説明

画像形成装置

【課題】 ダイレクトプリントの印刷結果に対する利用者の満足度を従来より向上することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 MFPの適用印刷設定決定手段は、適用印刷設定の各設定項目について、データ印刷設定に設定内容が含まれる場合に(S166でYES)、データ印刷設定の設定内容を採用し(S169)、データ印刷設定に設定内容が含まれない場合であって(S166でNO)、コマンド印刷設定受付手段によって受け付けられた利用者のコマンド印刷設定に設定内容が含まれる場合に(S167でYES)、利用者のコマンド印刷設定の設定内容を採用し(S170)、データ印刷設定および利用者のコマンド印刷設定に設定内容が含まれない場合に(S166でNOおよびS167でNO)、記憶部に記憶されている標準印刷設定の設定内容を採用する(S171)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタードライバーを介していない印刷データに基づいた印刷であるダイレクトプリントを実行する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ダイレクトプリントを実行する画像形成装置として、用紙サイズ、印刷の向き、メディアタイプ、部数、両面or片面、ページアウトなどの情報から構成されている印刷設定情報を予め複数保存しておき、複数保存しておいた印刷設定情報から1つの印刷設定情報を、ジョブが作成されたアプリケーション名およびドキュメントフォーマットの種類、データタイプ、ユーザ情報などに応じて読み出して、読み出した印刷設定情報でダイレクトプリントを実行する出力装置が知られている(特許文献1参照。)。
【0003】
また、ダイレクトプリントを実行する画像形成装置として、変更された印刷設定を一時的または恒久的なものとして取り扱う画像形成装置が知られている(特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−137016号公報
【特許文献2】特開2008−108065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された画像形成装置においては、ダイレクトプリントにおいて適用される印刷設定の各設定項目について設定内容が利用者毎および設定項目毎に指定されることができないので、ダイレクトプリントの印刷結果に対して利用者が満足することができない場合があるという問題がある。
【0006】
また、特許文献2に記載された画像形成装置においては、予め設定された一時的または恒久的な印刷設定でダイレクトプリントを実行することができるが、印刷データに含まれる印刷設定でダイレクトプリントを実行することができないので、ダイレクトプリントの印刷結果に対して利用者が満足することができない場合があるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、ダイレクトプリントの印刷結果に対する利用者の満足度を従来より向上することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、印刷内容を示す描画データと、印刷設定との少なくとも一方を含む印刷データをプリンタードライバーを介さずに解釈可能であって、前記描画データを少なくとも含んでいる前記印刷データである描画印刷データに基づいた印刷であるダイレクトプリントを実行可能である画像形成装置であって、前記画像形成装置の標準の前記印刷設定である標準印刷設定を記憶する標準印刷設定記憶部と、前記印刷データを受け付ける印刷データ受付手段と、前記描画データおよび前記印刷設定のうち前記印刷設定のみを含む前記印刷データである印刷設定コマンドを前記印刷データ受付手段が受け付けた場合に、この印刷設定コマンドの前記印刷設定であるコマンド印刷設定を利用者毎に受け付けるコマンド印刷設定受付手段と、前記描画印刷データを前記印刷データ受付手段が受け付けた場合に、この描画印刷データに基づいた前記ダイレクトプリントにおいて適用される前記印刷設定である適用印刷設定を決定する適用印刷設定決定手段とを備えており、前記適用印刷設定決定手段は、前記適用印刷設定の各設定項目について、前記印刷設定を含む前記描画印刷データの前記印刷設定であるデータ印刷設定に設定内容が含まれる場合に、前記データ印刷設定の設定内容を採用し、前記データ印刷設定に設定内容が含まれない場合であって、前記コマンド印刷設定受付手段によって受け付けられた前記利用者の前記コマンド印刷設定に設定内容が含まれる場合に、前記利用者の前記コマンド印刷設定の設定内容を採用し、前記データ印刷設定および前記利用者の前記コマンド印刷設定に設定内容が含まれない場合に、前記標準印刷設定記憶部に記憶されている前記標準印刷設定の設定内容を採用することを特徴とする。
【0009】
この構成により、本発明の画像形成装置は、描画データおよび印刷設定を含む印刷データである描画印刷データの印刷設定であるデータ印刷設定の設定内容と、描画データおよび印刷設定のうち印刷設定のみを含む印刷データである印刷設定コマンドの印刷設定である利用者のコマンド印刷設定の設定内容と、画像形成装置の標準の印刷設定である標準印刷設定の設定内容とによって構成される印刷設定、すなわち、利用者の意図が従来より適切に反映された印刷設定でダイレクトプリントを実行することができるので、ダイレクトプリントの印刷結果に対する利用者の満足度を従来より向上することができる。
【0010】
また、本発明の画像形成装置は、前記標準印刷設定の変更の指示を受け付ける変更指示受付手段と、前記標準印刷設定記憶部に記憶されている前記標準印刷設定を前記変更指示受付手段によって受け付けられた指示に応じて変更する標準印刷設定変更手段とを備えており、前記適用印刷設定決定手段は、前記適用印刷設定の各設定項目について、前記データ印刷設定に設定内容が含まれない場合であって、前記コマンド印刷設定受付手段によって受け付けられた前記利用者の前記コマンド印刷設定に設定内容が含まれる場合に、前記コマンド印刷設定受付手段によって前記利用者の前記コマンド印刷設定の設定内容が受け付けられた後で前記標準印刷設定変更手段によって前記標準印刷設定の設定内容が変更されているとき、前記利用者の前記コマンド印刷設定の設定内容ではなく、前記標準印刷設定記憶部に記憶されている前記標準印刷設定の設定内容を採用しても良い。
【0011】
この構成により、本発明の画像形成装置は、利用者のコマンド印刷設定の設定内容が受け付けられた後で標準印刷設定の設定内容が変更された場合に、コマンド印刷設定の設定内容より標準印刷設定の設定内容を優先するので、利用者の意図が更に適切に反映された印刷設定でダイレクトプリントを実行することができる。
【0012】
また、本発明の画像形成装置の前記印刷設定コマンドは、前記画像形成装置とネットワークを介して通信可能であるコンピューターから送信される印刷データであり、前記適用印刷設定決定手段は、前記ダイレクトプリントの前記描画印刷データが前記画像形成装置に直接接続された外部記憶装置から入力された印刷データである場合に、前記適用印刷設定の各設定項目について、前記データ印刷設定に設定内容が含まれないとき、前記利用者の前記コマンド印刷設定の設定内容ではなく、前記標準印刷設定記憶部に記憶されている前記標準印刷設定の設定内容を採用しても良い。
【0013】
この構成により、本発明の画像形成装置は、画像形成装置に直接接続された外部記憶装置から入力された描画印刷データに基づいたダイレクトプリントを実行する場合には、画像形成装置とネットワークを介して通信可能であるコンピューターから送信されたコマンド印刷設定の設定内容を採用しないので、利用者の意図が更に適切に反映された印刷設定でダイレクトプリントを実行することができる。
【0014】
また、本発明の画像形成装置の前記適用印刷設定決定手段は、前記適用印刷設定を適用する前記描画印刷データの直前に前記印刷データ受付手段によって受け付けられていた前記印刷データがこの描画印刷データの前記利用者とは別人の印刷データである場合に、前記適用印刷設定の各設定項目について、前記データ印刷設定に設定内容が含まれないとき、前記利用者の前記コマンド印刷設定の設定内容ではなく、前記標準印刷設定記憶部に記憶されている前記標準印刷設定の設定内容を採用しても良い。
【0015】
この構成により、本発明の画像形成装置は、コマンド印刷設定の有効範囲が同一の利用者の一連の印刷データに限られるので、利用者が過去に指定したコマンド印刷設定によって利用者の現在の意図と異なるダイレクトプリントが実行されること、および、別人が過去に指定したコマンド印刷設定によって利用者の意図と異なるダイレクトプリントが実行されることを防止することができる。
【0016】
また、本発明の画像形成装置は、前記適用印刷設定決定手段によって決定された前記適用印刷設定の各設定項目の設定内容と、前記データ印刷設定、前記コマンド印刷設定および前記標準印刷設定のうちこの設定内容の採用元の情報とを外部に通知する印刷設定通知手段を備えていても良い。
【0017】
この構成により、本発明の画像形成装置は、ダイレクトプリントにおいて適用された印刷設定を利用者に確認させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の画像形成装置は、ダイレクトプリントの印刷結果に対する利用者の満足度を従来より向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態に係るネットワークシステムのブロック図である。
【図2】(a)図1に示すMFPがプリンタードライバーを介さずに解釈可能な印刷データの一例を示す図である。(b)図1に示すMFPがプリンタードライバーを介さずに解釈可能な印刷データの一例であって、図2(a)に示す例とは異なる例を示す図である。(c)図1に示すMFPがプリンタードライバーを介さずに解釈可能な印刷データの一例であって、図2(a)および図2(b)に示す例とは異なる例を示す図である。
【図3】図1に示すMFPのブロック図である。
【図4】図3に示す標準印刷設定の一例を示す図である。
【図5】図3に示す設定内容採用元情報の一例を示す図である。
【図6】図1に示すPCのブロック図である。
【図7】標準印刷設定の変更の指示が入力された場合の図1に示すMFPの動作のフローチャートである。
【図8】プリンタードライバーを介さずに解釈可能な印刷データが送信されてきた場合の図1に示すMFPの動作のフローチャートである。
【図9】図8に示す印刷環境判断処理のフローチャートである。
【図10】図8に示す印刷設定決定処理のフローチャートである。
【図11】図3に示す印刷設定通知手段によって送信される電子メールの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0021】
まず、本実施の形態に係るネットワークシステムの構成について説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態に係るネットワークシステム10のブロック図である。
【0023】
図1に示すように、ネットワークシステム10は、画像形成装置としてのMFP(Multifunction Peripheral)20と、MFP20の外部のコンピューターであるPC(Personal Computer)50とを備えている。MFP20およびPC50は、LAN(Local Area Network)、インターネットなどのネットワーク11を介して互いに通信可能に接続されている。
【0024】
MFP20は、少なくとも図2に示すような種類の印刷データをプリンタードライバーを介さずに解釈可能である。
【0025】
図2(a)、(b)、(c)は、それぞれMFP20がプリンタードライバーを介さずに解釈可能な印刷データの一例を示す図である。
【0026】
図2(a)に示す描画印刷データ91は、利用者の識別情報である利用者情報91aと、印刷内容を示す描画データ91bと、印刷設定であるデータ印刷設定91cとを含む印刷データである。図2(b)に示す描画印刷データ92は、利用者の識別情報である利用者情報92aと、印刷内容を示す描画データ92bとを含み、印刷設定を含まない印刷データである。すなわち、描画印刷データとは、描画データを少なくとも含んでいる印刷データである。MFP20は、描画印刷データ91または描画印刷データ92に基づいた印刷であるダイレクトプリントを実行可能である。
【0027】
図2(c)に示す印刷設定コマンド93は、利用者の識別情報である利用者情報93aと、印刷設定であるコマンド印刷設定93bとを含み、印刷内容を示す描画データを含まない印刷データである。印刷設定コマンド93のコマンド印刷設定93bは、PC50の利用者によって後述の操作部51を介して、例えば「両面指定:あり、用紙サイズ:A4、用紙の向き:横」というようなテキストなどで入力されることが可能である。
【0028】
図3は、MFP20のブロック図である。
【0029】
図3に示すように、MFP20は、利用者による種々の操作が入力されるボタンなどの入力デバイスである操作部21と、種々の情報を表示するLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである表示部22と、用紙に印刷を実行する印刷デバイスであるプリンター23と、原稿から画像を読み取る読取デバイスであるスキャナー24と、図示していない外部のファクシミリ装置と公衆電話回線などの通信回線経由でファックス通信を行うファックスデバイスであるファックス通信部25と、ネットワーク11経由で外部の装置と通信を行うネットワーク通信デバイスであるネットワーク通信部26と、USB(Universal Serial Bus)メモリー80が電気的に接続可能であるUSBコネクター27と、各種のデータを記憶しているEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶デバイスである記憶部30と、MFP20全体を制御する制御部40とを備えている。
【0030】
記憶部30は、MFP20の標準の印刷設定である標準印刷設定31を記憶しており、本発明の標準印刷設定記憶部を構成している。
【0031】
図4は、標準印刷設定31の一例を示す図である。
【0032】
図4に示すように、標準印刷設定31は、MFP20において設定されることが可能である印刷設定の全ての設定項目について設定内容を記憶している。なお、上述のデータ印刷設定91cおよびコマンド印刷設定93bも、標準印刷設定31と同様に、設定項目と、その設定内容との組み合わせの情報である。データ印刷設定91cおよびコマンド印刷設定93bの設定項目の種類は、標準印刷設定31の設定項目の種類と同一であるか、標準印刷設定31の設定項目の種類より少ない。
【0033】
図3に示すように、記憶部30は、ダイレクトプリントにおいて適用される印刷設定である適用印刷設定32を記憶することができる。適用印刷設定32は、上述の標準印刷設定31と同様に、設定項目と、その設定内容との組み合わせの情報である。適用印刷設定32の設定項目の種類は、標準印刷設定31の設定項目の種類と同一である。
【0034】
記憶部30は、適用印刷設定32の各設定項目の設定内容の採用元の情報である設定内容採用元情報33を記憶することができる。
【0035】
図5は、設定内容採用元情報33の一例を示す図である。
【0036】
図5に示すように、設定内容採用元情報33は、適用印刷設定32の各設定項目の設定内容の採用元として、「データ印刷設定」、「コマンド印刷設定」および「標準印刷設定」の何れか1つを記憶している。設定内容採用元情報33の設定項目の種類は、適用印刷設定32の設定項目の種類と同一である。
【0037】
図3に示すように、記憶部30は、適用印刷設定32が適用される利用者の情報である適用印刷設定利用者情報34と、利用者情報93aおよびコマンド印刷設定93bから構成される複数の利用者別コマンド印刷設定35と、後述の印刷設定決定処理における処理の分岐の判断に使用される分岐判断値36とを記憶することができる。
【0038】
記憶部30は、ダイレクトプリントの印刷設定を通知するための電子メールアドレスである通知先アドレス37を記憶することができる。通知先アドレス37は、利用者情報に関連付けられて利用者毎に記憶部30に記憶されることができる。なお、利用者は、MFP20の操作部21からMFP20の記憶部30に通知先アドレス37を直接入力することもできるし、例えばPC50からネットワーク11を介してMFP20の記憶部30に通知先アドレス37を入力することもできる。
【0039】
制御部40は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、プログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROM(Read Only Memory)と、CPUの作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)とを備えている。CPUは、ROMまたは記憶部30に記憶されているプログラムを実行するようになっている。
【0040】
制御部40は、ROMまたは記憶部30に記憶されているプログラムを実行することによって、印刷データを受け付ける印刷データ受付手段41、コマンド印刷設定93bを利用者毎に受け付けるコマンド印刷設定受付手段42、適用印刷設定32を決定する適用印刷設定決定手段43、標準印刷設定31の変更の指示を受け付ける変更指示受付手段44、記憶部30に記憶されている標準印刷設定31を変更指示受付手段44によって受け付けられた指示に応じて変更する標準印刷設定変更手段45、および、適用印刷設定決定手段43によって決定された適用印刷設定32を外部に通知する印刷設定通知手段46として機能する。
【0041】
記憶部30に記憶されているプログラムは、MFP20の製造段階でMFP20にインストールされていても良いし、USBメモリー、SDメモリーカードなどの記憶媒体から、または、ネットワーク11上からMFP20に追加でインストールされても良い。
【0042】
図6は、PC50のブロック図である。
【0043】
図6に示すように、PC50は、利用者による種々の操作が入力されるマウス、キーボードなどの入力デバイスである操作部51と、種々の情報を表示するLCDなどの表示デバイスである表示部52と、ネットワーク11経由で外部の装置と通信を行うネットワーク通信デバイスであるネットワーク通信部53と、上述のUSBメモリー80が電気的に接続可能であるUSBコネクター54と、プログラムおよび各種のデータを記憶しているHDDなどの記憶デバイスである記憶部60と、PC50全体を制御する制御部70とを備えている。
【0044】
記憶部60は、MFP20を制御するデバイスドライバーであるプリンタードライバー61を記憶している。
【0045】
プリンタードライバー61など、記憶部60に記憶されているプログラムは、PC50の製造段階でPC50にインストールされていても良いし、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)などの記憶媒体から、または、ネットワーク11上からPC50に追加でインストールされても良い。
【0046】
制御部70は、例えば、CPUと、プログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROMと、CPUの作業領域として用いられるRAMとを備えている。CPUは、ROMおよび記憶部60に記憶されているプログラムを実行するようになっている。
【0047】
次に、ネットワークシステム10の動作について説明する。
【0048】
<通常の印刷>
PC50の制御部70は、例えば操作部51を介して入力された操作に応じて、記憶部60に記憶されているプリンタードライバー61を介して印刷データを生成し、生成した印刷データをMFP20に送信する。
【0049】
MFP20の制御部40は、プリンタードライバー61を介した印刷データがPC50から送信されてくると、PC50から送信されてきた印刷データを受信する。そして、制御部40は、印刷データに基づいてプリンター23によって用紙に印刷を実行する。
【0050】
<標準印刷設定31の変更>
利用者は、PC50の操作部51を介して標準印刷設定31の変更の指示をPC50からMFP20に入力することができる。
【0051】
また、利用者は、MFP20の操作部21を介して標準印刷設定31の変更の指示をMFP20に入力することができる。
【0052】
MFP20の制御部40は、標準印刷設定31の変更の指示が入力されると、図7に示す処理を開始する。
【0053】
図7は、標準印刷設定31の変更の指示が入力された場合のMFP20の動作のフローチャートである。
【0054】
図7に示すように、制御部40の変更指示受付手段44は、標準印刷設定31の変更の指示を受け付ける(S101)。
【0055】
次いで、制御部40の標準印刷設定変更手段45は、記憶部30に記憶されている標準印刷設定31を、S101において受け付けられた指示に応じて変更する(S102)。
【0056】
制御部40は、S102の処理を終了すると、図7に示す処理を終了する。
【0057】
<ダイレクトプリント>
PC50の制御部70は、例えば操作部51を介して入力された操作に応じて、記憶部60に記憶されているプリンタードライバー61を介さずに描画印刷データ91、92または印刷設定コマンド93を生成する。ここで、描画印刷データ91の利用者情報91a、描画印刷データ92の利用者情報92aおよび印刷設定コマンド93の利用者情報93aには、それぞれPC50を利用中の利用者の情報が記録される。そして、制御部70は、生成した描画印刷データ91、92または印刷設定コマンド93をMFP20に送信する。
【0058】
また、USBメモリー80は、PC50などのコンピューターによって描画印刷データ91または描画印刷データ92が書き込まれる。ここで、描画印刷データ91の利用者情報91aおよび描画印刷データ92の利用者情報92aには、それぞれコンピューターを利用中の利用者の情報が記録される。
【0059】
MFP20の制御部40は、描画印刷データ91、92または印刷設定コマンド93がPC50から送信されてくるか、描画印刷データ91または描画印刷データ92を記憶しているUSBメモリー80がUSBコネクター27に接続されると、図8に示す処理を開始する。
【0060】
図8は、プリンタードライバーを介さずに解釈可能な印刷データが送信されてきた場合のMFP20の動作のフローチャートである。
【0061】
図8に示すように、制御部40の印刷データ受付手段41は、PC50またはUSBメモリー80から印刷データを受け付ける(S121)。
【0062】
次いで、制御部40は、S121において受け付けた印刷データが印刷設定コマンド93であるか否かを判断する(S122)。
【0063】
S121において受け付けた印刷データが印刷設定コマンド93であるとS122において判断されると、制御部40のコマンド印刷設定受付手段42は、S121において受け付けた印刷設定コマンド93のコマンド印刷設定93bを利用者毎に受け付ける(S123)。具体的には、コマンド印刷設定受付手段42は、印刷設定コマンド93から利用者情報93aおよびコマンド印刷設定93bを取り出して、記憶部30に記憶されている適用印刷設定利用者情報34の内容を利用者情報93aの内容で書き換え、記憶部30に記憶されている適用印刷設定32の各設定項目についてコマンド印刷設定93bに設定内容が含まれている場合にはその設定内容を採用し、利用者情報93aおよびコマンド印刷設定93bから構成される利用者別コマンド印刷設定35を記憶部30に書き込む。なお、コマンド印刷設定受付手段42は、利用者別コマンド印刷設定35を記憶部30に書き込む場合、記憶部30に既に記憶されている利用者別コマンド印刷設定35の中に、今回書き込む利用者別コマンド印刷設定35の利用者情報93aと同一の利用者情報93aを含む利用者別コマンド印刷設定35があるとき、その利用者別コマンド印刷設定35を今回の利用者別コマンド印刷設定35で上書きする。すなわち、利用者別コマンド印刷設定35は、1つの利用者情報93aについて1つのみ記憶部30に記憶されることができる。
【0064】
制御部40は、S123の処理を終了すると、図8に示す処理を終了する。
【0065】
S121において受け付けた印刷データが印刷設定コマンド93ではない、すなわち、描画印刷データ91または描画印刷データ92であるとS122において判断されると、制御部40の適用印刷設定決定手段43は、印刷環境を判断するための処理である図9に示す印刷環境判断処理を実行する(S124)。
【0066】
図9は、印刷環境判断処理のフローチャートである。
【0067】
図9に示すように、適用印刷設定決定手段43は、S121において受け付けた描画印刷データ(以下「今回の描画印刷データ」という。)の直前に印刷データ受付手段41によって受け付けられていた印刷データ(以下「直前の印刷データ」という。)が今回の描画印刷データの利用者と同一人の印刷データであるか否かを判断する(S141)。ここで、適用印刷設定決定手段43は、今回の描画印刷データ内の利用者情報の内容と、記憶部30に記憶されている適用印刷設定利用者情報34の内容とが同一である場合、直前の印刷データが今回の描画印刷データの利用者と同一人の印刷データであるとS141において判断する。また、適用印刷設定決定手段43は、今回の描画印刷データ内の利用者情報の内容と、記憶部30に記憶されている適用印刷設定利用者情報34の内容とが同一ではない場合、直前の印刷データが今回の描画印刷データの利用者と別人の印刷データであるとS141において判断する。なお、適用印刷設定決定手段43は、S141の処理の後、今回の描画印刷データから利用者情報を取り出して、記憶部30に記憶されている適用印刷設定利用者情報34の内容を、取り出した利用者情報の内容で書き換える。
【0068】
適用印刷設定決定手段43は、直前の印刷データが今回の描画印刷データの利用者と同一人の印刷データであるとS141において判断すると、MFP20とネットワーク11を介して通信可能であるコンピューターから送信された印刷データに基づくダイレクトプリント(以下「遠隔ダイレクトプリント」という。)であるか否かを判断する(S142)。すなわち、適用印刷設定決定手段43は、今回の描画印刷データがMFP20に送信されてきた方法について判断する。ここで、適用印刷設定決定手段43は、今回の描画印刷データが例えばPC50のようにMFP20とネットワーク11を介して通信可能であるコンピューターから送信された印刷データである場合、遠隔ダイレクトプリントであるとS142において判断する。また、適用印刷設定決定手段43は、今回の描画印刷データが例えばUSBメモリー80のようにMFP20に直接接続された外部記憶装置から入力された印刷データである場合、遠隔ダイレクトプリントではないとS142において判断する。
【0069】
適用印刷設定決定手段43は、直前の印刷データが今回の描画印刷データの利用者と別人の印刷データであるとS141において判断するか、遠隔ダイレクトプリントではないとS142において判断すると、記憶部30に記憶されている分岐判断値36を”1”に設定する(S143)。
【0070】
適用印刷設定決定手段43は、遠隔ダイレクトプリントであるとS142において判断すると、記憶部30に記憶されている分岐判断値36を”2”に設定する(S144)。
【0071】
適用印刷設定決定手段43は、S143またはS144の処理を終了すると、図9に示す印刷環境判断処理を終了する。
【0072】
図8に示すように、適用印刷設定決定手段43は、S124に示す印刷環境判断処理を終了すると、適用印刷設定32を決定するための処理である図10に示す印刷設定決定処理を実行する(S125)。
【0073】
図10は、印刷設定決定処理のフローチャートである。
【0074】
図10に示すように、適用印刷設定決定手段43は、今回の描画印刷データの中に、リセット指定など、印刷設定のリセットの要求が含まれているか否かを判断する(S161)。ここで、印刷設定を含んでいる描画印刷データには、データの先頭にリセット指定が含まれていることが多い。
【0075】
適用印刷設定決定手段43は、今回の描画印刷データの中に印刷設定のリセットの要求が含まれているとS161において判断すると、記憶部30に記憶されている適用印刷設定32の全ての設定項目について、記憶部30に記憶されている標準印刷設定31の設定内容を採用する(S162)。すなわち、適用印刷設定決定手段43は、適用印刷設定32の内容を標準印刷設定31の内容と同一にする。なお、適用印刷設定決定手段43は、S162の処理において、設定内容採用元情報33のうち、全ての設定項目に対する採用元を「標準印刷設定」として記憶部30に記憶させる。
【0076】
適用印刷設定決定手段43は、今回の描画印刷データの中に印刷設定のリセットの要求が含まれていないとS161において判断するか、S162の処理を終了すると、適用印刷設定32のうち1番目の設定項目を対象にする(S163)。
【0077】
次いで、適用印刷設定決定手段43は、記憶部30に記憶されている分岐判断値36が“1”であるか否かを判断する(S164)。
【0078】
適用印刷設定決定手段43は、分岐判断値36が“1”であるとS164において判断すると、現在対象にしている設定項目について、今回の描画印刷データのデータ印刷設定91cに設定内容が含まれるか否かを判断する(S165)。なお、適用印刷設定決定手段43は、今回の描画印刷データが描画印刷データ92である場合、今回の描画印刷データにそもそもデータ印刷設定91cが含まれていないので、今回の描画印刷データのデータ印刷設定91cに設定内容が含まれないと判断する。
【0079】
適用印刷設定決定手段43は、分岐判断値36が“1”ではない、すなわち、“2”であるとS164において判断すると、S165の処理と同様に、現在対象にしている設定項目について、今回の描画印刷データのデータ印刷設定91cに設定内容が含まれるか否かを判断する(S166)。
【0080】
適用印刷設定決定手段43は、現在対象にしている設定項目について今回の描画印刷データのデータ印刷設定91cに設定内容が含まれないとS166において判断すると、現在対象にしている設定項目の設定内容の現在の採用元が「コマンド印刷設定」であるか否かを、設定内容採用元情報33に基づいて判断する(S167)。
【0081】
適用印刷設定決定手段43は、現在対象にしている設定項目の設定内容の現在の採用元が「コマンド印刷設定」であるとS167において判断すると、現在対象にしている設定項目について、今回の描画印刷データの利用者情報に対応する利用者(以下「今回の利用者」という。)のコマンド印刷設定93bの設定内容がコマンド印刷設定受付手段42によって受け付けられた後で標準印刷設定変更手段45によって標準印刷設定31の設定内容が変更されているか否かを判断する(S168)。ここで、適用印刷設定決定手段43は、例えば、利用者毎の利用者別コマンド印刷設定35が記憶部30に記憶されたそれぞれの最新の時と、標準印刷設定31が変更された時とを常に記録しておくことによって、今回の利用者の利用者別コマンド印刷設定35が記憶部30に記憶された最新の時と、標準印刷設定31が変更された時との時間的な前後関係によって、S168における判断を実行することができる。
【0082】
適用印刷設定決定手段43は、現在対象にしている設定項目について今回の描画印刷データのデータ印刷設定91cに設定内容が含まれるとS165またはS166において判断すると、適用印刷設定32の現在対象にしている設定項目について、データ印刷設定91cの設定内容を採用する(S169)。なお、適用印刷設定決定手段43は、S169の処理において、設定内容採用元情報33のうち、適用印刷設定32の現在対象にしている設定項目に対する採用元を「データ印刷設定」として記憶部30に記憶させる。
【0083】
適用印刷設定決定手段43は、現在対象にしている設定項目について今回の利用者のコマンド印刷設定93bの設定内容がコマンド印刷設定受付手段42によって受け付けられた後で標準印刷設定変更手段45によって標準印刷設定31の設定内容が変更されていないとS168において判断すると、適用印刷設定32の現在対象にしている設定項目について、今回の利用者のコマンド印刷設定93bの設定内容を採用する(S170)。なお、適用印刷設定決定手段43は、S170の処理において、設定内容採用元情報33のうち、適用印刷設定32の現在対象にしている設定項目に対する採用元を「コマンド印刷設定」として記憶部30に記憶させる。
【0084】
適用印刷設定決定手段43は、現在対象にしている設定項目について今回の描画印刷データのデータ印刷設定91cに設定内容が含まれないとS165において判断するか、現在対象にしている設定項目の設定内容の現在の採用元が「コマンド印刷設定」ではないとS167において判断するか、現在対象にしている設定項目について今回の利用者のコマンド印刷設定93bの設定内容がコマンド印刷設定受付手段42によって受け付けられた後で標準印刷設定変更手段45によって標準印刷設定31の設定内容が変更されているとS168において判断すると、適用印刷設定32の現在対象にしている設定項目について、標準印刷設定31の設定内容を採用する(S171)。なお、適用印刷設定決定手段43は、S171の処理において、設定内容採用元情報33のうち、適用印刷設定32の現在対象にしている設定項目に対する採用元を「標準印刷設定」として記憶部30に記憶させる。
【0085】
適用印刷設定決定手段43は、S169、S170またはS171の処理が終了すると、適用印刷設定32の全ての設定項目を対象にしたか否かを判断する(S172)。
【0086】
適用印刷設定決定手段43は、適用印刷設定32の全ての設定項目を対象にしていないとS172において判断すると、適用印刷設定32の設定項目のうち、現在対象にしている設定項目の次の設定項目を新たな対象にして(S173)、S164の処理に戻る。
【0087】
一方、適用印刷設定決定手段43は、適用印刷設定32の全ての設定項目を対象にしたとS172において判断すると、図10に示す印刷設定決定処理を終了する。
【0088】
図8に示すように、制御部40の印刷設定通知手段46は、S125に示す印刷設定決定処理が終了すると、今回の描画印刷データ内の利用者情報によって特定される利用者の通知先アドレス37が記憶部30に記憶されているか否かを判断する(S126)。
【0089】
印刷設定通知手段46は、今回の描画印刷データ内の利用者情報によって特定される利用者の通知先アドレス37が記憶部30に記憶されているとS126において判断すると、適用印刷設定32および設定内容採用元情報33に基づいて作成した図11に示すような電子メールによって、今回の描画印刷データ内の利用者情報によって特定される利用者の通知先アドレス37宛てに、記憶部30に記憶されている適用印刷設定32の各設定項目の設定内容と、この設定内容の採用元の情報とを通知する(S127)。
【0090】
制御部40は、今回の描画印刷データ内の利用者情報によって特定される利用者の通知先アドレス37が記憶部30に記憶されていないということがS126において判断されるか、S127の処理が終了すると、今回の描画印刷データ内の描画データに基づいたプリンター23による印刷を、記憶部30に記憶されている適用印刷設定32に従って実行する(S128)。
【0091】
制御部40は、S128の処理を終了すると、図8に示す処理を終了する。
【0092】
以上に説明したように、適用印刷設定決定手段43は、適用印刷設定32の各設定項目について、データ印刷設定91cに設定内容が含まれる場合に(S166でYES)、データ印刷設定91cの設定内容を採用し(S169)、データ印刷設定91cに設定内容が含まれない場合であって(S166でNO)、コマンド印刷設定受付手段42によって受け付けられた利用者のコマンド印刷設定93bに設定内容が含まれる場合に(S167でYES)、利用者のコマンド印刷設定93bの設定内容を採用し(S170)、データ印刷設定91cおよび利用者のコマンド印刷設定93bに設定内容が含まれない場合に(S166でNOおよびS167でNO)、記憶部30に記憶されている標準印刷設定31の設定内容を採用する(S171)。この構成により、MFP20は、描画印刷データ91の印刷設定であるデータ印刷設定91cの設定内容と、印刷設定コマンド93の印刷設定である利用者のコマンド印刷設定93bの設定内容と、MFP20の標準の印刷設定である標準印刷設定31の設定内容とによって構成される適用印刷設定32、すなわち、利用者の意図が従来より適切に反映された印刷設定でダイレクトプリントを実行することができるので、ダイレクトプリントの印刷結果に対する利用者の満足度を従来より向上することができる。
【0093】
また、適用印刷設定決定手段43は、適用印刷設定32の各設定項目について、データ印刷設定91cに設定内容が含まれない場合であって(S166でNO)、コマンド印刷設定受付手段42によって受け付けられた利用者のコマンド印刷設定93bに設定内容が含まれる場合に(S167でYES)、コマンド印刷設定受付手段42によって利用者のコマンド印刷設定93bの設定内容が受け付けられた後で標準印刷設定変更手段45によって標準印刷設定31の設定内容が変更されているとき(S168でYES)、利用者のコマンド印刷設定93bの設定内容ではなく、記憶部30に記憶されている標準印刷設定31の設定内容を採用する(S171)。この構成により、MFP20は、利用者のコマンド印刷設定93bの設定内容が受け付けられた後で標準印刷設定31の設定内容が変更された場合に、コマンド印刷設定93bの設定内容より標準印刷設定31の設定内容を優先するので、利用者の意図が更に適切に反映された印刷設定でダイレクトプリントを実行することができる。
【0094】
また、適用印刷設定決定手段43は、ダイレクトプリントの描画印刷データがMFP20に直接接続されたUSBメモリー80から入力された印刷データである場合に(S142でNO)、適用印刷設定32の各設定項目について、データ印刷設定91cに設定内容が含まれないとき(S165でNO)、利用者のコマンド印刷設定93bの設定内容ではなく、記憶部30に記憶されている標準印刷設定31の設定内容を採用する(S171)。この構成により、MFP20は、MFP20に直接接続されたUSBメモリー80から入力された描画印刷データ92に基づいたダイレクトプリントを実行する場合には(S142でNO)、MFP20とネットワーク11を介して通信可能であるPC50から送信されたコマンド印刷設定93bの設定内容を採用しない(S171)。ここで、MFP20は、MFP20に直接接続されたUSBメモリー80から入力された描画印刷データ92に基づいたダイレクトプリントを実行する場合、MFP20にUSBメモリー80を接続した利用者がMFP20の近傍に居るので、この利用者によって操作部21を介してデータ印刷設定91cまたは標準印刷設定31によって印刷設定が指定されることが可能である。したがって、MFP20は、MFP20に直接接続されたUSBメモリー80から入力された描画印刷データ92に基づいたダイレクトプリントを実行する場合には、PC50から送信されたコマンド印刷設定93bの設定内容を採用しない方が良い場合がある。すなわち、MFP20は、利用者の意図が更に適切に反映された印刷設定でダイレクトプリントを実行することができる。
【0095】
また、適用印刷設定決定手段43は、適用印刷設定32を適用する描画印刷データ91または描画印刷データ92の直前に印刷データ受付手段41によって受け付けられていた印刷データがこの描画印刷データの利用者とは別人の印刷データである場合に(S141でNO)、適用印刷設定32の各設定項目について、データ印刷設定91cに設定内容が含まれないとき(S165でNO)、利用者のコマンド印刷設定93bの設定内容ではなく、記憶部30に記憶されている標準印刷設定31の設定内容を採用する(S171)。この構成により、MFP20は、コマンド印刷設定93bの有効範囲が同一の利用者の一連の印刷データに限られるので、利用者が過去に指定したコマンド印刷設定93bによって利用者の現在の意図と異なるダイレクトプリントが実行されることを防止することができる。また、MFP20は、この構成によって、別人が過去に指定したコマンド印刷設定93bによって利用者の意図と異なるダイレクトプリントが実行されることを防止することもできる。
【0096】
また、印刷設定通知手段46は、適用印刷設定決定手段43によって決定された適用印刷設定32の各設定項目の設定内容と、この設定内容の採用元の情報とを外部に通知する(S127)。この構成により、MFP20は、ダイレクトプリントにおいて適用された印刷設定を利用者に確認させることができる。例えば、PC50からMFP20に今回の描画印刷データを送信させた利用者は、S127において通知先アドレス37宛てに送信された電子メールをPC50において確認することによって、MFP20によってダイレクトプリントが実行された用紙をPC50の近傍からMFP20の近傍までわざわざ取りに行かなくても、ダイレクトプリントにおいて適用された印刷設定を確認することができる。したがって、利用者は、自身の意図と異なる印刷設定でダイレクトプリントが実行されたことを電子メールによって確認した場合には、PC50の近傍に居たまま、PC50から新たな印刷設定でMFP20に再びダイレクトプリントを実行させることができる。
【0097】
なお、印刷設定通知手段46は、本実施の形態において電子メールによって外部に通知するようになっているが、FAXなど、電子メール以外の方法によって外部に通知するようになっていても良い。
【0098】
また、印刷設定通知手段46は、本実施の形態においてプリンター23による印刷が実行される(S128)前に外部に通知するようになっているが、プリンター23による印刷が実行された後に外部に通知するようになっていても良い。
【0099】
本発明の画像形成装置は、本実施の形態においてMFPであるが、プリンター専用機など、MFP以外の画像形成装置であっても良い。
【0100】
本発明のコンピューターは、本実施の形態においてPCであるが、PC以外のコンピューターであっても良い。
【0101】
本発明の外部記憶装置は、本実施の形態においてUSBメモリーであるが、SDメモリーカードなど、USBメモリー以外の外部記憶装置であっても良い。
【符号の説明】
【0102】
11 ネットワーク
20 MFP(画像形成装置)
30 記憶部(標準印刷設定記憶部)
31 標準印刷設定(印刷設定)
32 適用印刷設定(印刷設定)
41 印刷データ受付手段
42 コマンド印刷設定受付手段
43 適用印刷設定決定手段
44 変更指示受付手段
45 標準印刷設定変更手段
46 印刷設定通知手段
50 PC(コンピューター)
61 プリンタードライバー
80 USBメモリー(外部記憶装置)
91 描画印刷データ(印刷データ)
91b 描画データ
91c データ印刷設定(印刷設定)
92 描画印刷データ(印刷データ)
92b 描画データ
93 印刷設定コマンド(印刷データ)
93b コマンド印刷設定(印刷設定)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷内容を示す描画データと、印刷設定との少なくとも一方を含む印刷データをプリンタードライバーを介さずに解釈可能であって、前記描画データを少なくとも含んでいる前記印刷データである描画印刷データに基づいた印刷であるダイレクトプリントを実行可能である画像形成装置であって、
前記画像形成装置の標準の前記印刷設定である標準印刷設定を記憶する標準印刷設定記憶部と、
前記印刷データを受け付ける印刷データ受付手段と、
前記描画データおよび前記印刷設定のうち前記印刷設定のみを含む前記印刷データである印刷設定コマンドを前記印刷データ受付手段が受け付けた場合に、この印刷設定コマンドの前記印刷設定であるコマンド印刷設定を利用者毎に受け付けるコマンド印刷設定受付手段と、
前記描画印刷データを前記印刷データ受付手段が受け付けた場合に、この描画印刷データに基づいた前記ダイレクトプリントにおいて適用される前記印刷設定である適用印刷設定を決定する適用印刷設定決定手段とを備えており、
前記適用印刷設定決定手段は、前記適用印刷設定の各設定項目について、前記印刷設定を含む前記描画印刷データの前記印刷設定であるデータ印刷設定に設定内容が含まれる場合に、前記データ印刷設定の設定内容を採用し、前記データ印刷設定に設定内容が含まれない場合であって、前記コマンド印刷設定受付手段によって受け付けられた前記利用者の前記コマンド印刷設定に設定内容が含まれる場合に、前記利用者の前記コマンド印刷設定の設定内容を採用し、前記データ印刷設定および前記利用者の前記コマンド印刷設定に設定内容が含まれない場合に、前記標準印刷設定記憶部に記憶されている前記標準印刷設定の設定内容を採用することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記標準印刷設定の変更の指示を受け付ける変更指示受付手段と、
前記標準印刷設定記憶部に記憶されている前記標準印刷設定を前記変更指示受付手段によって受け付けられた指示に応じて変更する標準印刷設定変更手段とを備えており、
前記適用印刷設定決定手段は、前記適用印刷設定の各設定項目について、前記データ印刷設定に設定内容が含まれない場合であって、前記コマンド印刷設定受付手段によって受け付けられた前記利用者の前記コマンド印刷設定に設定内容が含まれる場合に、前記コマンド印刷設定受付手段によって前記利用者の前記コマンド印刷設定の設定内容が受け付けられた後で前記標準印刷設定変更手段によって前記標準印刷設定の設定内容が変更されているとき、前記利用者の前記コマンド印刷設定の設定内容ではなく、前記標準印刷設定記憶部に記憶されている前記標準印刷設定の設定内容を採用することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記印刷設定コマンドは、前記画像形成装置とネットワークを介して通信可能であるコンピューターから送信される印刷データであり、
前記適用印刷設定決定手段は、前記ダイレクトプリントの前記描画印刷データが前記画像形成装置に直接接続された外部記憶装置から入力された印刷データである場合に、前記適用印刷設定の各設定項目について、前記データ印刷設定に設定内容が含まれないとき、前記利用者の前記コマンド印刷設定の設定内容ではなく、前記標準印刷設定記憶部に記憶されている前記標準印刷設定の設定内容を採用することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記適用印刷設定決定手段は、前記適用印刷設定を適用する前記描画印刷データの直前に前記印刷データ受付手段によって受け付けられていた前記印刷データがこの描画印刷データの前記利用者とは別人の印刷データである場合に、前記適用印刷設定の各設定項目について、前記データ印刷設定に設定内容が含まれないとき、前記利用者の前記コマンド印刷設定の設定内容ではなく、前記標準印刷設定記憶部に記憶されている前記標準印刷設定の設定内容を採用することを特徴とする請求項1から請求項3までの何れかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記適用印刷設定決定手段によって決定された前記適用印刷設定の各設定項目の設定内容と、前記データ印刷設定、前記コマンド印刷設定および前記標準印刷設定のうちこの設定内容の採用元の情報とを外部に通知する印刷設定通知手段を備えていることを特徴とする請求項1から請求項4までの何れかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−111824(P2013−111824A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259337(P2011−259337)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】