説明

画像形成装置

【課題】ネットワークの処理目的でCPUが復帰した場合は、その処理目的が達成されるまでCPUを停止状態にしないように制御する。
【解決手段】ネットワーク50を介してパケット通信をPHY1により行い、CPU9を有するメイン処理ブロックBへの電源供給を停止する。ネットワーク50を介してPHY1により特定のパケットを受信した場合に、メイン処理ブロックBへの電源供給を復帰させ、PHY1により一定期間パケットを受信していない場合に、メイン処理ブロックBへの電源供給を停止するように制御する。メイン処理ブロックBへの電源供給を復帰させる要因となった省エネ復帰要因情報を記憶し、省エネ復帰要因情報に対応する処理が実行されたか否かを管理し、省エネ復帰要因情報に対応する処理が実行されたことを確認の上で省エネに入るように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低消費電力モードに設定可能な画像形成装置に関し、例えば、CPUを有するメイン処理ブロックへの電源供給を復帰させるように制御する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワークにサービスを提供し、或いはネットワークからサービスの提供を受ける画像形成装置、スキャナ、プリンタ、複合機等の情報処理装置において、低消費電力モード(「省エネルギーモード」或いは「スリープモード」ともいわれる)時にもネットワークとの交信を可能にする機能が提案されている。
例えば、特許文献1には、省エネ性能を向上しつつネットワーク機能の利便性を保つ目的で、パケットを自動送信する必要がある時に省エネから復帰し、パケットを送信し、一定時間経過しても処理するパケットがなくなった時点で再度省エネに入る構成と制御が開示されている。
【0003】
詳しくは、特許文献1にあっては、パワーマネジメント部(PM)によって通常モードにおける所定のタイミングで起動されたTIMERが指定の時間を経過しても、この指定時間内にパケットフィルタ部(PF)で自局宛受信データがなく、かつCPU上で動作しているアプリケーション全てがアイドル状態となっている場合、CPUは、この状態をPMに通知する。
この通知を受けてPMは、省エネモードの電源供給状態への移行制御を行う。同時に、CPUは、セレクタ部(SEL)の設定をパケットエンジン処理部(PE)からの出力を選択する方に切り替えて、メディアアクセスコントロール部(MAC)に送り、DHCP REQUESTパケットをネットワークに送信するための準備をする。
【0004】
上述したように、省エネ性能を向上させるために、待機状態時にはCPUを停止する処理が知られている。そして、さらなる省エネ性能を向上させるため、CPUを停止する条件を次のようにした制御方法が既に知られている。
一般的なCPUを停止する条件としては、「一定期間(1分間など)特定のプロトコルのパケットを受け取ってない」場合、さらなる省エネ向上のためのCPU停止条件として「通信が発生していない」場合などが想定されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、一定時間経過後省エネ可能か判断している点が知られている。しかしながら、一定時間を短くした時に新たに発生する処理動作前にCPUが省エネモードに入ってしまうという問題を解消できていなかった。
しかし、今までの短い間隔(100msecなど)でCPUを停止できるか否かを判断すると、通信中と判断する前にCPU停止判定依頼が発生してしまいネットワークの処理ができないという問題があった。
【0006】
例えば、DHCPのIPアドレスのリース更新のためにタイマによりCPUが復帰するが、DHCPリース更新処理が動く前にCPU停止判定依頼が発生する。すなわち、パーソナルコンピュータPCから印刷依頼を受け、CPUが復帰するが、PCとの接続処理前にCPU停止判定依頼が発生し、ネットワークの処理ができないという問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的としては、ネットワークの処理目的でCPUが復帰した場合は、その処理目的が達成されるまでCPUを停止状態にしないように制御する画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ネットワークを介してパケット通信を行う通信部と、CPUを有するメイン処理ブロックへの電源供給を停止する電源供給停止手段と、前記ネットワークを介して前記通信部により特定のパケットを受信した場合に、前記メイン処理ブロックへの電源供給を復帰させる電源供給復帰手段と、前記通信部により一定期間パケットを受信していない場合に、前記メイン処理ブロックへの電源供給を停止するように前記電源供給停止手段を制御する第1の制御手段とを備える画像形成装置であって、前記メイン処理ブロックへの電源供給を復帰させる要因となった省エネ復帰要因情報を記憶する記憶手段と、前記省エネ復帰要因情報に対応する処理が実行されたか否かを管理する管理手段と、前記省エネ復帰要因情報に対応する処理が実行されたことを確認の上で省エネに入るように制御する第2の制御手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、メイン処理ブロックへの電源供給を復帰させる要因となった省エネ復帰要因情報を記憶しておき、省エネ復帰要因情報に対応する処理が実行されたか否かを管理し、省エネ復帰要因情報に対応する処理が実行されたことを確認の上で省エネに入るように制御する。これにより、ネットワークの処理目的でCPUが復帰した場合は、その処理目的が達成されるまでCPUを停止状態にしないように制御するので、当該処理を実施後に最短の時間で省エネに入ることができるので、ネットワーク機能の利便性を確保しつつ、画像形成装置の省エネ性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る画像処理装置の全体構成について説明するためのブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像処理装置に用いるソフトウエア・モジュールを示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像処理装置における、通信制御207のソフトウエア・モジュールを示すブロック図である。
【図4】図3に示すMACドライバSM301のソフトウエア・モジュールのブロック図である。
【図5】図1に示すフィルタ3に対するパターンマッチングの設定例を示す表である。
【図6】図5に示すマッチングデータの指定範囲の一例である。
【図7】図1に示すブロックAだけで動作している時の通信制御部17による動作を示すフローチャートである。
【図8】図3に示す、省エネモードからの復帰後のMACデバイスドライバSM301の動作を示すフローチャートである。
【図9】図8に示すステップS802のエラー判定処理を示すフローチャートである。
【図10】図8に示すステップS802のエラー判定処理を示す別のフローチャートである。
【図11】図3に示すタイマSM307による動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施形態に係る画像処理装置が、省エネ復帰から省エネインするまでの動作を示すフローチャートである。
【図13】図11に示すステップS1104のブロックBの電源OFF処理の詳細である。
【図14】図3に示す復帰タイマSM310の管理テーブルの一例を示す図である。
【図15】図11に示すS1104のブロックBの電源OFF処理の詳細について示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
本発明は、省エネモードに入る場合に、省エネ復帰後に処理すべき処理を実施したかどうかを管理し、処理が実施されたことを確認の上で省エネに入ることを特徴としている。特に、ネットワークの処理目的でCPUが復帰した場合は、その処理目的が達成されるまでCPUを停止状態にしないように制御するので、当該処理を実施後に最短の時間で省エネに入ることができるので、ネットワーク機能の利便性を確保しつつ、画像形成装置の省エネ性能を高めることができる。
【0011】
本発明の特徴について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る画像処理装置を説明するためのブロック図である。
PHY(physical layer)1は、ネットワーク50との間で各種のパケットデータ(以下、単に「パケット」ともいう)の送受信をするネットワーク用の物理層部であり、データと電気信号の相互変換を行う。PHY1には、常時給電が行われるので、低消費電力モードでも、ネットワークとパケットを交信することが可能である。
電源管理部2は、ブロックB〜Dに設けられている装置の電源管理を行う。電源管理部2は、タイマカウンタ機能を有し、一定時間後にブロックBの電源を入れる機能を有する。また、ブロックBの電源に対する省エネ復帰要因情報(受信したパケット、または、タイマデータ)を記憶する。
【0012】
フィルタ3は、パケットのパターンマッチングを行い、特定条件のパターンにマッチした場合に、ブロックBを復帰させる。また、フィルタ3は、選択信号をゲート4a,4bに出力して操作し、データの流れを操作する。また、レジスタ5に省エネ復帰要因となったパケットのサイズを書き込む。
ゲート4a,4bは、データの流れについての遮断を行う。ブロックAだけで動作している時はゲート4aのみが開いており、PHY1とバッファ6との間でデータのやりとりが可能となる。一方、ブロックBが動作している時はゲート4bのみが開いており、PHY1とMAC7との間でデータのやりとりが可能となる。
【0013】
レジスタ5は、省エネ復帰要因となったパケットのサイズを保存する。レジスタ5は、CPU9からのデータの読み書きが可能である。
バッファ6は、省エネ復帰要因となったパケットを保存する。パケット全体を保存できるサイズ(1518オクテット)ではなく、送信元からの再送を期待できないパケットを保存できるサイズ(例えば256オクテット)が好ましい。
MAC(Media Access Control)7は、フレームの送受信制御や誤り検出を行う。
【0014】
メモリ8は、画像形成装置を制御するためのプログラムやアプリケーションソフトウエアを記憶する。CPU9は、メイン処理ブロックBに設けられており、画像形成装置を制御する。また、CPU9は、電源供給が停止された場合に低消費電力モードに移行してsleep状態になる。
プロッタ10は、画像データを記録媒体へ印字する。スキャナ11は、記録媒体に記載されている画像を光学的に読み取り画像データを出力する。通信制御部17は、ネットワーク50とデータ通信を行う。
【0015】
図2は、本発明の実施形態に係る画像処理装置に用いるソフトウエア・モジュール(以下、SMという)を示すブロック図である。
プリンタSM201は、プリンタ機能に関する制御を行うSMである。コピーSM202は、コピー機能に関する制御を行うSMである。スキャナSM203は、スキャナ機能に関する制御を行うSMである。メモリ管理SM204は、メモリ8の管理を行うSMである。
【0016】
画像加工SM205は、各機能に必要な画像加工処理を行う。画像データの記録型式が互いに異なるTIFFやJPEGなどへのデータ変換も行うSMである。プリンタ言語SM206は、通信制御SM207から受信したプリンタジョブデータを解析し、画像化を行うSMである。
通信制御SM207は、通信制御部17の制御を行うSMである。プロッタ制御SM208は、プロッタ10の制御を行うSMである。スキャナ制御SM209は、スキャナ11の制御を行うSMである。
【0017】
図3(a)は、本発明の実施形態に係る画像処理装置における、通信制御SM207のソフトウエア・モジュール(SM)を示すブロック図である。
MACドライバSM301は、通信制御部17の制御を行うSMである。ネットワークスタックSM302は、IP層・トランスポート層の制御を行うSMである。
ネットワークアプリケーションSM303は、機能ごとのネットワーク制御を行うSMである。port9100・SM304は、PCからの印刷データを受信し、プリンタアプリケーションにデータを渡すSMである。
【0018】
lpd・SM305は、RFC1179により規定されている手順に従い、パーソナルコンピュータPCからの印刷データを受信し、プリンタアプリケーションにデータを渡すSMである。SNMP(Simple Network Management Protocol)SM306は、ネットワーク機器の状態取得など監視に使われるSMである。
タイマSM307は、一定時間経過すると電源管理部2にブロックBの電源供給停止を指示するSMである。なお、タイマーカウント値はパケット判断部より操作される。
【0019】
パケット判断SM308は、自動応答可能なパケットかどうかの判断を行うSMである。省エネイン判断SM309は、省エネイン可能かどうかの判断を行うSMである。
なお、本実施形態では、パケット判断SM308、省エネイン判断SM309をそれぞれ独立して設けている。
復帰タイマSM310は、ネットワークアプリやネットワークスタックから登録される復帰時間を管理するSMである。
【0020】
図3(b)は、本発明の実施形態に係る画像処理装置における、通信制御SM207を示すソフトウエアのモジュールのブロック図である。図3(b)では、図3(a)に示す構成に加えて、省エネイン判断SM309a,309b,309c,309dをネットワークスタックSM302、port9100・SM304、lpd・SM305、SNMP・SM306にそれぞれ分散して設けていることを特徴とする。
【0021】
図4は、MACドライバSM301のソフトウエア・モジュール(SM)のブロック図である。
受信バッファSM401は、MAC7から受信したデータを保存するSMである。送信バッファSM402は、ネットワークスタックSM302から受信したデータを保存するSMである。
バッファチェックSM403は、バッファ6のチェックを行うSMである。MAC制御SM404は、MAC7の制御を行うSMである。MAC7から受信したデータを受信バッファSM401に保存し、ネットワークスタックSM302に渡す。また、ネットワークスタックSM302が送信バッファSM402に保存したデータをMAC7に渡す。
【0022】
図5は、フィルタ3に対するパターンマッチングの設定例を示す表である。
送信元MACアドレスとマッチングデータの組み合わせとマッチングした時の動作を指定できる。マッチングデータは、送信元MACアドレスより後部の部分に対してマッチングデータとマスクデータで設定できる。
【0023】
図6は、図5に示すマッチングデータの指定範囲の一例である。
図6には、一例として、6オクテッドからなる宛先MACアドレス、6オクテッドからなる送信元MACアドレス、2オクテッドからなるタイプ、46〜1500オクテッドからなるペイロードデータ、4オクテッドからなるFCSを示す。
パターンマッチのデータは、ペイロードデータ部の最後部まで指定できてもよいが、必要最低限のサイズまでとしてもよい。例えば、IPv6のポート番号が指定できるサイズなどである。
【0024】
図7は、ブロックAだけで動作している時の通信制御部17による動作を示すフローチャートである。
ステップS701では、ネットワーク50からPHY1を介してパケットを受信する。ブロックAだけで動作している時には、フィルタ3から出力される選択信号によりゲート4aが開いているので受信パケットがバッファ6に書き込まれる。
ステップS702では、フィルタ3において、バッファ6に記憶しておいた、受信したパケットのパターンマッチング判定を行う。マッチしている場合にはS703に進む。マッチしていない場合にはS708に進む。
【0025】
ステップS703では、マッチングした設定の中に1つでもSleepの設定があればSleepと判定する。Wakeupの場合はS704に進む。Sleepの場合はS708に進む。
ステップS704では、フィルタ3は省エネ復帰要因となったパケットのサイズをレジスタ5に書き込む。ステップS705では、フィルタ3はゲート4aを閉じ、ゲート4bを開く。
ステップS706では、フィルタ3は電源管理部2を操作し、ブロックBの電源をONする。ステップS707では、CPU9が復帰する。
【0026】
図8は、省エネモードからの復帰後のMACデバイスドライバSM301の動作を示すフローチャートである。
ステップS801では、レジスタ5に記憶されているパケットのサイズ(省エネ復帰要因)をチェックする。レジスタ5の値が0より大きい場合はS802に進む。一方、レジスタ5の値が0の場合はS805に進む。
ステップS802では、エラー判定処理として、バッファ6に保存されたデータをチェックする。エラーなしの場合はS803に進む。一方、エラーの場合はS804に進む。
【0027】
ステップS803では、バッファ6に記憶されているパケットを読み出して受信バッファSM401に保存し、ネットワークスタックSM302へ通知する。
ステップS804では、レジスタ5に値0を書き込む。ステップS805では、MAC初期化処理を行う。
【0028】
図9は、MACデバイスドライバSM301による、図8に示すステップS802のエラー判定処理を示すフローチャートである。
ステップS901では、レジスタ5に保存されているパケットのサイズ(省エネ復帰要因)がバッファ6に保存されている値以下の場合はS902に進む。一方、より大きい場合にはS904に進む。
ステップS902では、ソフト処理にてFCSのチェックを行う。エラーなしの場合はS903に進む。エラーの場合はS904に進む。ステップS903では、エラーなしと判定する。一方、ステップS904では、エラーありと判定する。
【0029】
図10は、MACデバイスドライバSM301による、図8に示すステップS802のエラー判定処理を示す別のフローチャートである。
ステップS1001では、レジスタ5に保存されているパケットのサイズ(省エネ復帰要因)がバッファ6に保存されている値以下の場合はS1002に進む。一方、より大きい場合にはS1003に進む。
ステップS1002では、ソフト処理にてFCSのチェックを行う。エラーなしの場合はS1004に進む。一方、エラーの場合はS1005に進む。
【0030】
ステップS1003では、定型パケットか否かを判断する。定型パケット(YES)の場合はS1004に進む。一方、定型パケットではない(No)場合はS1005に進む。
ステップS1004では、エラーなしと判定する。一方、ステップS1005では、エラーありと判定する。
【0031】
ここで、ステップS1003に示す処理「定型パケットか?」について説明する。
ネットワーク50に接続されているパーソナルコンピュータPC(図示しない)のOSである例えば、Windows(登録商標)からの定期MIB(Management Information Base)問い合わせのように、先頭パケットから後続パケットを推測できるものがある。その場合、パケットを完全に保存していなくとも補完して図8に示すS803の処理(受信バッファへのパケット保存)が可能となる。
【0032】
図11は、一定時間が10秒だった場合のタイマSM307による動作を示すフローチャートである。
ステップS1101では、タイマSM307のカウント値が10000の場合にはS1103に進む。一方、違う場合にはS1102に進む。
ステップS1102では、タイマSM307のカウント値に値1を加算し、S1101に進む。ステップS1103では、タイマSM307のカウント値を値0に設定する。
【0033】
ステップS1104では、電源管理部2にブロックBの電源供給停止を指示する。これにより、一定期間パケットを受信していない場合に、メイン処理を行うブロックBの電源供給を停止するように制御することができる。
ステップS1101でのタイマSM307のカウント値は、受信したパケットのイーサタイプ、TCP/UDP、ポート番号などから次のパケットを受けるまでの時間を予測し、変化させてもよい。
【0034】
ここで、本実施形態における特徴的な事項について説明する。
まず、図3(a)に示す通信制御SM207のソフトウエア・モジュール(SM)を用いる場合について委説明する。
受信したパケットをエラーと判断した場合に、受信したパケットがエラーであることを示すエラーメッセージをネットワークスタックSM302に通知する。
すなわち、エラー通知箇所としては、図8に示すS802、図9に示すS904、図10に示すS1005においてエラーと判定した後に、パケットが保存したものだった場合に、ネットワークスタックSM302へ受信したケットが保存したものであることを通知する。
【0035】
次いで、図3(b)に示す通信制御SM207のソフトウエア・モジュール(SM)を用いる場合について委説明する。なお、省エネイン判断部SM309a,309b,309c,309dを、ネットワークスタックSM302、port9100・SM304、lpd・SM305、SNMP・SM306にそれぞれ分散して設けている。
図8に示すS802の処理がなくなり、S803で受信バッファSM401にパケットデータを保存するだけでなく、レジスタ5の値もメモリに保存し、ネットワークスタックSM302へ渡す。
【0036】
ネットワークスタックSM302は、渡されたパケットがバッファ6に保存されていたパケットである場合には、図8、図9、図10と同様の判定を行い、パケットがエラーかどうかの確認を実行し、処理するかどうかを判断する。
ネットワークスタックSM302は、パケットがエラーの場合でも、保存されているパケットの先頭部分より、受信したパケットのイーサタイプ、TCP/UDP、ポート番号などから次のパケットを受けるまでの時間を予測し、タイマーカウント値を変更する。
このように、省エネ復帰要因に対応する処理が実行されたかを管理する場合に、それぞれのモジュールで分散して管理することで、機能の取り外しが簡単に行うことが可能となる。
【0037】
図12は、省エネイン判断SM309による、省エネ復帰から省エネインするまでの動作を示すフローチャートである。
ステップS1201では、省エネイン判断SM309が電源管理部2から省エネ復帰要因を読み出す。ステップS1202では、フラグに1をセットする。
ステップS1203では、パケット受信による復帰であればS1204に進む。タイマSM307による復帰である場合にはステップS120に進む。
【0038】
ステップS1204では、パケット処理したネットワークアプリケーションが省エネイン判断SM309に処理完了を通知する。ステップS1205では、フラグに値0をセットする。
ステップS1206では、省エネイン判断SM309が復帰タイマから復帰を依頼した対象アプリを取得する。ステップS1207では、ネットワークアプリケーションが省エネイン判断SM309に処理完了を通知する。
【0039】
ステップS1208では、通知があったネットワークアプリケーションが復帰タイマから取得したネットワークアプリケーションと一致すればS1205に進む。不一致の場合はS1207に進む。
これにより、省エネ復帰要因情報に対応する処理が実行されたか否かを管理することができる。また、省エネ復帰要因情報に対応する処理が実行されたことを確認した上で省エネに入るように制御することができる。
【0040】
以上のように、ネットワーク50を介してパケット通信をPHY1により行い、CPU9を有するメイン処理ブロックBへの電源供給を停止する。ネットワーク50を介してPHY1により特定のパケットを受信した場合に、メイン処理ブロックBへの電源供給を復帰させ、PHY1により一定期間パケットを受信していない場合に、メイン処理ブロックBへの電源供給を停止するように制御する。メイン処理ブロックBへの電源供給を復帰させる要因となった省エネ復帰要因情報を記憶し、省エネ復帰要因情報に対応する処理が実行されたか否かを管理し、省エネ復帰要因情報に対応する処理が実行されたことを確認の上で省エネに入るように制御する。
【0041】
これにより、ネットワークの処理目的でCPUが復帰した場合は、その処理目的が達成されるまでCPUを停止状態にしないように制御するので、当該処理を実施後に最短の時間で省エネに入ることができるので、ネットワーク機能の利便性を確保しつつ、画像形成装置の省エネ性能を高めることができる。
【0042】
図13は、タイマSM307による、図11に示すステップS1104のブロックBの電源OFF処理の詳細である。
ステップS1301では、省エネイン判断SM309により設定されたフラグが値0の場合にはS1303に進む。一方、違う場合はS1302に進む。
ステップS1302では、500ms待つ。なお、待ち時間は、一例であり、システム構成にあわせ、500msよりも短い時間でもよい。
ステップS1303では、復帰タイマ管理から一番近い時刻を選択し、現在時刻との差を電源管理2の復帰タイマに設定する。ステップS1304では、電源管理2にブロックBの電源供給停止を指示する。
【0043】
図14は、復帰タイマSM310の管理テーブルの一例を示す図である。図14には、依頼アプリケーションソフトウエアとしてDHCPが記憶され、復帰時刻として「2011年9月10日13時12分10秒」が記憶される。
【0044】
図15は、タイマSM307による、図11に示すS1104のブロックBの電源OFF処理の詳細について示すフローチャートである。
ステップS1501では、省エネイン判断SM309により設定されたフラグが値0の場合にはS1503に進む。一方、違う場合はS1502に進む。
ステップS1502では、500ms待つ。ステップS1503では、復帰タイマ管理から一番近い時刻が5秒以内の場合にはS1501に進む。違う場合はS1504に進む。
【0045】
ステップS1504では、復帰タイマ管理から一番近い時刻を選択し、現在時刻との差を電源管理部2の復帰タイマに設定する。
ステップS1505では、電源管理部2にブロックBの電源供給停止を指示する。
このように、次回復帰時刻の一定時間前の場合に、省エネインに入らないように制御することで、省エネインから省エネ復帰までの間のロスがなくなるため、直ちに復帰する場合の処理の遅延が少なくなる。パケットを早く処理できるためネットワークの応答が速くできるようになる。
【符号の説明】
【0046】
1 PHY
2 電源管理部
3 フィルタ
4a,4b ゲート
5 レジスタ
6 バッファ
7 MAC
8 メモリ
9 CPU
10 プロッタ
11 スキャナ
17 通信制御部
50 ネットワーク
201 プリンタSM
202 コピーSM
203 スキャナSM
204 メモリ管理SM
205 画像加工SM
206 プリンタ言語SM
207 通信制御SM
208 プロッタ制御SM
209 スキャナ制御SM
301 MACドライバSM
302 ネットワークスタックSM
303 ネットワークアプリケーションSM
304 port9100・SM
305 lpd・SM
306 SNMP・SM
307 タイマSM
308 パケット判断SM
309 省エネイン判断SM
310 復帰タイマSM
401 受信バッファSM
402 送信バッファSM
403 バッファチェックSM
404 MAC制御S
【先行技術文献】
【特許文献】
【0047】
【特許文献1】特開2009−119849号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介してパケット通信を行う通信部と、
CPUを有するメイン処理ブロックへの電源供給を停止する電源供給停止手段と、
前記ネットワークを介して前記通信部により特定のパケットを受信した場合に、前記メイン処理ブロックへの電源供給を復帰させる電源供給復帰手段と、
前記通信部により一定期間パケットを受信していない場合に、前記メイン処理ブロックへの電源供給を停止するように前記電源供給停止手段を制御する第1の制御手段とを備える画像形成装置であって、
前記メイン処理ブロックへの電源供給を復帰させる要因となった省エネ復帰要因情報を記憶する記憶手段と、
前記省エネ復帰要因情報に対応する処理が実行されたか否かを管理する管理手段と、
前記省エネ復帰要因情報に対応する処理が実行されたことを確認の上で省エネに入るように制御する第2の制御手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
次回復帰時刻の一定時間前の場合に省エネインに入らないように制御する第3の制御手段を備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記管理手段は、1つのモジュールで一括集中して管理する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記管理手段は、それぞれのモジュールで分散して管理する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−111854(P2013−111854A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260080(P2011−260080)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】