説明

画像形成装置

【課題】 無駄なトナー消費を招くことなく、画像形成装置が画像データを受信してからプリントアウトされるまでの時間の短縮を図る。
【解決手段】 画像形成前に感光ドラムを露光しながら出力を調整する調整期間を有する露光装置と、現像装置とを備える。現像装置は、感光ドラムと現像ローラとが当接した当接状態と離間した離間状態とに切り替え可能に構成され、感光ドラムのうち露光装置の調整期間に露光された部分が現像位置にあるときに離間状態から当接状態に切り替わる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式或いは静電記録方式を用いた複写機、プリンター、FAX等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用した画像形成装置は、高速化、高機能化、及びカラー化が進められており、各種のプリンター・複写機等が上市されている。
【0003】
画像形成装置の高速化に伴いさまざまなパーツ等の長寿命化も図られている。たとえば接触現像御方式の画像形成ユニットでは長寿命化策のひとつとして、感光ドラムと現像ローラーを離間しておき、画像形成時のみ当接する構成が一般的にとられている。このような構成をとることで感光ドラムと現像ローラーとの当接時間を抑えることができるので、両部材の劣化が抑制され長寿命化できる。
【0004】
また、画質の安定化についてもさまざまな取り組みがなされており、特に露光装置ではさまざまな光学調整が行われている。たとえば露光装置としてレーザー光を用いるレーザープリンターでは、レーザー光量の安定化が課題であった。そこでレーザー光の一部を受光素子で検知し、この検知結果を基にレーザーダイオードに流れる駆動電流量を変化させ、レーザー光量を制御する光学調整(以下APCと略す;Automatic Power Control)が一般に用いられている。このAPCを画像形成前に実施することで、常にレーザー光量を一定に保ち、環境の変化・レーザーのバラツキ・劣化により画像が不安定となることを防止している。
【0005】
APCはレーザーを点灯させた状態で行う必要がある、即ちAPC実施中の感光ドラムには静電潜像が形成されている。従ってAPC実施中に現像ローラーを感光ドラムに当接するとトナーが無駄に消費(現像)されてしまう可能性があるので、従来はAPCが終了しレーザーが消灯された後に現像ローラーを感光ドラムに当接することで、無駄なトナー消費や紙裏汚れを防止していた。
【0006】
また、特許文献1に記載の画像形成装置では、現像ローラーと感光ドラムが離間する機構を有さず常に当接した状態のため、APC実施中において、トナーが無駄に消費されないように画像形成時と異なる現像バイアスに設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平03−238477
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年においてはユーザーストレス低減のため、画像形成装置が画像データを受信してからプリントアウトされるまでの時間(以下FPOTと略す;First Print Out Time)が重視されつつある。また、FPOTを短縮することでさまざまなパーツの回転時間を減らすことができるので、長寿命化の観点からもFPOTの短縮は重要な課題となっている。従って、従来のようにAPCが終了してから現像ローラーを感光ドラムに当接する構成では、FPOTが長くなってしまい望ましくない。
また、特許文献1に記載の構成では、APC実施中の現像バイアスをトナーが消費されないように制御しても、やはり消費されてしまう恐れがある。この理由は以下の通りである。一般的に感光ドラムの感度は個体差・劣化等によってばらつきが生じる。即ち、同じレーザー光量が照射されたとしても感光ドラムの電位が同じになるとは限らない。この感光ドラム感度ばらつきの影響により、感光ドラムと現像ローラー間の電位差がトナー移動可能な電位差になる場合があり、やはり無駄なトナー消費が発生してしまう恐れがあった。
【0009】
本発明は、上記従来技術をさらに発展させたものであり、FPOTの短縮と無駄なトナー消費の低減とを容易に両立することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本出願に係る第一の発明は、像担持体と、前記像担持体に静電潜像を形成するために、前記像担持体を露光する露光装置であって、画像形成前に前記像担持体を露光しながら出力を調整する調整期間を有する露光装置と、トナーを担持するトナー担持体を備え、前記像担持体と前記トナー担持体とが当接した当接状態と、離間した離間状態とに切り替え可能に構成され、前記当接状態において前記トナー担持体上のトナーにより前記静電潜像を現像する現像装置と、を有し、前記現像装置は、前記像担持体における前記調整期間に露光された部分が現像位置にあるときに前記離間状態から前記当接状態に切り替わることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、FPOTの短縮と無駄なトナー消費の低減とを容易に両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図
【図2】露光装置の一例
【図3】APC回路図
【図4】APC動作中のレーザー駆動電流・レーザー光量・感光ドラム電位の関係
【図5】レーザーの電流−出力特性
【図6】レーザー光量と感光ドラム電位の関係
【図7】現像電圧と感光ドラム間の電位差とトナー移動量の関係
【図8】感光ドラム電位/現像電圧/現像当接タイミングの関係
【図9】感光ドラム電位と現像電圧の関係
【図10】カブリが発生する状態を示した図
【図11】本発明における感光ドラム電位/現像電圧/現像当接タイミングの関係
【図12】画像形成ユニットの使用初期と末期でのレーザー光量と感光ドラム電位の関係
【図13】使用環境の違いによるレーザー光量と感光ドラム電位の関係
【図14】APC動作中のレーザー駆動電流・レーザー光量の関係
【図15】レーザーの電流−出力特性
【図16】露光装置レディーまでの流れ
【図17】前回転中のスキャナー回転数,レーザー光量,ドラム面電位の時間推移
【図18】レーザー光量と感光ドラム電位の関係
【図19】現像電圧と感光ドラム間の電位差とトナー移動量の関係
【図20】現像当接タイミングの説明図
【図21】感光ドラム電位/現像電圧/現像当接タイミングの関係
【図22】感光ドラム電位/現像電圧/現像当接タイミングの関係
【図23】実施例4における感光ドラム電位/現像電圧/現像当接タイミングの関係
【図24】実施例4におけるレーザー光量と露光後電位の関係
【図25】実施例5における感光ドラム電位/現像電圧/現像当接タイミングの関係
【図26】実施例6におけるレーザー光量と感光ドラム電位の関係
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置(本実施の形態では、電子写真方式でタンデム方式のレーザープリンターなどのカラー画像形成装置)を示す概略構成図である。図1に本実施例の電子写真方式の多色(カラー)画像形成装置を示す。以下にその詳細について画像形成の行われるプロセスにしたがって順に説明する。以下に説明する画像形成装置の各動作は、制御部としてのCPU14によって制御される。
【0015】
まず、図1に示すように、被受像部材である中間転写体としての中間転写ベルト5の平面部に沿って、イエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックのトナー用の各画像形成ユニットUy、Um、Uc、Ukが配置される。各画像形成ユニットの基本的な構成は同じであるので、以降に述べる画像形成ユニットの説明は、イエロー用画像形成ユニットUyについてのみ行うこととする。
【0016】
図1中のイエロー用画像形成ユニットUyにおいて、像担持体1yは円筒形の感光体であり、矢印a方向へ周速100mm/secで回転駆動されている。感光体1yの表面は、帯電装置によって帯電される。帯電装置は、帯電部材としての帯電ローラー2yと帯電高圧電源21とを有する。感光体1yの表面には、帯電部材である帯電ローラー2yが圧接されており、帯電ローラー2yは、感光体1yの回転とともに従動回転しつつ、帯電高圧電源21から帯電バイアスとしてACあるいはDC高圧が印加され、感光体1y表面を所望の電位に帯電している。
【0017】
次いで、感光体1yは、潜像形成手段である露光装置3によって、記録される画像情報に応じて露光される。露光はレーザービームスキャナーにより行われる。
【0018】
現像手段である一成分非磁性接触現像器4yは、現像剤(トナー)を感光体1y表面に担持搬送するトナー担持体としての現像ローラー41y、現像ローラー41yの表面へトナーを供給するためのトナー供給部材としての供給ローラー42yで構成されている。
【0019】
表面をトナーで均一にコートされた現像ローラー41yは、感光体1yに軽圧接され、順方向に速度差をもたせて回転する。現像ローラー41yの回転時に電圧印加装置としての現像高圧電源43から所定のDC電圧を印加することにより、感光体1y上の潜像をトナー像として顕像化する。また、現像ローラー41yには現像ローラー41yにトナーを供給する供給ローラー42yが接している。また本実施例では、感光体1yと現像ローラー41yは離接可能な構成となっている。
【0020】
現像器4yによって顕像化された感光体1y上のトナー像は、感光体1yの回転にしたがって中間転写ベルト5と感光体1y間で形成される1次転写部へ搬送される。中間転写ベルト5は、感光体1yに接触して矢印bの方向に駆動されている。
【0021】
1次転写手段である1次転写ローラー8yは、中間転写ベルト5を介して感光体1yに圧接されている。1次転写ローラー8yに1次転写高圧電源81より電圧を印加することで、1次転写部には転写電界が形成されている。1次転写部に到達したトナー像は、この転写電界の作用により中間転写ベルト5の表面に転写される。
【0022】
1次転写後の感光体1yの帯電状態は、トナー像の有無や1次転写高圧の影響により不安定となっている。そこで本実施例では、LED等を用いた不図示の露光装置によって、1次転写後に感光体1yを照射することにより、感光体1yの帯電状態を安定化し、均一な帯電を行えるようにしている。
【0023】
本実施例の1次転写ローラー8yは、芯金の周囲にEPDMゴムの層を形成し、ローラー形状にしたものである。このEPDMゴムの層はカーボンを分散させ体積抵抗値10^5Ω以下になるよう導電化され、また発泡されたものである。また、1次転写高圧電源81からの電圧は、芯金に印加されている。なお、本実施例ではローラー形状のものを使用したが、シート、ブレード、あるいはブラシ形状にしたものでも使用可能である。
【0024】
中間転写ベルト5には、体積抵抗値10^7Ω以下のものを使用している。ベルト構成は、樹脂やゴム材に導電粒子を分散させ、抵抗値調整をした単層ベルトでもよいし、10^4Ω以下の抵抗値の樹脂またはゴムベルトの表層に、離型性を向上させるためのPTFE・PFA・ETFEなどのフッ素樹脂を数十μmコーティングしたような複数層構成のものでもよい。この中間転写ベルト5は、駆動ローラー6、支持ローラー7、2次転写対向ローラー92に張架・駆動され中間転写ユニットとして構成されている。画像形成ユニットUyと同様に他の画像形成ユニットUm、Uc、Ukユニットで形成されたトナー像が、順次中間転写ベルト5上に重ねられフルカラートナー像が形成される。ここで、駆動ローラー6/支持ローラー7は、電気的にフロートかもしくは1次転写高圧に準ずる高圧が印加されている。また、2次転写対向ローラー92の抵抗値は10^6Ω以下に調整され、接地されている。
【0025】
中間転写ベルト5上のフルカラートナー画像は、2次転写手段である2次転写ローラー9と中間転写ベルト5で形成される2次転写部に到達すると、これに合わせて給紙部10から転写材Pが給紙される。2次転写部に転写材Pが到達するタイミングで、2次転写ローラー9に2次転写高圧電源91より所定の高圧が印加されトナー像を転写材Pに転移する。2次転写ローラー9は1次転写ローラー8と同様、芯金の周囲にEPDMゴムの層を形成し、ローラー形状にしたものであるが、EPDMゴム層の体積抵抗値は10^7〜10^13Ωに調整されている。また1次転写ローラー8と同様、2次転写高圧電源91からの電圧は、芯金に印加されている。
【0026】
2次転写電圧の作用により、2次転写ローラー9−転写材P−中間転写ベルト5−2次転写対向ローラー92の経路に2次転写電流が流れ、2次転写に必要な電界を形成する。
【0027】
フルカラートナー画像を転写された転写材Pは、2次転写対向ローラー92の曲率によって中間転写ベルト5から分離され、トナー像を転写材Pにのせた状態で定着器11へ搬送される。定着器11により、熱や圧力の作用が加えられることで、転写紙P上のトナー像が定着される。ここで定着器11は、定着スリーブ111と加圧ローラー112からなる。
【0028】
一方、1次転写終了後の転写残トナーは、感光体クリーナー12yによってクリーニングされ、2次転写後の中間転写体上の残トナーは、クリーニング装置13によって除去される。ここで、クリーニング装置13は、クリーニングブレード131と廃トナー容器132とからなる。
【0029】
図2は画像形成装置に具備されている露光装置の構成を説明する図である。レーザーユニット31より取り出されたコリメート光は回転するポリゴンミラー32により反射偏向走査されながら、順にfθレンズ33、折り返しミラー34を通過して最終的には感光ドラム1表面に到達する。また、走査ビームの一部はBDミラー35で反射されてBDセンサー36により光検知され、BDセンサー36からの出力信号を基準に走査回毎の書き込み信号を同期させ、ビームの書き込み位置(露光開始位置)をずれないように調整すると共に、後述するスキャナーモーター回転制御を行うためにも使用されている。
【0030】
またレーザーユニット31は、半導体レーザー、コリメーター鏡筒に接着固定されたコリメーターレンズ、半導体レーザーの発光に必要な電流を供給し発光のON/OFFを制御するレーザー駆動基板とで構成されている。半導体レーザーは端面発光型のレーザーチップ、フォトダイオードとで構成されている。
【0031】
図3は半導体レーザーの光量を一定に制御するAPC回路図である。レーザーチップから出射されたレーザー光をフォトダイオードで受光して光電変換してモニター電流Imを生ずる。モニター電流Imは抵抗Rmによってモニター電圧Vmに変換される。モニター電圧Vmはゲインアンプにより増幅された後コンパレータに入力され、基準電圧発生手段の基準電圧Vrefと比較する。レーザーチップに注入される電流はゲインアンプで増幅されたモニター電圧Vmが基準電圧Vrefと一致するようにフィードバック制御される。モニター電圧Vmと抵抗のRmとモニター電流Imの間には次の関係が成り立つ。
Im=Vm÷Rm …(1)
ここで抵抗のRmの値は感光ドラム1上でレーザー光量が所定の値となるように調整されている。
APCの動作についてさらに説明する。APC動作では図4(a)のグラフのようにレーザーの駆動電流値を徐々に増やしていく。このときレーザーの光量は図5に示した電流−出力特性に従い、図4(b)のグラフのように光量を増していく。レーザー光量が予め設定された目標値W1[mW]に達すると、レーザーの駆動電流値はその時の値I1[A]に固定され、APCを終了する。また、APC動作中の感光ドラム電位は、図6に示したレーザー光量−感光ドラム電位特性に従い、図4(c)のグラフのように変化していく。
【0032】
ここで現像電圧と感光ドラム電位との間の電位差とトナー移動量の関係について説明しておく。図7は負の極性トナーを用いた場合の、感光ドラム電位と現像電圧間の電位差とトナー移動量の関係を示すものである。現像電圧から感光ドラム電位を減じることで求められる電位差がトナーと同極性である場合、現像ローラー上のトナーが感光ドラム上に現像される。一方、現像電圧から感光ドラム電位を減じることで求められる電位差がトナーと逆極性である場合、現像ローラー上のトナーが感光ドラム上に現像されることは無いはずである。しかしながらトナー中には正規帯電極性((静電潜像を現像するための帯電極性。本実施例では負極性の静電潜像を反転現像するので、トナーの正規帯電極性は負である。)とは反対に帯電されているトナー(反転トナー)が存在し、その反転トナーが現像ローラーから感光ドラム上に移動する場合がある(以下、反転カブリと呼ぶ)。この反転カブリは現像電圧から感光ドラム電位を減じることで求められる電位差がトナーと逆極性であり、かつ、その絶対値が大きいほどより顕著となる。
【0033】
したがって感光ドラム上へのトナー移動を防止するには、現像電圧から感光ドラム電位を減じることで求められる電位差をトナーと逆極性とし、かつ、反転カブリが出ないレベルまでその絶対値を小さくすることが望ましい。
【0034】
上述したように、APC中(画像形成前に感光ドラムを露光しながらレーザ光の出力を調整する調整期間中)の感光ドラムには静電潜像が形成されているため、APC中に現像ローラーが当接されると、トナーが感光ドラムに転移してしまう可能性がある。従来この問題に対応するため、図8のAの線のように、APCが終了しレーザーが消灯された後に現像ローラーを感光ドラムに当接し、無駄なトナー消費を防止していた。しかしながら、この方法の場合、図8のAの線から分かるように、画像形成準備終了までの時間が増大し、FPOTの増大を招いていた。
【0035】
FPOTの短縮を図るには、APCが終了する前に予め現像ローラーを当接しておく制御が望ましい。
まず参考として、図8のBの線で示すように、APCを開始する前に予め現像ローラを当接しておく制御について説明する。まず予め感光ドラムの電位が所定のV2となるレーザー光量W2[mW]を求めておく。次にAPC中に行われるレーザー光量のモニター結果に基づき、レーザー光量が所定の値W2[mW]になったタイミングを求める。次に感光ドラム上のレーザー光量W2[mW]が照射された部分、即ち感光ドラムの電位が所定のV2となる部分が現像位置に到達したタイミングで、図9のように現像電圧を第2の現像電圧に切り替える。なお、レーザー光量が所定の値W2[mW]になったタイミングと現像電圧を第2の現像電圧に切り替えるタイミングの間には、レーザー照射位置と現像当接位置の間の距離に応じた時間差がある。このような構成をとることで、現像電圧と感光ドラム電位との間の電位差がトナーの帯電極性と逆極性となるので、現像が抑制される。
【0036】
しかしながら、感光ドラムの感度は製造公差・使用環境・劣化度合い等によってばらつきが生じるのが一般的である。即ち、同じレーザー光量を照射したときに感光ドラムの電位が常に実線aで示したものと同じになるわけではなく、図10の破線bおよびcで示したように感光ドラム電位にはばらつきがある。
【0037】
図10の曲線aに対し、曲線bのように感光ドラム感度が高い、即ち感光ドラム電位が下がりやすい場合、図10のグラフに斜線で示したような現像電圧から感光ドラム電位減ずることで求められる電位差がトナーと同極性となる領域が生じ、トナーが現像されてしまう。また逆に図10の曲線aに対し、曲線cのように感光ドラム感度が低い、即ち感光ドラム電位が下がりにくい場合、図10のグラフに網点で示した領域が生じる。この領域では現像電圧から感光ドラム電位を減ずることで求められる電位差がトナーと逆極性であり、かつ、その絶対値が大きいため、反転カブリが発生してしまう。
【0038】
このように、現像ローラーが感光ドラムに対しAPC開始前から常に当接状態にある場合、現像ローラー上のトナーを感光ドラム側へ移動させないために、現像ローラーに印加する電圧を感光体表面の電位に同期させる必要性がある。しかし、前回転中は、レーザー光量制御(APC)やスキャナーモータ制御が行われているために、感光ドラムの表面電位は大きく変動する。このため、感光ドラムのばらつき等を考慮すると、その電位差を所望の範囲内に抑えることは困難であり、結果として無駄なトナー消費や裏汚れを引き起こす可能性が高いという問題がある。
【0039】
そこで本実施例では図11のように、APC開始時には現像ローラーと感光ドラムとが離間した離間状態とし、レーザー駆動電流を流し始めてから所定時間T[sec]が経過したのち(すなわち、レーザー光の出力調整期間が開始してから所定時間後に)現像ローラーと感光ドラムとが当接した当接状態に切り替える。またその際の現像電圧を、現像ローラーから感光ドラムへトナーが転移しない第2の現像電圧とする制御を行う。ここで、所定時間Tは感光ドラム感度のばらつきを考慮した上で、感光ドラム電位と第2の現像電圧(現像ローラー41yの電位)との電位差が反転カブリの出ないレベルまで小さくなるように設定されている。
【0040】
現像ローラー当接時の現像電圧をトナーが現像されない第2の現像電圧としているので、感光ドラムの感度にばらつきが生じた場合にも、現像電圧と感光ドラム電位の差が常にトナーの持つ極性と逆極性となるため、APC中にトナーが現像されることがない。またAPC前ではなくAPCが開始されてから所定の時間T[sec]が経過したのちに現像ローラーを当接することで、当接時に感光ドラム電位と現像電圧の電位差が不要に大きくならないので、反転カブリの発生も防止できる。したがって無駄なトナー消費や紙裏汚れを防止できる。またこのような構成をとることで、APC動作終了前に現像ローラーを当接できるので、FPOTの短縮を図ることもできる。また、APC開始前に現像ローラーと感光ドラムとを予め当接状態にしておく場合と比較して、カブリが発生しないようにするための、現像ローラーの電位と感光ドラムの電位との電位差の制御が容易となる。
【0041】
本実施例の構成について、詳細に説明する。なお、ここではイエローの画像形成ユニットUyについてのみ説明する。
【0042】
画像形成装置がプリント信号を受信すると、感光ドラム1yが回転を始める。先に説明したように、感光ドラム1yには帯電バイアスが印加され、所定の帯電電位に帯電される。本実施例では帯電電位は約−500Vに設定されており、そのための帯電バイアスとして帯電ローラー2yに−1000Vの電圧が印加されている。次に先述したAPCが実行され、レーザー光量が適正となるよう調整される。本実施例では露光部電位が−150Vとなるよう、レーザー光量が調整されている。
【0043】
APCが開始されてから所定の時間T[sec]が経過したところで現像ローラー41yが感光ドラムに当接される。また、現像ローラー41yと感光ドラム1yとが離間状態から当接状態に切り替わる時を含む所定期間において、現像ローラー41yにはトナーが現像されない第2の現像電圧を印加する。本実施例では第2の現像電圧を−50Vに設定している。このように設定することで、現像電圧から感光ドラム電位を減じた値は+100Vとなり、トナーの正規帯電極性と逆極性の正の値となる。したがってAPC実行中にトナーが感光ドラムに転移することはない。なお本実施例における画像形成時の現像電圧は−350Vであり、第2の現像電圧から画像形成時の電圧を減じた電位差を正極性としている。
【0044】
ここで所定の時間T[sec]は感光ドラム感度のばらつきを考慮して決定されている。また、第2の現像電圧がトナーの正規帯電極性と同極性となるように設定しているため、現像電圧をオフしているよりも反転トナーが感光ドラムに転移すること(反転カブリ)を抑制することができる。特に、本実施例では感度が鈍い感光ドラムを用いた場合に、現像ローラー当接時の感光ドラムと現像ローラーの電位差が−150Vよりも絶対値の小さい(0Vに近い)電位差となるように設定されている。本発明者らの検討によれば、感光ドラムと現像ローラーの電位差を−150Vよりも絶対値の小さい値とすることで、反転カブリの発生をより効果的に防止することができる。したがって、感度が鈍い感光ドラムを用いた場合でも、感光ドラムと現像ローラーの電位差が−150Vよりも小さい値となるので、反転カブリが発生することはない。
【0045】
以上説明したように、APC実行中に現像ローラーを感光ドラムに当接することで、トナーの現像および反転カブリを抑制することとFPOTの短縮とを容易に両立することが可能となった。すなわち、無駄なトナー消費や紙裏汚れを抑制することと、FPOTの短縮とを容易に両立することが可能となった。
【0046】
また画像形成開始時にAPC以外のレーザーを点灯させて行う光学調整を行う場合にも、本実施例は有効である。例えば走査光の一部をBDセンサー36で検知して行うレーザー書き込み位置の同期調整を、ポリゴンミラーの回転立ち上げと同時に行う場合がある。この場合ポリゴンミラーの回転が定常状態に達するまでレーザー光を点灯させておく必要があるため、APC実行時と同様の問題が発生する、よってこの場合でも本実施例の構成がFPOTの短縮に対して有効であることは言うまでもない。なおポリゴンミラーの回転が定常状態となった以降は、APC実行時を除き、通常の動作における非画像形成時には現像域(現像ローラーの幅に対応する領域)ではレーザーが点灯されないため、感光ドラムへのトナー付着は発生しない。
【0047】
また、本実施例ではイエローの画像形成ユニットUyについてのみ説明を行ったが、マゼンタ・シアン・ブラックの画像形成ユニット(Um・Uc・Uk)についても本実施例と同様の制御を行う構成としても良い。またFPOT短縮のために重要となる、より上流に配置されている画像形成ユニットにのみ本実施例と同様の制御を行う構成としても良い。なお、本実施例において、現像ローラーと感光ドラムとが当接した状態を「当接状態」と記載しているが、ここでは、現像ローラーと感光ドラムとが直接接触している状態と、それらが直接接触しておらず現像ローラーに担持された現像剤が感光ドラムに接触している状態と、の両方を含む意味で、「当接状態」という表現を用いている。以下の実施例でも「当接状態」をという表現を同様の意味で用いている。
【実施例2】
【0048】
本実施例では実施例1の基本構成において、画像形成ユニットの使用が進んだ場合について考える。なお、ここでもイエローの画像形成ユニットUyについてのみ説明する。
【0049】
本実施例では感光ドラム1yの使用度合が進んだ場合について考える。画像形成ユニットUyの使用度合が進むにつれ、当然のことながら感光ドラム1yの表面は削られ、感光ドラム1yの膜厚は減少していく。即ち感光ドラム1yの静電容量は増加し、一定の帯電バイアスを印加した場合、感光ドラム1yの帯電電位は上昇していく。その結果、図6に示したレーザー光量と感光ドラム電位の関係にも変化が生じ、図12に示すように画像形成ユニットの使用初期と末期では大きく異なっている。これはAPC実行中も同じである。
【0050】
そのため、感光ドラム1yに現像ローラー41yを当接する際に印加される第2の現像電圧が一定である場合、感光ドラム1yの使用が進んだ時に感光ドラム電位と現像電圧の電位差が大きくなってしまい、反転カブリが発生する。その結果、無駄なトナー消費や紙裏汚れを招いてしまっていた。
そこで本実施例では、感光ドラム膜厚の変化に応じて第2の現像電圧を補正することで、感光ドラムの使用が進んだ時にも、感光ドラム電位と現像電圧の電位差が大きくならないようにしている。より具体的には、感光ドラム膜厚の減少に伴って第2の現像電圧を増加させるよう補正を行うことで、感光ドラムの使用が進んだ時にも現像ローラー当接時の感光ドラム電位と現像電圧の電位差が略一定となるよう制御している。
【0051】
詳細に説明する。本実施例ではプリントを行うごとに、それぞれの画像形成ユニットが何枚プリントに使用されたかを画像形成装置に設けられた記憶装置15に記憶する。制御部14はこの画像形成ユニットの使用情報を基に第2の現像電圧を制御する。本発明者らの検討によれば、4000枚印字するごとに感光ドラム1yの膜厚は1μm減少し、感光ドラム1yの帯電電位の絶対値は10V上昇した。それに伴い感光ドラム1yの露光部の電位の絶対値も10V上昇した。
【0052】
そこで本実施例では4000枚印字するごとに、現像ローラー41yを感光ドラム1yに当接する際に印加する第2の現像電圧の絶対値を10V増加させる構成をとっている。このような構成をとることで感光ドラム1yの膜厚が減少しても、実施例1同様感光ドラム感度のばらつきを考慮した上で、現像ローラー当接時の現像電圧から感光ドラム電位を減じて求めた電位差を150V以下にできる。その結果、APC実行中に現像ローラー41yを感光ドラム1yに当接してもトナーが現像される、もしくは反転カブリが発生すことがなくなる。よって、無駄なトナー消費や紙裏汚れを発生させることなく、FPOTの短縮を図ることができた。
【0053】
なお本実施例では、画像形成ユニットがプリントに使用された枚数(画像形成枚数)に基づいて第2の現像電圧を変更しているが、感光ドラム1yの使用度合に関する情報として、感光ドラムの回転数や、帯電ローラー2yに帯電バイアスが印加された時間に基づいて第2の現像電圧を変更する構成でも良い。
【0054】
また、本実施例でもイエローの画像形成ユニットUyについてのみ説明を行ったが、マゼンタ・シアン・ブラックの画像形成ユニット(Um・Uc・Uk)についても、それぞれの感光ドラムの使用状況に応じて本実施例と同様の制御を行う構成としても良い。またFPOT短縮のために重要となる、より上流に配置されている画像形成ユニットにのみ本実施例と同様の制御を行う構成としても良い。
【実施例3】
【0055】
本実施例では、実施例1の基本構成において画像形成装置の使用環境が変化した場合について考える。なお、ここでもイエローの画像形成ユニットUyについてのみ説明する。
【0056】
使用環境が変化した場合、部材抵抗も変化するため感光ドラム1yの帯電特性が変化する。高温高湿環境下、即ち空気中の絶対水分量が多い環境では部材抵抗が低下するため、一定の帯電バイアスを印加した場合感光ドラム1yの帯電電位は上昇する。逆に、低温低湿環境下、即ち空気中の絶対水分量が少ない環境では部材抵抗が上昇するため、感光ドラム1yの帯電電位は減少する。その結果、感光ドラム1yの露光部電位も使用環境によって変化する。高温高湿環境下では感光ドラム1yの露光部電位が上昇し、低温低湿環境下では感光ドラム1yの露光部電位が減少する。その結果、図6に示したレーザー光量と感光ドラム電位の関係にも変化が生じ、図13に示すように使用環境によって大きく異なっている。これはAPC実行中も同じである。
【0057】
そのため、感光ドラム1yに現像ローラー41yを当接する際に印加される第2の現像電圧が一定である場合、高温高湿環境下では感光ドラム電位と現像電圧の電位差が大きくなってしまい、反転カブリが発生する場合があった。また、低温低湿環境下では感光ドラム電位と現像電圧の電位差が小さくなってしまい、トナーが現像されてしまう恐れがあった。その結果、無駄なトナー消費や紙裏汚れを招いてしまっていた。
【0058】
そこで本実施例では、使用環境の検知結果に応じて第2の現像電圧を変更することで、使用環境に伴い感光ドラムの帯電特性が変化した時にも、感光ドラム電位と現像電圧の電位差が大きくまたは小さくならないようにしている。より具体的には、露光部電位が上昇する高温高湿環境下では第2の現像電圧を増加させ、露光部電位が減少する低温低湿環境下では第2の現像電圧を減少させるよう補正を行う。このような構成をとることで、使用環境によらず現像ローラー当接時の感光ドラム電位と現像電圧の電位差が略一定となるよう制御している。
【0059】
詳細に説明する。本実施例では環境検知手段16により使用環境が検知される。本発明者らの検討によれば、それぞれの使用環境において、帯電ローラー2yに−1000Vの帯電バイアスを印加した場合の感光ドラム1yの帯電電位と露光部電位は下記表1の通りであった。
【0060】
【表1】

【0061】
そこで本実施例では、使用環境ごとに第2の現像電圧を上記表1のように変更する。第2の現像電圧をこのように設定することで、使用環境によらず現像ローラー41y当接時の感光ドラム1yの電位と現像電圧の電位差は−100Vとなる。したがってAPC実行中に現像ローラー41yを当接しても、トナーが現像されるもしくは反転カブリが発生すことがなくなる。よって無駄なトナー消費や紙裏汚れを発生させることなく、FPOTの短縮を図ることができた。
【0062】
本実施例でもイエローの画像形成ユニットUyについてのみ説明を行ったが、マゼンタ・シアン・ブラックの画像形成ユニット(Um・Uc・Uk)についても本実施例と同様の制御を行う構成としても良い。またFPOT短縮のために重要となる、より上流に配置されている画像形成ユニットにのみ本実施例と同様の制御を行う構成としても良い。
【実施例4】
【0063】
実施例1〜3では、APCで露光された感光体1に現像ローラー41を当接させることで、無駄なトナー消費や紙裏汚れを抑制することと、FPOTの短縮とを容易に両立することが可能になった。その際、無駄なトナー消費や紙裏汚れを抑制するために前回転中の現像バイアスを制御した。本実施例では、前回転中の帯電ローラへ印加する電圧を画像形成時と異ならせることにより、現像当接時の感光ドラム側へのトナー移動を防止する。
【0064】
以下、本実施例の構成を説明する。実施例1〜3と共通の構成および動作については説明は省略する。
本実施例におけるAPC動作では図14(a)のグラフのようにレーザーの駆動電流値を徐々に増やしていく。このときレーザーの光量は図15に示した電流−出力特性に従い、図14(b)のグラフのように光量を増していく。レーザー光量が予め設定された目標値W1[mW]に達すると、レーザーの駆動電流値はその時の値I1[A]に固定され、APCを終了する。
【0065】
次に、画像形成装置が印刷指示を受けてから露光装置が画像形成準備完了となるまでの動作についての説明を図16を用いて行うCPU14は、まず感光体ドラムが回転されているか否かの判断を行う(ステップ201参照、図ではS201と略記する。)
感光体ドラムの回転は通常DCモータやステッピングモータにより行われるため、これらモータの回転数が所定の回転数になっていること、あるいはハード的なレディー信号により判断が行われる。感光体ドラムがレディー状態になっていると判断すると、次にスキャナーモータの開始を指示する(ステップ202)。次にレーザーを連続発光させて前述したAPCを開始し(ステップ203)、所定時間が経過するのを待つ(ステップ204)。所定時間が経過したら、BD周期を検出する(ステップ205)。検出方法は、たとえば、BD信号を検出してから次のBD信号を検出するまでの時間をタイマで計測するなどの方法で行われる。検出したBD周期が所定周期BD0以下になっているかを判断し(ステップ206)、BD0以下であればステップ207へ、そうでなければステップ205へ戻る。ここでの所定周期BD0とは、スキャナモータの定常回転時におけるBD周期の−5%程度の値であり、規定回転に近づいたと判断できる周期として認識される。ステップ207では、BD制御モードの切替えを行う。この切替えは、これまでレーザを連続点灯していたモードから、前走査で得られたBD周期に対して一定の時間の割合でレーザAPCをかけるモードへの切替えである。このようにほぼ定常回転数に到達した時点で制御モードを切替え、非画像領域でのAPC(アンブランキングAPCと定義する)とBD検出を行う。ここから所定時間を経過するのを待つ(ステップ208)。ここでの所定時間は、スキャナが規定回転数に近づいたと判断してから、オーバシュートとアンダシュートを繰り返し、回転数が安定し、画像形成を行うことが可能になるまでの時間を見込んだ値とし、本実施の形態においては約1秒とした。所定時間が経過すると、スキャナレディーとなり(ステップ209)、露光装置の立ち上げシーケンスを終了する。
【0066】
上記したAPC及びモータ回転制御を実施した場合の、露光装置の立ち上げ中のスキャナーモーター回転数、レーザー光量及び感光ドラム電位の時間推移を図17にしめす。CPU14から指示を受けて行われる、APCおよびスキャナーモータの回転制御により、レーザー光量とスキャナーモータの回転数は図17(a)および(b)のように変化する。T1が、スキャナモータの定常回転時におけるBD周期の−5%程度達した時間であり、T2が、露光装置がレディとなる時間である。感光ドラムは露光前の表面電位がV1となるように帯電ローラにより帯電されており、露光装置からの露光を受けることにより表面電位は、図18に示したレーザー光量−感光ドラム電位特性に従い、図17(c)のように変化する。
【0067】
ここで現像電圧と感光ドラム電位との間の電位差とトナー移動量の関係について説明しておく。図19は負極性トナーを用いた場合の、感光ドラム電位と現像電圧間の電位差とトナー移動量の関係を示すものである。現像電圧から感光ドラム電位を減じることで求められる電位差がトナーと同極性である場合、現像ローラー上のトナーが感光ドラム上に現像される。一方、現像電圧から感光ドラム電位を減じることで求められる電位差がトナーと逆極性である場合、現像ローラー上のトナーが感光ドラム上に現像されることは無いはずである。しかしながらトナー中には正規帯電極性((静電潜像を現像するための帯電極性。本実施例では負極性の静電潜像を反転現像するので、トナーの正規帯電極性は負である。)とは反対に帯電されているトナー(反転トナー)が存在し、その反転トナーが現像ローラーから感光ドラム上に移動する場合がある(以下、反転カブリと呼ぶ)。この反転カブリは現像電圧から感光ドラム電位を減じることで求められる電位差がトナーと逆極性であり、かつ、その絶対値が大きいほどより顕著となる。
【0068】
したがって感光ドラム上へのトナー移動を防止するには、現像電圧から感光ドラム電位を減じることで求められる電位差をトナーと逆極性とし、かつ、反転カブリが出ないレベルまでその絶対値を小さくすることが望ましい。
【0069】
上述したように、APC中(画像形成前に感光ドラムを露光しながらレーザ光の出力を調整する調整期間中)の感光ドラムはレーザー強制発光の影響を受けて静電潜像が形成されている。このため、現像ローラの当接タイミングを、スキャナーのAPC及びモータ回転制御が終了し、感光ドラム面のレーザーが消灯された後にすることにより、無駄なトナー消費や紙裏汚れを防止していた。しかしながら、図20(b)から分かるように、画像形成準備終了までの時間が増大し、FPOTの増大を招いていた。
【0070】
FPOTの短縮を図るには、APCが終了する前に予め現像ローラーを当接しておく制御が望ましい。まず参考として、図20(c)、図21で示すように、APCを開始する前に予め現像ローラーを当接しておく制御について説明する。まず予め感光ドラムの電位が所定のV1となるレーザー光量W1[mW]を求めておく。次にAPC中に行われるレーザー光量のモニター結果に基づき、レーザー光量が所定の値W1[mW]になったタイミングを求める。次に感光ドラム上のレーザー光量W1[mW]が照射された部分、即ち感光ドラムの電位が所定のV1となる部分が現像位置に到達したタイミング(T1)で、図21のように現像電圧を第2の現像電圧に切り替える。なお、レーザー光量が所定の値W1[mW]になったタイミングと現像電圧を第2の現像電圧に切り替えるタイミングの間には、レーザー照射位置と現像当接位置の間の距離に応じた時間差がある。このような構成をとることで、現像電圧と感光ドラム電位との間の電位差がトナーと逆極性となるので、トナーが現像されることはない。
【0071】
しかしながら、感光ドラムの感度は製造公差・使用環境・劣化度合い等によってばらつきが生じるのが一般的である。即ち、同じレーザー光量を照射したときに感光ドラムの電位が常に図22の実線aで示したものと同じになるわけではなく、図22の破線bおよびcで示したように感光ドラム電位にはばらつきがある。
【0072】
図22の曲線aに対し、曲線bのように感光ドラム感度が高い、即ち感光ドラム電位が下がりやすい場合、図22のグラフに斜線で示したような現像電圧から感光ドラム電位減ずることで求められる電位差がトナーと同極性となる領域が生じ、トナーが現像されてしまう。また逆に図22の曲線aに対し、曲線cのように感光ドラム感度が低い、即ち感光ドラム電位が下がりにくい場合、図22のグラフに網点で示した領域が生じる。この領域では現像電圧から感光ドラム電位減ずることで求められる電位差がトナーと逆極性であり、かつ、その絶対値が大きいため、反転カブリが発生してしまう恐れがある。
【0073】
つまり、現像ローラーが感光ドラムに対しAPC開始前から常に当接状態にある場合、現像ローラー上のトナーを感光ドラム側へ移動させないために、現像ローラーに印加する電圧を感光体表面の電位に同期させる必要性がある。しかし、前回転中は、レーザー光量制御(APC)やスキャナーモータ制御が行われているために、感光ドラムの表面電位は大きく変動する。このため、感光ドラムのばらつき等を考慮すると、その電位差を所望の範囲内に抑えることは困難であり、結果として無駄なトナー消費や裏汚れを引き起こす可能性が高いという問題がある。
【0074】
そこで本実施例では図23のように、APC開始時には現像ローラーと感光ドラムとが離間した離間状態とし、レーザー駆動電流を流し始めてから所定の時間T2[sec]が経過したのち現像ローラーと感光ドラムとが当接した当接状態に切り替える。またその際の感光ドラムの表面電位を現像ローラーから感光ドラムへトナーが転移しない第2の感光ドラム表面電位となるように、前回転中に画像形成中とは異なる第2の帯電バイアスを印加する構成をとっている。ここで、所定の時間T2は感光ドラム感度のばらつきを考慮した上で、感光ドラム電位が安定し、第2の感光ドラム電位と現像電圧(現像ローラの電位)との電位差が反転カブリの出ないレベルまで小さくなるように設定されている。これにより、無駄なトナー消費や紙裏汚れを防止でき、APC終了前に現像ローラーを当接できるので、FPOTの短縮を図ることもできる。また、APC開始前に現像ローラーと感光ドラムとを予め当接状態にしておく場合と比較して、カブリが発生しないようにするための、現像ローラーの電位と感光ドラムの電位との電位差の制御が容易となる。
【0075】
本実施例の構成について、詳細に説明する。なお、ここではイエローの画像形成ユニットUyについてのみ説明する。
【0076】
画像形成装置がプリント信号を受信すると、感光ドラム1yが回転を始める(画像形成準備開始)。先に説明したように、感光ドラム1yには画像形成時とは異なる第2の帯電バイアスが印加され、所定の帯電電位に帯電される。本実施例では感光ドラムの帯電電位(Vd1)は約−800V、第2の帯電バイアス(Vd_dc2)は約−1300Vに調節されている。なお、本実施例における画像形成時の帯電バイアス(Vd_dc1)は−900Vであり、帯電部の感光体電位は−400Vになるように調節されている。
【0077】
画像形成準備が開始されてから所定時間後に先述したAPCが開始され、画像形成中と同様のレーザー光量W2を目標出力とし、レーザー光量が適正となるよう調整される。露光後の感光ドラム上の電位は、図24に示すレーザー光量と露光後電位の関係から、本実施例ではAPC中は、レーザー光量適性時の露光後電位が−320V (VL1)となるように調節されている(図24の14(a))。尚、画像形成時には、露光後電位が−120V(VL2)となるように調節されている(図24の14(b))。
【0078】
さらに、画像形成準備が開始されてから所定の時間T2[sec]が経過したところで現像ローラー41yが感光ドラムに当接される。このとき現像ローラー41yの電位は、画像形成中と同様に−300V(Vdev)設定している。このように、現像ローラー41yと感光ドラム1yとが離間状態から当接状態に切り替わる時を含む所定期間において、現像電圧から感光ドラム電位を減じた値は+20Vとなり、トナーの帯電極性(負極性)とは逆極性となる。したがってAPC実行中にトナーが現像される(正規カブリともいう)ことはない。変更された帯電バイアスは、レーザーの強制発光が終了し、アンブランキング発光になったタイミング(T3)で、画像形成用のバイアス(−900V)に変更し、画像形成準備が完了する。
【0079】
ここで所定の時間T2[sec]は感光ドラム感度のばらつきを考慮して決定されている。本実施例では感度が鈍い感光ドラムを用いた場合でも、現像ローラー当接時の感光ドラムと現像ローラーの電位差を100V以下となるように調節した。これは、本発明に用いた現像構成においては、感光ドラムと現像ローラーの電位差を100V以下とすることで、反転カブリの発生を防止することが可能であったからである。これにより、感度の鈍い感光ドラムを用いた場合においても反転カブリが発生することは無い。
【0080】
尚、正規カブリを防止するために感光ドラムと現像ローラーの電位差を20Vより大きい電位差が必要である場合、現像ローラに印加するバイアスを調節し、その電位差を大きくとることも可能である。例えば、上記した実施例では現像ローラに画像形成中と同様の−300Vのバイアスを印加したが、−250V印加した場合においては、感光ドラムと現像ローラーの電位差を70V確保することが可能となる。
【0081】
以上説明したように、現像ローラーと感光ドラムとが離間状態から当接状態に切り替わる時を含む所定期間において、現像ローラーの電位から現像位置における感光ドラムの表面電位を減じた電位差がトナーの正規帯電極性と逆極性となるように、帯電装置および露光装置を制御して感光ドラムの表面電位を調節するモードを制御部が実行した。このモードにより、APC実行中に現像ローラーを感光ドラムに当接しても、トナーが現像されるもしくは反転カブリが発生することがなくなるので、無駄なトナー消費や紙裏汚れを発生させることなく、FPOTの短縮を図ることができた。
【0082】
また画像形成開始時にAPC以外のレーザーを点灯させて行う光学調整を行う場合にも、本実施例は有効である。例えば走査光の一部をBDセンサー36で検知して行うレーザー書き込み位置の同期調整を、ポリゴンミラーの回転立ち上げと同時に行う場合がある。この場合ポリゴンミラーの回転が定常状態に達するまでレーザー光を点灯させておく必要があるため、APC実行時と同様の問題が発生する、よってこの場合でも本実施例の構成がFPOTの短縮に対して有効であることは言うまでもない。なおポリゴンミラーの回転が定常状態となった以降は、APC実行時を除き、通常の動作における非画像形成時には現像域(現像ローラーの幅に対応する領域)ではレーザーが点灯されないため、感光ドラムへのトナー付着は発生しない。
【0083】
また、本実施例ではイエローの画像形成ユニットUyについてのみ説明を行ったが、マゼンタ・シアン・ブラックの画像形成ユニット(Um・Uc・Uk)についても本実施例と同様の制御を行う構成としても良い。またFPOT短縮のために重要となる、より上流に配置されている画像形成ユニットにのみ本実施例と同様の制御を行う構成としても良い。
【実施例5】
【0084】
実施例4においては、前回転中の帯電ローラへ印加する電圧を画像形成時と異ならせることにより、現像当接時の感光ドラム側へのトナー移動を防止した。本実施例では、前回転中のレーザー光量を変更することにより、現像当接時の感光ドラム側へのトナー移動を防止することが特徴となる。以下に実施例4との差異を中心にその詳細を記す。
【0085】
本実施例では図25のように、APC開始時には現像ローラーを離間しておき、プリントを開始してから所定の時間T2[sec]が経過したのち現像ローラーを当接する、またその際の感光ドラムの表面電位をトナーが現像されない第2の感光ドラム表面電位となるように、前回転中にレーザー発光量を第2のレーザー光量とする構成をとっている。ここで、所定の時間T2は感光ドラム感度のばらつきを考慮した上で、感光ドラム電位が安定し、第2の感光ドラム電位と現像電圧の電位差が反転カブリの出ないレベルまで小さくなるように設定されている。
【0086】
現像ローラー当接時の感光ドラム電位を、第2の感光ドラム電位とすることで、現像電圧と感光ドラム電位の差が常にトナーの持つ極性と逆極性となるため、APC中にトナーが現像されることがない。またプリントが開始されてから所定の時間T2[sec]が経過したのち現像ローラーを当接することで、感光ドラム電位と現像電圧の電位差が不要に大きくならないので、反転カブリの発生も防止できる。したがって無駄なトナー消費や紙裏汚れを防止できる。またこのような構成をとることで、APC動作中に現像ローラーを当接できるので、FPOTの短縮を図ることもできる。
【0087】
本実施例の構成について、詳細に説明する。なお、ここではイエローの画像形成ユニットUyについてのみ説明する。
【0088】
画像形成装置がプリント信号を受信すると、感光ドラム1yが回転を始める。帯電ローラには画像形成時と同様の約−1000Vの帯電バイアス(Vd_dc1)が印加され、感光ドラム1yの表面電位は約−500V(Vd3)となる。また、APCが実行され、画像形成中とは異なる0.25mWの第2のレーザー光量(W3)を目標出力とし、レーザー光量が適正となるよう調整される。本実施例ではレーザー光量適性時の露光部電位が−350V(VL3)となるように設定している。この際、第2のレーザー光量はBDセンサー36の検知限界W4(0.10mW)を超えるように設定した。これにより、露光装置の立ち上げを行いつつ、現像ローラの当接が可能となる。
【0089】
時間T2[sec]が経過したところで現像ローラー41yが感光ドラムに当接された時、現像ローラー41yには、画像形成中と同様に−250Vに設定している。このように設定することで、現像電圧から感光ドラム電位を減じた値は+100Vとなり、トナーの帯電極性(負極性)とは逆極性となる。したがってAPC実行中にトナーが現像されることはない。変更されたレーザー光量は、レーザーの強制発光が終了し、アンブランキング発光になったタイミングで、レーザー光量の目標値を0.25mWから0.8mWに変更し、アンブランキングAPCを行う。APCは実施例4に記載したものと同様の手順で実施をし、レーザー光量が目標値0.8[mW]に達すると、レーザーの駆動電流値はその時の値に固定され、APCを終了し、画像形成準備が終了する。
【0090】
ここで所定の時間T2[sec]は感光ドラム感度のばらつきを考慮して決定されている。本実施例においても、実施例4と同様に現像ローラー当接時の感光ドラムと現像ローラーの電位差が150V以下となるように設定し、反転カブリの発生を防止することが可能である。
【0091】
以上説明した構成をとることで、APC実行中に現像ローラーを感光ドラムに当接しても、トナーが現像されるもしくは反転カブリが発生すことがなくなるので、無駄なトナー消費や紙裏汚れを発生させることなく、FPOTの短縮を図ることができた。
【0092】
また、本実施例ではイエローの画像形成ユニットUyについてのみ説明を行ったが、マゼンタ・シアン・ブラックの画像形成ユニット(Um・Uc・Uk)についても本実施例と同様の制御を行う構成としても良い。またFPOT短縮のために重要となる、より上流に配置されている画像形成ユニットにのみ本実施例と同様の制御を行う構成としても良い。
【実施例6】
【0093】
本実施例では雰囲気環境が変化した場合について考える。なお、ここでもイエローの画像形成ユニットUyについてのみ説明する。
【0094】
雰囲気環境が変化した場合、部材抵抗も変化するため感光ドラム1yの帯電特性が変化する。高温高湿環境下、即ち空気中の絶対水分量が多い環境では部材抵抗が低下するため、一定の帯電バイアスを印加した場合感光ドラム1yの帯電電位は上昇する。逆に、低温低湿環境下、即ち空気中の絶対水分量が少ない環境では部材抵抗が上昇するため、感光ドラム1yの帯電電位は低下する。その結果、感光ドラム1yの露光部電位も雰囲気環境によって変化する。高温高湿環境下では感光ドラム1yの露光部電位が上昇し、低温低湿環境下では感光ドラム1yの露光部電位が低下する(図26参照)。これはAPC実行中も同じである。
【0095】
そのため、感光ドラム1yに現像ローラー41yを当接する際に印加される第2の帯電電圧が一定である場合、高温高湿環境下では感光ドラム電位と現像電圧の電位差が大きくなってしまい、反転カブリが発生する場合があった。また、低温低湿環境下では感光ドラム電位と現像電圧の電位差が小さくなってしまい、トナーが現像されてしまう恐れがあった。その結果、無駄なトナー消費や紙裏汚れを招いてしまっていた。
【0096】
そこで本実施例では、雰囲気環境の変化に応じて帯電バイアスを変化することによって、雰囲気環境に伴い感光ドラムの帯電特性が変化した時にも、感光ドラム電位と現像電圧の電位差が大きくまたは小さくならないようにしている。より具体的には、露光部電位が上昇する高温高湿環境下では第2の帯電電圧を減少させ、露光部電位が低下する低温低湿環境下では第2の帯電電圧を増加させるよう補正を行う。このような構成をとることで、雰囲気環境によらず現像ローラー当接時の感光ドラム電位と現像電圧の電位差が略一定となるよう制御している。
【0097】
以下に詳細に説明する。本実施例では環境検知装置16(図1参照)により雰囲気環境が検知される。本発明者らの検討によれば、それぞれの雰囲気環境において、現像ローラー2yに−250Vの現像バイアスを印加した場合の帯電バイアス、感光ドラム1yの帯電電位と露光部電位は下記表2の通りであった。
【0098】
【表2】

【0099】
そこで本実施例では、環境検知装置16の検知結果に応じて第2の帯電電圧を上記表2のように補正する。第2の帯電電圧をこのように設定することで、雰囲気環境によらず現像ローラー41y当接時の感光ドラム1yの電位と現像電圧の電位差は+100Vとなる。したがってAPC実行中に現像ローラー41yを当接しても、トナーが現像されるもしくは反転カブリが発生すことがなくなる。よって無駄なトナー消費や紙裏汚れを発生させることなく、FPOTの短縮を図ることができた。
【0100】
尚、本発明例においては、帯電バイアスを環境により変更することにより、感光ドラム1yの電位と現像電圧の電位差を制御したが、環境情報に基づき、レーザー光量を変更しても同様の効果が得られる。すなわち、高温高湿環境になるほど、レーザー光量を大きくすればよい。
【0101】
また、レーザー光量に対する感光ドラムの露光電位が変化する要因として、感光ドラムの使用度合による影響もある。これは、感光ドラムの使用が進むに従い、感光ドラム1yの表面は削られ、感光ドラム1yの膜厚は減少していくためである。即ち感光ドラム1yの静電容量は増加し、一定の帯電バイアスを印加した場合、感光ドラム1yの帯電電位は上昇していき、レーザー光量と感光ドラム電位の関係にも変化が生じる。
【0102】
よって、感光ドラムの使用度合が進むにつれて、帯電バイアスの絶対値を小さくする、もしくは、レーザー光量を大きくすることも、前述した場合と同じような効果が得られ、トナーが現像されるもしくは反転カブリが発生すことがなくなる。また、無駄なトナー消費や紙裏汚れを発生させることなく、FPOTの短縮を図ることも可能となる。感光ドラムの使用度合としては、画像形成ユニットがプリントに使用された枚数(画像形成枚数)、感光ドラムの回転数、帯電ローラー2yに帯電バイアスが印加された時間等を用いることができる。
【0103】
本実施例でもイエローの画像形成ユニットUyについてのみ説明を行ったが、マゼンタ・シアン・ブラックの画像形成ユニット(Um・Uc・Uk)についても本実施例と同様の制御を行う構成としても良い。またFPOT短縮のために重要となる、より上流に配置されている画像形成ユニットにのみ本実施例と同様の制御を行う構成としても良い。
【符号の説明】
【0104】
1y,1m,1c,1k 像担持体
2y,2m,2c,2k 帯電器
3 画像露光部
4y,4m,4c,4k 一成分非磁性現像器
41y,41m,41c,41k 現像ローラー
42y,42m,42c,42k 供給ローラー
43 現像高圧電源
5 中間転写ベルト
6 駆動ローラー
7 支持ローラー
8y,8m,8c,8k 1次転写ローラー
81 1次転写高圧電源
9 2次転写ローラー
91 2次転写高圧電源
92 2次転写対向ローラー
11 定着器
111 定着スリーブ
112 加圧ローラー
12y,12m,12c,12k 感光体クリーナー
13 クリーニング装置
131 クリーニングブレード
132 廃トナー容器
14 制御部(CPU)
15 記憶装置
16 環境検知装置
31 レーザーユニット
32 ポリゴンミラー
33 fθレンズ
34 折り返しミラー
35 BDミラー
36 BDセンサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
前記像担持体に静電潜像を形成するために、前記像担持体を露光する露光装置であって、画像形成前に前記像担持体を露光しながら出力を調整する調整期間を有する露光装置と、
トナーを担持するトナー担持体を備え、前記像担持体と前記トナー担持体とが当接した当接状態と、離間した離間状態とに切り替え可能に構成され、前記当接状態において前記トナー担持体上のトナーにより前記静電潜像を現像する現像装置と、
を有し、
前記現像装置は、前記像担持体における前記調整期間に露光された部分が現像位置にあるときに前記離間状態から前記当接状態に切り替わることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
更に、前記トナー担持体に電圧を印加する電圧印加装置を有し、
前記電圧印加装置は、前記離間状態から前記当接状態に切り替わる時を含む所定期間において、前記トナー担持体の電位から前記現像位置における前記像担持体の電位を減じた電位差がトナーの正規帯電極性と逆極性となるように前記トナー担持体に電圧を印加することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
更に、前記トナー担持体に電圧を印加する電圧印加装置を有し、
前記電圧印加装置は、前記離間状態から前記当接状態に切り替わる時を含む所定期間において、前記トナー担持体の電位がトナーの正規帯電極性と同極性となるように前記トナー担持体に電圧を印加することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
更に、前記トナー担持体に電圧を印加する電圧印加装置を有し、
前記電圧印加装置は、前記離間状態から前記当接状態に切り替わる時を含む所定期間における前記トナー担持体の電位から画像形成時における前記トナー担持体の電位を減じた電位差がトナーの正規帯電極性と逆極性となるように、前記トナー担持体に電圧を印加することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記現像装置は、前記調整期間が開始してから所定時間後に前記離間状態から前記当接状態に切り替わることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記電圧印加装置は、前記像担持体の使用度合いに関する情報に基いて、前記所定期間に前記トナー担持体に印加する電圧を変更することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記像担持体の使用度合いに関する情報は、画像形成枚数であることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記像担持体の使用度合いに関する情報は、前記像担持体の回転数であることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記像担持体の使用度合いに関する情報は、前記像担持体を帯電する帯電部材に帯電バイアスが印加された時間であることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項10】
更に、画像形成装置の使用環境を検知する検知装置を有し、
前記電圧印加装置は、前記検知装置の検知結果に基いて、前記所定期間に前記トナー担持体に印加する電圧を変更することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
更に、
前記像担持体の表面を帯電する帯電装置と、
前記帯電装置と前記露光装置とを制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記離間状態から前記当接状態に切り替わる時を含む所定期間に前記トナー担持体の電位から前記現像位置における前記像担持体の表面電位を減じた電位差がトナーの正規帯電極性と逆極性となるように、前記帯電装置および前記露光装置を制御して前記像担持体の表面電位を調節するモードを実行することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項12】
更に、
前記像担持体の表面を帯電する帯電装置と、
前記帯電装置と前記露光装置とを制御する制御部と、を有し、
前記現像装置は、画像形成時と同極性かつ画像形成時よりも絶対値の大きな帯電バイアスを用いて前記帯電装置により帯電された前記像担持体上の位置に対して、前記離間状態から前記当接状態に切り替わることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記調整期間における前記露光装置の目標出力は、画像形成時における前記露光装置の出力よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項14】
更に、前記露光装置による前記像担持体への露光開始位置を調整するために前記露光装置からの光を検知するセンサを有し、
前記目標出力は、前記センサの検知限界より大きいことを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記モードにおいて、前記像担持体の使用度合いに関する情報に基づき前記表面電位を調節することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記像担持体の使用度合いに関する情報は、画像形成枚数であることを特徴とする請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記像担持体の使用度合いに関する情報は、前記像担持体の回転数であることを特徴とする請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記像担持体の使用度合いに関する情報は、前記帯電装置が有する帯電部材に帯電バイアスが印加された時間であることを特徴とする請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項19】
更に、画像形成装置の使用環境を検知する検知装置を有し、
前記制御部は、前記モードにおいて、前記検知装置の検知結果に基づき前記表面電位を調節することを特徴とする請求項11に画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2013−109322(P2013−109322A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−208468(P2012−208468)
【出願日】平成24年9月21日(2012.9.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】