2方向を正方向)となるように制御されている。
【0176】
尚、本実施例では、帯電ローラ7はその表面から供電されるため、帯電ローラ7の抵抗層7aの表面と芯金7bとの間で、帯電ローラ7の回転により、電流方向が切り替わる。そのため、帯電ローラ7の抵抗層7aの抵抗変動を低減させる効果も得られる。
【0177】
3.トナーの再帯電等
次に、図11及び図13を参照して、帯電ローラ7と帯電ベルト4によるトナーや外添剤の再帯電、帯電装置2の汚れ低減、各通電部位Pa、Pb、Pcにおける電流の方向と電流値の関係などについて説明する。
【0178】
図13に示すように、クリーニング手段をすり抜けたトナーや外添剤は、感光体1の回転により、第2の通電部位Pbに搬送される(図13中の符号A)。この時、第2の通電部位Pbに搬送されてくるトナーや外添剤は、逆極性化(ポジ化)されているか又はポジ化したものとネガ化したものが混在している。
【0179】
第2の通電部位Pbの帯電ニップ部に進入してきたトナーや外添剤は、第1の支持ローラ5に印加される電圧によるDC放電の作用により再帯電され、その大半が正規極性化(ネガ化)される。
【0180】
第2の通電部位Pbにおいてネガ化されたトナーや外添剤は、感光体1の回転によって、第3の通電部位Pcに搬送される(図13中の符号B)。一方、第2の通電部位Pbでネガ化されなかったポジトナーや外添剤は、感光体1側から帯電ベルト4側に流れる電流Icに沿って帯電ベルト4側に移動し、その後第1の通電部位Paに搬送される(図13中の符号D)。
【0181】
その後、第3の通電部位Pcに搬送されたネガトナーや外添剤は、帯電ローラ7による感光体1の帯電動作におけるDC+AC電圧による放電の作用を受けて帯電される。そして、第3の通電部位Pcにおいて、ネガ化したトナーや外添剤は、感光体1の表面に付着したまま、現像装置11に搬送される(図13中の符号C)。一方、第3の通電部位Pcでもネガ化されなかったトナーや外添剤、又はAC電圧の正負放電の影響でポジ化したトナーや外添剤は、帯電ローラ7側に回収される(図13中の符号E)。
【0182】
その後、帯電ローラ7に回収されたポジ化したトナーや外添剤は、帯電ローラ7の回転動作により、第1の通電部位Paへと搬送される。
【0183】
図13中の符号D、Eの位置で示されるポジ化したトナーや外添剤などの荷電粒子は、第1の通電部位Paに搬送され、帯電ローラ7側から帯電ベルト4側に流れる電流I2に沿って帯電ベルト4側に移動する。
【0184】
その後、帯電ベルト4に付着したポジ化したトナーや外添剤は、再度、第2の通電部位Pbに搬送され、DC放電の作用によるネガ化が、帯電装置2内で繰り返し実行される。
【0185】
以上のように、本実施例においても、実施例1と同様に、帯電装置2内において、逆極性化したトナーや外添剤の再帯電(ネガ化)が、繰り返して連続的に実施される。本実施例では、感光体1の回転方向に対し、下流側に配置した帯電ローラ7に付着した逆極性トナーや外添剤を、繰り返し上流のベルト4側に循環させることで、第2の通電部位PbにおいてDC放電の作用による再帯電(ネガ化)を繰り返して実行する。従って、ポジ化したトナーや外添剤は、画像形成動作中に、上流側の帯電ベルト4に繰り返し循環され、帯電ローラ7や帯電ベルト4への付着量を低減することができ、帯電ローラ7の汚れによる帯電不良を長期にわたり抑制することができる。
【0186】
4.制御フロー
次に、図14のフローチャートを参照して、本実施例の制御フローについて説明する。
【0187】
尚、実施例1と同様、本実施例では、帯電装置2への印加電圧の調整制御を、非画像形成時として、画像形成信号が画像形成装置100に入力されてから実際に画像形成を開始するまでの間の準備動作時である前回転動作時に行う。但し、実施例1にて説明したように、本発明はこれに限定されるものではない。
【0188】
本実施例では、画像形成信号の入力に伴い、制御手段としてのCPU400は、画像形成装置100を、以下の手順で制御する。
【0189】
先ず、S301において、CPU400は、画像形成信号が入力されると、感光体1の回転駆動を開始させると共に、光除電装置15による感光体1の露光を開始させる。
【0190】
次に、S302において、CPU400は、感光体1が定常回転に到達したことを検知したタイミングで、第1の帯電電源S1から、第3の通電部位Pcにおける目標帯電電位PreVDを形成するためのDC電圧Vdc1を出力させる。ここで、例えば、Vdc1=−1180Vである。又、CPU400は、第1の帯電電源S1からの電圧の出力を開始させた後、第1の電流検知部A1による電流値I1の測定を開始させ、測定値を記憶部500に記憶させる。
【0191】
次に、S303において、CPU400は、第2の帯電電源S2から、感光体1を最終的に均一に帯電させるためのDC電圧Vdc2と所定のAC電圧とを重畳した振動電圧を出力させる。又、CPU400は、第2の帯電電源S2からの電圧の出力を開始させた後、第2の電流検知部A2による電流I2の測定を開始させ、測定値を記憶部500に記憶させる。
【0192】
その後、S305において、CPU400は、第2の電流検知部A2で検知した電流I2から、I2>0であるかを判断する。
【0193】
ここで、CPU400は、第2の支持ローラ6から第2の帯電電源S2の方向に流れる電流の方向を正方向とし判断している。
【0194】
尚、S305において、実施例1と同様に、Ic(即ちI1)と目標電流It(=220μA)との差分の絶対値が所定値(=5μA)以下であるとの条件を満たすか否かを判断し、満たす場合はS306、満たさない場合はS309に進むようにしてもよい。或いは、S305において、上記I2>0を満たすか否かの判断と、Ic(即ちI1)とItとの差分の絶対値が所定値以下であるか否かの判断との両方を行ってもよい。
【0195】
S305において条件を満たした場合、S306において、CPU400は、露光装置13を制御して、画像形成を開始する。その後、CPU400は、S107において画像形成終了命令を出すまで、画像形成動作を継続させる。そして、所定の枚数の画像形成を実施して画像形成終了命令を出した後(S307)、S308において、CPU400は、帯電電圧などの高圧出力、光除電装置15、感光体1の回転駆動を順次に停止させ、一連の画像形成動作を終了する。
【0196】
S305において条件を満たさなかった場合、S309において、CPU400は、電流Ic(即ちI1)と目標電流It(=220μA)との電流値の大小関係を判定する。
【0197】
本実施例では、第1の支持ローラ5から第1の帯電電源S1の方向に流れる電流の方向を正方向として説明する。
【0198】
S309においてIc>It(即ちI1>It)と判断した場合、S310において、CPU400は、第1の帯電電源S1が出力するDC電圧Vdc1の絶対値を小さくする方向に補正し、電流Ic(即ちI1)の絶対値を小さくするように補正する。本実施例では、Vdc1の極性は負であるため、CPU400は、Vdc1=Vdc1+ΔVの計算により、Vdc1は、その絶対値が小さくなる方向に補正される。
【0199】
一方、S309において、Ic<It(即ちI1<It)と判断した場合、S311において、CPU400は、S310の場合とは逆に、Vdc1の絶対値を大きくする方向に補正し、電流Ic(即ちI1)の絶対値を大きくするように補正する。この場合、CPU400は、Vdc1=Vdc1−ΔVの計算により、Vdc1を補正する。
【0200】
そして、S312において、CPU400は、S310又はS311で更新されたVdc1を出力させる。
【0201】
その後、処理はS305に戻り、S305の条件が満たされるまで、S309〜S312の一連の動作フローが繰り返される。
【0202】
ここで、S310、S311における補正量ΔVについて説明する。
【0203】
本実施例では、1回の補正量ΔVは10Vと設定している。この1回の補正量は、実施例1と同様に、図8に示すような帯電ローラ7のDC放電特性(Vdc−I特性)を考慮して決定している。
【0204】
本実施例によれば、感光体1の回転方向において帯電ベルト4と帯電ローラ7との配置を実施例2とは逆にした場合においても、帯電装置2に対する逆極性のトナーや外添剤などの汚れの付着を低減することが可能となり。これにより、帯電装置2の汚れによる寿命を長くすることができる。又、本実施例では、第2の支持ローラ6を介して帯電ローラ3の表面側から電圧を供給している。そのため、実施例2の構成よりも、帯電ローラ7の抵抗変動を低減する効果を高めることができる。又、帯電ベルト4に対しても、第2の帯電電源S2より印加されるAC高圧による電流により、正負の電流をベルトの表裏に対して通電されるので、その抵抗変動を低減する効果が得られる。
【0205】
このように、本実施例では、感光体1の回転方向において、第2の通電部位Pbが上流側、第3の通電部位Pcが下流側に配置され、ローラ状の帯電部材3には、第2の支持部材6から、第1の通電部位Paを介して、表面側から電圧が供給される。
【0206】
以上説明したように、本実施例によれば、帯電手段に付着する逆極性のトナーや外添剤による汚れを抑制することのできる再帯電システムを得ることができる。又、本実施例によれば、実施例2よりも、抵抗素子などの部品点数を削減でき、コストの低減や小型化に有利である。
【0207】
尚、上述の各実施例では、画像形成装置は、単一の感光体を有し、感光体から記録材にトナー像を転写するものとして説明した。しかし、本発明は、画像形成装置の基本構成を何らこの態様に限定するものではない。当業者には周知のように、例えば、カラー画像形成装置として、それぞれが感光体を有する画像形成部を複数有する画像形成装置がある。このような画像形成装置としては、各画像形成部で感光体に形成したトナー像を、中間転写体に順次に一次転写した後に記録材に一括して二次転写する二次転写方式、又は記録材担持体に担持された記録材に直接順次に転写する直接転写方式が知られている。本発明は、これらいずれの構成の画像形成装置にも等しく適用できるものである。
【符号の説明】
【0208】
1 感光体
2 帯電装置
3 帯電ローラ(ブラシローラ)
4 帯電ベルト
5 第1の支持ローラ
6 第2の支持ローラ
7 帯電ローラ(弾性ローラ)
Pa 第1の通電部位
Pb 第2の通電部位
Pc 第3の通電部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な感光体と、
前記感光体上の静電像にトナーを供給する現像手段と、
回転して前記感光体を帯電させるローラ状の帯電部材と、
少なくとも第1、第2の支持ローラに掛け渡されて回転し前記感光体を帯電させるベルト状の帯電部材と、
を有し、
前記第2の支持ローラに巻き付けられた位置の前記ベルト状の帯電部材が前記ローラ状の帯電部材に接触して前記第2の支持ローラと前記ローラ状の帯電部材との間で通電が可能とされた第1の通電部と、
前記第1の支持ローラに巻き付けられた位置の前記ベルト状の帯電部材が前記感光体に接触又は近接して前記第1の支持ローラと前記感光体との間で通電が可能とされた第2の通電部位と、
前記ローラ状の帯電部材が前記感光体に接触又は近接して前記ローラ状の帯電部材と前記感光体との間で通電が可能とされた第3の通電部位と、
が形成されている画像形成装置であって、
前記ローラ状の帯電部材と前記ベルト状の帯電部材により前記感光体を帯電させる際に、前記第1の通電部位において、前記ローラ状の帯電部材と前記ベルト状の帯電部材のうち前記感光体の回転方向において下流側の帯電部材から上流側の帯電部材に、前記現像手段が前記静電像に供給するトナーとは逆極性のトナーを移動させる方向の電流を流すように、前記第1、第2、第3の通電部位における通電を制御する制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ローラ状の帯電部材の半径をR、前記ローラ状の帯電部材の外周面上の前記ベルト状の帯電部材が接触する周方向の長さをL、前記ローラ状の帯電部材の回転中心を中心として形成される、前記ローラ状の帯電部材に対する前記ベルト状の帯電部材の巻き付け角度をθ=L/Rとするとき、前記巻きつけ角度θが、
π/36≦θ≦π/2
の関係を満たすように、前記ローラ状の帯電部材の外周面上に前記ベルト状の帯電部材が接触することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記感光体の回転中心を中心とした前記ローラ状の帯電部材の回転中心を通る円の半径をR1、前記感光体の回転中心を中心とした前記ローラ状の帯電部材の外周を通る円の半径をR2とするとき、前記ローラ状の帯電部材の外周面上の前記ベルト状の帯電部材が接触する位置が、前記半径R1の円より外側、且つ、前記半径R2の円より内側に配置されるように、前記ローラ状の帯電部材の外周面上に前記ベルト状の帯電部材が接触することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記感光体の回転方向において、前記第2の通電部位が下流側、前記第3の通電部位が上流側に配置され、前記ローラ状の帯電部材が、ブラシローラであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記感光体の回転方向において、前記第2の通電部位が上流側、前記第3の通電部位が下流側に配置され、前記ローラ状の帯電部材には、前記第2の支持部材から、前記第1の通電部位を介して、表面側から電圧が供給されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−109296(P2013−109296A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256344(P2011−256344)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】